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福祉医療委員会審査状況(令和8年6月23日)
福祉医療委員会
委員会
日時 令和8年6月23日(火曜日) 午後0時58分~午後4時3分
会場 第1委員会室
出席者
鈴木まさと、増田成美 正副委員長
坂田憲治、鈴木喜博、川嶋太郎、田中泰彦、柳沢英希、鳴海やすひろ、村嶌嘉将、
大久保真一、喚田孝博、永田敦史 各委員
福祉局長、福祉部長、高齢・障害福祉監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、同技監兼医務課長、健康医務部長、感染症対策監、
生活衛生部長兼医薬安全課長、
病院事業庁長、病院事業次長、関係各課長等
委員会審査風景
付託案件等
議案
第100号 令和8年度愛知県一般会計補正予算(第1号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳出
第4款 福祉医療費
第101号 令和8年度愛知県県立病院事業会計補正予算(第1号)
第104号 幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定の要件を定める条例等の一部改正について
第105号 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例等の一部改正について
第110号 工事請負契約の締結について(愛知県児童福祉関連施設建設工事)
結果
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第100号、第101号、第104号、第105号及び第110号
請願
第 3 号 「児童相談所による身命に関わる重大虐待事案への不適切な対応の是正及び、児童の生命・人権保護」について
第 4 号 「予防接種健康被害救済制度の周知を求める」について
第 5 号 「おかしくないですか?!日本人、愛知県民、謎の大量死、原因は高齢化でもコロナでも説明できない。ではなにか?!原因追求を求める」について
第 6 号 「未成年の新型コロナワクチン接種後体調不良者への調査を求める」について
第 7 号 「コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査を求める」について
第 8 号 「各市町村、愛知県内の病院に正しくワクチン接種後の副反応疑い報告が行われるよう周知依頼を求める」について
第 9 号 「孤独死・不審死の場合の死亡日決定時においてワクチン接種歴調査を求める」について
第 10 号 「調査せよ。豊川でコロナワクチン接種翌日に13歳男児が自殺。接種後の自殺は各地で起きている。接種後精神に及ぼす影響、被害調査を求める」について
第 11 号 「新型コロナワクチン副反応疑い報告における国の審議会について県として国に委員の一新を求める」について
第 12 号 「予防接種健康被害救済制度申請に必要なカルテの保存期間を5年以上に延長し申請者に寄り添った対応を求める」について
第 13 号 「ワクチン接種後まもなく死亡した遺族が制度を知らず申請できない現状への対応を求める」について
第 14 号 「コロナワクチン接種後の健康被害に係る副反応疑い報告が国に正しく反映され県民への周知が徹底される事を求める」について
第 15 号 「コロナワクチン後遺症や接種後死亡した事例について県として実態調査を行う事を求める」について
第 16 号 「副反応疑い報告が国に報告された事を被害者・遺族へ県や市町村から通知する事を求める」について
第 23 号 「ホルムズ海峡封鎖等の影響による中小業者の経営危機打開の支援策を求める」について(医療関係)
結果
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第3号から第16号まで及び第23号
閉会中継続調査申出案件
- 社会福祉及び社会保障制度の充実について
- 少子化対策及び超高齢社会への対応について
- 保健衛生の推進について
- 保健所及び県立病院の運営について
- 福祉局、保健医療局及び病院事業庁の行政運営について
会議の概要
- 開会
- 議案審査(5件)
(1)理事者の説明
(2)質疑
(3)採決 - 請願審査(15件)
- 委員長報告の決定
- 一般質問
- 閉会中継続調査申出案件の決定
- 閉会中の委員会活動について
- 閉会
主な質疑
議案関係
なし
請願関係
なし
一般質問
【委員】
障害福祉施策の重要な柱の一つに、障害のある人の就労や社会参加を支援し、自立した生活につなげていく、就労継続支援事業がある。その就労継続支援事業の本来の趣旨や理念から逸脱し、障害のある人の自立支援よりも、制度を利用した不適切な利益獲得、言わばお金もうけの手段として、制度の根幹や信頼を揺るがしかねない、極めて重大な事案が大阪市で発覚した。
大阪市に本部のある株式会社絆ホールディングス傘下の四つの就労継続支援A型事業所において、今年3月、大阪市は障害福祉サービス報酬の不正請求があったとして、指定取消処分を行うとともに、大阪市分の不正請求額79億円に加算金を上乗せした約110億円の返還請求を行った。さらに、今年4月30日付けで、関係者らを詐欺容疑で刑事告訴している。
指定取消処分、そして110億円を超える返還請求、さらには刑事告訴という極めて重い対応を取っている。絆ホールディングスグループの大阪市以外の自治体分を含めた不正請求額は4事業所で約2年間で約150億円に上るとされ、障害福祉分野の歴史において、これほどの規模の不正受給事件は、かつてない極めて悪質性が高い、社会的影響も大きい事案である。
その手口は報道等によると、就労継続支援A型事業所の利用者を一般就労として一度、自社のグループ企業の従業員として雇用し、一般就労したかと見せかけて、その後、一定期間がたつと再び利用者として就労継続支援事業所に戻して、その後、また自社の従業員として再度雇用するというもので、グループ企業内で利用者と従業員という立場を繰り返し行き来させながら、一般就労の実績として取り扱い、この事案で一番問題となっている就労移行支援体制加算をはじめとする、障害福祉サービスの報酬算定につなげていたと指摘されている。
しかも、その就職先の多くは自社やグループ企業であり、仕事の内容も場所も変わらず、作業もそのままで、契約上の名義だけが利用者と従業員の間で周期的に切り替えられるという、利用者の一般就労や自立を本気で支援するというよりも、制度上の給付金や加算金など、お金を生み出す仕組みとして利用者が組み込まれ、制度を悪用していたのではないかと厳しい指摘がされている。
現在、違法性については大阪市側と絆ホールディングスグループ側での見解の相違もあって、最終判断は司法の場で行われると思うが、ただ、この問題の本質は、単なる違法性の問題ではなく、本来、障害のある人の自立、あるいは社会参加、就労を支える制度であり、就労支援の成果を評価するものが、それを給付金や、あるいは加算金を生み出す仕組みとして利用されて、制度の趣旨や理念が完全に乖離して、不適切に利用された点である。そして、利用者本人、つまり障害者が支援の主体ではなく、報酬を生む装置のように扱われたことが最大の問題だと思っている。
このような手法や類似のスキームについては、大阪市だけの特殊事例ではなく、全国的にも同様な問題が存在すると指摘されており、愛知県においても同様の実態がないか調査検証し、また、県として、こうした制度の趣旨や理念に反した不適切な運用や制度の悪用に関しては、毅然とした姿勢や対応を取る必要があると思う。
そこで、まず最初に、大阪市で発生した株式会社絆ホールディングスの事案について、愛知県としてどのように受け止めているか、認識を伺う。
【理事者】
就労移行支援体制加算は、一般就労への移行に加え、定着に向けた継続的な支援体制が構築されている事業所を評価する趣旨の加算であり、適切に運用されることが必要である。
大阪市の発表によれば、処分を受けた事業所は、独自の支援方針の下、A型事業所の利用に戻ることを前提にした自社雇用の都度、加算を請求していたとされており、これが行われているとすれば、制度の趣旨に反するものと考えている。
【委員】
この問題の最大のポイントは、違法かどうか、あるいは仮に合法であったとしても、大切なのは制度の趣旨や理念に反していないか、制度の趣旨や理念に沿った制度運用がされているかが一番のポイントであって、そうしたことに対して行政として毅然とした対応や態度を取るということだと思うので、冒頭の答えとしては理解した。
次に、具体的に掘り下げていきたい。今回の事案の問題の根幹となっている就労移行支援体制加算について、愛知県の状況を具体的に伺いたい。
就労移行支援体制加算は、利用者が一般就労に移行し、6か月以上職場に定着した場合に、その一般就労への移行実績を評価して事業所に支給されるインセンティブのような加算だが、今回、一般的なA型事業所の加算算定人数、一般的には就労定着者数というのは、1事業所当たり大体1人から2人、全国平均でも大体1.2人、1.3人ぐらいと言われているのに対して、絆グループの事案では、報道によると、4事業所で延べ1,100人余りを一般就労へ移行した実績として取り扱ったとされている。
単純計算でも1事業所当たり200人を超える規模であるので、一般的なA型事業所と比較しても、極めて突出し、異常な実績であったことから、異常値として注目されて、そこから調査が行われた結果、不適切な実態が明らかになったと言われている。
そこで、愛知県内の就労継続支援事業所について、昨年の全事業所数と、一般就労へ移行した就労移行支援体制加算の対象となった加算算定人数に関して、まず、就労定着者数である。それをそこから1事業所当たりで割れば、1事業所当たりの平均加算算定人数、就労定着者数が分かると思うので、それぞれについて伺う。
また、就労移行支援体制加算の算定人数の実績が多い事業所、上位5事業所について、その算定人数と利用者数、そして加算額は幾らになっているのか。
加えて、定員によってその加算額は算定式が変わってくるが、定員100人を超えるA型事業所で、仮に利用者1人が一般就労に移行し定着した場合、利用人数が250人と300人の場合で、決められた算定式による計算上、どの程度、就労移行支援体制加算が生じるのか、それぞれ答えてほしい。
【理事者】
県所管の事業所について昨年4月1日時点で、A型事業所は94事業所、B型事業所は450事業所の計544事業所となっている。
今年4月の時点で加算届が提出されたA型事業所について、加算対象となる前年度の就労定着者数は316人であり、昨年度の事業所数、全94事業所で平均すると3.4人となる。また、今年4月の時点で加算届が提出されたB型事業所については、加算対象となる前年度の就労定着者数は152人であり、昨年度の全450事業所で平均すると0.34人となる。
続いて、2026年4月の加算届において、1事業所当たりの就労定着者数が最も多いのは155人であり、次は9人の事業所が4事業所となっている。なお、利用決定や給付費の算定は支給市町村ごとに行われるため、利用者数及び加算額については県では把握していない。
続いて、算定式による計算上、どの程度の就労移行支援体制加算が生じるのかであるが、まず、当該加算は前年度において就労定着者数が1人以上いる場合、事業所の運営状況や支援内容に関わる評価点に応じた所定単位数にその前年度実績の人数及び利用者数を乗じた単位数を加算するもので、事業所の規模や体制、所在地等により、算定の基準となる単位数や単位数当たりの金額が異なる。
委員の提示した条件のA型事業所で、1日の利用人数が250人の場合、仮に1単位10円として事業所からの届出の多い評価点の区分で試算すると、加算額は1日につき就労定着者1人当たり5万円となる。利用人数が300人の場合、1日につき就労定着者1人当たり6万円となる。
【委員】
今の質問の一番肝となる、県内で最も就労移行支援体制加算の算定人数が多い事業所では155人との答えがあった。次に多いのが9人の事業所であり、県内の平均が3.4人であった。この一番多い155人を除いて標準化すると1.7人になる。大体全国は1.2人や1.3人ということを考えても、この155人という数字が突出していると思っている。
具体的な人数や加算額は市町村で算定されるため、分からないということであった。仮の試算では、250人の利用の場合は1日につき5万円、300人のところは6万円であった。
この加算というのは、今説明があったように、前年の就労定着者と当該年度の全利用者の1日当たりの基本報酬に上乗せされていく仕組みで、前年の就労定着者の人数と現在の利用者の人数に応じて、掛けていく仕組みになっている。
仮に今答えがあった155人の事業所について、これはあくまでも試算ではあるが、単純計算で試算すると、1日利用人数が250人の場合、それに155人を掛けて、1日当たり、加算で775万円。これを月当たりに換算して、22日開所すれば、1か月で1億7,050万円、1年で20億4,600万円。同様に、1日利用人数が300人の場合で試算すると、1日当たり、先ほど6万円という答えがあったが、155人を掛けると、1日当たり930万円。月22日開所で、1か月2億460万円、1年で24億5,520万円となる。
加算の話について、そもそも障害者が就労継続支援A型事業所に行った場合の1日当たりの給付金が大体平均して7,000円から8,000円である。細かい話になるが、この規模の事業所だと、大体6,000円ぐらいになる。300人規模の事業所で仮に6,000円と計算すると、もともとのベースの給付金が、試算では180万円となることに対して加算が930万円である。
これは制度の問題ではあるが、いかにこの加算が大きいかということになると思う。この試算からも分かるように、就労移行支援体制加算は事業所運営に大きな影響を与える仕組みとなっており、その分、より制度の趣旨に沿った適切な運用が求められる制度であると言える。
ただ、今このように取り上げたが、誤解がないように言っておかないといけないのは、私はこの155人という数字が高いから、即、それ自体が不適切だというつもりは毛頭ない。むしろ、障害のある人が一般就労し、さらに、6か月以上定着して安定して働き続けるのであれば、それは利用者本人にとっても大変喜ばしいことでもあり、それは事業所の極めて優れた実績でもあり、支援の成果として、本来、高く評価されるべきものである。
一方で、重要なのは単に何人就労したかという数字だけではなくて、仕事の内容や定着など、その就労の内容や実態である。その先で安定して働き続けること、社会参加や自立につながること、そして利用者本人の希望や人生の実現につながることこそが制度の趣旨であり、重要なことである。
今回の株式会社絆ホールディングスの問題も、一般就労した人数が多かったこと自体が問題ではない。その後にある就労の実態がそうした制度の趣旨や理念に反していて、加算取得が優先された、加算の手段として利用されたのではないかということが問題視されたわけである。
そうした中、今現在、全国的にも絆ホールディングスグループの件を受けて、同様の事案がないか確認や検証を進めている自治体もあると聞いている。また、愛知県内の日々真面目に真摯に取り組んでいる障害福祉関係者からも、愛知県の状況について関心や不安の声が私の元にも寄せられている。
繰り返すが、私は不正や不適切かを決めつけるつもりはない。しかし、県内で突出して高い実績を持つ事業所については、一般就労後の仕事内容や定着や就労形態など、就労実態が制度の趣旨や理念に沿ったものになっているかどうかを確認することは、制度の信頼を守る上でも私は必要だと考える。
そこで伺う。
県内の就労移行支援体制加算の算定人数が多い事業所に関して、一般就労へ移行し、加算対象となった状況について、まず、一般就労した利用者の1年後の職場定着率及び離職率はどうか、次に、一般就労後離職した利用者のうち、再び就労継続支援事業所を利用した人は何人で、その割合はどの程度か。また、そのうち、同一法人または関連法人が運営する事業所を再び利用した人は何人で、その割合がどの程度であるのか。
一般就労した利用者について、就職先及び関連会社やグループ会社への就職割合はどの程度か。また、特定の企業や法人への就職が集中している状況はないのか。
そして、一般就労後も同一または類似した業務に従事している状況はないかなど、事業所から一般就労した利用者の仕事内容や就労形態について県として把握しているのか。
【理事者】
就労移行支援体制加算は、当該事業所から一般就労へ移行し、6か月以上就労を継続している人がいる場合に加算されるもので、県は事業所から提出された国が定める様式の加算届から、加算の算定対象となる利用者の人数や就職先事業所名等の情報を把握することができる。
質問のうち、一点目の一般就労移行1年後の定着率や離職率、二点目の就職後における再度の就労継続支援事業所利用状況及び四点目の一般就労した利用者の仕事内容や就労形態については、制度上、届出事項となっていないため、把握していない。
三点目の関連会社やグループ企業への就職割合については、加算届に記載された就職先事業所名のみから関連会社やグループ企業であるかどうかを正確に把握することは難しいところである。また、特定企業への集中については、一部、複数の人が同一の企業等に就職しているケースも見受けられるが、訓練内容や地域によっては就職先となる企業等が少ないなどの事情がある場合もある。
【委員】
就労移行支援体制加算の対象者の一般就労後の就労実態については、制度上、届出事項になっておらず、把握していないとのことであった。
ただ、今聞いたことは、答えにもあったように届出事項ではないので、通常の業務、システムでは把握すべきことではないし、監査等、特別な理由がない限り、能動的に調査することではないのは分かっているので、現時点での回答ではこう答えるしかないという一定の理解はしている。ここで言いたかったのは、今のこのケースにおいて私が今聞いてきたような、就労実態を確認する必要はあるということである。
今回の株式会社絆ホールディングスの事案では、まさに一般就労後の定着状況や離職後の動向、さらには就職先の実態や関連法人との関係など、就労実態が問題となったわけである。この就労実態こそが制度の趣旨や理念に沿っているか、そして不適正な状態でないかというこの事案の最も重要なポイントである。
先ほど言ったが、私は県内で突出した実績を持つ事業所について、不正や不適切だと決めつけるつもりはない。仮に155人もの人が一般就労し、その後も安定して働き続けているのであれば、それは極めて優れた取組であり、大いに評価されるべきものである。
制度の趣旨や理念に沿った支援が行われ、その結果として優れた成果が生まれているのであれば、その実践は県内の他の事業所にとっても大いに参考になるものであり、愛知県として、モデル的な事例として横展開して、広く発信していくべきものだと思う。
ただ、一方で、もし制度の趣旨から逸脱した運用や不適切な実態が確認されるのであれば、それは適切な指導や改善につなげなければならない。だからこそ、この実態をきちんと確認することが私は重要だと考える。つまり、確認や検証は、制度への信頼を守るために必要なものである。
また、今回の株式会社絆ホールディングスの事案を受けて、全国的にも同様な事案がないか確認が進められている中で、愛知県としても県民や利用者、そして真面目に障害福祉に取り組んでいる事業者に対して、愛知県はしっかりと確認しているという姿勢を示すことが重要である。
そこで、株式会社絆ホールディングスの事案を受けて、愛知県として、県内の就労継続支援事業所で、特に就労移行支援体制加算の算定実績が高い事業所を中心に、就労実態などを含めて制度、趣旨や理念に沿った運営が行われているか、逸脱した不適切な運営やスキームの実態がないかなど、確認、検証を行う考えがあるか。
【理事者】
県では、就労継続支援事業所を含めた障害福祉サービス事業所に対し、障害者総合支援法に基づき、実地による運営指導を定期的に実施しており、それに加え、苦情や通報、加算の状況などで不適切な運営が疑われる事業所に対しては、状況に応じて運営指導を行い、人員や運営基準、加算における各種記録の整合性を確認するなど、事業所が加算算定の要件を満たしており、適正な運営が行われているかを確認している。
その結果、不正の疑いのある事業所については監査を行い、重大な運営基準違反や不正請求等があった場合には、改善勧告などの行政指導や指定取消しなどの行政処分を行うこととしている。
なお、本来の制度趣旨と異なる形で当該加算の算定を行う事業所の存在は国も問題視しており、令和9年度の報酬改定に向けた検討会議において、改めて加算の在り方に関する議論が行われると聞いている。
県としては、こうした国の動向を注視するとともに、事業者に対する適切な指導に努めていく。
【委員】
最後に、要望や意見を言う。
若干一般論的な答弁ではあったが、現時点ではそれが精いっぱいな答弁かと思っている。今後、しっかりと調査や検討をして、適切な対応を願う。
今回の株式会社絆ホールディングスの事案の本質は、障害者の就労支援の制度の趣旨や理念から逸脱した運用が行われ、利用者や制度がお金を生み出す手段として不適切に利用され、障害のある人の自立支援という本来の目的が置き去りにされ、金もうけが目的化されたことである。
障害福祉制度は、障害のある人の自立や社会参加を支援し、一人一人の可能性を広げるために設けられた制度であり、制度は利用者のために存在するものであって、利用者が制度のために存在するのではない。
しかし、残念ながら、今回の事案に限らず、これまでも障害福祉分野においては、制度の目的よりもお金もうけすることを優先し目的とする事案が、全国で発生してきた。
もちろん、大多数の事業者は、日々真摯に利用者支援に取り組んでいる。今回のような事案が発生すると、利用者のために日々努力し、頑張っている事業者まで疑いの目で見られてしまい、私はそれが何より残念で仕方ない。そして、一部の不適切な事例によって、そうした真面目に取り組んでいる事業者や制度への信頼が損なわれることがあってはならないと考えている。
だからこそ、愛知県として、制度の趣旨や理念から逸脱した運用に関しては毅然とした姿勢で臨むことが重要であり、愛知県が制度の趣旨に反する運営は認めない、あるいは利用者本位でない運営は許さないという明確なメッセージを発して、適切な確認や指導を行っていくことが不適切な運営の未然防止や抑止にもつながると考える。そして、それは結果として、真面目に利用者支援に取り組んでいく多くの事業者を守ることにもつながる。
一方で、私は障害福祉サービス事業者が利益を上げること自体は決して悪いと思っていない。むしろ、事業者が適切な利益を確保し、経営を安定させることは、職員の確保や処遇改善、サービスの質の向上につながり、障害福祉サービスを持続可能なものにしていくためにも必要不可欠である。福祉サービスだから利益を出してはいけないという考え方ではなくて、良い支援を行い、その対価として適切な利益を得ることは当然であり、むしろ評価されるべきことである。
問題なのは、利益を上げることではなくて、利益を上げる手段、上げ方である。利用者一人一人に寄り添い、質の高い支援を提供し、その結果として適切な利益を得ることと、制度の隙間やルールの逸脱によって利益を追求することとは全く異なる。だからこそ、県には障害福祉制度が本来の趣旨や理念どおり機能しているかどうかを常に検証し、不適切な事案には厳正に対応する必要があると思う。
そうした中で、単に監査や実地指導の体制強化や件数を増やすことではなくて、監査の視点の見直し、あるいはリスクに応じた監査の効率化、重点化に変えていく必要があるとも考えている。AIやデータ分析も活用し、限られた人員の中で、異常値やリスクに着目した実効性の高い監査、実地指導につなげてほしいと思うし、また、事業所に関する情報公開、透明性を図ることも必要だと思っている。
現在、事業所については定員や支援内容など一定の情報は公表されているが、今回問題となっている一般就労への移行実績や就労の定着の状況については、十分に分かりやすく公開されていない。こうした情報を適切に公開することは、利用者や家族の事業所選びに役立つだけではなくて、真面目に利用者支援に取り組む、成果を上げている事業者が正当に評価されることにもつながる。また、行政による監査や指導だけではなく、利用者や社会などの、多くの目による確認や評価にもつながり、制度の透明性や信頼性の向上に資するものと考える。
あわせて、利用者本位の質の高い支援を行っている真面目に利用者支援に取り組む事業者が正当に評価される環境づくりに取り組んでほしい。
この件で忘れてはならないのは、一番の被害者は利用者だということである。株式会社恵の件でも問題になったように、事業所の指定取消しや事業停止が行われると、利用者は慣れ親しんだ施設や環境や支援者との関係を失い、新たな受入先を探さなければならない。障害のある人や家族にとって、その負担は非常に大きいものがあると思う。障害福祉の制度の主役は、事業所でも行政でもなく、障害のある人本人である。
最後に、制度の信頼を守りながら質の高い支援を行う事業所が適正に評価され、障害のある人一人一人の可能性や希望が実現できる障害福祉の実現に向けて、引き続き取り組むことを強く要望して、私の質問を終わる。
【委員】
近年の訪問看護が置かれている状況について質問する。
訪問看護は、戦前に民間の病院がボランティア的に始めたのが最初と言われている。その後、1983年に患者の退院後の訪問看護が健康保険の適用対象となり、公的制度の基礎が整ったことをきっかけに加速し、老人訪問看護ステーション、老人訪問看護制度が創設され、本格的にスタートとなり、1994年の健康保険法の改正によって、高齢者以外の全年齢にも訪問看護が拡大され、2000年の介護保険制度の導入によって、医療保険と介護保険の両方で訪問看護が利用できるようになった。
訪問看護が置かれている現状は、年々増加する高齢者だけではなくて、医療的ケア児や精神疾患のある人、難病患者など、幅広く利用されている状況であるが、少子・高齢化の加速や、住み慣れた地域で最期を迎えたいといった在宅医療のニーズから、その需要が高まっていると言われている。
そのような時代の流れから、訪問看護への需要が高まっている一方で、精神的にも体力的にも非常に大変な看護職の業界では、慢性的な人手不足や、小規模事業所などの経営困難、看護職員の定着が厳しいといった全国的な話を聞いている。
そこで、愛知県の状況を伺う。
まず、県内の訪問看護事業所の数を教えてほしい。そして、直近の介護保険の訪問看護の利用見込みと実績及び今後の利用見込みについて教えてほしい。
【理事者】
愛知県における直近の2026年4月1日時点の訪問看護事業所の数であるが、介護保険の指定を受けて開設する訪問看護事業所、いわゆる訪問看護ステーションが1,380事業所、病院、診療所が開設する訪問看護事業所が5,789事業所、合計で7,169事業所である。
また、2024年度の介護保険での訪問看護の利用見込みは、愛知県高齢者福祉保健医療計画において、回数だが、453万7,369回としているところ、実績は458万6,594回と、見込みを4万9,225回上回っている。
また、今後の利用見込みについては、2026年度のサービス提供見込量は497万9,399回となっている。
【委員】
直近のデータから介護保険での利用見込みよりも約4万9,000回利用が多かったことと、見込みが増加していくことが分かった。
近年の国の動向を見ると、急速な高齢化と人口減少に対応するため、従来の病院完結型から、地域の医療機関や介護施設などが連携して患者を支える地域完結型に転換していることが分かる。
そこで伺うが、訪問看護を受けながら、住み慣れた地域で暮らしていくためには、身近な地域での訪問看護事業所の確保が必要となる。県内11の老人福祉圏域のうち、訪問看護事業所数が最大と最小の圏域の状況を教えてほしい。あわせて、県内の訪問看護に従事する看護職員数と、県内11の二次医療圏のうち、最多と最少の圏域の状況を教えてほしい。
【理事者】
県内11の老人福祉圏域のうち、2026年4月1日時点の訪問看護事業所数が最大の圏域は名古屋・尾張中部圏域で2,621事業所、最小の圏域が東三河北部圏域で47事業所となっている。
【理事者】
隔年に実施される業務従事者届では、看護職員の従事場所が集計されている。訪問看護事業を行う施設は、訪問看護ステーション、病院、診療所など多岐にわたるが、本届出において把握できるのは、訪問看護ステーションに従事する看護職員数である。
2024年の業務従事者届によると、訪問看護ステーションで主に従事する看護職員数は県内で8,005人であり、最多の圏域は名古屋・尾張中部医療圏で4,117人、最少の圏域は東三河北部医療圏で11人となっている。
【委員】
最小圏域と最大圏域では事業所数で約56倍の差で、看護職員数では約374倍の差があることが分かった。
人口数によって需要見込みの数も変わってくるので、一概にこの数字から過不足については正確に読み込むことができないが、需要数が少ない過疎地においては、移動だけでも多くの時間を費やすことは必須であって、また、患者の身の回りの世話をするヘルパーなどの人数も少ないということを考えると、訪問看護師の患者に寄り添う時間が自然と多くなるといったことも予想ができる。
愛知県以外の過疎地においては、現実に訪問看護師が自分の業務内容以外のことを患者のためにしているという話も報道であった。地方に行けば行くほど、訪問看護師1人にかかる精神的負担も体力的負担も大きいと聞いている。
そこで伺うが、訪問看護については、臨床の経験等、高い判断力が求められる上、待機当番といったオンコールの対応や、人員不足により1人で訪問するといったプレッシャーなども大きく、身体的な負担に併せて精神的な負担もあり、担い手となる看護師が少ないという話も聞いているが、愛知県としてどのように対応をしているのか教えてほしい。
【理事者】
愛知県では、訪問看護の担い手となる看護職の確保のため、普及啓発、離職の防止と資質向上、再就業の支援に取り組んでいる。
まず、普及啓発に関する取組として、2005年度から公益社団法人愛知県看護協会に委託し、在宅医療に関する研修会を開催している。こちらでは、看護職を対象に訪問看護の実際や魅力をテーマに講演などを行い、訪問看護への理解促進を図っている。
次に、離職防止と資質向上に関する取組として、2016年度から新任看護職員が先輩職員と訪問看護に同行した際の人件費について、訪問看護ステーションに対して補助を実施している。加えて、2023年度からは、看護経験豊富なプラチナナースが新任看護職員と訪問看護に同行する、公益社団法人愛知県看護協会の事業に対する補助を実施している。
また、再就業の支援に関する取組として、愛知県ナースセンターを公益社団法人愛知県看護協会に委託し、訪問看護ステーションからの求人、求職の登録、情報の提供、就業のあっせん等を実施している。
これらの取組の成果として、業務従事者届によると、本県の訪問看護ステーションで主に従事する看護職員数は、2004年度は1,227人であり、看護職員全体の2.1パーセントから、直近の2024年度には8,005人で、全体の9.1パーセントとなっており、年々増加していることが確認できる。
【委員】
愛知県では、担い手確保のために尽力していることが大変よく分かった。訪問看護師の確実な実数をカウントするというのは、看護師の働く環境上、とても難しいと打合せでも聞いたが、そうであれば、看護師全体の人数確保がまずはベースになると思うので、しっかりと実績を上げており、また、愛知県は全国的にも訪問看護においてはまだ比較的高い水準にあると思っているので、そこは感謝を述べる。
しかしながら、高齢化がピークを迎えるのは2040年であって、その間も進む今の病院完結型から地域完結型への流れを見ても、不安は全部が拭えるわけではない。
2040年に高齢化のピークを迎えることとなるが、今年度は愛知県において、2027年度からの3年間を計画期間とする第10期愛知県高齢者福祉保健医療計画を策定すると聞いている。訪問看護の提供体制の確保に向けて、どのような考えで計画を策定していくのか。
【理事者】
今後、2040年に向けて高齢者が急増するとともに、特に医療を必要とする後期高齢者の人口も高い水準で推移することから、在宅療養を支える訪問看護の需要は、今後高まっていくと認識している。
県ではこれまで、愛知県高齢者福祉保健医療計画に基づき、訪問看護を含めた介護保険サービスの充実や在宅医療の提供体制の整備を進めてきた。今年度策定する第10期計画では、2040年を見据えて、市町村との緊密な連携や医療計画との整合性を図りつつ、訪問看護の提供体制の確保を含めた全ての介護サービスの円滑な提供に向けて、人材確保や介護現場における生産性向上などの具体的な施策も盛り込みながら、計画を策定していきたいと考えている。
【委員】
今後、高齢者が増加していく中で、医療提供の在り方も大きく変わると予想されるが、都市部と地方部で大きな格差が出ないことと、看護師の声をしっかり吸い上げてもらって、担い手不足による医療サービスの低下といったことにならないよう、また、各市町村ともしっかりと情報交換をしながら、極力、正確な数字の把握に努め、より精度の高い計画づくりに引き続き尽力をしてほしいということを願い、私の質問を終わる。
【委員】
障害児者の歯科診療の推進について伺う。
生涯を通じて自分の歯で何でも食べることのできる歯と口の健康づくりは、全身の健康づくりの土台であり、県民の健康で質の高い生活の実現に欠かせないものである。これは、県が掲げる健康寿命の延伸や健康格差の縮小といった政策目標に直結する、極めて重要なテーマでもある。
本県では、2001年3月に健康日本21あいち計画を策定し、その後、第2期計画を経て、現在は第3期健康日本21あいち計画において、それまでの取組の評価から明らかになった健康課題に対する取組とともに、人の生涯を経時的に捉えたライフコースアプローチや、誰もが無理なく健康づくりに取り組めるような自然に健康になれる環境づくりなどの新たな視点を加えた計画を推進しているところである。
また、歯と口の健康づくりの推進については、2013年3月に制定されたあいち歯と口の健康づくり八〇二〇推進条例に基づいて愛知県歯科口腔保健基本計画を策定し、現在は第2期の計画において取り組んでいる。
今回は特に、本人の意思のみで口腔内の健康保持や機能の獲得、維持、向上が困難な障害児者の歯科診療について伺う。
20年ほど前になるが、ダウン症や自閉スペクトラム症、ADHD、知的能力障害を持つ子供の親の会の人をはじめ、統合失調症、高次脳機能障害等の障害者団体の人々から、障害者が身近で治療を受けられる歯科医療機関が少なくて大変困っているとの切実な要望をもらったことがあった。
蒲郡市では、平成21年7月に地元歯科医師会に協力してもらい、蒲郡市保健医療センター内に障がい者歯科診療所を開設することができ、現在では毎月3回、木曜日の午前9時から午後1時まで、歯科医師会の先生たちに対応してもらっており、障害者の家族や施設の皆に大変喜んでもらっている。患者は年間36日開催のうち約500人ほどという状況になっていて、うち2割ほどは市外からも受診する状況となっている。
障害のある人や、その家族、施設関係者にとって、歯科医療を安心して受けられる場所が身近な地域に存在することは、生活の質を大きく左右する極めて重要な基盤でもある。愛知県は第2期愛知県歯科口腔保健基本計画において、誰でも定期的な歯科健診や歯科医療を受けられる環境の実現を掲げており、このことは受診する側の努力ではなく、受け入れる側の体制整備こそが決定的に重要だと考える。
障害児者の歯科医療は、障害の特性の理解とともに、高度な専門性や特殊な設備、多職種連携、長い診療時間等、一般歯科とは異なる対応が必要とされ、市場原理だけでは成り立ち得ないものだと思っている。だからこそ、県が明確な方針を持って環境整備に努めなければ、計画に掲げた目標はかなわないと思う。
そこで、順次、障害児者の歯科診療の現状と認識、今後の整備方針等について伺う。
一つ目に、人材育成、対応可能な歯科診療所数、割合等々について伺う。
障害児者の歯科診療に当たっては、先ほども言ったように、障害の特性等の理解、また、高度な専門性が必要とされ、第2期基本計画では、障害児者の歯科に従事する歯科医師、歯科衛生士の人材育成を推進するとされている。
そこで、これまでの人材育成の取組はどのようになっているのか。あわせて、現在、県内で障害児者の歯科診療が可能な歯科診療所は何か所あるのか。また、それは県内歯科診療所数のどの程度の割合となっているのか。更に、障害児者の歯科診療が可能な歯科診療機関がない市町村はどの程度なのか伺う。
【理事者】
本県では、身近な地域で障害児者の歯科診療を行うため、歯科診療所と本県が養成する障害者歯科認定協力医のいる歯科診療所が連携し、対応している。そこで、対応が困難な症例については、障害者歯科医療センターや、さらに高次の医療機関で受入れを行う障害者歯科医療ネットワークが構築されている。
県は、愛知県歯科医師会に委託している障害者歯科医療ネットワーク推進事業において、2006年度より障害者歯科認定協力医を養成するための研修を開催している。障害者歯科認定協力医は本県独自の制度で、研修や臨床実習等を修了した者に修了証が授与されるものであり、これまでの研修修了者数は417人である。また、歯科衛生士も障害者歯科医療の知識が必要なことから、歯科医療従事者向けの講演会を開催し、資質向上に努めている。
障害者歯科認定協力医がいる障害児者の診療が可能な歯科診療所は、2025年度末現在で193か所となっており、2025年10月1日現在の県内全歯科診療所に対する割合は約5.3パーセントである。このほか、困難な症例に対応する障害者歯科医療センターが16か所、さらに高次の医療機関として、大学附属病院等が3か所ある。
障害者歯科認定協力医がいる歯科診療所や障害者歯科医療センターがない市町村数は13市町村となっているが、本県が地域の特性を踏まえ、各種医療を提供するために設定した二次医療圏単位では、全ての医療圏に障害者歯科認定協力医がいる歯科診療所や障害者歯科医療センターが存在し、近隣の市町村に出向いてもらうことで、診療を受けることが可能となっている。
【委員】
現状を、県が掲げている誰でも定期的な歯科健診や歯科医療を受けられる環境の実現がどの程度整備できていると考えているのか。県としての現状と課題をどのように認識しているのか伺う。
【理事者】
2024年度に策定し2035年度までを計画期間とした第2期愛知県歯科口腔保健基本計画では、障害児者が受診できる歯科診療所数の具体的な目標を定めていないが、現在、受診環境の充実に向け、障害者歯科医療ネットワーク推進事業を中心に、誰でも定期的に歯科健診や歯科医療を受けられる環境の実現に向けて取り組んでいる。
本県では、毎年20人程度の障害者歯科認定協力医を養成しているが、障害児者が歯科医療を受けることができる環境を整備するために、さらに歯科診療所を増やしていくことが望ましいと考えている。そのために、引き続き、歯科医師の養成と歯科医療従事者の資質向上に努めていく。
【委員】
第2期の基本計画の中で、定期的に歯科健診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健の推進を掲げている。この困難な者として、障害児者、要介護高齢者、在宅療養者が挙げられている。
要介護高齢者、在宅療養者に対する取組指標として、介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び介護医療院で入所者の口腔衛生管理を行っている施設の割合の増加を、この目標指数からすると、計画の中では29.1パーセントから100パーセントへ、また、在宅療養支援歯科診療所の割合の増加を16.6パーセントから20パーセントへ、歯科訪問診療を実施する歯科医療機関の割合の増加を37パーセントから50パーセントへとした指標が示されている。こうした要介護高齢者や在宅療養者では、実際の受診可能性に直結する指標が設定されている。
一方で、障害児者に関しては、障害児者に関する歯科保健事業を実施している市町村の割合の増加を68.5パーセントから100パーセントとした指標となっており、実際に診療を受けられる歯科医療機関がどれだけ整備が必要か指標がない。これでは、県の取組の成果を評価するということがなかなか難しい。また、改善につなげることも困難かと思っている。障害児者の歯科診療を実施する歯科医療機関の目標となる指標が必要ではないかと考える。
障害児者の歯科診療体制を整備するためには、まず、現状の実態をしっかりと把握することが不可欠だと考える。例えば、一次、二次、三次の歯科医療機関での受診者数、診療方法、診療拒否件数、全身麻酔、申請が必要なケース等、具体的なデータがなければ、どの地域にどの次元の診療体制の不足があるのか、政策的に判断することができない。
そこで、今後の障害児者の歯科診療の環境整備の取組として、まずは県内の障害児者の歯科診療を実施している歯科医療機関への情報収集をして、地域偏在、人材の確保の状況等、どの程度のニーズに対応できているのか、実態を調査しながら、今後の体制整備に向けた検討を進めるべきと考えるが、県当局の見解を伺う。
【理事者】
障害児者の歯科診療状況については、県歯科医師会に委託し、高次の医療機関や障害者歯科医療センターの代表者等で構成される障害者歯科医療ネットワーク連絡協議会において、各診療所における障害児者の受入れ状況や診療内容などについて情報収集と共有を行い、ネットワークの構築を進めてきた。
県としては、引き続き、地域の実情を把握している県歯科医師会と連携し、一人一人の特徴や発達の状況に合わせた適切な対応ができる歯科医師と歯科衛生士の人材確保を進め、誰もが安心して歯科医療が受けられる環境の整備を図っていく。その上で、なお、歯科医療の提供体制に係る実態について、どのような調査を必要とするか研究していく。
【委員】
私からは、二つのテーマに対して質問する。
一つ目が、少子化対策に資する母乳バンク運用に対する公的支援についてである。
本年5月に公表された国勢調査速報によると、愛知県の人口は744万9,403人で、前回、2020年調査から1.2パーセント減少、1950年以降で初めて人口減少に転じた。背景には、深刻化する少子・高齢化、それに伴う出生数の減少があるとされている。
県では、未婚化、晩婚化を少子化の主要因と位置づけ、AIマッチングを含む結婚支援センターの運営、大規模婚活イベントなど、総合的な取組を進めていると承知している。
しかし、少子化対策は一刻の猶予も許されない、待ったなしの課題である。
今、私たちが取り組むべきことは、効果や有用性が明らかになっている施策をためらうことなく現場に届けていくことである。有効性が確認されながら、導入が遅れることは、問題解決の遅れにつながり、ひいては愛知県の未来を縮めかねないと考える。
その観点から言いたいのは、生まれてきた命を確実に守るという視点も、極めて重要な少子化対策であるということである。保健医療分野において私たちが今すぐに手を差し伸べられる領域、そして、これまで一般的な母子保健の枠組みだけではすくい切れなかった領域がまさにここにある。
そこで、目を向けるべきはリトルベビーである。体重2,500グラム未満で生まれた低出生体重児のうち、特に1,500グラム未満の極低出生体重児や、1,000グラム未満の超低出生体重児は、総称してリトルベビーと呼ばれる。
リトルベビーは授乳の際、吸う力が弱く、長時間吸い続けることも難しいため、母乳を十分に飲むことが困難である。また、近年、ストレスなどにより、母乳の出ない母親が増えている。人工乳を飲むこと自体はできるが、人工乳には母乳に含まれる免疫成分がないため、感染症のリスクが高まり、壊死性腸炎と呼ばれる致死率の高い疾患の発症リスクが母乳に比べて高いことが知られている。
東邦大学、国立成育医療研究センターなどの研究グループによる調査結果によると、2022年の生殖補助医療への保険適用以降、多胎妊娠が増加したとする研究報告もある。多胎妊娠では、赤ちゃんが早く生まれたり、十分に成長できなかったりするため、低出生体重児となるリスクが非常に高くなる。単体では1割弱だが、双子では半数以上、三つ子ではほぼ全てが低出生体重児になるという。
厚生労働省の人口動態統計によると、愛知県では2024年の分娩件数のうち約1.4パーセントが多胎妊娠で、全国平均約1.3パーセントより高い水準にあり、リトルベビー増加の背景として重要な指標だと思う。
まず、愛知県において、体重2,500グラム未満の低出生体重児、1,500グラム未満の極低出生体重児、1,000グラム未満の超低出生体重児の出生割合は、直近5年間でどのように推移しているのか伺う。
【理事者】
人口動態統計によると、本県の出生数全体に占める2,500グラム未満の低出生体重児の割合は、2020年9.25パーセント、2021年9.77パーセント、2022年9.67パーセント、2023年10.20パーセント、2024年10.02パーセントとなっており、2020年と2024年を比較すると、0.77ポイント増加している。
本県の出生数全体に占める1,500グラム未満の極低出生体重児の割合は、2020年が0.76パーセント、2021年が0.77パーセント、2022年が0.78パーセント、2023年が0.83パーセント、2024年が0.85パーセントとなっており、2020年と2024年を比較すると、0.09ポイント増加している。
本県の出生数全体に占める1,000グラム未満の超低出生体重児の割合は、2020年が0.32パーセント、2021年が0.32パーセント、2022年が0.33パーセント、2023年が0.34パーセント、2024年が0.38パーセントとなっており、2020年と2024年を比較すると、0.06ポイント増加している。
【委員】
今答弁にあったように、リトルベビーはこの少子化の中にあって、増加している。このことは県としても看過できない課題ではないだろうか。こうした傾向は将来の妊娠に対する不安を高め、結果として出産をためらう環境につながりかねない点で、極めて重要な課題である。
その上で、リトルベビーの命を守るために極めて有効な手段となるのがドナーミルクである。ドナーミルクとは、ほかの母親から提供された母乳を安全に処理し、医療機関に届ける寄附母乳のことであり、医学的に確立したエビデンスに基づき、リトルベビーにとって重要な命を守る医療資源として位置づけられている。
また、ドナーミルクの存在は、もし早産になっても県内の医療体制が赤ちゃんを守ってくれるという安心感につながり、安心して子供を産み育てられる環境づくりにも寄与するものである。
ドナーミルクは安全に処理、管理し、必要とする赤ちゃんに届けるため、専門機関である母乳バンクに集められる。母乳バンクは国内に現在3か所のみで、東京に2か所、そして、もう1か所がここ愛知県の藤田医科大学に設置されている。この母乳バンクは、ドナーミルクを必要とする赤ちゃんに安全に届けるための命のインフラとして、全国的にも極めて重要な役割を担っている。
そこで、県として、ドナーミルクの医学的意義と、安心して出産できる環境づくりへの効果をどのように認識しているのか伺う。
【理事者】
ドナーミルクの医学的意義について、2019年、日本小児科学会の早産・極低出生体重児の経腸栄養に関する提言によると、1、早産・極低出生体重児にとって、母親の母乳は最適な栄養である、2、母親の母乳が不足する場合や得られない場合、次の選択肢は認可された母乳バンクで低温殺菌されたドナーミルクであるとされている。
母乳バンクの取組を周知し、多くの県民にドナーミルクの有効性、安全性などを理解してもらうことは、安心して出産できる環境づくりに有用であると考えている。
【委員】
県内では、新生児集中治療室(NICU)を持つ医療機関において、一定程度、ドナーミルクの活用が進んでいると認識している。しかし、一般社団法人日本母乳バンク協会の導入施設一覧や国立成育医療研究センターの調査によれば、県内でも医療機関ごとに利用状況に差があることが示されており、県としての支援や標準化にはなお課題が残されていると思う。
こうした差が生じている大きな背景には、医療機関が導入に踏み切れない予算確保という制度的な壁がある。ドナーミルクの管理や処方にかかる費用については、診療報酬に評価項目がなく、国立成育医療研究センターの報告でも、医療機関の持ち出しによって運用されている実態が明らかになっている。必要性を認識しながらも、独自予算での導入を迫られることが利用の進まない大きな要因となっているのではないだろうか。
そこで、県として、県内NICUでの利用状況をどの程度把握しているのか。また、利用が進んでいない背景に、どのような課題があると認識しているのか伺う。
【理事者】
周産期母子医療センターの専門医から構成される愛知県周産期医療協議会において、2020年度から2022年度の3か年に藤田医科大学が中心となって、ドナーミルクを安全に使用するための体制構築に関する調査研究事業を実施している。この調査によると、2020年度は県内4医療機関、2022年度は8医療機関でドナーミルクが活用された。
最新の状況としては、2026年5月現在、県内19の周産期母子医療センターのうち、約6割に当たる11医療機関がドナーミルクの使用施設として登録されている。
また、さきの調査研究では、ドナーミルクを利用しなかった理由として、対象となる症例がない、母親の母乳が許容できる時間内に届いていた、施設としてドナーミルクを利用できる体制ができていないというものが多かったと報告されている。
【委員】
ドナーミルクについては、もう一つ、食品なのか医薬品なのかという法的位置付けが国として明確に整理されておらず、そのことが診療報酬の未整備にもつながり、医療機関の負担を大きくしているという構造的な問題もある。
これは、一般社団法人日本母乳バンク協会や国立成育医療研究センターも指摘しているとおり、医療機関の努力だけでは解決できない課題である。最終的には、国が法的位置付けや診療報酬の在り方を整理することが不可欠であると理解している。
しかし、そういった課題があるから進まないといった実態もあるのではないだろうか。そうしたところに対して、県として医療機関への補助や支援を検討する必要があると考える。
法的位置付けが未整備であることによる医療機関の負担を県としてどのように受け止めているか、その上で、医療機関への補助や支援を含め、県としてどのような対応を検討していくのか伺う。
【理事者】
県としては、母乳バンク制度に対する支援について、国が統一的なルール、基準を定めた上で実施することが適切であると考えているため、まずは国の制度化に向けた動向を注視していく。
また、引き続き母乳バンクを広く知ってもらうため、母子健康手帳と同時に配布できる資材を市町村に提供し、周知啓発に努めていく。
【委員】
2025年度に公的支援を開始した東京都に続き、本年度からは神奈川県、大阪府でも開始された。一般社団法人日本母乳バンク協会の報告でも、自治体による支援がドナーミルクの安定供給に寄与することが示されており、全国的にも貴重な母乳バンクというインフラを持つ愛知県が積極的な姿勢でこの課題に向き合っていくことが必要なのではないだろうか。
消極的な対応が続けば、結果として本県の少子化をさらに加速させる要因となりかねない。少子化対策における1年の遅れは、将来にわたり取り返しのつかない影響を及ぼす。新たな視点での少子化対策として、さすが愛知県だと全国的に示し、困難に直面する家族に確かな希望を届けるためにも、母乳バンク運用に対する公的支援について、県としての前向きな検討を進めることを強く要望する。
二つ目のテーマとして、依存症の増加、若年化における相談環境について伺う。
近年、ギャンブル等依存症に関する相談は全国的に増加傾向にあり、厚生労働省や国が指定する依存症医療研究の中核拠点である独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターの報告でも、オンラインカジノやスマートフォンを介したギャンブル行動の広がりを背景に、相談件数が年々増えていることが指摘されている。
また、内閣府の依存症対策に関する資料でも、オンライン環境でのギャンブル行動が若年層に広がり、20代、30代の相談が増加していることが示されている。
こういったオンラインカジノやスマートフォンゲームの課金など、日常生活の中で依存症リスクに触れる機会が拡大していることが挙げられる。こうした状況は、従来の対面や電話による相談だけでは十分に対応し切れない、新たな課題を生んでいる。
まず、県として、現在の相談窓口の体制がどのようになっているのか。また、相談件数の推移、そのうち10代から30代の若年層の相談件数について伺う。
【理事者】
本県では、県保健所や県精神保健福祉センターにおいて、ギャンブル等依存症に関する電話相談や面接相談を実施している。
県保健所や県精神保健福祉センターにおけるギャンブル等依存症に関する相談件数は、2023年度が520件、2024年度は636件、2025年度は587件となっている。
そのうち、年齢層の把握できている県精神保健福祉センターの相談件数における10代から30代の年齢層の割合は、2023年度が394件のうち192件で49パーセント、2024年度が573件のうち294件で51パーセント、2025年度が569件のうち318件で56パーセントとなっており、増加傾向にある。
【委員】
次に、対面や電話での相談が難しくなっている現状への対応について伺う。
国内の大学生を対象とした複数の心理学研究では、相談することへの恥の意識、スティグマが強いほど、対面や電話での相談を避ける傾向があることが示されている。また、自分の気持ちを表に出すことへの抵抗感が強いほど、相談行動をためらう傾向が有意に高まることも報告されている。さらに、弱さを見せたくないという心理的ハードルが、特に若年層で相談を避ける要因として働くことが指摘されている。
依存症は相談窓口に足を運ぶこと自体が大きなハードルとなる場合が多く、こうした心理的要因は若年層ほど顕著であるとされている。このような中で、県として、相談の入り口をどのように広げ、アクセスしやすい相談環境を整えていくのか伺う。
【理事者】
本県においては、若年者をはじめとする幅広い世代の人が気軽に相談できるよう、これまでの電話相談や面接相談に加え、コミュニケーションアプリ、LINEを利用したあいち依存症サポートLINEを5月16日に開始している。
相談時間帯は、飲酒やギャンブル行動の増加が見込まれる毎週金曜日、土曜日及び日曜日の午後5時から午後10時までとしており、電話相談や面接相談の時間外を補完する形で対応している。新たな相談方法を提供することで、従来は相談につながりにくかった人々にもアプローチし、より相談しやすい体制を構築した。
【委員】
オンライン相談の役割は、今後、ますます重要になると考える。その意味で、県があいち依存症サポートLINEを始めたということは、大きな意義があると思う。
まず、この新たな相談窓口の周知を徹底していくことが重要である。その上で、この入り口を広げた分、どのように支援体制を充実させるのかが問われると思う。
そこで、医療機関、家族支援団体、地域の支援機関などとどのように連携し、実際の支援を充実させるのか、県の考えを伺う。
【理事者】
本県では、総合的な依存症対策の充実を図るため、今年4月から藤田医科大学と刈谷病院に愛知県依存症対策センターを新たに開設している。
今後は、依存症対策センターにおいて専門的な医療の提供、連携推進のための会議の開催、受診後の患者を地域の支援団体へつなぐ取組を実施していくことにより、県内の専門医療機関、家族会、地域の支援機関とも緊密な連携を図り、依存症の人の支援体制の充実に努めていく。
【委員】
依存症は誰にでも起こり得る病気であり、早期の相談と早期の支援が極めて重要である。対面相談が難しくなる中でも、県として相談のハードルを下げ、若年層を含む県民が安心して相談できる体制をより充実させ、構築していくことを要望し、質問を終わる。
【委員】
私からは大きく三つに分けて質問したいが、まず、一つ目、医師の負担軽減について伺う。
一口に医師の負担軽減といっても幅広いことだが、私の友人に藤田医科大学病院に勤務している医師がいて、最近、藤田医科大学病院で医師の負担軽減という意味で何か有効だったことはないかと聞いたところ、看護師の権限拡大により、今まで法律上、医師でしかやれない医療行為を看護師にやってもらえるようになって、非常に助かっているという話を聞いた。
そもそも、医師と看護師の役割分担というものは、医師法第17条に基づきはっきり分けられていたが、2015年に国の制度で特定行為研修修了看護師というものが誕生して、一定の研修を受ければ、それまで医師しかできなかった一部の医療行為を看護師でもできるようになった。
現在、藤田医科大学病院では、そのさらに上位版ともいうべき診療看護師、英語でいうところのナースプラクティショナー、略してNPと呼ばれたりしているが、その養成にも大変力を入れているということである。
そこで、まず、がんセンターにおける特定行為研修修了看護師や診療看護師(NP)の活用状況を伺う。
【理事者】
がんセンターでは、特定行為に係る看護師の研修制度を修了した看護師、いわゆる特定行為看護師は7人が在籍しており、ICUや手術室などで業務に従事している。
一方、診療看護師については、現時点で在籍者はいない。
なお、診療看護師と特定行為看護師は行い得る特定行為の範囲に違いはないが、診療看護師は、大学院で2年間の修士課程を修める必要があり、人材の確保が難しい一方で、特定行為看護師は、厚生労働省が指定する研修機関において、短いもので5か月程度の研修を修了することにより、修了した研修に応じた特定行為を実施することができるようになる。
こうしたことから、病院事業庁では、即戦力となる特定行為看護師の活用を進めている。

愛知県がんセンター
【委員】
がんセンターでも積極的に進めているという答弁だったと思う。
それで、特定行為看護師や診療看護師に具体的に何をやってもらえるから助かっているのか、その藤田医科大学病院の医師に聞いたところ、代表的な例を一つ挙げるなら、PICCの挿入だという話だった。
PICCとは、点滴のやり方の一つになる。普通の点滴では、手の甲の血管や前腕の内側の細い静脈に針を刺して、薬剤を注入していく。PICCは、普通の点滴がなかなかできない人、例えば、高齢の患者で、血管が細くなり、うまく針が刺さらない人や、抗がん剤はとても強い薬であるので、そのような場合に手の甲からであると、すぐ血管がぼろぼろになる。そのような場合に使われる技法であり、二の腕から細いカテーテルを挿入して、超音波で血管を見ながら、心臓の近くの非常に太い静脈までカテーテルを到達させて、その太い静脈に直接、抗がん剤なり、点滴の薬剤を注入、投与していくという方法である。
これなら、細い血管に負担をかけることなく、効率的に薬剤を投与できるが、問題があって、普通の点滴のセットというと、消毒して、針を刺して、テープで留めるまでに30秒、長くても1分ぐらいでできるが、PICCの挿入は、慎重にやらないといけないので、短くても30分、長いと1時間ぐらいかかってしまう作業である。
だからこそ、この作業を今まではドクターが全部やらなければいけなかったが、それを看護師にやってもらえば、ドクターは非常に助かる。
藤田医科大学病院では現在、PICCに関しては、看護師によるPICCの専門チームを立ち上げて、ほぼ全て看護師が行っていると聞いている。ほかにも、藤田医科大学病院には看護師による専門のチームが幾つかある。例えば、嚥下の専門チームなどいろいろあるが、PICCに関しては、特に医師からの依頼の頻度も多く、患者の状態に合わせた相談、調整も必要ということで、専用の直通ダイヤルを設けて、看護師によるPICCの一つの部署のような形で運用されているそうである。
今、藤田医科大学病院のような大病院で看護師によるPICCがいかに重要な役割を果たしているか理解してもらえたかと思うが、抗がん剤の投与でも最近頻繁に使われる手法と聞いているので、がんセンターにおいても相当数行われているのではないかと思う。
そこで、がんセンターにおけるPICCの挿入件数及び、そのうち、特定行為看護師が実施した件数は何件かを伺う。
【理事者】
がんセンターにおける、いわゆるPICCの実施件数だが、2025年度における診療報酬算定件数ベースで言うと、629件となっている。
このうち、特定行為看護師が実施した件数については、集計は行っていないが、がんセンターに確認したところ、おおむね半数程度を特定行為看護師が実施している状況である。
【委員】
PICCに限らず、診療看護師や特定行為看護師は、医師が行う医療行為の一部を担うことができるため、積極的に活用することで、医師の負担軽減につながると考えられる。2030年の新がんセンターも見据えて、今後も活用を推進していくべきと考えるが、所見を伺う。
【理事者】
病院事業庁では、毎年度、職員スキルアップ事業を実施し、認定資格の取得や研修受講にかかる費用を県が負担することで、特定行為看護師をはじめとした医療従事者の人材育成と人材確保を図っている。
特定行為看護師の育成は、高度かつ専門的な知識と技能を身につけた看護師の確保だけでなく、医師の負担軽減にも資するものであり、良質な医療の提供にもつながる。
今後も、職員スキルアップ事業を継続し、特定行為看護師をはじめとした専門人材の育成と活用を積極的に図っていく。
【委員】
続いて、大きな二つ目の質問に移りたい。
医療DXについてである。
先ほどは藤田医科大学病院の医師の負担の軽減についての話をした。ただ、医師だけでなく、看護師や准看護師、ヘルパーや事務員の負担軽減にも、留意しなければいけないと思う。
今、藤田医科大学病院では、採血した血液の検体はロボットが検査室まで運んでいるという話を聞いた。私もどんなロボットなのか動画を見せてもらったが、ファミリーレストランで最近よく見る配膳ロボットとよく似た背格好のものが普通に廊下を移動して、患者や看護師が乗るエレベーターにも一緒に乗って、もしドアが開いていなければ、機械同士が連動して、ドアが開くようにエレベーターを呼び、セキュリティーがかかっているドアも機械同士が連動して開けて、検査室まで運んでいく。
しかし、まだ多くの病院では検体は人間が運んでいる。要は看護師なり、准看護師なり、ヘルパーなり、人が手作業で運んでいる場合が多い。大病院ともなれば、1日に大量の血液の検体を運ばなければならないので、新人の看護師は、検体を運んでいるだけで1日の大半が過ぎてしまうという嘆きも何度も聞いた。
藤田医科大学病院では、検体の運び方として、まるでファミリーレストランの配膳ロボットのような運搬ロボットのほかに、シューターと呼ばれるものも併用している。これは昔からいろいろな病院で使われているらしいが、血液の検体をカプセルに入れて、専用の管にセットして、ボタンを押すと、空気の圧力で飛んでいくという仕組みである。
これのほうが、人力で人が歩いていく、またはロボットが運んでいくよりも、早く検査室に血液を届けることができるが、1度に少量しか運ぶことができない。あるいは、昔から言われているのが、かなりの勢いで飛んでいくので、血液の成分が壊れる危険性も指摘されている。
今、藤田医科大学病院では、救急のときはいち早く、人の命に関わるのでシューターを使い、通常時はロボットに任せて運んでいる。いずれにしても、人が運ぶことはほぼない。
そこで、今のがんセンターにおいて、検体をどのような方法で運んでいるかを伺う。
【理事者】
件数の多い外来の血液検体については、採血室が血液検査室の隣にあることから運搬の必要はないが、病棟で採血した血液や、手術室で採取した組織などについては、看護助手業務を行う職員が血液検査室や病理検査室へ運搬している。
【委員】
入院や転院のときに、紹介状が今でも紙媒体であるところがほとんどだと思う。紹介状が来たときに、藤田医科大学病院でも比較的最近までは事務員が手作業でパソコンに入力していたが、現在ではスキャナーで読み込ませる。まだ文字化けなどが少し起こることもあるそうだが、手作業で打ったとしても、誤字、脱字がないかは、当然、チェックしなければいけない。
スキャナーで読み込ませれば、そのまま電子カルテに置き換わるシステムが完全に導入されており、これだけでも現場の負担は、大分軽くなったという話を聞いた。
そこで、がんセンターにおいて、紹介状の入力は今どのような方法で行っているか伺う。
【理事者】
がんセンターで運用している電子カルテシステムは、スキャナーでの文字読み取りに対応していないため、紹介状についてはパソコンで手入力して、電子カルテに登録している。
なお、紹介状の入力作業は、医師事務作業補助業務の委託先職員が行っている。
【委員】
医師以外の医療従事者についても、負担軽減を図っていく必要があると思う。がんセンターにおける医療DXの現状と今後の取組について伺う。
【理事者】
県のがんセンターでは、電子カルテの活用や手術用ロボットのダヴィンチの導入をはじめ、外来化学療法のスケジュール管理、遺伝子解析検査の結果取り込みとデータベース作成の自動化、カテーテル挿入時に対象の血管を自動検出するシステムなど、医療DXの積極的な活用に取り組んでいる。
また、こうした取組以外にも、入院から退院までの診療内容を簡潔にまとめた医療文書である退院サマリーの作成に生成AIを導入して、文書作成を効率的に行うことなどの検討も進めている。
医療DXの活用は、高度で良質な医療の提供と業務の効率化につながることから、今後も積極的に活用を図っていく。
【委員】
それでは、大きな三つ目の質問に移りたい。障害福祉サービスにおける公的な給付費の不正受給の問題に関してである。
先ほど、別の委員からも質問があったので、詳しい説明は省くが、根本的には、制度や監査指導体制が事業者の善意を前提にしており、不正する事業者に対応が追いついていないことが問題だと思う。
先日の中日新聞の記事でも、中部6県の不正受給額は2020年度から2024年度までの5年間の総額で約14億4,000万円。そのうち愛知県だけで12億7,000万円と、残念ながら中部で愛知県が突出しているのが現状である。全国的に見ても、都道府県別で3番目に多い。
愛知県は約4,000件もある障害福祉サービスの事業所に対して運営指導や監査を行っていると聞いているが、現状を鑑みるに、運営指導や監査の方法を強化することが急務であると思う。
そこで、現状の県職員の指導監査に当たる人数体制や、何年に一度監査を行うのか、また、事前通知を行う場合、行わない場合を含め、現状の指導監査体制と実施方法について伺う。
【理事者】
障害福祉サービス事業所の指導監査の体制については、現在、正規職員9人で対応している。
運営指導については、国の指導指針に従って実地により行っており、その頻度は、就労継続支援事業所やグループホーム、放課後等デイサービス等の7種類の事業所は原則3年に1回、それ以外の居宅介護や地域移行支援など19種類の事業所は、指定期間6年の間に1回実施している。
運営指導は事業所職員の立会いや書類の準備等、事業者の協力を得て行うものであることから、国の指導指針では原則として1か月以上前に事前通知を行った上で実施することが基本とされているが、通報や市町村等からの情報提供など、不適切な運営の疑いがある事業所の場合は、当日通知による運営指導も実施している。
【委員】
4,000件ある事業所に対して9人で、基本的には1か月以上前に事前に通知してから指導を行うということで、なかなか大変だと思う。
次に、2025年度に実施した運営指導の件数と、その中で、事前の通知を行わず、当日通知、言わば抜き打ちで運営指導を行った件数を伺う。
【理事者】
2025年度に本県が実施した障害福祉サービス事業所への運営指導は1,062件で、そのうち、事前通知なしで実施した件数は8件である。
【委員】
8件がいわゆる抜き打ちで行ったということである。
当日通知の運営指導は、厚生労働省の指針に基づいて、障害者虐待が疑われている場合などの理由があれば行うと思うが、具体的にその8件がどのような理由があったから、当日通知の言わば抜き打ちで監査を行ったのか伺う。
【理事者】
8件の具体的な不適切な内容については、今手元に資料がないが、通常、そのようなもので多いのは、例えば、いるはずである職員がいないといったことが多い。あるいは、いろいろな加算があって、その加算を取っているが、その加算の要件を満たしていないのではないかという通報等があった場合になる。
【委員】
通報等があったときに抜き打ちでやっているということだと理解した。
ただ、問題意識として、今これだけ不正受給額が右肩上がりで、特に愛知県が多いという中で、限られた人数体制であり、これが100人の体制に簡単にできればよいが、そのようなわけにはいかない。限られた人数の中でどうやっていけばよいかということになると思う。
例えば、書類上で同種の事業所と比べて、加算取得率や利用率、請求額の伸び率が異常に高い事業者や、リスクの高い事業所を抽出して、当日通知の運営指導を行えないものか。それならば、厚生労働省の指針にも十分沿ったものだと私は思う。
限られた人員だからこそ、請求データ分析等による抽出を強化して、積極的に当日通知の運営指導の制度を活用すべきだと考えるが、所見を伺う。
【理事者】
先ほどは通報という話をしたが、仮に県に出されている書類等で、異常等が見受けられるようなものがあった場合にも、当日通知で行く場合はある。
そのような場合を排除しているのではなく、通報や市町村からの情報提供などを総合的に勘案して、不適切な運営や不当なことがあるのではないかと疑われる場合には、運営指導に当日通知で行くことはある。
【委員】
限られた人数の中なので難しいとは思うが、1年間で8件しか抜き打ちで指導に来ることがなく、それ以外は1か月以上前に通知が行って、悪く言うと不正を隠す時間も確保できてしまうということも考えられると思うので、ぜひこの件数をもう少し増やし、抑止力を高めるといった努力をお願いしたい。
【委員】
愛知県における精神疾患対策について、根本的な課題だと感じるような視点から、順に質問をしたい。
近年、鬱病をはじめとする精神疾患、誰しもが直面し得る身近な問題と捉えているが、国のデータによると、現在、精神疾患を有する患者のうち、65歳未満の働く世代は全国で約382万人とも言われていて、全体の半数以上を占めているとも言われている。
今回、質問に際して、私も地元の福祉の現場で活動している人、支援者の人から協力してもらい、精神疾患を抱える人々の実際の今の支援事実と、アンケート調査を見せてもらった。そこには数字だけではない、皆の声も記録されていた。
そういった事例を見て私が痛感したのは、まず、発達障害などの一次要因で苦しんでいる当事者の人々は、決して働きたくないとか、社会に出たくないとか、そういったことではないということがよく分かった。周囲の無理解や環境とのミスマッチによって、今の状態では働くことができないとか、自分自身でもなぜうまくいかないのか分からないとか、そういった特性や不調の際にすら自分自身も気づいていないということが実態であると分かってきた。多くの人々は、自分の特性を生かして社会に活躍できる環境があるならぜひ活躍したい、例えば、ひきこもりは、そんなことをしたいわけではないということに対して、日々、もがき苦しみながら、闘いながら、強く願っていることがよく分かった。
それを踏まえて、精神疾患の発症には様々な要因が複雑に重なり合っていることはもう皆も承知のことだと思うが、先ほどのそういった一次要因が放置されてしまって、適切なサポートが受けられないまま、結果的に二次障害として、例えば、重い鬱病を発症したり、社会から孤立したりしてしまう事例が後を絶たない。
そこで、まず、本県における精神疾患の現状、そして、この問題の最も痛ましい、子供の命や健康について伺っていきたい。
まず、本県における精神疾患患者数の現状と、発症の背景にある、先ほども言った一次要因の認識について、それらの鬱病をはじめとする精神疾患を有する患者数の推移について示してほしい。また、精神疾患は複数の要因が重なり合って発症するものだが、現場のアンケート結果が示すとおり、発達障害などの特性による不適応や、職場、家庭での孤立といった、発症の背景にある根本的な一次要因の存在について、愛知県として、今どのようにその実態を認識しているのか教えてほしい。
【理事者】
精神疾患を有する患者数の推移について、厚生労働省が3年に1回行う患者調査によれば、愛知県における鬱病をはじめとする精神疾患を有する患者数は、2014年が約18万6,000人、2017年が約19万6,000人、2020年が約19万5,000人、2023年が約24万7,000人となっており、増加傾向にある。
次に、鬱病の発症に至る要因について、発達障害等の特性による不適応や、職場、家庭での孤立といった要因についての統計はないが、令和6年版厚生労働白書によると、精神的・身体的ストレス、つらい出来事や悲しい出来事といった環境要因、性格の傾向や、遺伝的要因、がんや糖尿病などの慢性的な身体疾患、妊娠、出産や更年期障害などの内分泌変化等、生活の中の様々な要因が複雑に結びついて発症しているとされていて、県としても認識しているところである。
【委員】
多くの要因があると思うし、病気になる前の多くの課題があるということを改めて聞いた。
そこに引き続いて質問を続けるが、そういった社会環境などが影響する中での子供の問題も今、社会課題の一つとなっている。子供の自殺問題の背景にも、精神疾患は深く関わっているというデータもある。
全国の小中高校生の自殺者数は2022年以降、年間で500人を超えるという、過去、一番高い、悪い水準で高止まりしている現状だと聞いている。その大きな要因として、周囲の無理解や、まさに先ほどと同じだが、環境とのミスマッチ、先ほどの発達障害などの一次要因がそういったものを引き起こして、最悪の選択に至ってしまうケースが子供にも起きているのが現状である。
また、子供の鬱病は、学校でおなかが痛くなったり、不登校になったり、いらいらしたり、かんしゃく持ちだと言われたりというような形で現れやすく、周囲の大人たちからは甘えや、反抗期だと誤解されて、そういった子供が発する、あるいは言葉では発することができないSOSが見落とされてしまうこともよくあると思う。
そういった中で、かけがえのない子供の命を守るために、愛知県における児童生徒の自殺や精神疾患の現状について、福祉、医療の所管として、その危機感をどのように認識しているのか。また、これらの問題を教育現場に任せるだけではなくて、福祉、医療の専門的な現場から、見えにくい、子供の発するSOSを早期にキャッチして、児童精神科等の適切な医療へアクセスし、特性に応じた福祉サービスへと確実につなぐための連携体制づくりに、愛知県としてどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
厚生労働省が3年に1回行う患者調査によれば、2023年において愛知県における鬱病をはじめとする精神疾患を有する患者数のうち、ゼロ歳から14歳までは約5万4,000人、15歳から24歳までは約3万1,000人となっている。
また、県内の小中高生の自殺者数は、2025年は32人となっており、深刻な状況にあると認識している。
こうした中、疾病を早期に把握し、福祉、医療の専門的な見地から適切な支援につなげることが重要であり、教育現場と連携し、切れ目のない支援体制の構築が求められている。
本県では、2023年6月に策定した第4期愛知県自殺対策推進計画において、就学期の取組を重点項目に位置づけ、子供の自殺対策に全庁的に取り組んでいるところである。
保健医療局の取組としては、面接や電話及びSNS相談を実施し、適切な関係機関につなぐとともに、多様化、深刻化している子供の心の健康問題に適切に対応できるよう、教育関係者、市町村の保健・福祉職員に対する研修を実施し、早期発見と相談対応力の向上を図っている。
【理事者】
発達障害は鬱病などの二次障害につながりかねないことが指摘されているが、本県では、発達障害に関する専門的な支援を行う拠点として、県医療療育総合センター内にあいち発達障害者支援センターを設置している。
このセンターでは、発達障害に関する困り事を電話、メール、ファックス、予約制の来所相談にて受けており、本人や家族だけではなく、学校や保育園の先生、施設の支援員など、様々な立場の人からの相談に対応している。
相談の中には、診断、相談、支援を受けられる機関について知りたいとの内容も多く寄せられており、厚生労働省の医療情報ネットを活用した発達障害に関する医療機関の検索方法について分かりやすく伝えるとともに、利用が想定される福祉サービスの内容を丁寧に説明した上で、市町村の障害福祉担当への相談につないでいる。
さらに、センターでは、発達障害者の支援に携わる医療、福祉、教育等の関係者に対し、適切な支援方法について研修を行うほか、センターに配置している発達障害者地域支援マネジャー等が発達障害児のいる保育園、学校、児童発達支援センター等を訪問し、事例検討などを行い、具体的な支援方法についてのアドバイスを行うことにより、支援の質の向上と連携体制づくりに取り組んでいる。
【委員】
前段の部分でも触れたとおり、子供はなかなか自分で表現ができない場合や、そもそも知識もなく、どのように伝えたらよいのかが本当に難しく、そういったことが起きる。
持っている特性で病気になるわけではないが、そのような特性を持っているからうまくいかないことによって、心が病んでしまう。
そういったところもしっかり意識した上で、大人は子供を分からないということを前提として、支援センターなどでも対応を取ってほしい。
具体的なところまで突っ込むのは、今日は避けるが、そういった認識を持ってほしいと思う。子供のことは本当に複雑で難しいので、特に注意してほしいということを感じる。
続いて、次の質問である。
子供の頃、気づかなかった特性は、大人になって、自分の環境が変わったり、就職して環境が変化したり、そういったことで、不適応というものが表面化することもある。
先ほど言ったアンケートの中にもあったように、学生の頃は我慢でき、何とかやってこれたが、社会人になってから一気に駄目になったという具体的な意見を持っている人もいた。そういった当事者の人は怠けているのではなく、自分たちが持っている特性と環境のミスマッチから、今の環境では働けない、生活できないという背景がある。
鬱病の根本的な回復、そして未然防止を促すためには、大人の世代に対しても、早い段階で本人が自分の特性を正しく知るために自己理解への支援や、職場などにおける環境の調整が不可欠であると思う。そういった面に関して、県としての現在の取組を伺う。
【理事者】
本県では、悩みを抱える人が早い段階から相談につながるよう、面接や電話及びSNSによる相談体制を整備し、気軽に心の悩みを打ち明けられる環境づくりに努めている。相談することにより、本人が自身の状態や特性について気づくきっかけにもなっていると考えている。
また、保健医療局としては、9月の自殺予防週間及び3月の自殺対策強化月間に合わせ、公益財団法人愛知県労働協会と協働し、労働問題を含む心の健康に関する包括的な相談会を開催し、職場での悩みや環境面の課題についても専門的な助言を行うことで、早期の気づきと適切な支援、さらには就労環境の改善につなげる機会を提供している。
さらに、鬱病は眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が精神症状より先に出ることが多いために、内科などのかかりつけ医療機関を受診することが少なくない。そのため、精神科以外のかかりつけ医を対象に、鬱病の診断や精神科の専門医との連携などを内容とする、かかりつけ医うつ病対応力向上研修を開催している。
また、鬱病の多くの人には睡眠障害があって、不眠のため市販の睡眠薬を繰り返し購入するために訪れる人などに対して、薬局が身近な相談窓口となり、必要に応じて医療機関などにつなげることができるよう、薬剤師を対象とした研修会も開催している。
【委員】
次にいわゆる8050問題について伺う。
精神疾患の状態が解決されないまま、また、長期化してしまい、高齢者になることが、深刻な社会問題になっている。いわゆる8050問題やひきこもりである。そういったことに対しての支援を伺う。
高齢の親が50代のひきこもりや無職の子供の生活を支える中で、一家庭の課題にとどまらず、そういったことを放置していけば、生活困窮につながっていくといった事例も聞いている。あまり言葉としてよくないが、負の連鎖のような形になってしまい、地域社会にそういったことをどんどん生み出し続けることにもなりかねないと思っている。こういった問題を単なる弱者救済として捉えるだけではなく、対策を取っていく必要があると思っている。
現在、我が国で、そして本県では、深刻な人口減少と労働力不足という構造的な課題にも直面している。こうした中、ひきこもりや8050問題の当事者となっている人々が適切な支援を通じて状態を改善していって、社会とのつながりを取り戻していく人が少しでも増えれば、負の連鎖を断ち切るだけではなく、地域社会を支える新たな活力への回復とも捉えることができると思う。人によって全然状況も違うので、難しいのはもちろん承知しているが、こういった形の可能性もあると思っている。
行政としてこれらの問題の実態をどのように捉えて、生活困窮者を防ぐために地域ぐるみの対策として、どのような対策を取っていくのか。
まず、本県における8050問題等に関連して、現在、県内でひきこもり状態にある人は、人数としてどの程度いると推計されているのか。また、その実態について、県はどのように把握しているのか。
【理事者】
2022年の国の全国調査に基づく本県における推計値は、40歳以上69歳までのひきこもりの人が約8万5,100人となっている。
本県では、県精神保健福祉センターをひきこもり支援の拠点として位置づけ、専門相談の実施や支援人材の育成など、ひきこもり支援策の推進に取り組んできた。
また、市町村におけるひきこもり相談窓口の設置促進や、支援者のスキル向上等の体制整備を進め、地域における支援体制の強化に取り組んでいる。
こうした取組や国の調査結果から、その実態の把握に努めているところである。
【委員】
国のデータによると、仕事のストレス等また精神障害の労災請求は年間約3,700件を超え、また、その中心は30代から50代という働き盛りの世代に集中しているということも出ている。そういった人たちが孤立を深めて、将来的に8050問題等に至る、先ほどの私の言葉で言うが、そういった負の連鎖を断ち切るためには、高齢者福祉や障害者福祉といった個別の枠組みを越えた対応が必要だと考えている。
ひきこもりや生活困窮に陥っている当事者世帯に対して、県として、包括的な地域福祉の観点からどのようにアプローチして、地域で安心して暮らせるような支援体制や対策をどのように講じているのか伺う。
【理事者】
生活困窮者自立支援法では、福祉事務所を設置する都道府県や市等において、自立相談支援機関を設置することとされており、本県では、町村域を対象として、生活に困っている人からの相談に応じている。
ひきこもりや生活困窮世帯については、本人や家族が支援を求めること自体が困難な場合も多いことから、支援者側からの積極的なアプローチ、いわゆるアウトリーチ型支援が重要であると認識している。
そのため、本県では2020年度から、生活に困っていて支援を必要とする人を自ら出向いて掘り起こし、自立相談支援機関につなぐアウトリーチ支援員を配置して、地域における支援ニーズの把握に努めている。
この中には、長年、ひきこもり生活をしていた人で、社会福祉協議会、学校、教育機関、保健所等の多機関から情報提供を受け、アウトリーチ支援員が関わり、面談を通じて信頼関係を構築することにより、障害福祉サービスの利用等につながっているケースもある。また、支援を必要とする世帯が抱える課題は、親の介護の問題、ひきこもり当事者自身の就労や社会参加など様々であるため、多くの関係機関、団体と連携した支援が必要となる。
県としては、今後もアウトリーチ支援員などを中心として、市町村や各分野の関係機関、団体との連携を深め、生活に困っている人々が地域で安心して暮らしてもらえるよう支援していく。
【委員】
社会全体や地域全体で支えていくことが大事だと思う。
最後に、社会全体の環境づくりについて伺う。
現場の事例において、精神疾患を隠しながら生活していること自体が二重の苦しみになっているという当事者の意見もあった。当事者が無理をして限界を迎える前に支援を届けていくためには、社会全体の偏見をなくして、誰もがなり得るものとして、隠さなくてもよい社会をつくることも大事ではないかと私は考えている。
県として、精神疾患に対する社会の理解促進のため、そして、誰もがためらわずに、SOSを出せる環境をつくるために、どのような取組が行われているのか伺う。
【理事者】
本県では、こころの健康を考える講演会を毎年開催し、県民に広く参加を呼びかけ、精神疾患に関する理解促進に努めている。
また、県保健所においては、精神疾患を有する人の家族等を対象とした講演会の開催、リーフレットの配布を行っている。市町村に対しても、身近な住民向けのイベントなどを活用し、精神疾患に関する啓発がなされるよう、県の保健所から働きかけをしている。
県としては、精神障害のある人が地域で安心して自分らしく暮らしてもらえるよう、しっかりと取組を進めていく。
【委員】
最後に理念的なことも踏まえて要望する。
これらの問題は、なかなか難しい課題であるし、医療が発達すればよいというだけではないと思う。
ある人の事例を伝えたい。その人がずっと感じていたのは、自分自身は非難されるような致命的な悪いことはしていないのに、なぜか人とぶつかってしまって、周りから理解されない。自分はそんなに悪いのかと純粋に苦しんできた。それらは実は特性だったことを大人になってから初めて学んで、それに向き合うことができる状態だそうである。
自分がなぜ苦しいのか自体も分かっていないことが怖さの一つではないかと思う。当然、自分が分かっていない中で、周りは当然さらに分からないようなことがそもそも背景としてあるというのが、多くの事例であることも分かった。
社会になかなか適応できない人に対して、社会や世間では、あいつが悪い、あの人がこうだからだという風潮は今でもあると思うし、人間である以上、なくならないことだと思う。
そういった無意識に社会に存在する、いわゆる常識であったり、あるべき姿や、空気を読めといったものは、過去につくられた、特に日本社会ではそうだと個人的には感じているが、誰もが画一的で、常にそういったものは我慢する、耐えるや、同じように皆がいることが大事である、そういったことに適応できることが大事である、そういったものが正解であるといった古い価値観がまだまだ根強く残っていると感じる。
そのような中で、日本は人口減少社会であるにもかかわらず、新たな価値観をアップデートしていかないといけない。昔ながらの、いわゆる正義のようなものがまだまだ正しいと扱われることも多いと思う。
歴史を振り返ると、全体主義の見直しがあって、個人が尊重されるようになったことは大事だが、民主主義の中ではマイノリティーの人たちはその中で排除されてしまう。これは構造的な側面がかなり大きく、本当に容易ではないと思う。
また、例えば、特性があるから仕方がないなど、マイノリティーの人たちの意見を全て認めるということでもないとも思う。社会はルールがあってこそである。
社会全体として、福祉・医療分野だけではなく、行政だけでもなく、そういったことで苦しんでいる当事者の人たちも、それが普通だということを押し殺すことがなく、活躍できる社会をみんなでつくっていくことが大事だという認識を持った上で、県としても、一層踏み込んだ対策、理解促進に向けた対策をリーダーシップを持ってやってほしい。
【委員】
まずはじめに、パーキング・パーミット制度について二点伺う。
パーキング・パーミット制度をやっていくに当たって、事業者に対して、しっかりと中身の周知をしていかなければいけないと思っている。
特に、不適切な利用があった場合、いろいろトラブルが起こると思う。そういったトラブル対応について、事業者へしっかりと説明がなされていないと、取り組みたいと思っていても、なかなか心配で、取組が進まない部分もあると思う。
そのため、事業者へしっかりと説明をするようにしてほしいが、県としてはどのように周知を進めているのか伺う。
【理事者】
パーキング・パーミット制度は、障害のある人、高齢の人や妊産婦など、歩行や移動に配慮が必要な人が安心して外出できる環境を整備することを目的としており、駐車スペースを必要とする人に適正に利用してもらうため、県民一人一人の理解と協力に基づき成り立つ制度である。
県では、制度導入に向けて、事業者に対し、個別訪問や啓発チラシの配布等を通じて、制度の趣旨や目的について丁寧に周知を図ってきた。特に、不適正な利用が見受けられた場合、事業者には、まずは制度の趣旨を理解してもらうための声がけや案内を願うものであり、トラブルの防止につなげるため、県において作成したチラシを利用者への注意喚起や説明の際に活用するよう周知している。

パーキング・パーミット制度 啓発チラシ
また、駐車場の管理者向けに制度の内容や注意点、利用証がない車が駐車している場合の対処方法などについて、事業者から寄せられた問合せも踏まえてマニュアルを作成し、県のウェブサイトに掲載することで、事業者が対応に苦慮することがないよう支援していく。
【委員】
丁寧にやっていることを十分理解できた。ぜひともトラブルシューティングに関しては、これからもどんどんと発信していってほしいと思う。
次に、パーキング・パーミット制度について、やはりこの制度をいかに知ってもらうかが非常に重要だと思っている。この10月にアジアパラ競技大会が開催されるので、障害者に対して非常に注目が集まっているタイミングをしっかりと利用すべきだと思っている。
アジアパラ競技大会に向けて積極的に広報を行い、例えば、大会の期間中だけでも、パーキング・パーミット制度を取り入れていない駐車場であってもポスターの掲示をしてほしいとか、集中的に広報活動をしてもらうことができないかということを考える。一層の啓発に努めてほしいが、どのように取り組むのか。
【理事者】
制度の周知については、これまでも制度の開始に向け、市町村に対する依頼や、事業者に直接訪問する等により、丁寧な周知を行ってきたところであり、今後も引き続き周知に努めていく。
本年10月に愛知・名古屋で開催されるアジアパラ競技大会は、大会の意義として障害への理解促進や障害のある人の社会参加の促進を掲げていることから、こうした機運を啓発につなげていくため、市町村に対し、改めて県が作成したポスター、チラシ、啓発動画等を活用した広報を行うよう働きかけていく。
さらに、アジアパラ競技大会直前の9月に実施するあいちアール・ブリュット障害者アーツ展は、例年、多くの来場者が見込まれるため、会場において啓発チラシの配布やポスターの掲示を行い、来場者にアピールするなど、積極的な広報に努めていきたいと考えている。
【委員】
大事なことは、当たり前のものとして社会にどう定着させるのかということだと思っている。利用者、事業者、制度に関わる人ではなくて、実は、その周りの社会がどう認知するかということがこの制度の成功にかかっていると思っている。
昨今、情報がたくさんあふれていて、大事な情報もなかなか届かないということが起こる。そして、情報の陳腐化が非常に速いということが考えられる。6月に制度が始まって、今は比較的関心が向いていると思っている。関心が制度に向いているうちに、しっかりと浸透させる、広報することが非常に重要だと思っている。
その意味でも、アジアパラ競技大会は一つの大きな契機になると思っているので、ぜひともここをターゲットに、制度の浸透を図ることを要望する。
続いて、運営指導事務の外部委託についてである。
本県、令和7年度から障害者総合支援法に係る運営指導事務の一部を外部委託したと承知しているが、外部委託することになった経緯を伺う。
【理事者】
障害福祉サービス事業者等への運営指導については、国の指定障害福祉サービス事業者等指導指針において、おおむね3年に1回の頻度で実施することが定められていたが、県の所管する障害福祉サービス事業所等の数が急増しており、定められた頻度どおりの実施が困難な状況であった。
こうした中、2022年5月以降、県内の複数の自治体で株式会社恵が運営するグループホームにおいて、食材料費の過大徴収や報酬の不正請求の疑いが判明し、本県による調査の結果、法令違反や不正請求が認められた。
そこで、障害福祉サービス事業者等に対する指導体制を強化するため、2025年度からグループホームの運営指導業務の一部を外部委託し、3年に1回の頻度で運営指導を実施することとなった。
【委員】
では、運営指導を受託できる団体とはどのような団体であるのか。そして現在、そのような団体が県内に幾つあるのか。また、外部委託に当たって、どのような手法で受託者を選定しているのか。委託の事業範囲はどのようになっているのか。
【理事者】
委託先は、受託事務を的確に実施するに足る経理的及び技術的な基礎を有しており、本県の事務受託法人の指定を受けている団体、または契約日までに指定を受ける見込みである団体で、現在、3団体が指定を受けている。
どのような手法で受託者を選定したかであるが、事務委託に関する企画提案を募集して、県が設置する企画選定委員会において、提出のあった企画提案の中から事務委託の実施に最も適した提案者を選定している。
また、委託業務であるが、県が所管する指定障害福祉サービス事業者に係る運営指導の一連の業務のうち、運営指導予定表の作成、実施通知の発送、日程調整、現地における運営指導、復命書の作成、県への報告、結果通知等の作成、発送などを委託している。
【委員】
外部委託に当たり、運営指導事務をきちんと技術的に遂行できるという点をどのように担保しているのか。
また、非常に高い法の理解と、ルール改正などが度々ある状況の中で、外部委託の団体が運営指導員に対して研修等をしっかりやってもらわなければいけないと思うが、外部委託の運営指導員に対する研修等の実施状況を県として把握しているのか伺う。
【理事者】
委託先による運営指導の遂行の担保としては、現在、約3週間ごとに県と委託先で委託業務の報告会を実施し、運営指導時における指摘事項、疑義事項などについて情報共有を行うとともに、運営指導が適切に実施されているかを確認している。
また、委託契約締結後、受託者が運営指導業務に従事するに当たり、事前に県主催の研修を受講するとともに、委託先が運営指導を実施する際に、未経験者に対する現場学習を実施していると聞いている。
なお、受託者が実施した研修の状況については、委託先からの実績報告において確認しているところである。
【委員】
今の話の中で、受託の事業者を決めるときに、例えば、どんな資格を持っている人がいるか、どんな能力がある人がいるかといったことについて全くなかったが、仕様書にはそのような内容も書いてあるのか。
【理事者】
委託の仕様書の中で、そういったことも決めている。
【委員】
令和7年度の外部委託の件数が60件と聞いている。県が直接実施する件数は、計画は60件だったが、実績は74件と承知している。
運営指導に行く事業所について、外部委託とするか県が直接行くか、その振り分けは、どのような考え方で行われたのか。例えば、規模の大小であったり、地域別であったり、困難事例が想定される、されないといった何か判断基準があったのか伺う。また、業務遂行に当たり、外部委託先とどのような連絡調整を行っているのか。
【理事者】
委託する事業所の振り分けに関して、運営指導に行く事業所を国の指導指針で定められている3年に1回となるように、事業所を選定する。それが120か所ぐらいである。
その中で、苦情や内部告発等があって、不適切な運営が疑われるような場合で、県が直接対応する必要があると判断した事業所については、県で運営指導をする。そのようなところは除き、適宜振り分けている。
それから、連絡調整については、3週間ごとで報告会を実施しているので、その中で指摘事項や疑義事項についての情報共有を行い、運営指導が適切に行われているかを確認している。
【委員】
場合によっては監査権の行使が必要になりそうなところには、県が直接行っているということで、その点は非常に安心した。監査権は県にしかないので、そういったところにきちんと配慮されていることは理解できた。
委託しているとはいえ、あくまで県の業務であるからには、外部委託業者の業務の質を客観的に情報収集し、必要があれば是正に向けて対応すべきだと思う。外部委託先が運営指導した事業者に対してアンケートなどを行って、客観的な情報収集等をしてみたらどうだろうか。
【理事者】
運営指導は、事業者に対する改善助言を主な目的とすることから、法令等に基づく客観的根拠を持って適切に指摘を行い、事業者の理解と改善を促す指導力が大切であることから、委託業者の業務の質を確保することは重要であると考えている。
今後、他県の例等を調査して、委託事業者に対する評価の方法や指標について、検討していきたいと思っている。
【委員】
まだ外部委託が開始されて1年であるので、その辺りをしっかり検討してほしいと思う。
外部委託に関しては、昨年度1年間実施して、その効果と問題点についてどのように県として把握しているのか。
【理事者】
まず、外部委託するということで、国の指導指針に沿った3年に1回の運営指導の実施が可能となったことが大きな効果であると考える。
その結果、運営基準の遵守状況の把握や、課題の早期発見が促進されて、事業者において、法令や基準に沿った適切なサービス提供体制の維持向上につながっていると考えている。
一方で、問題点は、県の指導力の維持と、先ほど話が出たが、委託した業務内容の質をどのように保っていくかが課題であると考えている。
県としては、委託先の運営指導の実施状況の確認や、委託先からの報告内容の精査を行いながら、適切な委託に努めていきたいと考えている。
【委員】
効果として、3年に1回という一つの基準に達する形でできるようになったということだが、外部委託したとしても、県の仕事であるので、しっかりとその辺りは考えてほしい。
60件に対して1,000万円を超える予算を使っていて、県で臨時職員を雇って実施するという選択肢もあるのかと今の説明を聞いて思った。
もちろん、外部に有為な人材がいて、その人々に活躍してもらうことも、県として一つの方法論でもあり、法律でも認められている。また、県の監査として、ある意味、そのような人々と交流することによって、いろいろな視野が広がる部分もある気がする。
そういったところも総合的に振り返って、今後の外部委託の形を考えてほしいと思う。しっかり連携を密にして、丸投げにならないように気をつけてほしい。
続けて、今回の運営指導の外部委託ということをテーマに調べてみたところ、介護保険の業務においては、名古屋市、豊田市、愛西市及び武豊町が外部委託していた。
愛西市と武豊町は、各年度に運営指導対象事業所を割り振り、その全部を外部委託しているという状況であった。
政令・中核市、名古屋市、豊田市に関しては、平成24年度の権限移譲で所管事務が増大して、業務の一部を委託したと認識している。
一方、愛西市、武豊町などの政令・中核市以外の市町村については、平成18年に市町村所管の地域密着事業が創設されて、それ以降、平成28年4月に定員18人以下の小規模デイサービス事業が地域密着型サービスと位置づけられたことによって、市町村の所管、指導監督、指定の事務が市町村に移管され、このときに所管の事務所数がかなり大きく増えたと認識している。そして、平成30年4月からは、居宅介護支援事業所の指定と指導監督事務が市町村に移譲されたことにより、またさらに所管の事業所数が増加した。
愛西市や武豊町がその全てを外部にお願いしているという状況を見るにつけ、このように所管事業所数が相当数増加する中で、市町村によっては十分な指定及び指導と監督事務体制が取れていないのではないかと危惧する。県として、運営指導や監査に関して、市町村等の連携、事務への支援や指導は、必要不可欠ではないかと思う。
そこで、運営指導、監査において、市町村との連携はどのようになっているのか。また、市町村に対してどのような支援や指導を行っているのか伺う。
【理事者】
介護保険法の規定により、指定都市及び中核市を除く市町村が指定する介護サービス事業者、これには地域密着型サービス事業者や、居宅介護支援事業者等があるが、これらの事業者に対して当該市町村自らが行う指導監査事務については、都道府県が助言等を実施できるとされている。
このため、本県では、市町村が行う指導監査等の事務の平準化を図る観点から、県が指定する訪問介護事業者や訪問看護事業者、通所介護事業者等の居宅サービス事業者や、介護老人福祉施設や介護老人保健施設等の介護保険施設に対して、県が指導または監査を行う際に市町村職員の同行を求めることにより、指導や監査を行う際の着眼点や書類の確認方法等について実地で学んでもらっている。
また、市町村が介護サービス事業者の処分を行う場合には、市町村から県に対して情報提供してもらうとともに、県から市町村に対して必要な助言を行うなどして、日頃より十分な連携を図っている。
【委員】
もし市町村に指導監査の力がない場合、最終的に、県にも業務が増えるのではないかと思う。市町村で、自分の所管ではないから関係がないという視点ではなく、いろいろな計画を県としてつくっている中で、そういったところにも目配りしなくてはいけないと思う。できる規定だということで、その中でやっているということだが、ぜひとも積極的に市町村支援に力を入れてほしい。
権限移譲等について、それによって先ほど述べたほかにも、例えば、平成25年度には社会福祉法人の所管が一般市に権限移譲された。それに伴って、複数の市にまたがるときは、県が社会福祉法人の所管をすることになっている。
法人所管と事業所所管の行政庁が異なることになるなど、様々な事務が市町村等に移譲されたことによって、私は、県がこれまで自分のところの仕事で、そのときに培った多くのノウハウが、移譲後、年数を経るごとに失われていっているのではないかと危惧している。
度重なる法改正、例えば、事業所のM&Aが伴うことで、会計の違うところがくっついたことによって、指導困難な事業所が増えていると聞いている。それによって事務負担が増加しているのはよく分かるが、それで、制度への理解が十分に深めることができずにいるのではないかとも併せて心配している。
市町村への支援や指導を行うには、県の職員がしっかりとした知識やノウハウを持っていることが大前提になると思う。
そこで、運営指導や監査に当たる職員のスキル向上に向けて、どのように取り組んでいるのか。また、県には、過去、様々な事業所を抱えていた時代に、苦労して取り組んできた先輩たちが積み上げてきた知識や経験というものの集積があるはずである。そういったものをどういった形で継承しているのか。
【理事者】
事業者への運営指導及び社会福祉法人の指導監査業務に関するスキル向上を図るため、外部研修への参加や内部研修の実施を通じて、職員の専門知識の習得、向上に努めるとともに、マニュアル等の整備により統一的な指導、事務処理体制の確保に努めているところである。
また、経験の浅い職員に対しては、経験豊富な職員による同行指導や実務を通じた育成を行うなど、知識、経験及びノウハウの継承に努めている。
今後も、運営指導等における指導確認事項や課題、効果的な指導手法について組織内で適切に共有し、職員間の認識の統一を図ることで、的確かつ適切な指導等が実施できるよう、引き続き取り組んでいく。
【委員】
監査指導室に配属される職員は、決して最初から福祉の専門家であったというわけではないと思う。そういった中で、しっかりと知識やノウハウを身につけていかなければいけない。非常に大変なことを担っていると思う。
ただ、その部分がきちんと見られないと、県民の生活が守られないので、ぜひ使命感を持ってしっかりと取り組んでほしいと思う。
例えば、監査権の行使は、非常に大きな権限である公権力の行使であるので、しっかりとした根拠がなくてはできないものである。ルールが変わる中で、非常に大変だということは理解しているものの、ぜひとも能力を身につけて、適切な運営指導、監査によって、本県の福祉をしっかりと守ってほしいと思う。





