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一般会計・特別会計決算特別委員会審査状況(令和6年10月18日)
一般会計・特別会計決算特別委員会
委員会
日時 令和6年10月18日(金曜日)午後0時59分~
会場 第8委員会室
出席者
石井芳樹、天野正基 正副委員長
横井五六、神野博史、高桑敏直、政木りか、林 文夫、宮島謙治、
高木ひろし、松本まもる、山口 健、古林千恵、末永けい 各委員
農業水産局長、農林水産推進監、農業水産局技監、農政部長、
畜産振興監、水産振興監、
農林基盤局長、同技監、農地部長、林務部長、
福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、同技監、健康医務部長、感染症対策監、
生活衛生部長兼生活衛生課長、
会計局次長、
監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
委員会審査風景
付託案件等
決算
決算第1号 令和5年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第4款福祉医療費、第6款農林水産費及びこれらに関する歳入
決算第4号 令和5年度愛知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算
決算第5号 令和5年度愛知県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
決算第7号 令和5年度愛知県就農支援資金特別会計歳入歳出決算
決算第8号 令和5年度愛知県沿岸漁業改善資金特別会計歳入歳出決算
決算第9号 令和5年度愛知県県有林野特別会計歳入歳出決算
決算第10号 令和5年度愛知県林業改善資金特別会計歳入歳出決算
会議の概要
【1】農業水産局、農林基盤局関係
- 開会
- 決算概要の説明
- 質疑
- 休憩(午後2時16分)
【2】福祉局、保健医療局関係
- 再開(午後2時25分)
- 決算概要の説明
- 質疑
- 閉会
主な質疑
農業水産局、農林基盤局関係
【委員】
私からは、決算に関する報告書の218ページから219ページのスマート農業推進事業費のうち、スマート農業実証事業費について伺う。
本県は農業産出額全国第8位、中部圏最大の農業県であるが、その一方で生産者の高齢化や減少が進み、労働力不足による生産力の低下が懸念されている。また、ベテランの農家の減少に伴い、これまで本県の農業を支えてきた高度な技術が継承されていかないこともとても心配な点である。
そこで、スマート農業実証事業について、具体的な取組内容とどのように推進してきたのか伺う。
【理事者】
スマート農業実証事業は、ICT等の先端技術や生産性向上のための新技術等について、農業者、関係機関、民間企業等と連携の下、県が県内各地の圃場で現地実証試験を実施し、省力化や経済性の検証、あるいはハウス内のデータを活用した営農技術体系の検討などを行うものである。
2023年度は11の実証をテーマに取り組んだ。主な取組として、水稲や小麦栽培でのドローンの活用による農薬散布作業の省力化の実証、ナスやトマトなど施設野菜でのハウス内の温度や湿度の分布をデータ化、見える化し、病気の出にくいハウス内環境づくりの実証、画像処理技術を用いてイチゴの果実の選別を行うスマート選果機の導入による労働時間削減の実証などである。
推進については、農業総合試験場や県内8か所にある農林水産事務所農業改良普及課が、農業者、農業協同組合(JA)、民間企業のほか国の試験機関や大学等の参画によりコンソーシアムや実証チームを結成し、関係機関が一体となって、産地、地域がそれぞれの地域にあったスマート農業に取り組む体制をつくり推進した。
【委員】
どのような成果が上がったのか伺う。
【理事者】
水稲や小麦の農薬散布については、一般的な乗用管理機とドローンによる農薬散布の作業時間を比較したところ、ドローンでは作業時間が2割から3割削減できた。
施設のナスやトマトでは、湿度が高い状態が続くと灰色かび病が発生しやすくなる。ハウス内の10か所程度にセンサーを設置して、ハウス内の湿度の分布を調査、灰色かび病の発生しやすい場所を把握した。その結果を基に、暖房機から温風を送付するダクト、送風管の配置を工夫して湿度が上がらないような管理方法の改善を行ったところ、灰色かび病の発生が抑えられた。
イチゴでは、パック詰めなどの調整作業が全労働時間の30パーセント以上を占めている。パック詰めでは1個ずつ計量してサイズを確認しなければならないため、熟練した農業者でも大変手間のかかる作業である。イチゴのサイズを瞬時に判定するスマート選果機の画像処理技術により、パック詰めの労働時間が2割程度削減できるめどがついた。
これらの成果については、農業総合試験場普及戦略部及び農業改良普及課が中心となって実証チームやコンソーシアムで評価して、普及に移せると判断できる技術については、普及指導計画に位置づけて社会実装を進めていく。また、効果の検証が必要なスマート農業技術については、引き続き生産者や関係機関と連携して現場実証を進めていく。
【委員】
最後に要望をさせてもらうが、このスマート農業は、大きく省力化、それから効率化が可能であるとともに、データの活用によって技術や栽培のノウハウを次世代に継承ができる可能性を秘めていると思う。大変有用であるため、この実証事業の成果を生かしてもらい、引き続き本県農業を支えてきた高度な技術を継承できるよう推進してもらうことを要望する。
【委員】
決算に関する報告書の209ページ、農林漁業企画調査事業費のうち、2の半農半X支援事業費について伺う。
農村のさらなる人口減少や高齢化が進む一方で、若い世代を中心に田園回帰の動きが見られるようになり、農林水産省は関係府省とともに連携して第2期のまち・ひと・しごと創生総合戦略について施策を進め、農村の活性化を進めていくことが重要であるとしている。
半農半X事業においても、農村地域への人の流れを生み出す対策として取組に期待が高かったと思う。半農半X事業費の決算額600万円について、半農半Xの促進のために見学会や意見交換会などの具体的な取組内容及び成果、結果を伺う。
【理事者】
そもそも半農半Xとは、農業とほかの仕事を組み合わせた働き方である。本県では、食と緑の基本計画2025において、都市部から農村地域への人の流れを生み出す農村対策の一つとして半農半Xを支援することとし、令和3年度から5年度までの3か年の計画で、半農半X支援事業を実施した。
昨年度の具体的な実績であるが、半農半Xの志向者を確保するため、東京で相談会を、名古屋でセミナーを開催するとともに、過去の相談会出席者やウェブ等で応募した人を対象に、常滑市、岡崎市、豊田市、新城市、田原市の県内5か所で現地見学会、意見交換会を開催した。
見学会では県内外から延べ36人が出席し、各5か所の現場において農業と、それぞれのXの取組状況の説明をした後、参加者と有識者、半農半Xの実践者、市町村の担当者との意見交換を行った。参加者の疑問点に率直に答え、本県での半農半Xの具体的なイメージを持ってもらうことができた。
また、具体的な実績としては、過去に行ったセミナーに参加した人が、現在、豊田市で半農半Xを実践しているが、昨年度の現地見学会には、講師側として出席してもらった。そういったことも当事業実施による一定の効果である。
【委員】
3点質問する。
まず、209ページ、半農半Xについて私からも質問する。
事業の課題はあるのか。今後の半農半Xへの支援をどのように進めていくのか。
【理事者】
昨年度実施した、課題と今後の支援についてである。
昨年度の取組の一つとして、県内の5か所で現地見学会を行った。参加者36人は、全ての人が非常に満足したという回答をもらっている。アンケートの中で、今後は就農に関する情報、各市町村に関する移住定住などの情報が欲しいと回答が多くあった。
また、意見交換会では、現場で実践者の生の声を聴き、非常に貴重な経験になったという感想があったが、その中で農業技術の習得方法、販売の仕方、販売先の確保など農業への取組に対する不安が多くあった。また、子育てをその地域でどうしていったらいいかという居住環境を気にする人もいた。
これらの半農半X志向者の意見を踏まえ、今後の支援策としては、現在、半農半Xの専用のウェブページにある実践者の情報を拡充するとともに、実践者がこれから居住する市町村の移住定住や就農等の支援策を掲載、更新など志向者が必要とする情報発信を継続して行っていく。また、就農したいという具体的な相談については、農業大学校にある農起業支援ステーション等を活用して支援を行っていく。
また、昨年度、現地見学会、意見交換会を行った市町村については、新規就農をはじめ、半農半X実践者の受入れに前向きなところが多いため、当事業の成果を活用してもらいながら、移住定住の個別相談や、市民農園、農業塾等による農業技術の習得支援を行ってもらうなど、今後も県と市町村が連携して取り組んでいく。
【委員】
昨今の状況を見ると、生産者の後継者不足、資材価格の高騰、漁業でいえば、海水温が上がっていて獲れなくなっているなど課題が出てきており、本当に厳しい状況で都市と地方、消費地と生産地のバランスが崩れてきている。
今、県が進めているように、産地を応援していく。都市部の自治体等にも意識を芽生えさせていかないといけないと思う。これまでのように単純に賃金を稼いで消費するだけではなく、作る側に意識を持ってもらう。
半農半Xの理念が非常に哲学的に面白い。京都府綾部市出身の塩見直紀氏が最初提唱した。Xというのは天与の才で、天職とか、使命とか、生きがい、大好きなこと、ライフワーク、それを世に生かす生き方である。ぜひ根本理念を活用してほしい。
国も5月に二地域居住促進法を改正し、ますますこのような政策をしっかりと進めてほしい。今後の取組に期待したい。
続いて、211ページ。いいともあいち運動を今後どのように広めていくのか。事業実績と今後の展望について伺う。
【理事者】
いいともあいちネットワークに関する実績等についてである。
本県では、県民に愛知県の農林水産業の応援団になってもらい、消費者と生産者が一緒に愛知県の農林水産業を支えていくことができるよう、1998年度からいいともあいち運動を展開している。2000年度には、いいともあいち運動に取り組む生産者団体、スーパー、飲食店などの流通の関係者、消費者団体に県が呼びかけ、お互いに交流を深めたり情報交換する場として、いいともあいちネットワークを構築した。
本県では、いいともあいちネットワークの会員が主催するイベント情報の告知や、新規会員の紹介などを行うメールマガジンを毎月発行するほか、会員の自主的な取組を支援し、会員相互の交流の促進のため、各種イベントの際に出展事業者同士の情報交換を促すなど行ってきた。
いいともあいちネットワークの2023年度末の会員数は1,778者で、その内訳は生産者組織等が343者、流通関係が1,082者、消費者団体が50者、その他が303者となっており、昨年度中に新たに84者が加入した。
今後の展望としては、いいともあいち運動のさらなる推進に向けて会員同士の連携が一層進むよう、会員が集いやすい魅力ある場づくりに取り組んでいく。
【委員】
いいともあいち運動については、食と緑の基本計画2025の中で、県主導から民間主導へ自立的に運動が盛り上がる機運を高める必要があると課題が書かれている。いいともあいちネットワークについては、県民、生産者、流通関係、消費団体、行政、教育機関といったネットワークであるが、自立的にいろいろな運動が派生的に盛り上がってくることが大事だと思う。
私も経営者が集まる会では、事業の柱があり、余裕があるところには1次産業にもしっかりと携わってもらいたい、事業のポートフォリオに入れてもらいたいと話している。加入会員が増え、いろいろな取組が広がっていくように、県内でネットワークが盛り上がっていくようにお願いする。
続いて、214ページの鳥獣被害防止総合対策事業費補助金について伺う。農作物の鳥獣被害防止対策について、有害鳥獣という言葉があるが、有害なものであるのかどうか、よく考える必要がある。人間と動物を分離して、さらに人間側が被害者意識でいるうちは、共生社会はつくれない。根本原因を見直していかなければいけない。
人間以外の生物への畏敬の念が忘れがちになっているためいろいろな不調が出てきてしまっている。その点について局内で議論しているのか。
【理事者】
農業水産局における有害鳥獣対策は、基本的には農業者が農産物を育てている中で、イノシシやシカが育てた作物を食べてしまうと、それで生産量が減るなど被害が出ることで有害とし、対策を行っている。その定義を変える、考え直すことは今は考えていない。
【委員】
環境の面と人間の農業生産に関する部分をどのように調和させていくのか、都市開発なども含めて、人間がやってきたことが、野生動物の環境を変えているなど根本原因がいろいろあると思う。単純に有害とワードで決めつけるのではなく、自然環境全体としてどうやって共生していくのか、共存していくのかをぜひ農業水産局の中で議論してほしい。
先ほどの食と緑の基本計画の中でも、山里、中山間地域、半農半Xとあるが、いかに人間と自然が共生するかという理念も入っていると思うので、総合的に施策を今後展開することを要望する。
【委員長】
委員、決算委員会であるため、決算に基づいて質問するようお願いする。
【委員】
私からは、決算に関する説明書210ページ、食育消費流通事業の5、6次産業化支援事業費について伺う。
農家の所得向上を目指した取組として、6次産業化は有効な施策である。私の地元の農業協同組合(JA)でも、地元農家の特産品である柿、梨、桃などを使った加工品のほか、地域が一体となって四季折々の恵みを活用した商品開発に取り組んでいる中、6次産業化を進めていく推進事業費に関して、今年度の取組状況について伺う。
【理事者】
推進事業は6次産業化を進めるための事業であり、大きく三つの取組を実施している。
一つ目は、有識者や農業生産、商工、観光などの関係団体と6次産業化に関する本県の取組方針や支援策などを検討する愛知県6次産業化推進会議を開催している。
二つ目としては、6次産業化を志向する農林水産事業者を支援するための愛知県6次産業化サポートセンターを設置している。センターでは、中小企業診断士やマーケティングなどの専門家から成るプランナーを配置、派遣して、経営改善に向けた個別相談を行い、昨年度の派遣回数は延べ154回であった。
三つ目は、6次産業化のスキル向上を図る人材育成研修会を開催しており、昨年度は合計18回開催し、参加者は延べ220人であった。
事業費の大部分については、6次産業化サポートセンターでのプランナー派遣の業務や人材育成研修会の開催等の委託費として執行している。
【委員】
様々な取組を行っているが、私が今まで見てきた取組は、生産者が生産物、特にB級品の有効活用に着目した商品開発が多いと感じる。マーケット戦略は逆にいうと弱いという発想にもつながり、売れるものになっていくのかとも思う。
効果的な所得向上を目指すためにも、販売対象の明確化、消費者の需要等ニーズをしっかり踏まえたマーケットインによる商品開発の取組が重要だと思う。
そうした中で、6次産業化の推進に向けた課題、そして今後の県の考え方について伺う。
【理事者】
6次産業化は、農産物の生産だけでなく、加工や販売などを含めた経営に取り組むものであり、高度な経営感覚を持つ経営者の育成が重要である。
このため、県としては、人材育成研修会を開催して、より多くの農林漁業者が経営感覚を持って6次産業化に取り組めるよう今後とも支援していく。
あわせて、6次産業化に実際に取り組もうとする農林漁業者に対しては、中小企業診断士などによる経営改善や、食品バイヤーなどマーケットに強い専門家によるマーケット戦略などに関する助言を一層強化して、個別の課題に対してもしっかり支援していく。
今後とも、自らが価格を決定できる魅力ある商品を生み出し、ビジネスとしてもうかる農業につなげることができる6次産業化の取組を支援していく。
【委員】
生産者が余った作物等で商品を作ることも一つ重要な発想であると思うが、大切なのは出口戦略、そして売れるものをどのように加工して作っていくかであると思う。この6次産業化の専門の人々との連携を強め、6次産業化をますます進めるよう支援をお願いする。
【委員】
報告書の218ページ、スマート農業推進体制整備費について伺う。
当初予算の説明では、スマート農業の専門指導員を育成して農業者への指導活動を強化すると聞いた。そこで、事業の内容と、専門指導員の育成状況について伺う。
【理事者】
スマート農業推進体制整備費では、スマート農業技術を普及推進するための指導者の育成を目的として、農林水産事務所農業改良普及課の普及指導員がスマート農業に関する知識を習得するため、先端技術の基礎知識を学ぶ研修と、知識を実際に活用するための研修を実施した。
基礎知識を学ぶ研修では、21人の普及指導員が9日間の研修を受講した。データを収集、解析して生産性向上に結びつけられる人材の育成のため、プログラミングや、時系列データの解析方法の研修を行った。指導は、技術開発に関わるスタートアップ企業の人や画像解析を専門とする大学の先生など外部の専門家に講師を依頼した。
また、知識を活用するための研修では、35人の普及指導員が6日間の研修を受講して、スマート農業に関する知識を体系化するために、これまでに行われた実証試験結果の検討やスマート農業技術を導入した経営改善の事例研究などを行い、現場で実践的に指導できる知識を身につけた。
これらの研修を受講した普及指導員は、この3年間で58人、県の普及指導員208人の27.9パーセントの職員がこの研修を受講した。これらの職員がスマート農業の専門指導員として、スマート農業を導入する農家の経営指導や産地の体制づくりの指導に当たっている。
【委員】
習得した知識を活用した産地指導の成果と今後の進め方について伺う。
【理事者】
普及指導員が研修を受講して、専門的な知識や指導力を習得してスマート農業の専門指導員として活動することにより、幾つかの地区でスマート農業を活用した農家の経営改善や産地の体制づくりが進みつつある。
例えば西尾市のJA西三河きゅうり部会では、生産量の多いハウスの温度や湿度のデータをスマートフォンやパソコンで部会員全員が共有して、自分たちの栽培管理に反映させ、産地全体で生産性を向上させている。
普及指導員は、先進的なリーダー農家やスマート農機を開発、販売する民間業者と専門的な技術に関する話をする一方で、部会全体に対して技術研究会や講習会の開催支援など、農家同士が情報交換、情報共有できる仕組みづくりを進め、現在では産地全体で生産性の向上に取り組む体制ができている。
また、愛西市のレンコン産地では、普及指導員は、農業支援サービス事業体やリーダー農家とともにドローンによる農薬散布の省力性や経済性を検証し、この結果を基にした共同防除を行う体制が整っている。
スマート農業は省力化や精密化という面で大変有用であるが、導入コストがかかり、誰でも導入できるものではなく、組織や共同で導入、活用したほうが効果的な面もある。
県としては、今後も普及指導員が、より高度な知識を習得し、指導のレベルを高めて、農家と民間企業のコーディネーター役になるとともに、サービス事業体や大規模農家などスマート農業機械の導入について、国の補助金等も活用し、地域全体で生産性が上がるよう支援していく。
【委員】
西尾市のきゅうりや愛西市のレンコンは、スマート農業の先端である。そういったことが苦手な農家もいるので、引き続き支援をお願いする。
続いて、報告書の233ページ、畜産振興費の畜産競争力強化対策整備事業費補助金について伺う。
昨今、畜産農家においては、飼料の高騰や、人手不足、高齢化など厳しい状況にあり、廃業の話をよく聞く。本事業を実施することで競争力が強化されているのか。経済効果はどうなっているのか。
【理事者】
まず、本県の畜産農家の現状として、畜産農家戸数は、高齢化等に加え、豚熱及び鳥インフルエンザの発生、新型コロナ感染症の拡大に伴う畜産物の需要の減退、輸入飼料をはじめとする生産資材の高騰など、畜産経営に甚大な影響があったこの7年間において、乳用牛では307戸から199戸と35パーセント、それから豚は198戸から138戸と30パーセント、採卵鶏では143戸から109戸と24パーセント程度減少している。
そうした中で、本事業は国のTPP対策等に位置づけられた畜産クラスター事業であり、地域の畜産農家が飼料メーカーや、それから農業協同組合等で構成される畜産クラスター協議会が作成した計画に基づき畜舎等の整備費の一部を支援するもので、本県では2016年度からこの事業に取り組んでいる。
また、本事業の実施に当たっては、高収益型畜産の実現に向け、畜産農家において増頭、増羽が必要になるとともに、成果目標として収益を増加させることが要件となっている。
本県では、2023年度の5農家をはじめ、これまでに30戸の畜産農家に対し畜舎の整備等を支援したことにより、牛では2,300頭、親豚でも2,300頭、採卵鶏で74万羽が増えている。それに伴い、年間の収益効果は約72億円に達する見込みになっている。
こうした取組により、畜産農家の戸数は減少しているが、1戸当たりの飼養頭羽数は乳用牛で17パーセント、豚で24パーセント、採卵鶏で30パーセント程度増加しており、経営の規模が拡大することで競争力の強化につながっていると考えている。
また、本県の農業産出額における畜産部門は、近年、850億から900億円程度で推移しており、本事業の効果により各農家の収益性の向上が図られたものだと考えている。
今後も引き続き、畜産農家の収益向上に向けた取組を支援し、こうした農家が牽引役となり本県の畜産業全体の競争力強化につなげていく。
【委員】
しっかりとこの事業を継続してほしい。
報告書の242ページ、栽培漁業センター管理運営事業費の17運営委託費の決算額1億557万73円の内訳について伺う。
【理事者】
令和5年度決算額の内訳については、餌、資材、親魚の購入費及び光熱水費など種苗の生産に係る費用が5,376万9,561円、電気保安業務や機器点検などの施設の管理に係る費用が831万232円、人件費が4,349万7,280円となっている。
【委員】
センターでは7種の種苗の生産を行っていると聞いているが、いつごろから種苗生産が開始されたのか。
【理事者】
現在、種苗生産している7魚種の生産開始時期については、アユ、クルマエビ、アワビが栽培漁業センター開設時の昭和54年、ガザミが昭和60年、ナマコが平成7年、トラフグ、ヨシエビが平成17年となっている(後刻訂正)。
【委員】
種苗生産については、水産試験場で技術開発し、その後、センターに移管して、生産を行っていると聞いている。生産開始後にセンターにおいて技術水準の変化はあるのか。
【理事者】
栽培漁業センターでは、新しい魚種を生産する際に、水産試験場で開発された研究レベルの生産技術を安定的に大量の種苗を生産できるよう、事業レベルへの技術改良を行っている。
また、生産を開始した後は、種苗生産の効率化や作業の省力化を図るため、親魚の養成、採卵、ふ化稚魚の育成方法の改善など、センターでは常に技術水準を高めるよう努めている。
先ほどの質問で、ナマコの生産開始時期が平成7年と答弁したが、平成5年であったため、訂正する。
【委員】
最後に、県は直接生産を行う方法や施設管理のみを委託する方法も考えられるが、公益財団法人愛知県水産業振興基金に業務委託している理由は何か。
【理事者】
栽培漁業センターで行っている放流用種苗の生産は、健全かつ遺伝的多様性に配慮した種苗を大量に生産する必要があるため、親魚の養成、餌となるプランクトンの培養、餌のやり方、飼育水の管理など、幅広い知識と熟練した技術、経験が必要な極めて専門性の高い業務である。
このため、本県ではこれら知識と技術、経験を有したプロパー職員が在籍する公益財団法人愛知県水産業振興基金に業務委託している。
なお、施設管理の内容は、温度管理を行うボイラーや水を供給するポンプ、ろ過装置や自動給餌装置など種苗生産に係る機器類の管理が主体となっていることから、施設管理を切り離さず、生産業務と併せて業務委託している。
【委員】
引き続きよりよい施設の利用をお願いする。
【委員】
私からは、決算に関する報告書269ページのあいち森と緑づくり事業費について伺う。
この事業は、環境保全や災害防止などの働きを有する森林や都市の緑を整備、保全し、健全な状態で将来に引き継いでいく重要な事業である。この事業の中心にある、森林整備事業費のうち、人工林整備の間伐について、報告書の令和5年度の実績、全体計画に対する進捗状況を伺う。
【理事者】
令和5年度の実績である960ヘクタールについては、事業計画の1,600ヘクタールに対して60パーセントの達成率となっている。
【委員】
達成率が60パーセントとのことであるが、計画に比べて達成率が低くなった理由をどのように分析しているのか。
【理事者】
達成率が6割となった理由は、工事費の増加によるもので、その主な要因は三つある。
一つ目は、公共工事の労務単価の上昇によるものである。
二つ目は、防災・減災やライフライン確保の観点から、道路沿いなどの間伐等を重点的に実施した結果、電線から近い箇所で作業を行うために必要となる高所作業車等の特殊な機械の使用や交通誘導員の配置により工事費が増加した。
三つ目は、資源の有効活用の観点から間伐材の搬出を推進したことで工事費が増加している。
【委員】
労務単価の上昇や、工事費がかかる道路沿いの間伐に重点を置くことなどにより、昨年度の間伐実績が年度計画よりも低くなったと理解した。
それでは、令和元年度からの第2期事業計画の間伐の全体計画におけるこれまでの実績と評価について伺う。
【理事者】
令和元年度から令和10年までの第2期の10年計画の全体計画では、1万3,397ヘクタールの間伐を計画している。令和5年度までの間伐実績の合計は5,759ヘクタールで、5年目にして全体計画の43パーセントの進捗となっている。
事業に関するアンケート結果では、道路沿いの間伐に重点的に取り組んだことにより、倒木による停電のリスクの低減や、道路の見通しがよくなることで山間地での通行が安全になったとの声を地域住民からもらっている。また、市町村等からも事業の継続を強く望まれている。また、事業を継続的に実施していくためには、伐採技術のスキルアップや人材育成などを進め、労働力を確保していくことも必要との意見ももらっている。
【委員】
全体計画では、10年のうち5年で43パーセント、ほぼ順調に森林整備が進んでいるとのことである。さらに、山間地域のライフライン確保にもつながるので、事業効果も表れていると思う。
そうした評価を受け、残りの計画期間では、森と緑づくり事業における間伐にどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
事業の継続を強く望まれていることから、道路沿いなどを重点的に、引き続き林業活動では整備が困難な人工林の間伐を進め、間伐材の搬出、利用もしっかりと取り組んでいく。
今後の事業実施に当たり、小規模な林業経営体が森林整備工事に参入していけるような取組を実施していく。
【委員】
令和5年度の実績は計画数量に届いていないが、全体計画としては順調に進んでおり、防災・減災につながる道路沿いなどの間伐や間伐材の有効利用に取り組んでいる。こうした取組は大変重要である。引き続き地域の要望に応えていけるよう、健全な森林づくりを進めていくことを要望する。
《福祉局、保健医療局関係》
【委員】
私からは、令和5年度決算に関する報告書の93ページから94ページ、ヤングケアラー支援事業費について伺う。
2021年度に実施したヤングケアラー実態調査の結果により、ヤングケアラーという言葉を聞いたことがないと回答した子供が70パーセント程度に上るなど、ヤングケアラーという言葉や問題の認知度が低いことが明らかになった。
これを受けて様々な啓発が行われてきていることから、ヤングケアラーという言葉をよく耳にするようになり、一定程度周知されたと私自身感じている。
しかしながら、ヤングケアラーである子供たちは、家事や家族の世話に追われていることが当たり前のことだと思い、相談や支援を求めることを知らずにいる場合も少なくないことから、ヤングケアラーについて正しい理解を持ってもらうために、今後も継続して啓発事業を行っていくことが大切である。
そこで、県で実施している子供向けの啓発事業の取組について伺う。
【理事者】
本県では、2022年度に子供向け啓発パンフレットを作成し、県内の国公私立学校の小学5年生から高校3年生までの児童・生徒約54万人に配布した。昨年度からは新たに小学5年生となった児童約7万人に配布しており、今年度も同様に年内に配布する予定としている。
パンフレットは、有識者監修の下、子供たちが興味を持って手に取り、ヤングケアラーを正しく理解できるような内容にするとともに、周囲の大人へ相談することを促すため、支援につながったヤングケアラー当事者の声や相談窓口を広く案内している。
また、子供が家に持ち帰って家族と一緒に見ることを想定して、子供と関わる大人へのメッセージも盛り込んでいる。
配布に当たっては、教育委員会と調整の上、学校の先生に対して案内文を添付し、子供から相談があった場合は、まず寄り添って話を聞き、必要に応じて市町村の福祉部門につなぐよう周知を図っている。
【委員】
ヤングケアラーの支援につなげるためには、ヤングケアラーに気づいて見守る、そして周囲の支援者の理解促進も重要であると考える。
そこで、県が実施している取組について伺う。
【理事者】
本県では、2023年8月に県と名古屋市との共催により、ヤングケアラーに気づき、適切な支援につなげられるよう、児童、障害、高齢等の福祉関係者、学校教員などの教育関係者、行政職員、民生・児童委員などを対象に支援関係者研修会を開催し、有識者による講演や元当事者を交えた支援の在り方についてのトークセッションを行った。
当日は、当初の募集定員を超える428人が参加し、アンケートでは99パーセント以上の人から参考になったと回答があり、有識者や元当事者の声を聴き、今後のアプローチの仕方や見守ることの大切さへの理解を深められたなどの声をもらった。
また、大規模な研修とは別に、8月から9月にかけて、支援に必要な知識等の習得や情報共有を図るため、県内6地区で、市町村の福祉、教育関係者、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなどの職員に対して研修会を開催し、元当事者の講演やヤングケアラーからの相談を想定した模擬面談を実施した。6地区総計で250人が参加し、アンケートでは約96パーセントの人から参考になったと回答があり、元当事者の話が聞けて参考になった、それから他機関の支援者と顔の見える関係性ができたといった声をもらった。
【委員】
ヤングケアラーの子供たちの負担を少しでも軽減できるように、周囲の大人がヤングケアラーを見つけて必要な支援につなげていくためには、子供や家庭に関わる地域の支援者のアンテナを高くするとともに、関係機関が連携して支援体制を引き続きしっかりと構築してもらうことを要望して、質問を終わる。
【委員】
令和5年度決算に関する報告書158ページ、医事事業費の4医療安全対策推進事業費について伺う。
厚生労働省によると、患者の安全を最優先に考え、その実現を目指す態度や考え方としての安全文化を醸成し、これを医療現場に定着させることが求められ、医療安全を確保するためには、行政、医療機関、医療関係団体、教育機関や企業、医療に関する全ての人がおのおのの役割に応じて医療安全対策に向けて積極的に取り組むことが必要とされている。
しかし、医療安全対策推進について、医療の現場等以外で意識が高まっているのか若干の疑問もある。2015年には医療事故調査制度が開始され、日本医療安全調査機構への予期せぬ死についての医療機関からの届出や遺族からの申出の受付が開始されたことは大きく報道された。
行政が行う県民のための医療安全対策においては、提供される医療や治療に対する不安軽減、医療安全文化の醸成のためにも医療現場と連携していく役割が大きいと考える。
そこで、医療安全対策推進事業費4,300万円余の具体的な事業内容とその費用内訳、事業結果を伺う。
【理事者】
医療安全対策推進事業は、医療に関する県民からの苦情や相談等に迅速に対応し、医療の質の向上を図ることを目的として、四つの事業について愛知県医師会をはじめ3団体に委託して実施している。
まず、県民の医療相談に専門の相談員が応じており、令和5年度の相談件数は1,747件となっている。ほかに県民向けの講習会や医療従事者向けの事例検討会、講演会を実施した。事業費は3,145万1,000円であった。
次に、県民の歯科医療に関する相談事業と研修会等である。相談件数は579件であった。また、歯科医療従事者向けの研修会等を実施し、事業費は760万4,000円であった。
三つ目の事業として、院内感染に関する相談事業を実施しており、医療機関の院内感染対策を実施したものが1件あった。ほかに相談事例集の配布等を行っており、事業費は73万4,000円であった。
最後に、医療事故調査制度について、医療機関向けに制度に関する研修会等を開催するとともに、医療事故が発生した際のマニュアルを作成し、医療機関に配布した。事業費は300万円であった。
これらの事業を実施することにより、医療の安全と信頼を高めるとともに、医療機関への情報提供を通じて患者サービスの向上を図っている。
【委員】
私から、令和5年度決算に関する報告書から大きく3項目について質問させてもらう。
まず、決算に関する報告書の135ページの7新型コロナウイルス感染症対策費の決算額約282億円について伺う。
2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の位置づけが5類感染症に移行されたが、5類移行に伴って、135ページから140ページに記載の事業はどうなったのか、全て継続されたのか伺う。
【理事者】
5類移行に伴う国の方針を受け、5月8日以降については入院医療機関に対する病床確保料、宿泊療養施設の運営費、自宅療養者への医療・配食サービスのほか、無料のPCR検査に係る事業については縮小・廃止した。
また、継続事業としては、主にワクチン接種の推進や相談窓口の設置に係る事業を引き続き実施した。
【委員】
2020年1月に県内で初めて新型コロナウイルス感染症が確認されて以降、県では県民の命と健康を守るため、様々な取組を行ってきた。
5類移行で一区切りがついたこれまでの新型コロナウイルス対策に要した経費の推移と累計はどれぐらいなのか、また主な対策としてはどのようなものがあるのか。
【理事者】
新型コロナウイルス感染症対策費は、新型コロナウイルス感染症が本格的に流行した最初の年である2020年度には1,208億円余、翌年度の2021年度には1,580億円余、その翌年度の2022年度は1,941億円余、昨年度2023年度は282億円余を執行しており、4年間の合計は5,012億円余となる。
2020年から2023年度に執行した事業のうち主な事業は、県が指定する新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる入院医療機関において、病床確保または休止した場合に確保料相当額を支援する重点医療機関患者受入体制確保推進費補助金、自宅療養者へ往診や訪問が可能な医療機関、訪問看護ステーションの名簿を作成し、対応した場合に、通常の診療報酬に上乗せして交付金を支給した自宅療養者・宿泊療養者医療費補助金、新型コロナウイルス感染症の患者のうち、無症状者または軽症の患者が入所し、療養生活を送るための施設を設置した宿泊療養施設運営費、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止、収束に向けて、強い使命感を持って業務に従事した医療従事者に慰労金を支給した医療機関従事者慰労金、集団接種会場に看護師等を派遣、職域接種への財政支援を行ったワクチン接種支援事業費などである。
【委員】
4年間で5,000億円を超える費用を投入したという説明であった。国や市町村での費用もある中で、県だけで県民1人当たり約8万円、非常に多くの費用でコロナ対応してきたことが分かる。新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移ったが、今後また新たな感染症が発生してパンデミックになるとも限らない。
そこで、新たな感染症の発生に備えて、現在、県としてどのような取組で備えているのか。
【理事者】
新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、2022年12月に感染症法が改正され、新たな感染症が発生し、蔓延した場合に必要となる確保病床数や発熱外来を行う医療機関数等の数値目標を各都道府県の感染症予防計画に盛り込むことが義務づけられた。
そのため、本県では、数値目標を盛り込むなど必要な見直しを行った上で、県感染症予防計画を本年3月に改定し、その目標の達成に向けて、現在、医療機関等と個別に協定を締結し、新たな感染症に備えた医療提供体制の構築に努めている。
また、国においてあらかじめ有事の際の対応策を整理し、迅速に対処できるよう、平時の備えの充実を図る内容の新型インフルエンザ等対策政府行動計画が本年7月2日に閣議決定された。
この政府行動計画の閣議決定を受け、現在、県の新型インフルエンザ等対策行動計画の見直し作業を進めているが、見直しに当たっては、昨年度立ち上げた愛知県感染症対策連携協議会を活用し、県医師会等医療関係者、県内市町村等の意見を聴きながら検討を進めることとし、2025年夏を目途に本県の行動計画の改定を行っていきたい。
本年3月に改定した県感染症予防計画を着実に推進するとともに、今後見直しを行う県行動計画に基づき、新たな感染症危機に備えた体制整備を進めていく。
【委員】
今回の教訓を踏まえた取組を進めていると受け止めた。今後の新たな感染症のパンデミックに備えて、県として体制整備や柔軟な予算措置が取れるようにしっかり備えてもらいたい。
続いて、決算に関する報告書163ページの依存症対策総合支援事業費のうち、ギャンブル等依存症対策について伺う。
ギャンブル等依存症とは、人生に大きな損害が生じるにもかかわらず、ギャンブルをしたいという衝動が抑え切れない病態を指していると認識している。
掛金を追い求めて貯金を使い果たしたり、その行為を周りの人に隠したり、うそをつくなど、本人やその家族の日常生活や社会生活に大きな支障を来し、関係者の人生を狂わせてしまうものである。
私も20年ほど前、労働組合の役員時代にそうした人の相談対応に当たって、本人に口酸っぱく諭したり、奥さんからの泣きながらの相談を何時間も聞いたり、あるいは債務整理に関して顧問弁護士や金融機関と相談を繰り返すなどした。そうした中で、残念ながら失踪してしまうなど、最悪の結果に直面した悲しいこともあった。
ただ、当時はやはり20年も前なので、依存症という病気と捉えるより、むしろ刺激欲しさに自分でやめることができない何か意志が弱い人、そういった解釈が一般的だったように記憶している。
現在では、ギャンブル等依存症の進行・再発予防、そして回復支援には早期発見・早期介入が重要であると認識している。
そこで、第2期愛知県ギャンブル等依存症対策推進計画の計画初年度でもある令和5年度の具体的な取組や、取組に当たっての工夫について伺う。
【理事者】
本県では2022年度に第2期愛知県ギャンブル等依存症対策推進計画を策定し、計画の初年度である2023年度における主な取組としては、依存症状態から回復するための支援として、愛知県精神保健福祉センターにおいて、依存症の治療に効果がある認知行動療法を利用した回復支援プログラムを行い、延べ105人に利用してもらうとともに、必要な人については、司法書士による債務整理相談を併せて実施した。
また、ギャンブル等依存症の人が地域で適切な医療を受けられるよう、県内2か所の医療機関を依存症専門医療機関として選定し、医療提供体制の整備に努めた。加えて、ギャンブル等依存症の人の家族への支援も重要であることから、県主催の家族対象講演会を開催し、171人が参加した。
さらに、依存症対策の基盤整備として、市町村や相談支援事業所等の職員を対象とした研修を実施し、延べ89人が受講した。
取組に当たって工夫した点については、近年、ギャンブル等依存症の若年化が問題となっていることから、発症予防の取組として、若い人に伝わるようにSNSを使った情報発信や啓発動画の配信を行うなど、若い世代への知識の普及を図るよう努めた。
【委員】
専門医療機関としっかり連携して取り組んでいることが理解できた。今後も、時代が進めば捉え方や対策も変化してくることになると思うので、ぜひ最新の知見に基づいた対応が常にできるように担当局として取組のアップデートをお願いする。
最後に、看護師に関する質問をさせてもらう。
令和5年度で、私の地元岡崎の県立愛知看護専門学校が閉校になった。県全体では看護師の養成について、名古屋で大学が増加していて定員もトータルで見れば増えている状況だと思うが、細部で見ると西三河、とりわけ西三河南部東医療圏では不足の声をもらっている。
そんな中で、病院が看護職員の求人に当たり、民間の有料職業紹介事業は利用手数料が非常に高額であることから、私の地元の病院関係者から、県が運営する無料のナースセンターに対する期待の声や、既に利用した人からは大変よかったと評価する声を耳にしている。
そこで、令和5年度決算に関する報告書165ページの看護師等指導管理事業費におけるナースセンターの内容について伺う。
【理事者】
ナースセンターは、各都道府県に設置することとなっている。看護師等の就業促進事業や看護に関する普及活動、訪問看護支援事業等を実施している。本県は本事業を愛知県看護協会に委託している。
ナースセンターの運営に要する費用については、看護師等指導管理費のうち、1億978万1,995円が令和5年度にナースセンター事業として支出した費用である。
【委員】
ナースセンターでは、どのような取組を行い、実施した事業で看護職員の離職防止、再就労の支援についての成果がどのようであったのか。県としての評価や課題認識などを教えてほしい。
【理事者】
ナースセンターでは、医療機関等の看護職員の確保及び在宅医療の推進を図るため、看護師等無料職業紹介事業を中心に、看護職のPRや訪問看護の実施に必要な支援を行っている。
看護師等無料職業紹介事業では、インターネットと名古屋市昭和区の本所と名駅支所、豊橋支所の県内3か所における対面での求人・求職登録や情報提供を行っている。
職業紹介の実績について、令和5年度は1万2,467件の相談対応を行い、1,212人を就職につなげることができた。
また、看護職員の離職防止についての取組としては、医療機関からの勤務環境改善相談や看護職員の様々な悩みに対応する総合相談窓口を設置している。令和5年度は92件の相談に対応している。
そのほかに再就業に向けた取組として、潜在看護師を対象にした交流会や実技研修会を開催し、それぞれに64人、334人に参加してもらった。
今後もホームページや各種SNS等を活用しての広報活動や看護師等学校養成所を通じたナースセンターの周知を進め、看護職の人の利用の促進を図っていく。
【委員】
具体的な取組について理解できた。繰り返しになるが、病院経営者から大変評価してもらっている一方で、民間の有料職業紹介事業のほうがよく知られており、結果高い費用負担が生じるので、もっとPRを強化してほしいという声をもらっている。特に今どきは全て看護師もスマートフォンで情報収集すると思う。看護師の転職について、スマートフォンで検索すると有料事業が上からずらずらと出てきてナースセンターを見つけられないという声ももらっている。それで有料のほうに流れてしまってはいけないと思う。非常によい取組でも対象者に知られていなければ意味がないので、私もPRにしっかり努めたい。ぜひ県内の看護師にもっともっと知ってもらえるように民間とは異なる、県ならではの周知活動をお願いして、質問を終わる。
【委員】
令和5年度決算に関する報告書の139ページ、ワクチン接種体制確保事業費に関して、コロナワクチンの接種に関しては、政策的な検証というのが必ず必要だと思う。超過死亡でいえば、国内で45万人以上がコロナワクチンによって亡くなっている。また、数百万人が後遺症になっているという現状がある。報道等でも、そうしたことが結構出始めており、地元でも名古屋大学の先生が虐殺であると。薬害とかのレベルではない、虐殺だと。
世界的な流れとしては、日本でいうと尾身茂氏のような、アンソニー・ファウチ氏がアメリカで裁判所などでも糾弾され、大統領候補だったロバート・ケネディ・ジュニア氏がトランプ陣営に加わったが、トランプ大統領が当選したときには、犯罪者を刑務所に送る証拠はたくさんあると述べている。
実際、訴訟なども世界的に起きている中で、副反応対応相談窓口を設置されているとのことだが、それに関連して、これも数年前から出ている話であるが、ファイザーがアメリカの裁判所から副作用の開示命令が出て、1,291の副反応があることを公表した。
それについて、県としても接種を勧めている立場として、ちゃんと県民に伝えていくべきではないか。それをやっているのか伺う。
【理事者】
予防接種法では、国民が正しい理解の下に予防接種を受けるよう、予防接種に関する啓発及び知識の普及を図ることは国の責務とされており、新型コロナワクチンの副反応に関しては、国のホームページにおいて周知されている。
【委員】
コロナワクチンの後遺症について伺う。コロナ後遺症とコロナワクチン後遺症というのが混同されていて、十中八九、99パーセントといっても過言ではないと思うが、コロナ後遺症ではなくコロナワクチン後遺症である。先ほど言ったように、1,291の副作用が実際あることがファイザーからも出ている。ワクチン接種の前後で特定疾患の受給者の病気を見ると、急激にIgA腎症や全身性エリテマトーデスなどの疾患が急増している。
岐阜県では、自民党県議団がコロナワクチン後遺症に関して質問しており、実際に医療機関向けの研修もされている。
愛知県ではコロナワクチン後遺症の医療機関向けの研修を行っているのか。
【理事者】
予防接種法では、予防接種事業に従事する者に対する研修の実施等必要な措置を講ずることは国の責務とされており、国は当該研修として予防接種基礎講座を年1回開催している。今年度は7月19日にウェブ開催されており、プログラムには予防接種の有害事象対応や有害事象の報告、健康被害救済制度についても含まれている。県としては、引き続き当該研修の周知を図っていく。
【委員】
私も患者や遺族から話を聞くと、医者自身がコロナワクチンの後遺症をそもそも知らないというケースが散見される。ほかのワクチンも含めて取組をしているとのことだが、しっかり医療機関に向けて広く、知らないでは済まされない話のため、お願いしたい。
関連として、副反応疑い報告について、予防接種法で、医師か医療機関の開設者が、副反応が疑われる場合、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に届け出る義務がある。
ある調査を見ると、医療者の中でも6割ぐらいしか、そういった義務があることを知らないという統計もあるそうである。
改めて、予防接種法において副反応疑い報告、副反応が疑われる場合は国に届け出るという制度の周知をすべきではないか。そのあたりの取組はいかがか。
【理事者】
ワクチン接種後の副反応疑い報告の取扱いについては、国の通知を県から実施主体の市町村や関係団体に通知しており、必要な周知を図っている。
【委員】
続いて、先日の議会の請願にも出ていたように、地元の春日井市の事例であるが、これは春日井市だけでなく、ほかのところでも同じ事例があったそうであるが、死亡した後にワクチンを接種したという記録が公文書開示請求で出てきた事例について、先日の福祉医療委員会では議論がなかったようであるので、県としてどのようにその事案について把握されているのか伺う。
【理事者】
死亡届は、戸籍法に基づき、死亡の事実を知った日から7日以内に死亡診断書または死体検案書を添付の上、市町村に届け出されるものである。
また、予防接種に関する記録についても、ワクチン接種の実施主体である市町村において作成、保存されているものである。したがって、県がその内容を把握する仕組みはない。
【委員】
続いて145ページ、不妊・不育専門相談事業費の中で、グリーフケアに関する取組内容、相談内容について伺う。
【理事者】
本県では、流産、死産などによる深い悲しみを理解し、つらい気持ちに寄り添うことで心の回復を支援するグリーフケアのための相談を2022年度から愛知県不妊・不育専門相談センターにおいて開始した。
この事業は、名古屋大学医学部附属病院へ委託しており、研修を受けたカウンセラーが中心となって電話相談を毎月2回実施するもので、2023年度は8件の相談があった。
また、愛知県不妊症・不育症ピアサポート活動事業を2022年度から愛知県助産師会に委託して年6回実施している。そのうちの3回を流産や死産の経験を持つ家族を対象として、参加者が相互に交流し、気持ちを共有するサポートグループをオンライン併用で開催し、2023年度は延べ12人が参加した。
この二つの事業では、匿名やニックネームによる利用も可能としており、本人が話したいことを聴くという対応を原則としている。
今後も支援を必要とする人が必要なときに相談事業を利用できるよう、行政や医療機関を通じた周知に努めていく。
【委員】
ここで私が問題にしたいのは、今、少子化と言われており、出生数80万人を切る中で、人工妊娠中絶されている命が、コロナ前だと14万人、直近だと1年で12万人の命が失われている状況である。
この背景としては、先日、岸田文雄元総理が謝罪した優生保護法、人権問題として非常に問題になっている。障害者が強制不妊手術や強制堕胎をさせられたことで人権問題として国は謝罪しているが、優生保護法が50年も放置されてきたこと、立法されたその目的が産児制限、バースコントロールであった。
経済的な理由で合法的に人工妊娠中絶が続けられており、日本が今少子化になっている非常に大きな原因の一つだと私は考えている。アメリカでは中絶に関して国論を二分する話になっているにもかかわらず、日本では経済的な理由であれば、合法的に続けられてきてしまった。優生保護法に関しては、1970年代に改正の動きがあったが、左翼に、活動家たちに結局押されて改正は失敗に終わっているという歴史的な事実もある。
そのような中で、グリーフケアという分野について、12万人も失われている命に対してのケア、水子たちに対して、供養と言えばいいのか、それをどのようにやっていくのか考えていかなければいけないと思う。
その辺りに関して、取組に入っているのか。
【理事者】
このグリーフケアの取組については、流産や死産などを経験した人、その家族を対象にしている。本人の話したい内容を傾聴する活動になるので、人工妊娠中絶に該当するかどうかについては必ずしも把握していない。
【委員】
続いて、152ページの医務費の中の医事事業において、県としては医療法に基づいて医療機関を指導する立場にある。先ほど言ったコロナワクチン接種に関連して、医療機関の指導が必要だと思う。実際に私が聞いている話としては、医者自身やその家族はワクチンを打たないが、病院の看護師たちや患者にはどんどん打ち進めるクリニック、医者も結構いる。そういう人は未必の故意だと思っている。犯罪に極めて近い。犯罪である。故意性が非常に高い。悪いものだと思っていて、それを秋接種もやっている病院もある。しかし、自分自身は打たない医者もいる。
実際、ワクチン接種の後に死亡している事例がたくさん国にも報告が上がっているので、そういった医療機関に関しては、医療法に基づいて閉鎖命令とか業務停止命令を一度出すべきではないかと思うが、その辺りの取組状況について伺う。
【理事者】
医療法第29条に、医療機関の開設許可の取消処分について規定されている。この条文には、具体的な取消事由が次のように列挙されている。医療機関が開設許可を受けた後、正当な理由がなく6月以上その業務を開始しないとき、医療機関が法令等に違反したとき、開設者に犯罪または医事に関する不正行為があった場合などに限り、医療法に基づく医療機関の開設許可の取消しができることになっている。
厚生労働大臣が承認したワクチンを定められた手続に従って接種している医療機関については、開設許可の取消事由に該当するものではないと考える。
【委員】
令和5年度決算に関する報告書の90ページ、子ども食堂推進事業費補助金について伺う。
子ども食堂とは、無料、もしくは安価で食事を提供している場所であり、子供の居場所として歩いて行ける範囲が望ましいとされている。私が住んでいるみよし市、八つの小学校に対し、現在は3か所程度で、まだまだ少ないと思っている。開催頻度や内容、対象も子供に限らず、その形態は様々であり、県内においても同様だと思う。
そして、子ども食堂は、子供からお年寄りまで多くの世代が交流できる多世代の場所、または地域住民の交流の場所としても注目されている。
そこで、まずは県内の子ども食堂の推移について伺う。
【理事者】
県内の子ども食堂の推移であるが、県が子ども食堂の支援を開始した2019年度は140か所で、今年度の5月時点では518か所と、5年間で4倍近くに増加している。
【委員】
4倍近くに増加したとのことである。
県は子ども食堂に対する支援として、子ども食堂の開設や学習支援の補助を行っているが、具体的な内容、またどのよう成果があったのか。
【理事者】
子ども食堂への支援の内容や成果であるが、県民からの寄附を財源とする子どもが輝く未来基金を活用して、月に1回以上の開催など一定の要件を満たす子ども食堂を対象に支援している。
開設への補助は1か所10万円以内で、新規開設に必要な物品の購入代、開催場所である住宅等の改修費を助成しており、2023年度は59か所の子ども食堂で炊飯器などの調理器具や食器類のほか、のぼり、メニュー、案内看板などの購入に活用された。
また、学習支援への補助は、新規開設だけでなく、継続して子ども食堂を開設している人も対象に、1か所2万円以内で学習支援に必要となる参考書や児童図書などの購入代を助成しており、2023年度は36か所の子ども食堂で活用された。
こうした支援を活用した子ども食堂からは、お金がかかる新規開設の費用を補助してもらい助かった、子供が希望する教材を買えてよかったなどの声をもらっている。
【委員】
開設で1か所10万円、学習支援で継続しているところも1か所2万円以内とのことである。
子ども食堂はボランティアで運営している中で、この支援で行き届くのかと感じるが、支援する中での課題、今後の対応についてどのように考えているのか。
【理事者】
年々子ども食堂は増加しているが、支援メニューのうち、特に学習推進事業については、さらなる活用を促していく必要があること、また、開設した子ども食堂が地域の居場所として定着していくことを今後の課題として認識している。現場の意見をしっかり聴きながら、これらの課題に対応する支援の在り方について検討していきたい。
【委員】
様々な課題がある中、現場の声を聴いてもらいながら進めていくということである。
先ほどもお伝えしたように、子ども食堂の運営はボランティアでやってもらうことが大前提だと認識しているが、継続していくのはなかなか厳しい部分があり、現状は月1回の開催が、2回、3回になるような取組も必要ではないか。私も地元で子ども食堂を運営するに当たって、協賛の手伝いをしているが、そうした現状やしっかりと現場の声を聞いてもらい、引き続き子ども食堂の開設が増えていくよう、そして様々な子供が多世代の人と交流することで、いろいろな経験を得る場でもあると思うので、そうした活動への支援もお願いする。
続いて、報告書の95ページ、少子化対策推進事業費のうち、結婚支援推進事業について伺う。
まず、県が公として愛・地球博記念公園で大規模な婚活イベントを開催し、本当に大きなインパクトがあったと思う。そうした中、小規模婚活イベントも県内各地で10回実施し、338人の参加があったと記載がある。この小規模婚活イベント事業の実績について伺う。
【理事者】
本事業は、結婚を希望する若者への支援として、定員30人から40人の婚活イベントを、スポーツ観戦、音楽鑑賞やテーマパークなど県内各地で計10回開催したものであり、イベント当日は計338人の参加があった。また、応募状況は、10回の募集定員350人に対して5.2倍となる1,815人の応募があり、最も人気の高かったイベントの倍率が7.8倍となるなど、大変高い関心が寄せられた。
なお、執行状況については、委託事業の予算額1,119万8,000円に対し、決算額は1,068万2,300円となっている。
【委員】
次に、結婚支援推進事業では、ほかにも民間団体が実施する婚活イベントへの補助も行っているということである。この民間団体への補助事業の実績と課題について伺う。
【理事者】
この事業は、県が運営する出会いサポートポータルサイトあいこんナビにおいて、出会い応援団という婚活イベントを企画する団体として登録していただいた団体のうち、商工会の青年部など非営利の団体が企画実施する婚活イベントに対して、一定の条件を満たした場合、1団体につき20万円を上限に補助を行うものである。事業の実績としては、令和5年度の予算額500万円に対し、決算額は149万1,000円であった。また、補助対象として25団体を見込んでいたが、10団体への補助となっている。
課題としては、補助先が見込みを下回ったことから執行率が30パーセント程度となっているので、より多くの団体に活用してもらうことである。
【委員】
このような婚活支援に関する事業は、県内各市町村においても、県が率先しているので、取り組んでもらいたいと思うが、市町村に対する支援について、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
令和5年度に県で実施した小規模婚活イベントは大変好評であった一方、開催場所が県内の有名スポットに集中しており、開催回数も10回であったため、参加できない人も多いという課題もあった。このため、PR効果が大きい大規模婚活イベントは引き続き県で実施し、小規模婚活イベントは各市町村がそれぞれ地域の特色を生かして実施してもらえるよう、令和6年度当初予算では市町村への補助事業とした。
なお、補助内容は、婚活イベントの費用の2分の1、最大50万円の補助を行うこととしており、実施市町村数は、10月7日現在で13市町が交付決定されている。
また、この補助金を活用して婚活イベントを実施する際には、県と各市町の婚活イベントの情報を掲載したリーフレットを作成し、広報啓発の支援も行っている。
今後も市町村と連携しながら、県全体で結婚支援の機運を高めていきたい。
【委員】
市町村と連携して取り組むことを進めてもらいたい。
そうした中で、民間団体への支援、先ほど執行率30パーセントということで、まだ課題があると思う。地元の商工会女性部も長年婚活イベントを続けてきており、費用面等で非常に苦しい中、自分たちが産業フェスタの売上げを財源として行っている状況でもある。結婚した人も、7組あると聞いているので、こうした民間団体への支援もしっかりできるよう、現場の声をしっかり聞いてもらい、婚活イベントが進み、結婚したい人が結婚できる支援を県としてもお願いする。
続いて、報告書の133ページ、歯科口腔保健推進費について伺う。
あいち歯と口の健康づくり八〇二〇推進条例及び愛知県歯科口腔保健基本計画に基づき、歯科保健に関する各事業が実施されていると認識している。
歯と口の健康が健康寿命に深く関連することが明らかになっており、生涯を通じた歯と口の健康の維持・増進には歯科検診の受診が重要である。
こうした中、国は健康増進法に基づく歯周病疾患検診の対象年齢について、これまでは40歳、50歳、60歳、70歳としていたが、2024年度から20歳、30歳を加えて、受診できる機会を広げている状況である。
そこで、まず、本県における成人の歯科検診について、最近の状況と課題について伺う。
【理事者】
愛知県生活習慣関連調査において、定期的な歯科検診を受けている20歳以上の人の割合は2016年度で47.8パーセント、直近のデータである2022年度では56.7パーセントと改善傾向にあるものの、4割以上の人が歯科検診を受けていない状況である。
定期的な歯科検診の受診につながるきっかけとして、健康増進法に基づき市町村が実施する歯科検診事業は有効であるので、県としては市町村への支援等を通じて自らの意思で歯科検診を受診する人を増やしていくことが課題である。
【委員】
定期的に歯科検診を受けてない人が4割以上いるとのことである。自らの意思で歯科検診を受診する人を増やしていくことが大変重要であると思うが、この課題に対し、県では2023年度に実施した取組と今後の方向性について伺う。
【理事者】
2023年度は、市町村の歯科保健関係者や検診に従事する歯科医師等を対象とした研修を実施したほか、県民に対する取組として、主に若い世代を対象とした定期的な歯科検診を受けることの重要性を啓発する動画等を作成し、市町村が実施する若い人が集まるイベントなどで活用してもらった。
県としては、市町村や県歯科医師会等と連携しながら、県民に対して歯科検診の重要性を啓発し、定期的な歯科検診の受診につながるよう努めていく。
【委員】
ぜひ若い人から高齢の人まで、歯と口の健康づくりのために検診の推進を進めてもらいたい。
また、20歳、30歳、40歳という節目に加えて、25歳、35歳、45歳など検診を受ける機会を計画的に増やしていく取組も重要であると思うので、ぜひ検診を受ける人を増やしていく取組を進めるようお願いし、質問を終わる。
【委員】
令和5年度決算に関する報告書の93ページ、児童福祉事業費のヤングケアラー支援事業について伺う。
ヤングケアラーへの支援の取組のうち、地域におけるヤングケアラーの把握から支援までの一貫した支援体制の整備を促進させるために3市において市町村モデル事業を実施しているが、実施している市はどこか。また、3市における支援体制の整備に要した事業費について伺う。
【理事者】
市町村モデル事業は、2022年度に公募により企画提案してもらい、豊橋市、大府市、春日井市の3市を選定し、2022年度から2024年度までの3年間で実施している。
2023年度の3市における事業費については、各市からの提案に基づく事業内容に応じ、豊橋市が764万1,944円、大府市が599万9,015円、春日井市が531万6,071円であり、市町村モデル事業全体としては1,895万7,030円であった。
【委員】
対象となった3地域は豊橋市、大府市、春日井市とのことであるが、実際にどのような取組内容であったのか。また、モデル事業の実施期間は3年とのことであるが、県は3市の取組に必要な予算はしっかり確保できていたのか。
【理事者】
3市では、ヤングケアラーの把握から支援まで一貫した支援体制を構築するため、学校や福祉等とのパイプ役となるコーディネーターを配置し、関係機関との連携強化を図っている。
また、相談窓口の整備、啓発グッズの配布、支援者向けガイドブックの作成、講演会、研修会の開催など、各市において様々な取組を実施している。
2023年度においては、豊橋市ではケアの負担軽減のための家事支援に着手し、大府市では漫画冊子による啓発資料の配布、春日井市では自身の状態がヤングケアラーであるかチェックするためのウェブサイトの開発など、各市において創意工夫した取組を実施している。また、3市では気軽に立ち寄れて経験や悩みなどを語り合い相談できる居場所の企画など、ヤングケアラーに寄り添った支援を実施している。
それから、3市の支援体制の整備に必要な事業費については、公募時に3年間の事業計画と総事業費を提出してもらった上でモデル市を選定しているが、次年度の予算編成時には改めて所要額を確認するなど実施計画の遂行に当たって意思疎通に努めており、各市が必要とする予算は適切に確保できている。
【委員】
誰一人取り残さないという言葉があるように、なかなか表に出てこない子もいるので、その辺をしっかりとケアしてほしい。
続いて、報告書の95ページ、施設入所児童・里子育成費について伺う。
大学生入学準備金の支給実績は10件であるが、進学先は把握しているのか。また、大学入学準備金の支給が10件であるが、受験給付金は1件しかない。この乖離が気になるがどのようになっているのか。
【理事者】
大学生入学準備金及び大学受験費給付金は、県民からの寄附を財源とする、子どもが輝く未来基金を活用した支援である。
大学生入学準備金を支給した10人については、進学先は全て私立学校であり、その内訳は専門学校が2人、短期大学が3人、大学が5人となっている。
次に、乖離が生じた理由であるが、大学受験費給付金は、児童養護施設等から大学等への進学を目指す児童に対し、受験料や受験にかかる交通費、宿泊費等の実費を10万円を上限に支給する本県独自の制度であるが、他制度と支援対象が重なる場合は他制度による支援を優先することとしている。
2023年度、新たに独立行政法人日本学生支援機構が受験に必要な費用として1人当たり一律20万円を支給する支援金制度を創設し、施設等から受験する児童の多くがこの支援金の受給対象となったため、県の大学受験費給付金の支給が不要となって、大学生入学準備金の支給実績との間で乖離が生じた。
なお、2023年度に支給した1件については、日本学生支援機構による支援金の受給ができなかった児童に対して、県の給付金を支給したものである。
【委員】
愛知県がセーフティーネットになっていた感じであるが、県も10万円といわず、もっと用意してもらいたい。
続いて、子供たちが施設等を退所後、退所した後に社会に出て路頭に迷うことがないようにしてあげたいと思うが、退所費給付金の支給実績が34件で、進学または就職のいずれかに決まっている、要するに退所した子が進学、就職していることを把握しているのか。
【理事者】
退所費給付金を支給した34人の児童については、今後の支援に向け、施設等を通じて進学または就職先を把握しており、進学が13人、就職が21人となっている。
施設等を退所する児童に対しては、退所前から施設職員や児童相談センターの担当者等が進路指導や退所後の生活に必要な情報の提供などの支援を行うとともに、県の支援コーディネーターが支援計画を作成し、生活相談支援員や施設職員と連携しながら退所後においても安定した生活ができるよう継続した支援を行っている。
さらに、今年度からは新たに就労相談支援員を配置して、入所中からハローワークへ同行するなど就労に関する相談に応じるとともに、就職後においても就職先との連絡調整などのアフターフォローを行っている。
【委員】
退所してからが子供たちの一番大事なところなので、引き続きしっかりと見守りをお願いしたい。
続いて、報告書の111ページから112ページ、軽費老人ホーム利用補助金について伺う。
軽費老人ホームについて、どのような目的の施設であるのか、また補助の対象となる県所管の施設の数はどのぐらいあるのか。
【理事者】
軽費老人ホームは、居宅において生活することが困難な老人を対象者として、低額な料金で入所でき、食事の提供や入浴等の準備、相談といった日常生活における必要な支援を行う施設である。県内には、政令、中核市所管を含め99施設あり、うち補助対象となる県所管の施設は56施設である。
【委員】
軽費老人ホーム利用補助金について、軽費老人ホームに入所している人の利用料に対する助成として、令和5年度決算では、11億5,519万190円の補助を行ったとあるが、この補助金の具体的な内容について伺う。
【理事者】
軽費老人ホームの運営は、サービスの提供に要する費用としての利用料と食費や光熱水費、居住に要する費用としての生活費や居住費等により運営されている。
このうち利用料については、所得に応じた利用者負担を除き、県が補助金として施設に補助している。
利用料の主な内訳は、サービスの提供に関わる施設の人件費や事務費となっている。なお、生活費や居住費等は利用者負担となっている。
【委員】
補助の内容として、施設で働く職員の人件費も含まれているとのことであるが、施設において職員の処遇改善を行う場合、補助額も増加していくと考えられるが、令和4年度と比べてどのようになっているのか。
【理事者】
令和4年度決算額は9億9,984万1,300円であり、令和5年度決算は前年度より1億5,534万8,890円増加している。令和5年度においては、地域の物価等の差を補塡する地域区分の見直しを行ったことなどにより増額となったものである。
なお、令和6年度については、介護職員1人当たり月額9,000円の処遇改善費について、6,000円を追加した1万5,000円とし、さらなる処遇改善を図っている。
【委員】
離職防止や人材確保のためには、職員の処遇改善は非常に必要である。今後も引き続き待遇の改善に資する取組を続けてもらうことを要望する。
次に、決算書の115ページ、障害者コミュニケーション手段利用促進費について伺う。
報告書の中で、手話言語・障害者コミュニケーション条例に基づき、意思疎通支援者の養成・派遣などを行ったとあるが、令和5年度における意思疎通支援者の養成・派遣にかかった事業費は幾らか。また、どれだけの支援者を養成して派遣したのか、実績について伺う。
【理事者】
支援者のうち、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳介助員の養成・派遣については愛知県聴覚障害者協会に委託し、養成研修及び派遣事業を実施している。事業費は、養成研修と派遣事業合わせて2,753万4,000円であった。養成研修の実績については、手話通訳者の研修を修了した人が25人、要約筆記者の研修を修了した人が10人、盲ろう者向け通訳介助員の研修を修了した人が7人であった。派遣実績については、手話通訳者の派遣が126件、要約筆記者の派遣が71件、盲ろう者向け通訳介助員の派遣が1,075件となっている。
次に、支援者のうち失語症者向け意思疎通支援者の養成・派遣事業については、愛知県言語聴覚士会に委託し、養成研修及び派遣事業を実施している。事業費は、養成研修、派遣事業合わせて164万3,932円であった。実績は、養成研修を修了した人が16人、派遣実績が41件となっている。
【委員】
障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境整備を図ったとあるが、その内容と事業費について伺う。
【理事者】
環境整備に係る主な事業としては、県民向けのセミナーを開催した。障害のある人がそれぞれの障害特性に応じたコミュニケーション手段を利用するためには、手話をはじめとした様々な手段があることを広く県民に理解してもらうことが重要である。このセミナーを開催して理解を深めてもらうことで障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備を図ったものである。令和5年度は、9月23日の土曜日にウインクあいちにおいて手話言語・障害者コミュニケーション交流セミナーを開催した。セミナーでは様々なコミュニケーション方法を紹介したほか、著名人を招いてブラインドサッカーの実践などを行った。事業費は205万5,900円であった。
また、交流セミナーの開催のほかに、障害当事者に対する環境整備として、本県が令和2年度に開発したコミュニケーション支援アプリについて、より使いやすいものとなるよう障害当事者の意見などを聴きながら改修を行っている。このコミュニケーション支援アプリは、スマートフォンやタブレットで文字やイラストを指し示すことで情報や意思の伝達を支援するもので、令和5年度は項目数が少なかったコンビニエンスストア・スーパーに関する表示項目を追加している。事業費としては40万8,157円であった。
今後も障害特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進が図られるよう、環境整備に努めていく。
【委員】
最後に155ページの救急勤務医支援事業について、オ救急勤務医支援事業費について伺う。
報告書では、夜間・休日の救急を行う勤務医の手当に対して助成したとあるが、補助の対象となる医療機関の種別、対象となる手当の内容、また予算額に対する執行率について伺う。
【理事者】
この補助金の対象となる医療機関について、本県の救急医療には、市町村、地区医師会が運営する休日夜間診療所などが担う第1次救急、県内を15に分けた広域2次救急医療圏ごとに複数の医療機関が当番制で入院や手術などを担う第2次救急、救命救急センターが重篤な患者を24時間体制で受け入れる第3次救急がある。
この補助金は、第2次救急を担っている医療機関のうち、救急患者の受入実績が平均以上である医療機関を対象としている。
対象となる手当は、宿日直手当や超過勤務手当とは別に、夜間・休日に救急対応を行った医師に対して支払われた手当で、県はその経費のうち3分の1を補助している。
予算額に対する執行率については、令和5年度は予算額1,133万3,000円に対し、13医療機関に合計826万9,000円を交付し、執行率は73.0パーセントとなった。不用額の主な理由としては、補助対象となる医療機関における夜間・休日の救急対応日数が予算積算を下回ったことによるものである。
医療機関に対して、この補助制度の活用について周知に引き続き努めていく。
【委員】
令和5年度決算に関する報告書の162ページから163ページ、精神科救急医療対策事業費のうち、精神科救急医療対策事業について伺う。
年々、精神疾患を有する患者は増加しているが、精神科、心療内科のクリニックはかなり増加してきている。
医療にアクセスしやすい環境になったと思うが、症状が悪化した場合に休日や夜間にも速やかに受診できる体制が必要である。
そこで、報告書にあるように、令和5年度は休日・夜間等の精神障害者の救急医療の確保を図ったとあるが、どのように受け付け、どう処理したのか、実績や実情について伺う。
【理事者】
精神科救急医療対策事業においては、2023年度に対応した救急患者は3,126人であり、その内訳は入院が1,048人、外来が799人、電話相談等で終わった人が1,279人となっている。
精神科の救急医療においては、患者に精神科病院を受診する希望がある場合は、その日に当番になっている精神科病院で診察を行ってもらうが、患者に受診の希望等がない場合で医療が必要な場合、家族からの連絡等の場合については、一定の研修等を修了し、国から指定を受けた精神保健指定医の診察が可能な後方支援基幹病院で診察を行うこととしている。
本県では、精神科救急医療体制に参加している県内の病院で、これらの役割を分担して、患者の状況に応じた診療を行う体制を構築している。
【委員】
状況に応じて受診するか、もしくは入院するかという形とのことであるが、身内が近くにいない、電話相談がセンターに直接かかってくるもののほか、警察に通報が入って受診を希望する、もしくは入院もあるかと思うが、そういったことについてはどのような状況か伺う。
【理事者】
委員の質問のように、警察等からの通報については、こちらの救急対策事業ではなく、精神保健福祉法に基づいて、自傷他害、要するに自分で傷つける、ほかの人に危害を加えるといった状況がある場合は、通報しなければならないと法律で定められている。
警察等でそういったことがあった場合は、基本的に保健所で受付しており、保健所で医療機関を調整している。
実際は、そういったことでの通報が昨年は全体で879件あり、そのうち、保健所が調査した結果、診察には至らないとなった人が全体の7割の619件、結果的には入院した人は879人のうちの212人となっている。
【委員】
受診していない状態の中、心の不安があって電話する人もいると思うので、今後、警察との連携、また輪番制になっている当番の病院との連携を図りながら、対応についてはできるだけお互いに協力し合うことを心がけてもらいたい。
【委員】
決算に対する報告書91ページ、14地域生活定着支援センター事業費について、昨年度の支援実績はどのようになっているのか。
【理事者】
矯正施設退所後に、住まいの確保や福祉サービスの利用が必要な人の申請支援等を行うコーディネート業務が119人、地域生活を見守るための家庭訪問や施設等への助言を行うフォローアップ業務が84人、福祉サービス等についての相談支援業務が53人等となっている。
【委員】
平成22年4月に、この地域生活定着支援センターが県に設置されており、以後15年がたち、ほぼ同じ事業者に継続して1年ごとに委託されているが、今答弁があったようなコーディネートとかフォローアップの実績だけでは、実質的な中身が把握できない。
この事業の目的にもあるように、刑務所を出所した人が、地域に本当に定着するために、福祉的な支援を行う、支援につなげるという重要な役割であり、端的に言えば、再犯を防止する、再び刑務所に戻るようなことがないようにすることが地域定着だとしている。再犯率が本当にどの程度抑制されたのかが成果を計る上での肝になると思う。
国の犯罪白書によると、満期で釈放された受刑者等が2年以内の再入率、出所後の犯罪によって、受刑のため再び刑事施設に入所した人の割合は、令和3年度においては21.6パーセントといわれている。愛知県の地域生活定着支援センターが支援した人の再入率、刑務所に再び入る人の率はどのようになっているのか。
【理事者】
地域定着支援センターでは、家庭訪問や市町村、入所先施設等、関係機関との情報共有により支援対象者の生活状況の把握に努めているが、逮捕された場合に警察等からの連絡がないなど、支援中の逮捕者数や刑事施設への入所者数を正確に把握することが困難である。
このため、質問の再入率についての統計はないが、センターの支援中に逮捕されたことが判明した人は、平成31年4月以降の支援対象者847人のうち88人で、その割合は10.4パーセントとなっている。
【委員】
数字だけ見ると、全国が21パーセントで愛知県では10パーセントで低いように思うが、本当かと感じる。国における数値と同様に、刑務所から出た人をいろいろな福祉施設やグループホームに入ってもらうなど福祉につなげた後2年くらいはフォローを続けて、その後、刑務所に再び入ってしまうような、本当はもっとフォロー期間を長く取ればいいのかもしれないが、愛知県のセンターにおいても、百数十人が保護観察所から紹介をされて、この人々を県内のいろいろな施設に入ってもらった後の2年くらいのフォローアップは必須ではないかと思う。制度上、国に報告義務がなく、センターで把握している数字がないとのことであるので、保護観察所、法務省矯正局や福祉事業者と連携をもっと密にしてもらい、支援対象者に寄り添った支援を続けていってもらうことを要望する。
次に、令和5年度愛知県歳入歳出決算及び美術品等取得基金運用状況の審査意見書28ページに児童措置費負担金という項目があり、未納率が増加している。
児童相談センターの措置によって、施設等に入所した子供の措置費に関する費用を誰が負担するかという話であるが、法律的には保護者負担となっている。この保護者負担を保護者から徴収することが十分にできていない数字だと思う。
この未収率と、未収になってしまう事情はどういうものなのか。
【理事者】
児童措置費負担金は、保護者の負担能力に応じ、金額が定められているが、未納となる主な理由としては保護者の生活困窮による場合が多くなっている。
本県では、毎年7月及び12月を納入促進月間として家庭訪問を重点的に行うなど納入指導に努めており、そうした中で個々の世帯の実情を十分に考慮して債権回収を進めている。
特に、虐待により施設入所を要する事案では、一旦施設へ入所した場合であっても、子供が再び家庭で安全に生活できるよう継続的な支援が必要であり、子供の利益を第一に考えると保護者との関係性が重要になるため、強硬な納入指導がなじみにくいことも未収額増加の一因となっている。
引き続き、保護者の負担能力と子供の最善の利益を十分に勘案しながら、適切な債権回収に努めていく。
なお、収入未済の率は、昨年度は約43パーセントとなっている。
【委員】
未収率が4割を超えている事情を聞くと、例えばDV等虐待のおそれがあることで、児相が親から引き離して施設へ入所させて保護する場合に、その費用を引き離した親に負担させないといけないのは、強制的に措置をしている以上、行政が子供の生活や食費にかかるものは負担すべきではないかと思う。法律の建前は保護者に負担させるとなっているため、今の答弁にあったように、最終的には保護者の下に帰すので、保護者との関係性が非常に大事になる。もともと生活困窮によって、子供の安全が脅かされるような事態が発生しているので、費用を引き離している家庭から取ること自体がなかなか難しいと思う。
負担能力の問題や、強硬な納入指導が難しいと指摘があったが、運用の基本となるルール自体、法律的には債権なのかもしれないが、未収債権だから何とか取り立てようという建前の中で運用していることに問題があるように感じる。制度の改善について国に要望するなど検討してもらうよう要望して、質問を終わる。
【委員】
私からは、令和5年度決算に関する報告書110ページ、あいちオレンジタウン構想推進費のうち、地域づくり推進費について伺う。
急速な高齢化の進行や新型コロナの発生等に伴い、認知症になる人が急速に増えており、認知症施策の推進は喫緊の課題である。
そうした中、本県では認知症に理解の深いまちづくりを進めていくため、2017年の9月にあいちオレンジタウン構想を策定して、2020年度までの第1期アクションプランを経て、現在、2021年度から第2期アクションプランに基づき、取組が進められてきた。
また、今年1月には共生社会の実現を推進するための認知症基本法が施行され、認知症の人本人の意向を尊重し、社会全体で認知症施策の推進に取り組んでいくことが重要とされている。
国を挙げて認知症施策を推進していく中で、これまで県が進めてきたあいちオレンジタウン構想第2期アクションプランについて、どのような取組をしてきたのか伺う。
【理事者】
あいちオレンジタウン構想第2期アクションプランは、第1期プランの理念を引き継ぎ、認知症に理解の深いまちづくりにじぶんごととして取り組む社会の実現を目指し、本人発信支援や地域人材の活用、企業連携をはじめとした七つの柱に沿って取組を進めてきた。
具体的には、本人発信支援の取組として、認知症になっても希望を持って社会に参加する姿を認知症の人、自らが発信し、認知症への関心と理解を深めるため、県認知症希望大使の委嘱を行い、大使と協働して市町村の本人交流会等などを実施した。
また、地域人材の活用としては、認知症の人が住み慣れた地域で生活していくため、地域の認知症サポーターの養成に取り組み、そのほか企業連携として認知症の人と接する機会が多い小売業などの企業が、認知症への理解を深め、企業視点で認知症への支援を行うための企業サポーターを養成するなど、認知症の人やその家族が安心して暮らすことができる社会の実現に向け、取組を行ってきた。
【委員】
第1期のアクションプランの理念を引き継ぎ、第2期の特徴としてじぶんごととして取り組む社会の実現としているが、第1期とは違うのか。
【理事者】
第2期の基本理念は、第1期を基本的に継承している。
【委員】
第2期アクションプランの目標に対する成果について、どのように評価しているのか。
【理事者】
成果に関する評価は、認知症を正しく理解し、認知症の人とその家族を温かく見守り支え合う応援者である認知症サポーターの養成支援に取り組み、第2期アクションプランの計画期間の3年間で名古屋市を除き、約9万5,000人のサポーターを養成することができた。
また、企業に対し、認知症への理解を深めてもらうため、小売業や公共交通機関などの従業員が、日常の業務でさりげなく認知症の人を支援できるよう、県が独自に開発した企業向け研修を受講してもらい、認知症の人に優しい企業サポーターの養成を行った。事業開始の2019年度からアクションプラン最終年度までに、延べ367企業、4,450人の従業員に受講してもらった。そのほか、新しい生活様式に対応した認知症カフェの開催が52市町村で行われるなど、認知症の人が住み慣れた地域で生活を続けていけるよう支援体制が着実に進んでいるものと考えている。
【委員】
今の答弁で、認知症のサポーターを3年間で9万5,000人、そして企業においても367社、人数にして約4,000人を養成したということは、目標に対してどれぐらいの達成率なのか。
【理事者】
このアクションプランについては、目標という数値を特に立てていないので、地道に着実に少しずつ進めていくことを目標にしている。
【委員】
やはり何事をやるとしても、目標とか目的がないものは、コストとの比較においてあまり効率的ではなくなるので、ぜひともこれから数値目標を掲げてもらいたい。
今後、アクションプランで得られた成果をどのように引き継いでいくのか。
【理事者】
あいちオレンジタウン構想第1期及び第2期のアクションプランを通じ、県内各地で実施してきた認知症施策の取組を今後も途切れることがないよう継続して実施していくことが重要である。
そこで、あいちオレンジタウン構想で掲げる地域で暮らし、学び、働く人々が、認知症に理解の深いまちづくりにじぶんごととして取り組む社会の実現という基本理念を継承し、その取組のさらなる推進を目指し、あいちオレンジタウン推進計画を本年3月に策定した。
この推進計画では、国の定めた認知症施策推進大綱を踏まえ、普及啓発や本人発信支援、医療・ケア・介護サービス、介護者への支援などの施策を体系的に位置づけるとともに、これまでの2期にわたるあいちオレンジタウン構想アクションプランの取組や成果を踏まえ、五つの重点プロジェクトとして取り組むことで、今後とも総合的・計画的に認知症施策を推進していく。
【委員】
過去に認知症に関する講座や講義などを聞いたことがあるが、知っているか知っていないかで、人間関係が良くなるか悪くなるか違いがでる。ぜひ引き続き取り組んでもらい、共生社会、認知症の人も、健常者も一緒になって明るい社会、快適な社会ができるよう努力してもらいたい。よろしくお願いする。