本文
経済労働委員会審査状況(令和7年6月27日)
経済労働委員会
委員会
日時 令和7年6月27日(金曜日) 午後1時~
会場 第7委員会室
出席者
日高 章、細井真司 正副委員長
直江弘文、久保田浩文、近藤裕人、田中泰彦、神谷和利、宮島謙治、
かじ山義章、桜井秀樹、阿部洋祐、大久保真一、神谷まさひろ 各委員
経済産業局長、同技監、産業部長、水素社会・モビリティ推進監、
中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
委員会審査風景
付託案件等
議案
第104号 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳出
第5款 経済労働費
第3条(債務負担行為の補正)の内
あいちシンクロトロン光センター整備費補助
経済環境適応資金(サポート資金)融資に係る愛知県信用保証協会信用保証料補助
第105号 ソーシャルイノベーション創出基金条例の制定について
第106号 愛知県カスタマーハラスメント防止条例の制定について
第110号 愛知県国際展示場条例の一部改正について
第122号 訴えの提起について(過払報酬返還等請求事件)
結果
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第104号から第106号まで、第110号及び第122号
請願
第 21 号 「業務上コロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事の周知を求める」について
結果
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第21号
会議の概要
- 開会
- 議案審査(5件)
(1)理事者の説明
(2)質疑
(3)採決 - 請願審査(1件)
- 委員長報告の決定
- 一般質問
- 休憩(午後2時43分)
- 再開(午後2時53分)
- 閉会
主な質疑
議案関係
【委員】
私からは二つの議案について、賛成の立場から確認する。
一つ目、ソーシャルイノベーションの創出促進のための基金創設について質問する。
本基金は社会課題の解決や地域活性化に資するソーシャルイノベーションの創出促進に向けて、企業や個人を含む民間からの寄附金を原資に創設されると聞いている。今後の基金の具体的な活用については翌2026年度以降を予定しており、基金の規模や存続期間は現在のところ特に設定していないと事前のヒアリングで確認した。同時に、当基金は特定のスタートアップ企業への支援ではなく、愛知県が行うイノベーション創出事業への拠出ということも併せて確認した。
基金の原資は民間の寄附金のみで成り立って、県費による出資は想定していないのか伺う。
【理事者】
こちらのソーシャルイノベーション創出基金の原資については、全額民間企業などからの寄附金としている。県費による基金の積立てはない。今後、基金設置後については、商工会議所、商工会等の経済団体にも協力をしてもらいながら、広く基金をPRして寄附を募っていきたい。
なお、こちらの寄附金を原資とする基金を活用する事業については、来年度の予算で実施を検討しているが、本県においてイノベーションが絶え間なく創出されるエコシステム、こちらを形成していくためには、イノベーションを担う人材の育成、地域課題を抱える市町村の巻き込み、こちらのほうが不可欠だと考えている。そうした取組については、基金だけでなく県費も活用して、着実に実施していきたい。
【委員】
基金の原資は民間のみで、実際の事業の開始、活用に当たっては県費も出資があることを確認した。
ここで少し要望をする。
イノベーションの源泉はもちろん人であると思っている。そうした意味においてはソーシャルイノベーションを創出する人材の育成等に活用を想定する本基金は大変重要な役割だと思っている。基金は単年度の予算に縛られずに政策を継続できる利点がある一方で、設定後の管理が甘くなるという懸念も指摘をされている。国においてもとりわけコロナ禍以降に使い切れないほど肥大化していた基金が問題となって、河野太郎氏は、当時の行政改革担当大臣が定量的な成果目標を設定しない基金は存続させないことを明言し、同時に予算措置の期間の上限を3年とするなど、基金の設定時に目標を示すように義務づけをした。私も目標なき計画は実効性がやはり乏しいと思っている。本年度以降、県費の出資も、実際の事業に当たっては出資を想定する本基金の事業化に向けて、想定する事業を早期に、より具体的に示されるとともに、基金の規模や事業の期間についてもより明確にしていくことを要望する。
続いて二つ目、カスタマーハラスメントの防止について質問する。
流通サービス業界等で働く人々で構成される労働組合、UAゼンセンが2024年に行ったカスハラ実態調査においては、直近2年以内に46.8パーセントの従業員が迷惑行為の被害に遭ったと回答している。他方、厚生労働省が全国の7,693社に行った令和5年の調査によると、著しい迷惑行為に対して約6割の企業が特に対策を講じていないことも明らかになった。
本条例案においては、事業者の責務として、カスタマーハラスメントにより就業環境が害されることのないよう、必要な体制の整備、その他の必要な措置を講ずるよう努めると規定されている。同時に、条例案を具現化する対策事業においては、カスタマーハラスメント防止に関する相談や助言を行う窓口を設置するとしているが、その対象は事業者となっている。他方、考えられるケースとして、従業員からカスタマーハラスメントの訴えがあっても、会社側から、常連さんだから我慢しろとか、また、自分たちの時代は、お客さんをさばけてこそ一流だと、そのような考えから自分たちの訴えが会社側に聞いてもらえないのではないかという従業員からの不安の声があると、私も聞いている。
仮にカスタマーハラスメントを受けた就業者が事業者へ相談しても聞き入れてもらえなかった場合、就業者が相談できる場所はどこになるのか伺う。
【理事者】
今回設置予定の相談窓口は、主に事業者を対象とし、就業者が相談できる社内相談窓口の設置・運営方法や、社内の防止対策マニュアルの作成・活用方法などの相談を受け付ける。相談員が事業者に対し適切な助言や提案を行うことにより、就業者が安心して働くことができる環境整備を支援していく。
一方、社内の相談体制が万全でなく、労働組合もないなど、相談先に困っている就業者に対しては、あいち労働総合支援フロアの労働相談コーナーにおいて、労働相談員が就業者の実情に応じた適切なアドバイスを行っていく。
なお、労働相談コーナーでの相談対応については、同コーナーを紹介しているウェブサイトに加え、現在作成中のカスタマーハラスメント防止専用ウェブサイトにおいても周知していく。
【委員】
事業者の相談窓口もこれからしっかり整備されることを確認できた。
最後に要望というか、1点だけ付け加える。
言うまでもなく、本条例の一義的な目的は就業者を悪質なカスタマーハラスメントから守ることだと思っている。条例に規定される各主体の中で一番弱い立場にある就業者が決して取り残されることがないよう、先ほども答弁にあった、とりわけ労働組合がないような小規模事業者等に勤務する就業者に対してのフォローをしっかりと注力してもらいたいことを申し上げて私の質問を終わる。
【委員】
私のほうからも質問する。
最初の労働局長の説明にもあったとおり、本当にカスタマーハラスメントというのは近年大変な問題になっており、2025年6月、今月だが、厚生労働省が労働施策総合推進法を改正して、企業に対策を義務づけることになった。先ほども半数以上の企業は対策をしていないと話があったが、これが義務づけになったという最近のニュースがあった。
このカスタマーハラスメント条例の制定であるが、都道府県においては今年の4月1日付けで東京都、北海道、群馬県で初めて施行された。今回、この愛知県もである。条例制定の趣旨は前文にも、第1条にも明記されているとおりだと思うが、本県がカスタマーハラスメント条例制定に至った経緯というのを教えてもらいたい。
【理事者】
昨今、カスタマーハラスメントが社会的課題となっていることを踏まえて、昨年5月に経済団体、労働団体、有識者等を構成員とするカスタマーハラスメント防止対策に関する協議会を立ち上げ、カスタマーハラスメントの現状を把握するとともに、防止に向けた対策について議論を開始した。11月には協議会として、何人もあらゆる場所及び状況においてカスタマーハラスメントを行ってはならない、ということを条例の制定により明確化することが有効であると取りまとめを行ってもらった。これを受け、本県としても条例の制定が必要であると判断し、12月に設置した愛知県カスタマーハラスメント防止条例検討会議において、条例制定に向けた検討を進め、2月にはパブリックコメントを実施し、条例骨子を作成した。本定例会にはこの骨子を基に作成した条例案を提出している。
【委員】
三重県桑名市もカスタマーハラスメント防止条例を制定した。これは去年の12月25日であって、ニュースで大変取り上げられたが、桑名市のカスタマーハラスメント防止条例は、カスタマーハラスメント認定された行為者に対して警告を行い、もし警告後もカスタマーハラスメント行為をやめない場合には氏名なども公表できるという内容である。本県でも2022年10月1日から施行された愛知県人権尊重の社会づくり条例の第10条に、知事が啓発を目的に本邦外出身者に対する不当な差別的言動、いわゆるヘイトスピーチに該当する表現活動の概要を事後的に公表する条例の文言があるわけである。今回の条例、先ほども話があった、何人もカスタマーハラスメントを行ってはならないという禁止規定はあるが、罰則は設けていない。罰則を設けない理由と、罰則を設けずに果たして条例の実効性がどのように担保されるのかを伺いたい。
【理事者】
協議会では罰則についての議論もあり、罰則による抑止力が有効ではないかとの賛成意見があった一方で、罰則を設けるとカスタマーハラスメント行為の範囲が限定的となり、罰を与えない行為が正当化されるおそれがある。罰則により顧客等が萎縮し、正当な意見、要望がしづらくなるなどの反対意見もあった。このような意見に加えて、罰則を盛り込もうとすると、罰則の内容、具体的な罰則行為の決定に時間がかかることも考慮し、一刻も早く条例を制定することを重視した結果、罰則を設けないことにした。
なお、罰則を設けないものの、条例によりカスタマーハラスメントを禁止する姿勢を強く打ち出すことで一定の抑止効果があると見込んでいる。また、条例案では、事業者の責務として、顧客等に対し、カスタマーハラスメントの中止の求めができることを例示している。事業者がこの条文案を拠り所とし、県が作成、配布するポスターやロゴマークステッカーも活用するなどして、顧客等に毅然とした対応を行うことがカスタマーハラスメントの防止につながるものと考えている。さらに、条例に基づき指針を策定するほか、共通マニュアルや研修動画の作成、相談窓口の設置やアドバイザー派遣の実施などにより、各職場でカスタマーハラスメントの防止を担う事業者を支援し、条例の実効性を高めていきたい。
【委員】
先ほども話があったが、カスタマーハラスメント防止に向けた県の取組として相談、助言を行うことで、予算に関する説明書にも委託料としてカスタマーハラスメント防止対策事業費1,997万2,000円が増額補正として計上されていると説明があった。先ほどの委員の質問に対しても、相談、助言を事業者にする、そういった答弁もあったが、具体的にどのようにしていくのかで、設置した窓口の周知が重要になってくると思うが、その周知をどのようにしていくのか伺う。
【理事者】
相談窓口の関係であるが、事業者からの相談に対応し、必要な助言を行うため社会保険労務士などの専門家による相談窓口を設置して、電話、メール、オンラインによる相談を行っていく。このほか、中小企業、小規模事業者を対象に社会保険労務士などのアドバイザーを派遣して、企業が防止対策に取り組む上での課題の洗い出しから、具体的な対策までの提案を行う伴走支援を実施していく。
なお、相談窓口やアドバイザー派遣については案内チラシを作成し、各地域の商工会議所や商工会を通じて中小企業等に配布するとともに、カスタマーハラスメント専用のウェブサイトに具体的な支援内容を掲載するなどによる周知啓発を行っていく。
【委員】
こうしたカスタマーハラスメント関係で、従来、消費生活上のトラブルで困っている消費者に対する相談業務を行う国家資格を持つ消費生活相談員という制度がある。その消費生活相談員は地方公共団体の消費生活相談センター及び消費生活相談窓口において、消費生活相談やあっせんに対応する専門職であって、消費生活センターに必ず消費生活相談員を置くことがされているが、近年、相談員が大変不足している問題を抱えていることが私ども自民党にも声として届いている。この相談員は、高額の訪問販売のクーリングオフに対応する。また、訪問リフォーム被害にも対応する。化粧品や健康食品などの詐欺的な定期購入にも対応することで、消費者と事業者の間にあって、あっせん、要は処理も担っている。近年インターネットの取引の増加によって相談に応じられない事案も多数あると聞いている。
このように相談員は様々な相談に対応しているが、近年は相談者からのカスタマーハラスメント行為というか、相談に来る人の消費生活相談員に対するカスタマーハラスメント的な言動も多くなっているということである。
ここで聞きたいのは、昨年度からカスタマーハラスメント防止に向けた対策を検討する協議会を作って現状を聞いていると先ほど答弁があったが、消費生活相談員のカスタマーハラスメント被害についても把握していたかどうかを聞きたいと思う。
【理事者】
昨年度、カスタマーハラスメントの状況把握をする中で、消費生活相談員のカスタマーハラスメント被害の実例についても聞くことができた。被害例としては購入商品に対する疑問はメーカーに直接聞いてほしいと相談者にアドバイスを行ったところ、消費生活相談員からメーカーに確認してくれと執拗に言われたといった相談員の業務を超えた過剰な要求などがあるとのことだった。
【委員】
今、答弁があったように、過剰な相談、これがカスタマーハラスメントといえるかどうかもあるが、そういった消費生活相談員に対する相談者の言動もこのカスタマーハラスメント防止条例の対象となってくるのかを最後に聞きたいと思う。
【理事者】
本条例案では、就業者の定義を、事業者の行う事業に係る業務に従事する者、事業者の定義を、事業を行う個人または法人、その他の団体とし、営利を目的としないものや、国及び地方公共団体を含むとしていることから、消費生活相談員についても、本条例における就業者に当たる。そのため、相談者から受けた言動が社会通念上許容される範囲を超えたものであり、消費生活相談員の就業環境を害するものである場合には、カスタマーハラスメントに該当し、本条例の対象となる。
【委員】
いろいろ聞いて、消費生活相談員の話を最後にしたが、こういったカスタマーハラスメントのトラブル、あるいは消費生活のトラブル、窓口がいろいろできてくるとなかなか相談するほうも困ってしまうので、しっかり交通整理というか、その辺の周知をお願いして私からの質問を終わる。
【委員】
私も愛知県カスタマーハラスメント防止条例及び防止対策事業費について伺う。
ただ、これは既に代表質問、一般質問、そして今日の2人の質疑もあって、多くの人がもう話題にしているので、多分質問が出なかっただろうと思える2点について質問する。
このカスタマーハラスメントというのは定義が非常に広くて、正当なクレームとの線引きが難しいとされている。現場で混乱を生じさせないように、区別をどのように示していくのか、見解を伺う。
【理事者】
条例案において、カスタマーハラスメントは顧客等からの就業者に対する言動であること、就業者が従事する業務の性質、その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの、就業者の就業環境を害するものという三つの要素を満たすものと定義している。カスタマーハラスメントは、業種や業態、発生時の状況等によって千差万別であり、正当なクレームとの線引きは個々に判断せざるを得ない。
そこで、今後策定する指針において、事業者や就業者が現場で判断する際の参考となるよう、カスタマーハラスメントに該当する事例を記載していく。例えば、注文した料理に問題がないにもかかわらず、言いがかりをつけて金銭や料理の作り直しを要求する。店内で就業者をにらみつけ大声で文句を言うなど、具体的な内容をできる限り多く示していきたい。なお、指針は条例施行前までに策定する予定であり、専用ウェブサイトへの掲載や経済団体、労働団体等を通じて、事業者への周知啓発をしっかりと行っていく。
【委員】
分かった。正当なクレームとの線引きは今後策定する指針の中で事例をできるだけたくさん掲載してもらえるということで、本当に多くの事例が出てくると非常に助かる。
では、少し予算の関係で質問する。
社会全体でカスタマーハラスメント防止に取り組むためには、広く周知啓発を行うことが重要であるが、今回カスタマーハラスメント防止に関する啓発として、令和7年度6月補正予算参考資料によると、シンポジウムの開催や中学生向け啓発パンフレットを作成するとあるが、これらの事業内容について聞かせてほしい。
【理事者】
まず、シンポジウムは国が定める職場のハラスメント撲滅月間に当たる12月に、条例や指針の周知啓発を目的に開催する予定である。具体的には、基調講演のほか、先進的にカスタマーハラスメント防止に取り組んでいる企業の事例紹介などを想定しており、定員は、会場100人、オンライン100人の計200人を予定している。また、中学生向け啓発パンフレットについては、条例検討会議の委員からの意見も踏まえ、未来の消費者となる若い世代にもカスタマーハラスメントを理解してもらう必要があると考え、計7万部を作成、配布する予定である。パンフレットの内容は、カスタマーハラスメントの定義や事業者や就業者に与える悪影響等について、イラストなどを用いて分かりやすく説明するものとし、学校教育の場で活用してもらいたい。
【委員】
私も以前、実は飲食店を経営した経験があるし、今でも愛知県食品衛生協会の食品指導員をやっている関係で、飲食店の人とはよく話をすることがある。そういった中で、本当に飲食店の人々は、今の価値基準で考えればどう考えたってカスタマーハラスメントだなと思っても、なかなか客には逆らえないとか、あるいは、もし逆らうとSNSでその店の悪口をいろいろ書かれるのではないかとのことで、なかなか毅然とした態度が取れないとよく聞く。先ほど労働福祉課担当課長が事例で示した、例えば注文した料理に問題がないにもかかわらず、言いがかりをつけて金銭や料理の作り直しを要求するなど、実は本当によくあることで、ひどいときには誰か1人の1品に何か異物が入っていたら、このグループ全体の料理を無料にしろとか、本当にそのようなクレームがあるそうである。そういった意味で、もちろん正当なクレームに対してはきちっと誠意ある対応をしなければいけないが、そうでない場合にはやはり毅然とした態度で臨むべきだと思う。ただ、そうしたときに、お店が毅然とした態度が取れるかどうか。その後ろ盾となるのがまさにこの条例ではないかなと思う。
愛知県がカスタマーハラスメントを行ってはならないと強く宣言をして、そのことが社会全体の共通認識となることで、カスタマーハラスメントのない社会が実現するのではないかと思う。そのため、先ほどの予算の中にあった条例や指針の周知啓発が非常に大事で、とにかくこれはよろしくないことだというのを社会全体の風潮にすることを期待して、そのことで愛知県がカスタマーハラスメントのない県となっていくことを期待して質問を終わる。
【委員】
ソーシャルイノベーション創出基金積立金について質疑する。
少し聞きそびれたのかと思っていたが、1万9,000円は利子で積立金になっているので、もともとの原資は500万円かと思うが、この原資がどこかの寄附金で、どなたからこういったものに使ってほしいと来たのかと思ったが、予算に関する説明書を見ると、第11款寄附金の5,600万円のうちの500万円を積み立てるという認識でよいか。
【理事者】
こちらのソーシャルイノベーション創出基金の財源である寄附金については、こちらの中の一部として、我々のほうについては500万円という寄附金の歳入予算計上となっている。
【委員】
聞いたのはそれでいいと思うが、要するに寄附金を原資とした基金を積み立てて事業を行うことなので少し私の頭の中でひらめいたというか、過去にやったことがあるのは、福祉のほうで子育て支援の基金を積み立てた。これは寄附をした人が子育て支援に使ってほしいと寄附をした。それを原資に基金にして、例えば大学の進学用に使うとか、そのように使っていって、今もさらに積み増し、いわゆるそういったものに賛同する人たちが現れて寄附金が、この基金が増えていったという経緯があると思っているが、今回の場合は行政主体で基金を組み立てたように見受けられるが、いわゆる民間の人たちから寄附金を募るとしている。その目途というのはあるのか。
【理事者】
今回の予算を計上している500万円、こちらについては昨年度の寄附実績を基に金額を決めている。今年度もまずは昨年度と同様の規模の寄附をしっかり募っていく。さらに、当然プラスアルファを我々としては目指して、金融機関や事業会社、広く寄附を募っていきたい。
【委員】
聞きたいのは、もちろん愛知県に対する寄附というのは分かるが、要はイノベーション、産業育成のために使えるという寄附金を募るのかを聞いているが。
【理事者】
あくまでもイノベーションの創出ということで寄附を募る。そのために今回条例案は別に出しているので、そのような形で、今回議会で承認されたら、イノベーションに関して寄附してもらえるかという形で寄附を募ろうと考えている。
【委員】
もちろん順番はそうなるだろうが、私が言いたいのは、反対ではない。やるのは結構かと思うが、目的のある基金を積む以上は、その意思がどこにあって、どのような理念で進んでいくかきちんと前提をつくっておかないと、あまり広がりがなくなるのではないだろうかという心配をするわけである。だから、今議会が認めたからこのようになるではなくて、行政としてこれを徹底的にやりたい意思がないことには、これは逆にそんな言い方されると反対しないが反対したくなってしまう。だから、さっき言った子育て支援のことはもともとの原資と、最初の核となった原資の寄附金が、そういった子育てにぜひ使ってほしい、実はこれ、私の知り合いだったが、ぜひそれを使ってほしいといった人たちの好意、善意が広がってきたからそうなったと思う。そのような意思がない基金というのは、さっき委員が言ったように、本当に目的が果たせるのかどうか、積み立てるのが目的になってしまうのか、そのような心配があるので聞いている。
分かってもらえたと思うので質問を終わる。
〈委員外議員発言〉
【議員】
私から、第104号議案令和7年度一般会計補正予算、カスタマーハラスメント防止対策事業費について質問する。
先ほど来、複数の委員からも質問があったように、この社会全体としてもカスタマーハラスメントの意識、関心というものは高まっているものだと認識をしている。そして、カスタマーハラスメントというものは働く人の心身だけでなく事業活動に影響を及ぼしかねない社会問題の一つであるということは私ももちろん認識をしていて、また、このカスタマーハラスメントというものは働く側だけでなく、消費者、顧客の人々にとっても純粋に何か分からないことがあるから聞きたい、確認をしたいということからトラブルになってしまって、場合によっては例えば社会的な信頼を損なってしまうとか、そういったことで会社や顧客どちらにとっても利益を生まないものであると思っている。ゆえに、カスタマーハラスメントというものは県民の、私たちも含めて、誰しもが被害者、加害者になり得るものであって、広くそのカスタマーハラスメントに対しての意識関心を高く持っていくことが非常に重要である。
そして、県としても、このカスタマーハラスメント防止対策ということで、条例の制定、専用のウェブサイトの開設などによる啓発だけでなく、実際に企業内でも研修で使っていけるような動画をこれから作成していくという方針であることも認識をしている。不当な要求や暴力的な言動などのカスタマーハラスメント、これらはもちろんなくなるべきであって、従業員、企業、また、顧客も守っていくために、県としても条例を制定していくこと、これは必要だと思っているが、カスハラ対策の啓発手段である動画の作成というところについて少し質問する。
先ほども少し話があったが、東京都ではカスタマーハラスメントの対策動画を6本作成していて、ユーチューブやウェブページで無料公開をしている。少し説明すると、6本の内容というのがカスタマーハラスメントの未然防止、BtoBでの対応というもの、また、消費者としての意見、苦情の伝え方、企業のカスタマーハラスメント対策、従業員をカスタマーハラスメントから守る、カスタマーハラスメントを受けた従業員のケア、顧客第一主義とカスタマーハラスメント対策の両立、これら6本の動画が1本約20分の動画という形で構成をされている。動画内ではロールプレイング形式で、顧客側、店側に分かれて実践をしていて、カスタマーハラスメントが起こる状況ではどこにどのような問題があるのか。また、顧客はどのような思いでそういった人に相談しているのかなどなど、結構分かりやすく丁寧に説明をされている。そして、このカスタマーハラスメントについて先日説明を受けた際に、カスタマーハラスメント対策で動画を見ようと、学ぼうと企業の人々が思っても、どこにどんな動画があるのか、どういったものを参考にすればいいのか分からないといった声もあると説明をもらった。個人的には少し違和感があって、カスタマーハラスメント対策講習動画、と検索をすると、真っ先にヒットするのがこの東京都の動画である。目的や場面別に、しかもその内容も丁寧に整理されているのがこの東京都の動画となっている。また、愛知県の特徴としてはモノづくりが盛んであって、BtoBの場面でのカスタマーハラスメントが多いということもレクでは聞いたが、東京都のホームページ、左上の一番目立つところにあるのがBtoBのカスタマーハラスメント対策動画となっている。これらを整理すると、既にカスタマーハラスメント対策のための動画は東京都が作成をしているし、BtoBが多いという愛知県の特色があったとしても、東京都の動画で代替できるのではないかと。そこに大切な税金を投入するほどの意義や必然性がどこにあるのか、県民から不安に思われても仕方がないのではないかと思ってしまう。もちろん既にある動画では補完できないものがある、既にあるものよりもよいものを作る意義がある。県民にとっても納得できる目的があるのだと思うが、原資は県民の税金であることから、誰が聞いても納得できるような説明をしてもらいたいと思う。
そこで伺う。
東京都においてもカスハラ防止に向けた動画を作成しているが、愛知県が独自に予算をかけて作成する目的について伺う。
【理事者】
議員が例示した東京都の動画は、2022年に国が作成したカスタマーハラスメント対策企業マニュアルや都条例の内容に基づいたものとなっている。東京都と本県の防止対策の考え方はおおむね似通っているものの、条例案そのものは各種定義の示し方など異なる部分もある。そのため、本県が過去に他団体の作成した動画をそのまま活用し、防止に向けた周知啓発を行った場合、条例内容の違い等により誤解を招くおそれもあり、適切ではない。こうしたことから、本県の条例案に基づいた独自の動画を作成し、本県独自の防止対策を進めることが重要である。
なお、今回策定予定の動画は防止対策を行うことが難しい中小企業等が自社の研修にそのまま活用できる構成とし、理解すべきポイントの復習を動画の最後に盛り込むなど、より効果的な研修動画とすることで、ほかの動画との差別化を図っていく。
【議員】
答弁した内容について、愛知県の条例に沿った内容にするとのことで、そういった差別化をぜひ図って作成をしてほしい。
また大事なポイントとして、今後より効果的な振り返りをしていかなければ適切な運営になっていかないのではないかと思っている。例えば動画の再生数、また、どの媒体に掲載をするのか、どこからリーチをしてきたのか、その結果どの程度の研修満足度や改善点につながってきたのかなど、プラスもマイナスもどちらも振り返っていくことが必要だと感じている。予算を使ったことの県民への責任であって、事業そのものをよりよいものにしていくためにも、こういった効果的な振り返り、先ほども話にあった定量的な振り返りというものは事業にとって必要である。
動画を作成し、活用するとして、事業効果の検証などについてはどのように行っていくのか伺う。
【理事者】
研修動画の効果検証の指標として、一般的には再生回数、再生時間、視聴完了率などが用いられる。今回作成する動画についても、これらの指標について先行して作成した東京都の実績も踏まえながら、適切な目標値を定め、事業効果の検証を行っていきたい。
【議員】
最後に要望する。
振り返りの指標について、今はあまり具体的には決まっていないと思ってしまった。今後しっかり、指標を用いて振り返りをしてほしいし、また、東京都の動画はユーチューブに掲載をされている。東京都の公式チャンネルからそういった形で出されているが、愛知県も公式チャンネルがあるので、ぜひ掲載したらどうか。これは非常に重要な観点だと思っていて、広く県民に伝えるという観点では、専用のウェブサイトにそもそもたどり着きにくいのではないか。
先ほど伝えたように、企業や従業員だけではなく顧客、要は県民の全員が被害者、加害者になり得るのがカスタマーハラスメントだと思っている。そういった意味では、県民が最も使いやすい、また、見つけやすい媒体にしっかり掲載をして周知啓発を図っていくこと、また、その中で相談窓口もあるというような形にしていくことで、従業員も含めて、より相談窓口に対して相談もしやすい。企業にとっても、また、それを使って振り返りを従業員自身がしていけるようになれば、カスタマーハラスメントの関心度というか、文化、考え方も定着しやすいのではないかと思っている。ユーチューブの掲載は別にお金がかかるものではないし、手間はもちろんかかるが、その分、どれだけ再生されたのか、最も再生された動画がどれなのか、また、ほかのSNSなのか、そもそもカスハラ対策というような検索ワードをもってそこの動画にたどり着いたのか等々、リサーチも含めて、その動画がどれだけ満足されたのか、見てもらえたのかまでしっかり振り返られるようになっている。なので、既存の媒体から新しいものを作るのももちろん大事なのだが、今あるものを使ってより効果的に運営をしていく。また、振り返ってよりよいものにしていくという形で、この予算もしっかり使って、県民全体としてカスタマーハラスメント対策の意識がしっかり高まっていくということを、本県もぜひやってもらいたい。
請願関係
なし
一般質問
【委員】
私からは、STATION Aiを活用した障害者に対するスタートアップ支援について伺う。
昨年10月にオープンした愛知県が推進する日本最大のスタートアップ支援拠点、STATION Aiは、スタートアップの創出や育成を目的に、優れたアイデアや技術を持つ人材の活躍を後押しする場として大変大きな注目を集めており、このSTATION Aiの機能やネットワークを生かし、多様な人材が起業や事業化に挑戦できる仕組みがさらに期待がされている。
先日、私の知り合いで、大村秀章知事から、あいち広報大使の委嘱を受けている寝たきり社長として著名な株式会社仙拓の代表取締役社長である佐藤仙務氏から依頼があって、ぜひこのSTATION Aiを視察し、あいち広報大使としていろいろとPRをしたいと言われたので、6月10日に一緒に視察をした。佐藤仙務氏は平成4年に10万人に1人が発症すると言われる難病の脊髄性筋萎縮症との診断を受け、障害区分は認定の最重度区分6で、肢体不自由で寝たきりの状態の人である。そんな佐藤仙務氏が、平成22年に愛知県立港特別支援学校高等部を卒業後、障害を持っていることが原因で就職が非常に困難な現実を目の当たりにし、深い挫折をそこで味わった。しかし、そのことがきっかけで同じ難病を抱えている友人と2人で自身の重度の障害を乗り越えて、2011年、19歳のときに重度の障害者としては全国で初めて、名刺とウェブサイトを作成する株式会社仙拓という企業を立ち上げ、起業した。今は全身で動くのは左手の親指が数センチだけであって、ふだんは目の動きでパソコンのカーソルを動かしながら仕事をこなし、現在も重度の障害者を雇用して健常者を含め会社を運営している。そして、最近では大手の眼鏡メーカー、JINSの協力によって頭の僅かな動きによってパソコンを操作するという先進的なサービスなども展開しており、創業者として、また、2018年からは椙山女学園大学においての非常勤講師として障害者向けICT支援に関する教育にも携わっており、さらには愛知県立港特別支援学校の非常勤講師として着任し、障害の人々との関わりや起業、そして、さらには社会参画などにも精力的に取り組んでいる。自身が障害を持ちながら起業した経験から、同じハンディキャップを抱える人々から、自分たちもスタートアップとして事業を立ち上げたいという声を多く聞いているとあった。
こうした中、STATION Aiを中核としたSTATION Aiプロジェクトでは、様々なスタートアップの起業支援を実施していると聞いている。
そこで伺う。
障害者の方々がスタートアップを起業するための県の施策はどのようなものがあるのかを伺う。
【理事者】
県では、起業を目指す人を対象にした学生向けプログラムであるSTAPSや、社会人向けプログラムであるACTIVATION LabをSTATION Aiと連携して取り組むなど、スタートアップの創出を図っている。また、起業に向けた必要経費の2分の1を補助するとともに、伴走支援を行うあいちスタートアップ創業支援事業費補助金、いわゆる起業支援金での支援を行っている。さらに、起業に向け、自らのビジネスプランを磨き上げる場とピッチコンテストを組み合わせたAICHI STARTUP BATTLEという賞金付きビジネスプランコンテストも実施するなど、様々な支援を通じ、将来STATION Aiの会員となる起業家の裾野拡大に取り組んでいる。いずれのプログラムも障害の有無を問わず、スタートアップとして起業を志す人であれば、誰でも参加できるものとなっている。
【委員】
残念ながら現時点では障害者の人々に特化したスタートアップの起業支援がないということを認識した。実際にスタートアップを立ち上げようとする際は、まずは何よりもビジネスプランをどれだけ磨き上げられるか、そして、その計画を実行に移すための資金調達が重要となる。数ある支援策の中で、県ではスタートアップの起業を目指す人や起業初期の人を対象に、起業の知見、資金の両面をサポートし、事業成長を後押しするアクセラレーションプログラムとビジネスプランコンテストを一体的に行うAICHI STARTUP BATTLEを2024年度から実施し、賞金総額600万円のビジネスプランコンテストとして、昨年は応募者も多く、大変盛り上がったと聞いている。
このAICHI STARTUP BATTLEの実績と、それから今年度の取組はどのようなものになっているのか伺う。
【理事者】
AICHI STARTUP BATTLEの昨年度の実績だが、プログラムの前半として起業に必要な知識の習得や先輩起業家等の面談によりアイデアのブラッシュアップを行うアクセラレーションステージに54人の応募があり、選抜された19人が参加した。その中から、専門家による審査を経て選抜された10人がプログラム後半のコンテストステージに進み、ビジネスプランコンテストで高い評価を受けた3人に対し、優勝者には300万円、2位には200万円、3位には100万円の賞金をそれぞれ贈呈した。こうした資金をもとに、受賞した3人はいずれもSTATION Aiのオフィス会員として入居し、現在、事業成長に向けて専門家の支援を受けながら活動を続けている。
AICHI STARTUP BATTLEは今年度も引き続き実施し、プログラム全体の流れは大きく変わらないが、アクセラレーションステージにおいて、希望者にアイデアの整理や事業計画の作り方をフォローする支援体制を組むなど、充実を図っていく。
今月17日には参加者の募集を開始し、来年2月に開催予定のビジネスプランコンテストに向けて起業を目指す人をしっかりと伴走支援し、優秀なスタートアップのSTATION Aiの誘引につなげていく。
【委員】
それでは、最後に要望する。
障害者の人々が自らの経験や感性を生かし、起業という形で社会参画を果たすことは、障害福祉の観点からも意義深く、また、地域の活性化にも寄与するものと考えている。AICHI STARTUP BATTLEはスタートアップ企業の登竜門としてはふさわしい取組であるが、障害者の人々にとっては若干ハードルが高い面があると私は感じられる。STATION Aiの持つ圧倒的な発信力とネットワークと、それからバリアフリーの設計といった利点を生かして、障害者を対象としたビジネスプランコンテスト、あるいは、よりライトな形でのビジネスプランピッチイベント、これは賞金がなしでも私はいいと思う。こういったものをSTATION Aiで開催をしてもらうことを検討してはいかがか。こうしたイベントを開催することによって起業を志す障害者のモチベーション向上のみならず、県の多様性あるスタートアップ支援の姿勢を強く内外に示すものとなる。今後注目されるインクルーシブな社会の実現に向けても大きな一歩になると私は確信をしている。我が国最大のスタートアップ支援拠点STATION Aiの最大のポテンシャルを生かして、障害の有無にかかわらず、誰もが挑戦できる社会の実現に向けて、福祉局とも横の連携を図りながら、障害を持つ人々のスタートアップを積極的に支援してもらうよう要望し、私の質問を終わる。
【委員】
私からは、朝の小1の壁問題について質問する。
子育て世代の就労関係に大きく関わる朝の小1の壁は、共働き世帯にとって、子供が小学校に入学した直後、それまで保育園では早朝保育により子供を預かってくれていたのに対し、小学校では預かってくれる場所がなく、仕事と育児の両立が困難になる状況を指す。従来小1の壁といえば放課後の子供の居場所が問題視されてきたが、このような朝の居場所については見過ごされてきていた。未就学児は午前7時頃から保育所などに預けられるが、小学校は登校時間が午前8時から8時半頃になるため、1時間程度の差が生じる。学童保育がカバーしていない朝の時間帯は、この数十分の差が働く親にとって出勤時間に関わる問題となっている。
こども家庭庁は、小学生の朝の居場所の状況を把握するため、昨年9月から10月にかけて、全国1,741市区町村に対し、初となる実態調査を実施した。回答のあった自治体は1,017、そのうち朝の居場所確保に向けた施策に取り組んでいる自治体は14、検討中とする自治体は17、合計31の自治体が前向きで、全体の約3パーセントという状況にとどまった。この結果を受け、こども家庭庁は、調査結果から切実な支援につなげる必要があるとして、今年3月31日に全国の自治体に対し、地域の実情に応じて対策を進めるよう通知を発出した。これに対しては福祉局の管轄となるのでこれ以上触れないが、子育て世帯の就労環境に、朝の子供の居場所がないことで出勤時間を遅らせざるを得ないため、保護者が就労機会を失うリスクが高まると思う。そうしたことが本県の労働市場、特に女性の就業継続に影響を及ぼす可能性があるものとして危惧するわけであるが伺う。この朝の小1の壁問題に対し、県としてどのような認識を持ち、どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
朝の小1の壁問題について、仕事と育児の両立支援の観点から答える。
小学校入学に伴い、朝の時間帯に子供の預け先がなくなることで、仕事と育児の両立が困難になる保護者がいることは承知している。問題の解決に向けては、朝の子供の居場所づくりを推進することが何より重要かと思うが、企業においてもこの問題を理解し、従業員が働きやすい職場環境づくりに取り組んでもらうことが大切である。具体的には、従業員が朝の小1の壁問題を抱えていないかを把握するとともに、フレックスタイムや短時間勤務制度、テレワーク、時間単位年休など、多様な働き方が選択できる環境整備を推進することが必要である。
なお、企業がこうした環境整備を行う際には、国の両立支援等助成金、人材確保等支援助成金、働き方改革推進支援助成金などを活用することが可能となっている。県としては、企業の人々に、朝の小1の壁問題の現状や取組の必要性について、まずは理解を深めてもらうことが重要なので、労働局労働福祉課のウェブサイト上に問題の現状や国の助成金制度などを紹介する新たなページを設け、周知啓発を図っていく。
【委員】
企業に求められる対応として、従業員の抱える事情の把握やフレックスタイムや短時間勤務制度、テレワークや時間単位年休などの、そういった多様な働き方の整備を行っていくということで、それら環境整備のために国の助成制度が利用できることで理解はした。
ただ、それぞれの助成制度が過去3年間には何件支給実績があったか伺う。
【理事者】
愛知労働局に確認したところ、フレックスタイム制度を導入した企業などを対象とする両立支援等助成金、柔軟な働き方選択制度等支援コースは、令和6年度から開始された制度となっており、昨年度の支給件数は1件となっている。
次に、テレワーク制度を導入し、離職率を低下させるなどの目標を達成した企業を対象とする人材確保等支援助成金、テレワークコースの支給件数は、令和6年度6件、令和5年度4件、令和4年度7件となっている。
最後に、労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む企業を対象とする働き方改革推進支援助成金、労働時間短縮・年休促進支援コースの支給件数は、令和6年度353件、令和5年度324件、令和4年度648件となっている。
【委員】
全体の企業数で考えると、制度導入の支給実績数を比較すると、まだまだ有効に活用されていない印象なので、今後ますます中小企業における制度の活用が進むことを期待する。
一方で、多様な働き方に向けた制度を導入することで会社は労働力の調整が必要となり、そういったデメリットも出てくる。こうしたことを鑑みると中小企業が課題意識を持ちながらも、会社経営を考えると制度導入に消極的になる一面もあると思う。しかしながら、一概に制度の導入による労働力の損失と見るのではなく、従業員のワーク・ライフ・バランスが向上することで離職率の低下やモチベーションの向上による生産性の向上が期待されること、また、柔軟な働き方を提供することで優秀な人材の確保にもつながり、こうした助成金はあくまできっかけであり、その先のプラス効果を見据えた活用が必要である。また、制度を導入した企業であっても、大事なのは制度があることではなくて、制度が使いやすい職場環境にあるかどうかだと考える。制度があっても、職場の雰囲気や上司の理解がなければ実際には利用しづらいという声もあるので、企業がこうした課題に真摯に向き合わなければワーク・ライフ・バランス向上による離職率の低下やモチベーションの向上による生産性の向上などにはつながっていかないと考える。そうした意味から、朝の小1の壁に悩む保護者や、また、企業に対し、例えば社会保険労務士などによる相談窓口などがあれば有効かと考えるが、県としてそういった相談窓口の運用は行われているのだろうか。
【理事者】
県では、ウインクあいち17階のあいち労働総合支援フロア内に労働問題全般の相談窓口である労働相談コーナーを設置し、県職員OBなどの総合労働相談員による労働相談のほか、社会保険労務士による専門労働相談も実施している。本コーナーでは、労働者や企業からの多様な働き方に関する法制度の概要や、働きやすい職場づくりに向けた就業規則の整備方法などの相談に対し、個々の相談者に応じた適切なアドバイスを行っている。そのほか、中小企業の働きやすい職場環境づくりを支援するため、社会保険労務士等をアドバイザーとして企業に派遣し、就業規則等の整備支援なども実施している。今後も労働相談窓口やアドバイザー派遣により、朝の小1の壁問題に悩む人々の相談に対応していく。
【委員】
企業が制度を導入しようと思っても、短期的な変化は難しい場合が多いため、時間をかけて企業内の文化や慣習を変えていくのが現実的であり、そのため中期的な視点で進めていくことが必要になっていく。一方で、朝の小1の壁問題に直面している保護者にとっては毎朝向き合っていかなければならない課題であるので、そうした保護者に対し、労働相談窓口やアドバイザー派遣により、そういった人々の相談に対応していくという答弁があった。
本年4月には改正育児・介護休業法が施行された。この改正は仕事と育児、介護の両立をサポートするためのものであり、そのポイントは育児、介護のための休業取得を柔軟にすること、そして男性の育児休業の取得を促進することにあると認識している。このような改正は、ワーク・ライフ・バランスに対するさらなる意識の醸成に大きく寄与することが期待されるので、こうした機運を逃すことなく、愛知県においても、朝の小1の壁問題の解決に向けた取組が進むことを期待し、質問を終わる。
【委員】
私からは燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域について質問する。
国の2030年における水素の年間導入目標は、乗用車換算で80万台。これに対応する燃料電池商用車、いわゆるFC商用車の車両供給の見通しとしては、小型トラックで累計2万2,000台、大型トラックで累計5,000台、バスで年間200台の供給が必要であると試算がされている。現在のFC商用車の導入はまだまだこれからということもあって、大型FCトラックにおいては全国で僅かに5台しか実証車がないという、そのような段階である。
そこで、国はFC商用車に関して、水素需要が大きく自治体の意欲的な活動がある地域を燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域に選定し、集中的に支援するとして、第1回重点地域の募集を今年3月27日から開始をした。本県は重点地域の選定に向けて計画申請書を提出し、5月19日に地方公共団体を中核とする五つの重点地域の一つ、中部重点地域の中核地方公共団体として選定をされたと聞いている。
そこで、まず聞く。
重点地域の概要と重点地域の選定に当たり、求められているものは何かを伺う。
【理事者】
燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域については、運輸部門における二酸化炭素排出量削減のため、相当程度の燃料電池商用車の需要が見込まれ、その普及に向けた意欲的な活動を行う地方公共団体を国が選定し、選定した地域に燃料電池商用車の導入や水素ステーションの整備を2030年度までに先行的に推進していくものである。重点地域選定に当たっては、商用車の潜在的需要と地方公共団体の意欲的な取組が求められる。具体的には、県内に登録されている車両の輸送トンキロが50億トンキロ以上であること、県内の高速道路における大型車走行台数が1日当たり1万台以上であること、協議会において普及に向けた議論が行われていること、燃料電池商用車の導入目標が設定されていること、車両導入や水素ステーション整備などの支援が予定されていることといった項目を満たすことが求められている。
【委員】
本県が重点地域として求められている条件を十分に満たしているというか、愛知県こそがこの重点地域に応募しなければどこがするんだというぐらいのことだということがよく分かった。
それでは、本県が提出した計画申請書の内容はどのようなものだったのか伺う。
【理事者】
計画申請書には合計で21の評価項目があり、申請に向けて必ず満たす必要のある必須項目と、必ず満たす必要はないが、審査の上で加点される加点項目がある。本県は提出した計画申請書の必須項目のうち、燃料電池商用車の導入目標を7,000台と設定し、車両導入や水素ステーション整備などの支援についても今年度の当初予算で予算措置するなど、全てを満たす内容で申請を行っている。また、加点項目においても、例えば燃料電池商用車の導入目標を対外的に公表し、目標達成に必要な水素ステーション数や規模についても検討しているなど、高い加点を獲得できる申請を行ったものと考えている。
【委員】
高い加点が得られた結果、5月19日に晴れて愛知県を中心とする中部地方が重点地域に選ばれた。
重点地域に選定されると国からどのような支援が行われるのか伺う。
【理事者】
国から受けられる支援については、水素ステーション事業者に対し、水素ステーションの整備費と運営費についての支援がある。水素ステーションの整備費では、重点地域とそれ以外の地域で補助率の差別化が図られ、商用車に対応した水素ステーションの大規模化に対する支援が強化される。また、ステーションの運営費では、24時間営業の場合に補助上限額が拡充されるとともに、既存燃料価格を踏まえた商用車への充填実績に応じた追加的な支援が受けられるようになる。
【委員】
FC商用車を買うときにも補助があって、ステーションで燃料を入れるときにも補助があるということである。
民間事業者の反応はどうであるのか、また、高い目標を設定しているわけだが、この目標実現に向けて今後どのように事業を進めていくのか伺う。
【理事者】
民間事業者の反応について、重点地域の選定に向けて、今年3月20日に実施した燃料電池商用車の導入に向けた総決起集会において、集まった自動車メーカーや水素ステーション事業者、運送事業者や業界団体など、それぞれの立場から、燃料電池商用車普及に向けた決意表明があった。県が先頭に立ち目標を掲げたことや、県の支援施策について好意的な話をもらったとともに、燃料電池商用車7,000台導入の実現に向けた課題などについても共有された。
目標の実現に向けては、事業者に対する国の手厚い支援を活用しながら、県としても燃料電池商用車の導入や水素燃料コストに対する補助を行うとともに、燃料電池大型トラックへの燃料供給に対応可能な大型ステーションの整備に向けた調査も実施しながら、2030年度までに燃料電池商用車7,000台を導入するという目標の実現に向けて取り組んでいく。
【委員】
本県は国の試算を前提に、全国の目標の4分の1に当たるFC商用車導入目標7,000台であった。全国一の目標台数を設定した。必要な補助制度を創設、拡充することで、国内のFC商用車導入を牽引していく意気込みを感じている。FC商用車が普及すれば、当然全国に水素ステーションができて、充実していくため、車両価格も水素の販売コストもだんだん下がり、縮減されていく。それがひいてはFC乗用車の普及にもつながっていくので、この愛知県の車産業にとっても、これはもう限りなくすばらしいことだと思う。ただ、2030年までということで、あと5年しかないので、どうか我が国の水素社会を実現していくためにも、設定した目標を達成するように、当局の努力をお願いして質問を終わる。
【委員】
私からは刈谷イノベーション推進プラットフォームとSTATION Aiとの連携について伺う。
愛知県はAichi-Startup戦略に基づき、スタートアップ支援拠点STATION Aiと県内各地域のSTATION Aiパートナー拠点とが相互に連携協力し、県内全域にわたるスタートアップ・エコシステムの形成を目指している。そうした中、愛知県は昨年11月15日に刈谷イノベーション推進プラットフォームをSTATION Aiパートナー拠点として、相互の連携、協力に関する覚書の締結を行った。この刈谷イノベーション推進プラットフォームというのは、刈谷市を中心に地元経済団体で2024年8月に設立され、県内有数のモノづくり産業、自動車サプライヤーの集積地であることを生かしたモノづくりイノベーションを取組テーマとして、地域一体となって中小企業を対象としたスタートアップとの連携やオープンイノベーションの機運醸成を推進してきた組織である。
そこで質問だが、この連携により具体的にはどのような取組がこれまで行われてきたか。また、それらを通してこれまでにどのような成果があったか伺う。
【理事者】
STATION Aiパートナー拠点では、自治体や支援機関等のネットワークを基盤として、地域特性や強みを生かし、主体的にスタートアップ・エコシステムの形成を図っている。本プラットフォームでは、事務局である刈谷市がSTATION Ai会員となり、スタートアップからの相談を受けるオフィスアワーをSTATION Aiで開催したほか、スタートアップと地域のモノづくり中小企業とのマッチング機会を設けるなど、双方のかけ橋的な役割を担っている。
また、全パートナー拠点合同でSTATION Aiの会員スタートアップ限定のピッチを実施しており、これまでに3回、計11社のスタートアップが参加した。一度に多くの自治体等へ発信できる貴重な機会として、スタートアップから大変好評である。
本プラットフォームについては、パートナー拠点に位置づけてまだ約半年であることから、目に見える形での成果はこれからと考えている。県としては、エコシステム形成支援統括マネジャー等により、引き続きプラットフォームの取組を後押しするとともに、STATION Ai会員とのマッチングやSTATION Ai内外のイベントへの参画を促すほか、情報発信の機会提供など、連携協力を図っていく。
【委員】
ただいまの答弁の中で、二つの言葉に注目した。
一つは、パートナー拠点としてはまだ半年であり、成果はこれからということだが、そのとおりである。
もう一つは、全パートナー拠点合同でピッチを3回実施したことである。全パートナー拠点というのは、2021年10月の東三河スタートアップ推進協議会と2023年9月のウェルネスバレー推進協議会のことかと思う。そこで、刈谷にとっては先輩に当たる、前からパートナー拠点となっている協議会がどういった成果があったかどうかを聞くことは、今後刈谷市もどういった成果が期待できるかにつながる。そこで質問だが、先輩であるこの二つのパートナー拠点はこれまでにどのような成果があったか伺う。
【理事者】
2021年に最初のパートナー拠点となった東三河スタートアップ推進協議会では、地域の強みである食や農業などをテーマとし、これまで110以上の共創プロジェクトを創出し、600人以上のプレイヤーが交流するなど、地域におけるエコシステムの広がりを着実に見せている。また、大学連携プロジェクトによる支援等から、藻類を用いた新製品、新サービスの提供を目指す豊橋技術科学大学発スタートアップが生まれている。
2023年に二つ目のパートナー拠点となった大府・東浦地域のウェルネスバレー推進協議会では、これまでヘルスケア分野を中心に、スタートアップと地元中小企業との実証実験等が行われてきた。今年3月にSTATION Aiで開催された成果報告会では、約130人もの参加者を集め、ベンチャー向け産業医サービスを展開するスタートアップ、訪問看護、介護のDXを推進するスタートアップによる実証実験の事例発表やブース展示等を行った。
【委員】
東三河スタートアップ推進協議会では、例えば豊橋技術科学大学発のスタートアップが創出をされたとか、大府のウェルネスバレー推進協議会ではヘルスケア分野を中心に、あるいはベンチャー向けの産業医サービス等のスタートアップの事例発表があったとかということで、本当にそれぞれの地域というか、それぞれの協議会の持つ特色を生かした連携、取組がされているなと思った。
そこで質問だが、今後さらに他地域との連携として、パートナー拠点拡大の考え、予定はあるかどうか伺う。
【理事者】
STATION Aiを中核とした県内におけるスタートアップ・エコシステムの形成には、パートナー拠点のさらなる広がりが重要である。県では、パートナー拠点の拡大に向け、自治体や支援機関等を対象に、スタートアップとともに地域課題の解決を目指すAICHI CO-CREATION STARTUP PROGRAMを2022年度から実施している。その参加数は、初年度の12団体から、今年度は62団体と大幅に増加している。また、今年1月には自治体や支援機関等の担当者約150人に向け、各パートナー拠点のキーマンから取組内容やスタートアップとの共創事例、今後目指す姿等を発表し、横展開を図るなど、地域間のつながりも強めており、県内全域のスタートアップ・エコシステム形成の機運が高まっている。引き続き各地域の機運の高まりを的確に捉え、STATION Aiパートナー拠点の拡大に努めていく。
【委員】
各地域の機運の高まりを的確に捉え、パートナー拠点の拡大に努めるということであった。
大村秀章知事がスタートアップの支援やイノベーションを語る際によく使うフレーズに、イノベーションというのは多様な主体が出会って交流することによって生まれるものである、STATION Aiはセレンディピティ、つまり、予期せぬ幸運な出会いを創出する場ということをよく使う。そうした意味であれば、パートナー拠点についても、それぞれの市町の多様な特色を持った多くの地域と連携することによって、いろんな幸運な出会いが広がって、さらにすばらしいイノベーションが起きてくると思うので、一層のパートナー拠点の拡大に努めてもらうようにお願いして質問を終わる。
【委員】
私からは、まず観光の点について、昨年度の定例議会の一般質問でも質問したツーリズムEXPOジャパンのことと、議案質疑で確か行ったが、同時開催されるVISIT JAPAN トラベル & MICEマート、略称でVJTMだが、それに関しての質問をしたいと思う。
前回一般質問でやったVJTMの質問のときには、私自身も昨年東京で開催されたものを見に行って、そこで何が行われていたかというと、日本の観光の魅力を海外バイヤーにいかに魅力を発信して、日本人セラーがそれを行って、バイヤーの向こうにいる各国の日本に行きたい人たちに魅力を伝えるということが行われているのがVJTMになるわけだが、そのVJTMに対してしっかり力を入れる必要があるのではないかということを質問し、その際に観光コンベンション局長からは、「海外バイヤーに対し行われるツーリズムEXPOジャパン展示会場の視察の際に、本県及び中部北陸9県共同ブースを訪問してもらう」、「VJTMでの商談時の軽食として地元菓子等を提供してもらうなどについて、主催者と愛知県の緊密な連携・調整を行い、その実現に取り組んでいく」、「こうした様々な取組を積み重ねることにより、ツーリズムEXPOジャパンやVJTMを最大限に活用し、本県の認知度の向上を図り、インバウンドの誘致拡大を図る」という答弁をもらっている。
先ほど伝えたとおりであるが、特にこのVJTMに対して力を入れていくべきであるし、その後、それに向けてどのような状況なのかということを教えてほしい。
【理事者】
ただいまの質問であるが、本年9月に本県で初開催されるツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸と合同開催される、VISIT JAPAN トラベル & MICEマート、略称VJTMは、海外から200名以上のバイヤーが参加する日本最大のインバウンド商談会であり、愛知の魅力を発信する絶好の機会であることから、主催者である日本政府観光局との緊密な連携のもと取り組んでいる。
まず、ツーリズムEXPOジャパン展示会場に設ける本県を含む中部北陸9県共同ブースを海外バイヤーが視察する件については、主催者と調整した結果、200名を超える海外バイヤーの参加を得て、実際に実施できる見込みとなった。また、VJTM終了後に実施される海外バイヤー向けの愛知及び中部北陸エリアの視察ツアーには、本県の観光コンテンツを数多く組み込むこととなっており、ツアーでは、本県独自の取組として、視察先施設や地元市町村などと連携して、参加バイヤーへのおもてなしの実施を検討している。さらには、VJTM会場に設けられる休憩コーナーにおいて本県の菓子などを提供し、商談の合間に本県のPR動画を上映するなどの取組について、実施に向け、主催者と調整を進めている。
今後も主催者と連携し、海外バイヤーに愛知の魅力を直接感じてもらう機会をより多く提供し、強く印象づけることにより、本県の認知度拡大を図り、インバウンドの誘致拡大につなげていく。
【委員】
私が去年東京の現地で見たときに、まさにバイヤーとセラーの人々というのも結構目まぐるしく、ここで商談が終わったら、はい次、はい次みたいなことをやっていて、あまりバイヤーの人が外に出るという感覚はないと思うので、商談の場所でやはりいかに愛知の魅力を伝えるのかということが大事だと思うし、主催者との相談になると思うが、PR動画、どのような形だったら見てもらえるのかのような、細かいところの工夫も多分必要だと思うので、そういったところまで配慮をしてもらいながら、存分に愛知の魅力を世界に向けて発信してもらえればなと思うので、よろしくお願いする。
また、ここから先も要望になるが、観光全体の中で、当然観光コンベンション局が中心となって、国外、また、国内の県外の人たちに向けての魅力発信はされていて、それに対する目的等、いろんな目標もあると思う。今日の話にもあったし、あと、アジア・アジアパラ競技大会なども象徴的だと思う。いろんなものをやはり手段としてどんどん発信していくことで魅力発信だと思う。私の知り合いの旅行業者の人の話で、今まさにこれも推している発酵食文化の話があって、発酵食文化を推すのはすごくいいことだと話していて、まさに愛知、ここら辺の魅力的な一つということはみんな多分共通している認識だと思う。例えば、味噌を造っているところや、代表的なところではみりんなど。ふだんはいわゆるBtoBでやっていて、いろいろな人が来たときに、これを見て、ああ、すごい、大きいといって終わってしまうのではなくて、いわゆるBtoC的な感じで、そこでちょっと食べてもらうなど、何か一つ商品を買ってもらうという環境がないとなかなか体感することにつながりにくいと思う。そうなってくると、体感する環境をつくるとなると、当然民間の人の協力が必要なので、そこまでの配慮をするとなると、当然各市町村や、それを通じてなどの形で民間の人たちの協力が必要になってくると思うし、アジア・アジアパラ競技大会のことをここで細かく言わないが、それぞれのそのような影響力のあるところとか関係するところと、より緊密に細かいところまで配慮をしてもらって、観光コンベンション局が中心となって、より多くの誘客やインバウンドに力を入れてもらいたいということで、この点はもう要望で終わる。
続いて、次の質問であるが、これも昨年度の議会で質問させてもらった関連だが、伝統工芸のPRについて伺いたい。
IGアリーナで今年の冬に東京ガールズコレクションと連携したファッションイベントが実施されると聞いている。こちらも過去に私がした質問に対し、サイドイベントとして町なかでのミニステージや名古屋黒紋付染をはじめとした伝統的工芸品の展示販売、グルメ、観光など愛知の魅力発信に取り組むという答弁がされている。IGアリーナで予定されているファッションイベントにおいて、東京ガールズコレクションとの連携したファッションショーというものであるが、まず伺うのが、そもそも改めてだが、東京ガールズコレクションというのはどのようなイベントで、どんな客が来場する想定なのかということを教えてほしい。また、その中で本県の愛知県の伝統工芸品のPRなど、具体的にどのような内容を今予定しているのか教えてほしい。
【理事者】
本県では、今年度の冬に2日間にわたってファッションイベント、あいち・なごやFASHION DAYSを開催する。そのうちIGアリーナで行うファッションショーについては、東京ガールズコレクションの企画運営を行う株式会社W TOKYOのほか、名古屋市などの関係自治体とともに内容の検討を進めている。
東京ガールズコレクション、通称TGCは、日本のガールズカルチャーを世界へ、をテーマに2005年にスタートし、以降、春と秋の年2回、関東圏で開催されている。近年は各地域で地元と連携しながらステージを展開しているが、客層としては、主に10代から30代のファッションやトレンドに敏感な女性が多く来場している印象である。県が今年度の冬に行うIGアリーナのファッションショーや、町なかで行うサイドイベントについて、詳細については現在検討中であるが、ふだんは伝統的工芸品や尾州のウール、三河の木綿といった地場産業にあまりなじみのない若い層に対して、その魅力やポテンシャルを発信する内容にしたい。
【委員】
ぜひそのような機会で愛知の伝統的工芸品を知ってもらうという、そういったことは僕自身もとても大事だと思っているし、ぜひ進めてもらいたい。特に繊維関係はファッションショーであれば当然親和性が高いので、その点をより推していくということはいいと思う。この中だと知多木綿くらいか。うち、名古屋黒紋付染とかがあるが、そういったところを推していってもらえればなと思う。
しかし、いかに一般の人に向けた出し方ということがすごく大事かと思っていて、そういった場所において、伝統工芸である、見てほしいといっても多分なかなか興味を持たれないと思う。さっき答えてもらった中に10代から30代の女性、恐らくだが、ほとんどの人が伝統工芸と言ったとて、ふーんで終わってしまうと思うので、まずここは考え方がどのような考え方が必要かと考えたときに、伝統工芸そのものを推すことではなくて、伝統工芸だが、まずは何かすごいおしゃれだ、すてきなものだというアプローチの仕方をすることによって初めて関心を持ってもらえると思うし、それを手に取ったりだとか、実際買ったりするかどうかは分からないが、そうなったときに初めて、ああ、これって伝統工芸なんだという、もしかしたら10代とかであれば伝統工芸というワードを初めて知るぐらいかもしれない。そのような動線をつくるということが必要だと思う。伝統を知ってほしいと伝えることではなくて、やはりおしゃれだ、かわいいというところからまずは入っていくことが大事と思っている。例えば何か分かりやすい例で言ったら、コンビニに売っている西尾の抹茶を使ったスイーツで、食べたらおいしい、西尾って愛知県なんだみたいなのとか。何かそのような切り口というか、順番が大事かと思うが、こういった考え方、視点に立ったときに、どのような形でこのプロモーションの工夫や設計を検討しているのか。また、伝統工芸の担い手たちがいないと当然商品がないと思うので、そういった人たちに対して今みたいな考え方をまずは理解してもらって、一緒に歩んで取り組んでいく、そういったことの取組などがもしあれば教えてほしい。
【理事者】
愛知県内には15品目の伝統的工芸品がある。中でも名古屋黒紋付染や有松・鳴海絞などはファッションとの親和性やポテンシャルが高いものだと認識している。また、本県には尾州の毛織物をはじめとする高品質な製品を生み出す繊維産業の集積があり、世界的なファッションブランドも注目しているものの、一般的な認知度はあまり高くないのが現状である。TGCのブランド力やノウハウを活用して、あいち・なごやFASHION DAYSではIGアリーナの華々しいステージのほか、サイドイベントでは、愛知の繊維産業紹介、伝統的工芸品を含めた地場産品の展示販売、グルメ、観光など幅広く愛知の魅力を発信する内容にしたい。そのためには、地元の事業者の協力は必要不可欠なものである。内容の検討を進め、見せ方の方向が定まり次第、事業者には個別に声かけをすることになるかと思っている。ファッションに関心のある若い層におしゃれでかっこいいと思ってもらえるようなアイテムをあいち・なごやFASHION DAYSを通してPRすることで、その知名度やブランド力の向上を図り、伝統的工芸品や地場産業の振興につなげていく。
【委員】
こちらも併せて年度末に向けて力を入れてもらいたいと思う。
伝統工芸の皆さんの技術は私も見て、すばらしいものであるが、当時だからこそ成り立って、現代では商売上でいうと成り立たないようなこともたくさん見ていて、苦労しているが、技術を持った人たちというのも限りなく減ってきているという。私があえて言わずとも皆さんも承知だと思うが、やはり残すべきところだが、また、今の市場に合わせたようなアプローチの仕方ということがまたやりにくいような環境なので、なかなか埋もれていってしまっている。今回のような機会を通じて、いかに魅力を発信するかを、先ほどのことを伝えて、重ねてになるが、いわゆるマーケットインの考え方で、愛知県がそれを主導してやっていって、結果的に伝統工芸が日本全国、世界に広がっていくような機会になるように、どうぞよろしくお願いする。
【委員】
私からは、今年も開催されたAXIA EXPO 2025、そして同時開催された新あいち創造研究開発展2025、これについて伺いたいと思う。
この委員会の所管事項説明のときに書類でもって示されたのは、国際産業展示会の開催支援ということで、7,729万5,000円という金額でも示されていたのは、もう実は執行されたということであったわけだが、それだけの金額を投入して開催をしたということになる。今言ったAXIA EXPO 2025は、いわゆる国際展示場を支援するという意味合いもあってということだが、あくまでも経済産業局でこの対応、あるいはもちろん観光コンベンション局も主体となってこれに関わってもらっていると思うが、それぞれ今回の開催に当たってどのような関わり方をしたのか、そして、どんな成果があったのか、まず聞かせてほしい。
【理事者】
AXIA EXPO 2025については、「愛知発、カーボンニュートラル社会の実現へ」をテーマとして、今月の6月4日水曜日から6日金曜日までの3日間、愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポにて開催をした。委員には、初日になるが熱心に視察してもらい感謝する。
この展示会は、水素・アンモニア次世代エネルギー展、次世代型スマートシティ展、GX(グリーン・トランスフォーメーション)イノベーション展、スマートファクトリー展及びアジアパビリオンの五つの出展分野で構成されていて、委員ご指摘のとおり、併催企画として経済産業局が主催する新あいち創造研究開発展も開催をした。
観光コンベンション局としては、2024年度に引き続いて、日刊工業新聞社などとともに主催の実行委員会に参画し、スタートしたばかりである当展示会の開催を財政的に支援するための負担金を拠出したほか、庁内及び県内市町村を集めた自治体エリアの出展、出展者や来場者の募集に向けた広報活動などの支援を行った。併催展を合わせると250社が出展をして、3日間の合計来場者数は1万3,084人であった。この来場者数は、昨年度が1万1,759人であったので、比較すると約1割の増加であったということである。アイチ・スカイ・エキスポの設置目的である当地域の産業振興、また、展示会産業の振興を図る上で、このAXIA EXPO 2025が経済産業局の事業との連携を図りながら、着実に2回目の開催を終えられたことは、次年度以降の継続開催につながるものになったと、こうしたことを成果として評価をしている。
【理事者】
経済産業局では、AXIA EXPOにおけるスマートファクトリー展の中で、県内の中小企業やスタートアップ等38社が出展する愛知県パビリオンを設置し、出展企業が生産管理や製造現場の先進化、効率化をテーマとした技術、サービスを展示した。また、AXIA EXPOを国際的な展示会として発展させていくため、中国、韓国、ベトナム、インドのアジア4か国から先端的な技術、製品を有する18者の企業、団体に出展してもらうアジアパビリオンを設置し、国内外企業との交流やマッチングの機会を創出した。
経済産業局では、これらパビリオンへの企業の出展を支援したが、出展企業に行ったヒアリングやアンケートでは、建設的な商談が多くあった、会社の知名度向上に寄与した、ユーザー情報の収集ができたといった意見が多くあり、企業による商談や交流が活発に行われ、ビジネスを拡大する機会として大いに活用された。
【理事者】
私ども経済産業局産業科学技術課では、AXIA EXPOと同時開催企画として、新あいち創造研究開発補助金を活用した企業の研究開発成果を一堂に集めた新あいち創造研究開発展を開催した。新あいち創造研究開発補助金は、企業等が行う研究開発や実証実験に対して支援するものであり、研究成果である技術や商品の販路開拓等までの支援までは及んでいなかった。そのため、補助金により生み出された成果について、販路開拓等のビジネス面での支援を行うため、2023年度より新あいち創造研究開発展を開催している。今年度は6月4日から6日まで開催して、企業64社と大学、研究機関、中小企業支援機関等6団体の計70の企業、団体が参加した。開催後の出展者アンケートでは、6割強の40社から展示会後に商談予定があるとの回答があった。また、この展示会に限らず、今回初めて展示会に出展したという企業が12社あって、補助金の活用企業に対して、展示会へ出展という機会を提供できたということ自体が成果の一つではないかと考えている。
【委員】
観光コンベンション局と、それから経済産業局の2部署からそれぞれ答弁をもらえたわけだが、観光コンベンション局から順番に深掘りして質問するが、今回2年目で、先ほど今年のテーマはカーボンニュートラルと話であったかと思う。これは昨年も同じテーマで開催だっただろうか。
【理事者】
昨年のAXIA EXPO 2024のテーマについて、似たようなものであるが、愛知発スマート未来都市の実現へというテーマであった。
【委員】
テーマとしては大体同じようなことをやる展示会なので、先ほど議案質疑のときに話したように、やはりこの展示会をどのように育てていくのか、その根本は何なんだということからあまりぶれないように、それを進化させていくことが重要なことだと思うし、もちろんタイムリーな中身にしていく意味では、先ほど委員のほうで水素燃料車の商用うんぬんという話があった、まさに愛知県が、これから取り組んでいく内容を前向きにやっていくという、そのようなことになっていくと思うので、こういったことは継続してもらえればと思うし、来場者数が昨年比で1割近く伸びたということだが、中身が、ちょっと私も昨年も今年も伺ったわけだが、正直言ってこのような中身でやっていくのは今回初めて理解をしているところがある。観光コンベンション局は、強いて言うならば日刊工業新聞社との連携で、いわゆる展示会の構成、出展についてのことをやっていると認識するわけだが、理事者が答弁した愛知パビリオンと、それからアジアパビリオン、これは今年初めてやった内容になるのか。
【理事者】
愛知県パビリオン、また、アジアパビリオンについては今年初めて行ったものである。
【委員】
そういった意味では発展的にやっているし、アジアパビリオンでそれなりの企業が出て、頑張ってもらったわけだが、正直言って1割強が伸びたという来場者だが、私、初日の2時間、3時間しかいなかったが、正直言ってもうちょっと客がいてもいいのではないかなと。若干少なめという気がしていたわけなのだが、これも回数を重ねるごとにまた伸びると思うし、今回愛知パビリオンのみならず、アジアパビリオンなるものが造られ、海外にも目を向けて、まさに経済産業局と観光コンベンション局がタイアップした事業として、いわゆる展示会ビジネスというのはある意味観光という側面も持っていると私は思っている。
以前よりアイチ・スカイ・エキスポを設置したらどうだろうと提案をしたときに、指標として提案したのが、某展示会ビジネスの雄である企業のいう経済効果、宿泊も含めた、飲食も含めた、そういったことがあるから展示会というのはメリットがある、地域にとってメリットがある。そのようなことを訴えていて、そのことを利用しながら一般質問等で提案した経緯があるわけだが、そういった意味で、この海外パビリオン、海外に目を向けた出展も促してというのは、今後、今回外国人たちがどの程度来たか、恐らく多分そこまで把握していないのではないかと思うので聞かないが、今後のことはそういった詳細のこともつかんでもらいながら次への戦略を練ってもらえればと思う。
そして、改めてまた追加の質問をするが、愛知パビリオンということだが、日本国内のほかの企業は一般の展示会場という扱いでやったということになるか。
【理事者】
委員の指摘のとおりである。
【委員】
今回、私が初日に回ったのはオープニングがあって、大村秀章知事がちょうど視察をしていたので、それに乗っかった形で行ったので、基本、愛知県の企業の出展ブースを覗いたのがほとんどだったから、ほかの企業を見ていないが、どんなところが来て、どんな来場者があったのか、そこら辺をそれぞれ出展者にアンケートを取っていると思うが、これをもう少し明確に分かるようにコントロールしてもらうことを提案したい。というのは、民間でやる展示会というのは、競技も何でもそうだと思うが、全部いわゆるICT、DXでもってやる。入場の際にはメールか何かで個々人登録をして、それでいわゆる入場証がある。あれでQRコードがついたものをぶら下げて入場する。その際に読み取るわけだが、それは当然この人が来たという、そのような入場者数としてカウントできるわけだが、個々の企業に訪れた人たちの全部それをやると、それこそ今言った企業の感覚とかそのようなことではなくて、実際に来たのが簡単に全部分かる、ということをぜひ取り入れてもらいたい。先ほど言った民間の展示会というのはこのAXIA EXPOが始まる確か2週間前ぐらいだったと思う。ポートメッセなごやで企業のDX化というか、オフィスのDX化みたいな展示会を民間がやっていた。第2会場になるのでそんな大きなスペースではないが、確か70社強、100社弱の企業が来たが、ブース間が、通路が狭かったのもあり、ものすごいひしめき合うような、そういった状況で客が来ていた。そして、各ブースがぜひうちのブースに寄っていってほしいと。ちょっと表現は違うが、錦3丁目に行くとお客様をどうぞどうぞとやっている、それに近いような感覚である。どんなことをやっている企業かといった簡単なことを話してもらいながら、いわゆるこのような資料とか、あるいはお土産のような形で渡す。渡した際にもそれをまたQRコードで読み取る。これがまた当然のことながらすぐ、DXなのでA社に来てもらったと、もうそこからすぐメールが飛んでくる。来場ありがとう、いついつまたぜひ来てくれとか。先ほど理事者が出展者と後日商談をするというような話があった。まさにそのことが、もうどんどんデータがたまってくるわけである。そういったようなことを繰り返してもらう、本当にものになっていく展示会、今でもなってきていると思うが、従来の展示会でいうとBtoCでもって何となくにぎやかしでやってもらうというようなことがあったかと思うが、そうではなくて、やはりあくまでも企業が出す展示会である。その場でできれば商談もしたいという人も本当にたくさん来ている。民間の例えば東京ビッグサイトとか幕張メッセでやる展示会というのは本当にそのような人たちが全国から集まって、もうその場で商談する。商談目的で行く。それが展示会だと思っている。それを目指した展示会にぜひ仕上げてもらえればなと思う。
ちょっと質問の趣旨を変えるが、理事者が答えた新あいち創造研究開発補助金を使った出展企業、64社と聞いているが、それぞれ、細かいことは聞かないが、出展費用を県が負担してということになっているから、分かった、出ようということで出ていると思うが、それ以上に開発の補助金をもらっている、そのようなこともあって参加しているといったこともあるが、過去に出展した、昨年から出ているのだと思うが、過去にこのような補助金を使ってこのような成果があったよとか、要は何が言いたいかと言うと、税金を突っ込んでいる以上、何らかの形で愛知県に貢献してもらうようなことになっていないといけないと思う。そういった意味で、企業がどういった商品化をして商売につながった、あるいは売上げにつながった、税金がどうなったとまでは聞かない。そういった中身のことを意識してもらうという意味で、うまくいっている例があれば紹介してもらえればと思う。
【理事者】
新あいち創造研究開発補助金は、2012年度に創設して、今年度、2025年度までの累計で1,031件、金額にして約106億円の案件を採択している。件数で見ると約8割程度が中小企業となっている。補助金の成果については、補助事業終了後の5年間はフォローアップ調査を行っており、直近のアンケート結果によると、2019年度から2023年度までに補助した計362件では商品化まで至ったものが66件、試作品が完成まで至ったものが160件であった。
商品化の具体例を挙げると、2023年度に採択したマグネデザイン株式会社、こちら、美浜町の会社になるが、薄型のリング状のデンタル磁石を用いた健全な歯に適用できる薄型磁性アタッチメントを世界で初めて開発して、今後臨床試験を経て認可取得を実施する予定と聞いている。また、2021年度に採択した高雄工業株式会社、こちらは弥富市の企業になるが、自動車部品の製造工程で使用する銅製の加熱用コイルを金属3Dプリンターで立体造形することで、複雑なコイル構造を可能にするとともに、製作期間の短縮と製品の長寿命化を実現した。2022年1月より受託加工を実施しているようであって、200社以上の顧客から引き合いを受けていると聞いている。
【委員】
後から言った銅の製品うんぬんというのは弥富市の高雄工業株式会社と言ったのか。
【理事者】
補助金の採択当時は高雄工業株式会社という企業名であったが、会社名が変わって、今、ティーケーエンジニアリング株式会社と聞いている。
【委員】
申し訳ない。今ふと思い出したが、昨年もここの会社、出展していて、経済労働委員会で視察していた。そのような実績があるところも出てきている話であるし、もう一つ、さきに紹介してもらったマグネデザイン株式会社、そこの商品は磁石と言ったが、医療用で使うと聞いた気がする。そうであったか。
【理事者】
健全な歯に使うアタッチメント、義歯に使うためのアタッチメントである。
【委員】
歯になると、インプラントに代わるものになってくるのかと思うが、要は需要が多い、これからの伸びゆく技術をうまく引き出せたのかなと思うが、ネタを明かすと、映画を見た。血管を通して手術をするカテーテル手術の映画があるのを見た人がひょっとしているかもしれない。たまたま私は、飛行機に乗ったときに見たが、大泉洋氏だったかが主演で、ドラゴンズのファンだと映画で出ていたので、愛知県の企業ではないかと思って聞いたら、そうだという話だったので、そのことを紹介してもらえるか。
【理事者】
今委員から話のあった企業の件だが、企業名は株式会社東海メディカルプロダクツという春日井市にある会社である。こちらの会社、先ほど委員がおっしゃったように映画に取り上げられた、実話に基づく映画ということで世に公開されたが、こちらの創業者の夫妻の次女が先天性の疾患を抱えていて、日本人の体格に合った、優れた機能性とバルーン強度を有するバルーンカテーテルを開発したいという創業者の思いが取り上げられた映画になったということである。
【委員】
今紹介があったような話なのだが、とても感動したわけであるが、それが要は実話だという話で、しかも愛知県の経済産業局が補助したということで商品化し、大変世のためになってということである。そういった事例というのはこれからも当然出てくると思うし、そのようなことを育むための経済産業局であることを大変大きく期待するわけである。議案質疑の中でソーシャルイノベーション創出基金も、やはりそのような思いがある話で引き寄せて寄附を募るだとか、そのようにすると多分成功するだろうと思うので、あまり行政主体、行政の中に魂がこもったものにしてもらうことをお願いする。
少々私の中での話がずれたが、今この展示会を通じてそういった形で来年度に向けての形態というか、少し進化をさせた形で恐らく展開されると思うが、企業がより一層商品を物にしてもらって成長してもらうためには、先ほどもスタートアップ、STATION Aiの話が出ているが、本会議場で局長の答弁だったか、知事の答弁だったか、定かではないが、STATION Aiのイベント数はもうすごく活発にやっていて、いわゆる数値目標で達成していないというのか、そこまでいっていないのはユニコーン、いわゆる本当のすばらしい高収益につながるような企業までは至っていないという、そんな話だったと思うが、その前の部分というのはものすごくやはり波及効果も出ていると思う。今回の新あいち創造研究開発展に出展した企業は、64社だと思うが、STATION Aiに参画している企業はあるのか。
【理事者】
この新あいち創造研究開発展であるが、これまで3回開催している。そこに出展された企業のうち、STATION Ai会員企業のスタートアップは10社であった。この10社のうち、環境新エネルギー分野で出展してもらったスタートアップが最も多くあって、例としては、バイオマス原料を活用した工業用潤滑油等の製造、カーボンニュートラルへ貢献できる環境製品の製造、販売をしているスタートアップが出展していた。また、そのほか健康長寿分野では尿から体の状態を即時に解析する検査キットの研究開発や、計測アプリの開発に取り組んでいるスタートアップが出展した。
【委員】
中小企業の中でも、社長によっては、次から次へといろんなことにチャレンジしたいという思いがあってSTATION Aiにも参画して今のような成果に近い形が見えてきていると思う。
いろんな機会を活用して、企業も自分の生き残りというよりも次の会社の発展に向けて努力している。それに支援をもらうのが経済産業局だと思うので、これからも頑張ってもらいたいわけだが、ちょっと心配するのは、そういった場がばらけてしまっているような気がする。昨年の委員会の中でも発言した、知の拠点あいちももうちょっと基礎研究に近いところの補助金を出してやってもらっている。あそこの場でも今STATION Aiでやっているようないろんな発表の場だとか、先ほど委員が言ったようなセレンディピティ、そのようなことを目指すようなピッチとか、そのようなイベントではないが、やっていたりする。それが今STATION Aiでも開催をされるし、あるいはアイチ・スカイ・エキスポでもこのような展示会についてはある。もうちょっと何かリンクできるようにしてあげたほうがより成果が出るのではないかなというふうに思うので、これは局の中で縦割りになっているので、もう少し横串を刺すような形で、局として成果が出るような形を図ってもらうともっともっといいものができるのではないだろうか。人と接して話をする中でアイデアが生まれて、よし、試してみようと、そのようなことになってくるのだと思うので、ぜひその方向で考えてもらいたい。
それから、観光コンベンション局の質問に戻すが、先ほど言ったようにBtoBでやっているので、いろいろなやり方をよく検討してもらいたいが、さっき言った民間の展示会ビジネスをやっている企業の内容、ぜひ局が、観光コンベンション局として事業としてやるわけではないと思うが、しっかり研究してもらって、私が思うには、IGアリーナが最近ものすごく注目されているが、ここのコンセッションは知ってのとおりドコモの関係ですごくいろんなノウハウを持っている。そういった効果もあって、次から次へと評判を呼ぶイベントが開催されることになっている。アイチ・スカイ・エキスポもGL eventsさんといって前田建設工業株式会社と組んだコンセッションがもっとそういったことがあるのかと我々は期待していた。残念ながらまだGLOBAL INDUSTRIEか、そのものしか引っ張ってきていないような気がするが、であれば、局としてもう少しコンセッションを教育できるようなノウハウを身につけてもらって、局でもって何から何までもやる、お金をいつまでも出すのではなくて、これは経済産業局のほうでいう開発展に出展の費用を負担するからどうぞ出てほしいよと、そのようなおんぶにだっこ、いつまでも甘やかすというか、子育てについてみればもう独り立ちしなさいという方向でやってもらうようなことにしてもらえればと思うので、少なくとも観光コンベンション局におかれては、今言ったようなしっかりとしたビジネスとして成り立つようなことをやっている、そのような展示会を研究してもらって、ものにしてもらいたいと思うが、どうか。
【理事者】
ただいま委員から指摘があったことについては、アイチ・スカイ・エキスポの運営事業者である愛知国際会議展示場株式会社とともに一緒になって、今15年間の運営権で、中期に差しかかっているが、今後残りを充実させて、皆さんの期待に応えられるような運営を図っていきたいと思っているので、どうぞよろしくお願いする。
【委員】
あわせて、新あいち創造研究開発展に招待している企業が、自分のところはもう出展費用、補助してもらわなくたって、もうこの展示会には出るんだという意向を示してもらえるような、そのような思いの仕向け方をぜひやってもらいたいし、そういった意味からすると、先ほど話したQRコードを上手に使った形で各企業が客のデータを収集する。自らここに自分は出展するからぜひ来てほしいと。世界にも向けて発信して、客を呼び込めるようなことをやってもらいたいと思うが、そういった教育というとおこがましいかもしれないが、考えは次に向けてどうか。
【理事者】
私ども産業科学技術課では、この展示会により多くの来場者が来るように、様々な、例えば新聞広告とか交通広告、ウェブ広告など、メールマガジンとかも使って、広報を行っているところではある。たった今委員の話にあったように出展者自らが自分事と捉えて、この出展自体がより有益なものとなるように、いろいろ心構えを持って取り組んでもらうことは非常に重要かと思っている。私どもとしては、この出展者用に招待状を作成して、それを活用するようにお願い、周知を図っているし、また、加えて展示会に出展する事業者の人で出展慣れしていない企業の人もいるので、そういった出展者を対象にしたスキルアップセミナーなどを実施して、キャッチコピーやブースデザインなど、出展手法のスキル向上につながるような取組も今実施している。また、この展示会の開催期間中にも出展者セミナーを開催していて、展示会に興味、関心を持って来場する人々に、より多く来てもらえるような形でイベント自体の運営も行っている。
今後もこういったことを引き続き実施し、また、より見直すことで企業のビジネス拡大の機会として、多くの企業に出展してもらうような形で取り組んでいきたい。
【委員】
何か作文を読んでもらったみたいだが、申し訳ない。要はとにかく客に来てもらえるような仕組みをしてもらうということだが、一つ言い忘れていたので話をするが、今回のAXIA EXPOでも、もう既に随分多くの先ほど話したセミナー、そういったものをやってもらっている。先程来話している民間の展示会事業者はそういったものを本当にこまめにやっている。しかも、割と基調講演はビッグネームの人間を呼んで集客している。逆に言うとBtoBなのでビジネスマンが来るわけだが、ビジネスマンでもどのランクが来るかということは非常に大きな課題だと思う。だから、中小、いろいろ規模があると思うが、まあまあの企業だとすれば、ボスが来れば中間も来れば、本当に担当も来れば、それくらいのことがあると必ず来場者というのは伸びる。もう一つ言うと、これは観光コンベンション局にしっかりとフォローしてもらいたいが、いわゆるアフターファイブ、展示会が終わって、商談が終わった後にやはり1泊して、まず1泊してもらうということが大変大きなことなので、そのような展示会にまで盛り上げてもらいたいが、そういったときに飲食店だとかのフォローもうまくできるような、そこまで本当に取りこぼしのない、せっかく来てもらって、愛知県に来てもらったお客様をもてなして、お金もしっかり落としてもらう。そのような流れをつくってもらうことをお願いして質問を終わる。
新あいち創造研究開発展2025
【委員】
私は経済労働委員会において、同じことをずっと言い続けているわけだが、かつて日本は戦争に負けて、戦後モノづくりで原材料をアメリカや諸外国から輸入をして、そして技術を教えてもらって、いいものを安くたくさんつくることで高度成長まで成し遂げて、そしてジャパン・アズ・ナンバーワンと言われて、そして日本のモノづくりは世界に冠たる地位を得たと思う。ところが、ある人に言わせると、日本は過去の成功事例が大きかったがゆえに、大変今は落ち込んでいると。よく言われるようにこの30年間は全く成長しない。生産性が上がらない。給料が上げられないということを言われている。アルゼンチン化しているといわれている。それはなぜかというと、かつて大正、昭和から始まって、アルゼンチン、それからブラジルは農業大国、畜産大国だった。かつては栄耀栄華を誇っていた。ところが、あまりにも成功したため工業化に遅れてしまった。我々はこれでいけるんだと思って、そして工業化に遅れて、結局は今逆になっている。日本が同じような立場にあるのではないかという人がいるのである。つまり、それはデジタル化に遅れたということである。20何年前にIT推進法という法律をつくって、当時の森喜朗首相がアドバルーンを上げ、発破をかけたのだけれども、なかなかそれが進まない。もう今このような状態である。
しかし、私はある意味でチャンスが訪れてきたと思う。それはITでありデータでありAI活用である。いつも言うが、もうほとんどの単純な作業は、工場もフロントも、それから営業まで、もうAIがやる。皆さんもよく知っているかと思うが、本当に高級な衣装を持っているようなものである。具体的なことを、プランをいえばさっと書類はできてしまうし、プログラミングもできてしまうし、設計もできると。そのような今時代になった。隣の中国は安価でChatGPTと同じぐらいの機能を持ったDeepSeekを使っている。韓国、中国、台湾、もう完全にAI活用に入っているわけである。日本だけがまだまだそれが進まない。ところが、2年前にChatGPTを開発したアルトマンというCEOが来て、岸田総理と会見して以来、AI活用の熱が大変高まってきたということ、大変いいことだと思うが、これを契機に私はAI活用をやるべきだと思う。AI活用って今はもうそんなに難しい話ではないと思う。結局車の運転と一緒である。我流でも問答していると、自分の持っているデータを打ち込めばAIが全部スキームからプログラムをみんなつくってくれるわけである。だから、我流でもやれる、いずれは運転ができるようになる。しかし、基本的な運転、技術とか、それからマナーとか、それからセキュリティー、いろんなことがあると思うが、そのような基礎的なことを教えれば、十分これは誰でもできると言われているわけである。現場が人手不足もあって好むと好まざるとにかかわらず、工場もロボットにどんどんなってくる。フロントもRPAで事務ができるし、そして、そこにAIを積み込めば効率が上がる。1人当たりの生産性が上がる。このようなことをやらない限りは日本の社会、経済も愛知のモノづくりは、ますます停滞をしてしまう。隣の近隣の三つの国に事実上負けてしまうという危機感を持っているわけである。だから、AIを活用するプロンプトエンジニアという、プロンプトという指示する、AIをうまく聞き出す、そのような技術を持った人をたくさんいかにつくるかが私は大きなポイントだと思ってこのようなことをずっと先走ってもらって、STATION Aiも活用してもらって、行政書士会と勉強会をびっちりいろいろやっているが、私は担当の人もセミナーをやり、それから様々なイベントをやっているが、あまりにも小さくて遅い。先日、私も言うだけではなくてデジタル戦略監の中谷純之氏や担当の人と一緒に名古屋商工会議所の会頭と会って話をしたら、意見が一致した。会頭は、トランプ関税もあるが、これを機に日本はもっと生産性を高めるべきだ、AIを活用すれば50パーセントまで高めることができる。ぜひ協力してやりたいということを会頭も言っていたが、何をいいたいかというと、今それぞれ経済産業局も労働局もばらばらにやっているので、プロジェクトチームをつくって、そして共同でいかにしてプロンプトエンジニアをたくさん養成して、中小企業に伴走させるかというのが肝だと思う。もう今、大企業は何千人、万単位でプロンプトエンジニアをどんどん養成している。彼らは資金力があるから当然やる。だが、日本の経済を支えているのは中小企業だから、この経営者に内製でいいから何とかその気になってもらおう。だからプロンプトの技術を持った人を伴走させて、そして無駄を省く。生産性を高めていくということを、プロジェクトチームを作ってぜひ強力に進めてもらいたいというのが私の考えである。経済産業局長、労働局長、どう思うか。
【理事者】
委員から以前から重々そういった指摘をもらっている。
まず初めに、産業政策と労働政策がもとより表裏一体であるので、経済産業局と労働局が連携してやっていくということは重要な視点だと思う。そのために、まだプロジェクトチームという名前ではないが、若手の共同の研究会を今立ち上げて勉強を始めている。これが一つ目である。
それから、DXを含めたAI、AI含めたDXの推進、これも重要である。その背景には労働供給の制約というのがもう構造的になってきているし、今後も続くと。そういった中で、ロボットを含めたDX、AIを活用して省力化、省人化、それから生産性の向上を図っていくということが大事というのは我々も全く委員と同じ認識でいる。その際に県内に約20万社、中小企業がある。そこへ広めていくためにはやはり今までの私どもの取組を質、量、両面で充実させていく必要があるだろう。
質の面から申し上げると、例えば経営者に対する啓発、それから現場のリーダーに対する研修、それから本当の現場の従業員へのセミナーというような、それぞれのレイヤーに合わせた普及、セミナーというのも重要になってくると思う。
それから、一方で量の話から申し上げると、例えば商工会、商工会議所、県内に22商工会議所、57商工会ある。こういったところが研修セミナーをやる際には、私どもの補助金を使ってもらえるという制度もあるので、そういったところのネットワークも使いながら、例えば講師に行政書士会の人々、中小企業診断士の人々、さらには税理士、公認会計士の人々というのも、いわゆる士業の人々にも参加してもらって幅を広げていく、裾野を拡大していくという取組も大事だと思っている。まずは今年度、既に当初予算でいろいろ組み立てている制度がある。そういった組立ての中でもいろいろ工夫はできると思うので、連携して効率的に重複して無駄のないようにというやり方をまず始めるということと、あとは来年度の予算に向けて、どういった形でお互い共同してやると一番効率的に質、量とも充実できるかというのは考えていかないといけないと思っている。
【理事者】
労働局のほうでは、人材育成、特に人の面ということからDX、AIというものに取り組んでいる。委員からも指摘があったように、特に中小企業の人手不足というようなものは労働行政においても一番喫緊の課題と思っていて、これへの対応ということもあるし、あるいは、現在、賃上げ、あるいは価格転嫁、こういったことが非常に課題になっているが、その上でも生産性というものを高めなければどれも実現しないということを考えると、委員の指摘のとおりDX、特にAI活用というものを早急に進めなければ喫緊の課題にも対応していけないということである。
ここ数年来、我々としても委員に指導してもらいながら、DX人材の育成に向けた様々な取組、順次拡充してきた。今、経済産業局長からも話があったが、我々人材育成ということでいうと、やはり中小企業を構成しているのも当然経営者がいて、それから現場のリーダー的な指導的な立場にあるミドル層の人がいて、あるいは担当の人、個々の作業に当たっていた人がいる。それぞれの層に対しての役割はあるので、それぞれの層に合ったDXを進めていくためのセミナー、研修といったものも順次数も増やしながら対応している。また、リスキリングというか、公共職業訓練でもかなりデジタル分野のメニューというものを進めてきた。いわゆる在職者訓練といって、企業に在職している人の研修、それから雇用セーフティネットという、民間の研修機関に委託する求職者向けのリスキリングになるが、こういったところでのDX研修も今全体の半分以上をDX系に向けるというようなことで、メニューも組み直しているというような取組状況である。数の面でこれで足りているかと言われると、まだまだこれで十分というようなことは言わない。やはりこちらの面でも質、量ともにさらに高めていかなければいけないし、AI技術というものが委員の指摘のとおり、もう日進月歩でどんどん進んでいるものだから、実際に中小企業の人材にそれぞれの課題を具体的に解決してもらうためには、そういった技術の進歩に合わせた内容でもって使ってもらえるような形で取り組んでいかなければいけないのだなというような問題意識でやっている。
今言ったように労働局のほうでは人材育成という面から取り組んでいるし、恐らく経済産業局のほうでは企業の組織的対応というか、DXの組織的対応というアプローチ、それぞれアプローチの仕方はあるが、委員指摘の中小企業のDX、AI活用を進めていくという目標は一つであるので、ばらばらにやっていくのではなくて、それぞれの取組が掛け算になって、中小企業の具体的な成果につながっていくような、そのような取組というのはどう高めていったらいいのかというところを今、経済産業局長が答弁したプロジェクトチーム、まだ立ち上げたところであるが、ここの中でしっかりと検討して、いいアウトプット、事業化、具体的な取組につなげていくようにしっかりと検討していきたい。
【委員】
中小企業の側から見るとAI活用がどんどん進んでくる。何かやはりやらないかんなという感じは持っている。ところがどうしたらいいか分からない。誰に聞いたらいいか分からないというのが実態だし、これをやってもうかるかなと、経費が浮くかという気持ちだと思う。だから、そこにはやはり伴走者が要るのである。伴走のプロを伴走させて、ずっと伴走させる必要はない。一月や二月である。そして、その扱い方だけをきちっとやはり教えてあげれば、企業の持っているデータを打ち込めば解決策はAIがやってくれるわけである。
それで、若い人かと思ったが、最近中間管理職が面白い。知見、経験を持っているし、データを持っているから、データをAIに打ち込めば解決策が出てくるわけだから。操作は若い人が早いかもしれない。それと同時に、経営者にやはりやるべきだと、価値があるということを、僕はその三者にやはりどうやって伝達をしてその気にさせるかということだと思う。だから20万社と言ったが、20万社に全部啓発だけでは、それはものすごい時間と労力がかかる。だから、そのようなプロンプトをどんどんセミナーをやると同時に、ピッチもやると同時に、どんどん伴走者を送り込んで、そして業務を改善していく。それがDXにつながるわけだから。そのようなことを早くやるべきだと思う。
STATION Aiも、私は10年前くらいから関心を持っていろいろ応援してきたが、ある日、今の経済産業局顧問に、もう県庁の厳しい受験戦争を勝ち抜いてきた優秀な人たちがたくさんいるのだから、外部から持ってくる必要はない。内製で、内部でこのようなSTATION Aiをつくりたいから手を挙げてくれと募集をしたらどうかと。それをやって優秀な人がものすごい集まって、彼らが仕切っている。運営している。そのようなものである。それと、そのようなことが好きな人。AIが好きな人。デジタルが好きな人。そうすると面白がってやる。そうしたら、それがもう成果につながっていくということだから、さっき言ったように研究、もちろんそれをやってもらいたいと思うが、このようなことをやりたいので、やりたい人に手を挙げさせるのである。もう2歳、3歳からスマホでゲームをやっているから。パソコンを持ってやっているから、親和性がある。我々とは全然違う。だから、そのような人たちに構築をしてもらうということをやって、早く中小企業にプロンプトをやってもらって、DXにつなげていく、生産性を上げる。私はこれをやらないと、考え過ぎかもしれないが、日本は大変なことになるし、若い人たちがその隣の三つの国に働きに行かないといけない、若い人たちがということだってなきにしもあらずということで、危機感のあまりこのようなことを言っているが、きちっとやってもらっているが、早くたくさんつくる。スピードということで、頑張ってもらうようお願いをして終わる。