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カーボンニュートラル調査特別委員会審査状況(令和7年7月22日)
カーボンニュートラル調査特別委員会
委員会
日時 令和7年7月22日(火曜日)午後0時58分~
会場 第7委員会室
出席者
日比たけまさ、林 文夫 正副委員長
近藤裕人、寺西むつみ、神戸健太郎、ますだ裕二、日高 章、高木ひろし、
細井真司、岡 明彦、井上しんや、喚田孝博、永田敦史 各委員
経済産業局長、同技監、水素社会・モビリティ推進監、関係各課長等
委員会審査風景
議題
県が実施する水素関連施策について
会議の概要
- 開会
- 正副委員長あいさつ
- 委員自己紹介
- 委員席の決定
- 理事の指名
- 議題について理事者の説明
- 質疑
- 委員会活動について
- 委員による個別の県外調査について
- 閉会
主な質疑
【委員】
現状実装されつつある水素は、グリーン水素かブルー水素かといえばブルー水素であり、それも海外から調達され、輸送段階で随分揮発してしまうため、グリーン水素の比率を上げていかなければならないと思う。説明の中で、化石燃料との比較で水素の供給の実態を示しているグラフがあったと思うが、市場に流通している水素はブルー水素が多いという認識でよいか。
【理事者】
この表は、水素1キログラム1,652円と書かれており、国の資料を流用しているものであるが、現在水素ステーションを見ると1,750円から2,000円程度で売られている。量的には分からないが、グレー水素が多いと思われる。
【委員】
愛知県の地図上にブルー水素とグリーン水素といろいろちりばめられてプロットしてある実態の中で、グリーン水素の色合いのものが五、六点あると思う。これは低炭素水素との表現をしており、いわゆるグリーン水素かと思うが、それについて伺う。
今の実勢価格の水素と比較してグリーン水素の単価はどのくらいか。また、単位キログラム当たりの価格はどれほど違うのか。加えて、低炭素水素と言われるものはどのような製造工程なのか。再生可能エネルギーで水の電気分解でつくられるものとの認識でよいか。
【理事者】
水素価格の違いについては、グリーン水素がどのくらいの値段でできるか、正確な数字は答えられないが、相当高いと認識している。また、低炭素水素については、製造や輸送、利用に伴う二酸化炭素の排出が少なく、具体的には再生可能エネルギーやバイオガスなどで製造された水素や、再生可能エネルギー電気による食塩水の電気分解、苛性ソーダや塩素を製造する過程で副次的に生産される水素を低炭素水素として認定している。
【委員】
まだ試験運用段階に当たるとのことだと思うが、これをどんどん社会実装から実際に産業界として受け入れられるものにしていくためには、水素は移動すれば移動するほど抜けていってしまうため、集中的にそこで使っていくために産業地域や港でつくるのは非常に理にかなった発想だと思う。そのような観点で、カーボンニュートラルポートとも言われて随分時間がたっているが、名古屋港を中心としたカーボンニュートラルポートの構想から、それを具体化、具現化していく取組はどのぐらい進んでいるのか。
【理事者】
カーボンニュートラルポートについて、名古屋港の港湾水素活用促進についての取組を行っている。先ほど説明したとおり、今年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業に採択され、調査することになっている。水素を充填するための供給インフラの設計や検証などの調査を行う予定であり、来年度以降は、実際の機器の設計など、難しい部分もあるが、一つ一つ進めていきたい。
【委員】
現状は大体分かったので要望する。全県レベルで産業界と連携しながら、国の力も得て動かしていくことも大変重要であり、各自治体のやる気をどんどん盛り上げていくことも重要だと思うが、県として集中的にパイロットスケールで一つの循環を動かしていく必要があると思う。原料からエネルギーとなる電力を貯留しておく、さらにはすぐに使用できるような供給をしやすくすることも重要なため、それが集中的に備えられるのがポートだと思う。例えばここで出てくるフォークリフト一つとっても1,800万円で、補助があっても普通の民間レベルで購入できるものではまだまだないと思う。これを試験的に、例えば港で使っていくことになれば利用価値もあるだろうが、1企業がフォークリフトを1台導入して、それを動かすために水素をどう運んでくるのか、どう貯留しておくのかということも大変難しいと思う。そういった水素をエネルギーとするものをラインナップして、パイロットスケールで集中的に実装社会をつくっていくことを近い将来実現してもらいたい。
【委員】
カーボンニュートラルの取組の目的について伺う。先ほどの質問にもあったように、県全体を通して、事業者も含めて、目的をしっかり理解した上で全体で取り組まなければかなりハードルが高いと思う。そうなると、この取組をなぜやるのかという目的意識がはっきりしていないと、そこに向かっていけないと思う。愛知県としてカーボンニュートラル、つまり温室効果ガスの排出量を減らすことの目的について今一度伺う。
【理事者】
水素に取り組む目的について、幾つかある。
一つ目は、水素は脱炭素化に貢献できるエネルギーであり、再生可能エネルギーを使って水を分解することで製造すればCO2を排出しないことから、産業、輸送、発電といった分野の脱炭素化ができる。
二つ目は、エネルギー安全保障の観点である。水素は多様な資源からでき、もちろん水からもできる。それから国内で生産することも可能であるため、これにより将来的には海外からの化石燃料の依存度を減らすことや、エネルギーの安定供給につながる。
三つ目は、愛知県は日本一のモノづくり県、産業県であるため、産業競争力の強化にも資するものだと思っている。日本は水素や燃料電池技術において高いレベルにあると思っており、愛知県には水素をつくる、運ぶ、ためる、使う企業の集積もあるので、そういったもので産業競争力の強化、国際競争力の強化が図れると考える。
【委員】
目的と手段が混同すると難しいと思っており、温室効果ガスの排出を減らすことの目的の一つ目が脱炭素に貢献できるだと、脱炭素することが目的となってしまいかねない。本当の目的は温室効果ガスを減らして気候変動への影響や温暖化を解消することであるが、そうであれば、愛知県のCO2の排出量を6,630万トン、もしくは全国であれば10億3,700万トンをゼロにすることにより、どれだけ温室効果ガスを減らして気温の上昇を防ぐことができるのかとのロジックが成り立っていると、県民としても理解できると思うが、そういった数字的なデータはあるか。
【理事者】
今は資料が手元にないので、調べて後ほど回答する。
【委員】
目的が明確でないものに対して補助金をたくさん出しているが、水素の実装のためにも補助金を出し、水素ステーションの設立にも補助金を出し、車を購入してもらうためにも補助金を出す形になると、そこに対して目的がしっかりしているのであれば理にかなうと思うが、そのロジックがしっかりしていないままこの事業が進んでいくのは、不安に思われても仕方がない。
もう一点、伺う。製造コストに関する記述があまりない。昨年、欧州への海外調査で水素の調査があったと思うが、その際、製造コストが販売コストの倍かかっているとの調査結果があったが、このまま進んで本当に大丈夫なのか。持続可能的に水素の製造ができるよう、製造コストへの支援について愛知県としてはどのように取り組んでいるか。
【理事者】
国が、水素社会推進法により水素の価格を下げていこうとしている。先ほど少し説明したが、例えば軽油との価格差支援や拠点整備支援を国が進めることとしており、今年度中にはその案件を採択して、2030年に事業化された後、15年間続く予定である。資料の3ページ目にあるとおり、コストが2030年には1ノルマルリューベ当たり30円になり、2050年には1ノルマルリューベ当たり20円になるという目標を国が掲げている。そのような形で資金を投じて価格差を抑え込みながら、流通需要量を増やしてコストを下げていくのが国の施策である。県としては、この国の流れを受けて地域の企業と一緒になって進めていこうと動いている。
【委員】
3ページの記載にあるとおり、そこまで価格支援を補助金や助成金で出していくことを理解した。この2030年に1ノルマルリューベ当たり30円、2050年までに1ノルマルリューベ当たり20円になっていくとの国の資料があれば、後ほどでよいので教えてほしい。どのようなロジックで目指していくかが分かれば県民にとっても納得できると思う。
【委員】
カーボンニュートラルを達成する中で、CO2の削減と同時に、説明にもあったとおり、競争力の強化など、要は経済発展にもつなげていくことの両立に向けた取組が必要だと思う。
先ほど説明があったが、愛知県でいうと産業界のCO2を下げていかなければいけない。愛知県はあいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)があり、業務部門や産業部門はこのくらい下げるとの目標がある。また、2030年に温室効果ガス排出量を46パーセント削減し、2050年にカーボンニュートラルを達成するとの目標もある。その中で、愛知県のCO2を削減する計画と、この水素関連施策との整合性について伺う。
【理事者】
あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)については、六つの重点施策を定めており、その六つの重点施策のうちの一つに水素社会の構築が挙げられている。このような六つの重点施策を柱として、徹底した省エネルギーと創エネルギーの導入拡大を加速する。また、愛知初の脱炭素イノベーションプロジェクトを推進すること等による目標の実現、つまり2030年でのマイナス46パーセントを目指していく。
また、部門別に見ると46パーセント削減との中で、産業部門については34.6パーセントを削減することになっている。このような取組の一つとして水素の活用も挙げられてくるものだと理解している。
【委員】
こうした取組は経済成長も含めているため、私はどんどん進めればよいと思っている。一方でこうした取組はどうしても大きな目標と事業が我々の中でなかなかリンクしない。これをどれだけやればどれだけ下がるのかが分からないため、2030年に46パーセント削減は本当に達成されるのかと思った。そのために何が要るのか、この事業をやるとこれぐらい下がるというものがもう少し体系的に分かれば我々も納得できるが、そのようなものが分かれば知りたいと思い、質問した。事業としてはとてもよいことなので、アクセル全開で進めてもらい、結果的にどれだけ下がるか分からないが、取り組んでもらえたらと思う。ただ、我々としてはカーボンニュートラルに向けて進む中で、本当にこの取組をやったら達成するのか、やっても達成しないのかがいつもふわふわした状態でいるため、そのようなことがもう少し見えるように、定量化してもらえるように要望する。
【委員】
委員の質問に対して、カーボンニュートラルの目的について、脱炭素、CO2排出量を減らすこと、エネルギー安全保障、モノづくりの産業強化の三つと答弁した。もちろんそうだと思うが、一つ目の脱炭素については、CO2を排出しないことが前提となるとすれば、水素というのが非常に難しい気がする。また、エネルギー安全保障という意味では、水素はもちろん国内でもつくれるが、日本国内で消費する分を全部賄えるだけの技術も確立していないと思う。三つ目のモノづくり産業強化については、先ほどつくる、ためる、運ぶと話していた。ためると運ぶはできると思うが、水素社会を目指そうとしたときに、国として水素をどこから引っ張ってくるのかとの議論があまりにもなさ過ぎるのではないか。例えば、先ほど委員からグリーン水素との言葉があったが、太陽光発電でつくったものを水素に置き換えて、それを供給しようということが、最初はやれそうだと考えていたが、現実問題、福島県でそういった実証を始めたが横に広がっていかない。そのため太陽光発電としてそれをやっても、何年後には燃料ももっと下がってくることを、一般的にはそのような考え方はできるが、なかなかそうはいかないのが大きな課題ではないか。今、県が2030年までに商用車を7,000台という、当時大村秀章知事の発表では野心的なとの言葉を使っていたのを覚えているが、7,000台を造ってこのようなことをやっていくとの意気込みはとてもよく分かる。先ほどあったように、15年間国で補助金を出すとすれば、県の金はあまり使わずに済むのかもしれない。だが、議論としては国税を使うので一緒のことだろう。愛知県内で水素をできるだけ回していくとの構想であれば、つくることを考える必要がある。経済産業局としては、当然のことながら水素をどうつくっていくかである。サプライチェーンをつくっていくとの表現があったと思うが、それはあくまでも集まってもらった団体がいろいろな話をしてこの方がよいという程度のように感じる。もっと徹底的に水素をどうつくるのか。先ほど言ったように、グリーンエネルギーとして水素をつくらなければ、これはもう本物ではないため、それをつくることが大前提でやるということから始まっていかなければ、いつまでたっても補助金を当てにすることになる。もちろん途中の過程は環境局でいえば、産業のほうでどんどん減っていく部分が見えていくため、それはそれでよいと思う。しかし、根本的にはつくることをしっかり考えて、ましてや経済産業局はつくることが商売になる。ビジネスとして成り立って、産業として成り立って、そこから税収も生まれてくる。行政はあまりもうけることを考えないが、それでも税金で跳ね返ってくることが行政職員の仕事という言い方をすれば、そのことをこれからしっかりと確立すべきだと思う。水素関連施策を話すに当たってはそこのところをしっかりと議論していかなければ、国もまだ見えていないことを愛知県もやろうという気持ちは分かるが、とても難しい問題だと思う。だからこそ、そこはわきまえて取り組んでいると思うが、愛知県としてせっかくやるなら、少なくとも愛知県の中で完結できるモデルケースをつくってもらいたいため、ぜひ水素がグリーンエネルギーとして胸を張っていけるようなことをやってもらいたい。そこへは民間の力を借りなければ絶対できない。トヨタ自動車株式会社はじめ47社の企業がいるとのことであるため、通り一遍の話をするのではなく、革新的なことをつくり出そうと深掘りしながら進めてもらいたい。
もう一つ、CO2の削減について、私は以前から個人宅で太陽光発電をやっていけばよいのではないかとの議論をさせてもらった。愛知県は日本一個人宅の太陽光発電を設置しており、それは誇れる部分だと思う。ところが、産業でいうと太陽光発電は周波数等で企業が使う電源としては向かない。太陽光についてはそのような議論のため、より水素燃料について確立していけると、産業のほうをカーボンニュートラルで進められれば、CO2の比率は低められる。水素エネルギーを愛知県でつくる技術を確立するために民間にももっと発想をしてもらうことが必要ではないかと思う。何か考えがあれば伺う。
【理事者】
委員が話した水素をつくることについて、まず一つは産業セクターで水素を使うためにどのように調達するかである。その産業セクターで一番大きいのが、水素ではなくアンモニアだが、株式会社JERAである。碧南火力発電所ではアンモニアを海外から持ってきている。名古屋港の知多火力発電所では液化天然ガス(LNG)火力であり、それは割と水素と相性が合うため、株式会社JERAは水素をどう調達するかを考えている。彼らはアンモニアを海外からたくさん持ってきて、この地域でアンモニアから化学的に水素を取り出し、名古屋港などで使っていくという、20万トン程度のボリュームのかなり大きい水素をつくろうとしている。それ以外の企業だと、大体年間数千トンの水素を一つの工場で使いたいとの話がある。これは、電気でやれるものはもちろん電気で電化していき、そうではない高温で燃やす、乾燥させるところでは、電気では難しいためガスを水素に置き換えていこうという企業が多い。そういったところに水素を供給する一つの方法が水電気分解であるが、水電気分解は電力がかなりかかり、コストもかかってしまう。そのコストをどうしていくか、別の製造方法の検討も含めて、いろいろな企業と話をしている。
【委員】
先ほどのカーボンニュートラルの目的について、二つ目のエネルギー安全保障という意味でいくと、もうアンモニアも輸入してくることが明確になっている。結局のところ、国としてどう考えるかが大きい課題だが、現状はどこかから引っ張ってこなければ駄目だということだけは事実だと思う。その中で、答弁があったように、この地域で完結できるようなつくり方も考えたいことは基本の考え方として持っていてほしい。あるいは、できなさそうであれば早い段階でそういったことを手当てし、国にも要請しながら、違うモデルパターンをつくることで考えてもらえるとありがたい。
また、先ほどのつくる部分の話で、当時水素を何とかしようといったときは、もともとは輸入し、オーストラリアの褐炭を使ってやっていくとのことだったと思う。そのため、運ぶ船さえ完備できれば愛知県へそれを持ってきて、そういったことが前提であれば、先ほどの目的の中から、このエネルギー安全保障は外してもらわなければならない。国民、県民にしっかり説明をしなければならないのであれば、それは矛盾が生じるのは見えているため、そういったことも含めながら取り組んでもらいたい。ただ、いずれにしてもとても大きな目標に向かって突き進もうとしていることに対しては高く評価したいし、できる限り私も支援、応援したいと思っている。
最後にもう一つ、先ほど個人と企業との話をしたが、商用車で7,000台そこそこになると思う。もともとは個人消費が増えればもっとよくなると思うが、トヨタ自動車株式会社のMIRAIという車について、価格も若干下がったのではないかと思っているが、それ以降何か新しい動きはあるのか。
【理事者】
MIRAIの後にトヨタ自動車株式会社はクラウンの燃料電池自動車(FCV)を出し、愛知県にも公用車として1台率先導入し、今使われている。また、ホンダでは少し変わったプラグインハイブリッド自動車(PHV)のFCVも出ているという情報はある。その他、トラックのFCVはどんどん進んでいくと思っている。
【委員】
水素の前に電気自動車(EV)についてステーションがないからといって、そういった話をしたことがあるが、結局走るようになれば電気を供給するステーションも要るとのことで増えてきたのと一緒で、水素もそういったことになるとよいと思うが、大きな意味で全体の流れで障壁があると思う。水素のFCV、要するに燃料電池車としてのFCVではなく、内燃機関で使えるような水素の活用法も進んでいると思うため、そういったことも将来的には可能性がある。いずれにしても大いに期待しているため、両局でこのプロジェクトに突き進んでほしい。
【委員】
私が関心を持っているのは今も少し話に出たアンモニアである。これは既に化学肥料として相当な量が日本国内でも生産されている。そのため、全く無からつくり出すものではなく、このアンモニアを水素社会に向けての過程でどのように位置づけていくかは一つのポイントだと思う。先ほどの話にもあったように発電所において石炭火力やLNGの火力発電所にアンモニアを混ぜることによって、あるいはアンモニアで発電するとの話は中部電力株式会社が一生懸命取り組んでいることは聞いているが、それ以外のアンモニアをどう水素社会への移行の中で位置づけていくかとの話が十分ではなかった気がする。一つはアンモニアをアンモニアとして燃やすこととは別に、アンモニア・水素を運搬する。NH3だから水素がくっついた化合物であり、ここから水素を取り出すという、貯蔵や運搬の過程を水素として運ぶのではなくて、アンモニアとして運ぶ過程で、さらにアンモニアに重点を置いたサプライチェーンの構築があり得ると思う。また、燃焼においても今のところは水素で発電し、動く車がいろいろと推進されているが、アンモニアのままを燃料、動力とすることができないのかどうか。アンモニアの位置づけについてもう少し補足説明してほしい。
【理事者】
アンモニアの位置づけについての補足であるが、まずアンモニアの利用は先ほどあったように、そのまま燃やすことが一つある。国内では株式会社JERAの碧南火力発電所で2024年にアンモニア混焼の実証実験を行い、20パーセントの混焼実証を成功したと聞いている。これを将来的には50パーセント、それから完全に専焼していくと聞いており、委員の指摘のとおりそのまま燃やすとの方法はあると思う。また、ほかのものであるが、昨年度整備した水素工業炉について、これは燃料を水素で燃やすとのことで、化石燃料から燃料転換でやっているものであるが、将来的な検討の方法として、こちらで使う水素をアンモニア改質によって、例えば水素を取り出し、活用できないかという調査をしていきたい。ただ、調べている過程だと、アンモニアの貯蔵については、アンモニアは毒物であり、非常に危険なものであるため、例えばそれを置く場所があるか、安全措置が取れるか、また、水素工業炉については常滑窯業試験場にあるが、そういった場所の大きさ、安全性の確保、取扱いができる職員の資格など、いろいろなことが必要になるため、調査しながら、例えば水素工業炉でのアンモニア改質をして水素を活用するなども考えていきたい。
【理事者】
ほかの例を補足すると、アンモニア燃料船が最近メディアでも取り上げられている。これは少し前だが、カーボンニュートラルのためにLNGを燃料とした船がさらに進んでアンモニアを燃料としてアンモニアを運ぶような船も構想として挙げられているとの動きもある。
企業でも工場では自家発電はもちろん、株式会社JERAと同じような取組であるが、石炭火力にアンモニアを混ぜて混焼していく動きも幾つかの企業で構想がある。
また、車の燃料として使うのは技術的に可能かもしれないが、劇物指定などもあり、すぐには難しいかもしれない。