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現在地 ホーム > あいち水循環再生基本構想 第1章 構想策定の趣旨

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健全な水循環を目指して

第1章 構想策定の趣旨

ページID:0264063 掲載日:2020年3月23日更新 印刷ページ表示

構想策定の趣旨

 本県では川や海などの公共用水域における水質汚濁を改善するため、水質汚濁防止法に基づき上乗せ排水規制の強化や伊勢湾水質総量規制などの施策を実施しており、河川の水質については漸次改善されてきています。しかし、都市とその周辺の中小河川や湖沼、海域では、水質の改善が進んでいないところがあります。
 これは、これまでの汚濁物質の排出規制のみに着目した対策をとるという、限定的な見方や取組だけでは、常に移動し、形を変えて循環する水についての総合的な問題の解決には不十分であることを示しています。
 また、森林や農地をとりまく状況の変化などによる雨水の保水・かん養機能の低下、水路などの護岸のコンクリート化や都市域の雨水不浸透面積の増加などによる水の流れの分断など、水循環が変化したことにより、人間社会の営みと水循環の機能とのアンバランスが生じ、都市とその周辺の河川や海域の水質汚濁、生物多様性の喪失、水辺の減少、都市型水害の発生などの問題も生じています。
 さらに、河川などでの水質汚濁は、水道水の異臭味などの利水上の問題を引き起こすだけではなく、身近な水辺から人々を遠ざけるなど、水に対する人々の親近感の希薄化を招いています。
 このため、これまでは、水に関し、治水、利水、環境など各分野が分野ごとに効率的な対応を実施してきましたが、今後は、循環する水について、水質だけでなく、水量や水辺環境などの水環境を全体で捉えるとともに、環境だけではなく治水、利水などを含めた、水をとりまく総合的な視点に立ち、本県の将来の水に関するビジョンを鮮明にし、県民、事業者、民間団体、行政といった水に関わる全ての主体が、同じ目標に向かい手を携えて対応する必要があります。
 そこで、流域を中心とした一連の水の流れの過程において、人間社会の営みと水循環の持つ「水質の浄化」「水量の確保」「多様な生態系の維持」「水辺の保全」の4つの機能が適切なバランスのもとに共に確保されている健全な水循環を再生することを目的に構想を策定するものです。

水循環とは

水は、海水が蒸発し、森林や農地、宅地などに雨として降り注ぎ、表流水となって川の流れとなるとともに、土の中にしみ込み、地下水となって流下し、また海に戻るという循環をしています。 この循環の過程において、人は、生活用水や農業用水など様々な形で水を利用し、使われた水は、再び川や海へと戻っていきます。 健全な水循環は、川や地下水の水量を確保するだけではなく、土壌への浸透や流れの過程において水質を浄化するとともに、多様な生態系を維持し、人と水がふれあう水辺を保全するなどの重要な機能を有しています。
水循環の4つの機能
降水から森林、農地、河川を通って海までの水の流れ

構想の位置付け

水循環再生にあたっては、環境、治水、利水、水産等の各分野が個々に施策を実施するだけではなく、上流から下流まで、流域全体を視野に入れ、総合的に施策を講じていくことが必要となることから、本構想を本県の水関係行政の総合化の指針として位置付け、水循環再生の取組の推進を図るものです。
 なお、平成14年に策定した愛知県環境基本計画において「健全な水循環の確保」を、計画の長期的な取組の一つに位置付けています。
 また、環境省では、環境基本計画において「環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組」を戦略的プログラムの一つとして掲げるとともに、平成15年には、水に関する6省庁が連携した「健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議」において、「健全な水循環構築のための計画づくりに向けて」を公表し、健全な水循環の確保のための具体的な方途を示しています。

構想の検討

構想は、あいち水循環再生検討会を中心として検討を行うとともに、幅広く県民の意見を構想に反映させるため、県民意識調査、検討委員の出席による県民ヒアリング、パブリックコメントを実施しました。
あいち水循環再生検討会
(構成)学識者、民間団体、事業者、行政(12名)
座長:藤江幸一 豊橋技術科学大学教授
(設置期間)平成17年8月1日から平成18年3月31日
(開催回数)4回
(主な検討事項)あいち水循環再生基本構想
・水循環の現状
・水循環の課題
・水循環再生の取組
県民意識調査
(内容)身近な川や海などについての意識
(期間)平成17年8月26日から9月9日
(回答者)1,610名
県民ヒアリング
(内容)あいち水循環再生基本構想についての意見聴取
(検討委員出席)
(期間)2回(尾張地域11月7日、西三河地域11月11日)
(回答者)12名(尾張地域7名、西三河地域5名)
パブリックコメント
(期間)平成18年1月31日から2月20日
(意見提出者数)44名

あいち水循環再生検討会委員

あいち水循環再生検討会委員
氏名 所属
 愛知康之 豊田市環境部長
 井上隆信 豊橋技術科学大学教授
 宇治原 秀 アサヒビール株式会社名古屋工場エンジニアリング部 部長
 尾中宗久 国土交通省中部地方整備局企画部環境調整官
 神谷 功 矢作川沿岸水質保全対策協議会事務局長
 近藤 健 環境省中部地方環境事務所 環境対策課長
 近藤元博 環境パートナーシップ・CLUB
トヨタ自動車株式会社 グローバル生産企画部
 竹中千里 名古屋大学教授
 寺本和子 NPO法人 朝倉川育水フォーラム代表
豊橋創造大学短期大学部教授
 冨永晃宏 名古屋工業大学教授
 秀島栄三 名古屋工業大学助教授
 藤江幸一(座長) 豊橋技術科学大学教授

あいち水循環再生検討会における主な検討事項

あいち水循環再生検討会における主な検討事項
開催日 主な検討事項
第1回 平成17年8月1日
  • あいち水循環再生基本構想の枠組み
  • 水循環の現状と課題
  • 県民アンケート調査方法
第2回  平成17年10月6日
  • 県民アンケート調査結果
  • あいち水循環再生基本構想骨子案
第3回  平成17年12月12日
  • 県民ヒアリング結果
  • あいち水循環再生基本構想案
第4回 平成18年3月6日
  • パブリックコメント結果
  • あいち水循環再生基本構想最終案