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福祉医療委員会審査状況(令和8年3月13日)

ページID:0650793 掲載日:2026年6月17日更新 印刷ページ表示

福祉医療委員会

委員会

日時 令和8年3月13日(金曜日) 午後0時58分~
会場 第1委員会室
出席者
 杉浦正和、島 孝則 正副委員長
 坂田憲治、新海正春、政木りか、平松利英、横田たかし、鈴木まさと、日比たけまさ、
 加藤貴志、下奥奈歩、阿部武史  各委員
 福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
 保健医療局長、同技監兼医務課長、健康医務部長、感染症対策監、生活衛生部長兼生活衛生課長、
 病院事業庁長、病院事業次長、関係各課長等 

福祉医療委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

第 1 号 令和8年度愛知県一般会計予算
 第1条(歳入歳出予算)の内
 歳出
 第4款 福祉医療費
 第3条(債務負担行為)の内
 愛知県青い鳥医療療育センター長寿命化改修基本設計
 医療療育総合センター共同保管等施設撤去工事実施設計
 一時保護所整備工事
 医療療育総合センター倉庫設置工事
 元愛知看護専門学校取壊工事
 あいち健康の森健康科学総合センター整備工事
第 4 号 令和8年度愛知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算
第 5 号 令和8年度愛知県国民健康保険事業特別会計予算
第 13 号 令和8年度愛知県県立病院事業会計予算
第 33 号 愛知県児童厚生施設条例の一部改正について
第 34 号 後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部改正について
第 35 号 国民健康保険事業費納付金の徴収に関する条例の一部改正について
第 61 号 権利の放棄について(愛知県心身障害者扶養共済保険料負担金に係る債権)

結果

賛成多数をもって原案を可決すべきものと決した議案
 第1号、第5号、第33号及び第35号
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
 第4号、第13号、第34号及び第61号

請願

第 82 号 「予防接種健康被害救済制度の周知を求める」について
第 83 号 「おかしくないですか?!日本人、愛知県民、謎の大量死、原因は高齢化でもコロナでも説明できない。ではなにか?!原因追求を求める」について
第 84 号 「未成年の新型コロナワクチン接種後体調不良者への調査を求める」について
第 85 号 「コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査を求める」について
第 86 号 「各市町村、愛知県内の病院に正しく新型コロナワクチン副反応疑い報告が行われるよう周知依頼を求める」について
第 87 号 「孤独死・不審死の場合の死亡日決定時のワクチン接種歴調査を求める」について
第 88 号 「調査せよ。豊川でコロナワクチン接種翌日に13歳男児が自殺。接種後の自殺は各地で起きている。接種後精神に及ぼす影響、被害調査を求める」について
第 89 号 「新型コロナワクチン副反応疑い報告における国の審議会について県として国に委員の一新を求める」について
第 90 号 「予防接種健康被害救済制度申請に必要なカルテの保存期間を5年以上に延長し申請者に寄り添った対応を求める」について
第 91 号 「ワクチン接種後まもなく死亡した遺族が制度を知らず申請できない現状への対応を求める」について
第 92 号 「コロナワクチン接種後の健康被害に係る副反応疑い報告が国に正しく反映され県民への周知が徹底される事を求める」について
第 93 号 「コロナワクチン後遺症や接種後死亡した事例について県として実態調査を行う事を求める」について
第 94 号 「副反応疑い報告が国に報告された事を被害者・遺族へ県や市町村から通知する事を求める」について

結果

賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
 第83号から第85号まで及び第87号から第89号まで
賛成少数をもって不採択とすべきものと決した請願
 第82号、第86号及び第90号から第94号まで

閉会中継続調査申出案件
  1. 社会福祉及び社会保障制度の充実について
  2. 少子化対策及び超高齢社会への対応について
  3. 保健衛生の推進について
  4. 保健所及び県立病院の運営について
  5. 福祉局、保健医療局及び病院事業庁の行政運営について

会議の概要

  1. 開会
  2. 口頭陳情(2件 請願第83号及び第86号関係)
  3. 議案審査(8件)
    (1)理事者の説明
    (2)質疑
    (3)採決
  4. 請願審査(13件)
  5. 委員長報告の決定
  6. 一般質問
  7. 休憩(午後2時43分)
  8. 再開(午後2時53分)
  9. 閉会中継続調査申出案件の決定
  10. 閉会
主な質疑
議案関係

【委員】
 予算に関する説明書(1)153ページの歳出第4款福祉医療費第5項障害福祉費のうち、障害者地域生活支援事業費の中の専門相談事業費における高次脳機能障害者への支援について伺う。
 高次脳機能障害とは、脳卒中などの疾病や事故による頭部外傷などを原因として、脳がダメージを受けたことにより生じるものである。記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、失語、失行、失認などの症状がある障害とされている。外見からは分かりにくく、本人も自覚できていないことや、周囲から理解されにくいといった特徴があり、患者と家族は適切な支援を受けることができず、日常生活や社会生活に困難を抱えているとの指摘がある。
 このような状況を踏まえ、高次脳機能障害への理解を促進するとともに、高次脳機能障害者の自立及び社会参加のための生活全般にわたる支援を、どの地域でも切れ目なく受けられるようにするため、2025年12月16日、議員立法による高次脳機能障害者支援法が成立した。この法律は、2026年4月1日から施行される予定である。
 この法律が成立した経緯は、高次脳機能障害者の家族会が10年以上もの期間、法制化に向けた活動を続けており、まさに家族の切実な思いが形になった法律であると受け止めている。
 そのような中、この2月定例議会における議案質疑において、我が党の議員から、4月1日に控える高次脳機能障害者支援法の施行に際して、これまでの本県における高次脳機能障害者支援策や予算措置の状況、法制化で新たに求められる支援センターや協議会などの取組について質問した。
 県当局からは、専門的な相談支援や普及啓発の取組状況、支援体制の充実に取り組んでいく旨の答弁をもらった。
 一方、高次脳機能障害者支援法第16条には、高次脳機能障害者の家族等に対する支援として、国及び地方公共団体は、高次脳機能障害者の家族その他の関係者が適切な対応をすることができるようにすること等のため、高次脳機能障害者の家族その他の関係者に対し、相談、情報の提供及び助言、高次脳機能障害者の家族が互いに支え合うための活動の支援その他の支援を適切に行うよう努めなければならないとされている。
 家族同士による支え合いは、専門機関による支援だけでは手の届きにくい家族としての経験を生かした相談や、似た経験を持つ仲間同士で心を通わせることによる安心感など、大変有意義な取組であると認識している。
 そこで、本県における高次脳機能障害者の家族が互いに支え合うための活動支援として、家族同士による相談会の実施状況について伺う。
【理事者】
 本県では、県内の高次脳機能障害者の家族会が構成団体となっている愛知高次脳機能障害協議会への委託により、家族相談を実施している。
 2024年度の実績としては、毎月2回、年間24回の定期相談会を高次脳機能障害の支援拠点機関である名古屋市総合リハビリテーションセンターや県内各地の公共施設等で開催してきた。
 来年度についても、引き続き、家族会による相談会を実施することで、高次脳機能障害者の家族同士で支え合える機会を確保していく。
【委員】
 県内各地で家族による相談会を開催しているとの答弁をもらった。高次脳機能障害者や、その家族を支える上でとても大切な取組であるため、今後もしっかりと取り組んでもらいたい。
 また、こうした家族相談会を開催する上では、高次脳機能障害者の家族の中から相談員を担ってもらう人を確保していく必要がある。家族相談員を担ってもらうには、高次脳機能障害者の家族として持ち合わせている知識や経験に加えて、相談者の話に耳を傾ける、いわゆる傾聴の技術が必要であると思う。相談者の話を表情やジェスチャーも交えながら最後まで聞くこと、そして、相談員本人にとって負担となり過ぎないような心の持ち方をしてもらうことは、言葉にすると当たり前かもしれないが、相談員を担ってもらう前に、きちんと学ぶ機会を提供しなくてはならないと思っている。
 そこで、高次脳機能障害者の家族相談会において、相談員を担ってもらう家族に対して、県としてどのような支援を行っているのか伺う。
【理事者】
 本県では、家族相談会における相談員を対象とした研修会を、愛知高次脳機能障害協議会への委託により開催している。
 今年度の研修会では、外部の専門家による自分も相手も大切にする傾聴をテーマとした講義や、家族相談員ならではの悩み事に関する事例を交えた演習を行い、相談員として活動するに当たって必要な知識、技能を習得してもらう機会の確保に努めてきた。
 来年度についても、引き続き、研修会の開催を通じて、家族相談員の確保に向けた支援をしていきたい。
【委員】
 県内各地で実施してもらった家族相談会や相談員向けの研修会を今後も確実に実施してもらうことで、支援体制の充実に加え、地域における理解も深まることを期待している。
 私は、配管資材部品の製造販売をなりわいとしているが、弊社にも、23歳のときの自動車事故により同じ障害を抱えた職員が働いている。今年で14年目を迎えているが、彼の周りの職人が一番の理解者であり、仕事も意欲的に今も取り組んでもらっている。彼は今年で50歳を迎えるが、もう既に両親は他界しており、彼を生活面でどう支えていくのか、支える人がいなくなってしまったという状況を迎えている。
 こうした取組が、彼らの将来を支え、日々の生活を安心して暮らしてもらえるよう、家族相談会、家族相談員に向けた研修の実施に尽力してもらうことを強く要望し、質問を終わる。
【委員】
 二つのテーマに関して質問する。
 予算に関する説明書(1)143ページ、3の子育て支援事業費の中の(2)少子化対策推進事業費に関して伺う。
 この事業費は、若者世代のライフデザイン支援として2024年12月、今から約1年前の福祉医療委員会で質問した。自身のライフデザインを考える取組の一事例として、岡山県や岐阜県が進める、若者が子育て家庭を訪問して、育児体験や交流を行う子育て家庭留学などの体験型プログラムなどを紹介させてもらい、若者が結婚や子育てをイメージできるライフデザイン支援についての県の考えを聞いた。
 その答弁として、県は、若者が結婚や子育て、ワーク・ライフ・バランスなどの知識を総合的に学ぶことは、将来の希望実現に向けて有効と認識している。今後は、市町村の優れた取組を横展開するとともに、若者のニーズを踏まえた効果的な支援を研究していくとのことだった。
 そして、私からの要望としては、家庭形成につながる情報発信や学ぶ機会を充実させて、結婚支援とライフデザイン支援を組み合わせた取組を進めるよう言及した。
 さきの本会議議案質疑で、男女共同参画推進事業費における固定的性別役割分担意識の打破への来年度からの県の取組に関して質問した。ライフデザイン支援を進めるに当たっては、男女共同参画の考えと重複することも多々あると思う。議案質疑で紹介した高校におけるライフデザイン授業は、主に結婚、妊娠、出産を疑似体験するゲームを通してライフデザインを身近に感じてもらうものだった。なるべく若い時期からこのような体験や考え方に接してもらうことは、大変有効だと感じる。そのような観点で、県が来年度から新たに開始するライフデザイン支援事業は、昨年度の福祉医療委員会における投げかけが反映された形となり評価する。
 そこで伺う。
 このライフデザイン支援事業の内容について、定員は200人であり、多くの人が応募し、参加してもらうためには、周知広報が重要だと考えるが、参加者募集の周知方法を聞かせてほしい。
 次に、対象者について、どのような考えで、どのような人を対象としているのか聞かせてほしい。
 そして、参加者には、ライフデザインについて学んだり考えたりすることがなぜ重要なのかをしっかりと理解してもらうことが大切だと考える。その上で、ライフデザインの重要性について、参加者にどのような方法で伝えていくのか聞かせてほしい。
 そして、最後に、この事業によりどのような効果があったか検証することが重要だと考えるが、参加者に対する事業の効果は、どのように把握するのか聞かせてほしい。
【理事者】
 参加者募集の周知方法について、募集開始に当たっては、記者発表を行い、広く周知するほか、県ウェブサイトへの掲載や、県の施設や市町村に対するチラシ、ポスターの配布に加え、SNS広告、さらに、愛知県ファミリー・フレンドリー企業等に向けての情報発信を行うことを予定している。多くの人に応募してもらえるよう工夫を凝らし、効果的な広報に努めていく。
 次に、対象者をどのような考えで、どのような人を対象としたのかについて、対象者は、県内在住・在学・在勤の18歳から29歳までの独身の人を対象にする予定である。
 対象者の考え方として、まず、年齢については、下限はキャリア形成や結婚、出産などの様々なライフイベントを自分事として捉えやすい年齢として、成年年齢である18歳以上とし、上限はライフデザインについて情報や知識を身につけ、自ら具体的に考え始めることの多い世代である20代と考えている。
 独身者としたのは、結婚という意思決定をまだしていない人であり、今後のライフデザインに当たって、様々な選択肢をより幅広く思い描いてもらえるものと考えたところである。
 また、18歳から20代までの独身の人にターゲット層を絞ってイベントの内容を構成することで、より参加者に伝わりやすく、響きやすくすることができ、事業の効果が高まると考え、このようにライフステージの近い人を対象とすることを予定している。
 次に、ライフデザインの重要性について参加者にどのような方法で伝えていくのかであるが、若い世代が働き方や結婚、妊娠、出産、子育てなど、将来のライフイベントについて必要な知識や情報を得て、自分がどのような生き方を望むのかを考え、そのために意識しておくべき点を明らかにする機会を持つことは、自らの意思によって将来を選択していくために大変重要なことである。
 本事業は、ライフデザイン講座、ゲストによる講演、ワークショップ、参加者同士の交流会の4部構成を考えているが、こうした重要性について、まずは、冒頭の講座の中で伝える予定である。その上で、ロールモデルによる講演や、参加者自身が実際にライフデザインを描くワークショップ、また、他の参加者が描く多様なライフデザインに触れ、新たな気づきや視点を得られる交流会に参加してもらい、イベント全体を通してライフデザインの重要性について、参加者の理解を深めてもらえる内容としたいと考えている。
 最後に、参加者に対する事業の効果をどのように把握するのかについては、参加者にアンケートを行い、自身のライフデザインについて意識が変わったか、また、将来のライフイベントについて前向きになったかなどの質問により、参加者の意識の変化を把握する予定である。
 この事業を通じて、参加者が主体的に考え、自分らしい将来像を前向きに描いてもらえるよう取り組んでいく。
【委員】
 このテーマに関しての要望だが、ライフデザインは、部局関係なく横断的な連携も必要になってくると考える。そこを考えた上で、今後、ライフデザインという考え方にできるだけ多くの若者が接していけるような取組を県として推進してもらうことを要望する。
 続いて、予算に関する説明書(1)159ページの第3目がん対策費のうち、(オ)がん患者アピアランスケア支援事業費補助金に関して伺う。
 これまで私は、本会議や委員会において、がん患者、がん経験者への支援制度について繰り返し質問を行ってきた。振り返ると、当事者の声を受け、少しずつではあるが、支援の形が整ってきたと感じている。
 例えば、妊よう性温存治療費助成制度、男性用トイレへのサニタリーボックスの設置、若年がん患者在宅療養支援制度、長期療養者の生徒に対するICTを活用した教育機会の確保、そして、ウィッグ、乳房補整具の購入費を助成するアピアランスケア助成制度などが挙げられる。
 中でもアピアランスケアに関しては、今回の質問にも直接関係するもので、この制度自体は2022年度からスタートし、2025年度時点で県内全ての市町村に導入されている。基本的には、市町が助成制度を創設した場合に、県が当該市町を支援する仕組みとなっている。
 しかしながら、現在の対象は、ウィッグと乳房補整具に限られており、私は2023年度以降、議会質問を通じて、エピテーゼも対象に加えるよう継続して要望をしてきた。市町へのヒアリングでも、県が制度として取り入れれば、私たちの自治体でも実施したいとの声が多く聞かれた。
 そうした現場の声を踏まえ、このたびエピテーゼが4月からアピアランスケアの対象項目に加えることとなったことに、まず感謝する。
 そこで質問する。
 今回のがん患者アピアランスケア支援事業費補助金において、新たに追加されるエピテーゼについて、対象となるアイテムや補助金、申請方法など、具体的な内容についてどのようになっているのか示してほしい。
【理事者】
 今回、アピアランスケア支援事業費補助金の対象に追加するエピテーゼは、がん治療に伴う外見の変化を補うためのエピテーゼ全てを対象とする。
 具体的には、目、耳、鼻などの顔面部分の外見を補うもののほか、手や足の一部、指などである。補助額は、現在、補助対象としている医療用ウィッグ及び乳房補整具と同様に、市町村が患者に助成した額の2分の1を県が補助する。
 なお、医療用ウィッグ、乳房補整具、エピテーゼは、それぞれ1回ずつ申請することができ、補助の上限額は、1申請当たり2万円としている。
 エピテーゼの補助は、購入後1年以内に、居住する市町村窓口に領収書やがん治療の証明書類等を提出することで受けることができる。
【委員】
 最後に要望する。
 これまでアピアランスケア制度が県内に広がったのと同様に、今回、エピテーゼが対象に追加されたことに関しても、市町に対して十分な周知啓発を行い、必要とする人が利用できる体制づくりを進めてもらうよう要望する。
【委員】
 一般会計予算の第4款福祉医療費、第6項保健医療費と、第5号議案の令和8年度国民健康保険事業特別会計予算について伺う。
 国民健康保険の市町村から愛知県への納付金が新年度予算でも引き上げられる。納付金の引上げは、5年連続になる。5年間の物価上昇率は約12パーセントと言われているが、国保の納付金は、この5年間でどう推移してきたのか、改めて確認したい。
 2026年度の国民健康保険について、1人当たり納付金の額、前年度からの増減、増減に係る主な理由と、主な理由に係る1人当たりの納付金の内訳の額を示してほしい。
 あわせて、5年間のトータルでは幾らの引上げ、何パーセントの引上げになったのかも示してほしい。
【理事者】
 2026年度の市町村国民健康保険納付金について、1人当たりの納付金額は17万7,502円となり、前年度から8,412円の増額となった。
 増加の主な理由だが、過去の医療費実績等を踏まえた保険給付費の推計に伴う1人当たり保険給付費の増加及び子ども・子育て支援納付金の新設によるものである。
 また、1人当たり納付金額の内訳として、保険給付費相当額は、被保険者1人当たり12万964円であり、前年度より3,372円の増額となった。
 来年度から新たに加わる子ども・子育て支援納付金相当額は、納付対象となる18歳以上の被保険者1人当たり4,190円となる。
 2021年度から2026年度の5年間のトータルの引上げについては、1人当たり納付金額が、2021年度は13万6,206円、2026年度は17万7,502円であることから、この5年間で4万1,296円の増額、率にして30.3パーセントの増になる。
【委員】
 新年度の納付金の算定については、プラスとマイナスそれぞれの要素がある。納付金を引き下げる努力もされている。累積剰余金の計画的な取崩しである。昨年度の決算では、実質収支が152億円となり、私は、納付金の取り過ぎではないかと本会議討論で指摘した。取り過ぎた納付金を戻していく、県と市町村とで合意した累積剰余金活用ルールに基づく運用が始まっていると聞いた。
 そこで伺う。
 累積剰余金について、どのようなルールで活用し、総額幾らになるのか。市町村、被保険者へどう返していくのか。2026年度の納付金算定にはどのように反映しているのか。今後の計画も示してほしい。
 そして、2024年度の決算において、なぜ剰余金が現計予算から増えたのか。その要因と今後の対策についても示してほしい。
【理事者】
 剰余金の活用ルールについては、本県と市町村で協議し、納付金の急激な上昇を抑制するため、累積剰余金を原則3年間で活用することなどを定めており、累積剰余金の総額は、2025年度末で約109億円と見込んでいる。
 市町村、被保険者に対しては、この活用ルールに基づき、納付金の引下げに活用しており、2026年度の算定では、累積剰余金約26億円を活用し、被保険者1人当たり約2,300円の引下げを行った。
 今後の計画については、納付金が年度ごとに算定するものであることから、毎年度、市町村と協議の上、ルールを設定し、累積剰余金の活用を図っていく。
 また、2024年度決算における剰余金が現計予算から増えた主な理由は、歳入において国庫支出金が見込みを上回った一方、歳出において市町村に対する保険給付費等交付金が下回ったことによるものである。
 予算の積算に当たっては、過去の保険給付費の実績等を踏まえつつ、市町村ともしっかり協議し、適切に算定していきたい。
【委員】
 逆に、納付金を引き上げた要素の一つが、新しく始まった子ども・子育て支援納付金である。こちらは、国保運営とは全く別のものである児童手当等の財源確保のために、国から支援金の徴収だけが押しつけられたものである。この新しい納付金は、賃上げと歳出改革により、実質的な負担は生じないと法律の附則に明記されていた。ところが、賃上げとはほぼ無縁な国保加入者には、大きな負担を生じるものになっている。
 新年度予算を見ると、愛知県は、国に子ども・子育て支援納付金として80億4,105万円を納付する。市町村からは子ども・子育て支援納付金として43億8,184万円を納めさせる。市町村から集める納付金額は、1人当たり4,190円である。今回の納付金引上げ額8,412円のほぼ5割である。子育て世帯にも重い負担である。
 ところで、1人当たり支援金算定額は、こども家庭庁の試算では、国保では新年度2,400円とされていたはずである。
 子ども・子育て支援納付金について、2026年度は初年度となるが、2027年度、2028年度と負担が増えていくのか、現段階での見通しを示してほしい。
【理事者】
 国は、子ども・子育て支援納付金について、歳出改革と賃上げによる実質的な社会保険料の負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で、2026年度から2028年度にかけて段階的に導入し、各年度の総額を定めることとしている。
 国の試算によれば、市町村国保における一月当たりの被保険者1人当たり支援金は、2026年度は200円、2027年度は300円、そして、2028年度からは400円となる。
 なお、子ども・子育て支援納付金の総額については、子ども・子育て支援関連事業の実施状況といった様々な要因により影響されることから、変動する可能性が十分にある。
【委員】
 負担が増えていくと思う。
 神奈川県は、昨年12月に国の厚生労働省保険局長宛てに、市町村国保組合などと連名で、子ども・子育て支援金制度の創設に伴う支援納付金に係る保険料負担が実質的負担増とならないよう、財政的支援措置の実施等を求める要望書を提出している。
 子ども・子育て支援納付金は、国保加入者にとって重い負担増である。愛知県からも、市町村と共に、負担増にならないよう必要な支援をと、国に迫るべきではないか。答弁を求める。
【理事者】
 今年度、全国知事会から国に対し、こども未来戦略における子ども・子育て支援金制度については、国民に実質的な負担を生じさせないこととされており、子ども・子育て支援納付金が低所得者の過度な負担増とならないよう、国による十分な財政措置を行うことを要望している。
 本県としては、子ども・子育て支援納付金が全国共通の制度であることから、引き続き、全国知事会を通じて、国が責任を持って必要な財政措置を行うよう要望していきたい。
【委員】
 全国知事会という話もあったが、県としても言うべきだと思う。
 財政安定化基金についても伺う。
 愛知県の国保財政安定化基金は、原則、剰余金の全てを積み立てている。制度が変更されて、年度間の財政調整にも活用できる、言い換えれば、保険料の値上げを抑えるためにも活用できるとされたと思う。
 同様の仕組みは、後期高齢者医療広域連合にもあり、愛知県の広域連合では、2年前の保険料改定時に、保険料率の増加を抑えるために、愛知県の財政安定化基金から特例交付を受けた。納付金の引上げで、各市町村では、国保料、税の引上げが続いている。
 愛知県の国民健康保険財政安定化基金は幾らあるか。総額及び1人当たり納付金に換算した金額でも示してほしい。
【理事者】
 本県の国民健康保険財政安定化基金は、2026年度当初において、基金全体で約220億円を見込み、このうち、納付金の抑制に活用できる財政調整事業分は、約109億円を見込んでいる。
 この財政調整事業分について、被保険者1人当たり納付金に換算すると、約9,400円となっている。
【委員】
 一般会計からの補助、法定外繰入れも検討すべきである。
 国保に関して、県は、国に対し、二つ要望している。
 一つは、毎年3,400億円の公費投入では足りない、さらなる財政基盤の強化を求めている。つまり、国に法定外繰入れを求めているわけである。
 もう一つは、地方単独の医療費助成に係る国庫負担金の減額措置の廃止を求めている。障害者医療費助成など、地方単独事業については、本来、国が制度的に対応すべきとしている。
 その一方で、愛知県は、市町村に対しては、一般会計から国民健康保険へお金を入れる法定外繰入れの解消をと強く迫っており、これが市町村国保の値上げの要因となり、市町村からは悲鳴が上がっている。
 名古屋市から愛知県への予算要望では、福祉医療費支給事業の実施に伴い、医療費が増加するとして減額される国庫負担金相当額については、本市が県に対して納付する事業費納付金へ加算されており、被保険者の負担となっている。この事業費納付金への加算の廃止など、被保険者の負担に配慮した支援の充実を図ることとしている。名古屋市は、11億円余りを一般会計から繰り入れている。市町村の切実な訴えに応えるべきである。
 東京都は、市区町村の福祉医療に伴う減額分として、58億円余りを一般会計から国民健康保険へ繰り入れている。
 愛知県も以前は、この減額分相当を市町村へ補助していた。
 そこで伺う。
 福祉医療の実施に伴う国庫負担の減額分として、市町村国保がどれだけ負担しているのか、明らかにしてほしい。少なくとも福祉医療に伴う国庫減額分については、愛知県として一般会計から国民健康保険特別会計に繰り入れるべきと考えるが、どうか。
【理事者】
 福祉医療の実施に伴う国庫減額分は、2026年度では、本県全体で約32億円を見込んでいる。
 福祉医療の実施に伴う国庫減額分に対する本県独自の市町村補助金については、2013年度における補助額が、被保険者1人当たり24円と少額であり、補助金の申請等に係る補助効果や事務負担を検討した結果、翌年度の2014年度から補助を廃止している。
 県では、国要請において国庫減額措置廃止を要望しているところだが、今後も引き続き、国に対し様々な機会を通じて要望していきたい。
【委員】
 国に対してではなく、県としても、その役割、責任を果たしてほしいと思う。
 社会保険料の負担が国政でも焦点の一つになっているが、一番負担が重いのが国民健康保険である。高過ぎる国民健康保険料、税のさらなる値上げを招く納付金を引き上げることは認めることはできない。
 県として必要な公費投入を決断するよう重ねて要望する。
 続いて、第33号議案愛知県児童厚生施設条例の一部改正について伺う。
 海南こどもの国のプールについて、利用者の減少や設備の老朽化が進んでいることを踏まえ、廃止すると理由に挙げている。
 まず、5年間の利用者の推移を示してほしい。
【理事者】
 プール施設の利用者数については、2020年度6,839人、2021年度8,313人、2022年度6,711人、2023年度8,336人、2024年度9,629人となっている。
【委員】
 それなりに利用者もいる。
 海南こどもの国のホームページを見ると、児童厚生施設(児童遊園)―児童福祉法による施設で、児童館のようなこどもを育てる環境を整える目的を持っていると書いてある。
 まず、児童福祉法第1章総則第2条を読み上げてほしい。
【理事者】
 第1項、全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
 第2項、児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。
 第3項、国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
【委員】
 読み上げてもらった第2条に続く第3条では、前2条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、全て児童に関する法令の施行に当たって、常に尊重されなければならないと大事なことが書かれている。
 児童福祉法などを補完するこども基本法の中でも、子供の最善の利益に触れている部分がある。
 基本理念の第3条第4項を読み上げてほしい。
【理事者】
 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。
【委員】
 子供の最善の利益とは、子供に関することが決められ、行われるときは、その子供にとって最もよいことは何かを第一に考えることである。海南こどもの国が児童福祉法による施設であるならば、こうした児童福祉法であったり、こども基本法の内容も尊重されるべきかと思うが、県の認識を伺う。
【理事者】
 海南こどもの国は、児童福祉法第40条に規定する児童遊園であり、児童に健全な学び(後刻訂正)を与えて、その健康を増進し、または情操を豊かにすることを目的とする施設である。
 一方で、こども基本法第2条では、こども施策の定義として、子供の健やかな成長に対する支援を挙げており、海南こどもの国の運営もこども施策の一つであると考えている。
 また、先ほど答弁したこども基本法第3条では、こども施策を行う際の基本理念が定められており、こども施策である海南こどもの国の運営に当たっても、同条に規定される各理念を踏まえる必要があるものと認識している。
 先ほど、児童福祉法第40条に規定する児童遊園であり、児童に健全な学びを与えてと答弁したが、健全な遊びを与えての誤りであったため訂正する。
【委員】
 今、答えてもらったように、こども施策の一つとのことである。その中のプールである。子供たちにとって大事な遊び場の一つである。プールの存続に関わって、子供の意見は聞いたのだろうか。意見表明権の機会があったのか伺う。
【理事者】
 プールの存続について、事前に子供の意見を聞く機会は設けていない。
【委員】
 先ほど、こども施策の一つだと言った。しかし、子供の意見を聞く機会はなかったわけである。
 なぜ意見表明権の機会を確保しなかったのか。
【理事者】
 子供の意見を聴取することについては、どのようなタイミングで、どのようなことを聴取するか、それぞれ必要なタイミングで行うと考えており、今後のプール廃止後における跡地の活用方法については、海南こどもの国を利用する子供や子育て家庭の意見を伺うために、今後、アンケートやワークショップを実施する予定としている。
【委員】
 こども施策の一つであるのだから、廃止した後ではなく、廃止する前に、子供の意見を尊重し、意見表明権の機会を保障すべきである。子供の最善の利益を考える立場に立つなら、プールは廃止すべきではない。地元からは、子供たちが行きやすいプールだったと聞いた。
 ただ、近年は、猛暑であったり、プールが汚かったりで、近隣のプールに行くという人もいたようである。市民としては、きちんと管理された室内のプールでの復活を望む声もあると聞いている。
 廃止するのではなく、子供も含めて市民の声も聞きながら、プール営業再開をすべきではないか。答弁を求める。
【理事者】
 海南こどもの国のプールについては、ピークであった1992年度の約3万人から約3分の1まで利用者が減少している。
 また、設備の不具合による漏水の発生により、今年度の営業を中止したところである。
 長年にわたり利用してもらってきたが、1991年の使用開始から34年が経過し、こうした設備や建物全体の老朽化が著しく、今後の大規模改修等に多額の費用が必要と想定されるため、廃止したいと考えている。
 先ほども言ったが、廃止後における跡地の活用方法については、子供や子育て家庭の意見を聞くために、アンケートやワークショップを実施し、また、地元の関係者の意見も丁寧に聞きながら検討を進めていきたい。
【委員】
 児童厚生施設としての役割を果たすために、子供の権利を保障する、その立場に立って、施設の維持管理、使いやすい施設にすることに力を尽くしてもらうことを求め、質疑を終わる。
【委員】
 予算に関する説明書(1)173ページの(10)災害時歯科保健医療提供体制整備費補助金について伺う。
 今後、発生が想定されている南海トラフ地震に備えて、災害時の歯科保健医療の体制整備は、喫緊の課題ということは承知している。
 そこで、まず、今回の災害時歯科保健医療提供体制整備費補助金の目的について伺う。
【理事者】
 災害時には、歯科医療機関が被災して医療機能が停止すると、長期にわたって治療を受けることが困難となる。このため、避難所における歯科治療に対応することで、被災者の歯と口の健康を維持することができるよう、国の補助事業である災害時等歯科保健医療提供体制整備事業を活用し、本県の災害時における歯科保健医療提供体制を確保することを目的に事業を実施するものである。
【委員】
 国の骨太の方針2025にも、災害時における歯科巡回診療等の推進による医療の継続性の確保についての取組も明記されており、先ほどの説明でも、巡回の歯科診療車を、一般社団法人愛知県歯科医師会と愛知学院大学に配備するとのことであった。
 また、この事業を行うに当たって、災害時の歯科保健医療提供体制を確保するとのことだが、この事業の内容についてどのようなものを考えているのか。
【理事者】
 事業の内容としては、被災地へ携帯用のレントゲンなどの歯科診療機材を運び、避難所において、被災者の歯科治療や口腔ケアを実施できるよう、一般社団法人愛知県歯科医師会と愛知学院大学、それぞれに車両及び診療機材の整備に対する補助を行う予定である。
 また、愛知学院大学には、災害時における歯科保健医療活動に必要な知識や技術を習得するための研修に要する経費に対する補助も行う予定としている。
【委員】
 今年度も同じ補助金を活用して、一般社団法人愛知県歯科医師会に車両整備のために補助していると承知している。来年度も一般社団法人愛知県歯科医師会と愛知学院大学に車両を整備するとのことだが、一般社団法人愛知県歯科医師会には、追加配備となることに加えて、愛知学院大学にも車両等を整備するとのことで、これをどのように活用してもらうのか、県の考えを伺う。
【理事者】
 今年度、一般社団法人愛知県歯科医師会に補助して整備する車両については、県内の被災した歯科医療機関に代わって、治療や口腔ケア指導などを行う巡回歯科診療に活用することを想定している。来年度は一般社団法人愛知県歯科医師会及び愛知学院大学に整備する車両についても同様に活用することを想定している。
 本県では、今後、大規模災害が発生した際に、県内の広範囲に被害が及ぶことが想定されていることから、必要な支援が行き届くよう、複数台の車両を配置することを考えている。
【委員】
 国の補助を活用して今回補助すると考えているが、今後起こると想定される南海トラフ地震を見据えて、これから歯科医師を目指す学生への教育や、災害時にいつでもすぐに出動できるように、限られた器材を用いて、歯科医療を提供できるように訓練するなどして、体制を整えるとのことなので、日頃から十分に活用してもらえることを期待するものである。
 今、どの車両もそうだが、車を発注してから手元に届くまで随分時間がかかる。今年度も1年かかったと聞いている。一般車両と違い、車内の医療機器のしつらえなども個々にカスタマイズする必要があると思うが、配備にはさらに時間がかかることと想定するため、何を取り組むかもしっかりと各所で相談してもらい、使い勝手のよいものにしてもらうこと、また、歯科の巡回診療をするには、円滑に実施するためのチーム編成やチーム構築等も必要になるため、それに必要な人材の育成や確保についてもしっかりと支援してもらうよう要望して、質問を終わる。

請願関係

なし

一般質問

【委員】
 eラーニング型の食品衛生責任者実務講習会について伺う。
 食品衛生責任者実務講習会は、食品衛生責任者の資格を有する人が、食品衛生に関する知識をアップデートするために定期的に受講するものだが、私の地元、清須市の飲食店の人から、名古屋市の知り合いはスマートフォンで講習を受けているのに、なぜ私たちの地域ではできないのか、忙しい合間を縫って会場まで行くのは負担が大きいという相談をもらった。
 実は、約2年半前にも同じ店舗の人から同様の相談をもらい、当時は、名古屋市を除く県内全域でeラーニングが未導入であったため、その経緯を説明し、理解してもらったところだった。
 そこで、まずは現状確認のため伺う。
 愛知県が所管する区域における現在の食品衛生責任者実務講習会の実施形態について教えてほしい。
【理事者】
 食品衛生責任者は、食品衛生に関する新たな知見を習得するため、定期的に実務講習会を受講することとされており、本県においては2年ごとに受講してもらっている。
 食品衛生責任者実務講習会については、本県では、一般社団法人愛知県食品衛生協会に委託し、対面で実施している。また、今年度からは、一般社団法人愛知県食品衛生協会が独自にeラーニングによる実務講習会を実施している。
 なお、当該講習会については、県委託の対面による講習会と同等の講習会として認めている。
【委員】
 県所管区域においても、令和7年度からeラーニングによる実務講習会を取り入れていることが分かった。
 一方で、いまだに現場からなぜできないのかという声が上がるということは、せっかくの新しい制度がまだ十分に周知されていないと感じるところである。
 こうした中、現場の飲食店の人々の利便性をさらに高めるヒントを探るべく、私自身、先行して取り組んでいる名古屋市の担当課へ直接、話を聞き、詳細なデータを確認させてもらった。
 名古屋市では、令和3年度からeラーニングを導入しているが、その実務講習における受講者数と全体に占めるeラーニングの割合の推移に注目したい。
 直近2年で見ると、令和6年度が全体受講者数の2,825人に対して、eラーニング受講者数は1,092人と全体の38.7パーセントだったが、令和7年度は12月末時点で、全体受講者数の2,558人に対して、eラーニング受講者数は1,221人と全体の47.7パーセントと、受講者数の約半数が既にeラーニングを選択している。
 この経年変化から読み取れるのは、一度制度が周知されれば、スマートフォンやPCで24時間いつでも受講できるスタイルへのニーズは極めて高く、急速に定着していくという事実である。もちろん対面での講習には、その場での質疑応答や、直接的な指導といった大切な役割があることも承知している。しかし、深刻な人手不足や原材料の物価高に直面している飲食業界にとって、移動や拘束時間を大幅に短縮できるeラーニングの選択肢は、非常に有効な支援策の一つではないだろうか。
 こうした先行事例の成果も踏まえ、本県においても、飲食店の人々が自身の状況に合わせて最適な受講方法をスムーズに選択できるよう、eラーニングによる実務講習会のさらなる周知普及を期待するものである。
 そこで伺う。
 本県における今年度これまでのeラーニングによる実務講習会の実績、受講者数割合はどのようになっているのか。
 また、今回の現場からの声を一つの契機として、今後、どのようにeラーニングによる実務講習会の周知普及に取り組んでいくのか、当局の見解を伺う。
【理事者】
 今年度の食品衛生責任者実務講習会については、年間95回の開催を委託している。昨年12月末までに89回開催され、1万3,507人が受講した。また、eラーニングによる受講者数は250人であり、受講者全体の約2パーセントとなっている。
 eラーニングによる実務講習会は、今年度から開始されたばかりであるため、受講者はまだ少数だが、その利便性を考えると、今後、希望する人が増加することが見込まれる。
 県としては、今後、eラーニングによる実務講習会についても県のウェブページで案内していく。
【委員】
 大きく二つの項目を質問する。
 まず、児童虐待防止に向けた取組についてである。
 児童虐待への対応は、子供の命と安全を守る上で極めて重要であり、近年は、相談内容も複雑化していると受け止めている。背景には、核家族化や地域コミュニティーの希薄化によって子育て家庭が孤立しやすくなっていること、また、配偶者間暴力、いわゆるDVを子供が目撃する面前DVが心理的虐待として計上されるようになったことや、警察との情報共有協定の整備によって、通告件数が増加していることなど、社会構造の変化と制度的な感度の向上が相まって、相談の件数も内容も年々重くなっているという実態がある。
 そのため、まずは、相談対応件数がどのように推移してきたのか、また、それに対応する専門職員の体制がどのように整えられてきたのかを確認することが重要であると考える。
 そこで、児童虐待防止に向けた取組について、私の地元である一宮児童相談センターの状況も含めて伺っていきたい。
 先日、こども家庭庁から全国の児童相談所による2024年度の児童虐待相談対応件数が公表され、前年度から1,818件減の22万3,691件であったと発表された。これは、1990年度の統計開始以来、実に34年間続いてきた増加傾向が初めて止まったという点で、社会的に注目された数字である。
 一方、2年連続で22万件台という高止まりの状況が続いており、決して楽観できる水準ではない。
 さらに、本県に目を向けると、愛知県の児童相談センターにおける2024年度の相談対応件数は7,289件と、前年度比103.1パーセント、過去最多を更新したとのことである。心理的虐待が全体の62.7パーセントを占め、警察からの通告が56.5パーセントに達するなど、件数が増えるだけでなく、対応の内容も多様化、高度化している実情がある。
 この10年間で、本県の社会情勢や家族形態がどのように変化し、それが相談件数にどう反映されてきたのかを、まず数字で把握することが必要である。
 そこで、本県及び一宮児童相談センターにおける児童虐待相談対応件数について、10年前の2014年度と2024年度の件数を伺う。
 あわせて、児童虐待に対する専門職員数について、同様に、2014年度と現在の体制を伺う。
【理事者】
 本県の児童相談センターが対応した児童虐待相談対応件数は、2014年度は3,188件、2024年度は7,289件となっており、一宮児童相談センターにおいては、2014年度は386件、2024年度は1,224件である。
 また、児童虐待に対応する専門職員数は、県全体では、2014年度は155人、2025年度は368人となっており、一宮児童相談センターについては、2014年度は22人、2025年度は52人の体制となっている。
【委員】
 今の答弁で、本県及び一宮児童相談センターにおける相談対応件数や専門職員体制の推移が大幅に変化していることが理解できた。
 その上で、児童相談所の機能強化を図るためには、職員体制の充実に加え、それを支える施設環境の整備も極めて重要である。
 とりわけ児童相談所は、深刻な悩みや不安を抱えた子供や保護者が訪れる場所であるため、安心して相談できる環境や、職員が十分に力を発揮できる環境を整えることが必要であると考える。
 相談の場において、子供や保護者がどれだけ安心して胸のうちを話せるか、その条件の一つが、適切な面接室や待機スペースなど、プライバシーを確保できる物理的な環境の整備にあると考える。施設の質は、支援の質に直結するものである。また、複雑化、困難化した事案に多角的に対応するためには、弁護士や医師との連携スペースなど、専門職が十分に機能できる環境も欠かせない。専門職員数も増え、順次、職員体制の強化が図られているものと認識している。
 一方で、一宮児童相談センターについては、建物が築58年と、老朽化が著しいことに加え、相談件数の増加に伴う専門職員の増員により、施設の狭隘化が進んでいると聞いている。愛知県の施設長寿命化計画においても、同センターの本館は1966年竣工と記録されており、耐用年数、機能面の両方で抜本的な対応が求められる状況にあることは明らかである。増加し続ける相談への対応や複雑化する事案に向き合う職員が力を発揮するためにも、施設環境の改善は待ったなしの課題である。
 そこで、こうした状況への対応をどのように進めていくのか伺う。
【理事者】
 一宮児童相談センターの施設環境の改善について、2021年4月の一宮市の中核市移行に伴い、県有施設である旧一宮保健所、現在の清須保健所一宮詰所の一部を一宮市保健所として貸与していたが、2025年11月に一宮市保健所が新たに整備され、移転したところである。
 旧一宮保健所については、市保健所の移転に伴い、建物内に活用可能なスペースが生じていることから、今後、このスペースを一宮児童相談センターとして活用する予定としている。
 このため、2026年度には建物の長寿命化改修工事を予定しており、児童相談センターとして必要となる相談室等の整備を進め、改修後の2027年度からの利用開始を見込んでいる。
 改修後は、専有面積がこれまでの2倍近くに拡大し、老朽化や狭隘化の課題が解消される見込みであり、相談室及び心理検査室を、現在の4室から9室へと5室増やすとともに、会議室の増設等を行うことで、相談体制の一層の充実を図っていく。
【委員】
 一宮児童相談センターの移転ということであった。施設面の課題に対応し、相談体制の充実につなげていく上で大変重要な取組であると受け止めている。
 一方で、その効果を十分に発揮するためには、利用する県民に対して、移転に関する情報を分かりやすく、丁寧に届けていくことが欠かせない。児童虐待に関する相談が必要な人の多くは、心身ともに追い詰められた状態にあることが少なくない。そうした人にとって、相談先の場所が変わるという情報の欠如は、相談をためらったり、支援の空白が生じたりするリスクに直結する。
 また、日頃から当センターと連携している学校、保育所、警察、医療機関といった関係機関に対しても、早期かつ的確に移転情報を共有することが、切れ目のない支援体制を守る上で不可欠だと考えている。
 必要な人が迷うことなく相談につながるためにも、移転時期や所在地などについてしっかりと周知していくことが重要であると考えている。
 そこで、移転について、利用する県民にどのように周知を図る予定か伺う。
【理事者】
 現在、一宮児童相談センターを利用している人々に加え、学校や医療機関などの関係機関に対しても、移転時期が決まり次第、速やかに必要な周知を行うとともに、県のホームページや関係市町の広報紙への掲載などを通じて情報提供を進めていく。
 利用する人に混乱が生じることのないよう、丁寧かつ確実な案内に努めるとともに、必要な情報については、できる限り早期にお知らせし、移転後も県民が円滑に相談、利用できるよう、適切に対応していく。
【委員】
 続いて、もう一つのテーマである歯科技工所の届出管理と患者の安全について質問する。
 昨年12月の本委員会において、私は、歯科技工士の人材確保と、歯科技工所が法令に基づき適正に運営されることの重要性を取り上げた。答弁では、県内就業者数は、2024年で1,880人、50歳以上が60.9パーセントを占めるという実態が示された。一方で、若年層への支援や適正管理については、歯科技工士会の取組を支援する国の動向を注視するという域を出ないものだった。
 本日、私が改めて取り上げるこのテーマは、歯科技工士の業界問題にとどまるものではない。義歯、差し歯、インレーといった補綴物は、一度口に入れれば何年も、場合によっては生涯にわたり使い続けるものである。その補綴物を製作する歯科技工所がどのような施設であるか、使用材料や製作過程が適切かどうか、これは、直接患者の健康と安全に関わる問題である。受診者は、補綴物の製作先を自分で選ぶことも確認することも難しく、医療機関と行政の管理に委ねるしかない。だからこそ、届出管理の実態と実効性が問われるのである。
 今日の議論を始めるに当たり、まず、一つの事実を確認したい。
 愛知県議会は、平成25年6月定例議会において、歯科技工所の識別のための番号制度の法制化に向け、早期に取り組まれるよう要望するとの意見書を国に提出している。この意見書が指摘した問題は三点であった。
 第一に、補綴物の委託、製作、材料流通の多様化に伴い、製作過程を追跡、把握する体制の確保が必要であること、第二に届出をした歯科技工所かどうかの識別方法が確立されていないため、無届けの歯科技工所開設者による問題が生じていること、第三に、無届け施設には、国からの重要な文書が届かず、十分な行政指導ができていないことである。
 あれから13年、この間、国の対応は、段階的に積み重ねられてきた。
 令和5年12月、厚生労働省は都道府県等に対し、届出済み歯科技工所の一覧をウェブサイトに公開するよう求めるとともに、都道府県コード、保健所コード、歯科技工所コードを組み合わせた管理番号の付番例を示す通知を発出した。ただし、これは義務ではなく、行政指導にとどまるものだった。
 翌令和6年には、厚生労働省のウェブサイトで、全国の歯科技工所一覧へのリンク集が整備され、届出状況の可視化が進んだ。
 さらに、令和7年8月の第5回歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会において、省令改正による番号制度の義務化の方向性が示された。
 令和8年2月18日に省令改正案が公示され、2月19日からパブリックコメントが実施されている。交付後、今年の10月1日施行が予定されている。この流れは、通知による行政指導から省令改正による法令義務化へと、一段階ずつ確実に高まってきたものである。
 令和8年10月1日に施行が予定されている歯科技工士法施行規則の改正は、まさにこの意見書が求めた識別番号制度を省令という形で実現するものである。都道府県知事等が開設届出時に、歯科技工所番号を通知する義務が生じ、歯科医師が発行する指示書への番号記載も義務化される。
 同時期には、厚生労働省が公益社団法人日本歯科技工士会に委託し、全国全ての届出済み歯科技工所を対象に、実態確認調査のはがきを本年2月中旬頃に発送した。はがきが届かなかった施設は、廃業しているにもかかわらず、届出をしていない可能性がある。
 しかし、ここで立ち返るべきは、この13年越しの制度を愛知県が確実に機能させる準備ができているかという大前提である。情報を届ける先イコール実在する歯科技工所を正確に把握できていなければ、番号も付与できず、はがきも届かず、患者安全の確保に直結する制度が空洞化してしまうと思う。
 本日は、昨年の議論の延長線上で、愛知県として13年越しの制度改正を、患者の安全のために実効あるものとできるか、三点に絞って聞きたい。
 昨年12月の答弁において、愛知県内で就業している歯科技工士は1,880人という数が示された。では、その歯科技工士が働く歯科技工所についてはどうだろうか。
 歯科技工所は、開設時に届出が義務づけられており、都道府県はその情報を管理している。歯科技工士法第21条第2項は、歯科技工所を廃止、休止、再開する場合には、10日以内に都道府県知事へ届け出る義務を明記している。そして、同法第32条第3号により、この義務に違反した者には、30万円以下の罰金が科せられる。
 しかし、廃止や休止の届出がなされないまま施設が閉鎖されれば、歯科技工所の一覧には、実在しない施設が残り続ける。結果として、県が公表する届出一覧は、現時点で実在する歯科技工所の一覧ではなく、かつて開設届が出された施設の情報が累積したリストになりがちである。実際、愛知県のウェブサイトに公開されている歯科技工所開設届一覧表には、廃業等の可能性があるという注記が明記されている。これは、県として一覧表の限界を正直に示してくれているものと受け止めている。
 この状況では、県内全ての歯科技工所に確実に情報を届ける仕組みは成立しない。周知の到達性は、届出先リストの精度に直結するからである。廃止届を出さずに閉鎖した施設は、県として把握しにくくなる。把握が難しい場合、適時の指導、助言につなげにくい、こうした状況が一覧表と実態の乖離を招いている。
 そこで伺う。
 現時点における愛知県内で開設届が出されている歯科技工所数は何件か。
 また、県で公表している歯科技工所開設届一覧表は、どのように運用し、休止、廃止が疑われる歯科技工所の把握のための取組には、どのようなものがあるのか答えてほしい。
【理事者】
 はじめに、愛知県内で開設届が出されている歯科技工所数についてだが、2025年12月末時点で1,201件となっている。
 次に、歯科技工所開設届一覧表の運用についてであるが、本県では、歯科技工所から提出された開設届または廃止届に基づき、一覧表の追加や削除を行った上で、3か月ごとに県のウェブページで公表している。
 なお、名古屋市及び中核市に所在する歯科技工所については、それぞれの市が一覧表を公表している。
 次に、休止や廃止が疑われる歯科技工所の把握についてである。
 歯科技工士法に基づき、歯科技工士は、2年に一度、歯科技工士業務従事者届を県に提出することとなっている。県では、届出の時期に合わせて、県内全ての歯科技工所に対し、歯科技工士業務従事者届の用紙を郵送しており、その際に、宛先不明で返送されたものについては、所管する保健所が現地に赴くなどして、当該歯科技工所の現況を確認し、休止、廃止の把握を行っている。
【委員】
 今回、厚生労働省が委託した実態確認調査は、厚生労働省がホームページで公開中の全国歯科技工所を対象として、営業実態のない歯科技工所を把握するためのものである。これは、違反を検知する手段がないという長年の課題に対して、国が打った初めての積極的対策と言える。
 先ほどの答弁から、県では廃止等の歯科技工所の把握に努めているとのことだったが、国の調査結果が都道府県に共有されるのであれば、その結果を基に、廃止等届未提出施設の確認、台帳更新、公表情報の修正のさらなる強化に努めてもらいたい。
 特に、愛知県では、先ほど答弁の中にもあったが、名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市という五つの政令市、中核市が別立てで届出管理を行っている。県と5市が連携して情報を突合し、全県一体で一覧表を更新してもらえれば、実効性が大きく高まる。
 国は、先ほど言ったように、歯科技工士法施行規則の改正をする検討を行っており、令和8年10月1日からの施行に向けて動いている。この改正の趣旨は、都道府県知事等が歯科技工所の開設届出時に歯科技工所番号を通知する義務の新設と、歯科医師が発行する歯科技工指示書への番号記載の義務化である。
 この制度の意義は二つあると考える。
 一つは、トレーサビリティの確保である。指示書に番号が入れば、どの歯科技工所が製作に関与したか等を追跡、把握しやすくなる。これは、患者の安全を守るための重要な仕組みである。
 もう一つは、一覧表の精度向上である。開設時に番号が付与されれば、活動実態のある歯科技工所を特定しやすくなり、廃止届未提出の問題にも抑止効果が期待できる。
 施行まで約7か月である。愛知県の場合、名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市という5市がそれぞれ独立して届出を管理しており、番号体系の整合を図らなければ、県全体での運用が統一できない。
 そこで伺う。
 既存届出部分を含めた番号の付与及び通知の方法、政令中核市との番号体系の整合、保健所体制の整備、歯科医師に対する周知などについて、どのように準備していくのか答えてほしい。
【理事者】
 歯科技工所番号については、本年10月の施行に向けて、現在、国において番号付与のルールが検討されていることから、番号制度の施行に合わせて国からルールが示される予定となっている。
 このため県では、県内全ての歯科技工所に対し、国から示されるルールに基づき、体系的に番号を付与した上で、各歯科技工所に書面で通知していく。番号を付与する際には、政令市及び中核市と相談の上、番号付与のルールを事前に調整していく。
 次に、保健所における番号管理の体制については、現在、保健所では、歯科技工所の開設、廃止等を台帳管理しているので、歯科技工所固有の番号が付与された後は、台帳に歯科技工所番号を追加し、適切に管理していく。
 また、歯科医師に対する番号の周知方法については、県のウェブページに現在掲載している一覧表にそれぞれの歯科技工所番号を明示するので、歯科技工指示書に歯科技工所番号を記載する際には、この一覧表で番号を随時確認もらうよう、一般社団法人愛知県歯科医師会を通じて周知していく。
【委員】
 10月1日まで、半年程度しかないので、しっかり進めてほしい。
 そして、続いて昨年12月、私は、歯科技工所は県民の医療提供体制を下支えするインフラだと言った。本日は、そのインフラが県民の安全にどう直結するか、五つの観点から整理した上で、県の考えを伺う。
 義歯、差し歯、インレー、クラウンなど口腔内に装着される補綴物は、一度装着すれば、長年にわたり、場合によっては生涯通じて使い続けるものである。そのため、製作過程での使用材料の品質、衛生管理の水準が直接患者の健康に影響する。適切に届出された歯科技工所であれば、行政の指導、確認の対象となるが、届出のない施設については、材料や衛生状態を行政として把握、確認する手段がない。
 二点目、届出のない、いわゆるもぐり歯科技工所については、行政として立入調査を行う起点となる情報がそもそも存在しない。保健所による立入検査は、開設届出を根拠として実施される。届出がなければ、施設の存在を把握できず、適切な指導、検査を行いにくくなるおそれがある。
 厚生労働省は、平成29年の局長通知及び令和5年の最新通知において、無届けの歯科技工所は、構造設備基準を満たしていない等の可能性があり、補綴物等が衛生上、有害なものとなるおそれがあるとして、都道府県等に対し、繰り返し注意喚起を指示している。
 三点目、歯科医師が補綴物の製作を歯科技工所に依頼する際、その歯科技工所が適正に届出された施設かどうかを確認できる仕組みが、現状では十分に整っていない。令和8年10月から導入が予定されている歯科技工所番号制度は、指示書に番号を記載することで、どの歯科技工所が製作したものかを追跡できるようにするものである。番号制度を実効的に機能させ、歯科医師が発注先の歯科技工所の届出状況を確認しやすい環境を整えることが、もぐり歯科技工所の排除と患者安全の確保につながる。
 四点目、届出をしていない歯科技工所には、行政からの通知も歯科技工士会からの情報も直接届かない。感染防止指針の改定、使用材料の安全基準の更新、技術指導、こうした重要な情報が届かないことで、知らず知らずのうちに、さらなる法令違反や技術基準違反が重なっていく可能性がある。情報が届かないから、指導が届かないから、違反が連鎖するという構造は、届出管理の適正化によってのみ断ち切ることができる。
 五点目、最も基本的な問題は、実際に歯科医院を受診する患者には、自分の補綴物がどこの技工所で製作されたものか、また、その歯科技工所が適正に届出されているかどうかを知るための十分な手段がないという点である。患者は、医療機関と行政の管理が適切であることを信頼して治療を受けるしかない。だからこそ、行政による届出管理と実態把握の精度が、直接患者の権利を守ることになる。
 以上、五点を踏まえ伺う。
 第一に、番号制度導入後、無番号または番号不一致の歯科技工所をどのように特定し、実態確認を行っていくのか。
 第二に、先ほど休止や廃止が疑われる歯科技工所の把握のための取組を伺ったが、開設届を出さずに営業している歯科技工所の存在を把握した場合には、どのように対応していくのか。
【理事者】
 無番号または番号不一致の歯科技工所の実態確認の方法について、歯科医師は、歯科技工指示書を記載する際に、開設の届出がされている歯科技工所名を記入することが義務づけられており、本年10月からは、歯科技工所名に加えて、歯科技工所番号を併記することとなる。
 歯科技工指示書を記載するに当たっては、県のウェブページに掲載する一覧表で番号を確認することになるが、無番号または番号不一致の歯科技工所を察知した場合には、速やかに保健所に報告してもらうよう周知を図っていく。
 また、保健所が実施する歯科診療所への立入検査の際、歯科技工所に出した指示書の写しに空欄または不一致の記載が確認された場合には、個別に当該歯科技工所の現地調査や指導を行うなど適切に対応していく。
 次に、開設の届出がない歯科技工所の存在を把握した場合の対応について、現在は、そのような歯科技工所を把握した場合は、保健所が現地に赴き、歯科技工所としての実態があることを確認した上で、速やかに開設届を提出するよう指導を行っている。番号制度導入後においても、引き続き、保健所が現地確認をした上で届出を出すよう指導していく。
【委員】
 今回の三つの質問は、全て一つのテーマに収束する。患者の安全を守るために、届出管理という行政インフラを確実に機能させられるかという点である。そして、その答えは、13年前に愛知県議会が国に求めた意見書の精神を、今度こそ県の実務として体現できるかという問いでもある。
 昨年12月に話した四点の要望に加え、今回新たに二点要望する。
 第一に、令和8年10月の番号制度施行に向けて、県、5市が一体となった統一的な準備体制を構築することである。歯科医師、歯科技工所の双方への十分な周知が制度を絵に描いた餅にしないための鍵である。
 第二に、番号制度を活用して、歯科医師が発注先歯科技工所の届出状況を確認できる仕組みを整備し、もぐり歯科技工所への対応体制を強化することである。受診者は、自分の補綴物の製作先を確認するすべを持たない。行政が管理の質を高めることが、患者の安全と信頼を守ることに直結する。
 平成25年の意見書が求めた識別番号制度の法制化は、令和5年の通知を経て、令和8年10月の省令改正により、ついに法令上の義務として実現する。通知で各自治体の自主性に委ねられた段階から、省令で全国一律に義務化される段階、この転換こそが13年前の意見書が求めた核心の実現を意味する。
 歯科技工所の実態把握と患者安全の確保は、愛知県が13年前から課題として提起してきたテーマである。今回の国のはがき調査、番号制度導入は、その長年の訴えに国がようやく応えた重要な一歩である。
 愛知県として、国の動向に先んじた準備を進め、補綴物を一生使い続ける患者の安心と安全を守るリーダーシップを発揮するよう強く要請する。
【委員】
 二つのテーマに関して伺う。
 まず、一つ目、女性のエンパワーメントと自立支援について、コスメギフトの活用に関して伺う。
 人が生活を営む上で欠かすことができない衣食住、とりわけ食は、命をつなぐ基盤であり、本県においてもフードバンク活動や子ども食堂への支援が進められている。
 そこで、本県におけるフードバンクとあいち子ども食堂応援ステーションの役割の違いは何か、また、それぞれに寄附されている主なアイテムにはどのようなものがあるのか、現状を示してほしい。
【理事者】
 フードバンクとは、食品企業の製造工程で発生する規格外品などを引き取り、福祉施設等へ無料で提供する団体や活動のこととされている。
 一方、あいち子ども食堂応援ステーションは、企業などから提供された食材を一時的に保管し、近隣の子ども食堂へ配布する地域の拠点であり、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会が県の補助を受け実施する、子ども食堂支援事業の一環として認定を行っている。
 また、取り扱っている物品としては、あいち子ども食堂応援ステーションは食料品のみとなっており、フードバンクは、主に食料品を中心としているが、一部の団体で日用品なども取り扱っていると承知している。
【委員】
 子供支援は、家庭支援にもつながる。家庭には、見える貧困だけでなく、見えにくい貧困も存在する。特に、シングルマザーや経済的困難を抱える家庭においては、母親支援が極めて重要である。女性の社会進出が進み、人手不足が課題となる現代において、女性の就労支援や社会参加の後押しは、個人の問題にとどまらず、社会全体の課題でもある。
 そこで、注目したいのが、冒頭に伝えた衣食住のうちの衣の支援、とりわけ、今回は化粧品を活用した支援である。
 女性にとって化粧は、単なる嗜好品ではなく、社会と接点を持つ上での身だしなみであり、自己肯定感や自尊心にも深く関わるものである。
 しかし、経済的に困難な家庭では、子供を優先するあまり、自身の化粧品を購入できないという現実も見受けられる。
 こうした中、一般社団法人バンクフォースマイルズが実施するコスメバンクプロジェクトという取組がある。この事業では、年間約5,000億円規模とも言われる化粧品業界の余剰品を活用し、独り親世帯や女性支援施設等へコスメギフトとして提供している。2024年度実績では、提供商品数約61万個、支援世帯数約6万1,000世帯、連携団体160団体354施設、自治体を通じた配付世帯2,560世帯、これらは、年2回、母の日前後とクリスマス、年末年始を挟んだ期間に送られる。スキンケア、メーク、ヘアケアなど約10点を詰め合わせたギフトを配送している。2025年の1回目では、自治体、母子関連施設や地域NPO団体への配布割合が多くなっている。
 アンケートによれば、利用者の7割以上が30代から40代、世帯収入200万円未満が約7割、年間化粧品購入額5,000円未満が約60パーセント、購入しないが14パーセント。当事者からは、コスメギフトをプレゼントされたことに対し、どうだったかという質問に対して、職場での自信向上、ポジティブな感情の変化、家族との関係改善、自己認識の改善につながったという声が寄せられている。
 県単位で取り組んでいる自治体は、現時点では佐賀県のみと承知している。
 私は、これまでがん患者へのアピアランスケアの推進に取り組んできた。外見の変化が当事者の行動や社会参加に与える影響は、非常に大きいと実感している。その意味で、本事業は、福祉分野におけるアピアランスケアの一環とも位置づけられるのではないだろうか。
 化粧品は、生命維持に直結するものではない。しかし、尊厳と自信を持って社会生活を送るための重要なツールである。
 そこで伺う。
 困窮世帯、とりわけ独り親家庭の母親支援として、化粧品を活用したエンパワーメント支援は有効な取組と考えるが、県としてコスメバンクプロジェクトとの連携を検討してみてはどうか。見解を伺う。
【理事者】
 本県では、生活に困窮する人々への生活支援につながるよう、食料品を中心に支援活動を行っているフードバンクや、あいち子ども食堂応援ステーションと連携、協働し、その取組に助成を行っている。
 一方、生活に困窮する人々へ、今回の化粧品の寄附など、自主的な民間同士の支援の輪が広がっていくことは、意義のあることだと考えている。
 県としては、まずは、こうした団体の活動理念や取組内容を把握した上で、支援のニーズなどを踏まえながら、県内の関連する民間支援団体へ情報提供することなどを検討していきたい。
【委員】
 このテーマについて要望する。
 女性の活躍促進と困窮世帯支援の両立という観点からも、本取組は、新たな自立支援モデルともなり得る。自治体が把握する真に支援を必要とする人々へ確実に届けられる仕組みを構築し、本県においても、このコスメギフトの取組を推進することを要望する。
 続いて、二つ目のテーマ、先ほどの議案質疑にも関連するが、がん教育における外部派遣講師に関して伺う。
 学校教育におけるがん教育の推進は、学習指導要領にも位置づけられており、児童生徒ががんに関する正しい知識を身につけるとともに、がん患者への理解や命の大切さについて学ぶ重要な機会であると認識している。こうした学びをより効果的に進めるために、医療関係者、がん経験者、いわゆるがんサバイバーなどの外部講師を活用し、実体験に基づく生の声を児童生徒に届けることが有効であるとされている。
 愛知県においても、がん教育を実施する際には、外部講師の活用が有効であるとされ、小学校、中学校、高等学校、さらに特別支援学校において、外部講師による授業の実施が推奨されていると承知している。その外部講師を確保するために、保健医療局では、令和元年から外部講師リストを作成し、県教育委員会に提供していると聞いている。
 そこで伺う。
 その外部派遣講師リストは、誰がどこに依頼して作成され、リスト上の外部派遣講師は、どのような基準に基づき、どのような人が選定されているのか、さらに、それらの講師の情報がどのような方法で教育現場に共有され、授業実施に至っているのか、その仕組みについて聞かせてほしい。
【理事者】
 講師リストは、長年、がん教育の講師を務めてもらっている2人のがん治療経験者のほか、健康対策課から、がん診療の拠点病院29か所と、がん患者支援団体10か所に対し、講師の推薦を依頼し、作成している。
 推薦に際しては、がん教育の講師をすることができる人をお願いしており、がん診療の拠点病院からは、がん治療やがん患者のケアを専門とする医師や看護師等の医療従事者が推薦されている。がん患者支援団体からは、団体に所属するがん治療経験者で、全国がん患者団体連合会が実施しているがん教育外部講師のためのeラーニングにおいて、学校でがん教育を行う際の心構えや配慮事項などを学習し、子供たちに分かりやすく自身のがん体験を伝えることができる人が推薦されている。
 講師リストは、毎年12月に県教育委員会へ提供している。リストには、がんの基礎知識や予防・検診、生き方や体験談など、それぞれの講師が講話可能な項目を掲載している。県教育委員会は、そのリストを各学校へ提供しており、外部講師を活用したい学校は、講話可能な項目を基に講師を選定し、直接リストにある連絡先へ電話で依頼して、授業内容等を直接調整する仕組みとなっている。
【委員】
 がん教育では、それぞれの得意分野の共有が必要である。医療者はがんの知識、学校教諭は子供たちのこと、がん経験者はがんの体験に強みを持っている。がんについて児童生徒に伝える際には、単に体験談や事実を語ればよいというものではなく、児童生徒の発達段階に応じて、分かりやすく伝える工夫が重要であると考える。
 しかしながら、全ての講師が必ずしも教育的な伝え方に慣れているとは限らず、専門的な内容に偏ってしまう場合や、意図した内容が十分に生徒に伝わらない可能性もあるのではないかと懸念している。
 一方で、がん教育を受け入れる教職員に対しては、外部講師の活用方法や授業の進め方などについて、国のガイドラインに基づく研修があると聞いている。これまでは、まずは講師の数を確保することが必要だったと思う。その外部派遣講師の活用を進めるため、学校は、リスト掲載やリスト未掲載の外部派遣講師をがん教育現場に活用している。そのリストを教育委員会は、保健医療局から推薦人という方法で受け取っているわけであるが、学校側にとって、リスト活用はマストではない。学校側では、リスト掲載の外部派遣講師に教育現場に来てもらい、授業を行える質が備わっているという安心感で活用していると思う。
 外部派遣講師という大枠で考えると、リスト掲載者だろうが、非掲載者だろうが、おのおのの質は担保されるべきだと感じている。ましてや教育委員会にリスト活用を促す保健医療局は、リストに対しての責任は非常に大きいと考える。その観点で、講師が継続的にスキルアップを図り、授業前の準備や授業後の振り返りを行うことができる体制づくりが必要ではないだろうか。
 実際に、鹿児島県や沖縄県では、外部講師に対する研修や支援体制を整備し、がん教育の質の向上を図る取組が進められている。
 鹿児島県の場合、NPO法人がんサポートかごしまが鹿児島県の予算を活用し、外部講師派遣及び人材育成に関わる委託を受け、事業を行っている。とりわけ外部派遣講師人材育成については、県内在住のがん経験者、家族、医療者を対象に、初期研修、フォローアップ研修を各2回ずつ、専門家実践者による講座形式で開催している。内容は、養成講座受講、個別練習、講義デビューをし、別途派遣講師で互いにアドバイスをしたり、語り手サロンを開催し、質の向上が図れるようにしている。
 沖縄県の場合、特定非営利活動法人沖縄がん教育サポートセンターが鹿児島県と同じようなスキームで行っているが、強調されているのは、派遣前と派遣中の質の保証であり、そのため、琉球大学の専門的助言や、医師、教育関係者の確認が入ることで質の担保を図っているとのことである。
 愛知県における外部派遣講師の質の向上については、保健医療局も出席する協議会でも明確な課題として認識していると思う。
 一方、先日の本会議一般質問におけるがん教育に対する教育長の答弁に、児童生徒ががんの正しい知識を身につけ、命の大切さへの理解を深めることができるよう、がん教育の充実に努めていくとあった。そうであるとすると、派遣講師の質の高さは必然性となる。
 そこで、今後、本県においても外部派遣講師の質を確保するための研修を充実させることが必要であると考えるが、見解を伺う。
【理事者】
 リストに掲載している外部講師については、がん診療の拠点病院やがん患者支援団体からがん教育ができる人を推薦してもらっており、講師の質は十分確保されていると考えている。
 なお、学校におけるがん教育に関する研修については、全国がん患者団体連合会が実施しているがん教育外部講師のためのeラーニングのほかに、文部科学省や県教育委員会で実施されており、教職員のほか、外部講師も対象とされている。
 毎年、健康対策課では、がん診療の拠点病院やがん患者支援団体に対し研修の案内を通知しているが、今後も外部講師に積極的に研修の機会を活用してもらうよう周知を図っていく。
【委員】
 最後に要望する。
 がん教育において外部講師を活用することは、非常に意義深い取組であり、その効果を高めるためには、学校とのマッチングの仕組みとともに、講師の質の担保が絶対不可欠になる。その際には、がんセンター、医学監修の観点、大学、教育監修の観点、当事者団体、教育委員会などの関係機関と連携し、より充実した内容の研修や支援体制を構築していくことが重要だと考える。他県の先行事例なども参考にしながら、関係者と連携、国内随一、海外ともがん分野で連携する愛知県がんセンターの名に恥じぬよう、実効性のある体制づくりを進めてもらうことを要望する。
【委員】
 障害福祉施設の報酬マイナス改定について四点伺う。
 2014年に日本が批准した障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)は、障害のない市民との平等の実現が根幹であり、支援を行う社会的責任が国や自治体にあることを宣言している。
 国連障害者権利委員会は、2022年9月、条約に沿った日本の施策の進捗状況を初めて審査し、総括所見を公表した。委員から勧告が出され、そこで浮かび上がったのは、障害のない人と同等の社会参加という、条約が目指す社会からは程遠い日本の実態である。愛知県も条約の視点からの障害者施策を進めることが大事だと思う。
 今、介護や福祉施設の人手不足が深刻な事態となっている。人対人の仕事で、利用者と向き合い、仕事の悩みや人間関係のもめごと、体力づくり、健康サポートなど、毎日必死に支援している。しかし、そうしたケア労働者の処遇は、他産業と比べても低く抑えられ、取り残されている。
 そこで伺う。
 愛知県での介護や障害者福祉の分野での人手不足、他産業との賃金格差についてどのように認識しているのか。
【理事者】
 介護や障害福祉といった介護関連分野における本県の有効求人倍率は、令和8年1月現在、4.75倍であり、全職業の1.23倍と比較して3.52ポイント高くなっており、県内の介護や障害福祉の現場における人手不足は、大変厳しい状況にあると認識している。
 また、令和6年賃金構造基本統計調査によれば、企業規模10人以上の、決まって支給する現金給与額は、本県の産業区分、医業・福祉においては33万3,100円であり、全産業の36万8,200円と比較して3万5,100円の開きがあることから、人手不足解消のためには、現場で働く人々の賃上げに取り組む必要があると考えている。
【委員】
 開きがあるとのことで、愛知県でもそこは深刻で、賃上げが医療、介護、福祉など、ケア労働者の賃金を全産業並みに引き上げていくことが必要だと思う。そこは、先ほどの答弁で、そのようなことを認識として共有できたかと思う。
 また、こうした分野は、女性が多く働いており、賃金を引き上げていくことが、男女の賃金格差の解消にもつながっていくと思う。
 障害者福祉について、2006年以降の障害者自立支援法以降、営利を目的とした法人の参入が加速した。質より量が重視され、指定基準さえ満たせば、法人格などは度外視になり、様々な法人が参入してきた。重度の障害者の暮らしの場の確保も課題となり、日中支援型のものができ始め、そのグループホームでも営利を目的とした事業者の参入が増加していった。そのような下で、障害者グループホーム、運営大手の株式会社恵の事件が発生した。
 一部の事業所による不適切なサービス提供や不正請求が社会問題化する中で、国は、障害福祉分野における運営指導・監査の強化についてを打ち出した。その中では、都道府県等が実施する運営指導・監査について、特に営利法人が運営する事業所数が急増しているサービス類型については、3年に1回以上の頻度で行うなど、見直しの方向が示された。
 そこで伺う。
 監査、指導の3年に1回の頻度へ体制づくりや再発防止に向け、具体的にどう取り組んでいくのか、新年度予算の中でどう位置づけられているのか伺う。
 また、株式会社恵の教訓についても併せて答弁を求める。
【理事者】
 令和7年度から障害福祉サービス事業所への指導監査を行う監査指導室の職員を3人増員するほか、グループホームに対する運営指導の一部を外部委託して実施している。こうした体制強化により、従来6年に1回程度であった事業所に対する運営指導の実施頻度を、グループホームなど特に増加が著しいサービス種別については、3年に1回実施できるよう取り組んでいるところである。
 なお、グループホームに対する運営指導の外部委託に要する経費については、令和8年度当初予算案に1,197万4,000円を計上している。
 また、株式会社恵のような大規模な不正案件が発生した際には、指導監査を行うに当たり、一時的に大きなマンパワーが必要となることが改めて浮き彫りになった。
 こうした教訓を踏まえ、今年度から新設された障害福祉事業所支援室の職員が監査指導室を兼務することで、大規模な不正事案への対応力の強化を図っている。
【委員】
 この株式会社恵だけの問題で終わらせず、じっくりと検証もしていくことが必要である。職員、利用者へ不利益、人権侵害が再び生じないように、実効性のある再発防止へ力を尽くしてもらいたいと思う。
 今、株式会社恵の事態を理由に報酬を引き下げるという提案が示されていることを聞いた。どのようなものかというと、2025年12月6日に行われた報酬改定検討チームの資料で、就労継続支援B型、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービスについて、サービスの質を担保しつつ、制度の持続可能性を確保する観点から、それぞれの収支差率に応じて、新規事業に限り、2026年度について一定程度引き下げた基本報酬を適用するということである。
 必要なのは、処遇改善のための報酬の引上げである。この国の対応はあまりにもひど過ぎる。福祉の現場からは、一体何を考えているのだろうか、そんなことをしたら、ますます職員が集まらなくなってしまうと怒りの声が寄せられた。
 報酬引下げで困るのは、現場で支援に気持ちを持って働く職員と、地域のニーズに応えて開所したいと頑張っている人々である。そして、一番被害を受けるのは、障害当事者である。
 そこで伺う。
 本来の権利としての社会福祉のために、福祉関係の幾つかの団体から臨時報酬改定での報酬引下げを行わないよう国に要請をと求める要望が出されていると思う。現場の声をどのように受け止めているのか伺う。
 また、報酬引下げはやめるよう国にはっきり言うべきだと思うが、どうか。
【理事者】
 先月2月6日に全国福祉保育労働組合東海地方本部はじめ、5団体の連名による2026年6月臨時報酬改定での報酬引下げをやめるよう国に意見書の提出を求める要請書を障害福祉事業所支援室にて受け取っている。
 昨年12月に国から示された報酬引下げに関し、この要請書において、急に報酬引下げの提案がされた、地域ニーズに応えて開所する事業所の運営に大きな支障が出ると記載されているとおり、現場では、突然の報酬引下げの提案に驚き、事業所の今後の運営に強い不安を持っているものと受け止めている。
 一方で、国においては、今回の引下げは、収支差率が高く、かつ事業所が急増しているサービス類型について、新規事業所に限り臨時応急的な見直しをするものであり、引下げに当たっては、一定の収支差率を確保できる水準となるよう単価を設定するとともに、受入れニーズが特に高い重度障害児者やサービスが不足している地域については、適用を除外するとしている。
 また、この見直しとは別途、障害福祉従事者を対象に、幅広く賃上げを行う処遇改善加算の拡充を措置することとしている。
 県では、国に対し、これまでも障害福祉事業所等が質の高いサービスを継続して提供できるよう、人件費の高騰や物価高騰による事業所等への影響を適切に捉え、報酬改定など必要な措置を講ずるよう要望してきたところであり、引き続き、国の動向を注視しながら、令和9年度報酬改定に係る要望を行っていく。
【委員】
 現場からは不安の声があるわけなのだが、この報酬引下げがさらにこれだけにとどまらず、波及していくのではないかとの声も聞いた。
 福祉保育労働組合の人と懇談を行った。報酬改定でいじめても、営利を目的とした事業所には痛手はない。コストをよりカットする方向に行くだけだ。再発防止へ必要なのは、認可基準の見直し、研修の機会や監査指導体制の強化と改善計画の実施である、と述べていた。
 権利保障の立場に立って現場の声を丁寧に聞き取り、報酬引下げではなく、思い切った引上げを行い、他産業並みの処遇改善を求めてもらいたい。
 国に報酬引下げ撤回ということをぜひ求めてもらいたい。また、人員確保へ愛知県独自の支援、処遇改善につながるよう、独自の直接支援など、手だてを打つことも行うべきと考えるが、どのように考えているのか伺う。
【理事者】
 事業所の人材確保や処遇改善を図るには、処遇改善加算の取得が有効であるが、障害福祉の現場からは、加算の取得に必要な賃金の改善、キャリアパスの設定などの要件が分からないとの声が寄せられている。
 そこで、県独自の支援として、令和6年度から、事業所の人材確保、処遇改善の一助となるよう、加算の取得に係る社会保険労務士等の専門家によるオンラインセミナーの動画配信や個別訪問相談を行っている。
 障害福祉従事者の人々に安心して現場で働き続けてもらうため、より多くの事業所に処遇改善加算を取得してもらえるよう、来年度もこの事業を継続していく。
【委員】
 ケアを支える人々は、人手が足りないが、本当になくてはならない人たちである。一定努力はあるとは思うが、賃上げをぜひ尽力してもらいたい。
 また、障害者の人権を保障し、障害者権利条約、憲法に基づいた障害福祉の拡充を願い、このテーマの質問を終わる。
 続いて、熱中症対策について三点伺う。
 毎年夏になると、命に関わる猛暑日が続く。愛知県の熱中症警戒アラートの発表は、昨年51回となった。最高気温が35度以上の猛暑日は58日だったと県のホームページで公表されていた。
 気象庁は、先月24日火曜日、今年2026年の春、3月から5月、夏、6月から8月にかけての長期予報を発表した。8月にかけての平均気温について、平年より高い見通しだとしている。命と健康を守る対策が必要である。
 高齢者や障害者の生活を支えるホームヘルパーの4分の3が、頭痛や目まいなど熱中症のような症状を経験しているという深刻な実態があることを知った。ケア社会をつくる会が実施し、公表、新聞で報道された炎天下の訪問介護、移動支援についての緊急アンケート結果では、熱中症のような症状が出たことがあるか聞いたところ、よくある11パーセント、時々ある36パーセント、まれにある29パーセントで、4分の3が熱中症疑いの症状を経験していたと答えたそうである。また、具体的な症状、複数回答では、だるさ73パーセント、頭痛58パーセント、目まい34パーセントなど多かったが、嘔吐、意識障害などの報告もあったとのことである。
 災害級と言われる猛暑の中で、ヘルパーにとっても命に関わる問題である。ファンつきベストの支給など、猛暑対策を実施する事業所への支援、熱中症対策へ県としても手だてを取る必要があると考えるが、県の認識を伺う。
【理事者】
 訪問介護等のヘルパーは、利用者の居宅でサービスを行うという特性上、炎天下での移動など、熱中症となるリスクが他の介護サービスと比べて高いことから、各事業所において、ヘルパーの身体的負担を軽減し、熱中症の発症リスクを抑えるための対策を講じることが重要である。
 そこで、県では、毎年、訪問介護を含む全ての介護事業所に対し、熱中症対策の適切な実施について周知を図っている。
 また、昨年12月補正予算で創設した介護サービス提供体制確保支援事業費では、訪問介護事業所が熱中症対策のために購入する物品、例えば、空調ファンつきのベストやネッククーラーなどの購入経費も補助対象としているところである。
 県としては、引き続き、介護事業者に対し、熱中症対策の徹底を呼びかけるとともに、必要に応じて本補助金も活用してもらえるよう、しっかりと周知していく。
【委員】
 活用も周知していくとのことである。
 アンケート結果を報告した記者会見で、ヘルパー歴35年だが、自転車で移動中に喉が焼けて息ができなくなったのは初めて。凍らせた1リットルのペットボトルを抱いて、体を冷やし仕事をしているとヘルパーが告発したということがしんぶん赤旗で報道されていた。夏を迎える前に検討が必要だと思う。
 高齢者や低所得者、障害者自宅へのエアコン設置についても伺う。
 国の発表した令和7年5月から9月の熱中症による救急搬送状況の資料によると、全国の熱中症による救急搬送状況の年齢区分別発生場所については、年齢区分別では、高齢者が最も多く、全体の約57パーセント、発生場所では、住居約38パーセントが最も多く、その次に、駅や道路となっていた。熱中症による救急搬送状況の都道府県別の表から愛知県の状況を見ると、合計6,653人のうち、高齢者は3,595人と半分を占めていた。
 まず、高齢者の熱中症リスクについて、県の認識を伺う。
【理事者】
 高齢者については、一般的に、暑さを感じにくくなる、体温調節が鈍くなる、体内の水分量が減少する、喉の渇きを感じにくくなるなど、若年者と比べ、熱中症になりやすい身体的特性があると認識している。
【委員】
 今、答弁してもらったように、大変大きなリスクがある。
 東京都は、高齢者や障害者がエアコンを購入する際に、8万円分を助成することを決めた。
 命の危険に関わる暑さから守るために、高齢者、障害者、低所得者へのエアコン設置促進へ購入助成を行うべきと考えるが、どうか。
【理事者】
 高齢者へのエアコン設置に対する助成については、限られた財源の中、高齢者という年齢だけをもって一律に助成を行うということは、現時点では考えていない。
【理事者】
 次に、障害者へのエアコン設置に対する助成については、高齢者への助成と同じく、障害のある人に一律に助成を行うことは、現時点では考えていない。
【理事者】
 続いて、低所得者等へのエアコン設置の促進について、生活保護世帯に対しては、生活保護制度により、保護開始時に持ち合わせがない場合などの特別な事情がある場合に限り、一時扶助として7万3,000円の範囲内においてエアコンの購入費用を支給できることとなっている。
 また、生活保護世帯を含む生活困窮世帯や、高齢者世帯、障害者世帯に対しては、国の制度である生活福祉資金により、実施主体である社会福祉法人愛知県社会福祉協議会を通じて、エアコンの購入及び修理費用の貸付けを行っている。この貸付けについては、熱中症による健康被害防止の観点から、昨年度より受付から送金までの期間を、20日間程度から6日間程度に短縮しているところである。
 引き続き、こうした取組により、低所得者等へのエアコン設置の促進を図っていく。
【委員】
 本当に命と健康に関わる重大な問題であるのにもかかわらず、考えていないという姿勢ではいけないと思う。熱中症で亡くなる人もいる。この夏、熱中症で命を落とすことがないようにするためにも、エアコン購入助成は欠かせないと思う。今回、購入助成だけを言ったが、電気代も気になってつけられないという人もいるため、電気代も含めて、そのような支援は必要である。
 愛知県内では、低所得者世帯を対象にエアコン購入助成を行っている自治体は、東海市、清須市、扶桑町である。2025年度に、名古屋市も在宅高齢者エアコン設置助成事業を行った。自治体はこうやって頑張っている。県内全ての自治体で実現できるようにするためにも、県が率先して取り組むことが必要だということを求め、質問を終わる。
【委員】
 若い世代を対象とした妊娠、出産に関する知識の普及について伺う。
 来年度予算で不妊治療についての補助や若い世代のライフデザインを考えるセミナーなどの開催といったことが考えられている。
 また、先日の一般質問における局長答弁の中で、若い世代には、卵子の仕組みや妊娠、出産の視点から、自らの将来設計を考えることができるよう、2015年度から保健所の保健師が大学や専門学校に出向き、動画を用いた健康教育を実施するとともに、その内容を掲載したリーフレットを作成し、成人式などの機会に配布しているとの答弁があった。
 リーフレットには、あなたに伝えたいたいせつなことと題して、副題に、「~からだの中にある、いのちのたまご~」と書いてある。このリーフレットには、これからの人生を考えるときに参考にしてもらえるよう、妊娠、出産に関する正しい情報を伝えたくてこのリーフレットを作ったと裏面にもある。男性には女性の体のことを、女性には自分自身の体のことを正しく理解して、お互いのことを大切にしてほしいと願っていると書かれている。
 これからの人生を考えるときに、卵子凍結を考える前に、また、将来、不妊治療をしなくて済むようにするためにも、妊娠、出産に関することに対しては、早い段階で正しい情報を伝え、そして、女性も男性も自分自身の体のことを正しく理解して、可能であれば、妊娠・出産適齢期に子供を持てるように支援してもらいたいと思っている。
 このリーフレットにも書かれているが、妊娠、出産の最も適した年齢は20代、遅くとも35歳頃と言われている。妊娠、出産における身体的な適齢期があることを、成長過程の早い段階から正しい知識を持ってもらうことが必要なのではないだろうか。卵子も精子も年齢とともに数が減少し、老化や運動機能の低下により妊娠する力は低下していく、このことを若い世代が早めに知って、その上で妊娠、出産を望むのか、いつ妊娠、出産を望むのか、妊娠しにくくなる年齢になる前に、これからの将来設計を考える上での体の中にある命の卵について健康教育をしてもらいたい。
 大学や専門学校、成人式を迎える年齢という、20歳前後の年齢以上の人には、こういった情報が届くかもしれないが、その段階では、もう先の方向性をある程度決めている人が多いため、その年齢に達するより前の中高生のうちから、自分自身の体の正しい情報を伝えて、正しく理解してもらい、体の中にある命の卵について自らの将来設計ができるように、県として積極的に情報発信していくということは、少子化の今、とても大切なことだと思う。
 そこで、若い世代が将来の妊娠、出産について考えることができるよう、県としてはどのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
 保健医療局では、発達段階に応じた生殖に関する知識を提供するため、成人期、高校生、小中学生の年代に分けて健康教育に取り組んでいる。
 成人期の人には、妊娠、出産には医学的適齢期があることや、生殖機能の仕組みについて、より深く学んでもらうために、2014年度に作成したDVDを活用し、保健所の保健師が大学や企業などに出向いて健康教育を実施している。あわせて、DVDの内容を掲載したリーフレットを、多くの若者が集う成人式において配布している。
 なお、このDVDは、各学校において、高校生が健康教育を受ける際に活用してもらえるよう、県内全ての高校に2015年度に配布している。
 また、小中学生に対しては、成長段階に応じた体の変化や命の大切さなどを学んでもらうため、各学校で実施されている健康教室へ愛知県助産師会に所属する助産師を講師として派遣しており、今年度から派遣回数を年10回から年20回に増やしている。
【委員】
 リーフレットもDVDも2015年度に作成したとあるが、10年以上前に作成されたものである。10年もたつと、今の子供たちはスマートフォンも普及しており、いろいろなことが検索できるようになっている。いろいろな情報を自ら得ることはできるが、それが正しい情報なのかどうかが子供たちには判断しかねるところだと思う。
 妊娠、出産に関する知識普及をもう少し早めに子供たちに正しく情報発信したり、知識普及をさらに進めていくためには、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
 妊娠、出産に関する知識普及については、来年度も成人期の人に対するDVDを活用した健康教育や小中学校への助産師の講師派遣を継続していくこととしている。
 こうした取組に加え、今後は健康づくりに取り組んでいる企業にも対象を広げ、妊娠、出産には医学的適齢期があることなど、生殖機能の仕組みに関する情報提供に取り組んでいく。
 また、現在、県のウェブページに掲載している妊娠、出産に関する情報を見直すことで、内容の充実を図っていきたいと考えている。
【委員】
 成人式にリーフレットを配布することも、10年以上も前に作られたものであるため、今後ぜひ見直しをしてもらいたい。
 また、これから見直ししてもらうのであれば、DVDを作成するよりも、スマートフォンでQRコードを読み取り、いつでもどこでも誰でも正しい情報を得ることができるよう普及を進めてもらいたい。
 また、中小企業や学校にもこうした働きかけを行うことが必要かと思う。働きかけたいが、そのようなことに対する時間がなかなか取れない、話に乗ってもらえないということもあると思うため、義務教育や県立高校などの教育課程で取組を進めてもらいたい。
 健康教育は、教育委員会と共に積極的に働きかけてもらいたいということを要望する。
 次に、災害時の医療救護所の支援について伺う。
 私が住んでいる名古屋市では、災害発生時、震度5強以上になると、一般社団法人名古屋市医師会が各中学校へ参集して医療救護所を開設することとなっている。
 大半の市町村が地元の医師会や、または歯科医師会、薬剤師会といった医療関係団体、そして地域の人とともに、医療救護所の設置運営をお願いしていることだと思う。
 これら医療救護所を開設する上での課題として、災害救護では、外科的な処置が必要な傷病者が多数発生することが予測されるため、医療救護所に従事する外科医の医師が必要となってくる。しかし、自分の地元でもそうなのだが、実際には、地域で外科医が不足しているなど、医療救護所における医療従事者不足が懸念されている。
 こうした中、県では、災害時、市町村が設置する医療救護所などに対し、医療的な支援等が行えるよう、災害医療に精通した医師を地域災害医療コーディネーターとして任命し、災害時には、医療支援を行って地域を支えていると承知している。
 そこで、災害時に、県ではどのように市町村が設置する医療救護所の支援を行っていくのか伺う。
【理事者】
 災害時には、市町村が設置する医療救護所において、地域の医師会等の協力による医療救護班により、傷病者の緊急度や重症度に基づき、トリアージによる搬送先の決定や応急処置などが行われる。
 県保健所は、地域における保健医療調整を行うため、市町村や医療関係団体等を構成員とする保健医療調整会議を設置するが、この会議において、市町村から医療救護班の派遣や、医薬品等調達の支援要請があった場合には、地域災害医療コーディネーターの指揮の下、医療機関の被災状況や管内の医療需要、医療救護所の現状等を踏まえ、必要な調整を行い、支援を行うこととしている。
【委員】
 各医療圏でいろいろ状況は違うと思うが、医療救護所から市町村に情報が上がり、その上で、足りないもの、必要だと思われることについて県のほうに要請が入っていくのだと思う。それの連絡体制がどうなっているのか、その連携がしっかり取れているのか、日頃から確認しておいてほしい。
 広域的な災害時の医療支援で、もう一点伺う。
 大規模災害時には、一度に多数の傷病者が発生することにより、被災地の対応力には限界がある。こうした傷病者を被災地外へ搬送することは、県民の命を守る上で重要だと思う。
 愛知県では、2024年2月に、愛知医科大学病院に加えて、藤田医科大学病院に2機目となるドクターヘリを導入したが、ドクターヘリが複数あることで、同時に2件の出動要請が行われた場合にも対応することができるが、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県、近隣の県との連携もあり、そういったところにドクターヘリをどのように飛ばすかについても考えなければならないことだと思う。
 災害時の対応が強化され、非常に心強く思っているが、この2機のドクターヘリの役割分担や、災害時への対応はどのようになっているのか。
【理事者】
 本県のドクターヘリは、出動体制を強化し、県内の救急医療及び災害医療のさらなる向上を図るため、2024年2月から愛知医科大学病院に加え、藤田医科大学病院の2機体制で運航している。
 平時は、愛知医科大学病院が尾張北部、尾張東部、西三河、東三河地域を、藤田医科大学病院が名古屋、あま、知多地域をそれぞれ受け持ち、消防機関からの出動要請に分担して応じるとともに、2機のドクターヘリが緊密に連携し、重複した出動要請に対しては、相互に補い合うことで、全ての要請に応じられるよう体制を整備している。
 また、災害時は、本庁に設置する保健医療調整本部内にあるDMAT調整本部において、航空医療搬送調整が行われ、2機のドクターヘリにより、県内の災害拠点病院や県外の医療機関など、重症患者を迅速に搬送する体制を整えている。
 さらに、本県をはじめとする中部ブロック8県は、大規模災害時におけるドクターヘリ広域連携に関する基本協定を締結し、被災県へのドクターヘリ派遣など、大規模災害時にドクターヘリが迅速かつ効果的な活動を行えるよう体制を強化している。
【委員】
 以前、この委員会で調査に行ったあいち小児保健総合医療センターで小児の重篤な患者を搬送する場合は、藤田医科大学病院のドクターヘリが、センターの医師等を乗せ病院へ搬送していると聞いた。本当に重要なことなので、これからさらに連携体制を強化してもらいたい。
 大規模災害時に、愛知県の各市町村と連絡がしっかり取れるようになっているのか、防災無線が本当につながるのかといったことも、医療救護所と市町村、そして愛知県がマニュアルを見なくても、すぐに連絡が取れるような体制づくりを日頃から行ってほしい。
 場所によっては、防災無線が室内ではつながらず、また、屋外に出たとしても、周りの立地環境によっては、屋外でもつながらない。では、どこに行ったらその防災無線がつながるのか、また、携帯電話は、能登半島地震のときもそうであるが、通信がパンクしてしまうとつながらないという状況に置かれるため、医療体制がしっかりと整えられているのであれば、そこにしっかりと通信がつながるようにしておいてもらいたい。通信機器も、防災無線であれば、どのように使ったら通じるのかということも含めて、日頃から確認しておいてもらいたいと思う。
 また、災害時の医薬品等の供給についても、そういった通信がないと連絡が取れないこともあるため、各市町村と確認を取りながら、発災時の初動が行えるように、机上の空論ではなく、連絡が取れる体制づくりをぜひ進めてもらうことを要望する。
【委員】
 困難な問題を抱える女性への支援について伺う。
 生活困窮、性暴力、性犯罪被害、家庭関係破綻など、複雑化、多様化、複合化する困難な問題を抱える女性を支援するため、令和6年4月1日、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が施行された。
 法では、第8条第1項に、都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県における困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画を定めなければならない、また、同条第3項では、市町村は、基本的な計画を定めるよう努めなければならないとしている。
 そこで、県は、法の施行及び基本計画の策定を通じて、どのような支援を行っているのか、また、市町村の実態はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
 本県では、2024年3月に法律に基づく都道府県基本計画を策定し、女性相談支援センターの機能強化や市町村における相談支援体制の整備、支援者向け研修の充実、民間団体との連携協働による支援の実施など、困難な問題を抱える女性支援の推進に取り組んでいる。
 市町村における基本計画の策定については、昨年度末時点で、県内6市町において基本計画が策定されている。
 市町村においては、男女共同参画計画やDV防止基本計画など関連する他の計画と一体的に策定されることも想定されるため、今後、関連計画の改定時期に合わせて、基本計画の策定が進むものと考えている。
 本県としては、引き続き、市町村に対し、基本計画の策定について働きかけを行っていく。
【委員】
 この法律では、第9条に、都道府県は、女性相談支援センターを設置しなければならないとしている。
 そこで、女性相談支援センターは、どのような業務を行い、相談件数はどれくらいあるのか、相談の方法の種類ごとに答えてほしい。
 また、困難な問題を抱える女性が相談窓口につながることができるために、県としてどのような広報を実施しているのか伺う。
【理事者】
 県女性相談支援センターでは、女性が抱える様々な困難や悩みに対応するため、女性相談支援員による相談に加え、弁護士による法律相談を実施するほか、DVや、帰住先がないなどの理由による一時保護などの業務を行っている。
 また、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、いわゆるDV防止法第3条に基づく配偶者暴力相談支援センターとしての役割も担っている。
 センターの2024年度の相談実績は、面接相談714件、電話相談1万412件、合計1万1,126件となっている。
 相談窓口については、困難な問題を抱える女性の相談は多岐にわたり、女性相談支援センター以外にも複数あることから、相談者の状況に応じた適切な窓口の情報や、関係機関で受けられる支援についての情報を分かりやすく提供するため、2025年3月から県独自のウェブサイト、あいち女性の悩みごと相談窓口ナビを運用するとともに、このウェブサイトを紹介するポスター及びカードを作成し、市区町村役場などの公共施設のほか、スーパー等の商業施設など、多くの人の目につきやすい場所において掲示、配布している。
【委員】
 困難な問題を抱える女性が自立するまでには様々な支援が必要であり、相当な労力がかかると思う。
 そこで、県女性相談支援員はどのような業務を行い、どれぐらいの人数がいるのか、また、どのような研修を実施しているのか伺う。
 加えて、相談員だけでなく、関係各所の連携が必要になってくると思う。県は、どのような対応を行っているのか伺う。
【理事者】
 県女性相談支援員は、困難な問題を抱える女性への面談や電話による相談支援、弁護士、福祉事務所、医療機関などの関係機関との連絡調整などの業務に従事しており、女性相談支援センター及び県内7駐在室、合わせて26人配置している。
 県女性相談支援員に対する研修については、女性相談支援センターにおいて、相談時に必要となる幅広い知識の習得や、他機関との連携をテーマにした事例検討などの研修を実施しており、女性相談支援員の専門性や相談技術の向上を図っている。
 さらに、県では、県内の女性相談支援員や市町村の担当職員に加え、関係社会福祉施設や民間団体の職員も対象とした研修を実施しており、研修の講師に民間団体の人にも協力してもらい、事例検討などを通じて関係機関との連携を深めている。
【委員】
 実際の実務を行う上では、市町村の業務に関わる部分が大変大きいと思う。
 そこで、市町村の窓口はどのようになっているのか、また、県は市町村に対し、どのような支援を行っているのか伺う。
【理事者】
 全ての市町村において相談窓口が設置されているが、女性相談支援員等の専門の相談員が対応している市町村数は、昨年度末時点で32市となっている。自治体の規模によって女性相談件数が少ないなどの理由から、相談員の配置数や女性相談に係る対応などに差が生じていると認識している。
 県としては、困難な問題を抱えた女性が身近な市町村の相談窓口につながるよう、県ウェブページを活用した市町村等の相談情報等の周知や研修などを通じて、市町村の相談支援体制の整備に努めている。
【委員】
 法では、第15条に、地方公共団体は、単独で又は共同して、困難な問題を抱える女性への支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関や困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体等により構成される会議(支援調整会議)を組織するよう努めるものとするとしている。
 そこで、県は、どのように対応し、支援に生かしているのか、また、支援調整会議以外に、現場の声をどのように拾い上げているのか伺う。
【理事者】
 支援調整会議は、多様で複雑な問題を抱える女性を重層的に支援する体制の整備を目的として設置しているものであり、新法により新たに設置を求められたものである。
 会議については、三つの段階があり、まず、県が主催する代表者会議については、県全体の支援体制や施策全体の進捗管理及び評価を行っている。
 次に、女性相談支援センターの七つある各駐在室が主催する実務者会議では、管内市町村や児童相談所、警察署や民間団体等の関係機関による個別ケース全体の定期的なフォローや支援方針の確認を行っている。
 さらには、女性相談支援センター主催の個別ケース検討会議においては、一時保護所や女性自立支援施設入所中のケースに関する状況把握、支援方針の検討を行っており、困難を抱える女性への支援体制強化に努めている。
 また、今年度は、6月以降、定期的にオンラインで民間団体との連携会議を開催し、情報共有や事例検証等の意見交換を通じて、民間団体の声をしっかり聞くとともに、顔の見える関係の構築を図っている。
【委員】
 困難な問題を抱える女性は、県や市町村に直接連絡できる人ばかりではなく、アウトリーチが極めて重要であり、民間団体との連携が求められる。
 法では、第13条に、都道府県は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体と協働して、支援に関する業務を行うものとするとしている。
 この点について、県はどのように認識し、対応しているのか伺う。
 また、法の第21条では、都道府県は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体の当該活動に要する費用の全部または一部を補助することができると明記している。
 そこで、民間団体への助成実績について伺う。
【理事者】
 女性をめぐる課題は多様であり、公的支援の枠組みでは対応が困難なケースも多く、とりわけ若年女性の中には、行政による支援をためらう場合も少なくなく、自ら相談機関にアクセスすることがなかなか難しい現状がある。
 アウトリーチなどは、行政では対応が難しく、柔軟な支援を行う民間団体と連携、協働した支援が必要であると認識しており、そうした活動に対し助成を行うとともに、定期的に民間団体と意見交換を行っている。
 民間団体への助成については、2024年度から二つの事業に対して実施しているところである。
 まず、一つ目は、街頭での声かけや居場所の提供を通じて、支援対象者の早期把握や公的支援へのつなぎ等を行うアウトリーチ・居場所づくり事業であり、2024年度は4団体で300万円、2025年度は2団体で200万円の助成をしている。
 二つ目は、民間シェルターで保護した女性について、退所後もつながり続ける支援を行う民間シェルター入所者等自立支援推進事業であり、2024年度は5団体で300万円、2025年度は5団体で400万円の助成となっている。
【委員】
 今、助成実績を答えてもらったが、こういった民間団体との協働が支援の鍵を握る中で、民間団体は、人員面及び金銭面において運営が大変厳しいと聞く。
 この点について、県の認識を伺う。
【理事者】
 女性が抱える困難な問題は、多様化、複雑化しており、行政だけでは対応することは難しく、柔軟な支援を提供する民間団体と連携、協働して支援していくことが重要であると考えている。
 そのため、先ほど答弁したように、2024年度から、民間団体が実施する事業に対し、助成を行っている。
 さらに、来年度は、民間シェルター退所者や安定した居所がない困難女性のうち、地域での自立生活に向けた支援を必要とする人に対し、一定期間居住できる場所を提供し、3か月から6か月程度の中期的に生活支援等を行うステップハウス提供事業に対しても助成を拡充していく予定としている。
【委員】
 次に、困難な問題を抱える女性のうち、独り親家庭の母親への支援について伺う。
 生活を立て直し、自立のための次へのステップに進むためには、就労に向けた支援が大変重要になる。
 県では、母子家庭等就業支援センターを設置しているが、どのような業務を行っているのか、また、多くの人に活用してもらうため、どのようなことに取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
 母子家庭等就業支援センターは、独り親家庭への支援を専門的に担う社会福祉法人愛知県母子寡婦福祉連合会に委託し設置しており、就業相談や、職業紹介、独り親家庭個々の状況を踏まえたキャリアカウンセリングの実施、就業支援講習会の開催等の就業支援サービスを包括的に提供している。
 県では、支援を必要とする人々に効果的に活用してもらえるよう、支援内容の一覧、就業相談の受付時間、就業支援講習会の科目や日程等を分かりやすく掲載したチラシを作成し、独り親家庭の身近な相談窓口である市町村の担当課や、ハローワーク、関係施設等を通じた幅広い周知に取り組んでいる。
 また、母子家庭等就業支援センターを含む県の独り親支援施策全体をまとめた独り親家庭福祉制度のしおりを作成し、市町村を通じて、新たに独り親となり、児童扶養手当の申請をする方へ対面による配布などを行っている。
 こうした周知に継続して取り組むことで、母子家庭等就業支援センターが取り扱う県全域の就業相談件数は、2024年度実績で延べ5,009件となっており、また、同センターが保有する求人情報等を配信するSNSへの登録者数は、2024年3月時点の約4,600人から、2026年3月時点に約6,000人へと増加するなど、多くの人に活用してもらっている。
【委員】
 独り親家庭支援施策のうち、独り親家庭に対する住宅支援資金貸付金について、今年度から貸付額の上限が月額4万円から7万円に引き上げられた。
 そこで、貸付者数の実績はどのようになっているのか、また、引上げの効果について伺う。
【理事者】
 住宅支援資金貸付事業は、自立支援プログラムを策定し、就労を目指す児童扶養手当受給者等を対象に、最大1年間、住居の借上げに必要となる資金を貸し付ける制度であり、貸付け後に就労を実現し、その後、1年間就労を継続した場合等は、貸付金の返還が免除される仕組みとなっている。
 貸付件数は、2024年度の70件から、2025年度は、2月末現在で84件と増加しており、今年度貸付けを行った人からは、家賃の負担がとても重く、7万円の貸付けは非常にありがたいといった声ももらうなど、長引く物価高騰の影響などにより事業ニーズが高まっているものと認識している。
 本事業は、就業を通じた自立に意欲的に取り組む人にとって、生活支援と就業支援の両面を併せ持った大変意義のあるものと考えており、引き続き、支援を必要とする人が適切に制度を利用できるよう、市町村や母子家庭等就業支援センターなどを通じた事業周知に努めていく。
【委員】
 最後に、数点要望する。
 まず、女性相談支援センターへの相談が対面、電話のみとのことだったが、あいちこころのサポート相談、あいち性と妊娠相談ほっとライン相談、親子のための相談LINEなどは、SNSでの相談を実施している。相談者の心理的負担を減らすため、SNSの活用も検討してもらいたい。
 次に、市町村の相談窓口では、先ほども答弁してもらったが、対応に濃淡があると聞く。というのも、人口の多い自治体では、一定数の相談を受けることから、事例を共有することで相談員の知見が積み重なる一方、相談を受ける件数が少ない自治体では、事例の共有ができず、いざ相談を受けると、とまどいを受けることが多いそうである。また、人事異動等で担当者も変わる。困難な問題を抱える女性は、最後のよりどころとして相談に来るはずである。どこで誰が相談を受けても、一定の支援が受けられるよう、県として市町村へ引き続き十分な支援をしてもらいたい。
 そして、民間団体への支援についても強化をお願いする。令和8年度には、助成対象を拡充すると先ほど答弁してもらったが、そもそも支援を実施している団体が県から継続して助成を受けるためには、前年度の活動に新たな支援を追加する必要があると聞いた。令和6年度より令和7年度の助成団体の数が減っているのは、こういった実態もあるのではないだろうか。当事者に寄り添い、行政では届かないきめ細かな支援が極めて重要な中、民間団体の存在が不可欠である。その一方で、運営が大変厳しいと聞いているため、ぜひ充実した助成を願う。
 次に、独り親家庭の自立に向けては、質問で触れた住宅支援資金貸付金などの貸付金制度、自立支援教育訓練給付金をはじめとした各種給付金制度が極めて大切である。答弁してもらったように、家賃に苦しむ独り親世帯にとっては、今年度、住宅支援資金貸付金が増額されたことは、本当に助かっていると思っている。
 こうした制度のベースとなるのが、児童扶養手当の支給を受けるということになる。この児童扶養手当は、独り親家庭の生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される手当となっており、離婚が成立して子供を監護する場合に受給することができる一方、離婚未成立の独り親は、受給対象にはならない。対象要件には、父または母から1年以上遺棄されている児童、父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童なども挙げられるが、当事者にとってこの条件は極めて厳しいのが現実である。そういったこともあり、支給要件の緩和をぜひ望みたい。もちろんこの部分は、児童扶養手当法に関わることなので、本県独自の対応は難しいということは十分承知しているが、市町村の実態も聞いて、ぜひ国に提言をしてもらいたい。
 来月1日からは、共同親権制度が始まる。共同親権のメリットとして、離婚時の親権争いを回避し、離婚後も両親が共同で子育てに関われることで、養育費の支払いや面会交流が促進される点が挙げられる。
 その一方で、DVやモラハラが継続する可能性や、子供の生活への影響、遠方への引っ越しが制限されることなど、数々のデメリットも挙げられ、質問で取り上げた行政の支援は、今後、さらに重要になってくることが予想される。
 本県が現場の意見を確認しながら支援を実施していることは、今回のやり取りでも十分分かったので、引き続き、今後の動きを注視し、困難な問題を抱える女性をしっかり支援してもらうよう願う。

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