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農業試験場構内風景

愛知県農業総合試験場

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不耕起V溝直播栽培の開発−「冬季代かき」による栽培の安定化−

濱田千裕・中嶋泰則・林 元樹・釋 一郎

日本作物学会紀事76(4):508−518
摘要:水稲の不耕起乾田直播栽培は、生産コストの低減と栽培の省力化に有効と期待されてきたが、前作に起因する圃場の不陸や残渣のために、出芽不良、鳥害、雑草防除、など実用化には多くの問題があることを著者らは指摘してきた。そこで著者らは、生産を安定化することによってその技術の実用化を図るために、愛知県安城市で、転作に使用した水田を均平にするために慣行的に行われてきた、冬季に代かきをして圃場を乾燥固結する整地方法 (以下、冬季代かき) を適用して不耕起乾田直播栽培を安定化しようとした。本研究では、農家圃場で農家、関係機関と一体となって実証的に研究を進める現場解決型手法を適用して、課題解決に当たった。まず、冬季代かきの効果を明らかにするために、大規模な農家圃場試験を行った。その結果、冬季代かきは整地処理を行わない不耕起圃場 (以下、完全不耕起) に比較し、出芽苗立ち率が向上すること、鳥害の発生を顕著に抑制しうることを明らかにした。つぎに、播種時の雑草生育量について、冬季代かきと完全不耕起を比較調査し、冬季代かきにより雑草量を有意に低減でき、播種作業と雑草管理を容易にできることを明らかにした。さらに、播種時の圃場の土壌硬度を調査し、冬季代かきには完全不耕起と同等の地耐力があり、降雨により播種作業が影響を受けない不耕起乾田直播の特長を具備できることを明らかにした。また、1994〜1999年の冬季代かきによる不耕起乾田直播栽培の農家圃場試験の出芽数及び収量を調査したところ、出芽数は65〜328本m-2、収量は408〜658 g m-2に分布し、いずれも実用的な水準にあることを確認した。以上から、冬季代かきを播種前の整地法として取り入れることにより水稲の不耕起乾田直播栽培を飛躍的に安定化できると結論した。

キーワード:出芽苗立ち、水稲、生育・収量、冬季代かき、播種前整地、不耕起乾田直播
PDFファイル未掲載


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