本文
経済労働委員会審査状況(令和7年10月3日)
経済労働委員会
委員会
日時 令和7年10月3日(金曜日) 午後0時58分~
会場 第7委員会室
出席者
日高 章、細井真司 正副委員長
直江弘文、久保田浩文、近藤裕人、田中泰彦、神谷和利、宮島謙治、
かじ山義章、桜井秀樹、阿部洋祐、大久保真一、神谷まさひろ 各委員
経済産業局長、同技監、産業部長、水素社会・モビリティ推進監、
中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等

委員会審査風景
付託案件等
議案
なし
請願
第 23 号 「愛知県による『Aichi-Israelマッチングプログラム』の中止を求める」について
第 48 号 「業務上コロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事の周知を求める」について
結果
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第23号及び第48号
会議の概要
- 開会
- 請願審査(2件)
- 一般質問
- 閉会
主な質疑
請願関係
なし
一般質問
【委員】
私からは、外国人材の活躍定着支援について質問する。
近年、日本全体で在留外国人の数は増加傾向にある。出入国在留管理庁の公表によれば、令和6年末時点の愛知県に在留する外国人数は33万1,733人で、これは全国3位の数字となっている。前年に比べ2万888人の増加、県内総人口に占める割合は約4.5パーセント、実に22人に1人が外国人の比率となっている。中でも、愛知県はモノづくり産業が集積する地域として、特定技能と技能実習制度を通じて働く外国人労働者の数は全国1位となっている。
人手不足の解消において、外国人材はなくてはならない存在となっている。
外国人材を受け入れる企業における日本人社員と外国人社員とのコミュニケーションの課題について、現在、県ではどのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
厚生労働省が令和7年8月に公表した令和6年外国人雇用実態調査結果によると、外国人材の雇用に関する課題は、日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい、文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがあるとする事業所が多い状況にある。
本県では、こうした課題の解決を支援するため、今年度新たに、県内中小企業で働く外国人材を対象に、日本の職場文化や仕事でのコミュニケーションを学ぶ、働く上で必要な日本語研修を、日本語レベルに応じたコースを設けて実施している。
また、受入れ側の企業に対しても、本年4月に新規開設したあいち外国人材受入サポートセンターにおいて、例えば外国人社員との価値観の違いや宗教等への配慮など、企業からの相談の中で助言を行っている。加えて、専門家を企業に最大5回派遣し、企業内で外国人材が適切なコミュニケーションを取ることができるよう、日本人社員に対する異文化理解の支援や外国人材向けマニュアル作成など、企業の職場環境整備を伴走支援している。
【委員】
人手不足が特に今、深刻となっている業種は様々あるが、その中の一つが自動車整備士業界である。
愛知県は全国一、乗用車の保有台数が多い県で、地方では一家に1台というか、1人1台の生活必需品であり、保有していれば、日常のメンテナンスに加えて、車検や故障や事故のたびに自動車整備士の世話になる。本当に私たちの暮らしを支える大変重要な仕事であると思っている。
厚生労働省が発表した、令和6年度の自動車整備士の有効求人倍率は5.28倍となっていて、これは全職種平均1.25倍と比較して4倍もの開きがある、本当に深刻な状況である。自動車整備士不足の要因は様々あると言われる。若者の車離れ、国家資格でありながら賃金水準が低い。また、いわゆる3K職場、きつい、汚い、危険、こうしたイメージが根強く残っていること等、様々ある。
このような中、2019年に創設された外国人労働者の新たな在留資格制度である特定技能においては、特に人手不足が深刻な産業分野として現在16分野が対象となっているが、その一つに自動車整備も指定されている。現在、自動車ディーラーの現場では、多くの外国人整備士が働いているが、離職が多く、人材がなかなか定着しないことが課題となっている。
離職の理由として、外国人側からは、人間関係やビジネスカルチャーになじめない、高い日本語能力が要求されるとの声が上がる一方で、日本人側からは、日本語での意思疎通が取れず重要な仕事を任せられない、ただでさえ人手不足の業界、車検の時期などは特に忙しく、教育している余裕がないといった声が上がっている。そうした中で、企業からは外国人の日本語教育に対する行政支援を強く、私も会うたびに要請をされている。
他方、出入国在留管理庁が2020年8月に発行した、在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインによると、日本に住む外国人を対象に、日本語での会話力について行ったアンケートにおいては、82パーセントの外国人が、日常生活に困らない程度に日本語で会話できると回答している。
こうした状況を見ると、多くの外国人は自分の会話能力に一定の自信を持ち、日本で働く意欲が高いにもかかわらず、職場の日本人から日本語ができないとみなされ、大切な仕事も任されずにモチベーションを失い、離職につながっている現状がうかがえる。
日本語は世界一難しい言語とも言われる中、外国人のみ語学レベルの向上を求めるのではなく、外国人にやさしい日本語で丁寧に伝える姿勢を日本人側も意識することが、外国人材の定着を図る上では極めて重要なことだと思っている。こうした問題意識の下、愛知県内において、企業向けに数多くの日本語研修などを行っている、やさしい日本語専門講師でスプラウト合同会社の代表である横井由香氏に会い、副委員長も一緒に講義を受けた。そのときにネパール人の大学生の二人が、他の学生を交えた実践形式の講義で、指定された日本語を外国人にも伝わるようにやさしい日本語に変換することを行ったが、本当に難しいなと感じた。ちなみにこのネパール人の学生二人は、日本語が本当に流ちょうで、講義の合間にお茶を飲みながら雑談したときも、日常会話には全く問題がないと我々も感じた。
講義を通じて学んだ伝わるやさしい日本語について、ポイントは五つあると言っていた。一つ例を挙げると、漢語などは難しいので避けて簡単な言葉に言い換える。例えば運休という言葉があるが、運休という単語は、バスや電車が休むと置き換える。また、申請という言葉は、紙で書くとか、またはお願いすることだと言い換えると、より伝わりやすくなる。そのほか、できるだけ短い文で話すとか、ゆっくりはっきり話す、こうしたポイントを少し意識するだけで、我々も1時間ぐらいだったが、短時間でも、伝わる日本語のコツが何となく分かるようになった。
後日、こうした話を、私も支援を受けているトヨタ系自動車のディーラーの労働組合の委員長たちが集まる会議において紹介し、同様の講義をしてもらった。そうしたら、1時間半の講義で、これまで一様に外国人の日本語スキル向上を求めていた現場の人々の意識が、本当にがらっと変わった。そうしたら、この質問を考えていた昨日、横井由香代表からちょうど連絡があって、先日の講義をきっかけに、国内最大級の自動車ディーラーでもある愛知トヨタから、整備士、販売員約200人を対象に、11月に講義を行ってほしいと依頼を受けたそうである。改めて、伝わるやさしい日本語の重要性と、実際に外国人との実践による講義を受ける効果を実感させてもらった。
ここで質問する。
企業が外国人材を受け入れ、定着を図るには、外国人社員とのコミュニケーションにおいて、企業側の日本人従業員が、伝わるやさしい日本語を使用することの重要性を理解する必要があると思う。こうした観点を事業者に意識づけていくための取組が必要と考えるが、愛知県の見解について伺う。
【理事者】
外国人社員とのコミュニケーションにおいては、委員の指摘のとおり、相手に伝わりやすいやさしい日本語を用いたコミュニケーションが、円滑な職務の遂行、労働災害の防止につながり、ひいては、良好な人間関係の構築による外国人材の職場定着を促進するものと考える。そのため、あいち外国人材受入サポートセンターでは、11月に実施する定着支援に関する企業向けセミナーにおいて、外国人材の定着のためには、職場におけるやさしい日本語の使用が重要な解決策の一つであることを、事例を交えながら説明していく。
また、外国人材の定着等に課題を抱える企業に対し、センターの相談窓口でも、社内におけるコミュニケーションの際に、やさしい日本語を使用することの重要性について助言するとともに、伴走型支援においても日本人社員向けの研修を提案するなど、機会を捉えて理解促進に努めていく。
【委員】
最後に、私から要望させてもらう。
今、あいち外国人材受入サポートセンター、ここにおいてやさしい日本語、事例を交えて紹介して様々な取組を行ってもらえるとのことだったが、これまで職場に外国人材を受け入れていくに当たっては、国の文化・宗教の違いに対する理解を深めること、これを中心に様々行ってもらっていると思う。もちろん重要である。
一方、現場からは、とりわけ言葉の壁を解消する支援策を実施してほしいとの声が非常に多い。県や市町村が行っている補助事業の中には、外国人の日本語習得を支援するメニューはたくさん充実していると思うが、受け入れる側の日本人や企業に対して、こうしたやさしい日本語、伝わる日本語、この技術を習得するようなメニューは今まで少し不足していたのではないかと感じていた。
外国人にも伝わるやさしい日本語の話し方は、頭では何となく分かるが、いざ話してみると本当になかなかうまく伝わらなくて、日本語は本当に難しい言語なんだと改めて気づかされることがある。講義を受けた人々のその後の反響についても紹介したが、実際に受け入れる日本人が体験してみることで、企業や日本人側の意識を大きく変えることができると思っている。
外国人の日本語スキルを向上させることと、日本人の伝わる日本語スキルを向上させること、これは言葉の課題を解決するという同じ目的を持った手段の違いであると思っている。外国人材の活躍定着に向けて、中小企業への伴走型支援メニューの一つに、ぜひ実践体験型のこうした支援内容も追加してもらうこと、これを強く要望して私の質問を終わる。
【委員】
私からも、外国人材の確保について質問させてもらいたい。今、委員から話があったやさしい日本語という言葉について、私は、車を運転するときはラジオをずっと流しており、NHKの昔でいう第1放送で、夕方7時くらいのタイミングだと思うが、NHKやさしいことばニュースというのをやっている。今、委員が言うように、小学生ぐらいの子たちに話をするような内容で、いろんな社会事象のことを話したり、あるいはスポーツのことを話したりするが、今、そういう傾向にもあるのかなと思ったりもしている。今、委員は、整備士という自身に関連する話をしたが、私からはもう少し外国人材全般、どういうふうにこれを今後考えていくのか聞きたい。
以前、経済労働委員会で、県内調査をしたことがある弥富市のティーケーエンジニアリング株式会社という企業が、金属の3Dプリンターで今随分頑張っており、その連携をインドとやっているという話を聞いて、もう少し具体的な中身を確認しようと思って、地元の弥富市選出の議員と一緒に行ってきた。
内容は、インドのいわゆる職業訓練大学のようなところである、ニッテ大学という名称だったと思うが、そこの教授がもともと日本に留学していて、研究や勉強をして戻ったということで、いわゆる職業訓練、まさに日本で先ほど話のあった人手不足の部類にもあると思うが、職人の部類に入る旋盤とか、あるいは違った金属加工機械とか、そういったことを扱う学生を引っ張ってくる、要するに社員として迎え入れるということを独自でやっているという内容であった。
そのような話も聞いたので、愛知県として今後また、さらに人手不足という話になってくると、いろいろな意味で取り組み方があるのかと思ったので、今回質問させてもらう。現状、先ほど言ったような3Kという言葉はもう古いのかもしれないが、いわゆるエッセンシャルワーカーを含めた介護、あるいは建設、いろんな分野でも人手が足らないと言われている。
今、当局としては、現状どういった人材が人手不足だと認識しているか、どういった内容なのか、まず現状を聞かせてほしい。
【理事者】
今の人手不足の認識について、先ほど話した今年度新たに開設した相談窓口であるあいち外国人材受入サポートセンターで様々な取組を行っているが、例えば、マッチングとかそういったところに参加してもらえる企業というのは、やはり人手不足といわれている建設業だとか、あとは飲食とか、もちろん製造業もこの地域の特色であるので参加してもらっている。そういった人たちで、ハローワークの有効求人倍率が高い企業の参加が多い印象である。
【委員】
最近コマーシャルですごく多いと思うのは、マッチングというのか、アプリで、職業を入れておくとスカウトが来るものである。いろいろな会社名が出てきているが、そういったことがあると、改めて日本人だけでは立ち行かないのだと思う。今、愛知県で既に外国人材をどうやって働き口につなげようかとやっていると認識しているが、これまでは在住外国人向けでそういったことをやっていた。今年度新規でまたやると聞いているが、まずは去年まで、在住の外国人に向けてどんなことをやり、今回の新規の外国人向けの支援で、労働局としての課題をどう解決しようと思ったのか、その辺りのいきさつを聞かせてほしい。
【理事者】
昨年度までの外国人材に関する支援については、愛知県はもともと定住外国人が多い県なので、そういった定住外国人を対象にした相談窓口を設けていた。定住外国人を採用したい企業と、定住外国人をマッチングする取組をこれまでやってきた。ただ、今年度からは定住外国人に限らず、幅広く外国人材を受け入れたいと、先ほどから話しているあいち外国人材受入サポートセンターを設置して、外国人、企業双方からの相談を受け付けている。
4月末の開所から9月末までに610件という非常に多くの相談をもらっている。さらに、企業からのより専門的な相談にはコンサルタント等の専門家を派遣する伴走型支援、こちらも20社を対象に1社最大5回を派遣することにより外国人材の雇用に関する課題整理や、環境整備等の支援を行っている。
また、先ほどの外国人材の受入れ段階に応じた企業向けのセミナーも開催していて、その後のマッチング支援として合同企業説明会は9月に名古屋で開催している。県内中小企業31社が出展し、外国人来場者は368人と多くの人に参加してもらった。こちらは12月に刈谷でも開催を予定している。
さらに、海外からの高度外国人材の確保を支援するため、7月にはベトナム、8月にはインドネシアの人材を対象に、オンラインによる合同企業説明会を開催した。県内中小企業が合計20社出展して、両国合わせて933人の外国人材に参加してもらった。内定者も現在5人出ており、引き続き本県中小企業とのマッチングが期待されている。
今後は、モデル事業として、2か国で実施した合同企業説明会の参加者の中から3社、3人を選定し、2か月を上限に採用前のインターンシップも実施していく。
【委員】
今年度の取組を説明してもらったが、まさに国名が出てきた、ベトナムとインドネシア、今回特にそこが中心になるのは、労働局のホームページを見ても、Start in Aichiという中で、ベトナムとインドネシアだけ特別にバナーがあったので、そういうターゲットにしているのかと思う。もちろん言葉のことがあるので、特にこれまで実際に雇用に結びついたのがこの2か国だと思うが、今後はそういう意味では、もう少し幅広で、先ほど話したインドは、今や中国を抜いて世界一の人口を誇っており、実際問題、国内をどうやって伸ばすかがまず大きな課題である。一方で、人口が多いだけにインド人の就職口を探すのが今、とても大変で、まさに日本が手を差し伸べると、幾らでも手伝ってくれるということが出てくる。これは付き合いをずっと深めていかないとなかなか分からない部分ではあるが、ある意味親日でもあるし、また、多分エリアにもよると思う。大きな国だから州によっては凸凹があるかもしれないが、勤勉性もあるため、基本的には大きな意味でいいパートナー国になるかと思っているので、そういった部分も視野に入れながら、これから考えてもらいたい。
ちょっと話題を変えて、元に戻って、外国人材をどうやって受け入れていくかというのが、平成31年にいわゆる在留資格に特定技能を創設したことから始まっていると承知している。そのときに、愛知県はあいち外国人適正受入れ・共生推進協議会をつくっている。
そこで、毎年のように会議を開いており、もうこれで7回行ってきているが、三十何万人が愛知県に在住しており、そのうち23万人が働いていると聞いている。2024年の話から先にさせてもらうと、当時は外国人の在住が31万人、2025年が33万人、それで働いている人が、2024年が21万人、特定技能で働いている人が1万4,000人、これが全国1番だった。全国1番というのは、特定技能で働いているのが全国1番で、これが2025年度になると、2025年度に発表されたデータだから昨年度の数字になるが、33万人の在住のうち23万人が働いていて、特定技能で働く人が1万7,500人ということだった。ところが、これは全国1番ではなくて、東京が2万4,000人を数えることになって、愛知県は今2番である。高度人材だとかいろいろな部分があって、東京にはどうしても集中してしまうということだと思うが、できれば、高度人材も含めた内容だが、愛知県の職業の特性を考えると、先ほどの製造業に行くだとか、日本社会が高齢化なので介護人材も取り合いになってくると思う。残念ながら介護人材で、これまでの技能実習制度だと、母国に帰ったときに仕事になるかならないかというと、若い国は高齢者がいないから、介護人材として戻っても仕事がなく、制度が成り立たないのかどうかわからない。この会議の中で話としてあったのが、技能実習制度自体がもう廃止になるということである。育成就労制度という名前になると聞いている。これが令和9年だと思う。
そこで、愛知労働局がいうには、これから外国人から選ばれる国にならなければいけないということである。我々からすると、愛知県が選ばれる県にならなければならない。そういった意味では、先ほど委員から話があった、やさしい日本語も大事だし、当然のことながら実際に外国人が暮らす上でトラブルが起きないような手立て、環境づくりをしてあげるのも大事なことであり、また、さらにいろいろな意味では賃金のこともあるだろう。とにかくトータル的にそういったことを愛知県として考えて、外国人労働者から選ばれる県に持っていくことをお願いしたいと思う。
民間が既にやっている内容、それから人材派遣会社もあるが、中には質の悪いところもあるようにも聞いている。愛知県のお墨つきで、企業にとっても、外国人にとっても、ちゃんとしたところでやって、本当にいいイメージで進んでもらうことがベストだと思うので、そういった対応をぜひともお願いしたい。
あいち外国人材受入サポートセンター チラシ
労働局関係の話は以上で終わるが、先般、ツーリズムEXPOジャパン2025が開催された。本会議の質問の中でも取り上げられていたし、委員の中で行った人も多いと思うが、私も9月25日の初日に行った。初日、2日目は商談会となっている。来場人数の速報の資料をもらったが、初日が2万300人、2日目が1万8,100人、一般向けの27日土曜日が4万1,500人、それから28日日曜日が4万7,000人、トータルで12万6,900人、もう本当にすごい人が入ったと思う。Aichi Sky Expoでいろいろなイベントをやった中でも本当に上位に入るかと思う。このイベントについて、これは成功でよいのだろうが、初日に行ったいわゆる商談会の展示会として行ったときに、愛知県としてどうなのかをお聞きしたい。要するにアジア、世界から旅行について売り込みに来ている商談なので、当然のことながら日本国内の各観光地、たくさんの県、それから、外国からもたくさんの国が来ていた。フランスやイタリアなど、いわゆる観光立国は軒並み出ていたし、中国、韓国も出ていた。そして、私が先ほどから言うインドも、三つか四つの州が出ていた。こういった内容について、愛知県はそういったいろいろな働きかけや、どこの国、あるいは州、省に行って、お互いの情報交換をして、そういう橋渡しができるような環境づくりをしたのかを聞きたい。
【理事者】
質問があったように、前半2日間は商談の業界日で、事前マッチングをされた商談が各ブースでも行われたと聞いている。委員が言うように様々な国が実際に出展しており、お互いに情報交換し、事前マッチングされたところとお互いの観光商品を紹介したことは聞いているが、具体的にどこの国とかどこの企業とそのような商談をしたかは、今後聞き取りを行っていきたい。
【委員】
どこと商談を行ったかは個別の話なので、調べてもらわなくても結構かと思う。私が聞きたかったのは、愛知県として、日本国内の他県に、愛知県は実際こうなんだと説明したか、あるいは、例えばインドのテランガナ州のブースに行って、愛知県はこのようなところである、テランガナ州はどんな観光地があるか、そのような情報交換はしたのだろうかと聞きたかった。
【理事者】
事前マッチングの下で商談会が行われているので、事前にマッチングされたところと積極的な商談が行われたと聞いている。
【委員】
多分、答えを持ち合わせてないのだろうと推察するが、要は愛知県としてブースを出しているというよりも、県として、観光コンベンション局として、インバウンドなりあるいは国内からの客を呼び込もうとするに当たっては、せっかくのイベントの機会なので、そのような商談をしたのか聞きたい。
【理事者】
愛知県ブースのスペース等を使って、愛知県内の市町村や観光協会等といろいろな県外等の事業者とのマッチングを行った。過去に、ツーリズムEXPOジャパンに出展したときも商談等を行っているが、今回は前年よりも倍近い商談件数を愛知県ブースの中で行った。

ツーリズムEXPOジャパン2025 愛知・中部北陸(愛知県ブースの様子)
【委員】
今回の場合は、もちろんツーリズムEXPOジャパンをやること自体が愛知県で初めてだし、出展に協力するのに精一杯だった部分もあるかもしれないが、本当にせっかくの機会だったので、国内は別として、海外のいろいろなところとしっかり連携というか、商談という表現が合っているかどうか分からないが、そのようなことをしてもらうことが、本当の意味で海外のインバウンドにつながるかと思う。ずばり、さっき名前を出したインドのテランガナ州は、相当日本に客を送り込みたいと考えていると聞いている。ただ、これは互いのことだから、互いに興味を持つことがないと、我々でも、インドのテランガナ州とはどこ、何という話だし、向こうからしてみても愛知県って何をやっているのかと思う。根本になる、互いの担当レベル、いろいろな部分で知り合えることが、当然行き来に一番大きな道筋をつくると思うので、せっかくの機会だったから、それがやれていたらありがたかったと思い、質問させてもらった。
ぜひまた今後、この間の大村秀章知事の話では、誘致自体はそう頻繁にはできないだろうが、出向いていった際に、いろいろな意味でそういった機会を使って、特にインバウンドがやれるようになる、これがもう観光コンベンション局としての責務になろうかと思うので、もし、今後の考えがあれば聞かせてほしい。
【理事者】
ツーリズムEXPOジャパンにおいては、委員の指摘のとおり、私ども局長以下で海外のブースを回って、名刺を私も100枚ぐらいまいてきた。その中では、特にアジアを中心にたくさん出展していたため、中国、台湾や韓国などを回った。あとは、エアラインのほうも回って、互いに交流というか、我々も、愛知にぜひ来てもらいたいという思いと、各国の人たちも、愛知というよりはむしろそちらの国に来てほしいと熱心に言っていたので、その辺りの情報交換をさせてもらい、今後につながるコネクションやネットワークづくりは、我々、力を入れてやってきた。
【委員】
安心した。結局のところ、これは広い意味になるが、セントレアの海外との就航便を増やそうと思うと、企業の往来のビジネスも大事だが、観光客で相当数いかないと、なかなか航空会社もうんといってくれないと思う。だから、そういった開拓のためにも、これからぜひお願いしたい。
【委員】
私からも、今のツーリズムEXPOジャパン(TEJ)とVISIT JAPANトラベル&MICEマート(VJTM)のことでまず伺いたいと思う。
私も過去に本会議の一般質問や委員会で、VJTMの方は商談の場所であって、そこで海外のバイヤーの向こうにいる各海外の人たちにいかに日本に来てもらうのかという魅力を、VJTMの場所でしっかり伝えることが大事だと発言したことがあると思う。提案の一つとして、商談の場所において、愛知県の魅力を、例えば何かケータリングでやったりするなど、もう細かいことだが、そういったところで愛知の魅力はこうであるとまずバイヤーに知ってもらう機会がつくれないか聞いたことがあると思う。実際にこの間の4日間、特に前半の2日間、VJTMの場所で、どのような状況だったのか聞かせてほしい。
【理事者】
今、委員の指摘にあった、VJTMは日本最大のインバウンド商談会と言われていて、TEJと合同開催されている商談会である。例えば我々中部圏9県共同ブースを初出展したが、そこに、VJTM商談会に参加するおよそ250人の海外バイヤーに実際に視察してもらい、9県の魅力を広くPRすることができた。
また、実際VJTMの会場内においては、例えば本県のお菓子の提供であったり、観光地やグルメの写真を会場に掲示したり、あとは休憩中に愛知県や常滑市のPR動画を上映するなど、本県のPRを実際に行うことができた。
また、250人近い海外バイヤーがVJTMに参加していたが、VJTM後に、愛知県や中部北陸エリアの視察ツアーに行ってもらって、その視察ツアーには、本県の観光コンテンツを数多く組み込んでもらった。また、ツアーでは本県独自の取組として、視察先の施設や地元の市町村などと連携して、横断幕による歓迎やお土産の提供など、海外バイヤーの印象に残るおもてなしを実施することができた。
これらの取組を通じて、愛知県の多彩な魅力を直接感じてもらうことができ、今後の商品造成を促進することができたのではないかと考えている。
【委員】
伝えたことを実施してもらってありがたいと思うし、それが今後につながることだと思う。実際インバウンドがどれぐらいかは今後の話だと思うが、大変ありがたい。
それと、今、ツアーという話もあったが、残りの2日間、一般向けのところでは、特に、さっき言ったように4万人以上で、私も土曜日に実際現場へ行かせてもらったが、本当にすばらしいにぎわいであった。昨年の東京ビッグサイトも行ったが、引けを取らない盛り上がりだと感じて、本当にイベントとしてはすばらしかったと思う。一般向けのところだと、よりTEJでは実際に旅行や地域の魅力を商談とは別で体感できるようなイベントをしていたし、例えば愛知県で言えば、常滑市の伊藤辰矢市長が直接ノリを焼きながら客に振る舞うことで行列ができていて、市長も頑張っている、すごいと思った。そのようなものをバイヤーたちは、残りの2日間でも体験していたか。
【理事者】
VJTMは、TEJの会期中の2日半、木、金と土曜日の午前中に行われていて、その後、そこに参加した海外バイヤーの中で希望する人は土曜日の午後以降、4日間の愛知県や中部北陸地域などを回るツアーのほうに多くの人に参加してもらったが、ツアーに参加しない人々については、TEJの会場内を多く見てもらったと聞いている。
【委員】
また、ビジネスの商談の場所と地域の魅力を知ってもらう、両側面で進めてもらって、一定数、今後の効果に期待したい。
これもまだ分からないかもしれないが、先日の本会議で大村秀章知事もまた積極的に誘致に向けてとの趣旨を発言されていたが、これまではずっと東京都、大阪府で、1回沖縄県で開催されたが、今後、開催地が東京都、大阪府、愛知県となるように目指していってもらいたいと思っている。現状、まだ終わったばかりだが、終わった成果というか、現状で方針があれば聞かせてほしい。
【理事者】
委員の指摘のとおり、TEJは、これまで主に東京都で開催されていて、来年も東京都で開催されることが決定している。今後の誘致については、大村秀章知事の答弁のとおり、今回が目標10万人のところ、12万7,000人近い来場者に来てもらったことで、合格といってよいのではないかという発言が答弁としてあった。地元の経済団体や関係団体とも今後相談しながら進めていきたいが、次の地方開催の機会があれば、また本県に誘致し、当地域の観光を盛り上げていければと今の段階では思っている。
【委員】
引き続き各市町村、民間、交通も関連してくると思うので、そういった目線も取り込みながら、愛知県の魅力発信を多くの人と一緒に連携してもらえればと思う。
続いて、別の質問で、最低賃金に関して、10月18日から実際に最低賃金が愛知県でも改正される中での民間企業、中小企業への対応について伺う。
先ほどの委員の質問のとおり、外国人の力も借りていかなければいけない人材不足の中で、当然のことながら、その中で最低賃金が上がっていく。最低賃金が上がること自体は悪いことではないと思っている。それで少しでも収入が上がって、1人でも多くの人のいわゆる可処分所得が増えて、経済が少しでも回れば本当によいことだとは思う。ただ、やはり企業の負担、経営者側の負担も当然検討しなければいけないと思っている。そもそもそれで苦しい状態の企業もたくさんあるし、先日も、ある企業の経営者から、最低賃金が上がるとやはり少ししんどいと聞いている。ちなみにその人は運送業である。また、別のところでいうと介護の業界である。
まずは、そうやっていろいろな業種がある中で最低賃金が上がることにより、愛知県としては確か1,140円で、企業の負担に対してどのようなことが考えられるのか。現状、愛知県に企業、経営者側からの何かそういった意見は出ているか。
【理事者】
最低賃金の関係で、企業から我々に対して、最低賃金が上がるからと、支援などそういった問合せ等はない。
【委員】
先ほどの、特に運送業や高齢福祉サービスの事業などもそうだと思うが、最低賃金が上がれば当然、会社としての支出などは人件費として増える。例えば、プロダクトに合わせて売るサービスなど、物にその分を乗せられる業種であればまだそれなりの対応もできると思うが、例えば先ほどのような福祉の業界は、そもそものアッパーが決まっていたり、国の制度上の問題でここまでだということがあり、こういうサービスを付け加えるからさらに対価として払ってほしいというのが、結構難しい業種があると思う。これだけ物価が上がって、最低賃金に合わせて物を売るときに、価格を乗せられない業種もあると思うが、そういったところは企業側が負担する。企業が丸々背負わなければいけないことに対して、最低賃金が上がることに愛知県としては、今どのような考えか。
【理事者】
愛知県では、国が業務改善助成金や、企業が賃上げをした場合にそこへ助成するような様々な支援金をやっているので、そういったものに関して、企業には周知、啓発等を行っている状況である。
【委員】
そもそも国の制度があると思うので、愛知県単体で何かというのは難しいかもしれないし、何かそれ用の補助や助成というのも簡単にできるものではないとは思うが、一地方行政として、特に愛知県は、モノづくり企業をはじめとしたサプライヤー企業や、言うまでもないが、中小企業があって経済を支えてもらっている日本であり、愛知県はまたそれがより色濃いと思う。今後、国に対して、愛知県としてもそういった地域の現状、愛知県の中小企業、中小零細の現状を踏まえて、経済を回すためにはこういうふうにただ最低賃金を上げればよいだけではないことを頭の片隅に入れておいてもらい、様々な発言をしてもらえばと要望して終わる。
【委員】
私からは、出産や子育てを機に離職した女性の再就職支援について伺う。
近年、結婚、それから出産・子育てを機に一度職を離れた女性が再び社会で働きたいと希望するケースが、実際に私の地元でもそういった若い女性の声をよく耳にするようになった。しかしながら、こうした人たちはブランクの長さや育児と仕事の両立への不安などから再就職にはなかなか踏み出せないことも少なくないような気がしている。
そこで、本県における子育て女性の再就職支援について、どのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
愛知県では、出産、育児等をきっかけに離職した女性の再就職を支援するため、2014年度から名古屋駅近くの愛知県産業労働センター17階に、あいち子育て女性再就職サポートセンター、ママ・ジョブ・あいちを設置している。
センターでは、キャリアコンサルタントの資格を持つ専門員が、対面・電話・オンラインにより相談者の悩みを丁寧に傾聴し、相談への対応やカウンセリングなどを行っている。加えて、キャリアプランの組み立て方の説明や面接対策等を行う職場復帰・再就職準備セミナーのほか、子育て中の女性が活躍する企業での職場実習・見学会、女性の採用に積極的な企業との就職説明会を開催するなど、利用者一人一人の状況に応じて段階的な支援を実施している。
なお、小さな子供連れでも安心して相談や事業に参加できるよう、予約制により、保育士による無料の託児サービスを提供している。また、遠方に住んでいる人など、名古屋駅まで出向くのが難しい人には、市町村への出張相談も行っている。
これらの取組を通じ、利用者に寄り添った支援を行うことにより、子育て女性の再就職支援に取り組んでいる。
【委員】
あいち子育て女性再就職サポートセンター、ママ・ジョブ・あいちにおいていろいろな支援を行っているとのことであるが、実際に、昨年度及び今年度のサポートセンターの利用実績、それから利用者の年齢層、また、利用者からどんな声が上がっているのか教えてほしい。
【理事者】
センター全体の利用件数は、2024年度が935件、本年度は9月末時点で375件となっている。利用者は30代前半から40代前半の人が多く、全体の約7割を占めている。相談やカウンセリングの利用件数は、2024年度が547件、本年度9月末時点では203件であり、相談者からは、キャリアプランに関する悩みを聞いてもらえて前向きになれた、再就職に向けて何をすべきなのかが明確になった、自分の得意、不得意を踏まえてアドバイスをしてもらい、就職先の選択肢が広がったといった声をもらっている。
次に、セミナー、職場実習見学会、就職説明会などへの参加者は、2024年度延べ388人、本年度9月末時点は延べ172人となっている。セミナー参加者からは、ワークショップで同じような立場の人の話を聞くことができ、再就職の意欲が高まった、改めて仕事と生活のバランスを考えるきっかけになったなどの声が聞かれた。
また、職場実習見学会などの参加者からは、子育て中の社員の働き方や仕事への向き合い方を直接聞くことができ仕事と家庭の両立への自信がついた、実際に業務体験することで自分の働き方を具体的にイメージすることができたといった、再就職に向けた前向きな声をもらっている。
【委員】
いろいろと再就職につながっていることは理解できた。
利用者の再就職を、継続的に支援するためにはセンターを利用した後、フォローアップが大変重要になってくるかと思うが、その辺り、愛知県として何か取組を行っていることがあれば教えてほしい。
【理事者】
センター利用者の再就職を継続的に支援するため、利用から6か月経過後に就労状況に関する追跡調査を実施している。
2024年度は、追跡調査に賛同してもらった605人のうち483人から回答をもらっている。そのうち278人、57.6パーセントが就労しており、就労形態別ではパートが173人、62.2パーセント、正社員が47人、16.9パーセント、契約社員が25人の9パーセント、派遣社員などが33人、11.9パーセントとなっている。
なお、追跡調査において、未就労の人からうまく就職活動が進んでいないとか、継続して支援を希望するなどの回答があった場合には、センターでの再カウンセリングやセミナーなどの再受講を案内することにより、個別の状況に応じたきめ細かな支援を行っている。
今後も利用者一人一人に寄り添いながら、相談対応やカウンセリングをはじめ、セミナー、就職説明会などを通じて、子育て中の女性の再就職支援を着実に進めていく。
【委員】
最後に要望させてもらう。先ほど、働く人の人材不足などの話があったが、子育て女性が再就職を望むとき、第一歩を踏み出す支援とともに、就職後も安心して働き続けられる環境整備というのが不可欠であると私は思っている。特に保育サービスの拡充や、柔軟な働き方の普及、そして企業と若い女性をつなぐマッチングの機会、こういったもののさらなる拡大が重要になってくる。
ぜひ、愛知県が先導役となってこうしたすばらしい取組を、もっと幅広くいろいろな人々に周知をしてもらうようにPRし、若い女性が育児をしながらでも自分らしく働ける社会、これを築いていくことが地域の持続的な発展につながると確信しているので、今後、一層の支援をするように要望して質問を終わる。


あいち子育て女性再就職サポートセンター(ママ・ジョブ・あいち) チラシ
【委員】
私からは、障害者雇用における特定短時間雇用について伺う。
障害者雇用率の算定において、昨年2024年4月1日から特定短時間労働者、週10時間以上20時間未満の雇用、こちらについても0.5人分として加算されるようになった。この制度は、特に精神障害のある人や重度の身体・知的障害のある人にとって就労の選択肢を広げる重要な施策であり、企業にとっても柔軟な雇用形態を導入するインセンティブになることが期待される。
しかしながら、現場の実情としては制度の活用が進んでいるとは言い難く、促進には多くの課題があると認識している。
先日、当委員会で北九州市にあるサンアクアTOTO株式会社を視察した。従業員144人中93人を障害者が占める同社の障害者雇用に向けた取組について視察してきたが、非常に配慮が行き届いており、障害者が安心・安全に作業ができる環境が整っていると感じた。
しかし、その一方、特定短時間雇用については、必要性は認識しているものの、取組自体はこれからであるという話であった。このように積極的に障害者雇用に取り組んでいる企業であっても、短時間での労働には様々な課題があると実感した。
日本の障害者総数は約1,165万人で、そのうち615万人、つまり半数以上が精神障害のある人である。精神障害のある人は症状の波や体調の変動があるため、フルタイム勤務が困難なケースが多く、短時間勤務が現実的な選択肢となる。
こうした背景から、特定短時間制度が導入されたものと理解しているが、愛知県では初めて障害者を雇用する中小企業に対し、愛知県中小企業応援障害者雇用奨励金を支給している。その上で、昨年からこの支給対象に特定短時間労働者が追加されたが、その利用状況について伺う。
【理事者】
愛知県中小企業応援障害者雇用奨励金の昨年度の支給実績については、全体で61件、3,330万円、そのうち特定短時間労働者は4件、計60万円となっており、飲食、清掃、小売などの業務に携わっている。また、今年度9月末現在では28件、計1,605万円の申請を受けている。そのうち特定短時間労働者は1件、事務職となっている。
昨年度今年度ともに、特定短時間労働者の障害種別は、いずれも精神障害となっている。
【委員】
短時間雇用での奨励金の利用状況が昨年度で4件、今年度は1件の申請があるという状況と聞いた。やはり促進の難しさを示す数字であると感じる。
そもそも入り口の話としては、特定短時間労働者がこの奨励金の対象となること、それ以前に、特定短時間労働者が雇用算定対象者となることを企業がどれだけ認知しているかという課題が一つあると思う。
また、もう一つの課題としては、短時間での雇用について、特に精神障害がある人が多い状況の中で、どんな仕事を任せたらよいのか、また、任せるにしても、どんな仕事だったらできるのかと、そういった心配を抱えている企業が多いと聞く。
特定短時間雇用の周知、そして企業が抱える課題解決に向け、愛知県としてどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
愛知県では、障害者雇用の企業向け相談窓口として、国と連携し、あいち障害者雇用総合サポートデスクを設置している。このサポートデスクにおいて、特定短時間雇用をはじめとする障害者雇用に取り組む企業に対し、きめ細かな支援を行うとともに、セミナー等において特定短時間雇用制度の周知を行っている。
また、今年度から新たに特定短時間雇用の創出のため、ハローワークと連携し、障害者雇用率未達成企業など200社を目標に、特定短時間雇用を検討してもらうよう働きかけを行っている。
企業からは、障害者の雇用に関する不安や、特定短時間雇用を行うための就業規則の改定方法、障害者への仕事の切り出し方など、相談を多く受けており、こうした相談にサポートデスクの職員が、個々の企業に合わせた提案を行っている。
例えばある企業では、初めての特定短時間雇用に向けサポートデスクの提案を基に、社員からの意見を取り入れて業務を見直し、障害者への仕事の切り出しや、また、誰でも作業ができるマニュアル等を整備した。
このように、サポートデスクの支援による障害者雇用がきっかけとなり、社内の職場環境整備が進んだ事例もあるので、今後も、様々な取組を通じて個々の企業に寄り添い、丁寧な支援を行っていく。
【委員】
愛知県として、特に今年度から200社を目標に、そういった短時間雇用の導入に向けた企業の訪問をしているということで、そういった周知に努めていると理解した。
また、制度を現場でどう機能させるのか、その仕組みづくりが必要であって、そういった点においても切り出し作業や勤務時間の相談などを受けているということで、具体的な好事例も紹介してもらった。そうした企業とのやり取りの中で、特定短時間雇用を促進するために見えてきた課題もあると思う。
また、来年7月からは法定雇用率が2.7パーセントへ引き上げられる。現状、愛知県の雇用率が2.36パーセントと認識しているので、現在の法定雇用率2.5パーセントを下回っている状況にあって、現状のままでは、さらなる引上げに対応するのは容易ではない。
そういった今年度から進めている企業訪問を通じて見えてきた課題、そして来年の法定雇用率引上げに向けて、愛知県としてどのような支援策を講じていくのか、具体的な取組を伺う。
【理事者】
企業訪問を通じて見えてきた課題としては、就業規則や仕事の切り出し方以外にも、障害者への支援や配慮に必要な知識が乏しい、雇用した障害者を支援できる人が社内にいないといった課題が多く寄せられている。
サポートデスクでは、職場の同僚が身近な理解者となり、働く障害者をサポートすることで、職場定着が進むよう、企業内援助者養成研修を年に2回開催している。
愛知県では、こうした研修への参加を広く呼びかけるとともに、企業の従業員を対象とした障害者への理解を深めるための出前講座も実施している。
また、来年度の法定雇用率引上げに向け、県内の法定雇用率未達成企業1,500社に対して、法定雇用率引上げの周知及び障害者雇用の促進のため、知事・愛知労働局長連名の要請文を9月30日付けで送付している。
さらに、今後、県内経済団体に対して、会員企業の障害者雇用を要請するとともに、中小企業の経営者等を対象にセミナーを開催し、法定雇用率引上げに関する周知を図っていく。
【委員】
そういった様々な取組をもって進めていくということであるが、最後に、冒頭にも言ったが、特定短時間雇用は、障害者雇用率の向上だけではなくて、障害のある人たちにとっては、働き方の選択肢を広げる制度であると考える。また、企業にとっては、選択肢を設計する手間や不安があるかもしれないが、特定短時間雇用のメリットもある。人材確保や業務効率の向上、職場の多様性と、そういったものを最大限に生かせるように、今年度から企業訪問等も進めているということなので、愛知県として伴走型の支援をさらに強化してもらいたいと要望して終わる。
【委員】
私からは、愛知県奨学金返還支援制度を、本会議の一般質問でも質疑があったが、確認も含めて伺う。
労働者福祉中央協議会が全国3,000人を対象に実施した、高等教育費や奨学金負担に関するアンケート2024の結果によると、大卒の奨学金利用率は45.2パーセント。日本学生支援機構の奨学金利用者のうち、日本学生支援機構の貸与型奨学金利用者の奨学金借入総額は、平均344.9万円。過去の調査と比べて最も高くなった。今後の奨学金返済に7割の人が不安を感じていて、返済の負担感に4割台半ばが苦しさを実感しているそうである。奨学金の返済は生活設計にも影響を及ぼしていて、どんなことに影響があると答えているかというと、貯蓄は6割強、日常的な食事や結婚についても4割台半ば、出産や子育てなどは4割前後が返済による影響を感じているそうである。
さらに、過去の調査と比べると、結婚・出産・子育てに対して影響を感じる人は増えているので、少子化対策に関しても奨学金問題は大きな影響があると思う。
多くの学生が奨学金を受給し、就職後返還している状況の中で、企業が従業員の奨学金返還支援制度を導入することは、学生が企業を選ぶときに大きなポイントとなると考え、本県では中小企業の人材確保を図ることを目的に、従業員の奨学金返還を支援する中小企業を対象とした新たな補助制度が昨年、2024年度に創設された。
愛知県内に本社または主たる事業所を有する、常時雇用する従業員数が300人以下の中小企業等が従業員に支給した奨学金返還のための手当、または代理返還した額の2分の1以内、補助限度額は対象従業員1人当たり年間20万円、採用年度から最大3会計年度まで、つまり3年間で最大60万円を補助するというのがこの制度である。中小企業の人材確保を支援するためには、本当にすばらしい制度ではないかと思う。
この制度を利用し、補助を受けるためには、まず企業登録が必要であって、企業登録をするためには、従業員の奨学金返還支援制度を会社の中で整備しなければならない。つまり、新たに社内規程を設けるか、既存の就業規則あるいは賃金規程において定める必要があるということになっている。企業登録がされると、愛知県の専用ウェブサイト、あいち奨学金返還支援ネットに掲載される。先ほども、増えていないかと思って登録企業を検索したら、153社がヒットした。
そこで、まず尋ねる。
本制度を愛知県内の中小企業にどのようにPRしているのか。登録企業153社というのは、当局の予想より多いのか少ないのか伺う。
【理事者】
中小企業に対するPRについては、経済団体への働きかけや、昨年度から2年連続で県内中小企業2万5,000社に制度の概要と登録を呼びかけるリーフレットを送付している。また、奨学金の返還支援が学生の就職先選びの動機づけになるといった、制度導入の利点への理解促進のため、今年度は新たに支援制度導入が採用につながった事例や、ハローワークの求人情報にPR用ロゴマークを掲載する方法等を専用ウェブサイトで発信するなど、啓発活動を強化している。
登録企業数については、昨年度、同時期の新規登録企業数を比較すると約半数となっており、伸び悩んでいるのが現状である。しかしながら、本制度は、若者の経済的負担を軽減するとともに、中小企業等の人材確保や定着にもつながると考えるので、今後も企業への周知等は積極的に実施していく。
【委員】
2万5,000社に周知したけれども少し伸び悩んでいるとあった。
私は地元が豊田市であるので、豊田市の企業はどれだけ登録しているかと思ったら、11社、ヒットした。実は半分以上が知り合いというか、地元で会合があったときに、このような制度が愛知県でできたと紹介したところや建設関係、私立の学校、幼稚園関係で行ったところが半分ぐらいあった。
先ほど2万5,000社という話があったが、まだまだ一般の中小企業に対して、あまり知られていないと感じる。周知されれば当然、登録企業はこれからもっと増えていくと思ったが、伸び悩みということであった。
この制度の成果は、登録企業の数もそうであるが、それ以上に中小企業が、新規採用、新規雇用した正社員、支援対象者、この数が伸びることがこの制度の意義だと思う。そこで尋ねる。
原則7月31日までに愛知県に支援計画書を企業から提出することになっていて、さきの一般質問の労働局長の答弁によると、56社から107人分の支援計画の提出があったと聞いた。それは当局の予想より多いのか少ないのか伺う。
【理事者】
昨年度と比較すると支援対象者数は約2.3倍と、着実に制度利用は進んでいるが、当初想定していた支援者数には達していない。
これは、人手不足の状況下において新たな従業員の採用が難しいために制度利用に至らない一因はあるものの、企業や求職者に対して周知が行き届いていないことも影響している。
【委員】
なかなか対象者が増えないということである。今まで企業側の周知の話を聞いてきたが、奨学金を利用している求職者がそもそもこの制度をもっと知らないと支援対象者が増えてこないと思うので、奨学金を利用している求職者にこの制度を周知するためにどのような方策を取っているのか伺う。
【理事者】
求職者に対しては、制度を紹介するリーフレットを作成し、県内大学等のキャリアセンターやハローワーク、愛知県と愛知労働局が連携して運営している就職サポート施設であるヤング・ジョブ・あいち等を通じて情報提供を行っている。
また、今年度新たに県内の大学生等に制度の周知を図るため、PR用ロゴマークが大きく掲載されているポスターを県内大学等に作成・配布するとともに、合同企業説明会で求職者に支援導入をアピールするためのPRグッズである卓上ミニのぼりを作成し、登録企業に配布するなど、周知啓発に努めている。
【委員】
登録された企業にとって、最終的に正社員採用に至らなくても本制度の登録企業であることを理由に就職希望者があったとしたら、中小企業にとって登録した効果があったと思う。
そこで尋ねるが、本制度をきっかけとして登録企業における求人の応募者数は増加したのかどうか、分かれば教えてほしい。
【理事者】
本年6月に登録企業に対して実施したアンケートによると、制度導入をきっかけとして求人への応募者数が増加したと回答した企業は、全体の約14パーセントであった。
また、愛知県が制度を創設する前から、従業員への奨学金の返還支援を行っている企業からは、愛知県の登録制度があることで、若年求職者に対し、経済的支援を実施している企業として、今まで以上にアピールしやすくなったという意見も寄せられている。
【委員】
いろいろ聞いてきたが、本制度を導入する中小企業が増えれば、本県の中小企業への就職が期待できる。
本会議の一般質問の中で兵庫県の例が出ていて、とてつもない金額をかけてやっているとあったが、愛知県はこの制度が去年できたので、まずは現制度を周知徹底してもらいたい。中小企業の人材確保のため中小企業側、そして求職者側、双方へこの制度のさらなる周知をお願いして、私からの質問を終わる。
【委員】
私も、奨学金返還支援制度について関連して尋ねる。
ただ、先ほどの委員がどちらかというと、始まったばかりだから、もっとPRを積極的にして、大きく制度を変えるのではなくてまず地道にという発言をしたが、私の発言は多分、それと真反対の主張になろうかと思うので、容赦してもらえればと思う。
先日の一般質問で、あいち民主の議員が、兵庫県の例を出しており、大変すばらしい質問をしたと思っている。議員の主張は、この制度は補助対象となる期間が限定的であって支援額も十分とはいえない、本県の制度をより効果的なものにするため、補助期間の延長、制度の周知徹底を図るべきとの立場であった。この点、私は全く同意見である。
そこで、そのときの答弁を参考にしながら、別の視点も加えて、私なりに質問したいと思う。
この制度については、先ほどの委員にしっかり説明してもらったのでそこは省く。私はさきの2月定例議会の議案質疑において、昨年度、当初の予算よりこの制度の利用者が大幅に少なかったことを捉えて、この制度の利用が少ないのはPRが不足しているからではなく、制度そのものに魅力がないのではないかとの立場で質問した。
奨学金を借りた学生が、社会人になるときに背負っている奨学金残高は平均313万円。返済期間の平均は15年と言われている。そうした状況の中で、愛知県が20万円、企業も20万円だから、本人に対しては年間40万円。それを3年間、合計で120万円を補助するというのは、あまりにもインパクトが弱いのではないかと思う。
そうした中、議員の一般質問に対する答弁において、今年度の利用状況が分かった。今年度は8月末時点で、56社から107人分の支援計画が提出されており、愛知県の補助額は約680万円となる見込みとのことであった。この事業補助金の令和7年度の当初予算額は3,553万円である。3,553万円の予算に対して、最終的な見込額が680万円、もちろんこの後も増えてくると思うが、増えるのは新卒ではなくて、中途採用が増えるだけだからそんなに大きく増えるとは思えない。そういった中で、3,553万円の当初予算に対して680万円しか利用がないのは、非常に少ないのではないかと思う。
そして、議員に対する答弁の中で、今後より一層の利用拡大が必要であると認識しており、そのためには本制度のさらなる周知徹底、導入の利点への理解促進が重要と考えると言っているわけである。
先ほど言ったように、私は本制度のさらなる周知徹底や導入の利点への理解促進を図ることよりも、制度そのものを魅力あるものにすることが優先すべきことであり、重要なことではないかと思っている。
そこでまず質問だが、2月定例議会の答弁において、登録事業者に対して採用の状況等に対するアンケートを行うと答弁があった。このアンケートはどのように取られて、どのような声が寄せられたのか聞かせてほしい。
【理事者】
アンケートは、令和7年4月1日時点で愛知県に登録された企業124社に対し、文書で実施し、84社から回答をもらった。回収率は67.7パーセントである。
奨学金返還支援制度の導入理由としては、約7割の企業が、制度の導入が人材確保に有効であるとしている。一方で、制度導入に当たっての課題として、制度導入前に採用した従業員や奨学金を借りている従業員と借りていない従業員の間で不公平感が生じる可能性があることが最も多く挙げられた。多くの企業が、従業員に対して導入目的を説明し、理解を得たと回答している。
また、事業をこの先も継続してもらいたい、手続を簡素化してほしい、会計年度で区切らず入社から3年間としてほしい、支援期間を延ばしてほしいといった要望も寄せられている。
【委員】
この事業の第一の目的は中小企業の人材確保支援である。つまり、この制度があることによって、求職者がその企業に就職しようと動機づけられなければ意味がない。もちろん就職するときの動機は様々であるので、奨学金返済を支援してくれる企業だから就職するといったことだけが企業選択のポイントにはならないが、企業選択の数ある要素の中で大きなウエートを占める制度とするためには、金額的にもう少し充実させる必要があると私は思っている。
しかし、今、答弁をもらったアンケートの回答において、制度を受けている従業員とそうでない従業員との間で不公平感が生まれるという声があった。従業員にとってみれば、企業からも支援をもらっている。もちろん行政からもらっているが、企業からももらっているとなれば、そういった不公平を感じるので、私が提案しているように、企業の負担が増えれば、ますますそのような声は強くなるのだと思う。
そこで、企業の負担はこれまでどおりとして、愛知県の負担額を増やして、あるいは市町村にも声をかけて、市町村にも負担してもらう。それにより、結果的に本人が年間受け取る額を増やして、制度を充実させる、あるいは、3年で終了せずに期間を延長してもいいと思う。
そこで質問だが、こうした総額を増やすという私の考え方、提案に対して、当局の見解を尋ねる。
【理事者】
先ほどのアンケートでは、奨学金返還支援制度の導入をきっかけとして、実際に採用につながった企業が6社あり、採用活動の一助になっていることが分かる。今後も、さらに中小企業の人材確保につながる制度となるよう、アンケート結果や、委員からもらった提案も参考としながら、検討していきたい。
【委員】
それでは、またアンケートの件に戻るが、先ほど寄せられたアンケートの声を反映して、今後、改善していこうとする予定があれば聞かせてほしい。
【理事者】
アンケートの声としてもらった手続の簡素化や支援期間の拡充などの要望を踏まえ、中小企業がより使いやすく、導入効果の高い制度となるよう、補助期間も含めて、制度の在り方を検討していきたい。
【委員】
アンケートに寄せられた声や、それで何を改善していくか聞かせてもらった。
ただ、アンケートというのは、愛知県に登録した企業のアンケートである。その中で先ほどあったように、奨学金返還支援制度の導入理由としては、約7割の企業が制度の導入が人材確保に有効であると言っている。当然、登録してこの制度を使おうとしている企業だから、7割の企業が有効であると感じているが、そういった企業だけではなくて、この制度を使わない企業に対しては、なぜこの制度を人材確保の一助に使おうとしなかったのか、登録しなかった中小企業に対して、なぜ使おうとしないのかを聞くほうが、むしろこの制度をより広く普及させるためにはよいことではないかと思っている。
そして、先ほど私は、市町村も一緒にやってもらったらどうかという話をした。これはいろいろな制度を見ていて、これに限らず、県と市が一緒にやっている制度は、PRや窓口が市町村となり、身近なところでやるものだからすごくPR効果がある。一方的に何かパンフレットを作るなど、県から流すよりも、身近な市がやっている制度になると、すごくPR効果もあると思うので、ぜひ市町村も交えて、そして先ほど言ったように、そうではない企業に対してもアンケートを取ってみる必要があると思うが、その点についてどうか。
【理事者】
制度を利用していない企業へのアンケートの実施は、実態や課題を把握するために有効な手段の一つであるので、実施も選択肢に入れて検討していきたい。
【委員】
提案自体は三つだと思っているが、その提案についていずれも、もらった提案も参考としながら検討していきたいとか、制度の在り方を検討していきたい、さらには実施も選択肢に入れて検討していきたいということで、検討ではあるが、前向きな答弁だったと捉えている。
くどいようであるが、この制度は本当に中小企業が人を雇用するときの支援にならなければいけないわけであって、この制度があるから私はこの企業に行きたいと思わせるような制度にしなければいけないと思っている。
そういった意味では、金額が上がることがまず一番よいだろうと思っているし、これは議員も同じことを言っていたので、ぜひ前向きに検討してもらうように願って終わる。


愛知県奨学金返還支援制度 チラシ
【委員】
先日の中日新聞の経済面に、次世代のエネルギーとして期待されている核融合発電の記事が大きく出ていた。その中には、STATION Aiをつくり上げた経済産業局顧問も大きく関わったということで、私は画期的な記事だと思う。それも、STATION Aiに入居しているスタートアップの企業が、地元のモノづくりの企業とコラボして、一部の装置というか、部品を作っていく大変すばらしい試みだと思う。
そこで、この際、新しい芽ができた。もう数十年間、世界中で研究して、なかなかそれが実用化しない時代がずっと続いてきた。日本は世界から見ても技術的に優位性があると言われているので、これは愛知県、官民挙げて、この核融合発電の開発を後押しすべきだと私は思っている。
周知のとおり、核融合発電というのは、材料は海水から取れ、喫緊の燃料として注目されている水素も海水から原料が取れるので、この二つを愛知県のみならず日本の、我が国のエネルギーにするという気構えが必要だと思う。
そこで質問だが、アメリカは民間企業が率先して投資してやっている。中国は国家を挙げてやっている。日本は、呼び水はもちろん国や自治体が投資するのだろうが、官と民と学が一緒になってプラットフォームをつくって、次世代のエネルギーに投資をさせるべきだと私は考えるが、経済産業局としてはどのように考えているか。
【理事者】
まず、核融合発電については、核分裂と違って、委員の指摘のとおり、暴走リスクが少なくて制御がしやすいこと、水素系の原子を燃料とするため、無尽蔵に取れること、それから放射性廃棄物をほとんど出さず、大変有望な技術だということで、まさに次世代の未来の夢のあるエネルギーだと期待が大きく高まっている。
また、一方で、技術的にはまだ課題があり、核融合発電には1億度以上のプラズマ状態にする必要があって、そのプラズマを安定的に封じ込める技術がまだ確立できていない状況である。その技術をめぐって、今、例えば、トカマク方式やヘリカル方式、レーザー方式といった方式で、核融合発電の開発が特に国内外の企業、あるいは研究機関やスタートアップ、そういったところで開発が進んでいる。今のところ、どの方式が主流になっていくかはまだ見えていない状況である。
そうした中で、今年の6月に、国がフュージョンエネルギー・イノベーション戦略というものを改定して、2030年代に発電実証を行うという目標を立てた。
我々革新事業創造部としては、これまでディープテック推進事業として、土岐市にある核融合科学研究所からスピンアウトした株式会社ヘリカルフュージョンというスタートアップ企業を3年間にわたって支援してきたが、そうしたスタートアップ企業の支援とともに、例えば我々の所管だと、東海4県2市、2市というのは名古屋市と浜松市であるが、セントラル・ジャパン・スタートアップ・エコシステム・コンソーシアムという枠組みなどもある。そうした既存のプラットフォームなども参考にしながら、国の方針、あるいは研究開発の動向なども踏まえて、これからの支援の在り方、連携の在り方について研究していきたい。
【委員】
スタートアップ企業の株式会社ヘリカルフュージョンのCEOは、岐阜県にある核融合科学研究所の出身であり、確かな技術を持っている。30年に実証装置をつくって、30年代に実用化すると、ここまで明言している。今言ったように、愛知県と静岡県も製造品出荷額は大阪府を抜いており、エコシステムはできていて、あらゆる技術が集積しているので、一度そういうプラットフォームをつくればいろいろな技術ができてくると思う。
まずは、官がそのようなプラットフォームをつくって、呼び水として国も支援して、民間に出資してもらうこともすべきだと思うが、理事者の考えを聞かせてほしい。
【理事者】
私も、中日新聞及び経済誌に載った記事も読んでいる。この技術については、先ほど理事者からも答弁したとおり、2030年代に実用化でやや足の長い話であるが、非常に技術の開発が進んだことで実用化が目に見えてきた、期待のできるエネルギーだと思っている。
少し整理してみると、国家プロジェクト、連携プロジェクトとしてフランスで一つ動いているプロジェクトがある。それを日本でもやりたいと国が動き始め、まずは戦略をつくり、その後、核融合産業協議会を立ち上げて、産官学がメンバーになって動き始めたという段階だと思っている。
産業協議会の中のメンバーを見てみると、このエリアの大企業も入っているし、先ほど名前の出た株式会社ヘリカルフュージョンも入っている。また、今回、一宮市の菱輝金型工業株式会社と連携して、まずはブランケットと呼ばれる部品を試作することを動き始めた。愛知県の企業を選んでもらった背景には、このエリアの企業が非常に技術を持っており、また産業集積もあることで、このエリアのポテンシャルを認めてもらったと思っている。
一方、我々としても、非常に期待できるエネルギー源として注目していくが、一つ課題と思っているのは、放射性の廃棄物を出さないが、やはり核融合という名前を県民にも理解してもらう必要があると思う。そのリスクコミュニケーションをしっかりやりながら、理解を得て進めていくプロジェクトかと思っている。
先ほど理事者から答弁したとおり、既存の枠組みもあるし、そのほか官民連携プロジェクトで応援していくやり方もあるので、どういった方法がよいか、または、大学の先生の意見や、株式会社ヘリカルフュージョンの考えも聞きながら進めていきたい。
【委員】
同じ記事の中に、アメリカの業界代表の広報担当が来て、日本の技術に期待をという記事も載っていた。ある意味で、日本の技術の優勢を認めている。ばらばらではなく、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県も入れてプラットフォームをつくって、全力で一塊でやるぐらいのことをやらないと、アメリカはもう国を挙げて、民間を挙げて、大企業が、GAFAがやっている。片や、中国は国家を挙げてやっている。こんなばらばらにやっていたら、それは勝てない。まず、一番のモノづくりの中心たる愛知県がリーダーとなってやらなければいけないと私は思う。
先の長い話だが、モノづくりの現場で、プロンプトもAI搭載のロボットでやると、電力が逼迫し、大、中、小のデータセンターができてくる。今、NTTは地方データセンターの基盤整備のために光ファイバーを利用しようと、情報と通信の融合を図っている。そして、5Gの基地がサーバーになる。それから、この前の新聞に載っていたが、KDDIが大、中、小のAIのサーバーをつくる。近くにないと遅延が起こるから、KDDIが何とローソンを買ってしまって、コンビニエンスストアが小さいAIのサーバー、拠点、データセンターになると言われている時代である。必ず電力が逼迫する。その先を追って、先手を取って、とにかく愛知県の電力を確保するためにも、早くこの核融合発電を進めてもらいたい。今、どうこうという話ではないが、そのような方向でやってもらいたい。
それともう一つは、経済産業省が水素燃料を26年度から本格支援する。総額約3兆円の予算を投じて価格を抑制していく。水素と今の石油燃料との価格を縮めないことには実用化しないので、水素燃料の利用拡大に向けて、そういうことやり始めている。
24年には水素社会推進法ができて、既存の燃料等の価格差を埋める形で進んできた。先日も名古屋港で、愛知県のトラック7,000台を水素トラックにするとキックオフした。先日、港湾の大型トレーラーや大型トラックを扱っている運送会社の社長に聞いた。そうすると、水素トラックは高いものだから1台1億数千万円するが、そのうち1億円を補助してくれるようになって、燃料費も補助してくれると、今なら買えると言っている。拍車がかかってくる。水素も喫緊の問題として、これからのエネルギーとして力を入れていかなければならないと思う。
名古屋港も、オーストラリアの褐炭を液化して、持ってきてまた気化させるというプロジェクトが始まっているので、名古屋港が舞台になると思う。二酸化炭素を半分以上出しているのは港だが、その中でも一番出しているのは名古屋港だから、名古屋港の脱炭素化、水素の利用促進ということにぜひ力を入れてもらいたい。
この3兆円の中で港湾部門は、一体どれぐらいの割合なのか。この詳細な情報を捉えているか。
【理事者】
今、委員から指摘のあった3兆円の話だが、愛知県でいうと豊田通商株式会社が国に対して申請していたプロジェクトが採択された。このプロジェクトの15年間にわたる総額の国の支援額が3兆円である。
このうち、今回の、例えば豊田通商株式会社のプロジェクトが幾らに当たるかは公表されていないので、内訳は分からない。それに伴って、そのうち港湾部分が幾らかも公表されていないので、正確な数字は分からない。
【委員】
どちらにしても、15年間で3兆円と、膨大な予算が使われるし、さっき言ったように一番二酸化炭素を出しているのは港である。様々な企業があり、恐らく港が舞台になると思うので、企業だけではなくて、港湾のフォークリフトや港湾機械、それから船までいくと思う。そのような意味で、ぜひ名古屋港の水素利用に向けて、愛知県も全力の支援をしてもらいたいと要望して終わる。





