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経済労働委員会審査状況(令和8年6月23日)

ページID:0666872 掲載日:2026年10月5日更新 印刷ページ表示

経済労働委員会

委員会

日時 令和8年6月23日(火曜日) 午後0時58分~​午後5時34分​
会場 第7委員会室
出席者
 日比たけまさ、横田たかし 正副委員長
 山本浩史、政木りか、今井隆喜、平松利英、伊藤貴治、長江正成、安井伸治、手塚将之、
 岡 明彦、阿部武史 各委員
 経済産業局長、同技監、産業部長、中小企業部長、革新事業創造部長、
 労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監、
 観光コンベンション局長、観光推進監、
 労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等

経済労働委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

第100号 令和8年度愛知県一般会計補正予算(第1号)
 第1条(歳入歳出予算の補正)の内
 歳出
 第5款 経済労働費
第106号 愛知県カスタマーハラスメント防止条例の一部改正について
第109号 物品の買入れについて

結果

全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
 第100号、第106号及び第109号

請願

第17号 「業務上コロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事の周知を求める」について
第24号 「ホルムズ海峡封鎖等の影響による中小業者の経営危機打開の支援策を求める」について(経済関係)

結果

賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
 第17号及び第24号

会議の概要

  1. 開会
  2. 口頭陳情(1件 請願第17号関係)
  3. 議案審査(3件)
    (1)理事者の説明
    (2)質疑
    (3)採決
  4. 請願審査(2件)
  5. 委員長報告の決定
  6. 一般質問
  7. 休憩(午後2時59分)
  8. 再開(午後3時9分)
  9. 閉会
主な質疑
議案関係

【委員】
 自動運転高速バスの社会実装に向けた取組強化について伺う。
 社会実装の取組の強化ということだから、かなり強い気持ちで議案を出していると思う。予算額は、当初予算7億1,000万円余りが増額されて、9億9,000万円余り、2億8,000万円余りの増額ということで、これは2027年度に向けて強く推し進めてもらいたいと感じている。まず補正予算の財源はどのように整理され、どのようになっているか。
【理事者】
 このたび補正予算で提案している自動運転高速バスの社会実装に向けた取組の強化に当たっては、国土交通省の地域公共交通確保維持改善事業費補助金のうち、自動運転社会実装推進事業を活用する予定であり、4月下旬に応募していて、5月29日に採択内示を受けているところである。この事業では、国の補助額の上限が最大4億、補助率が5分の4となっているため、補正予算額2億8,100万円余りのうち、国庫支出金が約2億2,500万円、県の一般財源が約5,600万円で議案を提案している。

自動運転高速バスの画像
自動運転高速バス

【委員】
 国も5分の4出してもらえるということで、国を挙げて自動運転の高速バスの実現を進めていく事柄だと思う。自動運転高速バスの2027年度の社会実装を目指すということだが、どのようなステップを踏んでいくのか確認したい。
【理事者】
 レベル4の自動運転で高速バスの社会実装を実現するためには、道路運送車両法、道路交通法、道路運送法の三つの法律について順次許認可等を得ていく必要がある。
 まず、国土交通省が所管する道路運送車両法に基づいて、自動運行装置に係る走行環境条件付与申請を行う必要がある。この申請では、申請された自動運転の車両及び自動運行装置が気象条件や道路環境など、ある一定の環境下において、運転手に代わって適切に運転を実施できるかを審査するものである。
 次に、警察庁が所管する道路交通法に基づく特定自動運行許可申請を行う必要がある。特定自動運行計画とは、自動運転車両の運行に係る計画であり、走行ルート等の運行条件や安全確保措置、遠隔監視体制、事故対応方法等を取りまとめたものである。この申請では、計画の内容が道路交通の安全と円滑を確保できているかを審査するものである。
 さらに国土交通省が所管する道路運送法に基づいて、自動運転の運行ルートを有償の路線として設定するための一般旅客自動車運送事業許可を取得する必要がある。この手続では、高速バスの運行事業者が運送ビジネスとして安全かつ適切に運営できる組織であるか等を審査する。時速80キロメートルで走行する高速バス車両の自動運転の社会実装は全国初となるチャレンジングな取組であり、一つずつこれらの手続を進めて社会実装を目指していきたいと考えている。
【委員】
 国土交通省の案件を二つ、警察庁の案件を一つクリアし、2027年度中の改正を目指すのはかなりチャレンジングだが、ぜひ実現してもらいたいと思っている。レベル4の自動運転高速バスは、日本初の取組だが、懸念としては、普通自動車に関してはレベル5を目指していくことである。他地域において、レベル4の実証実験は行われているが、公道を走ると他車との事故、歩行者との事故はやはり懸念されるところで、責任の所在や損害保険の整理もしていかないといけないと思うが、その点についてはどう考えているか。
【理事者】
 レベル4の自動運転においては、運転手なしで運行することから、事故時の責任は、運行事業者や車両製造者、システム開発者などが負うことになるが、具体的にどのような場合にどの事業者が責任を負うのかという責任分界については、国において検討が続いている現状である。
 こうした中、デジタル庁が2024年5月に公表した報告書において、行政、刑事、民事のそれぞれの責任について、最終的には裁判所が判断を行うものであるが、事故時の責任を判断するに当たり、自動運転に関する保安基準やガイドラインに適合する性能を発揮していたかどうかをポイントとする考え方を示したところである。
 これを受けて、国土交通省の自動運転ワーキンググループでは、昨年5月に自動運転車の製造者が満たすべき安全制度の明確化による安全性の確保や、航空機や鉄道において事故が発生した際に強い権限で調査を行う運輸安全委員会を念頭に置いた事故原因究明、被害が生じた場合の補償などの方向性について中間取りまとめを行っている。
 このように責任分界については国で検討が進められているところであるが、社会受容性の向上や民間事業者の事業展開の判断に当たって重要な論点であることから、国の動向を注視し、民間事業者の具体的な運用に即した法令上の制度になるよう、統一要請の機会などを通じ、国に対して働きかけを行っていく。
【委員】
 国土交通省の案件二つ、警察庁の案件一つをクリアして、併せて運行に関する責任の所在をクリアして、2027年度には社会実装するという非常にチャレンジングな取組だと思うが、国の動向を注視しつつ、かつ積極的に情報を取りにいって、自動運転の高速バスが普及した、社会実装した、事故が起こった、この段階で考えていたら遅い。ぜひ県民の安心・安全のためにもそこを精査し、より前に進めてもらいたい。
 続けて、愛知県カスタマーハラスメント防止条例改正についてである。本県においては令和7年10月1日に、国に先んじてカスタマーハラスメント防止条例が施行されているが、労働者だけではなく、事業者と雇用関係のない者、フリーランスや自営業者に対しても、努力義務としてカスハラ防止措置の実施を行っている。今年の10月から国の法律が変わることによって義務化するということだが、少し先に進めている私たち愛知県民にとっては分かりにくい条例改正になろうかと思う。今回の改正条例についてどのように広報、周知していくのか。
【理事者】
 広報、周知に当たっては、多様な媒体を活用し、県民や事業者などに向け、情報発信していく。具体的には、専用ウェブサイト、あいちカスハラ防止対策ナビに改正内容を、図を用いるなどして分かりやすく説明するページを設け、条例の理解促進を図っていく。あわせて、10月1日の条例施行に向け、ポスターやチラシ、ロゴマークステッカーを改めて作成し、企業などに配布することにより、職場での周知を進めていく。また、今年度は12月の職場のハラスメント撲滅月間に合わせ、新たに、人通りの多い駅構内での交通広告を実施し、条例の認知度向上を図るほか、企業や業界団体に対しては、県政お届け講座などにより改正内容を含めた条例の解説や県の取組について直接説明を行っていく。
 このような取組によって、周知・啓発にしっかり取り組んでいく。
【委員】
 私が初めての質問で少し緊張して分かりにくいかもしれないが、本件は、愛知県が先に条例を施行していて、その後、国が10月1日に労働者を雇用している事業者に対して義務化するという、法律の改正に基づく条例の立てつけの変更である。この条例によって、事業者と雇用関係のない者は努力義務として守られるということなので、愛知県民からすると変わりないことである。労働者、例えばアルバイトだとか会社員の人がカスタマーハラスメントの防止措置の義務化の対象になるにもかかわらず、事業者と雇用関係のない者、フリーランスや自営業者は努力義務のままだと、社会的になかなか強くない、弱い立場の人が取り残されてしまっているような心証を受けてしまうかもしれない。こういった人々を守るために県としてどのような取組を進めていくのか。
【理事者】
 今回の改正は法と条例の整合性を図るために行うものであって、カスハラから保護する対象者の範囲はこれまでと変更はないと考えている。そのため、フリーランスなど雇用関係のない方々が置き去りにならないように、改めて全ての就業者を守る必要があることをポスター、チラシなどにより周知を行っていく。また、カスハラ防止に向けては事業者の取組が重要であるので、フリーランスなどを含めた形で防止対策に取り組んでもらう必要があると考えている。そのため、条例改正に併せて昨年作成した各団体共通マニュアルについても改正を行って、事業者への配布を行っていく。
 加えて、改正したマニュアルを活用しながら、企業へのアドバイザー派遣だとか事業者向け相談窓口での相談対応を行うことによって、事業者の取組を後押ししていく。引き続き、全ての就業者を守るため、カスハラの禁止を社会全体に浸透させるよう、様々な取組を進めていく。
【委員】
 視点を変えて、10月1日以降、例えば会社員でもアルバイトでもよいが、就業している人が被害に遭った場合、その被害相談は恐らく法律の改正だから、労働基準監督署が受けるのであろう。一方で、フリーランスや自営業者は努力義務だから、法と条例の整合性を考えると、一般の労働相談、あるいは民事で法律相談してという形になっていくのかなという印象を受ける。これは今後考えていくことであるが、ハラスメントはあってはならないから、相談体制についても一様に、全ての働いている人、フリーランスやアルバイトの人たちにも門戸を開いてもらいたい。昨年の10月1日から始まったばかりだから、カスハラ防止措置の実施に力点が置かれていると思うが、今後は被害に遭った人をどのように守っていくかという視点もぜひ県には考えてもらって、施策を丁寧に進めてもらいたい。
【委員】
 私からも令和8年6月定例愛知県議会の予算に関する説明書17ページ、経済労働費の2項商工業費、1目商工業振興費のうち、次世代産業振興事業費における自動運転社会実装推進事業費の補正額2億8,127万3,000円について、確認のために質問する。
 まずはじめに、今回の補正予算について、拡充した内容を伺う。令和8年度の当初予算では、約7億1,000万円の予算が計上されていたが、今回さらに約2億8,000万円の補正予算が追加され、総額で約9億9,000万円となったわけである。また、本年3月には中部国際空港と名古屋市中心部を結ぶ高速バスの自動運転化が国の自動運転の社会実装の先行的事業化地域事業に選定されたと説明してもらったとおりであるが、そこでまず伺いたい。
 今回の補正予算では、当初予算と比較してどのような取組を追加、拡充するのか。また、国の事業選定を受けて、どのような取組を前倒し、または強化することとしたのか伺いたい。
【理事者】
 今年度の自動運転実証の当初予算は約7億1,000万円であって、名古屋市都心部、愛・地球博記念公園、中部国際空港周辺の3か所のエリアのうち、中部国際空港周辺で実施する高速バスの実証実験について、当初予算9,500万円余りから2億8,000万円余りを増額して、総額約9億9,000万円となる補正予算案を提案しているところである。
 今年度当初予算においては、知多半島道路側の自動運転区間を昨年度の阿久比インターから大府パーキングエリアに延長したことに伴う実証経費や、60日分の走行に伴う経費を計上していた。昨年度の実証走行を検証した結果、自動運転レベル4の社会実装には、自動運転の安定性や安全性を向上させる高度な車両改造やリアルタイムな道路情報を車両に提供する遠隔監視システムの構築が必要であることが判明した。
 このような中、3月に全国で13地域が選ばれたデジタル庁の自動運転社会実装先行的事業化地域事業に採択され、国の伴走支援や優遇措置が受けられることとなり、国土交通省地域公共交通確保維持改善事業費補助金の採択が見込まれることになった。こうしたことから、当該補助金を活用して2027年度の社会実装を目指して、高速バスの車両改造費や遠隔監視システムの構築等について、前倒しで整備することとしたものである。
【委員】
 先ほども答弁があったかもしれないが、確認のために質問する。
 県では2025年度には安定走行技術の確立、2026年度にはレベル4の許認可に向けた車両改造や遠隔監視システムの構築、リスクアセスメント等を実施し、2027年度にはレベル4の許可申請及び社会実装を目指しているが、高速バスとしては全国初の取組であって、大きな期待が寄せられる一方、安全性の確保が何よりも重要である。
 そこで伺いたい。
 県は現在、2027年度のレベル4社会実装に向けて、どのような課題を認識しているのか。また、その課題解決に向けてどのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
 大型車両による高速バスでのレベル4自動運転の実現は、全国初のチャレンジングな取組であり、より高度な安全性の確保が必要不可欠と考えている。具体的には、昨年度の実証を踏まえ、料金所の約3メートルの道路幅を2.5メートルの車両が安全に通過できる精度の高い自動運転を実現するためのソフトウエアの新規開発やシステム調整に加え、先行する車両から車両規制等の道路環境の変化をいち早く取得し、後続の自動運転車両の円滑な運行に生かすシステム等が必要と考えている。
 このため、今回の補正予算において、自動運転の安定性や安全性を向上させる高度な車両改造や、リアルタイムな道路情報を車両に提供する遠隔監視システムの構築を行うほか、ジャンクションでの合流や電波が入りにくいエリアなど、自動運転車両がルート上で注意すべき箇所を洗い出し、対策を検討するリスクアセスメント等を実施し、レベル4自動運転の申請に必要な計画案に反映させていく。
 2027年度には、一般財団法人日本自動車研究所において、車両の安全性試験を実施した後に、道路運送車両法に基づく走行環境条件付与や道路交通法に基づく特定自動運行許可等の手続を進めていく。
 こうした国による許認可手続を進めながら、運行の安全性だけでなく、乗客の快適性も確保した自動運転の社会実装を目指し、県も事業者と共にしっかり取り組んでいく。
【委員】
 続いて、角度を変えて、地域交通への展開について質問していく。
 自動運転は産業振興のみならず、運転手不足や高齢化が進む中、地域の公共交通を維持するための有効な手段として期待されている。特に中山間地域や交通空白地域ではバスやタクシーの担い手不足が深刻化しており、移動手段の確保が大きな課題となっている。
 そこで伺いたいが、今回の高速バスで得られる技術や運行ノウハウを将来的に県内の地域公共交通へどのように展開していく考えか。また、交通空白地域や中山間地域への活用可能性についてどのように考えているのか伺いたい。
【理事者】
 高速バスの走行環境は歩行者や自転車が除外された環境であり、また、車速や道路の幅などにおいて、中山間地域や交通空白地域の一般道路とは異なった走行環境となっている。このため、交通空白地域や中山間地域においては、このたびの実証で得られる自動運転技術や運行ノウハウについてはそのまま適用はできないが、一方で大型車両を制御する技術やレベル4自動運転に必要な許認可手続のノウハウ等については、社会実装に活用できる可能性があるものと考えている。
 また、高速バスにおいて自動運転の置き換えが進めば進むほど、その分運転手の運転時間が削減され、創出された運転リソースを高速バスのみならず、交通空白地や中山間地域等の公共交通路線の維持に充てることができ、将来的には地域公共交通全体の確保、維持改善に大きく寄与することが期待されるものと考えている。
【委員】
 地域交通への展開についても、今回の実験で得られる部分はしっかりと生かしていけるように取り組んでもらいたい。そうした延長線上として、交通事業者との連携という視点で聞きたい。自動運転の社会実装に当たっては、既存のバス事業者やタクシー事業者との協業が大変不可欠であると感じている。海外では自動運転サービスと既存交通事業者が連携しながら、新たなモビリティサービスを構築する事例も見られている。また、自動運転は既存事業者に取って代わるものではなく、深刻化する人手不足を補完しながら、持続可能な交通ネットワークを維持するための技術であると考えている。
 そこで伺いたいが、県は自動運転の社会実装に向けて、バス事業者やタクシー事業者との連携をどのように進めていくのか。また、将来的な事業モデルについて、どのような姿を描いているのか伺いたい。
【理事者】
 高速バスや都市部でのロボットタクシーは収益性が期待される旅客事業であり、バスやタクシーの民間事業者が社会実装の主体となることが期待されている。一方で、自動運転の社会実装に当たっては、車両運行のみならず、自動運転技術の導入のほか、通信網や遠隔監視体制の構築、事故時の対応、保険など、様々なサービス提供事業者が連携、協働するビジネスモデルを構築していくことが必要である。そのため、県の実証事業では、社会実装を想定した事業体制の構築を事業者に期待しているところであり、今年度の事業では、高速バスではバス事業者が中心となり、自動運転のシステム会社などが連携する体制、名古屋市都心部のロボットタクシーを想定した実証では通信会社が中心になり、タクシー事業者などが連携する体制で実証を進めている。そして様々な事業者が連携して実証事業を行う中で、サービス提供の適切な役割分担を検討し、ビジネスモデルの構築につなげていくこととしている。
 このように県の実証を通じて、バス事業者やタクシー事業者が参画する自動運転のビジネスモデルの構築を支援し、社会実装につなげていきたい。
【委員】
 最後に、愛知県の産業戦略と将来像について聞かせてもらいたい。
 アメリカではウェイモ、中国ではバイドゥやポニー・エーアイなどが商用サービスを展開し、自動運転を軸とした新たな産業や都市サービスの創出が進んでいるところである。一方で、本県には世界有数の自動車メーカーや部品メーカー、ソフトウエア、AI、通信関連企業が集積しており、自動運転の社会実装は本県産業の競争力強化にも大きな可能性を有していると感じている。
 そこで最後に伺いたいが、県は今回の高速バスのレベル4をはじめとする自動運転の社会実装を契機として、産業振興やまちづくりをどのように進め、どのような愛知県モデルを構築しようとしているのか。また、国内外に向けてどのような価値を発信していこうとしているのか、県の考えを伺う。
【理事者】
 自動運転は次世代自動車のキーテクノロジーの一つであり、その実現にはセンサーやカメラ等の部品や高度なソフトウエア等の開発が不可欠である。また、運転から解放された車内での新たなサービスの提供など、自動運転に関連する様々な新規事業の創出なども期待されることから、県として自動車産業はもとより、県内の幅広い産業の振興につながる取組として自動運転を推進している。
 また、高齢化や人口減少が進展している地域では、移動手段や物流の確保に課題が生じている中で、自動運転に対する期待が大きいほか、高度な自動車安全技術による交通事故の低減など、地域における社会課題を解決し、安心で安全なまちづくりにおいても自動運転が果たす役割は大きいと考えている。そのため、県としては県内産業の競争力と併せ、まちづくりにおける社会課題の解決との両立を果たすような社会実装モデルの構築を目指し、取組を進めているところである。
 その実現に当たっては、民間事業者はもとより市町村や大学など、幅広い関係者の連携と協働が必要であることから、県による実証事業に加え、この地域の産学行政148者が参画するあいち自動運転推進コンソーシアムにおいて、企業、大学等と市町村とのマッチング等により、県内各地における自動運転の社会実装を促進するとともに、その成果を広く発信、普及していく。
【委員】
 産業振興や地域交通、社会実装を中心に質問したが、先ほどの答弁にもあったように、愛知県は毎年交通事故死者数のワースト上位が続いており、県政の大きな課題として交通死亡事故ゼロを目指している。アメリカではウェイモが公表したデータによると、人が運転する車両と比較して重大事故や負傷事故の発生率が大幅に低減したとされている。また、中国においてもロボットタクシーの商用運行が拡大している。自動運転は単なる新産業ではなく、交通事故の約9割を占める人的要因の削減、高齢ドライバー問題への対応、また、飲酒運転や居眠り運転の防止、安全運転支援技術の高度化にもつながるため、交通安全政策と産業政策を結びつけるものである。引き続き県民の命を守る技術としてしっかり活用してもらうことを期待して私の質問を終わる。
【委員】
 関連で二点確認する。レベル4の実証とは、運転席に誰もいない状態で運行するということか。
【理事者】
 運転席に運転手はいないが、レベル4自動運転車両においても、緊急時には、乗客を誘導するなどのために保安員を配置することが求められており、その保安員が運転席や助手席に乗ることはある。
【委員】
 もう一点、遠隔監視はどこでするのか。緊急時の対応について尋ねる。
【理事者】
 遠隔監視の場所については事業者が設定し、運行センターなど様々なところがあるかと思う。
【理事者】
 まず遠隔監視をどこで行うかに関しては、今回の高速バスの事業は民間のバス事業者が実装主体と考えているので、バス事業者が運行の管理を行うところに設置されることになると思っている。
 それから、事故時の対応について、先ほどの理事者からも説明があったが、自動運転レベル4は、運転席は無人であっても、運行主任者や事故時の対応として保安員を置く必要があると定められている。その保安員や特定運行主任者は、運行主体、今回の場合だと社会実装の推進主体と想定しているバス事業者が配置するものである。もし仮に事故があった場合は、バス事業者が一義的な責任を負うので、事故時の対応もバス事業者が対応していく整理になると考えている。
【委員】
 保安員が配置されるため、緊急時やシステムエラーが起こったときなどは対応してもらえると思うが、乗員の不安を解消するための方策は取っておかなければならないと思う。それは運行事業者に頼るだけではなく、この実証を行う県として、運行事業者にしっかりと依頼していかなければいけないと思う。レベル4での高速バスの運行として、高速道路、公道を走るので、ほかの車のヒューマンエラーによって、高速バスに何らかの影響が与えられることも懸念される。そういったところはしっかりと事前に検討しておいてもらいたい。自動運転が進むに当たって、ヒューマンエラーとシステムエラーでは、どちらのエラーが少ないかと言ったら、システムエラーのほうが少ないとは思っているが、これを全国に先立ってやるということであれば、そういったところもしっかり検討しておいてもらいたい。

請願関係

なし

一般質問

【委員】
 私からは、3問質問する。
 まずはじめに、スタートアップ推進について伺う。
 本県がスタートアップ推進に力を入れる理由、これはモノづくり立県である本県の強みである自動車産業が100年に一度の大変革期を迎えているからである。AI、自動化、電動化と技術革新は急速に進み、新しい競争ルールで新しいライバルたちと勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬかの戦いが始まっている。引き続き、本県が競争力を維持し、日本、そして世界をリードしていくためには、スタートアップを起爆剤にしてイノベーションを引き起こし、成長のための知見やノウハウを蓄積、拡張させていくことが不可欠である。
 しかし、私は本県がスタートアップ推進にかじを切る意味は、誰もが何度でも挑戦していける土壌づくりだと考えている。私は日本社会の気持ち悪さを一部感じている。一度の失敗も認めない、失敗を社会全体でたたく、一度失敗すればなかなか再挑戦が許されない社会的な土壌に気持ち悪さを感じている。どんどん挑戦しよう、失敗を恐れずやってみよう、しかし失敗したらたたかれる世の中では挑戦していこうという気持ちも起きない。かく言う私も子供に何でもやってみようと言いながらも、失敗すると何でそんなことをしたんだとついつい言ってしまうこともある。どうして失敗したか一緒に考えよう、次に同じ失敗をしないためにはどうしたらいいんだろうと寄り添い、子供たちが挑戦し続けられるようにしていく必要があると感じている。
 私がこう感じる理由は、アメリカのオースティンでスタートアップの現場を見てきたからである。アメリカに行って一番感じたことは、失敗を許さない日本と、失敗する余地を与え、何度でも挑戦するチャンスを与えるアメリカとの違いだった。挑戦し、失敗するからこそ課題が見え、次の手が打てる。これを繰り返すことで成功に近づく。失敗は成功のもとというが、成功するための糧として何度でも挑戦する機会を与える土壌が至るところにあると感じた。
 その違いはどこにあるのか。ある調査によると、日本で起業が少ない原因として、失敗に対する危惧、身近に起業家がいない、学校教育が上位に挙げられる。アントレプレナーシップ教育は、自ら社会課題を見つけ、課題解決に向かってチャレンジしたり、他者との協働により解決策を探究したりすることができる知識、能力、態度を身につける教育である。日本のアントレプレナーシップ教育の受講者は1パーセントと言われており、日本の起業家が少ないことにもつながると考えられている。若い世代からチャレンジする発想を持ち、課題解決に向き合う姿勢の醸成は、スタートアップ推進を図る本県にとっても必要なことと考える。
 しかし、一方で実はモノづくりを中心に発展してきた本県にも元からすばらしい考え方があり、ある自動車メーカーの人から過去に言われたことがとても印象に残っている。モノづくりには失敗することにかけるお金と労力が必要であり、よい素材を使っているものがよいものとは限らない。失敗を知って乗り越えたものなら、それこそがよいものだ。何度失敗してもよいものをつくろうというチャレンジングな気持ちがこの県をモノづくりの県にしてきた。この考え方は決してアントレプレナーシップと相たがえるものではないと私は考える。
 しかし、起業家精神というと、どこか遠くに感じるかもしれない。私たちは決して起業家精神がないと自虐し、嘆くのではなく、私たちの精神性と合わせて挑戦し続けられる土壌を若い世代から落とし込んでいかなくてはならないと考える。
 しかし、私はスタートアップの土壌、誰もが何度でも挑戦していける愛知県の土地を育てようとしたときに、資金調達の在り方も大きく関係すると考えている。
 そこでまず、本県のスタートアップ支援の融資制度の形について教えてほしい。
【理事者】
 スタートアップを対象とする県の融資制度として、経済環境適応資金、創業等支援資金を実施している。本資金では、これから事業を開始する、または事業開始後5年未満の創業者のほか、過去に自らが営んでいた事業に失敗し、再チャレンジを図ろうとする創業者等を融資対象としていて、2025年度の融資実績は計2,996件、約202億円となっている。一般的に資金調達が難しいと言われるスタートアップの資金繰りを支援するため、本県では、創業等支援資金の融資利率を県の融資制度の中でも最も低く設定している。
 これに加えて、さらなる支援措置として、県が行うスタートアップ支援事業の支援を受けた者については金利0.3パーセントの追加の引下げを実施している。
【委員】
 ベンチャーキャピタル(VC)やコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)、エンジェル投資家など、民間主導で進められるアメリカのスタートアップ支援と、行政や民間金融機関が中心になって進められる日本のスタートアップ支援がある。アメリカのVCやエンジェル投資家は出資を行う。一方、日本のスタートアップ支援は民間金融機関や行政による融資に依存しがちである。この資金の性質の違いが再挑戦の難易度に直結すると考える。アメリカのVCは将来の構想や成長性に投資するが、日本の民間銀行は過去の実績と返済原資の確実性、つまり担保や自己資金を審査する。一度失敗した経営者は手元の自己資金を失っていることが多く、過去の実績も赤字、破綻というマイナス評価からのスタートになり、銀行の減点方式の審査書類において、これらを覆し、将来性があるから貸すと判断できる材料は現在の日本の民間銀行にはほとんどないのではないかと考える。
 アメリカのVC主導のエコシステムは失敗の知見を資産とみなし、何度でも挑戦を許容するシステムである一方、日本のスタートアップ支援は、金融機関の融資や行政の保障が中心であるため、1回の失敗が金融機関にとっての貸倒れ損失となり、経営者個人の連帯保証、自己破産へと直結する。結果として銀行の減点主義的な審査構造と社内ブラックの仕組みが挑戦者の経済的・社会的生命を絶ってしまい、日本において何度でも挑戦できる土壌が育たないという構造的な要因となっているとも考える。
 こういった背景がある中で、日本ではVCが育たない、育ちにくいという側面があると思う。その中でも、私は県自身も出資者となっているSTATION Aiセントラルジャパン1号ファンドに注目している。この1号ファンドはどのような効果が出ているのか伺う。
【理事者】
 STATION Aiセントラルジャパン1号ファンドは、STATION Ai会員スタートアップの資金調達を支援するため、STATION Aiの管理運営を行うSTATION Ai株式会社とソフトバンクグループ株式会社の100パーセント子会社である株式会社ディープコアを共同運営者として、2022年5月に設立した。本ファンドは、2026年5月末時点において27社30件の投資を実行している。このうち、国内の狭小空間用途に特化した小型ドローンの開発等を行う株式会社Liberawareが2024年7月に東証グロース市場に新規上場するなど、着実に成果を上げている。また、本ファンドには3億円を出資するソフトバンク株式会社に次いで、愛知県が2億円、名古屋市が1億円をそれぞれ出資し、県内企業を中心に計15社から総額15億円を出資してもらった。この組成に当たっては、県自らがファンドに出資することで、呼び水効果として県内企業からの出資を誘引できた。さらに、出資した県内金融機関から投資先スタートアップに対する支援の充実や、県内事業会社と投資先スタートアップとの協業促進につながることも期待できると考えている。
【委員】
 この1号ファンドには、30件の実績や市場上場も果たしたことで、非常にこれからの可能性を感じている。行政主導の中でも民間的な発想で挑戦していこうという素地を愛知県としてもやっていくんだという意気込みが感じられた。
 スタートアップの視察に行ったアメリカでは、テキサスに行った。音楽やアート、タコスを片手に、とても気軽で堅苦しくない雰囲気の中でビジネスをして、みんなとすぐにつながれる、そんな雰囲気を持った場所がテキサスであった。同時に、テキサス州はビジネスに最適な環境を整えることで多くの企業の移転や企業の創出を生み出し、結果として、人口が増え、経済発展にもつながっていた。テキサス州オースティンで毎年3月に開催される世界的な大規模複合イベント、サウス・バイ・サウスウエストは音楽や映像、最先端の技術を発表共有する場となっており、世界中から約40万人のクリエーティブな人たちが集まる。インスピレーションと発見、そしてそれぞれのゴールを達成するプラットフォームとして成長し続けている。ライブ、映画、アート、展示会、セッション、ピッチなどセレンディピティなネットワーキングの場となっており、その経済効果は380億円とも言われている。
 街中をフィールドに、文化やその土地の生活自体と融合するこのサウス・バイ・サウスウエストを参考に、本県でもテックガラジャパンの第3回目が今年度企画されている。サウナやカラオケなどのサイドイベントも多数企画されているようであるが、他のイベントとの違いを含めて、これまで2回開催したテックガラジャパンについてどのような効果が出ているのかを伺う。
【理事者】
 テックガラジャパンは、基調講演やパネルディスカッション、商談会、サイドイベントなど、多岐にわたるコンテンツで構成され、2025年2月の初開催では22の国と地域から5,000人を超える人々が参加し、800件を超える商談が成立した。さらに、2026年1月に開催した第2回では、39の国と地域から5,500人を超える人々が参加し、1,000件を超える商談が成立するなど、着実に広がりを見せている。本イベントはほかの国内イベントと比べ、事業会社の参加比率が多い傾向にある。このうち第2回では、トヨタ自動車株式会社や株式会社アイシンをはじめとするこの地域を代表する製造業の事業会社などと、国内外のスタートアップとの数多くの商談につながったことから、この地域から新たなイノベーション創出が期待できると考えている。
 今年12月に開催する第3回のテックガラジャパンでは、参加者数の増加を図るとともに、事業会社やスタートアップがより多くの商談機会を得られ、さらに実利につながるイベントとなるよう取り組んでいく。
【委員】
 昨年は39の国、そして5,500人を超える人、また、商談も1,000件以上ということで、非常に商談のしやすい、環境設定が進んでいることを改めて感じた。本県の得意とするモノづくりとスタートアップの掛け算が可能性を広げていくことも期待する。
 また、これらだけではなく、海外への事業展開はスタートアップにとって市場を広げることにつながる。住みやすい環境や税制、VC、情報を得るために高い賃金を払ってでも、そこに事務所を構えるスタートアップがある。少しでも有利な状況で海外の市場に活路を見つけるため、海外展開を望むスタートアップは少なくない。しかし、シード期の研究開発型スタートアップ支援事業の採択者へのアンケートによると、実際に海外進出ができているのは僅か18パーセントとの数値が出ている。海外展開における課題は情報、販路、信用、経験、現地パートナーが不足していること。また、言語、規制、監修、文化など、政府、関係機関も含めた関係性構築が難しく、海外PE、グローバルVCの誘致、海外日系VCの活用など、現地の有力支援者との連携が重要である。また、国内人材に国際経験を積ませるだけではなく、現地のスタートアップ等との協業や、現地での人材採用、育成も強化する必要があり、課題は多岐にわたると考える。
 そこで市場に規模を広げ、挑戦する可能性を広げる意味でも、本県スタートアップの海外への事業展開の支援がさらに必要だと考える。現在8か国20のスタートアップ支援機関や大学と連携して、国別のスタートアップ支援プログラムなどを提供しているが、その成果と支援状況について伺う。
【理事者】
 本県スタートアップの海外への事業展開支援に関して、8か国20の支援機関と連携しながら、県内スタートアップを支援するために、各国展示会への出展支援プログラムなどを提供している。海外展示会への出展支援は、新たな市場を開拓し、大きくスケールアップするスタートアップの創出を行う観点から重要な取組と認識しており、この3年間で、アメリカ、シンガポール、フランス、中国、韓国の5か国へ延べ50社の愛知県のスタートアップの出展支援を行った。
 具体の支援内容としては、本県が委託しているコンサルティング会社から出発前に当該国の市場や競合企業の調査、現地への渡航安全情報等の情報を提供し、さらには、事前のビジネスマッチングのアポイントの支援も実施している。現地においては、展示会におけるブース出展やビジネスマッチングのほか、スタートアップがピッチイベントを通じてPRできるようにすることで、スタートアップの事業拡大を支援している。
 支援プログラムに参加したスタートアップからは、例えば2026年3月開催のアメリカ・テキサス州オースティンでのサウス・バイ・サウスウエストには3社の県内スタートアップが出展したが、各社5社程度のビジネスパートナー候補と出会うことができ、製品の販売や実証実験につなげることができたという声があったほか、海外での認知度向上はもちろん、製品、サービスの評価、さらには価格設定など、現地に行って初めて分かる海外市場の相場感を探ることができたとの声があった。
 今後も本県の連携先である8か国20機関のスタートアップ支援機関等と連携して、引き続き本県スタートアップの海外展開の支援を実施していく。
【委員】
 8か国20のスタートアップ支援機関等との連携により、2026年のサウス・バイ・サウスウエストでも3社が各5社と出会うという非常に前向きな成果を得た。中には出展に至らない事業もあったと思う。そういったときにも、すぐに撤退するのではなく、可能性を改めて広げておく、門戸を広げておくという意味で、短絡的な結果に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で取り組んでもらえればと思っている。
 起業という挑戦を通じて得た知見や市場を見る目、戦略を立てる力、乗り越えてきた課題の数々、その全てが次の選択肢を広げていくと考える。起業経験や失敗を価値と捉え、失敗からの再起業を投資や融資からも応援し、誰でも何度でも挑戦できる、そんな土壌づくりにつなげてもらうことを切望して、1問目を終わる。
 続いて、観光に関して質問する。
 愛知県の最大の天然資源は、先の一般質問でも質問したが、文化であると私は考えている。戦国三英傑、熱田神宮に象徴される古代からの精神文化、有松絞り、常滑焼、瀬戸焼に受け継がれる職人の手仕事、奥三河の霜月神楽をはじめとする神事と祭礼。これらは何百年、何千年という時間が堆積してできた文化の地層であると考える。
 しかし、今この地層が静かに失われつつある。特定の集落にだけ伝わる盆踊りの型、山あいの神社で数十人が集まる小さな神事、1人の老職人の手の中にしか残っていない染めの技法。こうした名もなき文化は観光パンフレットにも載らず、文化財の指定も受けないまま、担い手の高齢化とともに静かに消えていこうとしている。
 しかし、視点を変えれば、これこそが最も希少価値の高い資産だと考える。世界中どこを探しても同じものがない、再現できない、その土地の時間と人間の営みが凝縮されたものだからである。問題は、当の地域住民がそれを価値と気づいていないことだと私は考える。レアメタルも評価する目がなければ、ただの土くれである。しかし、外からのまなざしによって価値が顕在化した瞬間、それは戦略的な資産となり得る。国のクールジャパン戦略が示すように、IP産業は既に5兆円規模に達し、2033年には50兆円を目指すとされている。製造業が原価を積み上げ、薄い利益を削り合うのとは異なり、価値と物語への共感が価格を決めるのがIP産業の特性である。鉄は力なりの時代から文化が力なりの時代へ変わってきた。愛知県はその原石を豊富に持っていると考える。
 こうした埋もれた文化資源を掘り起こすために、二つのアプローチが必要だと考える。
 一つ目は、よそ者の目による価値の可視化である。外部のクリエイターや研究者が地域に入り、地元では気づかなかった価値を照らし出す。外から人が訪れ、これはすばらしいと言う。その積み重ねが地域住民自身の誇りと愛着を育て、文化継承の動機にもなっていく。
 もう一つは交流人口、関係人口の拡大である。移住までは踏み切れなくても、特定の地域の文化や風土に深く共鳴し、継続的に関わり続けたいと思っている人々が都市部には確実に存在している。祭りの手伝いに毎年訪れる、職人の仕事を記録しに通う。そうしたまちへの関わりしろを意図的に設計し、関わりたい人と地域をつないでいくことが重要だと考える。訪れるたびに地域への理解と愛着が深まり、その人たちが地域の魅力を自ら発信する担い手にもなっていく。観光による一度限りの消費で終わらせず、継続的な関係へと育てていくことが文化の継承、地域の活性化、また、観光施策を同時に実現する道筋だと考える。
 そして、この二つのアプローチは、インバウンド誘客とも深くつながっている。外からのまなざしで価値が顕在化し、交流人口が地域の魅力を世界に発信することで国内外から人が集まる好循環が生まれる。守ることと産業化することは決してトレードオフではなく、むしろ相互に強化し合うものだと考える。
 こうした考えの下、観光コンベンション局に対して二点伺う。
 まずはじめに、まちに埋もれている価値を違った視点で発掘するために行っている取組について伺う。
【理事者】
 まちに埋もれている価値を様々な視点で発掘するため、本県では、公募で集まった人々がグループワークにより愛知県の隠れた魅力を掘り起こし、観光コンテンツを造成する観光まちづくりゼミを開催している。今年度は、当初定員の50人を大幅に超える108人に応募してもらい、応募者全員に参加してもらうこととした。今年度の特徴として、応募者のうち約半数が大学生や高校生であり、また、観光業界以外の業種の人や、県外在住の人からも応募してもらっている。こうした若者やよそ者の新鮮な目により、県内の隠れた魅力や地域資源の掘り起こし、磨き上げを行ってもらい、ユニークな観光コンテンツ造成につなげていく。
【委員】
 観光まちづくりゼミは、よそからの視点を入れて、新しい観光施策に取り組んでいこうという施策だと思う。
 続いて、先ほどからも繰り返しているとおり、文化が愛知県の最大の天然資源であるという切り口で、先の議場で一般質問した。体験型ツーリズムの高付加価値化、多言語でのストーリー性のあるコンテンツ制作、アイチカルチャーエキスポートとも呼べる海外展開の専門体制の整備、そして原価積み上げ型ではなく価値と物語に基づいた国際水準の価格設定を支援する仕組みを県として整備すべきではないかと要望した。改めて当委員会においても、インバウンド誘客の視点から、ストーリー性のあるコンテンツ制作や体験型ツーリズムの高付加価値化への取組について伺いたい。
【理事者】
 現在、訪日リピーターが増加している中、外国人旅行者の関心は多様化し、そこでしか体験できないコンテンツのニーズが高まっており、そのニーズに応えていくためには、その土地に根差したストーリー性、また、特別な体験などの高付加価値化が重要であると認識している。
 このうち、その土地に根差したストーリー性を重視した取組としては、愛知「発酵食文化」振興協議会では、発酵食のうまみはもとより、発酵食にまつわる歴史や風土、文化などのストーリーも合わせた魅力を多言語で発信している。また、発酵食文化の魅力を体験できるように、受入環境の充実に向けた蔵元などへの伴走支援や、その魅力を外国語で伝えることのできるガイド人材の育成にも取り組んできている。
 一方、高付加価値化の取組としては、主に富裕層の旅行者向けに特別な体験のできるコンテンツの造成に取り組んでいる。これまでに抹茶の生産現場の見学と、茶道体験や、香りを楽しむ香道体験と料亭での昼食、国宝犬山城を望む貸切遊覧船で食べる日本料理と地酒のペアリング、豊橋の手筒花火観賞など、魅力ある地域資源を生かして高付加価値化に取り組んできた。
 今後も、歴史、産業、文化、食などの地域資源を生かし、ストーリー性、また、高付加価値を重視したコンテンツづくりを進め、インバウンドの誘客に取り組んでいく。
【委員】
 埋もれた文化資源を掘り起こし、その地域を守ることと産業化することを同時に進めていきながら、愛知県の魅力を発信していってもらえればと思う。
 続いて最後に、働き方改革について質問する。働きたい人が働けるように、一律ではなくいろいろな働き方を認める形で、現在施行されている働き方改革関連法では、残業時間の上限を原則月45時間、年360時間として、休日労働を含めても月100時間未満にするように求められている。人口減少が続く中で、企業の人手不足は深刻になっているが、残業規制が強化されたことで、それに拍車がかかっている。こうした状況を受け、産業界などから残業の上限規制の緩和を求める声が上がっている。
 少し時系列で追いながら話をしたい。昨年の参議院選挙から、働く人が安心して挑戦でき、個人の意欲と能力を最大限生かせる社会を実現するため、働きたい改革を推進すると公約に掲げられた。労働時間の圧縮が焦点になった働き方改革ではなく、もっと働くことができる働きたい改革へとかじを切ろうというものだった。高市早苗総理が総裁選勝利の後に、働いて働いて働いて働いて働いて参りますという言葉が流行語大賞にもなったとおり、昭和世代は家庭を顧みることなくがむしゃらに働くことで日本経済を復興、成長させてきたという自負を抱いていると思っている。この四半世紀の日本経済の凋落は日本人が働かなくなったことに一因があるという疑念を持っている人も多いのではないだろうか。
 安倍内閣が2016年に打ち出した働き方改革は、人口減少によって労働投入量を増やせなくなる日本で成長を実現するには、労働者一人一人の生産性を上げることが不可欠という考えから出発した。解雇ルールの法定化などによって労働移動を促進し、より生産性の高い業種に人材を移していこうという発想も盛り込まれていたが、解雇規制の緩和には抵抗が強く、打ち出すことができなかった。一方で、同じタイミングで株式会社電通の新入社員過労自殺が労災認定された。国民の間に長時間労働批判が一気に高まり、結果、働き方改革は時間外労働の規制強化へと変質してきたと思っている。産業界が強く反発していた月の残業上限100時間未満の規制を首相自身が政治決着させ、中には、働き方改革ではなく働かない改革になってしまったとつぶやく人もいたと聞いている。
 安倍内閣は女性活躍促進を掲げ、女性従業員が出産や育児で中途離職するのを避けるために産休や育休の拡充を行った。一方で、人生100年時代を掛け声に高齢者の就業も支援し、65歳以上の高齢者の就業者は900万人以上となり、急増した。労働投入量を増やすことで人手不足を解消し、経済成長につなげようとしたということである。だが、それ以降も少子化はさらに深刻化し、岸田内閣では新しい資本主義を掲げたが、労働政策については、生産性を上げるために労働移動を促進するという当初の安倍内閣が目指した方向に落ち着いた。なかなかその効果が上がらない一方で、人手不足はさらに深刻化している。企業は中途採用や定年の延長、外国人労働者の雇用拡大などで乗り切ろうとしているが、状況は厳しさを増している。
 そんな中で出てきたのが、残業規制を緩めてほしいという要望だと理解している。外国人労働者の拡大にかじを切ろうとした矢先、世論には移民反対、外国人排斥の風潮が広がり、企業として移民拡大を訴えることはできない。目先の人手不足を補うには残業を認めてもらうしかないということだと理解している。過去、アメリカのグーグル・クラウド本社に行った際、組合も働き方改革もないことに驚いた。しかし、そこで働く数万人の社員はそれを当然として働いていた。自分は何者かになるためここで仕事をしていて、常にライバルと切磋琢磨し続ける。休みたければ休めばいい。会社としてはとことん働きたい社員が働けるよう環境を整える。24時間いつでも無料で食べられる社員レストランや、水泳をやりたい人にはプール、バスケがやりたい人にはバスケットコート、同じように野球場やサッカーコートなどが整備されていた。ゲームやビリヤードなどのあらゆる娯楽も用意されており、日本の働く環境との違いを感じた。国としての競争力の違いも感じた。成功している人は人の何倍もの努力や仕事量をこなしていることを、大概の人は仕事やスポーツなどの成功者から学んでいる。しかし、日本人は働かない選択を自らし、成長の機会を国の制度として逃がしている気がする。
 そこで、まず一点目である。2018年に働き方改革関連法が公布され、県としてもこれまで労働時間削減など働き方改革の推進に取り組んできたことと思うが、これまでどのように取り組んできたのか伺う。
【理事者】
 県では、国の働き方改革関連法に基づき、労働時間の削減や多様で柔軟な働き方の実現を目指し、継続的に取組を進めてきた。2017年に実施した働き方改革推進に向けた経済団体への要請を皮切りに、2019年度からは、中小企業を対象に、労働時間削減に向けた人事・労務管理の方法など、複数のテーマの中から企業ニーズに合った講義を選択することができるサポートセミナーを実施している。さらに、自社の働き方改革を進めるには他企業の取組も参考となるため、他の参加企業などと対話しながら、課題の解決策を考えるワークショップも開催している。
 また、2023年度からは働き方改革の取組の一つとして、休み方改革にも積極的に取り組んでいる。具体的には、年休の取得や多様な特別休暇の導入を積極的に推進している中小企業を愛知県休み方改革マイスター企業として認定し、多様で柔軟な働き方が選択できる職場環境づくりを進めている。今年度についても、このような取組を引き続き実施していく。
【委員】
 現在国では、労働時間上限規制や裁量労働制の対象拡大等について議論を実施しているが、国の動向を踏まえ、働き方改革を今後どのように進めていくのか伺う。
【理事者】
 国においては、昨年3月から日本成長戦略会議の労働市場改革分科会の中で議論を行っており、6月の取りまとめでは、労働時間法制等に係る政策対応については、夏以降の労働政策審議会において議論を行う必要があるとされている。また、取りまとめの中では、厚生労働省において働き方改革関連法施行後5年の総点検を行ったところ、労働時間について、今のままでよいとする労働者が6割、減らしたい労働者が3割に上った一方、労働時間を増やしたい労働者も1割存在したとも報告されている。国はこの調査結果を踏まえて、今後労働政策審議会の中で幅広く議論を行っていくと思われるので、県としては引き続き国の動きを注視していく。
【委員】
 このままでよいという人が6割、減らしたいという人が3割、そして1割の人は増やしたいということで、現在の日本が、労働時間の削減に少しかじを切っている、ウエイトが寄っているという感じを受けている。
 我が国は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、育児や介護との両立など、働き方のニーズの多様化などの状況に直面している。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲、能力を存分に発揮できる環境をつくることが重要な課題になっている。働き方改革はこの課題の解決のため、働く人の置かれた個々の事情に応じ多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く人一人一人がよりよい社会の展望を持てるようにすることを目指している。心や体の健康、家族との時間など、様々なメリットがある一方で、労働時間規制の一律な押しつけは労働者の働く権利や成長を縛り、労働者の選択肢や機会を奪う権利侵害にもなり得るため、より多様な働き方を進めてもらうことを要望して終わる。
【委員】
 先ほどの委員からインバウンド誘客についての質問があり、伝統的な基軸を守りながら、新機軸も生み出して、インバウンド誘客を増やしていくという答弁があったが、私からは、愛知県におけるインバウンド誘客がコロナ禍後どのように変化して、全国的にどのような位置にあるのかを確認したい。
 今月、名古屋市の栄にザ・ランドマーク名古屋栄、来月にはコンラッド名古屋がオープンする。ほかにも、名古屋市だけではなく愛知県には魅力的な観光コンテンツがあり、かつモノづくり産業、観光ビジネスということで、訪日外国人観光客、宿泊者数が伸びる潜在的余地は非常に大きいものと考えている。
 コロナ禍においてインバウンドの宿泊者数は全国的に大きく減少し、その後、回復してきていると思うが、全国的にみて愛知県は難しい推移にあるのではないかとも言われている。
 そこで確認したいが、コロナ禍後のインバウンドの本県の状況、また、全国、東京都、大阪府、京都府と比較して本県はどのような位置にあるのか。
【理事者】
 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、昨年の本県の外国人延べ宿泊者数は、コロナ禍前の2019年比で34パーセント増の延べ約486万人泊となっている。全国の状況については、2025年の全国の外国人延べ宿泊者数は、2019年比54パーセント増、泊数としては約1億7,787万人泊となっている。東京都については103パーセント増、京都府は56パーセント増、大阪府は35パーセント増となっている。
【委員】
 今、泊数まで答えてもらったので簡単に整理すると、全国は2019年比154パーセントで、愛知県は134パーセント、東京都が203パーセント、京都が156パーセント、大阪府が135パーセントである。大阪府、愛知県は同じ水準でコロナ禍前より3割以上増えているが、一方で全国平均は5割増である。東京都は203パーセントで倍になっている。その上で伺う。愛知県はあいち観光戦略を基軸にインバウンド誘客が増えるように日々努力しているが、その数値目標と比べて現状どのようになっているか。
【理事者】
 あいち観光戦略においては、外国人の観光入込客数を数値目標として掲げている。計画の最終年度の2026年の目標値として、外国人の観光入込客数380万人回を掲げている。この外国人の観光入込客数については、一昨年、2024年実績では256万人回となっている。また、あわせて2026年の目標値として、外国人旅行者の観光消費額3,040億円を掲げている。この外国人旅行者の観光消費額は、2024年の実績で3,060億円と、最終年度の目標値を前倒しで達成している。
【委員】
 インバウンドの目標数値の達成状況について、観光消費額はもう既に達成しているが、観光入込客数はまだということである。2026年度、今年度を含んでの計画であり、2027年からの計画は、今後、つくらないといけない。全国各地でインバウンドの誘客に取り組む中、愛知県といえばモノづくり産業の印象が強いが、決して観光コンテンツも負けていないと思う。本県へ誘致を図っていくために、海外の人に対する情報発信は非常に大切だと思っているが、どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
 現在、インバウンドの旅行形態は個人旅行が主流であり、SNSへの情報収集、ウェブでの申込みが多くなってきている。本県では公式観光ウェブサイトAichi Nowやインスタグラム、フェイスブックなどのSNSで、多言語で情報発信を行っているところである。また、個人旅行者が主に利用するオンライン・トラベル・エージェント(OTA)と連携したプロモーションにも取り組んでおり、昨年度はOTAのウェブページに本県の特設サイトを設けて、コンテンツの販売促進に取り組むとともに、インフルエンサーを活用したプロモーションにも取り組んでいる。
 そのほか、海外の旅行会社からの依頼により国内の旅行手配を行うランドオペレーターを招請しての視察ツアーや、県内観光事業者との商談会を開催するほか、海外の旅行博への出展といったプロモーションにも取り組んでいる。
 今年度についても、引き続き、OTAと連携したプロモーションをはじめとして、国内外でのプロモーションを展開していきたい。
【委員】
 個人に対して訴えることと、旅行会社に対してプロモーションを進めていくという答弁だったと思う。先ほどの委員の質疑の中にもあったように、愛知県にはコンテンツがあるので、伝統あるものを組み合わせて、より誘客を増やしてほしい。今答えてもらったことはほかの都市も同じように行うわけだから、そうすると競合する。例えば、先ほどの最初の問いで全国154パーセントといったときに、東京都は203パーセントである。東京都の外国人延べ宿泊者数は6,000万人泊で、本県は486万人泊である。この差はどこから来るのか考えたときに、ビジネスで東京都を訪れる人はもちろん多いとは思うが、愛知県もビジネスは盛んである。一方、京都は156パーセントだから、京都まで近づけていって、いずれは抜いて、全国平均は超えていくように、2027年度からの新しい観光戦略にぜひ気合を見せて取り組んでもらいたい。
 次に、リスキリングについて伺いたい。2040年の就業構造推計によると、労働需給のミスマッチが生じていて、AIやロボット等利用人材を含む専門職や現場の人材は不足する。先日の我が会派の代表質問に対して答弁してもらっているが、このリスキリングに対して、先の就業構造推計に見られる傾向を踏まえて、県立高等技術専門校における具体的な見直しはどのように進めていくつもりか。
【理事者】
 まず、学び直しの機会を広げるため入校時期を見直していく。現在、離転職者向け訓練の多くは4月と10月に開講しているが、離職や転職の時期は人それぞれであって、必要なタイミングで訓練を受けられる環境づくりが重要である。
 そこで、2027年4月からは各校における訓練の開講時期を分散させることで、年間を通じて受講しやすい仕組みへ改めていく。例えば、溶接技術者を育成する名古屋高等技術専門校のメタルクラフト科は6月と12月の入校とし、また、機械設計技術者を育成する三河高等技術専門校の3Dモデリング科は8月と2月を入校時期とするなど、離転職者の人々が必要な時期にモノづくり分野の訓練を受講しやすい環境を整えていく。
 次に、訓練内容の見直しである。本年5月に策定した第12次愛知県職業能力開発計画に基づいて、企業の人材ニーズ、現場で必要とされるデジタル化に対応したスキルをモノづくり分野の訓練に積極的に取り入れるなど、見直しを進めている。その一例として、2025年度に開設した建築物施工科では、施工技術や施工管理、CAD製図に加え、BIMの基礎を学ぶ講座を導入している。BIMとは、建物の設計から施工、維持管理までの情報を3次元モデルで一元的に管理するデジタル技術であり、建設業界で今後さらに活用が進むことが期待されている。
 また、2026年度に開設したモノづくりチャレンジ科では、機械加工技術に加え、電気・制御や電気工事、DXやネットワークなどの基礎知識を学べるカリキュラムを導入している。これにより製造業の多様な人材ニーズに対応するとともに、デジタル化が進む生産現場で活躍できる人材の育成を図っている。
 今後も離転職者が地域のモノづくり分野で活躍できるよう、産業構造や職場で求められるスキルの変化に対応した訓練の充実に取り組んでいく。
【委員】
 労働局が取り組む公共職業訓練は、離職者と、在職している者に対しての大きく分けると2種類があると思う。離職者に対する産業構造を見据えたカリキュラム内容の見直しについて触れてもらったが、一方、今では副業という言葉があるように、在職者に対しても、公共職業訓練という役割は一定程度あると思う。在職者の職業訓練の現状と内容と評価について確認する。
【理事者】
 高等技術専門校では、現在働いている人を対象に、技術の進歩や産業構造の変化に対応しながら、職業能力の向上を図るため、新たな知識や技術を短期間で学ぶ在職者訓練、通称スキルアップ講座を実施している。講座にはあらかじめ内容を設定したレディメイド型に加え、企業ごとの課題や要望に応じて内容を組み立てるオーダーメイド型がある。オーダーメイド型では、職業訓練指導員が企業、団体等から直接相談を受け、要望に応じたメニューを提供することで現場のニーズに即した人材育成を支援している。
 近年、中小企業の人材育成ニーズに対応するため、デジタル化に対応したコースの充実を図りながら、訓練定員の拡大を進めている。2019年度の800人から2025年度には2,000人まで拡大している。昨年度は235コースを実施し、2,315人に受講してもらった。このうちデジタル関連分野は125コース、1,473人が受講していて、デジタル技術への関心の高さがうかがえる。また、受講者の91.7パーセントが業務に必要な知識や技能の習得、新たな知識の習得などを目的として受講しており、受講後のアンケートでは、86.3パーセントの人から満足との評価を得ている。受講者からは、生成AI活用などのデジタル関連コースでは、業務で活用できることに気づいた、学んだ内容を社内で共有したいといった声があり、機械加工や建築などのモノづくり関連コースでは、業務に関する知識の幅が広がった、スキル向上を実感できたといった高い評価を得ている。訓練コースの見直しに当たっては、受講実績やアンケートの評価、希望する講座に関する意見に加え、企業訪問等を通じて把握した人材ニーズなどを踏まえながら、コースの新設や廃止を行っている。
 今後もこうした現場の声を丁寧に把握するとともに、急速に進展するデジタル技術の動向や産業界のニーズを踏まえ、より実践的で効果的な訓練内容となるよう見直しを進めていく。
【委員】
 離職者等訓練と在職者訓練について、リスキリングの観点から答弁をもらった。答弁してもらったことは、民間の資格の専門学校でもやっているし、きっと経済的には民間の専門学校のほうが多くのお金払って行くわけである。それでも公共職業訓練があることの意味をもう一度見直してもらいたい。ニーズが高く満足度も高いということだから、もしかしたら民間が追いついていないのかもしれないし、民間の価格が高過ぎるのかもしれない。ただ、リーディングとしてしっかり県がリスキリングを打ち出して前に進めていくことを願う。
 あわせて、全て公共職業訓練でやればよいのかというと、キャパシティーの問題で、耐え切れないと思う。どのようなバランスを持ってカリキュラム内容を見直していくのか。これは日々利用する人だけではなく、事業者の意見も聞いて、一体どのような人材が必要なのか、そして未来を見たときにどのような技術を持った人が必要なのかを精査して、ぜひ公共職業訓練の今後を考えていってもらいたい。非常に意味のある事業だと思っているので、これからも丁寧に取り組んでもらいたい。
 続けて最後に、STATION Aiについて伺おうと思っていたが、先ほどの委員からSTATION Aiのことが出たので、次回聞かせてもらう。今日の午前中にレポートが出たと聞いているので、それを精査した上でまた聞かせてもらうので、よろしくお願いする。
【委員】
 私からは水素社会実装の推進状況について三点ほど尋ねる。
 私は昨年、北米海外調査団の一員としてカリフォルニア州のロサンゼルス港やロングビーチ港、そして北米トヨタを視察した。現地ではトヨタの物流拠点で稼働を開始した世界最大の燃料電池発電施設、トライジェンを間近に視察する極めて貴重な機会を得た。大きさと施設としてはちょうど愛知県議会の議場ぐらいのところにこの発電施設がある。トライジェンはバイオマスから水素、電気、水という三つの価値を同時に生成する、まさに世界最先端のエネルギー自給モデルである。クリーンな水素を生成し、一般家庭2,300世帯分の電気、水不足で悩まされるカリフォルニアで1日5.3キロリットルの水を生み出す現場を目の当たりにし、エネルギー資源がほとんどない我が国にとって水素社会の実装とはエネルギーそのものを生み出すことなのだと、その価値のインパクトの大きさを実感した。
 また、北米トヨタでは日本の誇るモノづくり技術が結集したFC大型トラックに試乗し、その圧倒的な静粛性と力強い走りを体感した。
 しかし、同時に世界最先端の現場だからこそ直面しているリアルな影と課題もこの目でしっかりと焼き付けてきた。米国でもMIRAIの普及が伸び悩んでいる。その背景にあるのは水素価格の急激な高騰。満タンで約3万円という高価格負担、設置場所の不足、そして平均約7割というステーションの稼働率の低さが引き起こすジレンマである。さらに現地では、作業負荷の高さや部品納期の長さに加え、無人のセルフ水素ステーションにおいて、重量のある高圧ノズルを利用者が誤って足元に落としてしまい、大きな訴訟に発展してしまったという無人化インフラ特有の運用リスクと安全管理の難しさについても生々しい話を聞いた。
 こうした最前線での調査を通じて、現地の人々が最も強く訴えていたこと、それこそがどれだけ優れた技術があっても民間任せの市場原理に委ねるだけでは限界がある。インフラ等需要のジレンマを打ち破るには官からの強力かつ長期的な後押しと財政的・制度的コミットメントが絶対に必要であるという重い教訓だった。
 一般に水素の普及の壁は三すくみと表現される。水素の三すくみとは、水素エネルギーや燃料電池自動車(FCV)の普及において、需要、使う側、供給、つくる側、インフラ、運ぶ・ためる側の3者が互いに依存し合い、どれか一つ欠けていても先に進めない膠着状態を指す。翻って我が愛知県に目を向けると、こうした三すくみを先んじて打破すべく、行政、有識者、そして荷主や輸送事業者が一体となったあいち物流脱炭素化推進会議が開催され、民間投資の呼び水となるモデルスキームの構築が議論されている。
 また、大村秀章知事の6月定例会における説明要旨においても、愛知県が中心になって取りまとめた激動の国際情勢下での水素社会の実現に向けた一層の取組強化を求める緊急声明が大村秀章知事をはじめとした都道県知事、政令市市長から、高市早苗内閣総理大臣へ要請された。この6月には官民連携の脱炭素プロジェクトである水素大動脈構想がリリースされた。まさに今、水素が抱える光と影を正しく見据えた上で、ここ愛知県から具体的に停滞を打破する絶好の機会が訪れている。
 そこで伺う。
 直近で開催されたあいち物流脱炭素化推進会議ではどのような議論がされただろうか。官民連携での取組や現在の水素社会の実装に向けた進展状況について教えてほしい。
【理事者】
 あいち物流脱炭素化推進会議については、輸送事業者、荷主、車両メーカー、インフラ事業者、市町村などが参加して、ワタミの宅食事業をモデルとしてFCトラック配送によるCO2の削減や水素燃料充填の効果的な事業スキームを構築し、県内に横展開していくことを目的としている。毎年2回、直近は本年2月に開催して、82の会社、団体から151人が参加した。具体的には、モデル事業でのFC小型トラック配送における操作性やコスト、CO2削減などの情報を共有して、他社、他業種との連携、水素需要の拡大とコスト削減の重要性を議論した。
 次に、取組の進捗状況について答える。
 物流分野では、水素の社会実装に向けた課題として、FC商用車の車両や、水素燃料の価格が高いことが挙げられている。それを解決するためにはトラックやバスなどのFC商用車の普及を促進し、多くの水素消費量を拡大していくことが重要になる。
 そこで本県では、あいち物流脱炭素化推進会議などを通じて、FCトラックの需要の掘り起こしやFCトラックの試乗会などを数回実施した。こうした取組の成果もあって、目標達成にはまだまだかなわないが、昨年度FCトラック20台、FCバス1台が県内で導入され、官民で連携してFC商用車の導入、普及を図っているところである。
【委員】
 次に、水素社会実現の最大の壁である水素ステーションの普及と維持管理について伺う。
 トヨタ自動車株式会社の動画メディア、トヨタイムズにおいて、「水素普及への正念場、水素ステーション改善の鍵は、福島からの提案」と題した、非常に熱量のある現場リポートが紹介されていた。震災と原発事故から歩みを進める福島県浪江町では、今年5回目となるなみえ水素まつりが開催され、住民や子供たちが水素を使った食事やモビリティを身近に楽しむ草の根の活動が広がっている。さらに、いわき市のいわき水素ステーションを運営する地元の民間企業が、愛知県豊田市にあるトヨタ自動車株式会社の元町工場を訪れ、これまでブラックボックスだった高圧圧縮機の定期メンテナンスを自分たちの手で行う自主保全、内製化の訓練を受け、維持費を劇的に下げる泥臭い改善に挑んでいる。昨年の事前調査で北米海外調査団は、トヨタ自動車株式会社本社を訪問した際、水素ファクトリーチーフプロジェクトリーダーの濱村芳彦氏に会うことができた。その濱村芳彦氏が福島県の人々に語った言葉が深く胸に残っている。「まだまだ化石燃料に比べて水素は使いづらい、それを技術の力でなんとかするのが私たちの使命だ。私たちの財産は福島県の皆さんに水素を使ってもらう中で様々な意見をもらえること、じかにお客様に話を聞くことにある」。まさに普及のカギは机上の空論ではなくこうした顧客の声、水素ステーションの現場の切実な声から、よりよい改善を一つずつ積み上げていくことにある。
 一方で、ガソリンスタンド経営の最前線の目線から情報発信を行う山本石油の水素ビジョンちゃんねるというユーチューブチャンネルを見ると、ENEOS株式会社などの大手によるガソリン水素スタンドの併設の利点と課題や、高圧ガス保安法の厳格な有人規制による24時間稼働ができない問題など、経営を直撃する生々しい現実が示されている。その中でインフラの普及期においては、水素ステーションは必ずしも主要な幹線道路のど真ん中でなくても、まずは商用車の運行を支える拠点にあればよいのではないかという極めて示唆に富む意見もあった。本県を走るFC大型トラックの航続距離や1回当たりの充塡能力を踏まえれば、まずは全ての道に薄く広げるのではなく、商用車の主な出発地、到着地である港湾や内陸の物流拠点、事業者の施設内におけるステーション整備をピンポイントでサービスしていくことが極めて重要である。今後、高速道路網でも現状、足柄パーキングエリアのみである水素インフラが広がっていく見込みだが、本県としても愛知県水素ステーション整備費補助金を戦略的に拡充、後押ししていくとともに、物流会議に参加する関係自治体等も緊密に連携し、官民一体で大動脈を支える毛細血管のように水素ステーションの拠点網を構築していくべきだと考える。
 そこで伺う。
 最大の課題の一つは水素ステーションの普及である。この普及に向けて現状の課題をどのように認識し、今後どのように取り組んでいくのか。見解を教えてほしい。
【理事者】
 水素ステーション普及への課題としては、設備投資の費用や運営費用が高く、FC車両の需要見通しが不透明なところにある。また、既存の水素ステーションは、乗用車向けの中小規模の水素ステーションが多いため、今後はトラック向けにインターチェンジや幹線道路周辺に大規模な水素ステーションを整備していくことが必要となる。そのため、本年度から大型水素ステーションの新設、改修への補助額を増額するとともに、インフラ事業者や輸送事業者、市町村等と相談しながら、最適な場所での水素ステーション整備に向けて調整を図っているところである。
 一方で、水素需要も増やす必要があるため、FC大型トラックやFCタクシーの導入費や燃料費の補助拡充、また、有料道路利用料の補助の新設を行ったところである。
 このように、需要と供給の両面から積極的に支援を行うことで、水素ステーションの普及を後押ししていく。
【委員】
 最後に、昨今の世界動向を踏まえ、質問する。
 トヨタイムズの中で原発事故からの復興を誓い、福島県がトップランナーとして水素社会を前に進めていくと語った内堀雅雄福島県知事の熱い思いに私は大変心を動かされた。そしてその福島県から九州の福岡県までをつなぐ水素大動脈構想の進展にはほかならぬ日本一のモノづくり、物流の結節点である愛知県の力が絶対に不可欠である。米国視察を通じて感じたのは、広大な土地があり、シェールガスなどエネルギーをほぼ100パーセント国内で自給できるアメリカと、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼らざるを得ない我が国とでは、水素にかける切迫度が根本から違うということである。日本にとって、そして愛知県の産業サプライチェーンにとって、水素社会への取組は単なる環境対策のレベルではなく、地政学的リスクから地域経済を守り抜くための経済安全保障そのものである。諸外国が国家資本主義的な巨額の財政出動を背景にエネルギーの囲い込みを進める中、本県がここで投資や後押しをちゅうちょすれば、将来的に世界の産業覇権から脱落しかねない。残念ながらほかの産業セクターでは既に脱落してしまった分野が幾つも存在する。同じような失敗が許されない危機的な状況に日本はある。現場や民間企業、そして担当部局が抱える、進めたいが進まないというじくじたる思いを突破するために、まさに今こそ強力に官民が連携して背中を押すときである。
 そこで伺う。
 昨今の世界動向を踏まえ、今後本県は水素社会の実現に向けてどのように取り組んでいくのか。所見を教えてほしい。
【理事者】
 中東情勢をはじめとした国際情勢の不確実性が高まる中、我が国のエネルギー安全保障の強化の観点から、今後は国内で製造可能なエネルギーである水素、アンモニアの普及が期待されている。民間団体及び国が積極的に押し進めている水素大動脈構想では、水素の社会実装を加速するために、まずは福島県から愛知県、福岡県までの幹線におけるモビリティのFC化の集中投資を行って、その取組を起点として、地域の様々な産業に水素の需要と供給を展開していくこととしている。
 また、国としては2050年に世界の水素関連市場30兆円から40兆円のうち最大10兆円の獲得を目指して、我が国の強みである燃料電池や水電解、水素・アンモニアガスタービン等について海外展開を見据えた投資支援を構想している。
 本県としては、こうした国の方向性を参考にして、本県の産業競争力強化につながる水素の需要と供給の大規模な創出を図るため、地域を挙げて水素社会の実現を加速させていく。
【委員】
 最後に要望する。
 北米や福島県の現場が示すとおり、水素社会の実装には民間任せにしない、官からの強力なコミットメントが不可欠である。本県が中心となって国へ行った緊急声明や、このたび動き出した水素大動脈構想の重みをしっかりと受け止め、本県が名実ともに水素社会実装の日本のアクセル役として、官民連携を力強く牽引してもらうことを強く要望して私の質問を終わる。
【委員】
 私からは、ナフサ由来製品の供給不安、品薄への県の対応について伺っていく。
 冒頭、理事者の挨拶にもあったが、ここ数日、中東情勢をめぐるアメリカとイランの間で、緊張緩和に向けた動き、ホルムズ海峡の航行正常化に向けた動きも報じられており、大きな危機を回避しつつあることはもちろん歓迎すべきことでほっとしている。
 ただ、仮にホルムズ海峡の航行が正常化に向かうとしてもナフサ由来製品の供給不安が直ちに解消されるわけではない。原油やナフサの調達、海上輸送、保険、国内の石油化学メーカー、商社、卸、製造業者、そして県内の事業者の手元に必要な資材が届くまでには一定の時間がかかる。
 政府はナフサを含む石油関連製品について総量としては必要量を確保しているとの説明がなされている一方で、現場では個別品目の入手困難、納期遅延、受注制限、価格上昇など、いわゆる流通の目詰まりを懸念する声が出ている。全体量として確保されていることと個々の事業者の現場に、いわゆる中小・小規模事業者の必要な資材が必要な時期に届くこととの間には、なお開きがあると受け止めている。ナフサは承知のようにプラスチック製品、各種フィルム、容器、塗料、シンナー、接着剤、ゴム、建材、自動車関連資材など、極めて幅広い製品の原料となっている。
 私の元にも地元の事業者、関係者からいろいろな声が寄せられている。例えば農業では畑に敷くマルチシートが不足しているとか、台風でビニールハウスが損傷した場合に張り替え用のシートが多分入手できない、再建できないのではないかという不安がある。私の友人が一宮市では結構大手なイチゴ農家をやっているが、商品を入れるケースは手に入る。だが、その上にあるぺろぺろのフィルムが4月の段階でもう入荷ができなくなった。年内は5月いっぱい、6月初旬ぐらいまでの分のフィルムはある。今年の12月の出荷分の苗をこれから植えるが、12月の段階でフィルムが入荷できないと出荷できなくなる。これが手に入らないならナスかトマトの苗に変えなければいけないがどうなんだという相談もあった。ただ、私が答えられる話ではない。また、クリーニング店ではクリーニングした衣服を返却するときに使うフィルムが全然手に入らない。薬局では塗り薬を入れる容器が入手しづらい。違うルートから違う容器を買ったが、色が違うと高齢の人がごっちゃになってしまう。いろいろと各現場が入手困難で困っている。
 このようにナフサ由来製品の供給不安は特定の業種に限られた問題ではなく、農業、医療、建築、製造業、物流、生活関連サービスなど、県内の幅広い分野に関わる問題である。
 そこでまず伺う。
 県としてナフサ由来製品の不足や供給不安、あるいは入手困難や納期遅延といった実態について、県内企業、業界団体、商工団体、農業団体、医療関係団体、市町村などを通じてどの程度把握しているのか聞かせてほしい。
【理事者】
 ナフサ由来製品の状況把握であるが、各種製品の不足や納期の遅れといった実態については、県が県内約100か所に設置している愛知県中小・小規模企業総合相談窓口で把握している。この窓口は県内の全商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、県の信用保証協会、公益財団法人あいち産業振興機構が相談を受け付けていて、その声を県に報告してもらっている。
 相談件数は3月17日から6月12日までの約3か月間で、いわゆる目詰まりが原因だと思われるが、原材料・仕入品の納入量不足、遅れについては140件である。直近の例では、例えばボンドやマスキングテープ等の副資材が手に入りにくいとか、建築資材の遅延があるなど、様々な声を把握している。
【委員】
 ただいま県としての把握状況について答弁してもらった。
 今回の問題は単に一部の製品が値上がりしている話にとどまらない。必要な資材や容器、部材そのものが必要な時期に必要な量だけ現場に届かないおそれがある点に深刻さがある。政府としては、ナフサそのものについては必要量を確保していると説明しているが、現場では個別の品目ごと、あるいは流通段階ごとに目詰まりが起きているのではないかという懸念がある。
 そこで重ねて伺う。
 県としてどの業種で、どの品目について、どのような支障が生じていると把握しているのか。また、納期遅延、受注制限、価格上昇、代替品の有無、工場や現場の停止リスクなどについて、品目別、業種別に把握しているのか聞かせてほしい。
【理事者】
 各品目などの把握状況である。ナフサの由来製品に関する影響のうち、流通の目詰まりや供給の偏りについては経済産業省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省など国が連絡体制を構築して一元的に対応しているところである。
 本県は相談窓口での相談内容を把握しつつ、適宜、中部経済産業局と現況を情報交換して実態の把握に努めている。例えば品目別では、塗料について、業種としては建築、建設、いわゆる住宅関連企業からの相談が多いが、直近では要請件数は減少傾向にある。また、包装フィルムやビニール系で最近増えているのは、例えばパンや菓子等の販売店の食品産業で、5月下旬くらいから増えている状況である。ただ、全体的には国で受け付けている相談、あるいは情報提供、県で受け付けている相談件数は減少傾向である。どの品目も少しずつ原材料、仕入れ品は入ってきている局面かと思われる。
 一方、価格上昇で対応するための資金繰り相談が増えている状況は肌感としてはある。
 様々な支障に対する企業の対策についても質問があったが、例えば代替品については業種にかかわらず相談は少ない状況である。代替品よりは他の調達先を探すことに力を注いでいるようである。
 また、先ほど工場や現場の停止リスクについても言及があったが、この停止リスクについては、例えば休業等した場合に利用できる雇用調整助成金の利用状況が参考になると思う。国によると、中東情勢の影響に係る雇用調整助成金の休業計画の届出は5月26日現在、全国で175件である。この中で実際に休業して助成金の申請まで至った事業者は現状ほとんどいないと聞いている。
【委員】
 ナフサ由来製品の供給不安は非常に幅広い分野に及んでいる。私が冒頭に述べたように、農業用マルチやビニールハウス資材、食品梱包用フィルム、薬の容器や梱包資材、指定ごみ袋、塩ビ管、ユニットバス、シンナー、接着剤など、いずれも現場にとって欠かすことのできない資材である。こうした資材について入手しづらい、納期が読めない、代替が難しい、受注制限があるといった事態が生じれば、農業であれば作付や出荷に影響が出る、建築であれば工事が止まる、薬局であれば調剤や供給に支障が出る、製造業であれば生産計画に影響が及ぶ、物流や小売であれば梱包や包装に支障が出る、つまり県内産業の現場に直接影響する問題である。
 そこで伺う。
 こうした状況に対して県として現在どのような対応を行っているのか。また、今後どのような施策を講じる考えなのか聞かせてほしい。
【理事者】
 県としては、現在国が関係省庁で連携して行っている情報提供や相談窓口を端緒として、流通の目詰まり、供給の偏りを解消する国の一元的な仕組みを、まずは県内の企業にしっかり活用してもらうことが重要だと考えている。6月中旬には各業界団体や商工会、商工会議所をはじめとした支援機関など148団体に対して、県からも文書を発出し、国の仕組みを積極的に活用するよう周知徹底を行ったところである。また、事業者から県に直接相談があった際には、県から国に対して実態に合わせた適切な対応を取ってもらうよう働きかけている。
 今後の取組としては、事業者からの相談に受け身で対応するだけではなくて、プッシュ型で実態を把握するとともに、個々の事業者の課題解決のサポートを強化することを検討していきたい。
【委員】
 ただいま県の対応について答弁してもらった。
 もちろん国からの通知や要請を関係団体に周知することが重要である。しかし、現場の事業者からすれば、単に国が対応している、情報を周知しているだけでは、目の前の資材不足や入手難は解決しない。どこに相談すればよいのか、どの品目がどの流通段階で滞っているのか、代替品はあるのか、県内で融通できる可能性はあるのか、国に対してどのような具体的情報を挙げればよいのか。こうした点を整理し、県が関係団体と連携して情報を集約することが重要であると考える。
 そこで伺う。
 県としてナフサ由来製品の供給不安に関する相談窓口の明確化、関係団体を通じた緊急調査、品目別の情報集約、国への情報提供など、より能動的な対応を行う考えがあるのか聞かせてほしい。
【理事者】
 国と適宜情報交換している中では、相談窓口を国が持っており、この存在をくまなく事業者の人々に周知したいという話がいつもある。このため、県としては先ほど言ったとおり文書を発出したが、それに加えて、すぐに対応できる取組として、県のウェブサイトを早急に改善して、中小企業の人々にとって、例えば相談先がより分かりやすいと感じられるコンテンツやつくりにしていきたい。
 また、より能動的な対応として、一定数の県内事業者の実態をプッシュ型で把握して、国とも情報共有を図るとともに、個々の課題解決のサポートを強化することを検討していきたい。
【委員】
 次に、事業者支援の在り方について伺う。
 原材料価格の上昇に関しては価格転嫁支援や資金繰り支援、制度融資、信用保証といった施策が考えられる。それ自体はもちろん重要である。しかし、今回のナフサ由来製品の供給不安については単なる価格上昇とは異なって、資金があっても物が入らない、仕入れたくても仕入れられない、発注しても納期が見えない。そうなれば工事や現場を動かすことができない。例えば愛知県信用保証協会等を通じた支援や新たな融資枠の活用があったとしても、事業者が本当に求めているのは借入枠そのものではなく、必要な資材が必要な時期に届くことである。
 そこで伺う。
 県として今回の問題は資金繰り支援だけでは解決できない、流通の目詰まりの問題でもあると認識しているのか。また、その目詰まりの解消に向けて、県としてどのような役割を果たし得ると考えているのか聞かせてほしい。
【理事者】
 県の認識と役割である。
 今回の問題は物資の流通面、供給面の問題なので、資金繰りなど金融面の支援だけでは解決できないと認識している。
 目詰まりの解消に向けての県の役割であるが、そもそも目詰まりは国によると三つの要因があると言われている。一つ目は、川中の卸売事業者が供給量を抑制している。二つ目が、川中の卸売とか小売間でコミュニケーションが不足している。三つ目が、川下事業者が必要以上の発注している。このような三つの要因があると国は分析している。県としては、このような分析を頭に入れた上で、国や商工会、商工会議所などの中小企業支援団体とも情報交換をさらに密にしつつ、個々の事業者の実態把握、課題解決の支援を強化していくことが大きな役割の一つと考えている。
【委員】
 ただいまの答弁にもあったように、ナフサ由来製品の供給は県単独で完結する問題ではない。原料の調達、石油化学メーカー、商社、卸、製造業者、流通業者、そして最終的に使用する事業者まで、非常に長いサプライチェーンの中で動いている。だからこそ国による調整が不可欠である。一方で、県内の現場でどの業者がどの品目でどの程度困っているのか、これは国よりも県のほうがより近い立場で把握できるはずである。
 そこで伺う。
 愛知県として県内事業者から寄せられているナフサ由来製品の不足や供給不安、入手困難や納期遅延に関する声を国に対して伝えているのか。また、国に対して流通の目詰まり解消、品目別、業種別の供給状況の見える化、中小事業者への配分改善、代替調達支援などについて、意見や要望を行っているのか聞かせてほしい。
【理事者】
 国への要望等のことである。
 本県の相談窓口に寄せられた声のうち、主なものは適宜、中部経済産業局と情報交換して伝えている。その際に、業務担当者レベルではあるが、県から国に対する要望も含めて、中小企業の支援策について意見交換を行っている。
 ただ、委員指摘の目詰まりの解消や供給状況の見える化について、国は既に解消事例や足元の供給状況をほぼ1週間ごとに関係閣僚会議を開いて資料をウェブサイトで公開している。このことで一定程度見える化は行っているのではないかと理解している。
 また、中小企業者の配分の改善についてであるが、国では一つ一つ個別案件を目詰まり箇所まで調べ、物資が届かない事業者へは直接販売を依頼するなど、一つ一つ潰していく地道な作業を行っている。
 代替の調達支援については個々の企業の事情が大きく関わるので、その課題解決サポートを強化することを県としても検討したい。
 今後も引き続き、適宜、中部経済産業局等との情報交換や意見交換の中で実効性ある支援策等について要望等は行っていきたい。
【委員】
 ユニバーサルツーリズムの推進とアジア・アジアパラ競技大会を契機とした本県の受入環境整備について質問する。
 私はこれまで平成28年、令和4年の本会議一般質問、さらには本委員会においてユニバーサルツーリズム推進が観光立県愛知に不可欠であると繰り返し訴えてきた。高齢社会の進展、障害者差別解消法の改正、インバウンドの回復、そしてアジア・アジアパラ競技大会の開催。これらの社会環境の変化を踏まえれば、誰もが行きたい場所に行ける愛知県を実現することは、もはや選択肢ではなく県としての責務である。
 あいち観光戦略2024-2026が最終年を迎えるが、この戦略の作成に際しては、一つ前のあいち観光戦略2021-2023におけるユニバーサルツーリズム関係施策について、何が進み、何が進まなかったのかを総括してスタートしたと認識している。
 2022年12月の有識者ヒアリング及び市町村アンケート調査では、有識者からユニバーサルツーリズムは絶対に必要、補助金がなければ施設改修は進まないといった意見が寄せられ、市町村からはバリアフリー化への財政支援や多言語化への支援を求める声が多数あったと承知している。
 そこで伺う。
 これらの調査結果を含めた総括を現あいち観光戦略2024-2026にどのように具体的に反映したのか、理念ではなく施策としてどのように落とし込んだのか聞きたい。
【理事者】
 現行の戦略においては、市町村ヒアリング等の結果も踏まえて、旅行者の言語、年齢やジェンダー、障害の有無にかかわらず、誰もが旅行を楽しめる環境づくりを進めることとしている。その施策として多言語対応やバリアフリー化の支援、バリアフリー情報の発信などに取り組むこととしている。具体的には、多言語対応については、多言語コールセンターにより、訪日外国人をはじめ、県内の宿泊施設や観光施設などに対して、無料で電話通訳や翻訳サービスを提供しているほか、観光施設費等補助金により市町村等が設置する公共的観光施設の多言語表記を伴う案内看板の設置費などを支援している。
 また、アジア・アジアパラ競技大会に向け、ネイティブライター等の専門人材を外国人が多く立ち寄る観光施設に派遣し、外国人に分かりやすい多言語解説の作成を支援しており、昨年度は七つの観光施設を支援している。
 バリアフリー化については、観光施設費等補助金により、例えば昨年度は南知多町の多目的トイレの設置費などを支援したほか、県の観光ウェブサイトAichi Nowにより、高齢者や障害のある人々が必要とする県内観光施設のバリアフリー情報を発信している。
 引き続き、あいち観光戦略に基づき、ユニバーサルツーリズムの推進に取り組んでいく。
【委員】
 私はこれまでハード整備と同時にソフト面の強化がユニバーサルツーリズムの成否を左右すると述べてきた。観光ボランティアは旅行者と最初に接する顔である。その接遇の質が旅行者の満足度を大きく左右する。
 そこで伺う。
 観光ボランティア研修の中に、高齢者、障害者への接遇、ユニバーサルツーリズムの視点を組み込んでいくことが必要である。例えば今年度の研修でどのように取り組んでいくのか伺いたい。
【理事者】
 観光ボランティアガイドに対して、ユニバーサルツーリズムへの対応の視点を周知啓発していくことは重要な課題であると認識している。そのため、今年度は観光ボランティアガイド研修や、あいち観光ボランティアガイドの会の会合などの機会を捉えて、旅行者の言語、年齢やジェンダー、障害の有無などにかかわらず、誰もが気兼ねなく旅行に参加できるようにするユニバーサルツーリズムの視点の重要性、高齢者や障害者など特に配慮を要する人への接遇のポイントなどについて周知啓発を行う予定である。
 観光客にじかに接する観光ボランティアガイドへの研修等を通じて、県内のユニバーサルツーリズムが推進されるよう、県としてもしっかり取り組んでいく。
【委員】
 いろいろやっていることは今の答弁で聞いたわけだが、周辺県の状況について触れたい。
 三重県は日本一のバリアフリー観光県を掲げている。浜松市は全国初のユニバーサルデザイン専門部署を設置した。高山市は観光バリアフリーの先進都市として知られているし、長野県ではユニバーサルツーリズム人材育成講座が開催されている。ここではあまり深く踏み込まないが、仮に遅れを取れば名古屋飛ばしが起こり得るという危機感を県として共有してもらいたい。このことは、以前の質問でも指摘しており、共有願う。
 また、ユニバーサルツーリズムについては法的根拠に基づく県の責務もある。愛知県観光振興基本条例第11条第2項では、県が観光振興のための基盤整備の施策を講ずるに当たっては、高齢者、障害者など配慮を要する旅行者が円滑に利用できるよう努めるべきことが明記されている。さらに、改正障害者差別解消法により、民間事業者の合理的配慮は努力義務から義務化へと移行された。
 さて、ここからは私の質問の肝になるが、アジアパラ競技大会の開幕まで89日となった。競技施設のバリアフリー化は最終局面に入り、宿泊施設の改修も仕上げの段階にある。また、大会ボランティアの研修も順次実施され、障害のある選手や観光客を迎える準備が進んでいると承知している。このアジア・アジアパラ競技大会は単なるスポーツイベントではないわけであって、愛知県がユニバーサルツーリズムを一段と引き上げるレガシーを残す絶好の機会だと考える。大会期間中、国内外から多くのパラアスリート、障害のある観光客、関係者が訪れる。競技会場だけではなく、観光施設、交通、観光のエリア情報発信など、県全体の受入環境が問われるわけである。このアジア・アジアパラ競技大会を契機として、より一層ユニバーサルツーリズムを推進していくことが必要である。折しも現在、2027年度からの次期あいち観光戦略の策定作業を進めていると承知している。
 そこで伺う。
 次期あいち観光戦略において、アジア・アジアパラ大会を経験した本県として、ユニバーサルツーリズムをどのように位置づけ、推進していこうとしているのか、その方針を伺う。
【理事者】
 共生社会の実現に向け、誰もが旅行を楽しめる環境づくりは、法改正も含めて今後ますます重要であると考えている。引き続きユニバーサルツーリズムは重要なテーマとして、アジア・アジアパラ競技大会での実績も踏まえながら、多言語対応、バリアフリー化支援、情報発信、食の多様性など、様々な観点からどのような取組を行っていくのか、今後検討を進めていく。
【委員】
 この質問は約10年をかけてずっと話をしている内容である。今回、アジア・アジアパラ競技大会を契機にして一気にユニバーサルツーリズムが進まなければ、愛知県のユニバーサルツーリズムは進まないという危機感を持っている。観光関連事業者の経営安定も支えつつ、ハード、ソフト両面の受入環境整備を進めて、ユニバーサルツーリズムの取組をさらに進めてもらいながら、誰もが行きたい場所に行ける愛知県を実現するよう強く要望したい。
 二つ目に移る。
 続いて、伝統的工芸品産業の振興について伺う。私は有松・鳴海絞りの産地である名古屋市緑区の議員として、伝統的工芸品は地域の歴史、文化、観光、教育、そうした愛知県のモノづくりの心を支える大切な産業であると考えている。しかし、伝統的工芸品産業を取り巻く状況は大変に厳しいものがある。全国では、伝統的工芸品産業の生産額が1990年の約5,081億円から、2023年には約918億円と約82パーセント減少している。また、従事者数も1990年の約20万6,000人から2023年には約4万6,000人と、約77パーセント、大きく減少している。これは単に売上げが減っているということではない。伝統的工芸品を作る職人が減り、技術を次の世代に伝えることが難しくなっているということである。愛知県には有松・鳴海絞り、瀬戸市の赤津焼、豊橋筆、名古屋黒紋付染、名古屋仏壇、名古屋友禅など、指定数全国5位となる伝統的工芸品がある。これは愛知県の大きな宝である。
 そこで、まず現状について尋ねる。
 全国では生産額も従事者数も大きく減っている。では、愛知県内ではどのような状況にあるのだろうか。県内の伝統的工芸品産業における生産額と従事者の推移について、具体的な数字を示してほしい。あわせて、職人の高齢化や後継者不足について、県としてどのように受け止めているのか伺う。
【理事者】
 伝統的工芸品産業の振興に関する法律の規定により、経済産業大臣が指定する県伝統的工芸品は全国で236品目、愛知県内では15品目が指定されている。質問のあった愛知県の伝統的工芸品の生産額と従業員数の推移だが、伝統的工芸品の指定前と直近の2025年度末では、従事者数が4,667人から2,452人と約47パーセント減少。生産額は約150億から約29億円と約81パーセント減少している。
 次に、職人の後継者不足等における県の受け止めについてだが、2021年7月に産地組合15団体に対し、産地が抱える課題についてアンケートを実施したところ、後継者の確保が難しく、不足しているという回答が2番目に多い結果であった。また、後継者等がいない事業者が半数以上を占める産地組合は全体の約8割に達していることが明らかになった。後継者等がいない理由については、後継希望者はいるものの、現状及び将来の経営状況への不安から事業承継させられない、または雇用ができないが最も多く、10団体から回答があった。
 次に、後継者不足を解消するために必要な取組について伺ったところ、現代の価値観やニーズに対応した商品開発や販路開拓、展示会の開催、事業者の経営意識の向上などが必要であるとの意見が上げられた。この背景には、伝統的工芸品の売上げ低迷による厳しい経営環境があり、県としては、事業の持続可能性を高め、安定した収益を確保するために、新商品開発や新たな市場への販路開拓等に取り組むことが特に重要であると認識している。
【委員】
 やはりびっくりする状態である。従業者数は約半分、生産額は8割減少、そして後継者も確保が難しいとなれば、ほとんど死に体になりそうな業種、産業と言えるわけである。そこで、これまでの支援策について伺いたい。
 県はこれまで多様な支援を行ってきた点は理解しているが、現場では伝統的工芸品に係る技術を学べる環境が十分とは言えない。職人を育てるには長い年月を要する。短期的な体験や少ない収入では技術の継承につながりにくいのが実情である。今後は安定した収入や工房維持など、若者が将来に希望を持てる持続的な仕組みづくりが不可欠と考える。
 そこで尋ねる。
 今まで県が行ってきた支援策について、若者人材の確保という面からどのような成果があったのか。伝統的工芸品産地における後継育成にはどのような課題があると考えているのか伺いたい。
【理事者】
 県では、伝統的工芸品産地企業の後継者確保に向けて、伝統的工芸品産業に興味のある学生、社会人を対象にインターンシップを活用した支援事業を実施している。インターンシップは遠隔地の参加者も想定し、インターン実施中には本県の住環境や魅力等に触れる機会も設けている。また、インターン実施後も参加者とオンライン面談等のフォローアップや、地域の人々との関係構築にも取り組んでいる。その結果、昨年度は尾張仏具の産地企業2社で実施して、30人の応募のうち8人が参加し、そのうち3人が採用につながっている。
 また、若者の人材確保に課題を抱える繊維・窯業産地の中小企業に対し、専門家派遣によるコンサルティングや企業の魅力を発信する動画等の制作を行う事業があるが、本年度からは新たに伝統的工芸品産地の企業も対象に加えた。
 次に、伝統的工芸品産地における後継者育成の課題についてだが、若い人材が長く定着するためには、技術の継承者はもとより、まずは安定した経営基盤の確立が重要であると認識している。現状では、需要の縮小等を背景に事業者の収益が十分に確保できず、若手を雇用しても継続的な就業につながりにくい状況にあると考えている。
【委員】
 小さいながらだが新しい流れをつくろうとしていることは承知できた。
 昨年、東京都の赤坂にある、いわゆる伝統的工芸品を一堂に会している青山スクエアに行ってきた。そのときに尾張仏壇関係の会社が新しい商品を持って、PRしていた。青山スクエアでPRするということは、それだけ注目されているということなので、工夫をすればいろいろなことができそうだと言えるのではないか。
 令和4年6月に総務省行政評価局が公表した伝統工芸の地域資源としての活用に関する実態調査では、伝統工芸について、これまでも国や地方公共団体による支援が行われてきたことが報告されている。愛知県も同じである。また、近年は伝統工芸を地域資源として、国内外の需要を取り込む取組を進めるとともに、訪日外国人の増加等を背景に、その活用の動きが見られるとされている。一方で、生活様式の変化や安価な類似品の流入などにより生産額や従事者数は、減少傾向にあり、技術承継が難しい、困難となっている産地もあると指摘されている。特に後継者不足については事業者側の雇用の余力がなく、人材が定着しないなど、需要減や売上げ低迷が大きな制約になっている実態が明らかになっている。こうした状況を踏まえると、伝統的工芸品産業の持続的な発展を図るためには市場ニーズを的確に捉えた商品開発や、販路開拓により安定した収益基盤を確立し、雇用の創出につなげること、後継者をはじめとする担い手の確保、育成を進めていくことが重要であると言える。
 そこで尋ねる。
 新商品開発や新市場の開拓に意欲的に取り組む伝統的工芸品産地に対して、県として今後どのような支援を行っていくのか、所見を伺う。
【理事者】
 伝統的工芸品の産地では、委員指摘のとおり、安定した収益が得られる体制づくりが重要であると認識している。職人の高齢化が進む中、産業の持続的な発展を図るためには、新たな需要を創出する観点から、若年層との接点を拡大していくことが重要である。そのため、若者のライフスタイルや価値観を踏まえた商品開発をはじめ、効果的な情報発信や販路開拓を進めることで将来の顧客層の拡大を図るとともに、産業の魅力を若年層に伝え、将来の担い手の確保にもつなげていく必要性がある。
 こうした取組を推進するため、既存商品の改良や新商品開発に取り組む産地企業に対し、商品企画やマーケティングに関するアドバイス等の支援を行っている。
 本事業は、現在の課題を踏まえた目標設定及び取組計画を作成し、その計画の進捗を通じて支援を行うとともに、事業者のPR動画や商材紹介動画等の作成支援も行う。加えて本年度から本事業により開発された新商品等を東京都内や県内の若者が多く集まる商業施設等で、ポップアップストアによる展示販売を実施し、販路拡大支援の強化を図る。また、資金面の支援として、あいち中小企業応援ファンドにより、新製品や商品開発、販路拡大などの新事業展開に係る経費を助成している。助成対象分野として、一般枠とは別に、伝統的工芸品を含む地場産業枠を設けている。
 これらの取組により、若年層と伝統的工芸品との接点を広げ、産地製品の魅力を直接伝えることで、新たな需要の創出と将来の顧客層の開拓を図っていく。
【委員】
 今の答弁はいわゆるずっと続けている伝統工芸産業のブラッシュアップにより生み出された新商品等を都内や県内の若者が集まるところでポップアップストアで販売していくという話だと思う。
【理事者】
 そのとおりである。
【委員】
 小さな芽生えはあると思うので、しっかりとその辺りを広げてもらうことを要望する。
 この質問が最後になるが、産地全体を元気にする地域連携について伺う。
 これまでしばしば述べてきたとおり、職人を支えること、後継者を育成することは大事な土台である。しかし、それだけで産地全体が元気になるわけではない。職人、工房、組合、観光事業者、学校、福祉関係者、文化施設、市町村、企業、県がつながって、地域全体で伝統的工芸品を支える仕組みが必要だと考える。その参考になるのが佐賀県の九州陶磁文化館を核とするARITAプロジェクトである。そこでは陶磁文化を博物館の中だけに置いていくのではなく、まち全体を生きたミュージアムとして考え、観光産業、教育、地域づくりと結びつけようとしていた。この考え方は愛知県陶磁美術館の活性化にも、有松・鳴海絞りを中心とした有松地域の振興にも通ずるものだと思う。ここで大切なのは、ARITAプロジェクトで学んできたが、地域の中の人や資源をつなぐコーディネーター、つまりつなぎ役のありようである。職人や工房の状況を知る人がいる。観光や体験プログラムをつくる人もいる。企業や学校、福祉分野とつなぐ人、それぞれ複数の専門性を持つコーディネーターが3人、4人配置されて有田でやろうとしている。このように複数配置で地域全体を多角的に見ていく。そのような視点が必要ではないかと思うわけである。
 また今春、ジブリパークの春のどんどこ祭りにおいて、ジブリパークとの連携によって有松・鳴海絞りの体験と陶芸体験が行われた。私も参加した。有松・鳴海絞りと陶芸の魅力を若い人、新しい人たちに伝える非常によい取組だったと思うし、ジブリパーク側も高く評価していた。ただし、こうした取組を1回限りのイベントで終わらせてはいけない。ジブリパーク、有松・鳴海絞会館、愛知県陶磁美術館、県内の観光地、学校、企業、福祉施設などと結びつけて学ぶ、体験する、買う、購入する。そして、もう一度訪れるという流れをつくることが大切である。この問題提起と最後の質問は観光コンベンション局にも通じるものがあり、先ほどの委員の質問にも近いものがあると思うが、今回は産業振興課のみに尋ねることとする。
 それでは伺う。
 県として伝統的工芸品の産地を観光、教育、福祉、企業、文化施設等と結びつける地域連携型の支援についてどう行ってきたのか。産地と外部の人や企業をつなぐコーディネーター等を配置するなど、地域の文化、産業を体現する地域資源である伝統的工芸品を分野横断的に連携して活用する取組について考えを伺う。
【理事者】
 伝統的工芸品の産地企業は小規模な事業者が多いため、個社単独で消費者ニーズを踏まえた商品づくりやマーケティングの知識を取得する等の取組を行うことは難しい状況にある。
 そこで、先ほど述べた事業において、伝統的工芸品の産地企業にコンサルタントを派遣して、新商品開発や販売促進の取組を支援するとともに、国内外の販路開拓に向けた支援を実施している。その中で、過去にはコンサルタントが社内外をつなぐコーディネーターとして異業種の企業を巻き込んだオープンイノベーションを実施し、外部の知識や技術、アイデアなどを活用して新商品の開発につなげた事例がある。
 また、本年9月、10月に本県で開催されるアジア・アジアパラ競技大会を絶好の機会と捉えて、大会関連施設での展示や選手団への記念品に伝統的工芸品を活用するなど、大会関係者をはじめとする国内外の人々に愛知県の伝統的工芸品の魅力を発信し、アジア地域における認知度向上と将来的な販路開拓につなげていく。
【委員】
 では、要望したい。
 伝統的工芸品は失われてからでは取り戻すことはできない。職人がいなくなれば、技術だけでなく道具、材料、まちの景観、地域の誇り、文化、そのものが失われてしまう。愛知県はモノづくり県であると同時に、豊かな伝統工芸を持つ県である。だからこそ伝統的工芸品を守るだけではなく、未来の産業として育てる視点が必要である。そのためには伝統的工芸品を昔からの使い方だけに閉じ込めてはいけない。今の暮らし、産業、建築、デザイン、観光、海外市場と結びつけることで新しい需要をつくることができる。
 例えば、国際時計のブランドでスポールというブランドがあるが、スポールウォッチは時計づくりの技術と有田焼や木曽漆といった伝統工芸を組み合わせて付加価値の高い腕時計を生み出している。また、私の地元にある鳴海製陶株式会社ではボーンチャイナを作る中で出る不良品や模様をつけるために使った転写紙の台紙、卵の殻など、これまで捨てられていたものを活用して100パーセントアップサイクルのしっくいを開発している。陶磁器作りの技術が食器だけでなくて、建築や内装の分野にも広がっていくということである。
 そこで私は、仮称ではあるが、一つ提案したい。愛知伝統工芸共創プロジェクトのような取組を検討してもらいたいと思う。これは、職人や産地だけで頑張るのではなく、県内のモノづくり企業、デザイナー、建築関係者、観光関係者、教育福祉関係者、さらにはSTATION Aiに集まるスタートアップ企業を結びつけて、一緒に新しい商品、新しい素材、新しい体験、新しい販路を生み出していく仕組みである。愛知県には日本最大のスタートアップ支援拠点であるSTATION Aiがある。伝統的工芸品産業とスタートアップ企業を引き合わせることで、AIやデジタル技術を使ったデザイン開発、インターネット販売、海外発信、観光体験商品の開発、建築や内装分野への応用、新素材の開発など、さらに新しい可能性は広がると考える。伝統工芸を守るとは昔の形をそのまま残すことだけではない。職人の技を大切にしながら、今の時代に合った形で使われ続けるようにすることは本当の意味での継承だと思う。ぜひ県として職人支援、産地支援、企業連携、スタートアップ連携を一体で進めて、愛知県の伝統工芸を現代の産業と結びつけて伸ばしてもらうことを要望してこの質問を終わる。
 最後の質問に入る。
 高齢者の就労支援について伺いたい。私の元には高齢者の再就職についての相談が最近やたら多くなっている。これは今、物価高の影響などもあると思うが、例えば警備や清掃の仕事では若い人の応募が少なくて、80歳前後の人が元気に働いているという話を聞く。企業の側からは、元気な高齢者であればぜひ働いてほしいという声がある。一方で、高齢者の側からはシルバー人材センターに相談しても自分に合った仕事が見つからない、短い時間働きたいがよい仕事はすぐに埋まってしまうという声がある。つまり、働いてほしい企業があり、働きたい高齢者がいる。けれども、その二つがうまく結びついていない。
 高齢者といっても一人一人違う。体力のある人もいれば、長時間の仕事は難しい人もいる。これまでの経験や得意なことも違う。だからこそ、年齢だけで判断するのではなく、その人が何時間なら無理なく働けるのか、どんな仕事なら安全にできるのかを丁寧に見ることが大切である。高齢者の就労支援についてはこれまでも県議会で度々議論されてきた。シルバー人材センターの会員拡大、中高年向け再就職セミナー、高齢者向け就職相談面接会、ハローワークとの連携など、県として様々な取組を進めてきたことは承知している。
 そこで尋ねる。
 まず、高齢者の就業にめぐる最近の状況について伺いたい。
【理事者】
 愛知県における65歳以上の高齢者の就業者数は年々増加しており、直近の2025年は51万4,000人となっている。また、65歳以上の有効求人倍率は、2025年度の月平均で0.53倍となっており、高齢者の就業は厳しい状況にある。
【委員】
 次に、ミスマッチの原因について伺いたい。
 これまで県は中高年再就職支援セミナー、高齢者の就職相談面接会、高齢者の雇用推進セミナー、ハローワークの連携等、様々取り組んできたと承知している。一方で、現場では働きたいが自分に合った仕事が見つからない。短時間で働きたいが条件のよい仕事がない。企業側は人手不足なのに、なかなか高齢者の採用につながらないという声がある。これは単に求人の数が足りない問題だけではないと思う。高齢者本人の希望する勤務時間、体力、健康状況と、企業側が出している求人条件や仕事内容がうまくかみ合っていないのではないか。また、企業側も高齢者にどの仕事を任せればよいのか、どのように仕事を切り出せばよいのか、どのような安全配慮が必要なのか、十分に分からない場合があると思う。
 そこで尋ねる。
 働きたい高齢者と人手不足で困っている企業との間に、今なおミスマッチが生じている原因について、県はどのように受け止めているのか伺いたい。
【理事者】
 ミスマッチの原因については、委員から指摘があったように、求人件数の少なさや勤務時間、通勤時間などの勤務条件のミスマッチ、求職者の体力、健康問題があることに加え、依然としてできるだけ若い人材を採用したいという企業側の意向も根強く、高齢者の採用に慎重なケースも少なくないと考えている。
 また、高齢者においては、これまでに培った経験や能力を生かせる職種を希望する傾向があるが、実際の求人内容との間に乖離が生じていることも原因の一つであると考えられる。
 こうした様々な原因から、希望に沿った仕事が見つかりにくい状況にあると認識している。
【委員】
 ミスマッチが起きている原因を解決する意味で、関連機関との連携を考えたいし、提案したい。最後に関連機関との連携について伺いたい。
 県内のハローワークにはおおむね60歳以上の人の再就職を支援する生涯現役支援窓口がある。県のサイトでもこの窓口が紹介されている。しかし大切なのは、単にサイトで窓口を紹介するだけではなく、県とハローワークが実際にどう連携して働きたい高齢者を具体に就労につなげていくかという点である。例えば県のセミナーで相談を受けた人を必要に応じてハローワークの生涯現役支援窓口へとつなぐ。逆にハローワークで把握した高齢者の就労ニーズや企業の求人状況を県の施策づくりやサイトの内容にも反映する。こうした双方向の連携が必要ではないかと思う。
 また、市町村との連携も必要である。高齢者にとっては身近な市町村の窓口や地域の情報のほうが届きやすい場合がたくさんあり、市町村での出張相談や地域の企業、シルバー人材センターと連携した取組も大切になると考える。
 さらにもう一つ、私は理学療法士会など専門職団体との連携に新たな可能性があると考えている。理学療法士は、転倒防止、歩行、筋力、バランス、体への負担の見方について、専門的な知見、知識を持っている。就労イベントや再就職支援セミナーの場で理学療法士などの協力を得て、簡単な体力チェックや健康体操、体の使い方の助言を行うことができれば、高齢者本人にとって自分に合った働き方を考えるきっかけにもなると思う。もちろん体力チェックは採用の選別に使うものではない。働ける、働けないと分けるためではなく、その人が無理なく安全に長く働き続けるための手がかりになると思う。企業にとっては高齢者が安全に働くためにどのように仕事を切り出せばよいのか、どのような作業環境の改善が必要なのかを考えるヒントにもなると思う。
 本年4月からは、高年齢者の労働災害防止のための指針が始まっている。高齢者の就労を広げるのであれば、同時に高齢者がけがをせず安心して働ける職場づくりを進めなければならない。求人票に高齢者歓迎とか短時間勤務可と書くだけでは十分でない。立ち仕事が多いのか、歩く距離が長いのか、重い物を持つのか、暑い場所で働くのか、転倒しやすい場所はないのか、そうした仕事の体への負担を分かりやすく示すことが必要ではないかと思う。その上で、企業側にも短時間勤務にする、仕事を分ける、休息を取りやすくする、座ってできる作業を増やす、段差や滑りやすい場所を改善するなど、高齢者が安全に働ける職場づくりを進めてもらう必要がある。
 そこで尋ねる。
 県はハローワーク、市町村、シルバー人材センター、そして理学療法士会などの専門職団体との連携について今後どのように取り組んでいくのか伺いたい。
【理事者】
 ハローワークとは、引き続き窓口でのイベントの周知や、ウェブサイトを活用したイベント情報の相互発信などで連携するほか、今年度は県が実施する企業向けセミナーにおいて、高齢者の採用に効果的な求人票の書き方や、安全に働ける職場づくりについても、ハローワーク職員から直接話を聞く機会を設けていきたい。
 次に、市町村との連携については、引き続き県がキャリアコンサルタントを派遣する出張個別相談会や、再就職支援セミナーの共同開催を通じて、高齢者の求職活動を支援していく。
 次に、シルバー人材センターとの連携については、企業との雇用契約ではなく短時間で働きたい高齢者も多いことを踏まえ、シルバー人材センターを通じた業務の発注などについても企業にPRしていく。
 理学療法士会との連携については、求職者向けセミナーにおいて、働くための体力チェックや健康体操を実施しており、実施方法等について助言してもらうことで、より充実した内容としていきたい。
 今後とも関係機関としっかり連携しながら、高齢者の再就職支援に取り組んでいく。
【委員】
 様々考えていることは分かった。その上で、最後に要望して終わりたい。
 現在、厚生労働省が都道府県や市町村に対して募集案内を出している、生涯現役地域づくり環境整備事業の活用を県として検討することを要望したい。今、案内が出されており、今後活用できる可能性がある。県も自治体も、国費100パーセントなので非常にやりやすいと思う。この事業は自治体や地域の関係団体、企業などが連携して、高齢者等が地域で活躍できる場をつくるための事業であり、就労、社会参加、地域課題の解決を一体で進めることができる枠組みになっている。例えば県内の意欲ある市町村をモデル地域として、ハローワーク、シルバー人材センター、地域企業、商工団体、社会福祉協議会、理学療法士会などと連携する協議の場をつくることが考えられる。
 そこで、高齢者本人の希望や体力、経験を丁寧に把握し、企業側には仕事内容や体への負担を分かりやすく整理してもらう。そして短時間勤務、仕事の切り出し、休息の確保、転倒防止、暑さ対策などを進める。こうした取組を愛知県らしいモデルとして試行してもらいたいと思う。県が直接全てを担うことが難しいとしても、国の事業を活用して、市町村や関係団体に情報提供を行って、意欲ある地域の協議会づくりを後押しすることはできると思う。モデルができるわけである。まずは県として、厚生労働省の生涯現役地域づくり環境整備事業の活用可能性を調査し、市町村や関係団体に周知してもらいたい。そして県内でモデル的に取り組める地域はないか、具体的に検討してもらいたい。高齢者の就労先の選択肢を増やし、高齢者にとっても、採用する企業にとっても、より円滑で有効な就労につなげるため、愛知県らしい新たな就労促進モデルづくりを進めてもらうことを要望して私の質問を閉じる。
【委員】
 私からは、アニメを活用した観光誘客について質問する。
 今日、我が国の観光施策は景勝地巡りから特定の文化やコンテンツを起点とする体験型・聖地巡礼型観光へと変化している。とりわけ日本の漫画、アニメ、ユーチューバーといったポップカルチャーは国内外の若年層や富裕層、そして長期滞在型インバウンドを引きつける要素となっている。その先駆けが世界コスプレサミットであり、ジブリパークであり、昨年本県で初めて開催されたあいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバルであると認識している。
 このポップカルチャーをきっかけに観光施策において鮮やかな回答を示したのが熊本県の取組である。熊本県からカタログを持ってきたので、回覧したい。2016年に発生した熊本地震の直後、熊本県出身でワンピース原作者の尾田栄一郎先生から総額8億円という巨額の義援金を機に、熊本県は麦わらの一味のブロンズ像設置を決定した。県議会等からも慎重な意見、反対意見もあったが、今や国内外の観光客を魅了する世界的な名所となっている。このプロジェクトが極めて緻密であったのは、熊本県庁の前にはルフィ像、西原村にはナミ像、そして南阿蘇鉄道が寸断された高森町にはフランキー像といったように、10体のモニュメントを県内9市町村に分散配置したことである。これにより観光客が県内を広くドライブして、各地で飲食や宿泊する周遊型観光へのシフトが実現した。熊本県の試算だが、ルフィ像一体だけでも、年間約27億円の経済効果をもたらしたとの試算がある。これこそが世界的なコンテンツの持つパワーだと考える。
 さて、愛知県では世界に誇る至宝の1人である、2024年に亡くなった鳥山明先生の全世界累計発行部数約2億6,000万部を誇るドラゴンボールという強力なコンテンツがある。仮にこのドラゴンボールのブロンズ像を県内各地に同じような手法で設置した場合、県内周遊の促進に加え、欧米や中南米を含む幅広い地域からのインバウンド誘客が期待できる。ワンピースのファン層はアジアを中心に、ヨーロッパではフランスで人気がある。一方、ドラゴンボールはアメリカ、カナダ、中南米、メキシコ、ブラジル、そういった富裕層の多く住む地域に人気があるそうである。
 愛知県では現在、本県の観光及びインバウンドを力強く牽引しているジブリパークがある。ここにもし、ドラゴンボールの聖地巡礼が加わることで海外のオタクカルチャーファンや観光客にとって、愛知県はスタジオジブリと鳥山明という世界の2大巨頭の聖地であり、日本に来たら絶対に行かなければいけない目的地へと格上げされることになると思う。初日はジブリパークを堪能し、翌日からは県内に散らばるドラゴンボール像を巡り、歴史や自然にも触れながら各地に宿泊するという周遊型観光ルートが自然発生的に確立をされると考える。それぞれの像のところにはARのQRコードがあって、私も見たかったが、ずらっと10人ぐらい並んでいたので、どんな画像が見られるのかは確認できなかったが、そういった像を見るだけではなく、映像的に楽しめるワンピースの像が熊本県にはあった。やはり愛知県が誇る鳥山明先生の偉大な功績をたたえ、その魂を未来へと継承するとともに、本県観光の未来を切り開く施策として、差し当たって、愛知県ドラゴンボールモニュメント設置プロジェクト会議を立ち上げることも考えられると思う。
 いずれにしても、アニメをはじめとするコンテンツの注目度を生かし、愛知県への観光誘客の拡大につなげていくことは大変重要と考える。
 そこで質問する。
 アニメコンテンツを活用した観光誘客に向けて、県はこれまでどのように取り組んできたのかを伺う。
【理事者】
 アニメなどのコンテンツは情報発信力が高く、これらを活用することは観光誘客、あるいは周遊促進に資する重要な手段であると認識している。これまで愛知県では、例えば愛知県を舞台とするアニメ作品のロケ地マップの作成や、昨年度であるが、ポケモンのキャラクターマンホール、ポケふたを県内の5市が受領したことを契機に既に設置されている市を含めて6市の観光スポットを巡るスタンプラリーも実施してきた。こういった形で、アニメなどのコンテンツを活用した取組を実施しているところである。
 ほかにもジブリパークを活用した県内周遊観光促進などの取組を従来から行っているところである。
 今後も、アニメなどを活用した県内各地の周遊に向けた取組を進めていきたい。
【委員】
 それでは、最後に要望したい。
 やはりドラゴンボールを観光で利用しようとすると、版権を持っている株式会社集英社やサウジアラビアのテーマパークだと東映株式会社などの関係、もちろん親族、家族の人々の許可も要ると思う。やはり壁が高いほうが、利が多いと思う。また、他が参入できない。知事を見習って、ジブリパークという大きな壁を越えて、愛知県にジブリパークをつくったわけだから、ドラゴンボールモニュメントでも、差し当たってプロジェクト会議をつくってもらう。像を県内いろいろなところに置いてもらう。その次はドラゴンボールのテーマパークを愛知県につくってもらう。それぐらいの気概を持って、2年、3年でつくってくれとは言わないので、10年かかっても20年かかってもよいので、ぜひともこれに取り組んでもらうことを要望して質問を終わる。
【委員】
 私からはシンガポール国立大学連携事業について伺う。
 3年前に、シンガポール国立大学(NUS)を訪問して、実際に起業家養成プログラムの内容を伺い、NUSのスタートアップ支援の状況も視察させてもらった。現地ではNUSの敷地内に様々な建物があって、その中にワーキングスペースがあり、その地区一帯がスタートアップのハブとなっていた。そこには企業の研究開発の場や金融ファンドにつながり、即起業に発展させることが可能な支援が切れ目なくつながっていた。愛知県ではシンガポール国立大学連携事業の一環として、NUSが開催する起業家育成プログラム、サマープログラムへの参加を2021年度から毎年3人ずつ学生を派遣して行っているが、その目的や内容、成果はどうなっているのか伺う。
【理事者】
 このプログラムはグローバルに活躍する起業家の育成を目的として、東南アジアのビジネスや社会文化への理解に加え、起業家マインドの醸成、さらにアイデア創出からビジネスモデル設計に至る実践的なスキルを約10日間にわたり習得する内容となっており、昨年度はおよそ30か国、50大学から約320人が参加したと広報されている。
 これまでの愛知県からの参加者の中には、その後、インバウンド向けの旅行社を起業した人や、スタートアップ・エコシステムの先進地である中国深圳市において、起業家を支援するアクセラレーターとして活躍している人、スタートアップ役員として就職した人がいるなど、このプログラムへの派遣を契機として、県内大学出身者がスタートアップ関連分野で活躍しているところである。今後もシンガポール国立大学との連携を生かしながら、引き続き本県のスタートアップ・エコシステムのグローバルな拡大に向けて取り組んでいきたいと考えている。
【委員】
 私が訪問した当時のNUSは、世界大学のランキング8位という、かなりの高レベルだった。県内の名古屋大学と比較すると、マスターレベル、大学院生と同等レベルかそれ以上であるという状況だった。これまで参加した学生から聞き取りをしていると思うが、学生からの意見はどんなことが聞けたのか。
【理事者】
 学生からの意見として、海外の学生たちと一緒に学んだことで、海外の学生たちの積極性に圧倒された、ハングリー精神に大変刺激された、日本の学生もこうあるべきだと思ったという感想をもらった。また、様々なバックグラウンドの人たちと一緒に議論したことで、こういった場で今後ぜひ自分も活躍していきたいという感想や、実際に成功したスタートアップの人の講義により、成功者の熱に触れられたことが大変刺激になったという意見を聞いている。
【委員】
 私も実は3年前、そのサマープログラムに参加した学生と直接メールでやり取りして、このサマープログラムは大変有意義なプログラムであり、大変楽しいプログラムでもあったとの意見を聞いた。NUSの参加者からはそういった意見が多く、このプログラムは参加した学生の起業意欲に大きく影響を与えるものだと思う。この大変よい取組に対して、日本の参加学生の今後の課題として、NUSとしてはどのように考えているかと伺ったところ、語学力とコミュニケーション能力が絶対的に必要だということであった。日本人は自分を表現することがあまり得意ではない性質を持っているところもあるし、割とおとなしい学生が今は多いような感じを受ける。そういったことを踏まえて、派遣する前にしっかりと学生たちに指導していってもらいたいと思う。
 そのような意味から、この事業を行うに当たって今後の課題をどのように考えているのかを伺う。
【理事者】
 この事業自身はかなり学生からも人気があり、今年度募集した際にも17人の学生が手を挙げてくれた。ただ、NUSとの間では3人という枠のみなので、かなり厳しい選考を行った。学生たちはかなりやる気を持って取り組んでくれているので、学生たちの意欲をさらに生かしていけるような社会環境づくりにつなげていければよいと思っている。
【委員】
 今回のプログラムに参加した人数も320人の中の3人ということなので、できれば今後もう少し枠を増やしてもらえるとよいと思う。
 それを踏まえて、続いての質問に入る。
 続いて、小中高生等の起業家精神育成支援について伺う。
 起業家精神育成のため、小中学生等を対象に毎年、各年代に応じた将来の選択肢として、起業への関心を促すプログラムを実施すると事業内容にもある。現在小中高生の起業家精神育成のためにどのような取組を行い、これまでにどれくらいの参加者があったのかを伺う。
【理事者】
 県では2022年度から小中高生向けの起業家精神育成事業、AICHI STARTUP SCHOOLを実施していて、各年代に応じたプログラムを県内各地で実施している。事業開始からこれまでに県内の複数会場で、小学生806人、中学生237人が参加していて、今年度はともに県内4会場ずつで実施する。また、高校生向けは基礎編と応用編の2コースあって、これまでに県内の複数会場で計156人が参加していて、今年度はSTATION Aiを含む県内3会場で実施する。
 さらに、2024年度から高校生が多様なキャリアの選択肢を知る機会が得られるよう、高校への出張授業も実施している。今年度も既に実施していて、これまでに延べ30校、4,100人を超える生徒に起業家による講演、対話等を通じた起業家精神の育成を図った。
【委員】
 この取組からどういった成果につながったのかも教えてほしい。
【理事者】
 起業家育成の取組については、先ほど言ったAICHI STARTUP SCHOOLだけではなく、学生向け、社会人向けの起業家育成プログラムなど、全世代にわたり切れ目ない支援を実施している。このうち学生向けプログラムとして、主に大学生を中心とする起業家育成プログラムSTAPSを2023年度より実施しており、AICHI STARTUP SCHOOLの高校生編に参加したことをきっかけに、次のステージのプログラムであるSTAPSにも続いて参加した高校生を毎年輩出し、確認できる範囲で計6人いる。さらにこのうち1人が大学入学後に実際の起業につながった。
 今後もこうした事例を数多く生み出せるよう、着実に取組を進め、若年層の起業家精神の育成を図っていく。
【委員】
 STAPSにつながって、起業にもつながったとのことであり、小中高生の起業家精神の育成に随分刺激を与えていると思う。
 ただ、先ほどNUSのサマープログラムへ派遣された学生について述べたが、この小中高生の起業家を育成していくためにも、語学力とコミュニケーション能力については最も必要なことだと思うので、ぜひ小中高生の起業家精神育成プログラムに加えてもらうよう願い、次の質問に移る。
 続いて、あいちモビリティイノベーションプロジェクトの推進について伺う。
 空と道がつながる愛知モデル2030として、ドローンやeVTOL、空飛ぶ車の社会実装に向けた取組が次世代モビリティ産業の基幹産業化に向けた取組として実施されているが、各分野におけるローンチモデルの実現に向けた取組や供給力の強化を柱に、新城市の山間地や佐久島などの離島で技術実証が行われている。
 まず、昨年度の取組について得られた成果と検証結果について伺う。
【理事者】
 あいちモビリティイノベーションプロジェクトにおいては、ドローンを活用した物流サービスとして、昨年度は地域住民の高齢化等により物流の確保が課題となる中で、早期の社会実装が期待される山間地・離島モデルの構築に向けて、新城市と西尾市において長期事業化調査を実施したところである。
 山間地モデルとしては、新城市の作手地域において、日用品を扱うスーパーマーケットにドローンが離発着できる配送拠点を設け、配達場所によってトラックとドローンとを使い分ける効率的な配送を目指した実証を約1か月間行い、計48回のドローン飛行を実施した。離島モデルとしては、西尾市の佐久島と一色港間において、本土側の農業協同組合や薬局と連携して佐久島へのドローン配送を行った上で、島内においては自動配送ロボットにより個別配送を行う実証を1か月行い、計21回のドローン飛行を実施した。
 これらの調査の成果として、ドローンの遠隔運航により配送人員の省人化が可能であることが明らかになった一方、課題としては、ドローンのハード面として、積載できる重量の拡大や天候に左右されない機体性能など、機体のさらなる性能向上が必要であること、また、ビジネスモデル面としては、事業者向けの定期配送便の構築など、安定的な配送事業の獲得やドローン配送を継続的な事業として行う担い手の確保が必要であること等が挙げられると考えている。
【委員】
 西尾市は21回ということだったが、西尾市の本土側から飛ばした回数と、佐久島から飛ばした回数を教えてもらえるか。
【理事者】
 飛行の実績としては、事業者向けが12件、消費者向けが3件、試験飛行が6件の21回となっている。佐久島側からの飛行については、今、具体の数字は持ち合わせていないので、改めて報告する。
【委員】
 昨年、私も視察に行き、様々な課題を新城市でも西尾市でも感じた。昨年の結果を踏まえて今年度どのように改善していくのか、また、どのように実証を行っていくのか伺う。
【理事者】
 今年度は昨年度の調査で得られた課題を踏まえ、引き続き山間地・離島モデルとしてドローンを活用した物流サービスの長期事業化調査等に取り組んでいくこととしている。
 山間地モデルでは、新城市の鳳来地域において安定的な配送需要が見込まれ、輸送単価の高い医薬品に着目し、地元の医薬品配送事業者がドローン運航の主体となって老人福祉施設への医薬品等の配送を行い、事業性の検証を行うこととしている。
 また、離島モデルでは西尾市の佐久島と一色港間において、住民の利用ニーズを掘り起こすため、地域おこし協力隊等の地元住民から構成される団体が、住民ニーズの把握から運航、配達まで実施することで、地域が主体となる持続的な物流体制の構築を目指した検証を行っていくこととしている。
 さらに新たな取組として、将来的な利用ニーズが見込まれる一方、社会実装に向けては、より高度な安全性や社会受容性が求められる住宅地においてドローン物流の実現に向けた技術実証を行うこととしている。具体的には、豊川市において建物が多い場所での安全かつ精密な運航に必要なGPS精度や通信安定性の確保などに向けた実証実験を行うこととしている。これらの取組について、自治体や関係機関、事業者と緊密に連携を図りながら、物流ドローンの社会実装に向けて着実に取組を進めていく。
【委員長】
 先ほどの回数は委員全員に、後で伝えてほしい。
【委員】
 山間地モデルと離島モデルがあり、山間地は医薬品の配送、離島は物流だが、離島も医薬品の配送をやっていかないといけないと昨年感じた。医薬品は、配送するときは薬局や薬剤師と連携していると思うが、受け取る側もしっかりと企業と連携してやらないといけないと思っている。
 物流サービスの自動化や次世代の空モビリティのサプライチェーンの構築に向けた取組を多くの人に知ってもらうことが重要だと思う。改善を重ねながらブラッシュアップして、実用化に向けて実証を重ねてもらいたいと思う。それに当たっては地域の関係者の協力が不可欠と考える。誰にでも使いやすいものにしてもらうように考えてもらいたい。
 その期待を込めて要望する。
 離島、山間地の人たちは、生活の中で何かあったときに、すぐに手元に届けることができないところが課題だと思うので、今後空と陸がつながる愛知県モデルの実現を目指して頑張ってもらいたい。
 次は、6月の所管事項説明会で説明があった事務概要に、デジタル人材育成に関する事業が掲載されているが、その中の中小企業におけるデジタル化実践人材育成の支援について伺う。
 短期集中型の実践的なハンズオン研修や専門家による伴走支援を実施するとされているが、具体的にはどのような内容を予定しているのか伺う。
【理事者】
 この事業は、昨年12月定例議会において、中小企業の生産性向上を後押しする取組として、国の総合経済対策に伴う物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して、デジタル人材育成推進事業の予算の増額補正が認められたものである。
 まず、短期集中型のハンズオン研修であるが、対象は県内中小企業の従業員等で、定員は30人である。講座は6月4日から毎週木曜日に開催し、1回3時間、全10回のプログラムとなっている。現在は3回目までの講座が終了したところである。講座では、DXや生成AIの基礎知識、情報セキュリティといった基本的な内容について学ぶ。また、自社業務の棚卸しを行い、アナログ業務を可視化した上でデジタル化すべき課題を整理し、その課題に最適なデジタル技術を選定する手法も習得する。さらに、ノーコードツールを活用したアプリ開発やRPAによる業務自動化、AIエージェントの構築体験など、実践的な演習も取り入れている。最終的には受講者が自社のデジタル化プロジェクトを設計し、その内容を研修の成果として発表することとしている。
 次に、講座受講企業の中から10社程度を対象に、専門家による伴走支援を実施する予定である。受講者が策定した計画を基に、自社のデジタル化プロジェクトを立ち上げ、実際に推進できるよう、専門家が企業ごとの課題に応じて助言や指導を行い、中小企業のデジタル化、DX推進につなげていきたい。
【委員】
 毎週木曜日、10回、1回3時間、かなりきめ細かくやっていると思う。この集中講座は定員30人、1社につき2人まで参加可能ということだが、現在の参加状況はどのようになっているのか伺う。
 また、講座終了後には個別の企業10社に、伴走支援を実施することにしているが、具体的にはどのような成果をイメージしているのか聞かせてほしい。
【理事者】
 本事業は定員30人で、4月23日に募集を開始したが、大変反響が大きく、4月30日には定員に達したため募集を締め切った状況である。参加者は中小企業の代表者や総務部長や工場長といった、企業において一定の責任ある立場の人が多く受講している。この事業の最大の特徴は、中小企業が抱える経営課題等をデジタル化によって解決するための取組を、自社の人材が主体となって実践し、最終的には企業内で自立して進められるようになることを目指している点にある。具体的には、研修の受講者が学んだ内容を自社に持ち帰り、企業としてデジタル化プロジェクトを立ち上げる。その上で、専門家による伴走支援を受けながらチームで課題解決に取り組み、実際にデジタル化を実践するモデルケースが生まれることを期待している。
 また、伴走支援の終了後には、支援を受けた企業による成果発表会を開催する予定である。そこで得られた成果やノウハウを好事例として県内の中小企業へ広く発信し、デジタル化の取組を県全体へ横展開していきたい。
【委員】
 集中講座については、募集開始後すぐに定員に達したということなので、本事業に対する中小企業の関心の高さがうかがえる。また、研修に参加した企業が自社のデジタル化プロジェクトをテーマとして取り上げて、チームで伴走支援を受けながら課題解決に取り組む仕組みは、大変大きな効果が期待できるものと考える。特に、デジタル化に取り組みたいと考えながらも、そのノウハウや人材の不足などにより実践できていない中小企業にとっては、自社の人材が主体となって、課題の整理から解決策の実行まで取り組めることが非常に意義深く、中小企業のデジタル化を推進するモデル事業になると期待している。自社のパソコンを使って自分たちでチームを結成して、プロジェクトを立ち上げて進めていく。自社のデジタル化が持続可能な形で進むように取り組んでもらっていると思う。さらに、デジタル化による生産性向上が進むことで、企業の魅力向上につながると考える。例えば企業の若手社員やインターンシップで訪れた学生がデジタル化のプロジェクトチームに参画する機会が生まれれば、若い世代の人たちにも実践的な学びの場となり、企業にとっても将来の人材確保につながるなど、双方に大きなメリットが期待できる。本事業は国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した単年度の事業と聞いているが、非常に効果が高く、これだけきめ細かくやってもらえる事業であれば、今後の県内中小企業のデジタル化推進に大きく寄与する事業であると考える。ぜひ次年度以降も、県独自の事業として継続的に実施できるよう検討してもらいたいので、要望する。
 最後にもう一点伺う。
 アジア競技大会及びアジアパラ競技大会の開催に合わせた、誘客促進として、県庁において実施が予定されているプロジェクションマッピングについて伺う。プロジェクションマッピングの具体的な実施日について、どのようになっているのかを教えてほしい。
【理事者】
 県庁本庁舎プロジェクションマッピングについては、現時点ではアジア競技大会、アジアパラ競技大会開催期間中、連日行う方向で調整している。
【委員】
 大会期間中、連日行うということで、単発で終わるのではないかと思って心配していたが、安心した。
 隣接する名古屋市の本庁舎も一体的に考えてもらえるとよいと思うが、一体的に活用した演出を行う考えはあるのか。名古屋市との連携の有無について伺う。
【理事者】
 プロジェクションマッピングであるが、県庁本庁舎の隣に名古屋市本庁舎もある。今回、県と名古屋市で実行委員会をつくり、実行委員会主催で両庁舎一体的に活用しながら行っていきたい。
【委員】
 アジア・アジアパラ競技大会の開催によって世界中から多くの人が訪れる機会なので、この機会を最大限に生かしてもらい、これを機に愛知県と名古屋市でしっかり連携を取って、観光振興や情報発信なども行ってもらうことを要望して終わる。
【委員】
 最初に、愛知県国際展示場、Aichi Sky Expoについて聞く。
 2019年の8月に鏡開きを行い、開業したAichi Sky Expoは、整備されてから約7年が経過しているが、私はその3年ほど前、2016年8月に日本で一番大きいと言われている略してリードジャパンという展示会主催会社の当時の社長に東京都で会ったことがあった。その年の4月に、ものづくりワールド名古屋をリードジャパンが開催し、それを契機に社長と会うことができた。当時、愛知県が計画している国際展示場について、その社長に尋ねたところ、地理的要素が残念な点、不安要素と言われてしまった。そのことはずっと頭に残っていたが、Aichi Sky Expoは開業してからいろいろな展示会も開かれていると思う。
 東京オリンピックが終わってから東京ビッグサイトも通常の営業に戻り、また、部分的に改良もされているということで、私も本年度、東京ビッグサイトに初めて都営バスを利用して行ってみた。東京駅から新幹線を降りて10分でバスに乗れた。時刻表では40分であったが、やはり都内の渋滞等があって60分かかってしまった。都営バスの狭い車内で60分いたが、都営バスは、よいところに着く。入り口のすぐ近くに着くので、すぐ会場の中に入ることができる利便はあった。また、今月、千葉県の幕張メッセにも行ってきた。最寄りのJR海浜幕張駅から5分とどんなイベントにも書いてあるが、やはり今回も15分ぐらいかかってしまい、何だかんだ新幹線を降りてから1時間ぐらいかかったという印象を持った。2016年のリードジャパンの社長が述べた時間的要素は、東京ビッグサイトも幕張メッセもAichi Sky Expoもあまり変わらないというのが、私の実感である。
 そこで、三点ほど聞く。
 日本国内の展示会は年間どのぐらい開催され、そのうち本県で開催されている展示会はどのぐらいあるのか聞く。
【理事者】
 今年2026年の1年間に開催が予定されている展示会の件数については、株式会社ピーオーピーから発行された2026見本市展示会総合ハンドブックによると、995件とされている。同じく都道府県別の開催件数を見ると、東京都が461件、大阪府が147件、千葉県が92件、愛知県が91件、福岡県が50件などとなっている。年間で約1,000件ある展示会のうち、ほぼ半数が東京ビッグサイトを有する東京都で開催されている状況である。次いでインテックス大阪を有する大阪府、幕張メッセを有する千葉県の順となっていて、本県が占める割合は大体全体の約1割程度という状況になっている。
【委員】
 幕張メッセ、東京ビッグサイト、インテックス大阪など、他地域ではAichi Sky Expoよりも歴史がある大規模展示場だと思う。そういった中で、2019年開業のAichi Sky Expoの強み、特徴について、愛知県はどのように考えているのか聞く。
【理事者】
 Aichi Sky Expoは、国内初となる国際空港直結型の展示場であって、来場者等の交通利便に優れるほか、飲食、物販、宿泊など、空港に付随する様々なサービス機能の活用が可能である。展示面積については、東京ビックサイト、幕張メッセ、インテックス大阪に次いで、国内最大級となる6万平米である。うち1万平米の展示ホールAは、高さのある無柱空間となっていて、優れた防音性能を有しているので、コンサートや試験会場などに使用するのに最適である。残りの各1万平米の広さを持つ五つの展示ホールは全てを連結して使用することが可能であって、この場合は総展示面積が国内最大の5万平米となる。
 また、日本唯一の常設の保税展示場となっていて、実際昨年の12月に開催されたWorld Robot Summit2025においても、海外から来た2チームによって保税展示が利用された。
 そのほかにも、野外コンサートや臨時駐車場など様々な用途に利用が可能となる約3.6ヘクタールの広大な多目的利用地、広いローディングエリアや駐車場、比較的低廉な料金設定など、Aichi Sky Expoはほかの展示場にはない多くの強みや特徴を有しているので、主催者や来場者の期待に応えられる施設であると考えている。
【委員】
 歴史ある展示場という、そこに打ち勝っていく特徴を言ってもらったと思うが、全国的には他地域でも、愛知県でもIGアリーナのような体育館やホール、展示場などがたくさんあると思う。そのような中で、Aichi Sky Expoの開催件数を増やすのであれば新しい展示会を呼び込んでくるしかないと思うが、どのぐらい新しい展示会を開催できたのか。
【理事者】
 新たに開催されるようになった展示会として、三つ例を挙げる。
 まず1例目であるが、モーターサイクルショーという二輪車、バイクのイベントがあるが、このイベントはこれまで東京都と大阪府でしか開催されていなかった。しかしながら、Aichi Sky Expoの開業を契機とした誘致活動が実を結んで、2021年から毎年開催している。このモーターサイクルショーは、モノづくり産業の集積地である当地において開催されることがふさわしいイベントであると考えており、今年は第5回名古屋モーターサイクルショーとして、4月10日から12日までの3日間開催されたところである。来場者数は4万5,581人と過去最高を記録するなど、今日では中部地区最大のバイクイベントに成長している。
 次に2例目であるが、スマートシティ及びその基盤となるような次世代技術をテーマとした新規の産業展示会AXIA EXPOである。AXIAとは愛知からアジア、そして世界へ革新を起こすといった意味を込めていて、アイチのA、トランスフォーメーションのX、インターナショナルのI、アジアのAと、各々の頭文字を取ってつなぎ合わせた造語である。AXIA EXPOについては、新たな展示会の開催を通じてこの地域の展示会産業の振興に資することが期待されるので、本県も実行委員会の一員として参画している。2024年に初めて開催して以来、今年も先日6月4日、5日に3回目を開催したところである。
 それから3例目であるが、昨年の7月に、大手の展示会主催者が初めて取り組むAGTS農業展というものが、全国に先駆けて唯一Aichi Sky Expoにおいて開催された。今年は本日から25日まで3日間開催される予定になっている。昨年の愛知県での初めての開催の成功を受けて、今年は群馬でも同様の催事が開催されることとなっている。これを受けて、愛知展の名称がAGTS農業展in愛知に変更されている。
 その他、昨年9月には、世界最大級の旅の祭典ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸がAichi Sky Expoの施設をほぼ全館活用して開催されている。この催事は非常に広大な展示ホールなどを必要とするので、基本的には毎年、東京ビッグサイトで開催されているものであるが、本県による長年の誘致活動が結実したものであると認識している。来場者数は12万7,677人と、コロナ禍後のAichi Sky Expoにおける過去最高の記録を更新した状況である。
 こうした大型催事としては、今年9月、10月のアジア・アジアパラ競技大会はもちろんのこと、2028年には技能五輪国際大会の開催も予定されている。
 本県としては、引き続きAichi Sky Expoの有する強みや特徴を展示会の主催者等に対してアピールして、選んでもらえる展示場となるように、運営会社と共にしっかりと取り組んでいく。

愛知県国際展示場の画像
愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)

【委員】
 運営会社含めてしっかり取り組んでいってほしい。
 次の質問である。
 皆、MAGロードというのはあまり知らないかもしれない。愛知万博を契機に東海環状自動車道、通称MAGロードというのだが、2005年に開通してから、今年で21年目になる。このMAGロードに合わせて大きく二つ質問する。
 まず、観光についてである。愛知県とMAGロードの沿線市で、広域連携や地域連携は、できていたのか、そんな視点で考えてみる。県内のMAGロード、インターチェンジがあるところは大変自然豊かなところである。自然豊かなエリアだから、地域資源にスポットを当てれば滞在できる観光資源だと考える。
 岐阜県の東濃地域も愛知県内のMAGロードのインターチェンジ沿線と同じような雰囲気を持っている。愛知県が政策として進めている武家文化とか食につながるようなことで考えると、岐阜県の東濃地域や私の選挙区の瀬戸市も陶器の器が資源だと思う。
 そこで質問だが、MAGロード開通20年が過ぎ、東海環状自動車道を利用して、観光が活性化できたのか。今までの20年間の観光施策を振り返って聞く。
【理事者】
 東海環状自動車道など高速道路ネットワークを活用し、その沿線にある自然や歴史、食文化などを有機的に結びつけ、広域周遊を促進する取組は重要であると考えている。
 本県では、2015年度より岐阜県と連携し、愛知県、岐阜県の産業観光施設を巡るスタンプラリーを実施している。昨年度の取組では、愛知県、岐阜県の産業観光施設120施設をデジタルスタンプラリーで周遊するあいちとぎふ見にトリップスタンプラリーを開催した。このスタンプラリーでは、東海環状自動車道沿線にある瀬戸蔵ミュージアムや、招き猫ミュージアムから多治見市モザイクタイルミュージアムなど、岐阜県内のスポットへの周遊をモデルコースの一つとして紹介しているほか、同沿線上の施設も多数紹介している。
 また、中日本高速道路株式会社や名古屋高速道路公社と連携し、東海環状自動車道も含む指定エリア内の高速道路と名古屋高速道路が定額で乗り放題になる周遊パスと、愛知県内の約130施設の飲食店等で使用できるクーポンをセットにしたドライブ旅行商品、速旅愛知・名古屋の美味しいを食べよう!美味切符付ドライブプランを販売した。これらの取組は、東海環状自動車道を活用した周遊観光施策の一つとして、観光活性化に資する取組であったと考えており、今年度も少し内容を変えながら、引き続き実施していく。
 東海環状自動車道など主要な高速道路ネットワークを活用し、広域周遊観光を促進していくことは大変重要であると考えているので、今後も引き続き積極的に取り組んでいく。
【委員】
 今の答弁ではなかなか納得ができない面が大分ある。それはなぜかというと、生活している私からすると、瀬戸市にある二つのインターチェンジは、多分あまり台数が増えていない。周辺で交通渋滞があるとか、そういったことは全く感じられない。いつ使っても渋滞のないインターチェンジということだから、ここはひとつ、よくよくもっと考えてもらいたい。目に見えるような観光施策にMAGロードを利用してもらいたい。
 さらに、MAGロードはまだ完全に完成していない。三重県と岐阜県の間が未開通である。これが開通すればさらに交通量が増えてくる。沿線の人口も意外とびっくりするが、MAGロード沿線700万人という数字も出ている。今後のことを考えると、観光誘客にMAGロードは期待できる道路だと思うので、その点での愛知県の考えを聞く。
【理事者】
 東海環状自動車道が全面開通すれば、岐阜県や三重県の一部地域から本県への移動時間が短縮するとともに、名古屋圏を経由しないダイレクトアクセスが可能となる。この広域アクセスの改善は観光客の移動ストレスの軽減につながるだけではなく、複数エリアへの訪問促進にもつながる。そして、これまで来訪が少なかったエリアからの集客が拡大し、例えばジブリパークプラスアルファなど、新たな観光広域ルートの形成促進も期待できると考えている。また、先ほど紹介した本県などが行ってきたスタンプラリーなどの広域周遊促進施策についても、より政策効果が高まるものと期待している。
 これらインフラ整備に伴う影響を十分に生かしながら、今後も広域周遊を促進する取組に積極的に取り組んでいく。
【委員】
 次は観光ではなくて産業の面でMAGロードの話をしたい。
 6月15日に経済産業省の中部経済産業局が工場の立地動向調査の結果を発表した。その結果を受けて、中日新聞の愛知県版や岐阜県版でも記事になっていた。岐阜県版の記事が衝撃的だった。岐阜県内の工場立地件数が初めて全国1位になったという見出しだった。その記事は結構細かく書いてあり、工場を建設する目的で1,000平方メートル以上の用地を取得した企業は72件あった。これが愛知県は55件だったそうで、愛知県より多かった。岐阜県の地域別では、東海環状自動車道沿いが多かった。理由はアクセスが向上したということである。このことが非常に気になり、今日の委員会につながる。それ以前までは、開通してから20年、何が変わったのかなというレベルだったが、この岐阜県の記事を見た以上、今後の愛知県の施策に生かしていかなければいけないという気持ちになっているので、質問を四点ほどする。
 まず、東回り工事着工後、195企業が進出したとのデータがあるが、県内分のデータは取りまとめられているのか聞く。
【理事者】
 東海環状自動車道の東回り工事着工後に進出した195企業というデータの元である東海環状地域整備推進協議会のデータによると、沿線工業団地に進出した195企業のうち、愛知県内での進出は34企業となっている。
【委員】
 34企業の進出があったということである。併せて195企業のデータの横に製造業従事者数の推移も載っていて、東回り工事着工後1.14倍になったということである。MAGロードは愛知県内の沿線である瀬戸市と豊田市の製造業従事者数の推移はどのようになっているのか聞く。
【理事者】
 東海環状地域整備推進協議会のデータによると、製造業従事者数に関しては、愛知県内で1.25倍、沿線自治体である瀬戸市で0.95倍、豊田市で1.27倍となっている。
【委員】
 私の選挙区の瀬戸市では製造業の従事者数が減っている。これも衝撃的なので、私も改めてこの観点で今後いろいろ勉強したいと思っている。
 視点を変えて、私の選挙区の瀬戸市では、工業団地については変化がない。瀬戸市に住んでいる人間であれば、瀬戸市の工業団地は昔から変わっていないことは分かる。だが、MAGロードを利用して岐阜県へ行くと、急に工業団地ができている。これはさっきのデジタルスタンプラリーで私も行ったことがある。そこで、工業団地の立地状況について聞く。
【理事者】
 愛知県内の東海環状自動車道の沿線では、企業のニーズに応じた個別開発について、愛知県と地元自治体が協力して、開発や優遇制度の活用について対応することが多い傾向である。立地に関して、データを遡ることができる2002年以降の工場立地動向調査によると、2025年、昨年までの瀬戸市、豊田市への立地件数は累計で174件ある。また、瀬戸市においても、ここ数年でも大手自動車部品メーカーの工場の拡張、電気機械器具メーカーの新工場立地など、瀬戸市や豊田市、東海環状自動車道沿線において企業立地の実績がある。
【委員】
 わざと聞かなかったが、沿線立地のほとんどが岐阜県側という理解をする。
 最後、四点目、県では、あいち経済労働ビジョンをバイブルにしていると思うが、MAGロード沿線をあいち経済労働ビジョンの政策実現においてどのように考えているのか。
【理事者】
 昨年度策定したあいち経済労働ビジョンでは、産業立地補助金等の優遇施策や陸海空の交通インフラ等の立地環境の一層の充実などにより、高度先端産業をはじめとした本県の産業競争力強化に資する製造・研究拠点などの新規立地や再投資を促すとともに、付加価値の高い第三次産業や大企業の本社機能等の誘致を推進することで、イノベーションを生み出す産業集積のさらなる強化を目指していくこととしている。
 これからも産業立地補助金や税制優遇制度などを活用して、沿線への立地を希望する企業のニーズに応えられるよう、引き続き、沿線の地元自治体などと協力して企業立地促進を図っていきたいと考えている。
【委員】
 次の質問に移る前に、今の言葉に対して私も一言申し添えて次の質問に行きたいと思う。先ほどの岐阜県初の1位という記事にコメントがある。岐阜県知事のコメントは、日本の真ん中にある岐阜県のポテンシャルが生かされた。そのポテンシャルとは、岐阜県と沿線市町村が連携して企業誘致を積極的に展開したことが好調な要因という記事である。市町村としっかり連携するという意味合いで、MAGロードが利用できるようなあいち経済労働ビジョンを実現してもらいたいと申し添える。
 それでは、次の質問である。
 これも私の地元の質問なので、皆の知らない言葉を多用するが、愛知県の鉱業、鉱業とは地下資源の振興に関する質問である。
 私の地元には瀬戸窯業資源対策委員会という会議体がある。私も同僚の島倉誠議長も、都合がつけば必ず参加するのだが、この委員会は瀬戸市における窯業資源の開発、活用、保護などについて調査、審議し、窯業資源の長期的安定確保を図るため設置されている委員会である。愛知県経済産業局産業部もこの委員会に参加している。過去の愛知県経済産業局の行った愛知県の鉱業、地下資源に対する調査について聞きたかったが、私も急に言ったものだから、それは時間がないということだった。そこで、今回は別のことを聞く。平成2年12月3日に瀬戸窯業資源対策委員会は立ち上がっている。この委員会では瀬戸窯業資源開発指針がまとめられており、複数回改訂されている。作成の経緯と改訂した要因は、会議に参加している愛知県経済産業局産業部も把握していると思うので、今までの会議での愛知県の発言内容などを伺う。
【理事者】
 まずもって委員から質問のあった、昭和30年、40年代に県が実施した試錐調査については早急に調べることができず、現時点で回答できていないことをおわびする。
 質問のあった平成2年に設立された瀬戸窯業資源対策委員会の当課の参加の経緯だが、現在においても参加していることから、そのことを踏まえて話す。県としては本県が策定しているあいち経済労働ビジョン2026-2030の目指すべき姿の実現に向けた五つの施策、中小・小規模事業者の稼ぐ力の向上のうち、4地域社会に根差した事業者への支援として、地場産業や地域資源の魅力を引き出し、ブランディングや販路開拓を支援することとし、地域の強みを生かした競争力の商品、サービスの展開を後押しすることに取り組んでいる。よって、このビジョンの趣旨に基づいて地場産業の振興、窯業振興を担当する経済産業局産業振興課として、本委員会に参加していると認識している。
 次に、瀬戸窯業資源対策委員会での愛知県の発言内容についてである。瀬戸地域の資源の長期安定確保に向けた方向性を示すものとして、委員会が平成9年に瀬戸窯業資源開発指針を取りまとめていて、この30年度の改訂に向けた幹事会において、前回の指針からの変更点の概要について愛知県として発言している。
【委員】
 今の答弁は、今後期待できるような答弁だと思う。先ほどの委員の質問からも分かるとおり、伝統工芸が非常に小さくなってしまった。小さくなってしまった要因の中には、瀬戸窯業資源対策委員会での愛知県の立ち位置でも分かるような気がする。あいち経済労働ビジョンにも言及したが、言及する以上はしっかり、小さくならないようにどんどん発言してもらい、瀬戸窯業資源開発指針を、さらに改訂できるように取り組んでもらいたいと申し添えてこの質問は終わる。
 最後に、技能五輪全国大会と全国アビリンピック、併せて県内の大会について聞きたい。
 まずは、技能五輪全国大会・全国アビリンピックと県大会について、その概要を教えてもらいたい。
【理事者】
 技能五輪全国大会は、原則23歳以下の青年技能者が約40職種で技能レベルの日本一を競う大会であって、1963年から毎年開催され、近年では1,000人程度の参加者がある。
 全国アビリンピックは、15歳以上の障害のある人々が、約25種目で、日頃職場などで培った技能を競う大会であり、1972年から原則国際アビリンピックの開催年を除き、毎年開催され、近年では400人程度の参加者がある。
 今年度の両全国大会は、12月に愛知県国際展示場、Aichi Sky Expoをメイン会場として、技能五輪は厚生労働省及び中央職業能力開発協会の主催により、また、アビリンピックは独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の主催により開催される。
 技能五輪全国大会の予選に位置づけられる県大会については、愛知県職業能力開発協会の主催により、23職種144人の参加を得て、昨年12月から今年7月までの予定で、県内各地で開催されている。
 全国アビリンピックの予選に位置づけられている愛知県アビリンピックについては、愛知県と高齢・障害・求職者雇用支援機構愛知支部の主催により、20種目123人の参加を得て、今月6日から始まっている。今週末の27日土曜日には、小牧市のポリテクセンター中部を会場として、17種目105人の参加により開催される予定となっている。
【委員】
 それでは、アイチータ杯2026中学生の部と小学生の部の概要について聞きたい。
【理事者】
 アイチータ杯は、小学生にモノづくりへの関心と技能尊重機運の醸成につなげるため、2016年度から実施しているものであって、2021年度からは未来のデジタル利活用人材の育成につなげるため、競技内容を見直して実施している。今年度は小中学生合わせて150人を対象にロボット製作とプログラミング制御を競う競技大会を開催する。
 中学生の部については、11月14日土曜日に県立三河高等技術専門校で開催する予定で、6月30日まで参加者を募集している。開催に当たっては、プログラミングになじみのない中学生も参加できるよう、ロボット製作やプログラミングの基礎を学ぶための事前講習会を県立工科高校3校の生徒の協力を得て実施する。その後、オンライン講習会を2回実施した後で、大会当日には、プログラミングしたロボットが競技コース上の小さなオブジェクトをいかに正確に早く回収できるかを競う。
 小学生の部については、2027年1月に岡崎商工会議所で県立工科高校の生徒の協力を得て、初めてプログラミングに触れる児童が簡単なプログラミングを学んだ上で、共通のロボットを用いてゴールまでのタイムを競う内容で開催する予定である。
【委員】
 次に、若年者ものづくり競技大会のパンフレットももらったが技能五輪全国大会との違いがよく分からなかったので、その違いを分かりやすく聞きたい。

技能五輪全国大会・全国アビリンピックチラシ表面技能五輪全国大会・全国アビリンピックチラシ裏面
技能五輪全国大会・全国アビリンピック チラシ

【理事者】
 若年者ものづくり競技大会は、厚生労働省及び中央職業能力開発協会の主催により、原則20歳以下の就業前の若年者を対象として、約15職種で同世代の若者と競い合うことを通じて技能の向上を図り、モノづくり分野への就業を促すとともに、若年技能者の裾野拡大を目的とする大会であり、その競技レベルは、初級レベル、技能検定3級程度とされている。
 一方、技能五輪全国大会は、厚生労働省、中央職業能力開発協会及び立候補があれば共催県の主催により、原則23歳以下の青年技能者を対象として、約40職種で技能レベルの日本一を競う大会であり、その技能レベルは上級から中級レベル、技能検定2級相当以上とされている。なお、若年者ものづくり競技大会では、15職種のうち4職種で技能五輪全国大会の参加資格を得ることができるとされている。
【委員】
 若年者でも技能五輪全国大会への道が開けるという話もあったが、全国大会へ参加を目指す若者や選手に対して、愛知県はどのような支援制度を実施しているのか伺いたい。
【理事者】
 技能レベル日本一を目指し、全国大会に挑戦することは、技能者の技能水準の向上や裾野の拡大につながるものと認識している。
 一方で、中小企業や学校等においては、大会に向けた訓練費用や指導者の確保などの負担から参加を躊躇する場合もあると聞いている。
 このため県では、中小企業や学校等の大会参加への経済的ハードルを下げるため、訓練に必要な材料費や講師謝金等の一部について、2014年の愛知県での開催を契機として支援制度を創設し、それ以降、地元開催に合わせ支援してきた。現在は1競技当たり15万円を上限に助成しているところである。さらに、今年度からは、2028年技能五輪国際大会の地元開催を見据え、技能五輪国際大会の参加を目指す場合には、上限額を25万円とし、取組を強化している。
【委員】
 2014年に制度を創設したということであるが、支援の実績とその成果について教えてほしい。
【理事者】
 昨年10月に開催された全国大会においては、助成制度を活用した訓練を受けた選手が技能五輪に13職種34人が参加し、4職種で4人が敢闘賞を獲得した。また、全国アビリンピックにおいても5種目7人が参加し、5種目で金賞2人、銀賞2人、銅賞1人が入賞するなど、両大会で着実な成果を上げている。
 今後ともこうした支援を着実に実施し、大会参加の一層の促進と選手の発掘や強化を図ることで、本県のモノづくりを支える人材の確保、育成に取り組んでいく。
【委員】
 実績と成果として34人という大きな数字が出た。今後、国際大会に向けてもっと大きな数字が出るように、中小企業がどうしようかと悩むのではなく、積極的に支援し、国際大会でも多くの若者が入賞できるような支援制度を今後も考え、またそれを活用してもらえるような施策をやってもらいたい。

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