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7 組織の遅営と催事の計面

ページID:0006322 掲載日:2008年3月13日更新 印刷ページ表示

7-1 市民参加と運営のしくみ

活動場所の確保

 里山保全管理の活動場所や活動方法には、様々なケースがあります。公共団体の管理する公園、緑地に属するものから、企業等が私有地を自ら行うもの、民地を借地して行うものなとがあり、地域ごとの事情も異なり、各々が独自の方法で場所を確保しているのが現状です。ここでは現状とこれからの動向を踏まえ、市民が保全管理できる里山の場所との出会い方を例示してみます。

1.公共用地型一公園、緑地、その他の公有地林
 将来に渡り公共用地として確保され、林地としての役割が決められている場所は市民による里山保全の安定したフィールドとなります。
周辺の住民によって継続的に保全管理された林地は、林間の新たなリクレーション機能を伴った新しい公園像にも結び付く可能性があります。しかし、公共用地の基本計画などとの調整が必要であり、場合によっては市民による保全管理の主体性が損なわれる危惧もあります。
尚このタイプの特殊例として「オアシスの森」のような将来公園となる予定地(民有地)を借地して保全管理する方法もあります。この方法では整備内容に制限がされますが、反面その借用期間を活用し、本整備前の市民による試験的な自由度の高い利用方法のフィールドにもなり得ます。

2.民有地自営型一個人及び企業等所有地
 例えば個人及び企業の方針に基づき、所有林を周辺の住民や社内ボランティアを巻き込んで保全管理していく方法もあります。方針の立て方によっては目的のはっきりした斬新な林地や実験的なモデル林なども可能となり、活動プログラムも個性的に展開できます。しかし、この場合にも地主及び企画者の方針と参加者の意向との調整が不可欠であり、参加者の主体性や達成感などを堅持することがキーポイントとなります。

3.民有地借地型一個人及び企業所有地
 このタイプは里山の保全管理を希望する市民及びそのグループが所有者に適当な林地を借地するという市民の主体性によってのみ成り立つ形態です。したがってやる気がなくなれば自然消滅する可能性を常に持っていますが、手作りの活動の成果が実感できることや、その実績を持って所有者と話し合えば思わぬ方向へ活動が展開していく可能性もあります。
この方法の難しさは最初の市民と里山の所有者との出会いの場面作りやその間のルールづくりにあります。そのきっかけづくりや仲介役として神奈川県の「きずなの森造成事業」(昭和62年~5ヵ年)のような行政などの支援も必要とされます。

市民による里山保全活動の土地所有分類
分類所有者活動例
公共用地型公共団体
(借地を含む) 
東京都桜ヶ丘公園雑木林ボランティア
里山自然地域保全事業尾御津地区
相生山緑地オアシスの森くらぶ
民有地自営型個人、企業等エコの森クラブ(トヨタの森)
善寺野彫刻の森
民有地借地型個人、企業等玉川きずなの森(厚木市)
里山倶楽部(大阪府)
里山自然地域保全事業美浜地区
参考
<きずなの森造成事業>
きずなの森造成事業は対象地域の市町が地主から土地を借り上げ、団体に貸与して5年間に渡り活動を援助しました。事業終了後も「玉川きずなの森」や「海老名の森」のように継続し発展しているグループもあります。

・目的
都市近郊の放置された広葉樹を主体とした森林を、地域住民の林業体験等自然を舞台とした、ふれあいや生きがいの場として有効に活用し、森林の活性化と森林や林業に対する理解の高揚を図る。

・対象森林
(1)都市周辺に存在する森林で地域森林計画対象民有林とする。
(2)1団地あたり0.3ha以上で森林体験やふれあい活動に適した森林であること。
(3)市町、参加団体と森林所有者が、その森林の整備活用について5カ年以上の利用協定が結べること。

・補助事業の内容
植え付け、枝打ち、除伐等の森林整備や、林業体験及び自然学習などのふれあい活動について補助をする。

・参加資格
緑の実践団体、ボーイスカウト等おおむね10名以上の団体。

・計画概要
(1)実施期間=昭和62年~平成3年度(5ヵ年)
(2)全体計画=10市町、29ha。
(3)補助事業者=市、町等。
(4)間接補助事業者(実施主体)=10名以上の団体。
(5)補助率=1/2  

運営組織と資金

 活動にあたっては明らかな連絡先と、簡単な規約の様なものを持つ運営組織が不可欠であります。仲間などへの連絡や企画、事業、管理などを分担できる人材や事務局を預かるキーマンの存在が最も重要になってきます。
それらに劣らず重要なのが活動資金。事業費は催事毎にまかなえたとしても、会員募集や活動報告の告知・PR費、連絡通信をはじめとする事務局費など、一定資金の有無は活動組織の活力に関わってきます。メンバーが現物供給したり、提供したりするほか・寄付や活動助成などに応募する方法もありますが、同好会的に会費を集め運営する方法が長続きさせるコツかもしれません。
里山保全活動は、その領域が広範にわたるため、必要となる用具や備品、施設なども限度がないほどであります。グループでの実態に応じた資金や組織体制の規模づくりが肝要であります。ちなみに雑木林研究会の実例を見てみたいと思います。
参考
〈雑木林研究会〉(会員約50名)
・組織
約10名の幹事会を毎月開催。事業計画を立て、運営手順などを決める。会議は専ら夜間が多いため、事務局のある会議室で開催。事務局、財務、広報を置き、会長、運営委員長を設けている。
・資金
会費=年間1万2000円。企業などの賛助会員=2万円。
書籍や報告書の販売も行う。時として公共団体より事業の委託を受ける。  
里山保全に必要となる道具類と参考単価
品名単価(円)備考
剪定のこぎり4,300 刃長約270mm
なた6,300 刃長約180mm
2,400  
剪定はさみ1,800 全長約185mm
砥石1,600 荒・仕上げ砥
軍手(ダース)2,060 滑り止め付き
竹ほうき760 約170mm
熊手1,300 スチール製
火はさみ800 ステンレス製約60cm
ロープ1,690 φ6mm200m
測量杭100 30mm×30mm×250mm
掛けや6,000  
クリノメーター10,000 簡易型傾測器
メガホン29,200 ショルダー型、白色

保険

里山での活動は、林地での活動が主になるため予期せぬ事故の発生が考えられます。そのうえ刃物類や重い工具などを扱うことから充分な安全教育と、ゆとりのあるスケジュール、さらに充分なスタッフなどが必要なほか、保険などの備えが必要になります。
 市民による里山管理は、市民それぞれの自由意志で主体的に参加する活動ですから、それに伴う怪我や事故は、あくまで自分自身で責任を負うのが原則ですが、主催者の備えとしてそうした心配を軽減するために保険への加入をお勧めします。
保険については、レクリエーション災害保証保険や、旅行傷害保険などいくつかありますが、ここでは森林ボランティア保険制度のしくみを例示してみます。
森林ボランティア保険取扱要領
第1 保険の目的

1.この保険は、森林ボランティア参加者が、安心して活動に専念できるよう、また各ボランティア団体の災害補における経済的なサポートを目的とします。

2.この保険は、森づくりフォーラムに事前に登録された森林ボランティア団体を対象とするものです。
 

第2 保険の内容

 この保険は、ボランティア活動を目的として行われる「行事」に参加中に発生した事故を補償するための保険です。

1.保険契約者
 この保険の契約者は「森づくりフォーラム」とします。

2.保険料負担者
 この保険の保険料は、それぞれのボランティア活動主催者(ボランティア団体を含む)もしくは、ボランティア活動参加者が負担します。

3.被保険者
 この保険の被保険者は、それぞれのボランティア活動主催者並びに参加者とします。

4.引受損害保険会社
 この保険の引受損害保険会社は、東京毎上火災保険株式会社とします。

5.取扱代理店
 この保険の取扱代理店は、グリーンライフセンターとします。

6.保障内容(加入タイプAタイプの例)

(1)傷害保険
 死亡保険金1,000万円、後遺傷害保険金30万円~1,000万円、入院保険金5,000円/日額、通院保険金3000円/日額、手術保険金5万円~20万円

(2)賠償責任保険
対人賠償  1名1億円(自己負担額5,000円)、1事故2億円(同)
対物賠償  1事故500万円(自己負担額5,000円)
保管物    1事故300万円(自己負担額5,000円)

7.保険料(加入タイプAタイプの例)
(1)第1種1人1日につき60円 (但し最低保険料は50人分)
(2)第2種1人につき3泊4日まで485円 (6泊7日までは620円)
 

8.申し込み、問い合わせ先
 森づくりフォーラム
  〒 181 東京都三鷹市下連雀 3-41-12-501
  Tel:0422-72-8217   FAX:0422-72-8218  

7-2 管理作業の運営

 里山管理の手順は次章で述べる通りですが、作業は一斉に、一括でやってしまうわけではありませんから、四季折々に適した、計画的な内容を考えなくてはなりません。
そのうえ、広く市民参加を得て行うために、以下の様なポイントに注意を払う必要があります。

(1) 管理作業の主旨説明を徹底する
 当日行なえる管理作業はたとえば、前回は除伐などの伐採、玉切りでのこぎりを使う作業なのに、今回は熊手で落ち葉かきなどという風に部分的で、作業内容もその前後と大きく異なります。
そのため、管理作業の全ぼうをつかみ、個々の作業の意義を理解できる説明が必要となります。
事前の募集チラシで案内するのもよいし、当日、プリントか口頭で説明します。

(2) 道具の使い方と注意を毎回くりかえす
 道具の使い方は、現物でポイントを伝えることがコッです。
安全上の基本的な動作はくり返しの注意が必要ですが、目に余るクセや危険を予知できそうな行為については、実際に作業中に誤りを指摘された方が判りやすいようです。

(3) 作業は楽しみながら、食や遊びをおろそかにしないこと
 管理作業は計画的に行うため、その日の作業の目標は当然決まっていますが、決してそれをノルマにしてはいけません。
やれることを気楽な気分で行う。作業を押しつけたり、強要するようなことがあってはいけませんし、時間にも余裕を持ちましょう。
特に食事時間や遊び・ゲームなどは工夫を盛り込み、時間も充分に取りましょう。
 

 管理作業はフィールドになる里山の様子や作業に取り組むグループによって様々に異なりますが、ここでは、都立桜ヶ丘公園の雑木林ボランティアの1年間の活動メニューを紹介します。約20名が、公園内の「こならの丘」で毎月2回の割で活動を行っています。

雑木林ボランティア活動記録(平成9年度)
日   程 内容
4月12日(土)ボランティア顔合わせ・桜ヶ丘按公園の見学・草刈りほか
4月26日(土)イベント準備/研修「雑木林とボランティア」
5月10日(土)「長沼」の雑木林見学
5月24日(土)苗床づくりほか/運営会議
6月14日(土)芋苗の値付/「こならの丘」の測量
6月28日 (土)笹紙づくりと下草刈り
7月12日 (土)図書の整理/研修「雑木林の植物調査方法」
7月26日(土)下草刈り・畑の除草/懇親会
8月 9日(土)夏休み(活動休止、活力充電)
8月23日 (土)「熊ヵ谷」見学会
9月13日(土)午前休み/畑の手入れ/夜は「光に集まる虫たち」
9月27日(土)下草刈りほか
10月11日(土)目籠細工とイベント準備
10月25日(土)目籠細工
11月 8日 (土)下草刈りほか
11月22日 (土)「どんぐり祭」の準備
12月13日 (土)「どんくり祭」の開催
12月27日(土)年末休み
1月10日(土)雑木林の仕事始め 雑木林の更新作業
1月24日(土)雑木林の更新作業・炭焼き準備
2月14日(土)「炭焼き」の実演 ドラムカン式と移動式 同時実施 草木染め
2月28日(土)炭出し等/来年度ボランティア説明会
3月14日(土)研修「雑木林の野鳥観察/シイタケのコマ打ち」
3月28日(土)シイタケのコマ打ち/反省会
番外編
平成9年5月3日~5日ガーデンシティ多麿へ参加
平成9年10月19日多摩市の環境行事(イベント)参加
平成9年10月25日~26日公園フェステバル97へ参加

7-3催事の計画

 管理作業とおなじくらい大切なのが、活動主旨を普及していくための催事(イベント)です。催事は対外的な効果を目的としますが、活動グループ内部の結束を高めたり、メンバーの意識向上が図られたり、あるいは企画・宣伝、運営などの経験が豊かになるなど、組織内での複次的な効果があります。
また、催事を管理作業と関連させていくことによって、催事の意義を高めるとともに、管理作業の軽減を図ることが可能になります。

●年間計画を立てる
 里山と人の関わりにとって四季の移ろいは重要な要素になっていますから、管理作業に合わせて、催事も年間計画のうえで、考えられる必要があります。自然観察や季節催事(春の花見や夏のホタル探し、秋の月見など)はもちろんですが、里山でられる材料を使った工作教室やコンサートなども題材や詳細な内容をつめる際には、里山の季節環境が重要になってきます。

催事の計画

●催事の計画のしかた
 催事は、特別な場合を除いて、年齢や性別の差なく、幅広い人たちを対象としたものが一般的ですから、その催しごとに、目的や事業の項目、それぞれの対象者を想定して、バランスをとりながら、内容を組み立てることが大切です。子どもたちぱかりや、主婦層向けのものなどどちらかに偏らないように考えます。
また、時間は昼を中心にする場合が多いですが、早朝や夜間の催しも考えられます。
天侯や周囲の環境、参加者の状況なとを考慮して、トラブルが起こらないように計画を練ります。
 さらに催事計画で考えなければならないのは、場所の設定です。
平で、障害物のない所はあまりないため、傾斜地や通路も含めた会場利用と人の動きの計画をしておく必要があります。

●告知、広報
 広く参加者を募集するためには、告知活動が欠かせません。
通常の会員向けの案内、広報紙、参加者募集用のチラシなどのほか、ホームページの伝言覧で告知しますが、告知媒体の選び方は、知らせたい対象や募集の規模、それに催事の内容によって行います。
必要以上に人数が集まったり、催事の内容に合わない人が参加したり、とても対応できそうもない範囲にまで呼び掛けたりしないよう効果的に行いましょう。
内容については、日時、集合場所、スケジュール、プログラムの内容、持ち物、申込先、締切、会費の有無、雨天の場合などが大切ですが、行事名や主旨、スローガンも必要で、繰り返し発信する場合はアイキャッチャーとなるイラストがあると好感を持たれます。