○ストーカー行為等の規制等に関する法律事務取扱要綱の制定
令和3年8月24日
生人発甲第142号
この度、ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第45号)の公布に伴い、ストーカー行為等の規制等に係る業務の適正な取扱いを期すため、別記のとおりストーカー行為等の規制等に関する法律事務取扱要綱を制定し、令和3年8月26日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。
なお、ストーカー行為等の規制等に関する法律事務取扱要綱の制定(平成15年生総発甲第49号)は、令和3年8月25日限り廃止する。
別記
ストーカー行為等の規制等に関する法律事務取扱要綱
第1 趣旨
この要綱は、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。以下「法」という。)に基づく事務の取扱い及び被害者の保護に関し必要な事項を定める。
第2 準拠
ストーカー行為等の規制等に係る事務については、法、ストーカー行為等の規制等に関する法律施行令(平成12年政令第467号)、ストーカー行為等の規制等に関する法律施行規則(平成12年国家公安委員会規則第18号。以下「施行規則」という。)、ストーカー行為等の規制等に関する法律の規定に基づく意見の聴取の実施に関する規則(平成12年国家公安委員会規則第19号。以下「意見聴取規則」という。)及び愛知県公安委員会の権限に属するストーカー行為等の規制等に関する法律に規定する事務を警察本部長等に委任する規則(平成29年愛知県公安委員会規則第6号。以下「委任規則」という。)の定めによるほか、この要綱に定めるところによる。
第3 定義
この要綱において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。
(1) つきまとい等 法第2条第1項に規定する「つきまとい等」をいう。
(2) 位置情報無承諾取得等 法第2条第3項に規定する「位置情報無承諾取得等」をいう。
(3) ストーカー行為 法第2条第4項に規定する「ストーカー行為」をいう。
(4) ストーカー行為等 ストーカー行為又は法第3条の規定に違反する行為をいう。
(5) 警告 法第4条第1項の規定による警告をいう。
(6) 禁止命令等 法第5条第1項の規定による命令をいう。
(7) 緊急禁止命令等 法第5条第3項の緊急の必要があると認めるときに行われる禁止命令等をいう。
(8) 有効期間延長処分 法第5条第9項の規定による禁止命令等又は緊急禁止命令等の有効期間の延長の処分をいう。
(9) 援助 法第7条第1項に規定する援助をいう。
(10) 住民基本台帳閲覧制限等 次のいずれかに該当するものをいう。
ア 市町村(特別区を含む。以下同じ。)が住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第11条の2第1項各号に掲げる活動に該当しないとして住民基本台帳の一部の写しの閲覧の申出又は同法第12条第6項若しくは第20条第5項の規定に基づき住民票の写し等の交付の請求を拒むこと。
イ 運輸支局、自動車検査登録事務所等(以下「運輸支局等」という。)が道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第22条第6項に基づき登録事項等証明書の交付の請求を拒むこと。
ウ 軽自動車検査協会の事務所及びその支所(以下「軽検協事務所等」という。)が道路運送車両法第72条の3に基づく検査記録事項等証明書の交付請求又は同法第70条に基づく検査証の再交付申請若しくは軽自動車情報の閲覧申請(以下「交付請求等」という。)に対する回答を保留し、ストーカー行為等の被害者(以下「被害者」という。)及び警察署に連絡し、必要な措置を講じた後に交付請求等に対する回答を行うこと。
(11) ストーカー・DV事案等情報管理システム ストーカー・DV事案等情報管理システム運用要綱の制定(平成28年生子・総情発甲第216号)に規定するストーカー・DV事案等情報管理システム(以下「システム」という。)をいう。
(12) 警察庁ストーカー情報管理業務 警告、禁止命令等及び緊急禁止命令等の行政措置情報を情報管理システムにより一元的に管理し、ストーカー行為等の疑いのある相談、警告を求める旨の申出(以下「警告の申出」という。)、援助を求める旨の申出(以下「援助の申出」という。)及びストーカー行為等に起因する被害に関する被害届(以下「被害届」という。)(以下「相談等」という。)に対する適正かつ迅速な対応に資することを目的に警察庁が行う業務をいう。
第4 相談等
1 相談等の受理
相談等を受理した職員は、次に掲げる措置を執ること。
ア 相談等の内容をシステムに登録し、ストーカー事案認知原票(様式第1及び第1の2)を作成すること。
なお、ストーカー事案認知原票の事案の概要欄又は特記事項欄に書ききれないときは、ストーカー事案認知原票(様式第1の3)を用いること。
イ 相談等の内容を速やかに警察署長に報告すること。
ウ 相談等の内容が警告の申出又は援助の申出であるときは、第5の1の(1)及び(2)又は第9の1の(1)の手続を執ること。
2 処理経過の記録
(1) 相談等を受理した職員は、処理経過を記録するため、次に掲げる場合において、それぞれに定める書面をシステムにより作成すること。
ア 警告、禁止命令等、緊急禁止命令等又は有効期間延長処分を実施した場合 ストーカー事案取扱原票①(様式第2)
イ 法違反その他ストーカー行為等に起因する各種法令違反の被疑者を検挙した場合 ストーカー事案取扱原票②(様式第3)
ウ ア及びイ以外の措置を講じた場合 ストーカー事案取扱原票③(様式第4)
(3) ストーカー事案取扱原票①の根拠となる事実欄、ストーカー事案取扱原票②の検挙事案の概要欄及びストーカー事案取扱原票①から③までの特記事項欄に書ききれないときは、ストーカー事案認知原票を用いること。
3 留意事項
相談等の受理又は処理に当たっては、次の事項に留意すること。
ア 相談等を受理するときは、相談者の立場を重んじ、真摯に対応すること。
イ 相談者が女性である場合における相談等の受理にあたっては、原則として女性警察官又は複数の警察官により対応すること。
ウ 被害者に対しては、単に警告の申出又は被害届の提出の意思を確認するだけではなく、法の趣旨、制度及び必要な措置を講じなければ自身の生命、身体等に危害が及ぶおそれがあることについて十分に説明し、必要に応じて警告の申出又は被害届の提出を強く促すこと。
エ 相談等を処理するときは、被害を受けることとなった経緯、被害者の住所、勤務先、通勤経路等をできる限り把握した上で、被害者の意思を尊重し、最も適切な解決策を講ずること。
オ 相談等を処理するときは、相談等の内容がつきまとい等又は位置情報無承諾取得等に該当しないことが明らかな場合であっても、適切な防犯指導等を実施すること。
カ 相談等の受理後の犯罪被害者支援については、愛知県警察犯罪被害者支援基本計画の策定(令和3年務住発甲第117号)及び愛知県警察犯罪被害者支援活動実施要領の制定(平成12年務警発甲第36号)に定めるところにより行うこと。
キ 被害者への連絡活動については、愛知県警察被害者連絡実施要領の制定(平成19年刑総・務住・生総・地総・交総・備一発甲第35号)の定めに準じて行うこととし、適切な防犯指導等を継続的に実施すること。
第5 警告
1 受理等
(1) 警告の申出の受理は、次に定めるところより行うこと。
ア 原則として巡査部長以上の階級にある警察官が対応すること。
ウ 警告申出人から物件の提出を受けたときは、第10の1の手続を執ること。
エ 警告の申出は、原則として警告申出人から直接受けること。ただし、警告申出人が遠方に所在する場合、弁護士に申出を委任する場合等においては、警告申出人から委任を受けた受任者が、警告申出人に代わって手続を行うことができる。
なお、受任者が警告の申出を行うときは、申出の目的、不安の感情等について、電話等により警告申出人に直接確認するなどして、警告の要件の該当性について検討すること。
(2) 警告申出人の住所(住所を有しない場合にあっては、居所)、警告の申出に係る法第3条の規定に違反する行為をした者の住所(日本国内に住所を有しない場合又は住所が知れない場合にあっては、居所)の所在地又は当該行為が行われた地(以下「事案関係地」という。)を把握し、警告申出人の負担に配意した適切な対応を執るとともに、警告等を効果的に行うことができるように、初動指揮チーム(人身安全対処事案対応要綱の制定(令和6年生人・総務・務警・生総・地総・刑総・交総・備総発甲第162号)第5の2の(3)に定める初動指揮チームをいう。以下同じ。)と緊密に連携すること。
(3) 警告申出人及びその関係者に対する保護等の必要な措置は、原則として警告申出人の住所又は居所の所在地を管轄する警察署が講ずるものとするが、関係場所が複数に及ぶときは、人身安全対策課長が保護等の必要な措置の実施に関する調整を図ること。
2 調整
(1) 警察署長は、警告の申出を受理した場合において、警告の申出に係るつきまとい等又は位置情報無承諾取得等の行為が複数の警察署の管轄区域にまたがって行われているなどの理由により、警告を実施する警察署長等について調整を図る必要があると認めるときは、警察本部長に報告(人身安全対策課長経由。以下同じ。)すること。
(2) (1)の報告があったときは、生活安全部長が警告の実施に関する調整を行うこと。
3 事前調査
(1) 生活安全部長又は警察署長(以下「生活安全部長等」という。)は、警告に係る事前調査(以下「警告事前調査」という。)を行うときは、警察本部にあっては人身安全対策課長を、警察署にあっては生活安全課長若しくは生活安全課長代理を実施責任者とし、警部補以下の階級にある警察官を調査担当者として、調査を行わせること。
(2) 実施責任者は、警告事前調査を行ったときは、調査等報告書(様式第7)を作成すること。
(3) 警告の申出に係るつきまとい等又は位置情報無承諾取得等を行ったと認められる者その他の関係者から事情聴取をしたときは、事情聴取書を作成すること。この場合において、事情聴取書を作成することができなかったときは、調査等報告書にその状況を明記しておくこと。
なお、事情聴取に際して物件の提出を受けたときは、第10の1の手続を執ること。
(4) 警告の申出に係るつきまとい等に関連する事件の捜査書類が既に作成されているときは、調査等報告書に当該捜査書類の入手経路を明記し、当該捜査書類の写しを調査等報告書に添付すること。
(5) 調査担当者は、警告事前調査の結果、警告の申出に係る事案が法第4条第1項に規定する警告の対象であると認めたときは、警告審査票(様式第8)に(3)及び(4)により作成した書面を添付して警察本部長又は警察署長に報告(警察本部長への報告にあっては、人身安全対策課長経由。以下同じ。)すること。
(6) 警察署長は、警告事前調査を行っている段階において、警告申出人がその住所又は居所を他の都道府県警察又は県内の他の警察署の管轄区域内に移転したときは、警察本部長に報告すること。
(7) 人身安全対策課長は、(6)の報告があったときは、警察本部長の指揮を受け、関係資料送付書(様式第9)に関係資料を添えて、警告申出人の移転先を管轄する警視総監若しくは道府県警察本部長又は県内の警察署長に対し、通知すること。
4 実施前の手続
(1) 生活安全部長等は、3の(5)の報告を受けた場合において、警告を行う必要があると認めるときは、システムに登録し、警告書(施行規則別記様式第2号)を作成すること。
(2) 生活安全部長等は、警告事前調査の結果、警告を要しないと認めたときは、速やかにその旨及びその理由を警告申出人に対し、通知書(施行規則別記様式第3号)により通知するとともに、適切な防犯指導等を実施すること。
(3) 警告を実施する前に捜査に着手し、警告事前調査を中断したとき又は捜査と並行して警告事前調査を行うときは、調査等報告書にその旨を明記しておくこと。
5 実施
(1) 警告は、警告を受ける者に対して警告を行う理由を説明し、警告書を直接交付して行うものとし、警告を受ける者が所在不明となっているときその他のやむを得ない理由があるときを除き、原則として警告の申出から1週間以内に行うものとする。この場合においては、次の措置を併せて行うこと。
ア 警告に違反したときは、禁止命令等又は緊急禁止命令等が行われる旨を説明すること。
イ 警告を受ける者に対し、受領確認書(様式第10)の作成を求めること。
ウ 警告を受ける者が受領確認書の作成を拒否したときは、弁解等を聴取して事情聴取書を作成すること。この場合において、事情聴取書を作成することができなかったときは、調査等報告書にその状況を明記しておくこと。
(2) 生活安全部長等は、(1)にかかわらず、緊急を要し、警告書を交付するいとまがないときは、施行規則第2条第2項の規定に基づき、口頭で警告を行うこと。
(3) 生活安全部長等は、口頭で警告を行ったときは、速やかに警告を受けた者に警告書を交付し、(1)と同様の措置を執ること。この場合において、警告書の日付は、口頭で警告した日とする。
(4) 生活安全部長等は、警告書を交付したときは、管理簿に必要な事項を記載すること。
6 実施後の報告等
(1) 生活安全部長等は、警告を行ったときは、実施報告書(様式第11)並びに警告申出書及び警告書の写しにより、速やかに警察本部長に報告すること。
(2) 実施責任者は、警告を行ったときは、警告申出人に対して当該警告の内容及び日時を速やかに通知するとともに、次に掲げる事項を併せて指導すること。
ア 警告を受けた者が警告に違反する行為を行ったときは、直ちに連絡すること。
イ 他の警察署の管轄区域に住所又は居所を移転しようとするときは、現在の住所又は居所を管轄する警察署長に届け出ること。
第6 禁止命令等
1 検討
生活安全部長等は、法第3条に違反する行為(以下「法第3条違反行為」という。)を受けた者(以下「禁止命令等申出人」という。)から相談等を受け、第5の3の警告事前調査を実施した結果、警告では法第3条違反行為をした者が自発的に行為を中止することが期待できないと認めたときは、禁止命令等を検討すること。
2 法第3条違反行為の調査
法第3条違反行為の調査は、警告事前調査に準じて行うこと。
なお、調査に当たっては、次の措置を執ること。
ア 法第3条違反行為の調査を行ったときは、禁止命令等の実施の有無にかかわらず、調査等報告書を作成し、警察本部長又は警察署長に報告すること。
イ 法第3条違反行為の事実関係を明らかにするため、禁止命令等申出人から直接事情聴取を行うこと。
3 具申等
(1) 警察署長は、禁止命令等申出人から禁止命令等申出書(施行規則別記様式第4号)の提出を受け、法第3条違反行為の調査を行った結果、禁止命令等を行う必要があると認めたときは、初動指揮チームと連携して対応すること。この場合において、総括報告書(様式第12)に2で作成した調査報告書を添付して警察本部長に具申(人身安全対策課長経由。以下同じ。)すること。
(2) 警察署長は、禁止命令等申出書を受理したときは、第5の1の(1)のイに準じて管理簿に必要な事項を記載すること。
(3) 人身安全対策課長は、(1)の具申があった場合において、禁止命令等を実施するときは、法第3条違反行為をした者に対し、行政手続法(平成5年法律第88号。以下「行手法」という。)第13条第1項第1号に規定する聴聞を行うこととし、聴聞及び弁明の機会の付与に関する規則(平成6年国家公安委員会規則第26号。以下「聴聞規則」という。)に規定する聴聞通知書(聴聞規則別記様式第6号)を作成して具申を行った警察署長に送付すること。
(4) 警察署長は、(3)により聴聞通知書の送付を受けたときは、法第3条違反行為をした者に対し、遅滞なく聴聞通知書を直接交付するとともに、その旨を人身安全対策課長に通知すること。ただし、禁止命令等を受ける者の所在が判明せず、聴聞通知書を交付することができないときは、行手法第15条第3項の規定に準じた措置を執ること。
(5) 人身安全対策課長は、聴聞が実施されたときは、その結果を警察本部長に報告すること。
4 実施等
(1) 方法
ア 人身安全対策課長は、警察本部長が禁止命令等を行うことを決定したときは、禁止等命令書(施行規則別記様式第8号)を作成して具申を行った警察署長に送付すること。
イ 警察署長は、アの禁止等命令書の送付を受けたときは、システムに登録し、法第3条違反行為をした者に対し、速やかに禁止等命令書を直接交付し、及び禁止命令等を行う理由を説明して禁止命令等を行うとともに、次の措置を執ること。
(ア) 禁止命令等の違反には、罰則がある旨を説明すること。
(イ) 行政不服審査法(平成26年法律第68号)第82条第1項の規定に基づき審査請求ができる旨及び行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条第1項の規定に基づき取消訴訟の提起ができる旨を教示すること。
(ウ) 禁止命令等の効力は、禁止命令等をした日から起算して1年であるが、必要に応じて効力が延長される場合がある旨を説明すること。
(エ) 受領確認書の記入を求めること。ただし、当該禁止命令等を受ける者がその記入を拒否した場合は、弁解等を聴取し、事情聴取書を作成すること。この場合において、事情聴取書を作成することができなかったときは、調査等報告書にその状況を明記しておくこと。
ウ 口頭で行う場合
(ア) 生活安全部長等は、イにかかわらず、緊急を要し、禁止等命令書を交付するいとまがないときは、法第5条第11項の規定に基づき、口頭で禁止命令等を行うこと。
(イ) 生活安全部長等は、口頭で禁止命令等を行ったときは、禁止命令等を受けた者に対して速やかに禁止等命令書を交付し、イと同様の措置を執ること。ただし、禁止等命令書の日付は、口頭で禁止命令等をした日とする。
エ 補充送達又は差置送達を行う場合
生活安全部長等は、イ又はウによる禁止命令等を行うことができないときは、施行規則第12条第2項第1号又は同項第2号による送達の必要がある旨を調査等報告書により警察本部長に報告すること。また、交付送達により送達することができないやむを得ない事情があるときは、施行規則第11条に基づき、郵便又は信書便による送達を検討すること。
なお、有効期間の始期は、送達する書類の作成日を起算日とする。
オ 公示送達を行う場合
(ア) 警察署長は、禁止命令等の処分を受けるべき者の住所及び居所が明らかでないときは、調査等報告書により、警察本部長に報告すること。
(イ) 公示送達を実施するときは、公安委員会の認証を受け、公安委員会の掲示板に2週間掲示するものとする。
(2) 実施報告
ア 警察署長は、禁止等命令書を交付したときは、実施報告書に禁止等命令書の写しを添えて、速やかに警察本部長に報告すること。
イ 警察署長は、禁止等命令書を交付したときは、管理簿に第5の1の(1)のイに準じて記載すること。
ウ 警察署長は、禁止等命令書を交付するときは、禁止命令等申出人に対して当該禁止等命令書に係る禁止命令等の内容及び日時を速やかに通知するとともに、次の内容を併せて説明すること。
(ア) 当該禁止等命令に係る有効期間延長の申出ができること。
(イ) 当該禁止命令等を受けた者が禁止命令等に違反する行為を行った場合には、直ちに警察署に連絡すること。
(3) 禁止命令等を行わなかった場合の措置
警察署長は、禁止命令等申出書の提出を受けた場合において、法第3条違反行為の調査の結果、禁止命令等を行なわなかったときは、速やかにその旨及びその理由を禁止命令等の申出をした者に対し、通知書(施行規則別記様式第5号)により通知するとともに、適切な防犯指導等を実施すること。
第7 緊急禁止命令等
1 検討
生活安全部長等は、第6の1の検討の結果、行為の態様、頻度、期間及び法第3条違反行為をした者の心理状態を総合的に判断し、禁止命令等申出人の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害されるおそれがあり、聴聞の手続を経て禁止命令等を行う時間的余裕がないと認められるときは、緊急禁止命令等の検討を行うこと。この場合において、警察署長が緊急禁止命令等を行おうとするときは、事前に警察本部長に報告すること。
2 法第3条違反行為の調査
緊急禁止命令等に係る法第3条違反行為の調査は、第6の2に準じて行うものとする。
3 実施等
(1) 警察署長が行う場合
ア 警察署長は、禁止命令等申出人から禁止命令等申出書の提出を受け、法第3条違反行為の調査を行った結果、緊急禁止命令等を行う必要があると認めたときは、初動指揮チームと連携して対応すること。この場合においては、総括報告書を作成し、2で作成した調査等報告書を添付して警察本部長に報告すること。
イ 警察署長は、禁止等命令書を作成し、法第3条違反行為をした者に対し、速やかに当該禁止等命令書を直接交付し、緊急禁止命令を行う理由を説明して緊急禁止命令等を行うこと。この場合において、当該禁止等命令書を受けた者に対して行う措置は、第6の4の(1)のイの措置に準じて行うほか、当該緊急禁止命令等を行った日から15日以内に意見の聴取がある旨を説明すること。
(2) 警察本部長が行う場合
委任規則第1条第3号に規定する警察署長に緊急禁止命令等を行わせることが不適当であると認められる場合に限り、警察本部長が(1)のイの措置を執るものとする。
(3) 口頭で行う場合
緊急禁止命令等を口頭で行う場合は、第6の4(1)のウに準じて行うものとする。
(4) 補充送達、差置送達及び公示送達を行う場合
緊急禁止命令等を補充送達、差置送達又は公示送達により実施するときは、第6の4の(1)のエ及びオに準じて行うものとする。
(5) 実施報告等
ア 禁止命令等申出書を受領したとき又は禁止等命令書を交付したときは、管理簿に必要な事項を記載すること。
イ 人身安全対策課長は、生活安全部長等が緊急禁止命令等を行う決定をしたときは、その内容をシステムに登録すること。
ウ 禁止命令書を交付したときにあっては第6の4の(2)に、緊急禁止命令等を行わなかったときにあっては第6の4の(3)に準じた措置を執ること。
(6) 意見の聴取の実施
ア 人身安全対策課長は、緊急禁止命令等に係る禁止等命令書を交付した旨の報告があったときは、意見の聴取通知書(意見聴取規則別記様式第6号)を作成し、速やかに警察署長に送付すること。
イ 警察署長は、アの意見の聴取通知書の送付を受けたときは、緊急禁止命令等を受けた者に対し、遅滞なく意見の聴取通知書を直接交付するとともに、交付した旨を人身安全対策課長に通知すること。ただし、緊急禁止命令等を受けた者の所在が判明せず、意見の聴取通知書を交付することができないときは、行手法第15条第3項の規定に準じた措置を執ること。
ウ 人身安全対策課長は、意見の聴取が実施されたときは、その結果を警察本部長に報告すること。
第8 有効期間延長処分等
1 申出
有効期間延長処分の申出は、禁止命令等申出人から禁止命令等有効期間延長処分申出書(施行規則別記様式第6号)の提出を受けて行うものとする。
2 調査
有効期間延長処分に係る調査は、第6の2に準じて行うものとする。
3 具申等
(1) 警察署長は、調査等の結果、有効期間延長処分を行う必要があると認めるときは、総括報告書を作成し、2で作成した調査等報告書を添付して警察本部長に具申すること。
(2) 警察署長は、禁止命令等有効期間延長処分申出書を受理したときは、管理簿に必要な事項を記載すること。
(3) 人身安全対策課長は、(1)の有効期間延長処分の具申があった場合において、有効期間延長処分を実施するときは、第6の3の(3)から(5)までに準じた措置を執ること。
4 実施等
(1) 方法
ア 人身安全対策課長は、警察本部長が有効期間延長処分を行う決定をしたときは、禁止命令等有効期間延長処分書(施行規則別記様式第9号)を作成し、これを具申を行った警察署長に送付すること。
イ 警察署長は、アの禁止命令等有効期間延長処分書の送付を受けたときは、その内容をシステムに登録し、法第3条違反行為をした者に対し、速やかにこれを直接交付し、有効期間延長処分を行う理由を説明して有効期間延長処分を行うこと。この場合においては、当該禁止命令等有効期間延長処分書を受けた者に対し、併せて第6の4の(1)のイの措置を執ること。
ウ 警察署長は、禁止命令等有効期間延長申出書を交付したときは、管理簿に必要な事項を記載すること。
エ 補充送達、差置送達及び公示送達を行う場合
法第5条第9項の規定に基づく禁止命令等の有効期間の延長の処分を補充送達、差置送達又は公示送達により実施するときは、第6の4の(1)のエ又はオに準じた措置を執ること。
(2) 警察署長は、有効期間延長処分に係る調査の結果、有効期間延長処分を行わなかったときは、速やかにその旨及びその理由を有効期間延長処分の申出をした者に対し、通知書(施行規則別記様式第7号)により通知するとともに、適切な防犯指導等を実施すること。
第9 警察本部長等による援助等
1 援助申出の受理
(1) 援助の申出の受理は、次に定めるところにより行うこと。
ア 原則として巡査部長以上の階級にある警察官が対応すること。
イ 口頭により援助の申出がなされたときは、当該援助の申出をした者(以下「援助申出人」という。)に援助申出書(施行規則別記様式第10号)の作成を求め、又は対応する警察官が当該援助申出人の依頼により代書して援助申出書を作成すること。この場合において、援助の申出の内容が、施行規則第15条第2号、第5号又は第7号に該当するときは、事情聴取書を作成し、援助を受けようとする理由を明らかにしておくこと。
(2) 援助の申出を受理することができないと認められるときは、その旨を援助申出人に説明し、適切な防犯指導等を実施するとともに、ストーカー事案取扱原票③に、援助の申出を受理することができない理由を明記しておくこと。
(3) 援助の申出を受理したときは、本部所属にあっては警察本部長に、警察署にあっては警察署長に対して速やかに報告すること。
2 援助の実施に関する調整
生活安全部長は、援助の申出に係るストーカー行為等が複数の警察署の管轄区域にまたがって行われていることその他の理由により、特に必要があると認めるときは、関係する警察署長と援助の実施に関する調整を行うこと。
3 援助に係る調査
援助に係る調査は、第5の3に準じて行うものとする。
4 警告又は禁止命令等の実施に係る書面の交付
警察署長は、施行規則第15条第7号に規定する援助を行うときは、警告、禁止命令等、緊急禁止命令等又は有効期間延長処分を実施したことを明らかにする行政措置実施証明書(様式第13)を作成し、援助申出人に交付すること。
5 国等の支援に対する協力
官公庁、事業者、地域住民その他ストーカー行為等の防止に関する活動等を行う者から、被害者の支援その他自主的なストーカー行為等の防止活動等を講ずるための協力の要請を受けたときは、可能な限り当該要請に応じ、又は指導若しくは助言を行うものとする。
第10 提出物件の取扱い
1 提出物件の受理
2 提出物件の還付
提出を受けた物件を還付する場合は、提出物件還付請書(様式第16)の作成を求めること。
3 提出物件の管理
提出を受けた物件は、愛知県警察証拠物件管理要綱の制定(令和4年刑総発甲第4号)に定める証拠物件に準じて取り扱い、確実に保管するものとし、その保管状況等を提出物件取扱簿(様式第17)により明らかにしておくこと。
第11 住民基本台帳閲覧制限等に係る事務
1 被害者への教示
職員は、被害者から相談等を受理した場合において、当該被害者が、更に反復してつきまとい等をされるおそれがあり、住民基本台帳閲覧制限等が必要であると認めるときは、被害者に対して住民基本台帳閲覧制限等の制度について教示し、住民基本台帳閲覧制限等を要望するか否かの意思確認を行うこと。
2 援助の申出の受理
被害者が住民基本台帳閲覧制限等を要望するときは、第9の1に定めるところにより、援助の申出を受理すること。
3 援助の実施
生活安全部長等は、援助の申出が相当であると認めるときは、次に掲げる措置を執ること。
ア 住民基本台帳閲覧制限等を求める市町村、運輸支局等及び軽検協事務所等(以下「支援措置実施機関」という。)に対し、被害者から住民基本台帳閲覧制限等の要望を受けている旨及び住民基本台帳閲覧制限等の必要性があると認める旨を電話連絡すること。
イ 被害者に対し、支援措置実施機関の窓口に赴いて住民基本台帳閲覧制限等の申出に係る書面(以下「申出書面」という。)を提出するように促すこと。
ウ 支援措置実施機関から生活安全部長等に対し、申出書面による住民基本台帳閲覧制限等の必要性を判断するための意見聴取(以下「意見聴取」という。)があったときは、申出書面に必要事項を記載した上で、公印を押印し、速やかに回答すること。
4 援助の申出を受理していない場合における支援措置実施機関からの意見聴取等に対する措置
(1) 生活安全部長等は、支援措置実施機関からの意見聴取又は連絡により、警告の申出等の際に住民基本台帳閲覧制限等に係る援助の申出をしなかった被害者が、その後、支援措置実施機関に対して住民基本台帳閲覧制限等の申出をしたことを認知したときは、速やかに当該被害者と連絡を取り、事後の経過を確認するとともに、警察本部又は警察署に赴いて相談するように促し、当該被害者がこれに応じて来訪したときは、2及び3の手続を執ること。
(2) 生活安全部長等は、支援措置実施機関から警告の申出等を受理していない被害者に係る意見聴取を受けたときは、申出書面への記載及び公印の押印をせず、返送すること。この場合においては、速やかに当該被害者と連絡を取り、警察本部又は警察署に赴いて相談するように促し、当該被害者がこれに応じて来訪したときは、2及び3の手続を執ること。
第12 警察庁ストーカー情報管理業務の運用
1 運用体制等
(1) 運用責任者
ア 人身安全対策課に警察庁ストーカー情報管理業務(以下「警察庁システム」という。)の運用責任者(以下「運用責任者」という。)を置き、人身安全対策課長をもって充てる。
イ 運用責任者は、警察庁システムの運用及び情報の管理を行う。
(2) 運用担当者
ア 人身安全対策課に警察庁システムの運用担当者(以下「運用担当者」という。)を置き、人身安全対策課の課長補佐のうち、運用責任者が指名するものをもって充てる。
イ 運用担当者は、運用責任者を補助する。
(3) 操作担当者
ア 人身安全対策課に操作担当者を置き、運用担当者が指名するものをもって充てる。
イ 操作担当者は、警察庁システムを運用するために必要な範囲内で、端末装置の操作を行う。
2 登録等
(1) 登録
操作担当者は、警告、禁止命令等又は緊急禁止命令等が実施されたときは、必要事項を警察庁システムに登録すること。
(2) 照会
警察庁システムを利用した照会は、ストーカー行為等の対策を推進するために必要がある場合に限り行うこと。
3 保秘の徹底
警察庁システムにより知り得た情報は、他に漏らしてはならない。
4 目的外使用の禁止
警察庁システムを目的外に使用してはならない。
第13 その他
この要綱に定めるもののほか、この要綱の実施に関し必要な細目的事項は、人身安全対策課長が別に通知する。
〔令4刑総発甲9号・本別記一部改正〕