ご参考となる取組事例

指導者マニュアル

第1章〜第7章

実践取組事例4

文化の違いをはじめ、しっかりとしたサポートや研修を

LPK ASIA PASIFIK EKONOMI KOOPERASI

外国人材(受け入れ)にかかる課題

・文化の違いについて理解してもらうための説明が難しい。
例:インドネシアでは良くても、日本ではいけないことがある。なぜか?

カリキュラム実践を通じて得たいこと

・日本語だけでなく、研修に役立つその他の情報も知りたい。
・易しい伝え方について学びたい。
・実習生が日本でより良い生活を送れるようなサポートの方法。
・外国人材に対する効果的な研修方法。

企業・団体概要

企業ロゴ

法人名:LPK ASIA PASIFIK EKONOMI KOOPERASI
従業員数:10人(2021年12月時点)
外国人従業員受け入れ実績:有
業種:人材派遣(インドネシア送出機関)
業務内容: 外国人技能実習生事業

研修案作成~カリキュラム実践までの流れとポイント(JICE記)

入国制限により国内の新規採用外国人材が数少ないため、インドネシアの送出機関であるLPK APEKにご協力いただき、入国前研修に本カリキュラムを取り入れるという形式のモデル実施が実現しました。対象者は15名で、来年度から愛知県内の介護施設や塗装関係の企業等で実習予定の方々です。

まず、はじめに研修実施の様子を拝見したところ、翻訳付き教材を用い、流ちょうなインドネシア語で研修が行われていたので驚きました。教案には母語で実施することが記されていなかったからです。担当者に確認したところ、送出機関には日本人スタッフがいない場合が多く、通常は現地の方だけで研修を行っているそうです。
確かに、母語で研修をすれば理解が早く正確に伝わるでしょうが、せっかくネイティブの日本人講師がいるのですから、その利点を大いに活かしていただきたいと思いました。そこで、担当者に、「来日後は周囲に通訳をしてくれる日本人はいないので、今から実習生に日本語の会話に慣れていただくためにも、残りの章はできる限り日本語で行ってみてください」と、JICEからご提案しました。最初は担当者も実習生の方々もぎこちない様子でしたが、しだいに日本語での発話が多くなり、クラス全体が活性化しました。

研修後、担当者とJICEでふりかえりを行いました。硬い表現やていねいな言い回し、擬音語・擬態語などの具体例を挙げて、担当者が普段使っている日本語は実習生にはまだ難しいことを一緒に確認しました。
また、テキストに翻訳があるので日本語での研修は可能なこと、愛知県のホームページの動画をはじめイラストや写真など、視聴覚教材をもっと多用することで初級レベルの実習生にも理解しやすく、単調になりがちなオンライン研修に変化がついて集中が持続することもお伝えしました。

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個別面談の様子 研修案を一緒に確認しながらアドバイスを受けます

研修実施で工夫した点

毎回ふりかえりにGoogle Formで作成した小テストを取り入れて、理解度を確認した。また、毎回の研修後に感想文を書いてもらい、学んだことを頭だけの理解ではなく、文章化して定着させるようにした。

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研修実施の様子

研修を受けた実習生の感想

・Aさん
テキストにインドネシア語の翻訳がありますので、わかりやすかったです。
この研修は日本の生活に役に立つと思います。特に1章は、日本はインドネシアより会社の保険が充実していることがわかって、役に立ちました。インドネシアでは公務員しか保険がありませんから。
日本への意識も変わりました。愛知県が私たち外国人のために、このテキストを作ってくれて感謝しています。

・Bさん
この研修は新しいことが勉強できて面白かったです。でも、日本語を話すのは難しいです。日本で急に病気になったとき、119番に電話すればいいことがわかりました。

・Cさん
私が研修で感心した内容はホウ ・ レン ・ ソウについてです。なぜかというと、インドネシアにはない文化だからです。私はこのホウ ・ レン ・ ソウの文化に惹かれました 。 このホウ ・ レン ・ ソウ の 文化 は 私 たち 技能実習 生のみならずに、社会人として大切だと思います 。日本ではホウ ・ レン ・ ソウについて 、しっかりと行っていければいいなと思いました。また、将来 インドネシアでも広められればと思いました。

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研修実施の様子

カリキュラム実践で学べたこと

日本語や研修に役立つ情報、また、実習生が来日後も安心して生活できるサポートの方法については、教材を活用していく中で知識を深めることができた。易しい伝え方や外国人材に対する効果的な研修方法については、JICEからのアドバイスやフィードバックを通して新たな気づきを得たり、ポイントを理解することができた。なかなか自分では気がつかないので、指導マニュアルに、このようなポイントがもっと数多く記載されると良いと思う。

早期適応研修カリキュラムを他の企業・団体にも勧めたいですか?

【はい】
ただ、実習生の受け入れ先は日本全国に点在しており、送出機関が各地域の細かい違いまで把握することは難しい。自分自身も、同じ愛知県内でも各自治体によってゴミの出し方が違うことを知らなかった。そのため、愛知県の教材に第8章を追加して地域ごとの情報も載せていただけると有難い。

このカリキュラムについてはインドネシアの労働省も高い関心を持っている。インドネシアには送出機関の連盟があり、その会長も本カリキュラムの導入に前向きなため、当国では将来広範囲で活用されると思われる。

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研修実施の様子


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