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経済労働委員会審査状況(令和8年6月24日)

ページID:0663332 掲載日:2026年9月2日更新 印刷ページ表示

経済労働委員会

委員会

日時 令和8年6月24日(水曜日) 午後0時58分~​
会場 第7委員会室
出席者
 日比たけまさ、横田たかし 正副委員長
 山本浩史、政木りか、今井隆喜、平松利英、伊藤貴治、長江正成、安井伸治、手塚将之、
 岡 明彦、阿部武史 各委員
 企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、関係各課長等

経済労働委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

なし

閉会中継続調査申出案件
  1. 中小企業の振興、次世代産業の育成及び産業交流の促進について
  2. 労働者福祉の向上、職業能力開発の推進及び雇用対策について
  3. 観光振興及び国際会議等の誘致について
  4. 水道事業及び工業用水道事業について
  5. 用地造成事業について
  6. 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、企業庁及び労働委員会の行政運営について

会議の概要

  1. 開会
  2. 一般質問
  3. 閉会中継続調査申出案件の決定
  4. 閉会中の委員会活動について
  5. 閉会
主な質疑
一般質問

【委員】
 私からは、尾州産地を支える工業用水道の在り方について質問する。
 私の地元一宮市は古くから繊維のまち一宮として発展し、尾州ブランドを支える一大繊維産地である。大村秀章知事がよく今日のスーツは尾州だと言っているが、私も尾州タグが入ったスーツしか持っていない。その中でも今日は一番高級な尾州スーツをまとってやってきた。尾州産地では、紡績、撚糸、製織、製織とは機織りである。それから染色整理、仕上げ加工など、糸から織物になるまでの多くの工程が地域内に集積してきた。とりわけ染色整理や洗浄の工程では大量の水を必要とする。水は尾州産地のモノづくりを支える極めて重要な産業インフラである。かつてはこうした工場で井戸水を利用していた事業者も多かったと聞いている。井戸水は年間を通じて水温が比較的安定しており、工場にとって使いやすい水であった。しかし、濃尾平野をはじめとする地盤沈下の問題を受け、地下水の利用は大きく制限され、現在では多くの繊維関連工場が工業用水を利用している。地盤沈下防止の重要性は私も十分に認識している。
 一方で、地下水規制が本格化してから半世紀ほどが経過した。この間、社会経済情勢も産業構造も、さらには地下水位や地盤をめぐる状況も大きく変化している。また、尾州産地は岐阜県羽島市を含む県境をまたぐ広域の繊維産地でもある。同じ産地の中で水利用をめぐる条件の違いが企業間競争に影響しているのではないか、そういった声も寄せられており、愛知県側の地場産業を守る視点が必要であると考えている。
 そのような問題意識を踏まえ、順次伺っていく。
 まず、工業用水の水温の問題について伺う。井戸水であれば年間を通じて水温が比較的安定している。しかし、工業用水は季節や気温の影響を受けやすいと聞いている。冬場は水温が下がるため、染色整理や洗浄工程で必要な温度まで加温するためのエネルギーコストがかかる。逆に夏場は、特に近年の猛暑により水温が異常に高くなり、工程に応じては冷却が必要になる場合もあると聞いている。水を大量に使う工場にとって水温の変動は単なる使い勝手の問題ではない。燃料費や電気代、品質管理、納期、さらには企業の競争力にも関わる問題である。現在、愛知県工業用水道の公表基準では、濁度、水素イオン濃度、水圧については示されているが、水温については基準として示されていないと承知している。
 そこで伺う。
 企業庁として、季節ごとの工業用水の水温を把握しているか。また、工業用水の水温変動が尾張工業用水道を利用する繊維関連企業、とりわけ染色整理加工業などに与える影響を把握しているのか伺う。
【理事者】
 県営工業用水道では、浄水場から給水する工業用水の水質について、愛知県工業用水道給水規程に定める基準項目である濁度、水素イオン濃度のほかに、水処理上の観点から、水温、アルカリ度を加えた4項目を毎日測定している。工業用水の水温については、浄水場での水処理の過程において夏の直射日光や気温変動の影響を受けることから、昨年度の尾張工業用水道の尾張西部浄水場における実績では、最高水温が9月の30.8度、最低水温が1月の5.7度、年間平均の水温は約17度となっている。工業用水の水温に関して、尾張工業用水を利用する繊維工業の事業所からは、夏場の高水温が加工工程に影響を及ぼすとの意見を聞いている。
 なお、水温については、以前、水質基準項目として27度以下と規定していたが、近年、地球温暖化の影響により夏場の水温が上昇してきたことを踏まえて、2020年に撤廃した経緯があり、その際、工業用水利用事業所には、自然由来の事象であり、やむを得ないものとして理解してもらっている。
【委員】
 今、30度を超えるという話である。27度を超えてくるとその温度では使えない、そのまま通すと機械に異常が出るという話がある。そのために温度を下げる工程をつくったり、もしくは井戸水、地下水を取ってもよい量を規制しているので、そういった地下水を混ぜて水温を下げるなど、企業努力がなされていると聞いている。
 次に工業用水を利用する企業の減少について伺う。
 現在の尾州産地は工業用水道が整備された当時とは大きく環境が変わっている。経済産業省の資料によれば、国内全体の繊維工業の事業所数は、2005年には2万か所以上あったが、2019年には1万か所余りとなっており、過去15年で半分以下となっている。また、尾州産地全体で見ても、従業者4人以上の事業所数は1990年の2,946事業所から、2019年には462事業所へ、従業者数は3万9,553人から8,625人へ、出荷額は6,917億円から1,546億円へと、いずれも大きく減少している。もちろん繊維関連工場の減少には海外製品との競争、後継者不足、設備更新の負担、燃料費や人件費の上昇など、様々な原因がある。しかし、水を大量に使用する工程において、工業用水の料金負担や水温変動に伴うエネルギーコストが重くのしかかっていることも現場から聞こえてくる切実な声である。
 さらに問題なのは、工場が減少すれば、その分工業用水を利用する企業も減少する点である。工業用水道は大規模な施設を維持しながら安定供給するインフラである。利用企業が減れば、契約水量や実給水量、つまり実際に給水された水量が減少し、施設を支える利用基盤が弱くなる。その結果、残された利用企業にとって料金負担はより重く感じられるようになる。これは尾州産地にとっても、また、工業用水道事業にとっても看過できない悪循環である。
 そこで伺う。
 尾張工業用水道における過去から現在までの受水事業所数、契約水量、実給水量はどのように推移しているのか。また、繊維関連企業が多い地域において、利用企業の減少は工業用水道事業の経営や残された利用企業の負担感にどのような影響を与えていると認識しているのか伺う。
【理事者】
 尾張工業用水道では、委員指摘のとおり、産業構造の変化により繊維工業の事業所の廃止が進み、利用が減少してきた。加えて、事業所の操業実態に合わせて、事業経営に大きな影響を与えない範囲で契約水量を見直す特別減量などにも対応してきたことから、全体として利用規模が縮小している。この結果、利用状況は大きく減少しており、事業所数はピーク時の139か所から、現在は76か所、契約水量は約26万立方メートルから約11万立方メートルへ、さらに、実際の使用量も約17万立方メートルから約7万立方メートルへと減少している。こうした減少により料金収入が落ち込み、経営は厳しい状況となっている。また、その一方で利用を継続している企業からは、残った企業で将来を支えていく負担が大きいといった声も聞いている。このため、県としては、契約水量の減少を踏まえ、施設の更新に合わせて浄水場能力を縮小するダウンサイジングなど、コストの抑制に取り組んできた。
 今後も需要の動向を見極めながら、段階的に施設規模の適正化を進め、経営の安定化に努めていく。
【委員】
 次に、工業用水の新たな需要開拓について伺う。
 工業用水道の利用企業が減少しているということであるが、既存の企業に負担を求め続けるだけでは限界がある。むしろ、既に整備されている工業用水道を産業インフラとして生かし、新たに工業用水を利用する企業や工場の需要を開拓していく必要があると思う。愛知県企業庁の経営戦略2035においても、工業用水道事業の新規需要開拓に向けたPRの実施という項目の中で、各事業の状況を踏まえながら、新規需要開拓に取り組み、さらなる収入確保に努めるとされている。尾州産地においても、既存の工業用水道を単に維持するだけではなく、工業用水を必要とする新たな企業、あるいは繊維関連の新たな加工、研究開発、環境対応型工場などを呼び込む視点が重要である。特に愛知県側の企業が水利用の面で厳しい条件を抱えているのであれば、県としてはその不利な条件を少しでも補い、地場産業を守るためにも、工業用水道を生かした需要開拓や企業誘致の視点を強める必要がある。
 そこで伺う。
 企業庁の収入確保として、尾張工業用水道の利用企業が減少している現状を踏まえ、工業用水を利用する企業、工場の新たな需要開拓にどのように取り組んでいるのか。
【理事者】
 需要開拓の取組として、工業用水管路の周辺に立地する企業や、利用を廃止した事業所の跡地に立地する企業、さらに地下水を利用している事業所に対して、工業用水の利用を積極的に働きかけている。あわせて、地元市町村や商工会議所と連携し、立地に関心のある企業に対して工業用水道の活用を紹介している。さらに、ホームページでの施設や水質に関する情報発信に加え、企業展への出展などPRにも取り組んでいる。尾張工業用水道事業においては、事業のこれまでの経過や利用事業所の状況について、企業誘致を進めている経済産業局や地元市町村と共有するなど連携を図っており、今後も引き続き関係機関一体となって新規需要の開拓に取り組むことで収入の確保に努め、事業の安定的な経営につなげていく。
【委員】
 実際、繊維工場は大きな敷地を持つ大きな工場であり、その工場が廃業すると新たな工業用水を使う工場が進出するのかと思うと、大半が分譲住宅もしくは大型のスーパーになってしまう。そうすると当然工業用水を使わない。住宅街になってしまうと隣の工場が今度は、騒音でうるさいと新たに引っ越した人々からクレームが出るなど悪循環があるので、何とかここを企業庁のリードで進めてもらえるとうれしい。
 次に、料金制度について伺う。
 県営工業用水道は実際の使用量ではなく、承認基本受水量、いわゆる契約水量に応じて料金を支払う責任水量制を採用している。また、尾張工業用水道の料金は基本料金が1立方メートル当たり30円、超過料金が60円とされている。さらに工業用水道は利用者からの申込みを受けて施設整備を行ったため、承認基本受水量、いわゆる、契約水量の減量や受水廃止は原則できないとされている。施設整備の経緯を考えれば責任水量制に一定の合理性があることは理解する。工業用水道は利用企業の求めに応じて大規模な設備を整備し、長期にわたり安定的に水を供給するインフラであり、その維持には固定費がかかる。しかし、現在の企業は省エネ、節水、排熱回収、水の再利用など、環境負荷を減らす努力を不断に続けている。
 尾州産地の染色加工業においても、余剰蒸気の回収、冷却水の回収、熱交換器による高温廃液の熱利用、少ない水量で染色加工を行う、いわゆる低浴比での染色加工など、水や熱の再利用に取り組んでいる事例がある。ところが、責任水量制の下では節水をしても契約水量に基づく料金負担は基本的に変わらない。これでは企業の節水努力や環境負荷低減の努力が料金面では報われない仕組みとなっているとも言える。
 また、県境をまたぐ尾州産地の中で水利用の条件差があるのであれば、工業用水を利用せざるを得ない愛知県側の企業にとって、責任水量制による固定的な負担は競争上の不利をさらに大きくする要因にもなり得る。だからこそ、料金制度の在り方についても工業用水道事業の安定経営だけでなく、尾州産地を守る産業政策の視点を併せて考えていく必要があるように思う。
 そこで伺う。
 節水や水の再利用に取り組む企業の努力が料金面にも一定程度反映されるよう、契約水量の見直しや二部料金制、あるいは責任水量制と二部料金制の選択制など、利用実態に応じた料金制度の研究、検討を行う考えはないか。
【理事者】
 工業用水道事業が各事業所からの給水申込みを基に所要の施設を整備する受注生産であり、ダム等の水源施設、浄水場、管路の減価償却費等の固定費が費用の大きな割合を占めている。このため、着実に費用を回収する必要があることから、給水申込みに基づく契約水量に応じて料金を負担してもらう責任水量制を採用しており、全国でも約8割の事業体が同様の制度を採用している。これまで契約水量の見直しや二部料金制について試算し、各受水者協議会に示してきた。その結果、負担が減る事業所と増える事業所が生じるなど、公平性の面で課題が見られる状況となっている。
 今後も工業用水道事業の経営状況や利用事業所の意向を踏まえながら、引き続き料金制度の研究、検討を行っていく。
【委員】
 最後に、要望を述べる。
 今回聞いた水温変動、受水企業の減少、新たな需要開拓、責任水量制の在り方は、それぞれ別々の問題ではないと考えている。いずれも尾州産地の競争力と県営工業用水道事業の持続性に関わる共通の課題である。尾州産地の繊維関連工場は長年にわたり地盤沈下防止という公共的な目的に協力し、井戸水から工業用水への転換を受け入れてきた。
 その一方で、現在は工業用水の料金負担、水温変動に伴うエネルギーコスト、責任水量制による固定的な負担が現場に重くのしかかっている。利用企業が減れば工業用水道を支える基盤も弱くなる。これは産地にとっても、工業用水道事業にとっても避けなければならない悪循環である。
 加えて、尾州産地は愛知県一宮市だけで完結しているものではない。岐阜県羽島市を含む県境をまたぐ広域の繊維産地であり、その尾州産地のうち羽島市側には一宮市と同様の地下水くみ上げ量に関する制限は確認されていない。分かりやすく言うと、羽島市は井戸水掘り放題だが、木曽川を渡って愛知県側に入ると、地盤沈下の関係で大幅な規制があるということである。同じ産地の中で水利用の条件が異なることは、愛知県側の企業にとって生産コストや競争条件の面で大きな影響を与えている可能性がある。もちろん地下水管理はそれぞれの地域の地盤、地下水位、地盤沈下の経緯、防災上のリスクを踏まえ、慎重に判断されるべきものである。愛知県側の地下水規制を安易に緩めるべきだと言っているのではない。しかし、愛知県側の企業が不利な条件を抱え続けるのであれば、県として地場産業を守るための施策を検討しなければならない。
 地下水管理をめぐる環境も変化している。地盤沈下は何としても防がなければならない。一方で、地下水位の上昇に伴う液状化リスク、防災時の水源確保、産業用水の確保といった新たな視点も重要になっている。今月発表された愛知県南海トラフ地震被害予測調査において、一宮市を含む尾張西部で液状化危険度が極めて高く示されたことも地下水管理を総合的に考える必要性を示していると受け止めている。
 濃尾平野の地下水管理に関する大東憲二氏の論文では、地下水採取規制により低下していた地下水位が上昇し、地盤沈下は鎮静化している一方で、地下水位が上昇することで液状化の危険性など、新たな問題の発生が懸念されると指摘している。同様の指摘は大東憲二氏に限ったものではない。中部土質試験協同組合の坪田邦治専務理事と基礎地盤コンサルタンツ株式会社中部支社の萩原協仁氏は、令和元年の地盤工学会誌において、濃尾平野では揚水規制以降、地下水位の回復上昇が見られ、現在では市街地掘削の際の大きな障害、基礎工計画時の浮力増加、液状化地域の拡大などにつながりつつあると指摘している。また、国土地理院が毎年公表している濃尾平野の地盤沈下の状況においても、地下水位が回復してきたことによる構造物への影響や液状化の発生等が懸念されるとして注意深い観測、監視の必要性が繰り返し示されている。私はこれらの指摘を重く受け止めている。
 現場の声だけで制度を動かすことはできない。しかし、現場の声を出発点として、専門家、行政、地元市町村、産地組合が連携し、客観的なデータに基づいて検証することは、県内産業を守る上でも、また、防災上も極めて重要である。企業庁においては、工業用水道を単に水を供給する事業としてだけではなく、地域産業を支える戦略的インフラとして捉えてもらいたい。
 さらに、工業用水の新たな需要開拓という観点では、成長分野である半導体関連工場やデータセンターなど、工業用水を多く必要とする企業、施設の誘致可能性についても地元自治体と連携して検討してもらいたい。半導体関連工場であれば、製造工程において多くの水を必要とする。また、データセンターについても冷却需要が大きい施設であり、冬場の冷たい工業用水を冷却に活用することや、施設から生じる廃熱を熱交換等により温水需要のある産業へ活用することも今後の研究課題になり得ると考える。
 もちろんこうした企業誘致には用地、電力、通信環境、排水処理、周辺環境への影響など、整備すべき課題もある。しかし、工業用水道という既存インフラを生かし、冷却、廃熱利用、温水需要を組み合わせた産業インフラとして捉え直すことで、既存産業の支援と新たな企業誘致を両立できる可能性がある。既存企業の負担軽減、責任水量制の課題検証、水温変動の問題に加え、工業用水を必要とする企業、工場の新規需要開拓、排熱や温水利用を含めた産業間連携、そして液状化リスクも踏まえた地下水管理の科学的再検証を含め、環境政策、産業政策、防災政策を関係部局と連携して一体として進めてもらうよう強く要望して私の質問を終わる。
【委員】
 私からは用地造成事業について二点伺う。
 まずはじめに、豊田市内、豊田貞宝次世代産業地区についてである。
 これまで愛知県は、日本の中央に位置する恵まれた地理的条件、産業活動に重要な役割を果たす交通インフラに優れた地域であり、豊かな水資源や労働力を背景に、全国屈指の産業集積を築いてきた。特に自動車・航空機産業をはじめとした工業分野では、製造品出荷額が1977年以来48年連続日本一の座を占めるなど、日本経済発展の原動力として大きな役割を果たしている。
 こうした背景から、令和8年1月に公表された県の統計によると、愛知県の経済規模を示す2023年度の名目の県内GDPの数値が前年度比で7パーセント増、46兆円余りとなり、2011年度以降では過去最大規模、2018年度以来5年ぶりに人口で上回る大阪府を抜き、経済規模で全国第2位となったことは承知のとおりである。今後も本県が世界有数のモノづくり拠点として世界の産業経済の発展に大きく貢献していくためには、既存産業の一層の高度化並びに次世代産業の誘致、育成を効果的、効率的に進めるとともに、企業ニーズに対しては柔軟かつ迅速に対応していく中で、開発予定地域周辺にはしっかりと理解を得ながら進めていく必要があると思っている。
 そこでまず、今回の豊田貞宝次世代産業地区における事業の経緯と企業庁が関与する意義について伺う。
 豊田貞宝次世代産業地区ではトヨタ自動車株式会社による新たな工業立地が計画されており、県企業庁が造成事業を進めている。まず、この事業に至った経緯及び事業目的について伺う。トヨタ自動車株式会社からどのような要請があり、県企業庁が造成主体となることになったのか。また、本事業が愛知県の産業政策上どのような意義を持つと考えているのか。企業庁の認識を聞かせてほしい。
【理事者】
 昨年8月7日にトヨタ自動車株式会社は2030年代初頭の稼働開始を目指し、豊田市貞宝町周辺に車両工場を新設するための土地の取得を決定し発表した。この決定に基づき、同年8月18日にトヨタ自動車株式会社と豊田市から企業庁に対し、工業用地の開発に関する要請があった。企業庁では近年、自動車産業や航空宇宙、ロボットなどの次世代関連産業の用地確保を目的としたオーダーメイド型の開発を進めており、トヨタ自動車株式会社が本工場にて取り組む、先端技術を活用し、多様な人材が活躍できる環境を備えた未来工場づくりと目的が一致することから、企業庁として事業を行うことを決定した。
 本県の基幹産業である自動車産業を支える本事業は、地域経済の原動力にとどまらず、日本経済の成長を牽引するものであり、本県はもとより、我が国全体のさらなる発展に寄与するものと考えている。
【委員】
 次に、事業進捗について伺いたい。
 現在事業がどこまで進んでいるのか。また、今年度は何を行うのか示してほしい。また、併せて事業費も示してほしい。
【理事者】
 当地区においては、昨年度から用地買収、各種調査、環境アセスメントの手続を進めている。
 まず用地取得については、開発の中心となるゴルフ場用地の土地売買契約を本年5月に締結し、そのほかの地権者についても、現在地元の豊田市と共に用地交渉における体制を強化しながら順次進めているところである。
 また、造成工事に先立ち、地質調査と、土地利用計画を定める上での設計業務を進めている。地質調査については、昨年度は22本のボーリング調査を完了し、今年度は56本のボーリング調査を4月に発注した。
 次に、設計業務については、昨年度から引き続き造成計画や進入路等の予備設計を進めているところである。今後も早期の工事着手に向けてしっかりと準備を進めていく。
 さらに、環境アセスメントについては、本年3月から4月末まで環境影響評価における調査項目及び調査の手法を定める趣旨で作成した方法書の公告、縦覧を行った。現在は県の環境局において、この方法書の審査を行っており、この審査後に審査結果を取りまとめた知事意見が送付される予定である。
 今後も、知事意見への対応も含めて、環境影響評価準備書の作成を進めていく。
 次に、事業費については、昨年度は用地費約4億9,200万円、補償費約600万円、調査費約8,300万円等の、合計約5億9,200万円を執行した。また、令和8年度は、先ほど説明した用地費に関する予算210億円をはじめとして、補償費3億円、調査費5億800万円等の合計222億8,400万円の予算を計上している。
【委員】
 それでは次に、想定する交通対策についても伺いたい。
 地域住民が最も懸念している課題の一つが交通問題である。工場の稼働後には従業員の通勤車両や物流トラックの増加が予想される。
 そこで伺う。
 1日当たりの交通量や大型車両の発着台数をどのように見込んでいるのか。また、周辺道路や主要交差点への影響をどのように分析しており、県としてどのような交通対策を講じていくのか聞かせてほしい。
【理事者】
 トヨタ自動車株式会社からは、新工場が本格稼働となった際、従業員は約5,000人から7,000人を想定し、物流車両については1日当たり約1,500便から2,000便を想定していると聞いている。また、周辺道路や主要交差点への影響を分析するため、現在、新工場稼働に伴い発生する交通量を算出するとともに、主要な交差点における交通量の推計を進めている。
 今後は、こうした推計の結果や地元住民の意見を踏まえながら、道路管理者である国土交通省や豊田市、交通管理者である公安委員会と協議を進め、新工場の稼働により生じる車両の混雑を最小限に抑えるため、右折レーン、左折レーンを設置するなどの交通対策を検討していく。
【委員】
 続いて、流域治水対策についても伺いたい。
 近年、気候変動に伴い、豪雨災害が頻発している。大規模開発による雨水流出量の増加を懸念する声もある。
 そこで伺う。
 本事業において、調整池整備などの流出抑制対策はどのように計画をされているのか。また、特定河川流域における流域治水の考え方とどのように整合を図っているのか、企業庁の考えを聞かせてほしい。
【理事者】
 流出抑制対策については、現在、調整池の規模等の検討を進めており、地区内に3か所の調整池を整備する予定である。開発区域内に降った雨は、まずはこの地区内の調整池に一時的に貯留させ、いっときに河川への流入が大きくならないよう、流量を調整することによって河川への負荷が現在より増えないように計画していく。
 なお、逢妻川流域の当地区は、流域のあらゆる関係者が協働して対策を行う流域治水の考え方を取り入れた特定都市河川浸水被害対策法の対象地域であり、同法をはじめ、各種法令の基準を満たすように調整池を計画することで、流域治水の考え方と整合を図っている。
【委員】
 それでは、この項目における最後の質問として今後の展開について聞く。
 今回の豊田貞宝次世代産業地区開発は、愛知県企業庁における大規模なオーダーメイド型産業用地整備の代表例になると考える。今後、県内で同様の産業用地整備を進めていく上で、本事業で得られる知見をどのように生かしていくのか、企業庁の考えを聞かせてほしい。
【理事者】
 オーダーメイド型開発は、施主となる立地企業が、本県が行う産業用地の整備によって、自社専用の細やかなニーズや産業効率の最大化を求めるものである。また、オーダーメイド型開発では企業によるスケジュール管理の下で造成計画を進めていく必要がある点や、通常の工業団地開発とは異なり、特に大規模な開発事案となる点など、企業庁にとっても非常に得難い開発ノウハウの蓄積につながっていくものと認識している。このため、今後、例えば基幹産業である自動車産業の新技術開発の促進や、航空宇宙、ロボットなどの次世代技術の分野において、通常開発の規模では賄えないような、企業による大規模な製造拠点の確保を目的とした今回の開発と同様な要請があった場合には、地元自治体と共に蓄積した知見を有効に活用しながら、しっかりと取り組んでいく。
【委員】
 企業庁としてオーダーメイド型開発を推進していく旨、そうした柔軟さと迅速さが今後はさらに求められていくと感じている。しっかり取り組んでもらいたい。
 また、本事業の知見を蓄積し、今後の開発に生かしていくとのことであるが、今回の開発には次世代産業用地開発課が新設され、先月の企業庁の事業概要説明では、課の構成人員は24人体制と聞いている。また、手挙げ方式により県内市町村より職員も募集して構成されていると認識しているので、こうした取組が愛知県企業庁のみならず、意欲ある県内自治体まで波及することで日本一の産業県愛知をさらに持続可能なものにしていけると期待している。
 続いて、同じく企業庁における用地造成事業のうち二点目の質問だが、安城北山崎地区についても伺いたい。
 まずはじめに、安城北山崎地区における事業進捗について伺う。
 現在、企業庁による整備が行われている安城北山崎地区についても確認のため、現在の事業の進捗状況について伺う。
【理事者】
 安城北山崎地区については、開発面積14.5ヘクタール、分譲面積11ヘクタールとなっており、2023年12月に開発を公表後、翌年事業用地を取得し、昨年4月には造成工事の契約を行い、9月から工事に着手しているところである。
 当地区の施工に当たっては、地区内を通る追田川の移設を伴うことから工区を二つに分けており、第1工区は約9.7ヘクタール、2区画で、2028年度完了を目標としている。また、第2工区の約4.8ヘクタール、4区画は2030年度完了を目標としている。
 次に、現在までの工事進捗状況についてであるが、早期完了が見込める第1工区を先行して進めており、昨年度は工事中の土砂流出を防ぐ仮設沈砂池を設置し、盛土工事に着手したところである。今年度は引き続き盛土工事を進めていくとともに、雨水調整容量約9,500立方メートルの調整池工事にも着手していく。
 今後も引き続き、第1工区、第2工区ともに、目標年度内での完了に向けて、事業の進捗管理をしっかりと行っていく。
【委員】
 次に、企業誘致の状況について伺いたい。
 安城北山崎地区では工区を二つに分けて、第1工区部分を先行して土地の分譲の申込み手続を行ったと認識しているが、今後どのような流れで第2工区部分の土地分譲に関する手続を進めていくのか。また、安城北山崎地区において今後どのような業種を重点的に誘致し、地域経済の活性化につなげていこうとしているのか伺う。
【理事者】
 安城北山崎地区については、工区を第1工区と第2工区に分けて造成工事を行うため、土地分譲に関する手続についても、工区を時期ごとに分けて行っているところである。
 委員が示すとおり、第1工区については2024年12月から2025年8月までの間、あらかじめ企業ニーズを把握し、今後の分譲区画の区画割りの参考とするための立地エントリー制度の申込み受付を行い、2026年2月から同年5月までの間には分譲申込みの受付を行ったところである。
 今後、第2工区については2026年度中を目途に、立地エントリー制度の申込み受付を開始することを予定している。また、第2工区の分譲申込みの受付については、この立地エントリー制度の申込みを締切り後、造成工事の完了時期を見通せた段階で始めていく。
 次に、安城北山崎地区において、今後どのような業種を重点的に誘致し、地域経済の活性化につなげていくのかという質問については、当地区の地元安城市は、安城北山崎地区の募集業種を製造業とすることによって、市内の企業が生産設備を拡張する際に、新たな土地を必要とする場合や、企業が老朽化した事業所などの移転を検討せざるを得ない場合に、市外へ流出してしまうことを防ぎたいとしている。
 このため、企業庁としては、こうした市の意向を踏まえ、企業の動向や土地需要をこれまで以上に的確に把握することに努めながら、本県の基幹産業である自動車関連産業をはじめとする地域経済に貢献できる地元企業を中心として、引き続き市と連携しながら企業誘致活動をしっかりと進めていきたいと考えている。
【委員】
 安城北山崎地区周辺では、2026年4月25日西三河地域を南北につなぐ主要地方道の豊田安城線の安城市内の未整備区間だった1.2キロメートル区間のうち、0.9キロメートル区間の開通がされたところである。さらに残りの0.3キロメートル区間についても今年の8月末までには暫定2車線による開通が予定されており、これが全線開通すると飛躍的に利便性が高くなることが想定される。今後、地区周辺を含めて相乗効果が起こることで、さらなる産業振興につながることを期待するとともに、大変多くの企業からもそういった声を聞いている。
 しかしながら、こうして大きく発展していくことは大変喜ばしいことであるが、同時に、地域に住む人々と共に発展していくことが何より重要だと感じている。先ほどの次世代産業地区の開発にも共通することであるが、トヨタ自動車株式会社の公式ホームページには、今回の工場の新設に当たっては愛知県及び豊田市、また、地域住民の人々などのステークホルダーの協力を得ながら進めていく。トヨタ自動車株式会社は国内生産300万台体制の維持に加え、先端技術を活用し、多様な人材が活躍できる環境を備えた「未来工場」づくりにも取り組んでいる。ビジネスを行う全ての国・地域において、地域の人々から愛され、頼りにされる、「町いちばんの企業」を目指すと記載があるが、まさに企業庁もそのような意識であるべきだと感じている。
 企業庁における事業もやはり愛知県及びその地域で信頼され、期待される事業でなければ、次につながらないものと思っている。引き続き日本一の産業力を一層強化し、世界の一歩先を行く産業首都あいちの実現に向けて尽力してもらうことを要望し、私の質問を終わる。
【委員】
 私からは、昨日に引き続いて、本日は企業庁に東海環状自動車道、MAGロード沿いの産業立地について聞きたい。
 前置きは、昨日も質問したので、大きく省略しようと思うが、企業庁は初めて聞くので少しだけ触れる。今年の6月15日に中部経済産業局とそれぞれの県が公表した、2025年の工業立地動向調査結果について、愛知県、岐阜県も同日発表された。ここで岐阜県が初めて全国1位になった。昨日は触れなかったが、それぞれの県の発表の中で、本社がその県にあるかということも発表に入っている。愛知県と岐阜県の違いとして、本社が存在する割合が愛知県は高く、岐阜県は低いという傾向は毎年あるそうだ。
 そのような中で、岐阜県が1位になった要素は三つあるそうだ。広域アクセスの充実、これは東海環状自動車道が延びている。それから強固な地盤と、豊富な水。これは岐阜県の強みだそうである。しかし、一番大事なのは県と市町村とで連携した企業誘致の推進ということが岐阜県が挙げた理由である。これが愛知県と岐阜県との違いである。
 そのような中で、昨日は、東海環状自動車道が開通してからのことを質問したが、昨日の答弁で分かるとおり、あまり期待できないので、もう少し範囲を広げて、都市計画決定したときからのおおよそ35年間で、沿線において実施した企業庁の内陸用地造成事業について聞かせてもらう。
【理事者】
 企業庁の内陸用地造成事業は市町村等の共同事業であって、地元地権者の理解や市町村の把握する企業からの需要を前提に開発検討を進めるものである。
 具体的には、市町村が都市計画マスタープランにおいて産業系に位置づけた場所で、全ての地権者からの同意や企業立地を見通せる場合に、企業庁へ開発検討の要請を行い、企業庁が事業の採算性を確認して開発決定をする流れとなっている。先ほど委員の質問にあった東海環状自動車道が都市計画決定した1991年度から2025年度までの完了した県内の内陸用地造成事業については43地区である。このうちの東海環状自動車道が通る瀬戸市及び豊田市内においては2地区で実施している。当該地区への企業の立地件数は11件となっている。
【委員】
 それでは、今の答弁に併せて、今後の東海環状自動車道沿線における、これは瀬戸市と豊田市に限られるが、内陸用地造成事業について企業庁の考えを聞かせてほしい。
【理事者】
 今後の東海環状自動車道沿線における事業の考え方については、企業庁では2020年度から毎年度県内の市町村に対して工業用地の開発意向を調査しており、開発意向があれば直接市町村へ訪問し、事業計画の具体化に向けた助言を行っているところである。
 こうした中で、市町村へのヒアリングにおいても、東海環状自動車道の整備が進み、沿線地域における工業用地開発への機運は高まってきているものと考えている。
 企業庁としては、今後、全線開通などにより企業ニーズがますます高まる東海環状自動車道の沿線の強みや特質を生かした工業用地の開発実現に向け、市町村が行う開発候補地の早期選定に協力するなど、積極的に取り組んでいきたい。
【委員】
 最後、要望する。
 市町村へ助言を行うということだが、開通してから20年が過ぎた道路なので、同じような助言をしても多分あまり変わらない。新しい視点での助言を企業庁で考え、実行してもらいたい。私が冒頭述べた、本社がどこにあるかというのも大きな話だと思う。東海環状自動車道はモノづくりの愛知の発展に生かせると思う。何も手を打たないと岐阜県が日本のモノづくりの中心になってしまう。これは本当に寂しい話だと思うので、今までの20年と同じではなく、新しい考え方での助言をやってもらいたい。これは強く要望する。

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