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イネ準同質遺伝子系統を用いた穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1 による
穂いもち発病抑制効果の定量的評価
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藤井 潔・早野由里子・杉浦直樹・林 長生・井澤敏彦・岩崎眞人
育種学研究7: 75-85 (2005)
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摘要:インド型イネ「Modan」に由来する穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1の発病抑制効果を定量的に評価する目的で、「黄金晴」(Pb1-+)/「月の光」(Pb1)の交配後代に由来する約2,000のF7組換え型近交系(RILs)から作出したPb1座に関する3種のF8準同質遺伝子系統(NIL)ペアと、Pb1座及びイネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvb-i座に関する「コシヒカリ」のNILとを用いて2ヶ所の検定地で2ヶ年にわたりいもち病抵抗性検定を行った。Pb1遺伝子の発病抑制効果は、葉いもち<止葉葉いもち<穂いもちの順に高く、イネの発育ステージの進展に応じてより強い圃場抵抗性を発現した。Pb1の罹病籾率低減効果を示す「防除価」は、2ヶ年ともに平均93で極めて高い値を示し、Pb1は幅広い穂いもち発生条件下において高い発病抑制効果を発現した。Pb1座に関する3種のNILペア内でPb1を持つNILと持たないNILとの精玄米収量比は、穂いもち少発生条件では0.78〜1.29(1.07±0.18)と1に近かったが、多発生条件では2.40〜16.22と大きく、穂いもち多発条件ほど減収軽減効果は高かった。また、穂いもち多発生条件下で、Pb1を持つNILは、持たないNILより精玄米歩合が有意に高く、千粒重が有意に重く、玄米蛋白質含量が有意に低く、Pb1の穂いもち発病抑制効果により、品質および食味低下を軽減する二次的効果が認められた。
キーワード:イネ(Oryza sativa)、いもち病(Magnaporthe grisea)、穂いもち、圃場抵抗性、抵抗性遺伝子、発病抑制効果、準同質遺伝子系統(NILs) |
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