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福祉医療委員会審査状況(令和6年12月10日)

ページID:0601105 掲載日:2025年9月16日更新 印刷ページ表示

福祉医療委員会

委員会

日時 令和6年12月10日(火曜日) 午後1時~
会場 第1委員会室
出席者
 松本まもる、宮島謙治 正副委員長
 神野博史、鈴木喜博、山本浩史、中根義高、南部文宏、成田 修、
 長江正成、藤原 聖、阿部洋祐、加藤貴志 各委員
 福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
 保健医療局長、同技監、健康医務部長、生活衛生部長兼生活衛生課長、
 病院事業庁長、病院事業次長、関係各課長等

福祉医療委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

第183号  令和6年度愛知県一般会計補正予算(第6号)
 第1条(歳入歳出予算の補正)の内
 歳出
 第4款 福祉医療費
第188号  愛知県国民健康保険運営協議会の委員の定数を定める条例の一部改正について
第222号  損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(相談支援体制整備事業(地域アドバイザー事業)))
第223号  損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(障害者社会参加促進事業))
第224号  損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(障害児等療育支援事業))
第230号  あいち健康の森健康科学総合センター(診療所及び関連区域)の指定管理者の指定について
第231号  あいち健康の森健康科学総合センター(診療所及び関連区域以外の区域)の指定管理者の指定について
第232号  あいち健康の森薬草園の指定管理者の指定について

結果

全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
 第183号、第188号、第222号から第224号まで及び第230号から第232号まで

請願

第 40 号  「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への合理的配慮を求める」について(医療関係)
第 43 号  「愛知県内における死亡者数激増の原因追及とワクチンとの関係調査を求める」について
第 44 号  「コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査を求める」について
第 45 号  「予防接種健康被害救済制度と副反応疑い報告制度との突合調査、案内を求める」について
第 46 号  「各市町村、愛知県内の病院に正しく新型コロナワクチン副反応疑い報告が行われるよう周知依頼を求める」について
第 47 号  「新型コロナワクチン特定ロット『3005785』接種後、死亡事例や、健康被害の愛知県内の調査と被害の周知を求める」について
第 48 号  「レプリコンワクチンについての危険性周知を求める」について
第 49 号  「孤独死不審死の場合の死亡日を決定する際コロナワクチン接種歴との関係調査を求める」について
第 50 号  「調査せよ。豊川でコロナワクチン接種翌日に13歳男児が自殺。接種後の自殺は各地で起きている。接種後精神に及ぼす影響、被害調査を求める」について
第 51 号  「予防接種健康被害救済制度の周知を求める」について
第 52 号  「『新型コロナワクチン接種後の国の健康被害救済申請及び県の副反応等見舞金の申請状況について』のマスコミ向け文書の県民への公表を求める」について
第 53 号  「新型コロナワクチン接種記録の保存期間延長を求める」について
第 54 号  「コロナワクチン接種に注意が必要な人に関する周知を求める」について
第 55 号  「コロナワクチン接種後家族を亡くした遺族に必要な情報が伝わるよう処遇改善を求める」について
第 56 号  「コロナワクチン接種後、健康被害を受けた被害者の副反応疑い報告が国に反映されるようまた県民に被害が周知されるよう改善を求める」について
第 57 号  「コロナワクチン後遺症や接種後死亡した事例について県として実態調査を行うことを求める」について
第 58 号  「副反応疑い報告が国に報告された事を被害者、遺族に県や市町村から通知する事を求める」について
第 59 号  「予防接種健康被害救済制度申請時、必要な医師の受診証明、カルテの写しを被害者が苦労する事なく取得できるよう病院や医師に通知を出す事を求める」について
第 68 号  「保育・学童保育施策の拡充と76年ぶりに改善された保育士配置基準の完全実施と世界水準を目指して、さらなる改善を求める」について

結果

賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
 第40号、第43号から第59号まで及び第68号

閉会中継続調査申出案件
  1. 社会福祉及び社会保障制度の充実について
  2. 少子化対策及び超高齢社会への対応について
  3. 保健衛生の推進について
  4. 保健所及び県立病院の運営について
  5. 福祉局、保健医療局及び病院事業庁の行政運営について

会議の概要

  1. 開会
  2. 委員席の一部変更
  3. 口頭陳述(5件 請願第44号、請願第50号、請願第56号、請願第59号及び請願第68号関係)
  4. 議案審査(8件)
    (1)理事者の説明
    (2)質疑
    (3)採決
  5. 請願審査(19件)
  6. 委員長報告の決定
  7. 一般質問
  8. 閉会中継続調査申出案件の決定
  9. 閉会
主な質疑
議案関係

 なし

請願関係

 なし

一般質問

【委員】
 大きく二点、子供の貧困対策について質問する。
 一つ目が離婚後の養育費の確保に向けた支援について、厚生労働省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査によると、母子家庭では約6割の子供が養育費を受け取ることができていない状況である。ひとり親世帯、特に母子世帯における貧困率は高いといわれているが、離婚後の生活を下支えする養育費の確保が十分にされていないことも大きな原因となっている。
 認定NPO法人キッズドアが2022年に行った調査によると、養育費を受け取ることができていない当事者からは公的機関からの一時立替払や督促代行、専門家による相談窓口の設置、養育費の取決めへの公的支援の導入、養育費は子供の権利であり、不払は許されないという風潮づくりなどを求める声が多かったそうである。
 愛知県としては、養育費の専門知識を有する弁護士や司法書士等による相談事業などを通して養育費の確保支援を行ってきたと承知しているが、相談事業の相談内容、また実績件数、さらには相談者から寄せられた声について伺う。
【理事者】
 本県では養育費確保支援として、養育費に見識を持つ専門相談員による電話相談や司法書士による書類作成支援などの一般相談事業と、弁護士による専門的な特別相談事業を社会福祉法人愛知県母子寡婦福祉連合会へ委託して実施している。この相談事業は、県と名古屋市、四つの中核市がそれぞれ応分の費用を負担する共同事業として県全域を対象に実施しており、2023年度では養育費の取決め方法や取決め後の約束が守られない場合の支払い履行に関することについて、一般相談として744件、特別相談では80件の相談対応を行った。
 相談の際は、養育費確保の基本的な仕組みに関する説明や書類作成に係る伴走支援、個別ケースを踏まえた弁護士によるきめ細かいアドバイス等を行っており、相談後、適切な取決めを行うことができた、滞っていた養育費の支払いが再開されたといった声も聞いており、相談事業が養育費確保に悩む人にとって一つの支えとなっている。
【委員】
 養育費の支払いについては、離婚時に夫婦で取決めがなくても一定額の支払いを義務付ける法定養育費の制度を国が2026年5月までに制度化するとして検討を進めている。他方、東京都、神奈川県、大阪府などではひとり親を対象に養育費の取決めである公正証書等の作成にかかった費用や、家庭裁判所への調停、または裁判にかかる費用、さらには養育費の立替えや支払い義務者に養育費の請求業務を行う保証会社との契約にかかった経費を助成する制度も創設されている。
 離婚後の子供の養育費確保に向けて、このような制度が果たす意義についての見解とともに、愛知県として、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
 公正証書等作成等の補助や、養育費支払いの滞納が生じた場合に備えて保証会社と締結する養育費保証契約にかかる経費への補助等の直接的な費用支援については、経済的に困窮する当事者にとって適切な養育費確保の一助となる取組であると考えている。
 国においては、2024年5月に成立した民法等改正法で、養育費の履行確保に向けた取組として法定養育費の請求権が新設されるとともに、養育費債権へ先取特権の付与等が行われ、法定養育費についてはその金額等詳細について2026年までの導入に向けた議論が行われている。
 県としては、引き続き当事者に寄り添った相談体制の充実に努めるとともに、こうした国の動向を踏まえながら市町村との役割分担も考慮しつつ、今後の養育費確保支援の在り方について幅広く検討を進めていく。
【委員】
 今、説明のあった愛知県の相談事業は、もちろん評価している。他方で、実際に養育費の不払を解決するには、県の相談窓口で専門家のアドバイスを基に、裁判による調停や、当人に成り代わって養育費の請求業務を行う保証会社との契約等を進めていくことになると思うが、これには当然、お金が掛かる。例えば、大阪府の助成制度では調停申し立てや裁判にかかる費用については7万6,000円を上限として補助、また保証会社との契約にかかる費用については5万円を上限に補助している。これらの費用を、日々の生活に困窮しているひとり親世帯に捻出してもらうことは大変難しい。
 こうした事情から、相談窓口で専門家から具体的なアドバイスをもらっても、実際に養育費の支払いを相手方に請求する具体的な手続には移行できず、結果として、いまだに6割の母子世帯で養育費を受け取ることができない。
 こうした事情を踏まえて二点、要望する。
 一点目は、他府県で今実際に実施されている調停手続や保証会社との契約にかかる費用補助制度を、ぜひ愛知県でも創設に向けて検討してほしい。
 また、先ほど県の委託事業について昨年度は824件の相談があり、様々な貴重な声が寄せられているとの説明があったが、こうした相談事業で蓄積された当事者の声は、今後の相談者にも参考になる部分が大変多い。
 二点目は、相談の共通事項になる部分をQ&Aとしてハンドブック等にまとめ、相談時や離婚届の配布時に各所で配布してほしい。このハンドブックは、養育費をもらうために実際どうすればよいのかと悩んでいるひとり親の世帯の助けにもなる。さらには、本県が取り組む相談事業のより高い実績と成果にもつながる。
 二つ目に、子ども食堂への物価高騰対策支援について伺う。
 長引く物価高騰の影響によって、子ども食堂等に寄附される食料品の数が、今、大変減少している。北名古屋市にある県内の子ども食堂へ企業等から寄附された食料品を無料配布しているNPO法人フードバンク愛知においても、倉庫に保管されている食料品の量が例年に比べて大きく減っていると聞いている。同じく、豊田市にある西三河を中心とした近隣地域の子ども食堂等へ食料品を配布する拠点であるあいち子ども食堂応援ステーションにおいても食料品の確保が大変難しくなっている。
 ここで、フードバンクやステーションにおける子ども食堂への食料品等の供給不足に対する現状認識と、具体的な支援内容について伺う。
【理事者】
 食料品価格の物価高騰に加え、企業が余剰在庫を削減する取組を進めていることなどにより、子ども食堂に食料品の寄附は集まりにくくなっているという声も聞かれるが、子ども食堂の安定的な運営のためには活動に使用する食材を安定して確保することが大変重要である。
 県では子ども食堂が食材を確保しやすくなるよう、企業等から提供を受けた食材を一時的に保管し、近隣の子ども食堂に受け渡す地域拠点をあいち子ども食堂応援ステーションとして認定する制度を2022年4月から設けている。現在はフードバンクやNPO法人、社会福祉協議会などの36か所が認定を受けており、この認定により団体の信頼性を高め、寄附を集めやすくする効果が期待される。
 また、物価高騰の影響を踏まえ、あいち子ども食堂応援ステーションに対して、子ども食堂へ食材を提供する取組を恒常的に行っているなどの一定の条件の下、上限100万円の範囲内において活動経費を助成している。この補助金は子ども食堂へ配布する食材の購入費用等にも活用することができ、寄附の減少に伴う子ども食堂への物資支援に役立ててもらっている。
【委員】
 本県は昨年度、愛知県子ども食堂食材費高騰対策支援金を交付して子ども食堂の活動を支援してきたが、昨年度の交付実績について伺う。
【理事者】
 本県では、物価高騰の影響を受けながらも子供たちに居場所や食事を提供している子ども食堂に対して、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して食材費の高騰に対する支援を行った。交付対象は2か月に1回以上開催している子ども食堂であり、その中で週1回以上開催と週1回未満開催の二つの区分を設け、消費者物価指数の上昇率を踏まえて支援額を設定している。
 2023年度は上半期と下半期の2回に分けて交付しており、上半期分については、週1回以上開催は8万円、週1回未満開催は4万円とし、計285か所の子ども食堂へ、下半期分については、週1回以上開催は13万円、週1回未満開催は7万円とし、計335か所の子ども食堂へ支援金を交付した。
【委員】
 最後に二点要望する。
 一点目として、去る11月22日に閣議決定された経済対策に基づき、国においては、まさに補正予算の審議が行われている最中である。経済対策の中には、先ほど説明のあった地方創生臨時交付金を活用した各所への物価高騰対策も含まれている。補正予算成立の暁には、本予算を昨年度同様、子ども食堂の物価高騰対策にも活用してほしい。
 二点目として、このような国の補正予算を活用した物価高騰対策は、あくまでも単発的な措置にとどまると理解している。私も豊田市内の複数の子ども食堂に定期的に参加しているが、特に開設間もない子ども食堂においては、地域からの寄附の体制はまだ十分に確立されておらず、また、昨今の物価高騰の影響もあって運営に苦慮しているところが多い。
 愛知県では、新たに子ども食堂を開設する人に対して、会場となる住宅等の改修費用や冷蔵庫や調理用器具の開設にかかる経費を、1か所当たり10万円以内で補助する子どもが輝く未来基金を活用した推進事業も実施している。先ほど、消費者物価指数に応じて料金も見直しているという話であったが、昨今の工事費、白物家電の値上がり等も十分に考慮し、こうした開設にかかる補助額も適宜適切に見直してほしい。
【委員】
 私からは二点伺う。
 まず一つ目に、結婚支援とライフデザインという観点で質問する。
 少子化が加速度的に進む中、愛知県も異次元の取組を進めていく必要があるが、その際、県は広域的な観点で各市町村と連携する形で効果的、効率的な支援策を講じていかなければならない。
 まず、結婚支援事業について、少子化は想定を上回るペースで進む極めて危険的な状況であり、本県においても2023年の出生者数が5万人を下回り、過去最高であった1973年の約40パーセントまで落ち込んでいる。少子化の要因は様々だが、要因の一つとして、未婚化、晩婚化が挙げられ、県としてこの課題に対応するため、以前から結婚支援事業に積極的に取り組んでいる。例えば、直近では昨年度から2年連続で愛・地球博記念公園で400人規模の大規模婚活イベントを実施しており、県内各地から5倍から6倍の応募となるなど、出会いの機会を提供するとともに、結婚を望む若者を社会全体で応援する機運の醸成という成果が得られた。
 また、次のステップとして、今年11月からは新たにあいち結婚サポートセンターを開設し、一人一人のニーズに合わせた出会いの機会や、きめ細かいサポートを提供することが可能となり、本県の結婚支援事業が充実してきている。数年前までは、行政が個人間の出会いの場を創出するものはいかがなものかという懐疑的な捉え方もあったが、今では多くの自治体がこの事業を少子化対策の一環として進めている。
 本県ではこうした大規模婚活イベントや結婚支援センター以外に、これまでどのような結婚支援事業を実施し、また、現在実施しているのか。また、各自治体との連携という観点でも、その取組について伺う。

あいち結婚サポートセンター「あいマリ」チラシ(表面)の画像
あいち結婚サポートセンター「あいマリ」チラシ(表面)

あいち結婚サポートセンター「あいマリ」チラシ(裏面)の画像
あいち結婚サポートセンター「あいマリ」チラシ(裏面)

【理事者】
 初めに、これまでの結婚支援事業の実施状況について、県では若者への支援として、学生や若者を対象とした赤ちゃん触れ合い体験事業や、結婚、妊娠、出産、子育て等のライフデザインについて考える機会を提供するライフライン形成セミナーなどを実施したほか、企業に向けても従業員の結婚支援する取組を推進するためのフォーラムなどを実施してきた。
 次に、現在実施している事業について、2011年から県が運営する出会いサポートポータルサイトあいこんナビを活用し、市町村や民間団体が行う婚活イベントなど、婚活に役立つ情報を提供している。このほか、昨年度に引き続き、民間の非営利団体が実施する婚活イベントへの補助も行っている。
 最後に、各自治体との連携について、昨年度、県は県内10か所で小規模の婚活イベントを開催し、今年度は市町村に対して、地域の特色を生かして開催する婚活イベントに対して費用の2分の1を補助する事業を実施しており、今日現在で14の市町から申請を受けている。
 また、あいち結婚サポートセンターに結婚支援コンシェルジュを配置し、市町村等へイベントのノウハウや結婚支援事業に関する情報提供等の支援を行うとともに、県の大規模婚活イベントや結婚サポートセンターの情報と市町村が実施する婚活イベントの情報を取りまとめてリーフレットに掲載し、広報啓発を行うなど市町村と連携しながら事業を実施している。
【委員】
 これまでの試行錯誤しながら結婚支援事業の知見を高め、より効果の高い事業を模索しながらも大規模婚活と結婚支援センターを軸とした事業構成となったと理解した。また、過去に実施した事業の中で、今後の事業展開を図るに当たり、再評価に値する事業もあるのではないかと感じている。
 その観点で、二つ目の質問として、ライフデザイン、すなわち人生設計に関して伺う。
 例えば近年、高校では社会に出てから収支バランスを考えた計画性のある自立した生活を送れるよう、家賃、光熱水費、社会保険料など生活に必要な支出がどれくらい見込まれ、自家用車の購入や結婚などのライフイベントに備え、どの程度の貯蓄が必要となるかなど、お金の面から将来を見越したライフデザインを授業に取り入れているところもある。また、職業観を身につけるキャリアデザインも行われている。
 一方、ライフデザインを考える上では、結婚する、しない、また、子どもを持つ、持たないといった大きな選択肢に対して、費用面だけを捉えて結婚して子どもを育てていくことは、単にお金がかかり大変なことという漠然とした不安を持たせてしまう可能性もある。
 実際に、他県の事例だが、岡山県での結婚、出産、子育てに関する県民意識調査報告書によると、結婚希望はあるものの実現できない理由のトップは、結婚できそうな異性との出会いがなさそうというもので、ここに関して愛知県は結婚支援で対策を既に講じている。ほかの理由は、〇〇だから不安、自信を持てないなど、未知のことに対する漠然とした不安が大きいことが分かる。
 先日、現役大学生と意見交換した際も、不安の大きさを改めて感じた。不安をどれだけ軽減させることができるかが重要である。結婚支援や少子化対策という観点からも、ライフデザインを考える機会は重要であり、その際、結婚や子育て支援に関する制度や、子育て世代の生の声などの情報提供なども行い、結婚や子育てのポジティブな面にも目を向けてもらうことで不安の解消につなげることもできるのではないか。
 また、先日視察した岡山県や岐阜県では、若者世代が結婚や子育てのリアルを学ぶ体験型プログラム、子育て家庭留学という事業を実施している。これからライフイベントを迎える若い世代が、子育て体験や子育て家庭との交流を通して、将来について学ぶライフデザイン形成支援事業で、将来の仕事や結婚、子育てに関心や不安を抱える若い世代が子育て家庭を訪問し、小さな子どもと公園で一緒に遊ぶなどの育児体験や、仕事と子育ての両立の大変なところ、その乗り越え方、結婚した理由、家族ができてよかったことなど、子育て中の家庭との対話を通して将来設計のヒントを得るプログラムとなっている。
 このたびの視察を通じて、このような若者のライフデザイン形成支援事業は、本県が現在力を入れている大規模婚活イベントやあいち結婚サポートセンターへの参加、登録への動機づけになるのではないかと感じた。また、その反対に、大規模婚活イベントやあいち結婚サポートセンターへの参加、登録をきっかけとして婚活を始めた人が、より結婚や子育てについて前向きに考える機会となるなどの相乗効果も期待できるのではないか。
 そこで、若者が将来結婚して子どもを育てていくイメージを持つことができるライフデザイン等への支援について、県としてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
 若者が将来の様々なライフイベントに柔軟に対応できるよう、結婚、子育て、ワークライフバランス等の知識や情報を総合的に習得することは、結婚や子育てなどの希望の実現に向け効果的である。また、乳幼児や子育て家庭との触れ合い体験は、子どもと触れ合い、子育て家庭と話をする中で、命の大切さや乳幼児との関わり方を学び、結婚や子育てに対する理解が深まるものと認識している。
 本県においても、2022年度に20代を中心とした若者を対象に、ライフプラン形成セミナーを実施した。セミナー終了後のアンケートでは、人生設計について考える機会がなかったのでよいきっかけとなった、10年後の自分のイメージとして結婚相手やパートナーと共に暮らしている、子どもと暮らしているという意見があるなど、若者が希望を持って将来のライフデザインを描くよい機会となったのではないか。
 また、幾つかの市では、ライフデザイン等への支援を実施しており、県としては今後、市町村の優れた取組を横展開するとともに、結婚支援事業やライフデザイン等への支援など、若い世代のニーズを踏まえた取組を含め、より効果的な支援について研究していく。
【委員】
 経済産業省やこども家庭庁によると、結婚意向のある未婚者と既婚者それぞれに結婚意識が高まった主たるきっかけを調査したところ、ライフプランを考えたときという結果が出ている。また、ライフデザインを学んだ人は、学んでいない人に比べて結婚、恋愛意向が高く、学んだ人は約40パーセント、学んでいない人は約30パーセントと、そのような傾向があることに加え、理想の結婚年齢も早い。自分自身への満足度も高く、前者が53パーセント、後者が43パーセントと、特に結婚、出産、子育てに関して学んだ人は、より前向きな反応を示している。
 以上の調査結果からも分かるように、人生設計の中において家庭形成にもつながる情報はもっと積極的に発信し、触れてもらえるような取組を新たな視点で進めてほしい。
 二つ目に、がん患者へのアピアランスケアについて伺う。
 がん患者へのアピアランスケアは、愛知県は令和4年度から、国もまだ行っていない中、県としては先んじて始めた事業である。県の独自の英断に感謝するという観点と、そこに引き続くような形で、小児・AYA世代、いわゆる若年がん患者への在宅療養支援制度も県独自でスタートした。
 まず、一つ目に、がん患者へのアピアランスケアについて、国の支援制度がない中、県独自でもあえてスタートする判断に至った背景について伺う。
【理事者】
 がん対策基本法に基づき策定された国のがん対策推進基本計画において、がんの治療成績の向上に伴い、がん経験者は増加しており、就労支援のみならず、がん患者、経験者のQOL向上に向けた取組が求められるとされており、本県でもその計画に基づいてがん対策に取り組んできた。がん治療に伴う脱毛などに対応する医療用ウィッグ等には経済的負担もあるだけではなく、外見の変化はQOLに対する影響が大きいため、県として、がん患者が治療と日常生活を両立させ、自分らしい生活を送れるよう、愛知県がん患者アピアランスケア支援事業費補助制度を2022年度から開始した。
【委員】
 想像してほしいが、外出する前、何をしてから、何を気にしてから家を出るか。大抵服装を整え、整髪し、女性の場合は化粧してから出ていくのが一般的だと思う。いずれにせよ、外出の前に鏡の前に一度は立って確認する。男女がそこにかける時間、重要視する度合いは違うが、見た目を気にして、特に他人にどのように映るのかを気にするのが日本人だと思う。
 服装、髪、顔などが他人に与える印象で、当人の気分、他人からの評価に大きな違いが出てくると考えている。健常者でさえ気にするこれらの点、がん患者が治療副作用によって身体に変化が現れた場合の精神、身体的負い目は小さいものではなく、その後の生活活動に影響を及ぼすのではと考える。がん患者へのアピアランスケアは、そもそも何のためにやっているのか、当事者のQOLの向上という観点で伺う。
【理事者】
 がん治療による脱毛や乳がん治療による乳房形状の変化等はQOLに対する影響が大きく、患者にとって大きなストレスとなる。そのため、治療に伴う外見の変化により、人前に出ることに苦痛を感じる患者の心理的負担を和らげ、就労等の社会参加を応援するためアピアランスケアに対する支援を行っている。
【委員】
 今回の質問を、がん患者へのアピアランスケアについて質問するに当たり、厚生労働省がん疾病対策課、愛知県がんセンター、がん研有明病院、アピアランスケア事業を行っている福岡県、長野県、埼玉県、千葉県、名古屋市、成田市、株式会社池山メディカルジャパン、がん当事者団体、元AYA世代がん患者会代表者などと、様々な意見交換を行ってきた。とりわけ、当事者からの声は非常に重要と考える一方、なかなか声を上げることができない人も多いと思うが、そういう人の思いと声を酌み取ることも大切だと考えている。
 アピアランスについて他人の第一印象で重要視しているのはどこかと、ある雑誌が行ったアンケートは、半数以上の割合で顔と結果が出ている。ふつうに考えると、ファーストインプレッションでまず視線が行くのは顔の部分ではないか。がん治療の副作用で眼球や頬、鼻、耳などを欠損した際、医療用具として体の表面に取り付ける人工物のことをエピテーゼという。人体の部位欠損により心理的コンプレックスを抱いている人の精神的負担を緩和する目的などで使用されるのが、このエピテーゼである。広い意味では本来ウィッグや乳房補正具もエピテーゼに入るが、日本では顔の部分、顔面エピテーゼを狭い意味、狭義としてエピテーゼと呼んでいる。
 がん患者へのアピアランスケア事業では、ウィッグ、乳房補整具のみを愛知県は対象にしている。顔面、欠損部位に対する支援はアピアランスケアという観点で非常に大切だと考える。それがさきに述べたエピテーゼである。他県での導入状態という横並び観点でなく、困っている人を助けるという観点でエピテーゼを加え、支援の充実を図ることで中部地方のがん患者へのアピアランスケア事業のモデルとなってほしいが、どのように考えているか。
【理事者】
 アピアランス支援事業に関して、本県における2022年度の補助制度創設に当たっては、先行都道府県を参考とし、県内市町村の意見も聴いた上で、ウィッグ、乳房補整具を対象とする事業内容を定めたものである。
 がんに罹患した患者が前向きに治療に向き合い、安心して社会生活を送るためには、頭頸部をはじめ外見の印象は重要な要素であることから、市町村やがん経験者を含めた関係者の意見を聴くなどして、エピテーゼなどアピアランスケアの補助内容等の充実について検討していきたい。
【委員】
 先日名古屋市のがん部会が開催され、その際、県の職員も出席したと聞いた。その際、当事者からは現行のアピアランスケアで対象となっているアイテムの拡充、つまり支援の充実が訴えられた。がんを経験した人が生活していく上で直面する課題を、家族や医療関係者、他の経験者とともに乗り越えていくこと、またそのためのサポートはサバイバーシップと呼ばれている。そこへの配慮を行わないことは溺れる人を自ら引き上げる先進技術を生み出した後、引き上げたのだからやるべきことはやったと考え、せき込んで水を吐く人を放置するようなものだと、2022年5月の週刊医学界新聞で述べられている。
 なお、がん患者へのアピアランスケアで現行のウィッグ、乳房補整具からのさらなる充実という観点でエピテーゼを対象アイテムに加えるよう、公明党愛知県議団としても予算編成における知事要望にも継続して入れている。来年度もこの点、重要項目の一つとして引き続き訴えていく。愛知県が、中部地方のアピアランスケア事業のモデルとなる顔部分へのエピテーゼを対象に加えることを強く要望する。
【委員】
 一つのテーマで3問、伺う。
 先日地元のイベントでレモネードスタンド活動をしていた13歳、中学2年生の小児がんサバイバーの女の子と出会った。その後、2年にも及ぶ闘病生活を支えてきた家族や活動をサポートしている小児がんサポート団体から話を聞き、いわゆるドラッグラグやドラッグロスの問題、そしていずれ晩期合併症が起きる可能性がある中での長期的なフォローアップの在り方、小児慢性特定疾病医療費助成制度への対象年齢を超えた後の経済的な課題や、サポートする家族の問題など様々な話をした。
 また、議連の活動もあり、難病団体や医ケア児の団体からも話を聞く機会があり、その中から共通の課題であった小児慢性特定疾病の患者に対する小児期から成人期への移行期医療支援体制の構築に絞って、本県の対応の現状を整理するために伺う。これ以降は、小児慢性特定疾病を小慢と省略する。
 まず、移行期医療とは何かということだが、近年の医療技術等の進歩により小慢をはじめ、多くの慢性疾患を抱える子供が思春期、成人期を迎えるようになってきている。自己決定原則には十分な留意が必要だが、適切な医療を受けるためには年齢に応じて小児科から成人診療科に移行する必要がある。小児期発症の慢性疾患を抱える子供は幼少期から継続して通っている小児科への信頼が厚いことや、成人診療科では小児科と異なり、専門ごとに多岐の診療科による治療が必要なことから、成人後も小児科を受診するケースがある。
 しかし、成人後も小児科だけで診続けることは、例えば成人期に発症する生活習慣病や悪性腫瘍に対する治療などの知見がなく、必ずしも適切な医療を提供できない懸念があることから、患者が継続して適切な医療を受けるためには単なる転科ではなく、小児科から成人診療科への円滑な医療の橋渡しを行うことや、患者家族に対する自立支援等、患者の年齢や状態に応じた医療を受けられるようにするための支援が必要であり、これが移行期医療支援と呼ばれている。
 移行期医療支援についてのこれまでの経緯だが、2015年に児童福祉法に基づく基本方針が設定され、この方針の中で移行期医療支援体制について、国は成人医療に移行する小慢の児童等についてモデル事業を実施し、主に小児医療から移行する際に必要なガイドを作成し、都道府県や医療従事者に周知すること。都道府県等はそのガイドを活用し、小児期及び成人期をそれぞれ担当する医療従事者間の連携を推進することとされた。その後、2017年に移行期医療推進のために、厚生労働省が先ほどの都道府県における小慢の患者に対する移行期医療支援体制の構築に係るガイドを策定し、都道府県に対し小慢の患者に対する移行期医療支援体制の構築を促している。
 このガイドには、その時点での移行期医療の現状や課題、基本的な考え方や目指すべき方向性、支援体制の構築について細かく示されている。中でも、移行期医療を総合的に支援する機能として、都道府県が移行期医療支援センターを設置することを促している。なお、これ以降、移行期医療支援センターをセンターと省略する。
 そして、2022年、2017年のガイド策定から5年が経過しても、センターがその当時の全国7か所の設置に留まっており、その7か所の業務内容や運営実態も明らかになってないことから、厚生労働省は以前につくったガイドを実践的なものに改定することを目指して7か所のセンター及びセンターを設置する協議会等に参加する医療機関を対象とした実態把握調査を実施した。
 ここで7か所のセンターの様々な課題が明らかになったが、本年3月に諸課題と考察付きで報告書がまとめられ、本年3月に新たに移行期医療支援協議会設置に向けた手引が作成されている。
 県の状況だが、本年3月に策定された第2期愛知県循環器病対策推進計画では、例えばライフステージに応じた循環器病対策の推進や小児期、若年期の循環器病対策における現状と課題の一つとして触れられており、今後の方針として、成長過程を通じた切れ目ない支援を行うことができるよう、医療機関の連携状況や診療を担う専門医数等の移行期医療の現状を把握するなど、体制整備に向けた検討を進めるとともに、小児患者とその家族が安心して暮らすことができるよう医療、保健、福祉、教育機関等の関係機関の連携による相談支援及び疾病にかかっている児童の自立支援を引き続き推進すると書かれている。
 このような背景を基に、まず、移行期医療支援に関する県の認識を伺う。
【理事者】
 小児慢性特定疾病患者等に対する移行期医療支援では、小児期に発症した子供が大人へと成長していく過程において、生涯にわたり適切に医療を受けながら社会の中でその人らしく生きることができるよう、小児期の医療機関と成人期の医療機関間におけるスムーズな情報提供の実施など、関係者の連携を図ることが大切であると認識している。
 これまで県では、愛知県小児慢性特定疾病児童等自立支援協議会において移行期医療支援について検討してきたが、この取組を進めるため、本年度、成人期の支援に関わる関係者を加えた愛知県難病及び小児慢性特定疾病対策地域支援協議会を新たに設置した。
【委員】
 移行期医療を総合的に支援する機能として都道府県に設置が求められている、いわゆるセンターに関して、現在10都道府県、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、長野県、静岡県、大阪府、兵庫県、北海道、宮城県に設置されていると承知している。
 例えば、第2期愛知県循環器病対策推進計画について議論された昨年2月に開催された第3回の循環器病対策推進協議会では、ある団体から移行期医療センターを設置してもらいたいと要望があり、県の健康対策課からは、今後、引き続き検討していくと回答があった。
 2019年から毎年、愛知県難病団体連合会から、小児慢性疾患の移行期医療センターの設置、専任の移行期医療コーディネーターの配置について、県へ要望が出されている。
 2019年から2021年は、今後も他都道府県の動向を注視しつつ移行期医療支援体制を検討していくとの回答であった。
 2022年は、2021年に指定小児慢性特定疾病医療機関を対象にした県独自の調査を実施し、2022年度に実施する国の調査結果や国や他の都道府県の今後の動向を踏まえて、本県としての移行期医療支援体制について考えていきたいとの回答であった。
 昨年は、本県の調査及び国の調査の分析が解説されており、これらの調査結果を踏まえて課題が多いと、本県は認識しており、国や他都道府県の状況、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実態把握により移行期医療支援体制について検討していきたいと回答があった。
 いわゆるセンターに関しては、そろそろ本県としての明確な方針を示すべきである。
 そこで、移行期医療支援について、本県はこれまでどのように取り組んできたのか伺う。
【理事者】
 2017年10月に厚生労働省から都道府県に対して発出された移行期医療支援体制の構築に関する通知を踏まえて、移行期医療の実態を把握するために県内の主な医療機関11か所の小児科関係者に対するヒアリング調査を開始した。その結果を受け、2019年度に成人期の医師を主な対象として、移行期医療の必要性を知ってもらうための研修会を開催した。
 また、2021年度に調査対象を小児慢性特定疾病医療機関など計522か所へ拡大し、改めて成人診療科への移行の実態や課題把握のためにアンケートを実施した。
 これらの取組から把握した、疾患により必要となる医療や支援の内容が様々であるといった課題を含め、移行期医療支援について、小児科医師、行政、教育などの関係者を構成員とする小児慢性特定疾病児童等地域支援協議会で継続的に検討してきた。
【委員】
 本年3月に公表された移行期医療支援協議会設置に向けた手引では、二つの自治体へのモデル事業の結論として、移行期医療を総合的に支援する機能、いわゆるセンターを設置するために、まずは協議会を立ち上げて関係者同士で顔の見える関係を構築することが有効だと示されている。協議会立上げのためのガイドと検討すべき事項や論点が示されている。
 先月22日に第1回目の愛知県難病及び小児慢性特定疾病対策地域支援協議会が開催されたが、どのような構成員なのかも含めて、公開されている情報が少ない。
 この会の趣旨は、これまでの議論を、特に小児慢性特定疾病児童等地域支援協議会で議論されてきたことをしっかり積み上げる形、例えば、循環器病対策推進協議会で議論がなかなかされないような移行期の話といった、切れ目のない医療体制の医療提供、特に移行期について、おおよその県の考え方が示された上で、ある程度の目的を持ってこの協議会で議論が行われていると思うが、愛知県難病及び小児慢性特定疾病対策地域支援協議会の目的を伺う。また、そこでは、今後どのように議論していくのか伺う。
【理事者】
 移行期医療支援に関する取組を進めるため、成人期の医療関係者を加えた愛知県難病及び小児慢性特定疾病児童等地域支援協議会において移行期医療支援を含めた支援について検討していくこととした。これまでの取組から、様々な疾患について小児期と成人期の医療を円滑につなぐために、小児科医と成人期の医師が移行期医療について共通の認識を持てるよう、協議の場を活用していく必要がある。
 今後は、本協議会において、小児期と成人期を担当する関係者の共通理解を深め、移行期医療支援について中核を担うセンターや、間を取り持つコーディネーターの必要性など、本県としての移行期医療支援体制について引き続き検討していきたい。
【委員】
 本年度、小児慢性特定疾病児童等の生活に関するアンケートが実施されていると聞くが、移行期医療に関して、2021年度に県が行った調査は対象を広げたとのことであったが、あくまで医療機関を中心だと認識している。患者や団体への調査はされていないと思うので、一回実態調査を行い、どういった困難や悩みがあるのかを含めて、患者や団体にも話を聞いてプランを立ててほしい。
 そして協議会でも、県の方向性、移行期医療支援体制の構築についての考え方を示した上で、移行期医療を総合的に支援する機能を本県ではどのようにするのか。いわゆるセンターを設置するだけが回答ではないと思うが、設置する場合は多くの課題等があると思う。
 そこを整理して、なかなか進まないのが今までの現状だと思うので、目的とスケジュール感をしっかり持って、かみ合った協議ができるよう調整をお願いする。
【委員】
 一つ目に、障害福祉サービス事業の適正管理について伺う。
 株式会社恵への処分後の対応について、令和6年9月定例議会の神谷和利議員の一般質問において、強度行動障害といった障害があることなどにより転居先を見つけることが困難な場合には、県の地域アドバイザーを設置し、個別に支援を行う体制を整えたと答弁があった。
 また、知事からは、転居希望者の速やかな転居先について、市町村と連携して支援を行っているところであり、障害が重く転居先がすぐに決まらない人については県の医療療育総合センターで受け入れる体制も確保していると答弁があった。
 さらに、事業者の不正防止について、県の監査指導体制のさらなる強化に向けて検討すると答弁があった。
 まず、これまで地域アドバイザーが実施した支援の状況を伺う。
【理事者】
 県が設置している地域アドバイザーは、通常、市町村における相談支援体制の充実や地域のネットワーク構築に向けた活動を行っている。本年6月26日の株式会社恵に対する行政処分公表を受け、7月から通常業務に加え、株式会社恵のグループホーム利用者などに対する支援を行っている。7月から11月末までの支援件数は、県全体で1,026件であり、主な内訳としては利用者及び家族に対する支援が135件、相談支援事業所や基幹相談支援センターに対する支援が338件、市町村に対する支援が345件などとなっている。
 また、主な支援内容としては、自身の意志を明確に表現できない利用者に対する意思確認や、その実施方法に関する助言や指導、転居を希望する人に対する転居先の調整を含めた相談支援、今後に向けた利用者や家族の不安や株式会社恵に対する不満などへの対応などとなっている。
【委員】
 県所管の13事業者のうち、譲渡済みの2事業所を除く11事業所についても、国の発表においては神戸市の事業者に一括承継するとの報道があったが、円滑な事業承継へ向けて、現在、県はどのような調整をしているのか。
【理事者】
 一括継承先の事業所の選定については、株式会社恵が厚生労働省の推薦した3人の福祉の専門家をアドバイザーとして迎えた上で行われ、神戸市に本社を置く株式会社ビオネストに決定した。
 県としては、今後、継承先の事業者が障害福祉サービスを適切に提供できるかどうか、個々の事業所ごとに必要な審査を行い、しっかりとチェックしていく。
【委員】
 転居希望者の状況及び県医療療育総合センターでの受入れの現状を伺う。
【理事者】
 県所管の13の事業所には、行政処分公表時点で201人の利用者が入居していた。うち、19人が11月末までにほかのグループホームなどに転居しており、別に11人の転居希望者が確認されている。転居希望者に対しては、市町村や相談支援事業所が県の地域アドバイザーとも連携して転居先を調整しており、転居先候補のグループホームの体験利用なども行いながら利用者に適した住居であることを確認した上で転居につなげている。
 こうした支援が継続して行われていることから、現在までに転居先の調整がつかず、医療療育総合センターで受け入れた事例はない。
【委員】
 補助金を年に決まった額を定期的に配布する仕組み、性善説を前提として成り立っているが、株式会社恵の事例が発生した。不正を見抜く嗅覚が鋭い職員がいるかも含め、不正防止に向けた体制強化の検討状況について伺う。
【理事者】
 株式会社恵の問題で明らかになった不正事案に加え、障害福祉サービス事業所の増加にも適切に対応するため、監査指導体制のさらなる強化を図る必要がある。事業所を訪問して行う運営指導は、国の指導指針において、おおむね3年に1回の実施が求められているが、県所管の障害福祉サービス事業所数は直近3年間で約680か所増加しており、入所系施設は国の指針どおりの頻度で実施しているが、そのほかは、おおむね6年に1回の実施にとどまっているのが実情である。
 運営指導に当たっては、苦情のあった事業所や市町村から指導の要望があった事業所などを優先的に選定して計画的に実施しているが、できる限り国の示すおおむね3年に1回の頻度に近づけていくことが適正なサービス提供の確保や不正防止につながると考えている。このため、不正事案や事業所の増加にも適切に対応できるような効果的なチェック体制の構築に向けて、現在検討を進めている。
【委員】
 受入先の確保は当然と考えているが、県として利用者支援について、どのように取り組んでいるか。
【理事者】
 県としては、障害福祉サービスが利用者の意思に基づいて適切に提供されることが重要であると認識している。そのため、転居を希望する人、現在の住居に住み続けることを希望する人、それぞれの意思を適切に把握し必要なサービスにつなげるよう、引き続き市町村や相談支援事業所、基幹相談支援センターなどの関係機関と連携するとともに、地域アドバイザーによる支援を継続していく。併せて、事業継承後においても、継承先事業者による運営が適切に行われているか、適時に実地確認を行っていきたい。
【委員】
 680か所増えているという答弁があったが、補助金の減少や物価の高騰等により、多くの高齢者施設が倒産しており、これらの施設はいつ倒産してもおかしくない。このような施設は、基本的に一生懸命運営しているところが多いので、温かい目で見てもらうとともに、しっかりサポートしてもらうことを希望する。
 二つ目に、薬不足解消に向けた県の取組について伺う。
 国内では2020年12月に後発医薬品であるジェネリックメーカーでの品質不正が発覚し、以降、供給体制が不安定で収まらない状況である。日本製薬団体連合会によると、本年10月時点で約1万6,700品目、そのうち約19パーセントが出荷停止や出荷制限の状況である。これを見ると、3,103品目、構成比18.5パーセントが出荷制限や停止状況にある。そのうち、後発医薬品が6割を占めており、特に、せき止めや解熱剤などが手に入りにくい状況が継続している。
 現行法では、企業の品質保証や安全管理などで責任者の設置を求める一方で、安定供給については法的な義務付けがないことは承知している。医療現場では、現在、在庫がないから仕方がないと諦めの風潮が蔓延しており、薬局の店頭では患者と薬剤師が在庫のない薬をめぐって口論となっている場面も散見される。
 製薬会社の問題であると県としては何もできないということではなく、国を通じて粘り強く、製薬会社に働きかけることが肝要だと思う。県はどのように認識して、県としてどのように国または製薬会社等に働きかけているのか。
【理事者】
 医薬品は生産計画を半年以上前に立てることから、急な需要の増加に対応して増産することが困難である。国は医薬品の製造販売業者に供給不安が生じるおそれがある場合、早期に報告させ、また、医療機関や薬局などへの供給が制限される場合には、厚生労働省ウェブサイトにおいて公表している。
 県として、これまで国が発出した事務連絡を関係団体に通知し、医薬品が必要な患者に広く行き渡るよう、過剰な発注を控えることや、医師は必要と判断した最小日数の処方に努めるとともに患者の残薬を確認すること、薬局では、系列店舗や地域における連携により調整することなどの協力依頼を周知した。また、国が設置した相談窓口において、せき止め薬や解熱鎮痛薬などの供給不足について、医療機関や薬局からの相談を受けていることも周知した。
【委員】
 医師は薬を処方する際に、国の方針に基づいて後発医薬品を優先して処方している。これは後発医薬品の使用割合を80パーセントに上げるという国の方針であることは理解している。
 薬価がどんどん漸減していてメーカーは困っているが、安定供給されるまでは先発医薬品に切り替えて処方することが一義的な手立てだと思うが、県はどう考えるか。
【理事者】
 昨今の医薬品の供給状況や需給の逼迫を踏まえ、国が本年3月15日付けで発出した事務連絡によって、薬局において今までできなかった後発医薬品を先発医薬品に変更して調剤することが可能となっている。なお、当該事務連絡は国から日本医師会、日本薬剤師会などの関係団体あて周知されている。
【委員】
 せき止め薬や解熱鎮痛薬、慢性疾患の人が常備しないといけない薬が現状ないということが問題である。常備すべき薬が店頭にない状況は絶対にあってはいけないと強く思うが、国に対して本県はどのように対応しているのか。
【理事者】
 国は、せき止め薬や解熱鎮痛薬などについて本年7月23日付けで事務連絡を発出し、医薬品製造業者に適切な増産や早期の納品などへの協力を、また、8月14日付けで医薬品卸売販売業者に迅速な供給体制の整備など、薬局に適切な在庫の確保などへの協力を依頼した。さらに、11月26日付けの事務連絡で改めてこの冬に想定される感染拡大に対応できるよう、適切な増産や早期の納品、迅速な供給体制の整備、適切な在庫の確保などの必要な措置への協力を依頼している。県としては、供給不足の状況を把握した際には必要に応じて国に対応を促していく。
【委員】
 そういった状況を少しでも減らすよう、協力をお願いする。
【委員】
 新型コロナウイルス感染症に係る罹患後症状、いわゆる後遺症の実態把握調査について、国は実施したが、今回県が調査実施した理由を伺う。
【理事者】
 新型コロナウイルス感染症に係る罹患後症状、いわゆる後遺症については、罹患後症状の経過の推移など現時点で明らかになっていないことも多く、診断や治療の方法についても確立されていない状況である。そうした中、本県において2022年1月から本年3月まで新型コロナウイルス感染症の一般的な健康相談に応じる相談窓口で後遺症の相談にも対応してきたが、罹患後症状に悩む県民からの多くの相談が寄せられた。こういった罹患後症状に悩む県民に対して何か取組ができないかと考える上で、まずは罹患後症状に悩む県民の実態及び医療機関での外来対応の実態を丁寧に把握することが必要と判断し、本調査を実施した。
【委員】
 本県が実施した実態把握調査の方法と調査結果について伺う。
【理事者】
 調査は、全ての県民及び医療機関を対象として、6月26日から7月26日にかけて愛知県電子申請届出システムを利用して実施した。
 県民向け調査では3,037人の県民から、医療機関向け調査では509の医療機関から回答があった。まず、県民向け調査の結果だが、後遺症の症状の傾向は倦怠感、せき、喉の痛み不快感、声がれ、味覚障害の順番で多い状況であった。
 また、後遺症を発症する人の傾向としては、男性より女性のほうが後遺症を発症する割合が高い結果となった。なお、これは国の調査結果と同様であった。肥満、BMI30以上の人は男女ともに後遺症を発症する割合が高い結果となった。
 次に、後遺症の継続期間は約半数の人が2か月以上6か月未満だったが、1年以上継続する場合も約3割見られた。
 次に、後遺症に対する不安や悩みは、後遺症経験者のうち7割強の人が体調の回復や健康面に対する不安や悩みを持っている結果となった。
 一方、医療機関向けの調査の結果だが、来院した患者への医療機関の対応は半数以上の医療機関が自院で対応すると回答していたが、自院で対応できず他の医療機関を紹介したと回答した医療機関も3割強見られた。自院で対応できない理由としては、自院で対応できない症状であった、他疾患との鑑別が必要であったというものであった。また、後遺症の診察の課題としては8割強の医療機関で診療や治療方法が確立されていないと回答があった。
【委員】
 調査結果を受けて、県民及び医療機関に対する県の対応をそれぞれ伺う。
【理事者】
 後遺症に対する不安や悩みとして、体調の回復や健康面に対する不安や悩みが最も多かったことから、現在設置している後遺症相談窓口に来年度より看護師等を配置し相談体制を強化していく。また、後遺症の症状は様々であり、病態については不明な点が多く、後遺症の診察の課題として大部分の医療機関で診察や治療方法が確立されていないと回答があったことから、最新の知見等に関する医療機関向けの研修会を実施する。
 引き続き、国内外で進められている後遺症の治療方法や研究等について積極的な情報収集に努め、患者の人々や医療機関に十分な情報提供を行っていく。
【委員】
 アメリカの調査では、新型コロナウイルス感染症に罹患すると、罹患後のアルツハイマー病のリスクが高まっていると結果が出ている。また、日本の医療チェーンによる調査結果では要介護度が上がる傾向もあった。
 県の今回の調査は罹患後症状に特化したものであり、認知症やアルツハイマーという言葉は出なかったが、感染症の流行は連続的にずっと発生するだろうといわれている。
 今回の本県の調査は、時期を得た調査だと思いたいが、象徴的な形での調査ではないと思うので、なかなか後世に伝わりにくい。今回の調査も来年伝わっているか不安を感じる。医療体制がようやく通常に戻っていると思うので、来年度に向けてさらに充実するよう要望する。
【委員】
 通いの場の推進とオレンジタウン構想について伺う。
 これまで3年半ほど続いてきた新型コロナウイルス感染症の拡大期では、高齢者の触れ合いや交流の機会が減少して、高齢者の間で認知症やフレイルになる人が多く見受けられた。
 こうしたことから、地域の住民が運営し高齢者が気楽に集い、体操や趣味活動などを行ういわゆる通いの場は今後、高齢社会が進むにつれて、その重要性がますます高まると思う。
 そこで、コロナ禍が明けた現在、フレイル予防を効果的に進めるためにも、通いの場の活動を加速させるべきと思うが、現在、通いの場の活動状況はどうなっているのか。
【理事者】
 県内の通いの場は、箇所数の調査開始の2013年度の1,438か所から新型コロナウイルス感染症の流行直前である2019年度当初には5,013か所まで増加を続けた。新型コロナウイルス感染症の影響により2020年度には減少したものの、2021年度以降再び増加に転じ、最新の数値である昨年度は6,153か所となっている。
【委員】
 コロナ禍では、通いの場も減少したが、昨年度には6,153か所と多くなり、結構なことだと思う。
 通いの場の活動は、高齢者のフレイル予防に大変重要な役割を持っているため、県としてもこれから支援する必要があるが、県はこれまで通いの場の復旧や活動が困難であったコロナ禍におけるフレイル対策について、どのように取り組んでいるのか。
【理事者】
 県では2019年度から2021年度まで、高齢者がより参加しやすい通いの場を普及するためのモデル事業を行い、その取組内容を市町村に発信することで通いの場の新規立上げや活動促進につなげた。
 また、新型コロナウイルス感染症の流行時には通いの場の活動自粛などに伴い、高齢者の心身の機能低下が懸念されたため、自宅などで行える発声練習や、折り紙・絵手紙教室、リズム遊びやバランストレーニングなどの動画を制作し、オンライン配信することにより、フレイル予防に取り組んだ。
 新型コロナウイルス感染症の5類移行後は、通いの場のさらなる活性化を図るため、県主催の通いの場フォーラムを開催し、通いの場の優良事例を表彰したり、その活動内容を動画などにしたり、広く配信することにより、各地域での取組に生かしてもらっている。
 今後とも、通いの場の活動を支援することにより、高齢者のフレイル予防が効果的に行われるよう取り組んでいく。
【委員】
 県では2017年9月にあいちオレンジ構想を策定し、あいち健康の森がある大府市、東浦町を中心に取組が進められてきたが、これまでの取組において、多くの事業費が投入されている。我々も知る機会がないため、その内容等、どんなことが行われたのか、また成果などについて伺う。
【理事者】
 県では、あいちオレンジタウン構想により、様々な取組を進めてきたが、その中の大きな取組として、大府市にあり、老齢医学における国内唯一のナショナルセンターである、国立長寿医療研究センターの病床機能評価のための新棟整備に対する助成を行うこととし、総工費約52億円のうち、国と県で、それぞれ10億円を負担した。新たに竣工した新棟では、高齢化に伴い発症する疾病に係る原因遺伝子の解析を行うメディカルゲノムセンター、最新の画像と血液検査を組み合わせた地域画像解析法の開発を行う、最先端の画像解析センターなどの研究開発部門とともに、病床と一体的に臨床研究を行う物忘れセンターなどが設置され、認知症になりやすい危険因子の原因解明、認知症の早期発見や、先進的な治療が行われている。
 これにより、認知症早期診断の実現、個別化医療の実施、介護負担の軽減、介護サービスの質の向上などの成果が得られるものと期待され、その中で、もの忘れセンター病棟では、昨年度の新規入院患者527人のうち、521人、98.9パーセントを愛知県民の利用が占めるなど、本県大府市に立地していることにより、県民に対し、長寿医療研究センターの最先端の研究成果に基づく医療が提供されている。
 あいちオレンジタウン構想については、その理念を引き継いで、今年3月に、あいちオレンジタウン推進計画を策定した。今後とも、本計画に基づき、取組を着実に進めていく。

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