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安全・安心対策特別委員会審査状況(令和7年7月22日)
安全・安心対策特別委員会
委員会
日時 令和7年7月22日(火曜日)午後1時2分~
会場 第8委員会室
出席者
神戸洋美、黒田太郎 正副委員長
水野富夫、横井五六、川嶋太郎、増田成美、柳沢英希、朝倉浩一、
江原史朗、古林千恵、阿部武史 各委員
防災安全局長、県民安全監、
生活安全部長、関係各課長等
委員会審査風景
議題
- 安全なまちづくりの推進について
- ストーカー事案への対応について
会議の概要
- 開会
- 正副委員長あいさつ
- 委員自己紹介
- 委員席の決定
- 理事の指名
- 議題について理事者の説明
- 質疑
- 委員会活動について
- 委員による個別の県外調査について
- 閉会
主な質疑
【委員】
次期愛知県再犯防止推進計画の策定について伺う。
昨年、滋賀県で保護司の殺害事件があり、保護司も相談業務に対して様々な配慮が必要になってきている。事件後の対応がこの計画にも反映されると思うが、保護司の安全についてどのように取り組んでいくのか方向性を確認したい。
【理事者】
次期愛知県再犯防止推進計画に基づく具体的な施策については現在検討中であるが、県内における保護司の充足率が2025年に初めて9割を下回るなど、保護司の確保が喫緊の課題となっているとともに、刑務所出所者等の高齢化が進んでいるものの、高齢者の就労ニーズに合っていないことから、多様な業種の協力雇用主の確保を図る必要がある。特に保護司については、安全面の確保で、面会場所の選定について取組を進めている。
【委員】
二点質問する。
まず一点目だが、犯罪被害者等への支援について伺う。私も地元で若者から相談を受けたことがあるが、財産を搾取される特殊詐欺案件は、警察や弁護士に相談しても、被害額が少額である場合、たらい回しになることが多い。そういった被害額が少額な特殊詐欺への対応について、どのように考えるか。
もう一点、先ほど性暴力対応看護師の養成について説明があったが、今後何人を養成していくのか。
【理事者】
特殊詐欺被害の件数は、被害額も含めて増加しているが、昨年、県警察が被害者を対象に実施したアンケートによると、被害者の8割が自分は被害に遭わない、考えたこともないと回答しており、こういった防犯意識の低さが特殊詐欺被害の原因になっている。県としては、各種運動を通じて特殊詐欺被害の防止を呼び掛けているが、被害額が少額であっても相談してもらいながら、被害の受理を含めて県警察と協力していく。
性暴力対応看護師は、6年間で計156人を養成している。県内24か所の救命救急センターへの配置を促進しており、現在1か所当たりの配置人数は6人程度が望ましいという専門家の意見があるものの、現状は1人から3人程度の配置と、その人数に満たないことから、県全域での支援体制を構築できるよう、引き続き性暴力対応看護師の養成、配置を進めていく。
【委員】
関連で質問する。性暴力対応看護師は、希望しても講習をなかなか受けられない実態があったと記憶しているが、実際にどのような教育課程があり、養成を進めているのか。
また、性犯罪の再犯者率を教えてほしい。
【理事者】
性暴力対応看護師の養成人数は、昨年の受講者数は31人、1回の受講料は9万6,000円であり、希望者は全員受講している。
再犯者率の罪種別の数字について、全国の数字はまとめられていると思うが、愛知県の数字は出されていない。再犯者率は約5割と高いため、性犯罪も含めて受刑者の出所後の定住や仕事について県も支援しながら、また県警察と連携しながら、再犯者の出所後にも、面会や面接等を実施して再犯防止を図っている。
【委員】
再犯防止対策とストーカーについて質問する。
2025年度の再犯防止対策に係る取組の説明があったが、基本的に伴走支援していくと理解した。行政がどこまで伴走支援するのかがポイントだと思うが、全体としてどのような伴走支援のイメージを持っているのか。
点での支援にはこれまでも取り組んできたと思うが、それではなかなかうまくいかないため、寄り添った形で伴走支援していくと理解したが、行政の手が離れた途端にまた元どおりではよくない。行政が計画を立てるに当たって、どの程度まで行政が伴走支援し、その後、民間団体にどのようにつないでいくのか。
【理事者】
よりそい弁護士制度による社会復帰支援事業により、弁護士が受刑者等に寄り添いながら継続して関わることによって、刑事手続のあらゆる段階において、就労や住居の確保など、切れ目のない一貫した支援を行っており、受刑者等の円滑な社会復帰を促進している。特に就労については、刑法改正による、本年6月からの拘禁刑の導入により、個々の受刑者の特性に応じて社会復帰と再犯防止を図っていくことから、協力雇用主の幅広い業種の拡大に向けて取り組んでいる。
【理事者】
ストーカー行為者対策については、ストーカー行為者に対するカウンセリング治療の勧奨をやっている。初診のみ公費支給して、本人が引き続き受診を希望するならば、そのまま医療機関に引き継いでいく。
県警察としては、ストーカー行為者への定期的な連絡をメインとしており、本人の同意が得られれば、カウンセリング等の治療をお願いしている。
【委員】
自分のイメージした回答とは違ったが、計画を立てて事業を進めるに当たり、行政としての関わりには限界があり、線引きせざるを得ないと思う。ただ、行政が関わることで自立まで辿り着くかというと、そこまでは難しいため、行政としての出口戦略を考え、行政から離れた後に民間団体にどのような形で関わってもらうのかをイメージすると、より効果的ではないかと思い質問した。NPO法人等でいろいろな活動をしているところがあるため、そういった情報をしっかりとキャッチした上で、民間団体につないでほしい。特に就労支援は、自分でお金を稼いで生活できるようにしていく点が、再犯防止において非常に大きな部分になると思う。協力企業の話もあったが、協力企業の裾野を広げていくことや、フォローアップをしてほしい。
ストーカーに係る質問をするが、ストーカーは大きく二つに分かれると思う。一つは、被害者が明らかに犯罪だと思っているパターンで、被害者側には全く好意がないが、加害者側はひたすら好意があるパターンである。これはわかりやすく、被害者から見れば明らかに犯罪なので、粛々と対応すればよいと思う。問題は、恋愛感情のもつれで離れたりくっついたりするパターンで、この事案は結構あると思う。過去に自分が関わった中にも、親と一緒に警察署に相談に行った際に、実は同じ時間にそのカップルが別の部屋に来ていて、親が相談に来るかもしれないが、それは勘違いだから取り合わないでほしいという事案があった。しかもその後、結局痴情のもつれの中で、自宅まで押しかけて母親を刺し、傷害事件になった。
すぐに警察が来て、殺人事件に至ることなく、なんとか収まったが、そのときに、恋愛感情のもつれでくっついたり離れたりしているうちに事件の芽が生まれ、本当にその段階で犯罪になるのかを把握するのは難しい反面、こういった事案が大きな事件につながっていくのではないかと感じた。非常に対応が難しいと思うものの、間違いなら間違いでよいので、そういった痴情のもつれのような事案に積極的に取り組んでほしいが、県警察としてどのような考えを持っているのか。
【理事者】
恋愛感情のもつれの事案は複数あるが、当事者の意見を聴きながら早期に相手と接触して話を聞き、犯罪につながるのかを判断しつつ、親や会社といった監護者の協力も得ながら対処し、犯罪を未然に防止するための活動をしているため、事件化すべきものは早期に事件化し、相談しながら被害者を保護していく。
【委員】
しっかり取り組んでほしい。私が関わった事案は、親と同居していたパターンだったため、状況をよく見た親が相談してきたが、一人暮らしの人も多い中で、なかなか周りの目が届かないこともあると思うので、事件の小さな芽を見つけたときには、積極的に対応してほしい。
【委員】
配付資料に、ストーカー行為の定義として、同一の者に対し、つきまとい等または位置情報無承諾取得等を反復して行うことと記載があるが、反復して行わなければ犯罪にはならないのか。
また、車にGPS機器を付けることが増えているが、ストーカー事案の抑止について自動車メーカーに周知しているのか。
【理事者】
ストーカー規制法では、つきまとい等を複数行っているものをストーカー行為と定義づけており、その行為が一つでも犯罪につながれば、事件化して検挙している。また、つきまとい等を一つでも行っていれば、口頭指導や書面による警告等の行政指導をしており、例えば家の付近を徘徊するような場合は、状況を見てつきまとい等とみなし、書面による警告をしている。
GPS機器については、エアタグ等の紛失防止タグは、GPS機器等には該当しないため、その他押しかけ等の話を聞きながら、ストーカー事案に当たるものは事件化している。
【委員】
例えば、自動車メーカーが間違いなくGPS機器が付いていると思ったときに、報告せずに終わってしまっていいのか、それともGPS機器が付いていたことを報告し、ストーカー事案を抑止すべきかということである。今後、自動車メーカーに対して、こういった機器が付いていたら取り締まるべきだと周知してもらいたい旨を要望する。
【委員】
ストーカーについて二点聞きたい。
一点目は、各署でストーカー事案の相談を受けたとき、全て警察本部に相談が回り、初動指揮チームが対応するのか。どの部分まで初動指揮チームが対応して、どのタイミングで各署に対応の主体が戻るのか。
二点目は、私の知人が、被害者保護対策用カメラの貸出しを受けているが、このカメラは県内で2台しかないのか。年1,400件の相談のうちにも、被害者保護対策用カメラが必要な事案はあることから、こういった機器設備は今後充実していくと思うが、予算の都合なのか、今は2台で十分回っているのか。
【理事者】
一点目の初動指揮チームの対応についてであるが、刑事部と生活安全部で構成され、警察署で相談を受けた内容について報告を受け、そこで助言指導している。それを受けて警察署では、署長以下生活安全課、刑事課員が動いて事件処理や警告をしている。ただし、体制が厳しい場合については、必要に応じて警察本部からも警察署へ支援という形で現場へ行き、同じように事件処理や警告をしている。
二点目の被害者保護対策用カメラについては、県警察全体では同じようなカメラが複数あるが、あくまでも生活安全部の人身安全対策課として、運用しているカメラが2台であり、1台の取り付け期間として1か月ないし2か月かかるため、他のカメラ等を使いながら運用している。