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健全な水循環を目指して

はじめに

ページID:0264060 掲載日:2020年3月23日更新 印刷ページ表示

はじめに

地球環境問題というと、地球温暖化やオゾンホールに注目しがちですが、今、水の惑星と呼ばれている地球の水にも重大な問題が起きています。世界のいたるところで、地表水や地下水の過剰利用による河川水の枯渇や砂漠化、急激な人口増加や産業化に伴う水質汚濁、荒れた川がもたらす土壌流出、洪水・浸水など、様々な危機的状況が報告されています。
 幸い、本県においてはこのような状況は顕在化していませんが、いくつかの兆候があります。2000(平成12)年の東海豪雨での甚大な被害がその一つです。一時間に100ミリメートルを超える想定外の大雨が降ったとはいえ、都市の災害に対する脆弱さが懸念されます。また、伊勢湾・三河湾の汚濁の状況が一向に改善しないことも問題です。赤潮といえば春から夏にかけてのものでしたが、今では年中発生し、貧酸素水塊、いわゆる苦潮による水産被害も出ています。さらに、水辺の様子が人間の生活に都合良く変わってきたことによって、水に棲む生きものたちへ与える影響もあります。以前なら私たちの周りでごく普通に見られためだかや蛙、とんぼなどが姿を消そうとしていることも心配です。
 水は流れ、物質を運び、地表から地中、海、大気中を循環しています。近年、手入れの行き届かない森林の増加や農地の減少、コンクリートで覆われた都市、排水路と化した都市河川等、この水循環の変化をもたらす事柄が非常な勢いで増加しており、それにつれて、人と水のかかわりが希薄になっています。
 ご存知のように、私たちは環境をテーマとした国際博覧会を開催し、多くの方々の共感を得ることに成功しました。よりよい環境を次世代に残したい。この切なる思いが、本県の環境先進県づくりの原点です。なかでも、水の問題は最も重要な課題の一つです。
 この構想は、本県における健全な水循環の再生を図り、人と水との新たなかかわりを創造するため、将来にわたる、全ての県民の連携・協働した取組の方向性を示すものです。
 水は人の生活や産業、文化の礎であり、豊かな県土を育むものです。どうぞ、皆様におかれましては、私たちと一緒に水を守るために行動されますようお願いいたします。
2006(平成18)年3月
愛知県知事 神田真秋
神田真秋