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建設委員会審査状況(令和7年12月11日)

ページID:0629469 掲載日:2026年3月6日更新 印刷ページ表示

建設委員会

委員会

日時 令和7年12月11日(木曜日) 午後1時~​
会場 第4委員会室
出席者
 丹羽洋章、杉浦友昭 正副委員長
 横井五六、神野博史、川嶋太郎、石塚吾歩路、林 文夫、河合洋介、
 松本まもる、山口 健、井上しんや、園山康男、喚田孝博 各委員
 建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、
 道路監、治水防災対策監、豊川水系対策本部副本部長、水資源監、
 都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、港湾空港推進監、空港長、
 建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
 収用委員会事務局長、関係各課長等

建設委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

第157号 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第5号)
 第1条(歳入歳出予算の補正)の内
 歳出
 第7款 建設費
 第2条(繰越明許費の補正)の内
 第7款 建設費
 第3条(債務負担行為の補正)の内
 土木施設災害復旧工事
第160号 令和7年度愛知県港湾整備事業特別会計補正予算(第2号)
第161号 令和7年度愛知県県営住宅管理事業特別会計補正予算(第1号)
第166号 令和7年度愛知県流域下水道事業会計補正予算(第1号)
第180号 工事請負契約の締結について(尾西住宅建築工事(第1工区))
第181号 工事請負契約の締結について(原山台住宅建築工事(第14工区))
第182号 工事請負契約の締結について(原山台住宅建築工事(第15工区))
第184号 工事請負契約の変更について(道路改良事業一般国道473号槻トンネル(仮称)及び神田トンネル(仮称)建設工事)
第185号 工事請負契約の変更について(道路改良事業県道名古屋岡崎線境川橋上部工事)
第210号 豊川流域下水道の指定管理者の指定について
第211号 五条川左岸流域下水道の指定管理者の指定について
第212号 境川流域下水道の指定管理者の指定について
第213号 衣浦西部流域下水道の指定管理者の指定について
第214号 矢作川流域下水道の指定管理者の指定について
第215号 衣浦東部流域下水道の指定管理者の指定について
第216号 日光川上流流域下水道の指定管理者の指定について
第217号 五条川右岸流域下水道の指定管理者の指定について
第218号 新川東部流域下水道の指定管理者の指定について
第219号 日光川下流流域下水道の指定管理者の指定について
第220号 新川西部流域下水道の指定管理者の指定について
第221号 愛知県下水道科学館の指定管理者の指定について
第222号 熱田神宮公園の指定管理者の指定について
第223号 牧野ケ池緑地の指定管理者の指定について
第224号 小幡緑地の指定管理者の指定について
第225号 大高緑地の指定管理者の指定について
第226号 新城総合公園の指定管理者の指定について
第227号 木曽川祖父江緑地の指定管理者の指定について
第228号 尾張広域緑道の指定管理者の指定について
第229号 あいち健康の森公園の指定管理者の指定について
第230号 東三河ふるさと公園の指定管理者の指定について
第231号 愛・地球博記念公園の指定管理者の指定について
第232号 海陽ヨットハーバーの指定管理者の指定について
第233号 三河港蒲郡地区内指定浮桟橋の指定管理者の指定について
第234号 プレジャーボート泊地の指定管理者の指定について
第235号 形原漁港区域内浮桟橋の指定管理者の指定について
第236号 豊浜漁港区域内泊地の指定管理者の指定について
第237号 三谷漁港区域内泊地の指定管理者の指定について

結果

全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
 第157号、第160号、第161号、第166号、第180号から第182号まで、第184号、第185号及び第210号から第237号まで

閉会中継続調査申出案件
  1. 道路の整備等について
  2. 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
  3. 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
  4. 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
  5. 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
  6. 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
  7. 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について

会議の概要

  1. 開会
  2. 議案審査(37件)
     (1)理事者の説明
     (2)質疑
     (3)採決
  3. 委員長報告の決定
  4. 一般質問
  5. 休憩(午後2時55分)
  6. 再開(午後3時5分)
  7. 閉会中継続調査申出案件の決定
  8. 閉会
主な質疑
議案関係

【委員】
 第210号議案から第220号議案までの流域下水道の指定管理者の指定について伺う。
 県は、公益財団法人愛知水と緑の公社を指定管理者として、令和8年度から令和12年度までの5年間を指定する。現在、県は平成28年度から令和7年度までの10年間、指定管理者として公益財団法人愛知水と緑の公社を指定しているが、この10年間の指定管理をどう評価しているか。
【理事者】
 愛知県流域下水道は、県民の生活を支える重要な施設であり、安定的、継続的な管理運営が求められている。
 下水処理場の運転管理では、企業や家庭から流れてくる汚水を安全に公共用水域へ放流するため、汚水中の汚れを除去し、処理水を消毒するなど複数の高度な処理を行う。これらの処理を適切に行うためには、機械設備の運転管理、電気設備の制御、さらに、化学的処理の専門的な知識と技術が必要である。
 公益財団法人愛知水と緑の公社は、流域下水道の適切かつ効率的な管理運営等を行うことを目的の一つとして設立された団体であり、各流域下水道の供用開始時から堅実な管理実績と維持管理に関する知識と技術を備えている。この10年間の指定管理期間において、法令遵守した上で、下水処理場の機能を停止することなく、安定的に汚水処理をするとともに、スケールメリットを生かした薬品等の一括調達や点検・修繕業務等の集約発注により、効率的な維持管理を行っている。さらに、放流水中の窒素とリンの濃度を増加させて放流する水質保全と豊かな海の両立に向けた社会実験や、11流域下水道が全体で汚泥処理と費用の最適化を図る共同汚泥処理の実施など、県の施策と密接に関連した運営管理を行っている。
 以上から、これまでの10年間について、公益財団法人愛知水と緑の公社は培った技術と蓄積したノウハウを活用して適切な管理を行ってきたと評価している。

矢作川浄化センターの画像(全景)
​矢作川浄化センター(全景)

【委員】
 現在、西三河地域では上下水道一本化に向けた取組が進んでいる。12月定例議会の代表質問で、大村秀章知事から今月末までの協議会設立が表明され、今月の26日に設立総会を開催する旨が本日発表された。今回、同じタイミングで指定管理者の指定期間をこれまでの10年間から5年間に見直しをする。先ほどの答弁で、公益財団法人愛知水と緑の公社に大きな問題はないとのことであるが、指定管理期間を従前の10年から5年に見直した理由は何か。
【理事者】
 現在、下水道事業を取り巻く社会情勢は大きな転換期を迎えている。全国では、2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を契機に、国において維持管理の在り方が検討されており、今後、下水道維持管理手法の急速な変化が予測されている。また、本県では、今月末に設立予定の矢作川流域上下水道広域連携協議会において、関係市町が参画した新たな運営体制の構築に向け、施設の共同化や管理の一体化などを検討することとしており、流域下水道としても適切に対応していく必要がある。
 こうしたことから、状況の変化に迅速かつ柔軟に対応するため、指定管理期間を従来の10年から5年へ短縮することを考えている。

一般質問

【委員】
 あいち下水道経営ビジョン2035について伺う。
 近年、下水道事業を取り巻く環境は、人口減少、脱炭素化などの環境面への配慮、働き方改革など、様々な社会情勢の変化にさらされている。
 こうした状況の中で、本県が目指す下水道事業の方向性を示すあいち下水道ビジョン2025と、中長期的な経営の基本計画である愛知県流域下水道事業経営戦略が中間目標を迎えることから、両計画を統合したあいち下水道経営ビジョン2035の策定を進めている。
 あいち下水道ビジョン2025は、2016年に策定され、1快適な水環境を創造する、2安心・安全なまちづくりを支える、3地域社会・地球温暖化対策に貢献するの三つを愛知の下水道の役割として位置づけ、下水道普及率の向上、地震対策、老朽化対策、地球温暖化対策などを行っており、2020年に策定した愛知県流域下水道事業経営戦略では、人、モノ、カネを一体的に管理し、その管理運営に適した持続可能な体制を確立するため、中長期的な収支計画による経営戦略が策定されている。
 本県では、こうした計画により、かつて全国平均以下であった下水道普及率を全国平均以上へ引き上げ、処理場、ポンプ場の耐震化を進め、下水汚泥もほぼ100パーセント有効利用されている。
 しかし、建設業界、下水業界は厳しい状況にさらされている。2024年の能登半島地震では、マンホールが約1メートル隆起し、道路の寸断が起こった結果、支給物資の遅れや災害で発生したごみを運ぶ車両が通れないなど、復興の遅れを生じさせる原因の一つになった。また、2025年の埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故も全国的に注目が集まった。
 この道路陥没事故の原因について様々な分析が行われている。下水道管に小規模の隙間が生じたことにより、年単位の時間をかけて、下水道管上部の土砂が流出して地中に空洞が発生し、それが大きくなっていくことによって下水道管に作用する土水圧が変化し、コンクリートの化学的腐食によって劣化した下水道管のセグメント管継ぎ手が脱落、あるいはRCセグメント管本体が破損するなどして下水道管が崩壊し、土砂が下水道管に流出して空洞が拡大したことによって道路陥没に至った。また、年単位の時間をかけずに短時間で大きな穴が発生したことによって道路陥没に至ったなど、様々な原因究明が行われている。
 今後、南海トラフ地震などの大規模災害の発生確率はさらに高まっていく見通しの中で、県民のインフラ分野、建設業界、下水に関する不安は高まっている。さらに、少子・高齢化による人材不足や技術の継承の難しさといった深刻な問題もある。
 国土交通省の資料によると、平成14年時点に比べて、建設業界全体では約140万人の人口が減少している。また、下水道分野を担う職員は約1.7万人減少している。下水道分野は、閉鎖空間での作業や夜間での作業などの負担、また、下水処理施設では、24時間365日監視することが求められるなど、責任や業務遂行の難しさがある中で、上下水道業界を志望する学生も少ない状況にある。
 理系の学生の多い大学院の修士2年生では、通信業や製造業への就職を希望する割合が高い一方で、技術系人材を必要とする電気・ガス・熱供給・水道業を志望する学生の割合は低く、新たな担い手となる学生へどのように発信していくのか、また、どのように人材を育成していくのかも大きな課題となっている。
 こうした厳しい業務に加えて、ワーク・ライフ・バランスも見直す必要があり、現実的にどこまでが可能なのか。
 本県の流域下水道事業として、その達成に必要な投資、財政計画を一体的に取りまとめる形で、あいち下水道経営ビジョン2035を構築しているが、あいち下水道経営ビジョン2035において、流入する汚水量の増加、水質の保全などの観点から、今後、人口減少に直面していく中でどのように下水道整備の計画を立て、運営していくのか。
【理事者】
 汚水処理施設は、下水道以外にも農業集落排水や個別処理である合併浄化槽などがあり、市町村において、経済性などを踏まえ、地域ごとに効率的な整備手法を選定し、県が全県域汚水適正処理構想として取りまとめている。
 この構想は、2023年に見直しを行っており、下水道未整備区域のうち、人口密度が高く、集合処理が経済的となる都市部においては下水道整備を引き続き進め、人口減少により下水道経営が困難と見込まれる地域においては、汚水処理施設を合併処理浄化槽に見直している。
 この見直しを踏まえた上で、今後も下水道整備に当たっては流入する汚水量の見通しをしっかりと見極め、必要な規模で施設整備を進めていく。
【委員】
 新たにマンホールの浮上対策を実施していく予定はあるか。能登半島地震の発生時に緊急輸送道路のマンホールが浮上し、物資の輸送に予想以上に時間がかかったことを受け、愛知県も実施していく必要があると判断して計画に盛り込んだと認識している。
 あいち下水道経営ビジョン2035では、流域下水道において新たにマンホールの浮上対策を行うこととしているが、どのような考えで進めていく方針か。また、県が管理する下水処理場の耐震化について、これまでどう耐震化を進め、今後10年間でどのような考え方で進めていくのか。
【理事者】
 まず、マンホールの浮上防止対策についてである。緊急輸送道路において、地震時にマンホールが浮上して緊急車両などの道路の通行が阻害されると、避難や救助、応急活動の大きな妨げになる。本県では、昨年度までに緊急輸送道路内にある約520か所のマンホールを調査したところ、82か所でマンホールが浮上し、車両の通行に支障を及ぼす可能性のあることが判明した。
 そこで、今回のビジョンでは、地震発生時でも通行機能を確保するためのマンホールの浮上対策を目標に位置づけた。具体的には、緊急輸送道路内にある82か所のうち、特に重要性の高い第1次緊急輸送道路を中心に、浮き上がると車両通行への影響の大きい箇所を優先して、50か所のマンホールの対策に取り組んでいく。このうち、今年度は10か所について実施設計を行っており、次年度から順次工事を進めていく。
 次に、愛知県の管理する下水処理場の耐震化についてである。
 本県では、1995年の兵庫県南部地震による被災を踏まえ、国の設計基準などが見直されたことを受けて、緊急度の高い施設から優先的に流域下水道の処理場施設の地震対策を進めてきた。
 地震が発生した際、汚水を原因とする伝染病の蔓延を防ぐため、流れてきた汚水を消毒して放流する施設の耐震化を進め、既に完了している。現在は、放流する水質を平常時と同等にできるよう、水の汚れを取り除くための取組を進めている。2024年度末現在で11流域下水道の処理場にある全353施設のうち281施設の耐震性が確保できており、残り72施設のうち、現在の取組を終えるには58施設の対策が必要である。このうち35施設を今回のビジョンの計画期間内に老朽化設備の更新に合わせるなどにより耐震化していく。これにより、現在80パーセントである耐震化率は90パーセントまで向上する見込みとなっている。
【委員】
 我が国の人口減少、生産年齢人口の偏りなど、様々な分野で人材をどのように確保していくのかが真剣に議論されている。本県の上下水道も同様である。
 こういった状況を踏まえて、県は下水道に関して、どのように人材育成、情報発信を行ってきたか。また、今後どのように行っていくのか。
【理事者】
 下水道に関する人材育成については、県及び県内市町の下水道関係職員を対象に、下水道研修や現場見学会を実施するとともに、流域下水道の指定管理者と連携し、下水道に関する新しい知見や技術の研究成果を発表する場を提供するなど、知識向上や自己研さんを図る場を提供している。
 今後は、これまでの県や市町などとの取組に加え、業界団体とも連携し、研修や現場見学会などの充実を図り、下水道事業に携わる関係者全体で、先進技術の活用や業務ノウハウ、技術の継承、向上に取り組んでいく。
 また、情報発信については、これまで下水道が整備途上にあったことから、下水道の必要性を広く県民に周知する目的で、県のウェブサイトによる情報提供や市町のイベントに合わせたPRブースの出展などを行ってきた。
 今後は、次世代の人材確保も念頭に、下水道事業を魅力ある仕事として知ってもらうため、下水道科学館や指定管理者と連携した処理場のバックヤードツアーなどのイベント開催や、SNSを活用した情報発信を強化していく。
【委員】
 あいち下水道経営ビジョン2035において流域下水道事業の投資財政計画も作成されているが、維持管理費、建設改良費は現計画と比べてどのような規模となっているのか、また、どんな内容か。
【理事者】
 処理場や管渠の維持管理費については、2026年度から10年間で約1,650億円を見込んでいる。その主な内容は、処理場の運転保守に係る人件費、汚水処理などに必要な電気代や薬品費、施設を健全に維持するための修繕費などである。
 今回の計画では、現計画と比較して、流入水量は約10パーセント増加することから、処理場の運転に要する費用が増加する。汚泥処理の共同化や、11流域下水道で使用する薬品類の一括調達など、維持管理コストの削減に努めているが、物価上昇や老朽化に伴う修繕の増加により、維持管理費全体では約35パーセントの増加を見込んでいる。
 次に、建設改良費については、未普及解消に向けた処理施設等の新増設、老朽化施設の改築更新、処理場施設の耐震化やマンホールの浮上対策など、必要な工事費を計上し、10年間で約1,800億円を見込んでいる。
 今回の計画では、機械電気設備の故障リスクが高まる供用後30年を経過する流域下水道が半数以上となることから、特に老朽化した設備の更新が増加している。さらに、埼玉県八潮市での事故を受けて実施している特別重点調査の結果を踏まえた下水道管路の改築費用も含むことから、建設改良費全体で現計画から約30パーセントの増加となっている。改築更新の実施に当たっては、耐震化や施設の統廃合を併せて行うなど、効率的な事業運営を行い、費用の削減に努めていく。
【委員】
 下水道は、ふだん生活する上で、直接目に入らないが、生活を支えている大事なインフラである。埼玉県八潮市の事例を見て地域の人も不安に感じ、愛知県でも同じようなことが起こるのではないかという言葉をもらっている。今の答弁では、あいち下水道経営ビジョン2035において、様々な耐震化を進めるということなので、今後も予算をしっかりつけて、現場で働く人や関わる人も含めて、業界が魅力的に思ってもらえるよう頑張ってほしい。
 そして、もう一つ要望したいのは、情報発信である。
 ぜひオフラインでの人との対話などの関わりを重視した情報発信を行ってほしい。SNSも頑張ってほしいが、公益財団法人愛知水と緑の公社のユーチューブの再生数が少ない。いきなりユーチューブで下水道について見る人は少なく、どう発信していくかは大変難しい。だからこそ、実際に科学館に来る子どもたちから関心を持ってもらうことも大事である。地域の中で必要不可欠な存在であり、より身近に親近感を持ってもらうために、対面での関わり方、触れ合いを重視しながら、地域の中で大切なインフラと位置づけてほしい。SNSをやらなくてよいわけではないが、得意な分野で、リソースをしっかり割いてもらうことが第一に必要だと思うので、オフラインでの対面を意識しながら、SNSをどう活用するかについて、次年度以降、公益財団法人愛知水と緑の公社に頑張ってもらいたい。
【委員】
 議案の審査で人事委員会の勧告を踏まえた給与改定の補正予算に賛成したが、それに関連して、深刻な人材不足への対応について質問する。
 深刻な人手不足と継続する物価上昇を背景に、ここ数年の春闘では大幅な賃上げがされており、定期昇給を含めた賃上げ率の実績は、連合愛知の集計では、2024年が5.27パーセント、2025年5.35パーセント、県の労働局の調査結果では2024年4.8パーセント、2025年5.4パーセントとなっており、2.5パーセントを超えることが長い間なかった2022年以前の上昇率とは大きく異なっており、5パーセントを超える水準が定着しつつある。来年の2026春闘に向けても、連合愛知は先月28日に賃上げ要求5パーセント以上の目標を決定しており、社会全体で高い賃上げに向けた議論がなされることになると思う。私は労働組合の役員を2002年から20年近く務めていたが、2.5パーセント以下の水準しか要求した経験がない。近年の5パーセントを超える賃金上昇はデフレ下とは潮目が異なる上げ幅であって、県の土木職員の確保には、この高い民間の賃上げ水準並みか、それ以上でなければならない。
 今回の補正予算によって土木職員の給料及び給与改定の水準はどうなるのか。あわせて、土木職員は他の部門と同じ水準なのか、それとも採用環境の厳しさを考慮して独自の特別な水準なのか。
【理事者】
 本年の給与改定は、10月6日に行われた人事委員会勧告に基づき実施しようとするものであり、民間給与との較差解消のため、全ての職員を対象に、月例給を平均3.1パーセント引き上げる。
 行政職については、給料表を平均3.3パーセント引き上げることとされているが、近年は人材の確保が喫緊の課題となっていることなどから、人事当局からは、初任給をはじめ、若手層に重点を置いた改定が行われると聞いている。そのため、人材不足への対応という面では、行政職の初任給が約1万2,500円引き上がることで、人事委員会が調査した、県内民間事業所における事務・技術系の従業員の大卒初任給額を上回り、民間との比較においても見劣りすることがない、適正な水準が確保されると聞いている。
 なお、県職員の給与体系は、この引上げ分とは別に、毎年4月1日に年1回の定期昇給がある。
 次に、建設部門と他の部門との違いであるが、基準となる行政職の給料表は、土木職を含めた一般行政職の職員に広く適用されるものである。そのため、部門による個別の水準を設定するものではなく、建設部門においても他の部門と同じ水準が適用されている。
【委員】
 較差解消で、県職員の給与改定水準は定期昇給を除いたいわゆるベアの水準での答弁であったので、定期昇給を約2パーセントとして加味すれば、今回の給与改定は連合愛知や労働局の民間集計結果に準じたものである。初任給額も全体平均としては遜色ない水準と理解した。
 ただ、厳しさを増す土木職員の確保には、特別な対応が必要と考えている。
 土木職員の確保については、議員が今年2月の本委員会に続けて、6月定例議会の一般質問でも質問しており、人事局長と建設局長は課題認識や具体的な対策について答弁した。
 先ほどの議案質疑でも言及のあった埼玉県八潮市の道路陥没事故は下水道管路の老朽化が原因とされており、既に3年以上が経過したが、農業者をはじめ、県民生活に甚大な影響を与えた本県明治用水頭首工の漏水事故を踏まえれば、インフラの老朽化対策の緊急性は格段に高まっている。また、南海トラフ巨大地震の発生懸念のほか、本年9月の岡崎市をはじめ、西三河地域を中心に道路や河川施設に被害をもたらした台風第15号のように自然災害が激甚化、頻発化しており、その対応は待ったなしである。
 このような大規模災害から県民生活の安全・安心を守るには建設行政を担う技術職員の確保が不可欠である。
 5年ほど前から定員割れが続いている土木職員の採用実績について、2月の委員会でも2023年4月以降の実績を答弁しているが、改めて直近過去3年間の採用実績と来年4月の見込みについて、募集と採用それぞれの人数を伺う。あわせて、土木職員の年齢構成について、定年が視野に入ってくる50歳以上の割合についても伺う。
【理事者】
 直近過去3年間の採用実績と、来年2026年4月の見込みについて、大卒、高卒、職務経験者等の合計値で、各年度4月1日時点の状況は、2023年度採用は、募集約55人に対して採用者数45人、2024年度採用は、募集約55人に対して採用者数34人、2025年度採用は、募集約60人に対して採用者数28人である。2026年度採用は、募集約65人に対して、採用者数はまだ確定していないが、最終合格者数は51人となっている。例年の傾向からすると、今後採用までの間に辞退者が出ることが予想される。
 次に、土木職員の年齢構成についてであるが、現在、土木職員は約1,100人で、このうち50歳以上の割合は5割を超えており、約52パーセントである。
【委員】
 深刻な課題意識を持って人事局と連携して取り組んでいるにもかかわらず、不足人数で言うと2023年が10人、2024年は21人、2025年が32人と不足人員が増加しており、改めて危機感を強く持った。
 今回の公務員の土木職員確保に向けた給与改定の取組について、連合愛知の副会長を務める自治労愛知県本部の足立潔重委員長によい事例がないか確認したところ、他自治体で導入され始めた事例を教えてもらった。
 島根県松江市では、昨年6月に条例を改正し、行政職のうち土木、建築などの専門知識を要する職務に従事する職員に対し、新規採用から6年間、初年度は3万円、次年度以降漸減する形で初任給調整手当を支給する内容であった。本県及び県内自治体でも獣医師免許を持っている人の採用時に初任給調整手当を支給する事例はあるが、資格ではなく特定の専門知識を要する職務従事者に限定しての初任給調整手当の支給実績はない。
 島根県松江市の事例は、昨年6月に開催された社会の変革に対応した地方公務員制度のあり方に関する検討会の給与分科会第6回で報告されており、島根県松江市の制度新設は、広島県が昨年4月に設定した情報職に対して、採用から10年間、月額5万円の初任給調整手当の事例を参考にして、土木・建築人材確保の目玉的な施策として導入したものであり、本県も土木職員の確保に向けて参考にすべき取組である。
 6月定例議会では建設局長から、県の土木職員の確保に向けた現状と今後の取組について答弁があり、人事局長からは、本県職員の中で特に土木職員については若手・中堅職員を中心に人材不足が顕著であり、民間や国、そして他の自治体の動向を注視しつつ、多様な方策を取り入れながら、一層の人材確保に取り組む旨の答弁があった。その後、建設局から人事局に対して、土木人材確保に特化した金銭面での処遇改善の働きかけはしていないと聞いている。加えて、県の職員組合から人事局に対しても特定人材の確保を目的とした金銭面での処遇改善の要求は過去10年ほど出されていない。
 土木職員の採用競争力を高めるには、島根県松江市のように初任給の引上げを含めた処遇の改善が何より重要と考える。建設局や職員組合から人事局に処遇改善の提案がされていないので今回は触れないが、ここ数年来募集人員が確保できず、不足の人数が毎年増加傾向という深刻な状況を踏まえ、建設部門における土木人材の確保に向けた活動状況について伺う。その際、建設部門として、過去からの取組実績の反省に基づく新たな取組の内容について、詳しく聞かせてほしい。
【理事者】
 今年度から建設企画課内に人材確保、育成を担当する専属のグループを設置し、人材確保に向けて、多くの学生に愛知県を就職先として選択してもらうため、様々なPR活動を行っている。これまでの取組の課題を整理した上で、学生に対してより効果的な広報活動を展開している。
 具体的には、大学の就職担当教員に依頼して、キャリア教育などの講義において講師として学生に直接PRする機会をつくることに力を入れている。また、若者の情報収集手段としてよく利用されているインスタグラムを7月に開設し、採用情報を中心に発信している。さらに、充実した福利厚生や大きな事業に携われることなど、本県の強みを分かりやすく伝えるパンフレットや、土木職のPRに特化した独自のホームページの作成など、広報資料の拡充に取り組んでいる。その他、即戦力として活躍が期待される民間企業等の職務経験者に対するPR活動を強化するため、就職イベントへの参加も検討している。
 また、来年度には人事委員会が実施する土木職員の採用試験に特別な公務員対策が不要で、就職活動の早期化にも対応した試験区分が新設される。この試験では、民間企業を志望する新規学卒者や転職希望者が受験しやすくするために、民間企業の採用選考などで広く利用されている適性検査SPI3を活用し、専門試験においても筆記試験を行わず、個別面接で専門性の有無、程度を審査する。また、就職活動の早期化を踏まえ、従来の試験区分よりも2か月ほど早い6月上旬に合格発表する。
 今後も、愛知県庁の土木職として働く魅力ややりがいなどを様々な機会、媒体により積極的にPRし、土木職員の確保に努めていく。
【委員】
 インスタグラムはどんどん発信してほしい。
 他の自治体では土木職員とその他職員の初任給に差を設ける制度が開始している。国土交通省は近い将来、一つ一つのインフラを個別に見ていく従来のやり方では限界が来るかもしれないとの危機感から、インフラを大きくまとめてマネジメントする、通称群マネという新しい視点を提唱している。ばらばらだったインフラを自治体の枠やインフラ分野の枠を超えて一つの群として捉え、効率的、効果的にマネジメントしていくことを目指している。
 道路の効率的な維持管理について、以前、建設局長は、国は本年4月に道路法を改正するなど、技術者不足等に対応し、地域のインフラを効率的、効果的にマネジメントするための取組を推進している。本県の効率的な維持管理に向けた取組成果を市町村へ順次展開するなど、一層の支援強化に努めると力強く答弁している。
 こうした群マネの取組が求められる中、従来、市町村が担っていた領域を含めて、今後県が果たす役割は一層増していくため、県として土木人材の確保の必要性がより高まる。
 また、自治労愛知県本部の委員長によると、県が土木人材確保に特化した処遇改善を先行して実施すれば、県内各市町村が導入するきっかけになるとともに、各自治体の労働組合が要求する大きな力となって、ひいては県全体での土木人材確保に弾みがつくとのことだった。
 建設部門として、答弁した取組の着実な推進はもちろん、まだ実現していない特定の職務従事者限定の初任給調整手当の早期導入や、本県の主力産業との競合にも負けない独自の給与や処遇制度の構築に向けて、人事局と協力して進めてほしい。
【委員】
 居住サポート住宅について伺う。
 昨年6月に住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、いわゆる住宅セーフティネット法が改正され、新たに居住サポート住宅の認定制度が本年10月から開始された。この住宅は居住支援法人等が要配慮者のニーズに応じて安否確認や見守り、福祉サービスへのつなぎを行う住宅で、認定主体は福祉事務所設置の自治体、福祉事務所がない自治体は県が行うものとされている。
 そこで、居住サポート住宅の認定制度が創設された背景について伺う。
【理事者】
 制度創設の背景としては、近年、高齢者や単身世帯の増加、持家率の低下等が進行しており、今後、高齢者や低額所得者などの住宅確保要配慮者の賃貸住宅への入居ニーズがさらに高まることが見込まれている。
 賃貸住宅は空き室が一定数存在する一方、住宅確保要配慮者の入居については、居室内での死亡事故や死亡時の残置物処理、家賃滞納などへの懸念から、賃貸人の拒否感が大きくなっている。こうした状況の中、住宅確保要配慮者の入居相談や入居中の見守り、相談などを行う居住支援法人の数は着実に増加している。
 これらを背景に、賃貸人が賃貸住宅を提供しやすく、住宅確保要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備の一つとして、居住サポート住宅の認定制度が創設された。
【委員】
 住まいは生きる上での基盤であり、住むところがないと不安定な生活を余儀なくされる。以前、私の住む町内で、老朽化した住宅に単身で住んでいる高齢の男性がいた。近隣からは、住宅が台風や地震時に倒壊してしまうのではないかと大変危惧する声があり、地元の民生委員から市役所や私に相談があった。
 当該住宅に住んでいる男性と話してみると、長年住んでいるところなので遠くには移りたくないとのことだったので、同じ町内のアパートの大家に相談したところ、身寄りもなく、高齢なので家賃の滞納があっても困るし、万が一亡くなったときにどう対応したらよいか分からない。残された残置物、所有物をどう処理するのか、面倒なことになりそうなので断ると言われたことがあった。もしもこのときに、今回の居住サポート住宅の認定制度が創設されていたとすれば、当該男性も住宅確保要配慮者として、家賃の滞納や死亡時等の対応を心配していた大家の不安を払拭することができ、入居できたかもしれない。
 居住サポート住宅の認定制度は新しく創設された制度なので、もう少し制度の内容を伺いたい。
 先ほどのような事例の単身高齢者世帯は、今後増加することが予測されており、住宅確保要配慮者の対象者であるが、自治体によっては要配慮者の対象範囲に多少の差異がある。
 そこで、県として、住宅確保要配慮者の対象範囲をどのように考えているか。
【理事者】
 住宅確保要配慮者の範囲については、法令及び愛知県賃貸住宅供給促進計画の中で定めている。例として、低額所得者、高齢者、障害のある人、独り親を含む子育て世帯、外国人、児童虐待を受けた者、DVや犯罪の被害者、保護観察対象者、新婚世帯、LGBTなど幅広い人を対象としている。
【委員】
 いわゆる社会的、経済的に弱い立場の人で、住宅確保に当たって一定のサポートを必要とする人を対象としていると理解した。
 次に、居住サポート住宅の認定基準について伺う。
 まず、どのような認定基準があるか。その中で、住宅の基準は、国が示す基準を緩和することも可能としているが、県の考えはどうか。また、現在の認定実績について伺う。
【理事者】
 始めに、主な認定基準として、専用住戸を1戸以上設けることのほか、住宅と居住サポートに関する基準がある。住宅の主な基準としては、一つ目に、床面積は、新築の場合、原則25平米以上、既存住宅の場合、原則18平米以上であること。二つ目に、耐震性並びに台所、便所等の一定の設備を有していること。三つ目に、家賃が周辺の相場とバランスが取れていることなどである。
 居住サポートの主な基準として、一つ目に、1日に1回以上安否確認を行うこと。二つ目に、1月に1回以上入居者の心身や生活状況を把握すること。三つ目に、入居者の心身や生活状況に応じて利用可能な福祉サービスに関する情報提供やつなぎを行うこと。四つ目に、サポートの対価が著しく高額にならないことなどである。
 これらの審査は、住宅に関しては主に建築局が、居住サポートに関しては主に福祉局が担当し、連携して認定事務を行う。
 次に、基準の緩和については、法令で住宅確保要配慮者が入居する標準的な賃貸住宅の居住部分の規模及び設備並びに家賃等を踏まえ、必要な範囲内で賃貸住宅供給促進計画の中に定めることとされている。本県では現在、次期計画の来年度の策定に向け検討を行っているところであり、基準の緩和については、法令を踏まえ、適切に判断していきたい。
 次に、県内の認定実績については、11月末時点で認定主体である県、市、いずれにおいてもない。全国では、横浜市はじめ8市で9住宅35戸の認定実績となっている。
【委員】
 居住サポート住宅は、住宅確保要配慮者への見守り、安否確認を行う居住支援法人等が担い手となり、大家等の賃貸人に対する安心につながることが大きな特徴の一つでもある。居住支援法人の指定は都道府県が行うことになっているが、県内の居住支援法人は現在どの程度指定されているのか伺う。
 また、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進等を図るため、地方公共団体、不動産関係者、居住支援団体等が連携して居住支援協議会を設立することが必要とされているが、県内における居住支援協議会の設置状況はどうか伺う。
【理事者】
 居住支援法人の指定状況については、2017年に指定制度が開始されて以降、毎年度、複数の法人を指定しており、現在42法人となっている。
 次に、居住支援協議会の設立状況は、本県と名古屋市はじめ7市で設立している。なお、市町村の居住支援協議会は、地域における住宅施策と福祉施策が連携した居住支援体制を強化するため、今回の法改正で設立が努力義務化された。現在、設立に向け検討を行っている市があり、今後設立が進むものと考えている。
【委員】
 居住支援法人の指定は、現在、愛知県では42法人とのことであり、全国的には本年9月30日末時点で1,099法人が指定されている。また、居住支援協議会の設立状況は、県内では、愛知県と名古屋市をはじめ7市で設立されているということで、私の住む蒲郡市も本年4月から協議会を立ち上げている。
 先日、市内の協議会に関わる者と話をした際、要配慮者の日常的な安否確認や見守りのこと、いざというときの対応を考えると、居住支援法人との確かな関係性が賃貸人により安心感を持ってもらうことにつながるとの意見をもらった。ぜひとも県も、こうしたサポートをしっかりしてほしい。
 政府は今後10年間で10万戸の居住サポート住宅の供給を目指すとしているが、まだまだ本制度を知らない賃貸人や住宅確保要配慮者も多いのではないか。
 そこで、供給を促進するため、県として本制度の周知にどう取り組むのか。また、供給目標はどう考えているのか伺う。
【理事者】
 周知の取組としては、これまで県ウェブページへの掲載やリーフレットの配布のほか、居住支援法人や不動産関係団体などが構成員となる県の居住支援協議会の場で、法改正以降、毎回国の担当者を招いて居住サポート住宅の制度説明を行っている。
 また、市町村に対し、市町村のウェブページへの掲載やリーフレットの配布、居住支援に関する会議体等での周知を働きかけるほか、居住支援法人が主催する勉強会に出向き、制度説明を行っている。
 引き続き、市町村や居住支援法人などとも連携しながら、居住サポート住宅の供給促進に向けた周知に取り組んでいく。
 次に、供給目標は、法律により賃貸住宅供給促進計画の中に定めることとされており、現在検討中の次期計画で、県内の賃貸住宅のストック状況や居住サポートの担い手数などを踏まえ、有識者等の意見も聴きながら適切に定めていく。
【委員】
 先日の本会議一般質問においても、議員から県営住宅についての質問がされた。県営住宅も居住サポート住宅の需要はあるのではないか。
 住まいは生きていく上での大切な生活の基盤である。この居住サポート住宅制度は大変重要な制度である。始まったばかりの制度であるが、当局は広く周知に努め、誰もが安心した生活の基盤としての住まいを確保できるよう、一層の尽力を願う。
【委員】
 公共土木工事における熱中症対策について伺う。
 近年の気候変動の進行により、真夏日や猛暑日が年々増加しており、屋外で作業を行う公共土木工事に従事する労働者の熱中症の発生が懸念されている。気温の上昇により作業環境が厳しくなる中で、工期、予算面での課題も顕在化している状況である。例えば、梅雨や台風による天候不良で作業日数が圧迫され、さらに夏季の高温により作業効率が低下するにもかかわらず、工程は当初計画から据え置かれたままとなるケースが少なくない。その結果、現場では休憩の確保や作業時間の調整が難しくなり、労働者の安全確保と工程管理の両立が極めて困難な状況が生じている。
 また、最近では熱中症警戒アラートが発生された際に、労働者の安全確保の観点から休工せざるを得ない場合があり、それに伴い、契約工期内に完了できるよう工程や予算の調整が必要となり、施工者にとって負担が大きくなっているのが実情である。特に中小の建設業にとっては、追加的な安全対策や機材導入に係る費用負担が重く、持続的な施工体制の維持に影響を及ぼしかねない。
 加えて、本年6月1日に改正された労働安全衛生規則により、事業者には熱中症対策の強化が義務づけられ、今年の夏のように災害級の暑さが続く場合には作業時間の短縮や休止などの判断も求められている。こうした状況を踏まえ、気候変動を前提とした熱中症対策を実施する施工者を支援していく必要がある。
 県として、熱中症リスクが高い時期の工程設定及び対策費用への対応にどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
 建設部門が発注する土木工事の工期設定については、施工に必要な日数に加え、現場で作業できない日数、さらに準備期間及び後片づけ期間を合算した日数で設定している。特に夏季における現場で作業できない日数については、午前8時から午後5時までの間に暑さ指数が31以上となる時間を算出し、8時間を1日として換算した日数を基準としている。この基準は、過去5年の気象庁及び環境省のデータを基に、本県の場合は、おおむね9建設事務所の管内ごとに定められている。なお、実際の工事において見込んだ作業ができない日数と著しく差が生じた場合には、工事請負者から工期変更の請求を行うことができる。
 熱中症対策に要する費用については、工事請負者から協議の申出を受け、その内容を確認した上で対応している。その対応内容としては、変更契約において、現場管理費率を割増し補正するとともに、熱中症対策に要した費用を共通仮設費に積み上げて計上することとなっている。これらの対応は、国土交通省の基準を基に実施しているが、近年は毎年のように基準が改正されているので、今後も国の動向を注視し、速やかに改正に対応できるよう努めていく。
【委員】
 公共土木工事は県民の安全・安心な生活に欠かせない重要な役割を担っている。また、計画した工期での完了は地域経済の推進にも寄与する。
 年々、猛暑日や酷暑日が増す中、労働者の安全を確保しつつ、工期どおりに完了できるよう、これまで以上に連携を取りながら、しっかりと支援するよう要望する。
 次は、名古屋港の機能強化について伺う。
 名古屋港は日本を代表する港として、これまで本県のみならず、我が国のモノづくり産業を支え、発展に貢献してきた。名古屋港の2024年の総取扱貨物量は、名古屋港管理組合の調べによると、約1億5,671万トンと23年間連続日本一、2024年の貿易黒字額は、財務省貿易統計によると約8兆5,966億円と、こちらも27年間連続日本一となっており、数字の上からも日本で一番の港といっても過言ではないと思っている。
 一方、世界の港湾はどんどん進化している。東アジア地域においては、上海や寧波、釜山などの巨大港湾が多数あり、熾烈な国際競争が展開されている。国内においても、東京港や横浜港などから成る京浜港、また、大阪港や神戸港等から成る阪神港など強力なライバル港がある。このような情勢の中、国内外の競争に打ち勝ち、港を発展させていくためには、港湾の機能強化を着実に進めていかなければならない。
 現在、名古屋港において様々な機能強化の取組が行われているが、その中で、特に事業規模が大きい飛島ふ頭東側の整備事業と中部国際空港沖の土砂処分場の整備事業について伺う。
 飛島ふ頭は、鍋田ふ頭とともに名古屋港のコンテナ物流の中核をなしており、その機能強化は非常に重要である。また、名古屋港の機能維持には航路や泊地をしゅんせつする必要があり、そこから発生した土砂を処分するための土砂処分場の整備も同様に不可欠なものである。
 この二つの事業について、現在の進捗状況と、今後県としてどのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
 飛島ふ頭東側の機能強化については、世界的なコンテナ船の大型化に対応するため、2022年に完成、供用したR1岸壁に続き、R2岸壁において耐震化と水深を12メートルから15メートルに深くする事業を進めている。
 現在R2岸壁では、耐震強化岸壁の整備に向けて、地盤改良工事や鋼管矢板の打設工事を進めており、来年度には既設岸壁の撤去にも着手する予定となっている。また、名古屋港の機能維持に不可欠なしゅんせつ土砂の処分に対応するため、中部国際空港沖に新たな土砂処分場を整備する事業を2021年から進めている。現在、空港沖南西側の西1工区において実施している護岸工事は今年度中に完了する見込みであり、受入れ環境が整い次第、土砂投入を開始する予定である。
 県としては、今後も事業の着実な進捗が図られるよう、名古屋港管理組合、名古屋市と緊密に連携しながら、様々な機会を捉えて国への要望活動を積極的に行い、名古屋港の競争力強化と持続的な発展に取り組んでいく。
【委員】
 国内外において港湾間の競争が激化する中、名古屋港が今後も地域の産業や社会の発展に貢献していくためには、港湾機能の高度化や物流基盤の強化を着実に進めていく必要がある。国においては海外の巨大港湾に対抗していくために、重点地域を定めて港湾の選定と集中を進めているが、我が国のモノづくりを支える名古屋港が京浜港や阪神港とともに海外の港に負けない競争力を持つことは、この地域だけではなく国の発展にとっても不可欠である。
 県としても、名古屋港において京浜港や阪神港に劣らない機能強化が進められるように積極的に国に働きかけを行うなど、施策を強化することを強く要望する。
 次に、交通安全対策について伺う。
 今年も昨日までの10日間、年末の交通安全県民運動が実施された。悲惨な交通死亡事故が1件でも減少することを心から願っている。
 本県の交通事故死者数については、2003年から16年間連続で全国ワーストとなっていたが、2019年にワーストを脱却して以降6年連続で回避しており、今年は昨日時点でワースト7位となっている。しかしながら、今年も100人を超える貴い命が失われており、県民一人一人の交通安全意識を高めるとともに、交通事故の防止を図っていく必要がある。
 こうした中、事故の発生状況を見ると、交通事故の約半数が交差点で発生しており、多くの交通事故が幹線道路の特定の区間に集中して発生している。このため、国の社会資本整備重点計画に基づき、事故が多発する交差点などの危険箇所に対して重点的、集中的な対策を講じているが、現在の事故危険箇所の対策の取組状況について伺う。
【理事者】
 事故危険箇所対策は、幹線道路で交通事故が多発し、死傷事故、重大事故、死亡事故が特に多かった交差点などを選定し、重点的に事故対策を実施する取組である。
 県管理道路については、2025年度までの5年間で157か所において事故対策を進めている。この157か所のうち、速効対策としてカラー舗装などにより注意喚起を図る145か所については、昨年度までに56か所が完了しており、今年度、残る89か所全てが完了する予定である。また、抜本対策として道路を拡幅し、右折車線などを設置する交差点改良を行う12か所については、今年度末までに7か所が完了する予定であり、残る5か所についても用地買収を進めるなど、事業進捗を図っていく。
【委員】
 現在の事故危険箇所対策については、着実に進めているとのことである。
 国は、来年度から5年間を計画期間とする次期社会資本整備重点計画の策定を進めているが、本県の次期事故危険箇所対策についてどう取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
 次期事故危険箇所については、現在、県管理道路における交通事故の発生状況を踏まえ、2026年度から2030年度の5年間で事故対策を実施する箇所の選定を進めている。
 具体的には、国の基準による死傷事故などの発生割合が高い箇所のほか、県独自の基準として、歩行者や自転車の事故が多発している箇所などに着目し、最新の交通事故データから選定作業を進めている。
 今後は、学識経験者や県警察本部等で構成される愛知県交通安全対策推進連絡会議に諮り、年度内に事故危険箇所を固めていく。引き続き、幹線道路における交通事故の一層の削減に向け、事故危険箇所の取組を推進していく。
【委員】
 危険箇所の対策に加えて、交通死亡事故死者数の約半数を占める歩行者や自転車利用者の交通弱者への対策も極めて重要である。
 地元のみよし市では、大規模な住宅開発や大型商業施設の立地、さらには自動車関連大規模工場が多く立地する中、朝夕の通勤時間帯には交通量が増加しているものの、歩道がない箇所があり、大変危険な状況である。特に沿道に愛知県立三好高等学校があり、小学校、中学校の通学路にもなっている一般県道和合豊田線においては、両側に歩道がない区間があり、地域からも早期整備を強く望む声を多くもらっている。
 そこで、一般県道和合豊田線の歩道設置事業の現状と今後の取組について伺う。
【理事者】
 一般県道和合豊田線については、愛知県立三好高等学校を起点として東に約640メートルの区間において、通学路の安全対策として両側に歩道を設置する事業を進めている。これまでに区間全体の約6割の用地を取得しており、2020年度には終点側約70メートルの両側の歩道整備が完了している。また、起点側約300メートルの区間においても2021年度より工事に着手し、昨年度、道路北側の歩道整備を完了している。今年度は現況の車線を北側に寄せる工事を行い、来年度、南側の歩道整備を実施していく。残る中央部の約270メートルの区間については順次用地買収を進めており、今年度、大型物件の用地買収を行うとともに、来年度の用地買収予定箇所の物件調査を進めていく。
 今後も早期完成に向け、しっかりと取り組んでいく。
【委員】
 しっかりと取り組んでもらい、引き続き県民、そして地域住民の安全・安心のために、事故危険箇所の対策を計画的に進めるとともに、歩道整備事業についても、地権者、関係市町と連携しながら着実に進めることを要望する。
【委員】
 県営住宅の長寿命化計画の進捗について伺う。
 県営住宅の長寿命化計画は2020年3月に改定され、6年目となる。30年間で大体10パーセントから20パーセント程度の戸数を減らす長期計画の中で、改定から6年が経過し、様々な修繕の状況や建て替えの進捗、居住性の向上など、計画がどの程度実現しているのか伺う。
【理事者】
 本県では、中長期における県営住宅の在り方を定めるため、2020年3月に愛知県営住宅長寿命化計画を定めている。この計画では、計画期間を2020年度から2029年度までの10年間とし、30年後の管理戸数や、期間内における住宅の建替、改善に関する具体的な目標等を定めている。
 計画では、管理戸数は計画策定時から30年間で1割から2割削減することとしているが、昨年度末までの5年間で計画策定時より1,667戸減少した。これは約2.9パーセントの減少に当たり、30年間に換算すると約17パーセント減少する見込みとなり、計画どおり進捗している。
 そのほか、主な計画期間内の事業量として、建替事業の予定戸数を約6,900戸としているが、昨年度末時点で3,462戸であり、約50パーセントの進捗率となっている。また、長寿命化改善事業の予定戸数を約4,000戸としているが、昨年度末時点で1,756戸であり、約44パーセントの進捗率となっている。
 これらのことから、長寿命化計画の中間地点での進捗状況はおおむね順調に進んでいると考えている。
【委員】
 計画的に進めていくことは大事だが、ニーズを取り間違えないように、計画を進めてほしい。
 愛知県で初めてPFIを使って県営住宅の建て替えが行われた東浦住宅は、地元であることもあり、現場も見学した。東浦住宅は、約5年前に事業が完了している。結果として、余剰地も多く出て、それを活用する話があった。
 東浦住宅や東海市の清水住宅といった、PFI手法を使い、建て替えが完了した住宅が出てきた中で、当初、県が想定していたコストの縮減や事業期間の短縮などの効果はどうだったのか伺う。
【理事者】
 東浦住宅をPFI方式で発注して以降、これまでに15住宅をPFI方式で実施している。今までに完了した10住宅の建替事業では、平均で8パーセントのコスト縮減、22パーセントの事業期間の短縮効果があった。また、現在事業中の5住宅を含む15住宅の建替事業では、平均で8.4パーセントのコスト縮減、22パーセントの事業期間の短縮を見込んでいる。
 今後も建て替えを行う際には、事前に民間活力導入可能性調査を実施し、PFI手法の導入の効果が認められる場合はPFI手法により積極的に進めていく。
【委員】
 8パーセントのコスト縮減、22パーセントの事業期間の縮減は、とてもよいと思う。また、全ての建て替えがPFI手法を用いるわけではないので、積極的に民間のアイデアなど、いろいろな手法を使って今後もやっていきたいとの考えは理解した。
 余剰地の活用について、一宮市の尾西住宅では、低層階を二つ重ねて、2棟を1棟とすることにより、余剰地が出た。尾西住宅は、もともと駐車場がなかったので、駐車場を造ると聞いていた。余剰地を活用した例として、東浦住宅の場合は、東浦町の総合計画に従い、戸建ての住宅を建てたり、民間の幼稚園を始めとした子育て支援施設をつくるなど、いろいろと連携していると聞いているが、それ以降、県内でこのようなPFIで建て替えをし、余剰地が出て活用した事例について、どのようなものがあるのか伺う。
【理事者】
 東浦住宅はじめ、今までに4住宅で余剰地が活用されている。東浦住宅のほかでは、西春住宅、初吹住宅、上郷住宅では戸建て住宅として活用された。また、現在事業中の清水住宅では、放課後等デイサービス、児童発達支援センター及び戸建て住宅が提案されている。いずれも地元市町村から要望してもらった活用方法となっており、適切な余剰地活用ができたと認識している。
 今後も市町村の意向を確認し、まちづくりに貢献していきたい。

あしたがすき保育園の画像
あしたがすき保育園(東浦町)

【委員】
 PFIで建て替えが10事業あったが、余剰地が出て活用した事例でいうと、現在4住宅か。ぜひ地域の意向も踏まえて、一粒で二度おいしい、三度おいしいではないが、地域貢献しながら、建て替えも進め、工期やコストも減らしてほしい。
 現在、県では、あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)を策定し、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、住宅・建築分野の省エネ化の推進を重要な柱として掲げている。あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)の中では、エネルギー消費量の多い家庭部門の削減は不可欠としているが、県営住宅は集合住宅なので、家庭部門の最たるものである。国においても同様に、2050年のカーボンニュートラル宣言やエネルギー基本計画の改定、さらには住宅の分野では、省エネ基準の段階的引上げ義務化やネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)水準の普及を強く打ち出している。県内の公共建築物も、環境性能の改善を求められているが、県、国、双方の政策動向を踏まえると、今後数十年にわたって老朽化が進んだ県営住宅を建て替えていく大規模改修のタイミングこそ省エネ性能を抜本的に高める脱炭素政策の実装の場としても貢献できるのではないか。
 そこで、脱炭素化に向けた県営住宅の建て替えについての考え方を伺う。
【理事者】
 県営住宅のカーボンニュートラル対策としては、2022年から建て替えの設計を行うものから、原則、断熱性能の強化等により快適な住環境を維持しながら、省エネルギーな暮らしを実現するZEH水準で整備している。2022年以降に設計を行った県営大森向住宅では、本年4月1日に入居が始まった。
【委員】
 ZEH水準で建て替えして大いに貢献してほしい。あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会において、なぜ建築部門や建設部門が協議会に参加していないのか疑問である。公営住宅に住む住民の電気代に充てることができないなど、様々な障害があるようだが、県が主導して進めている脱炭素化政策に、県が保有する最大のストックといってもよい県営住宅を実証フィールドとして提供しない、もしくはできないというのは、少しおかしいと思う。
 全量売電ができないと聞いたが、例えば中部電力株式会社とどう向き合うかである。あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会の筆頭に中部電力グループの会社があるので、例えば、県が売電事業者として免許を取って登録し、売電事業者として中部電力株式会社と全量売電の個別契約を結ぶなど、やりようは幾らでもある。
 東浦町では、来年度に図書館の屋根を提供するとして鼻息を荒くしているが、本県でも公共建築物や公共公有地などを積極的に提供して、愛知県がペロブスカイト太陽電池のトップランナーになると大村秀章知事は意気込んでいると思うので、ぜひ県としても取り組んでほしい。あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会に参加している環境局地球温暖化対策課が旗を振っているが、ここと連携していないのか、見解を伺う。
【理事者】
 ペロブスカイト太陽電池については、実際には取り組んでいないが、従来の太陽光発電設備は、県営住宅の建て替えにおいて、省エネルギーの取組をしており、これからも引き続き取り組んでいきたい。
【委員】
 非常に前向きであると思ったので、今後、協議会の一員に加わってほしい。県営住宅だけの話ではないので、建築関係、建設局で所有している公共建築物や所有物とも連携を深めてほしい。
【委員】
 菱野団地は瀬戸市南部の八幡台、原山台、萩山台、菱野台から成る173.5ヘクタールの住宅団地として、1966年から1978年にかけて、愛知県住宅供給公社により整備された。開発目的は、愛知県の経済発展に伴い、名古屋市、春日井市や豊田市などへの通勤圏として鉄道や道路網の整備による優れた立地条件を備え、緑と太陽と空気の美しいまちとして、子どもを守ることを十分に考慮した明るく楽しい総合的なニュータウンとして整備された。設計は世界的な建築家、黒川紀章氏で、よい環境、交通安全、便利な生活といったコンセプトであった。
 日本の大規模住宅団地の多くは、高度経済成長期に急増した都市部人口を受け入れるために開発されたものであり、戦後住宅施策の成果といえる。しかし、半世紀が経過した現在、これらの住宅団地は急速な高齢化と人口減少、住宅ストックの老朽化、空き家、空き室の増加、商業機能の衰退といった共通課題に直面している。団地再生はもはや建物更新だけで解決し得る問題ではなく、コミュニティの再構築、多様化する住居者への対応、地域資源の再編などを伴う包括的な課題である。
 菱野団地も名古屋都市圏のベッドタウンとして開発され、最盛期には約2万人が居住していた。しかし、1980年代以降の人口は大幅に減少し、センター地区の商業施設は衰退し、商店街も縮小し、団地の象徴であった中央広場のにぎわいも失われて、コミュニティの活力が低下している。こうした状況を受けて、瀬戸市は学識者、自治会、関連団体等から構成される菱野団地再生計画策定委員会を組織して、2019年3月に菱野団地再生計画を策定した。さらには計画推進のため、住民代表、民間企業、NPO、市民団体、学識経験者が参画する菱野団地再生計画推進協議会が設置され、持続的な再生に向けた体制が整えられてきた。また、同年には、エリアマネジメントの中核組織として、住民団体、未来の菱野団地をみんなでつくる会が設立され、再生活動の担い手として活動が始まった。
 菱野団地再生計画では、成果指標の一つとして総人口を挙げて、2015年の1万3,113人に対して、2028年度に1万2,834人を目標として人口維持を目指していた。しかしながら、市、住民団体、大学などの多くの主体が取り組むものの、2024年10月1日時点では人口が1万202人まで減少しており、下落傾向が続いている。この背景として特に注目すべきは県営住宅及び公社賃貸住宅の動向であり、2015年時点では県営住宅、公社賃貸住宅は3,627戸である。一方、分譲戸建て住宅は2,480戸であり、賃貸系住宅が団地全体の約6割を占めていた。同年の人口でも県営住宅、公社賃貸住宅は6,934人、戸建て住宅には6,179人が居住しており、人口規模でも賃貸系住宅が多かった。団地全体の人口は減少しているものの、戸建て住宅地区は比較的安定している。一方で、県営住宅、公社賃貸住宅の人口が大きく減少しており、菱野団地の人口減少は主として賃貸系住宅の動向に依存している。
 本県が高度成長期に整備した大規模住宅団地では、全国に先駆けて高齢化と人口減少、老朽化、商業機能の衰退など、深刻な課題が同時進行しており、その典型が菱野団地である。最盛期に2万人が居住していたが、2024年時点では1万200人と半減し、高齢化率は45パーセントを超えている。この課題を克服していくには県営住宅施策のみならず、団地全体のまちづくり戦略として、県の主体的な関与が必要である。県は菱野団地の人口動向をどのように分析し、どのような社会課題があると認識しているのか。特に高齢化率の上昇と少子化に伴う問題をどのように捉えているのか伺う。
【理事者】
 毎年参加している菱野団地再生計画推進協議会の資料によると、2015年から2024年までの人口推移は、瀬戸市全体の減少率3.3パーセントに対して、菱野団地の減少率は22.2パーセントとより高くなっている。また、2015年から2024年までの菱野団地全体の年齢別人口増減率は45歳未満の各年代で減少しているが、75歳から90歳で大きく増加している。菱野団地の整備から約50年がたち、1947年から1949年に生まれた団塊の世代及び1971年から1974年までに生まれた団塊ジュニア世代が継続して居住しており、高齢化率が増加した一方、団塊ジュニア世代の子どもが少ないとのことである。このことから、少子・高齢化の急激な進行に伴う地域コミュニティ機能の低下等が課題となっている。
【委員】
 戸建て住宅地区は比較的安定しているが、県営住宅及び公社賃貸住宅系では急速に人口減少が進んでいる。戸建て住宅の空き家率は0.9パーセントと極めて低いが、いわゆる賃貸系の住宅の空き家率は2015年は23パーセントであったが、34パーセントに上昇し、空き室は819室から1,080室へと増加している。県営住宅及び公社賃貸住宅の空き家率が大幅に上昇している現状について、県はどう受け止めているのか。また、空室増加の要因の分析をどう行っているのか伺う。
【理事者】
 菱野団地内には県営住宅、公社賃貸住宅合わせて七つ住宅がある。いずれも1970年代の建設で老朽化が進んでいる状況である。入居率は、2025年11月1日現在で、県営住宅については3住宅平均で63.2パーセント、公社賃貸住宅については4住宅平均で72.8パーセントとなっている。2015年からの入居率の推移を見ると、県営住宅については低下傾向、公社賃貸住宅については若干の減少となっている。入居率の低下は、入居者同士のつながりや自治会機能が弱まり、地域コミュニティが希薄化していくことなどから課題であると認識している。
 空き家の発生する要因としては、建設年度の古い住宅についてはエレベーターや風呂設備のない住宅が多く、入居を敬遠される傾向にある。特にエレベーターのない古い住棟の3階から5階は利便性が低いと考えられるので空き家が多い状況となっている。一方で、建て替え後の原山台住宅は入居率が9割以上となっており、建替事業は入居率改善に大きな効果がある。
【委員】
 団地の中心であるセンター地区はかつて公社住宅と商業棟が集積し、団地の心臓部として機能していた。しかし、2014年にスーパーマーケットが撤退して以降、10年間空き店舗の状態が続き、大ホールや商業スペースも閉鎖されたままで、景観及び治安の悪化も懸念される。センター地区の空洞化は地域の生活利便性とコミュニティ維持に深刻な影響を与えていて、県はこの問題をどう認識しているのか。また、公社住宅1階部の商業スペースの利活用について、県として主体的な対応を行う考えはあるのか伺う。
【理事者】
 センター地区の中核施設であったスーパーマーケットが撤退したことでセンター地区の利用頻度が減少し、菱野団地における生活利便性やコミュニティの低下につながっていると愛知県住宅供給公社と県は認識している。センター地区の活性化は菱野団地全体の活性化にも波及することから、当該地区の活性化は県としても問題意識を持っている。
 県では、地域活性化にもつながる取組の一つとして、センター地区にある菱野第3住宅にある空き店舗を文化芸術振興として、若手アーティストのための創作活動の拠点として提供する取組を実施しており、現在利用者を募集している。引き続き、空き店舗を活用した取組により地域活性化に努めていく。
 公社住宅1階部のスーパーマーケット撤退後の商業スペースの利活用については、耐震改修に多額の費用を要するため、工事費の回収など採算性の問題や、丘陵地に立地しているため駐車場とのアクセスが階段に限られるなど、様々な課題がある。施設の管理者である愛知県住宅供給公社は、テナント需要についてあっせん事業者などから情報を継続的に収集するとともに、瀬戸市をはじめとする地元の意見や出店に興味を持つ事業者の要望にも柔軟に対応できるよう、採算性と地域の活性化を両立できる手法を検討している。県としても愛知県住宅供給公社のみに任せるのではなく、公社事業に関する県と公社との合同ミーティングの枠組みなどを活用し、助言、指導をしっかりと行うとともに、商業スペースの利活用に向けてどのような支援ができるか検討していく。
【委員】
 昨日、改めて菱野団地に行き、歩きながらいろいろと見た。現在、非常に前向きな試みもスタートしているようだが、耐震の関係は当然費用もかかるので、簡単ではない。もともと県が積極的に高度経済成長期に住宅の供給を行ったものであるので、いろいろなアイデアを生かしながら進めてほしい。県営住宅の建て替えや改善は、愛知県営住宅長寿命化計画を策定していて、団地全体のまちづくりの計画と整合している計画になっているのか。
【理事者】
 2019年3月に瀬戸市が団地全体のまちづくり計画として菱野団地再生計画を作成している。菱野団地再生計画では、まちづくりの基本目標として、菱野団地における新たな魅力の創出における居住の好循環を目指すとしている。
 県営住宅については、本県が2020年3月に策定した愛知県営住宅長寿命化計画に基づき、計画的に建て替えを進め、新たに建設する住棟は高層集約化し、住民が集い、良好なコミュニティの形成が図れる場所として、緑地や児童遊園、集会所を整備しており、菱野団地再生計画の方針と整合した整備をしている。
【委員】
 東京都の多摩ニュータウンや大阪府の千里ニュータウンでは、都や府が主導して再生指針を策定して、公的賃貸住宅の建て替えや地区センター再整備を進めて一定の成果を上げていると聞いている。一方で、菱野団地では県が再生計画に主体的に関与しておらず、先ほど、比較的前向きな答弁があったが、今までは県が積極的に動いていないと、様々な方面から聞いている。菱野団地のような大規模団地に特化した再生方針を策定する考えがあるのか伺う。
 また、愛知県住宅供給公社が整備した団地であって、県営住宅が戸数の半分以上を占めているが、県が策定委員会や推進協議会にオブザーバーとして参加するだけでは不十分ではないか。団地再生に向けて、もっと積極的に関与してほしい。
【理事者】
 まちづくりの主体は市町村であり、大規模な団地の再生方針についても市町村が主体となって策定するものと考えている。県としては、市町村が再生方針を策定するに当たり、当該団地の状況や市町村からの要請等に応じて必要な支援をしっかりと行っていく。
 菱野団地については、瀬戸市が2019年3月に菱野団地再生計画を策定し、団地の再生に取り組んでおり、県は菱野団地再生計画に基づく瀬戸市やまちづくり団体による具体的な取組の実施に当たり、国の補助制度の活用について支援してきた。
 菱野団地は、愛知県住宅供給公社が開発し、原山台、八幡台、萩山台の三つの大規模な県営住宅があるなど、県との関わりが深い団地であり、県は現在、これら三つの県営住宅において建替事業を同時に進めている。
 こうした中、菱野団地再生計画の計画期間は2028年度までとなっており、計画の終期が近づいている。今後、瀬戸市が新たな計画を策定する場合には、市との調整が必要ではあるが、オブザーバーにとどまらず委員として参画するなど、積極的に関わっていきたい。
【委員】
 繰り返すが、県営住宅や公社の賃貸系の住宅がウエートを占めている流れの中では、そこは強いはずである。昨日も菱野団地へ行き、センター地区に立ったが、「愛知県知事桑原幹根」と書いてある。やはり県が造ったものであり、その意味では、小牧市の桃花台もそうだが、さきの本会議では議員、今日の本委員会では委員も県営住宅のニーズについて質問した。社会が変わると、その時代でニーズが変わる。一つの市がやれる範囲を超えていることもあり、県が支援する必要がある。
 学校の統廃合など地域全体の影響もあり、菱野団地では人口減少により3校あった小学校が1校へ統合される。住宅供給の在り方や、県営住宅の建て替え方針、新規入居者の属性、先ほど委員が言っていたニーズの話である。建て替えの方針は、将来の子ども、学区の児童数や学校運営に大きな影響を与える。県の住宅施策が学校施設計画に深く関わる点を踏まえて、瀬戸市と連携して、住宅団地の将来人口を見据えた総合的な計画を策定する必要がある。
 さらに、住民団体や大学など各種団体による再生活動を行っており、現在、住民団体みんなの会がセンター地区の一角を賃借して活動を続けている。担い手不足と資金難が深刻であるとも聞いている。また、南山大学や愛知工業大学、名城大学の研究室が連携して再生活動を補助するなど、学生主体の活動も展開している。県として、住民団体や大学の取組をもっと財政的な支援も含めてやってほしいと思うが、少なくともこのシンボリック的なセンター地区の公社住宅の利活用について、優先的に支援してほしい。
【理事者】
 団地の再生を進めるには、再生活動を行う住民団体や大学など、各種団体が取組を続けていけるように支援していくことが必要である。
 県としては、市町村やまちづくりの団体に対し、そうした取組に活用できる補助メニューについて情報提供するとともに、補助金の確保についてしっかりと支援、助言を行っていく。
 センター地区の公社住宅の利活用については、現在、菱野第3住宅の貸し店舗を半額に減免し、瀬戸市を通じて菱野団地再生計画に協力している団体であるみんなの会に利用してもらっている。また、県事業として、菱野第3住宅の貸し店舗を若手アーティストのための創作活動の拠点として提供することとしており、現在利用者を募集している。
 公社住宅ではないが、菱野団地内の県営萩山台住宅において、来年度から県内で2例目となる県営住宅の目的外使用による学生入居を予定している。引き続き、地域の活性化につながる支援に取り組んでいく。
【委員】
 先ほどから話しているように、社会的ニーズは変化しており、今ある資源を上手に活用することは極めて重要である。その意味において、県の主体的な関与による再生方針が必要である。菱野団地は愛知県が整備した大規模な団地であり、人口減少と高齢化が顕著な先行事例である。これを県全体の再生モデルと位置づけ、多様化する居住者層への対応や、スマートシティの導入、さらにはコミュニティの再構築が必要である。自治会が組織できないとの話も聞いている。何とか県が主導して再生を進めてほしい。ここまでの大規模団地は、まさに住宅の再生、地域の再生である。その意味において、菱野団地の再生に対して、県営住宅の維持管理にとどまらず、団地全体の再生方針を主体的に策定し、センター地区の再生を含めて着手してほしい。松坂屋ストアに代わる事業者を探すことや、目的外使用の活用も検討すべきである。もともと世界的有名な建築家である黒川紀章氏がコーディネートした団地であり、そのような人を招くなど、様々な方法がある。大規模団地の再生は地域の再生につながる。また、県が主体的に開発を進めた菱野団地であることを踏まえ、地域を生かし、生まれ変わらせるような取組を、県がしっかりと中に入り、やってほしい。
【理事者】
 菱野団地の再生については、県営住宅の事業主体として三つの住宅の建て替えを進めていく中で、余剰地が発生すれば市に活用してもらえるという関わり方もある。また、市が新たな計画を策定することとなった場合には、答弁したとおり積極的に関わっていきたい。
 建築局の住まい・まちづくり事業については、愛知県住生活基本計画を定め、計画的に取り組んでいる。今年度と来年度で計画の見直し作業を進めているところであり、今もらった意見を踏まえ、県営住宅や団地再生についても、その中でしっかり検討し、取り組んでいきたい。
【委員】
 中部国際空港では現在、中部国際空港の将来構想に基づき、本年4月から、第1段階である代替滑走路の工事が進められているが、この整備効果を生かすためにも、第2段階である第2滑走路の実現に向けて、今後、中部国際空港の国際航空需要を一層拡大させることが喫緊の課題である。
 また、中部国際空港の2024年度の国際線旅客数については491万人と、2019年度の620万人の約8割の水準にとどまっている状況である。また、中部国際空港株式会社の2025年度の想定航空旅客数については、当初過去の最高水準の1,260万人を見込んでいたが、国際線の就航便数が当初予定したほど拡大せず、1,140万人として下方修正した。
 中部国際空港の国際線旅客数の現状と課題について伺う。
【理事者】
 2024年度の外国人旅客、いわゆるインバウンドは321万人と、コロナ禍前2019年度の水準まで回復している。一方で、同時期で比較した成田の137パーセント、羽田の170パーセント、関西の135パーセントなど、他の主要空港に比べてインバウンドが伸びていない状況である。今年度10月までの実績は202万人と前年比13パーセント増となっているものの、12月1日現在で中国便が週当たり15便の減便となっており、状況を注視している。2024年度の日本人旅客、いわゆるアウトバウンドは170万人と、2019年度の299万人の57パーセントにとどまっている。同時期で比較した成田の61パーセント、羽田の99パーセント、関西の72パーセントなど、他の主要空港と比べてこちらも回復が鈍い状況である。今年度は、10月までの実績で114万人と前年比24パーセント増となっており、回復率は他の主要空港と比べて高くなっている。アウトバウンドは全国的にコロナ禍前の水準まで回復しておらず、中部国際空港においても同様の状況にある。
 次に、中部国際空港の国際旅客数の課題については、コロナ禍前と比べて中国便や欧米便の復便が遅れていること、また、多くの航空会社が、インバウンド需要が強い羽田や成田、関西を優先して就航していることなどが挙げられる。
【委員】
 中部国際空港のインバウンドは、他の主要空港と比べて回復が鈍いが、コロナ禍前の水準に戻っているとのことだが、アウトバウンドがコロナ禍前に比べて大幅に少ない。
 アウトバウンドを拡大させるためには、国際線ネットワークを充実させ、ビジネスや観光旅客の利便性を高めることが重要である。そして、中部国際空港における現在の国際線ネットワークについて、12月1日現在で20都市、週当たり291便となっている。羽田、成田、関西国際空港では、欧米の複数の都市に直行便が運航している一方で、中部国際空港では、現在、欧米の直行便が運航されていない。資料を見ると、欧米やインド、オセアニア等も未就航で、どちらかというと中部国際空港はアジア空港のような形になっている。欧米への直行便はビジネスや観光の利便性を高めるだけではなくて、中部国際空港の国際競争力を維持するためにも不可欠である。例えば、コロナ禍前に就航していたフランクフルトの直行便については、ヨーロッパの中央部の空港であることから、ヨーロッパ各地への乗り継ぎで非常に便利なこともあり、復便を強く望む声が多く聞かれる。海外調査で欧米に行く際には、便がないので、関西、成田、羽田空港に行かなければならず、大変不便である。
 そこで、欧米への直行便の復便、拡大に向けての取組について伺う。
【理事者】
 欧米への直行便は大変厳しい状況にある。県としても、欧米への直行便の復便、拡大は中部国際空港における航空需要の拡大の点から大変重要と考えている。
 こうした中、2024年には5月から10月の間フィンエアーが運航するヘルシンキ便が週2便で復便し、2025年には3月から10月の間、最大週4便に増便となるなど、少しずつ回復している状況である。
 県においては、航空会社などへの働きかけを強化するため、今年度から新たに実務者レベルのエアポートセールスを実施している。具体的には、本年6月に地元行政として、空港会社とともにフランクフルトのルフトハンザドイツ航空、ヘルシンキのフィンエアーを訪問し、ヨーロッパ直行便の復便、維持、拡大に向けた意見交換を行うとともに、地域の魅力をPRしてきた。
 また、地元企業を対象に、空港会社において欧米をはじめとする海外出張需要の調査を実施するとともに、地元自治体、経済団体、空港会社で構成する中部国際空港利用促進協議会において、中部国際空港発着便の優先利用を促すフライ・セントレア事業に取り組んでいる。路線の復便、拡大のためには、インバウンド、アウトバウンド双方の旅客を増加させることが必要である。県としては、エアポートセールスを継続するとともに、利用促進協議会の活動を通じて、フライ・セントレア事業の推進、海外に向けた地域の魅力発信、現地旅行博への参加、さらにSNSを活用した情報発信などにより一層の需要喚起を図っていく。
【委員】
 今年度から新たに実務者レベルでエアポートセールスをし、また、大村秀章知事も欧米に行き、エアポートセールスをしているということで、ぜひしっかり取り組んでほしい。
 次に、中部地域は、製造業を中心に輸出入の貨物需要が非常に大きいにもかかわらず、約8割の航空貨物が主に成田空港へトラック輸送されている。これは中部国際空港の貨物取扱い機能の強化という観点から大きな課題である。中部の航空貨物の現状と、他の地域に流出している状況を改善するための取組について伺う。
【理事者】
 中部国際空港の貨物取扱量は、コロナ禍前の水準には回復していないが、2020年度の約10万4,000トンから2024年度には12万9,000トンへと徐々に回復してきている。また、空港には国際航空貨物大手DHLの国際輸送拠点が置かれており、世界の物流ネットワークの一翼を担う重要な役割を果たしている。今年5月には、貨物専用便としては日本国内で初めて国産の持続可能な航空燃料(SAF)の供給をDHL便に対して行うなどの取組も進めている。
 一方で、空港会社によると、中部地域の国際航空貨物のうち中部国際空港から空輸されるのは約2割にとどまっており、残り8割は他空港から空輸されている状況である。また、その8割の貨物の半分以上が一旦空港島に運ばれ、空港島内の物流会社で通関作業をした後、トラックで主に成田などに運ばれている。こうした状況を改善するため、これまで中部国際空港利用促進協議会において各種の取組を進めている。
 具体的には、フライ・セントレア・カーゴの取組として、物流会社への支援や他空港からの切替えを促す共同輸送事業などに取り組んでいる。また、中部地域の航空貨物がトラックで他空港へ運ばれていることを受け、中部国際空港利用促進協議会として、国の補助事業である地域連携モーダルシフト等促進事業を活用し、持続可能な物流ネットワーク再構築事業に着手しており、来年度までの2か年で実施する。
 今後、空港会社が中心となって、荷主、物流会社、航空会社と連携しながら、航空貨物ネットワークの再構築を進める。
 県としても、引き続き中部国際空港利用促進協議会を通じて、中部国際空港の航空貨物増加に向けた取組を推進していく。

空港島の画像(中部国際空港株式会社提供)
​空港島(中部国際空港株式会社提供)

【委員】
 利用促進について、利用者目線から見ると、どうしてもヨーロッパならフランクフルト、アメリカならシカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル等の主要なところを一つ経由してもよいから、どこか一つ契約することが重要だと思うので、引き続き欧米便のエアポートセールスを強化してほしい。
 貨物について、中部国際空港で輸出入できれば、利用促進ばかりでなくて、トラック運転手の不足の解消や脱炭素の実現にも有益だと思うので、引き続き強く取り組んでほしい。
 次に、都市計画道路名古屋半田線の現状と今後の取組について伺う。
 2022年の12月に東海市内が全線開通した。建設局、都市・交通局に感謝する。これによって旧半田街道の渋滞はかなり解消されて、知多半島北部の交通の利便性は本当に格段に向上した。
 しかしながら、東海市の富木島地区では、国道155号から北の約2キロの区間にわたってまだ暫定2車線となっており、本当に朝夕渋滞が発生している。私も通るが、大変である。早期の4車線化が求められている。これについては、地元の有志が立ち上がり、現在4車線化の推進協議会が発足されて、アンケート等いろいろと活動している。また、県においても、当初予算の中で4,000万円の測量調査費を計上している。
 そこで、都市計画道路名古屋半田線の東海市富木島地区における暫定2車線区間の現状と今後の取組について伺う。
【理事者】
 東海市富木島地区の都市計画道路名古屋半田線は幅員22メートル4車線の都市計画道路であるが、現在幅員20メートル2車線となっている。このうち北側約1.5キロメートルについては、過去に土地区画整理事業で整備しており、4車線化に際し、両側に1メートルずつ追加買収となることや、中央分離帯設置により右折での出入りができなくなることなどの課題がある。
 今年度、地元推進協議会が地権者をはじめとした関係者にアンケートを実施したところ、その回答としては、約7割が4車線化に賛成であり、早期の渋滞の解消を望んでいると聞いている。県としては、こうしたアンケートの結果を踏まえ、年明けから現地測量に入っていく。
 また、今年度から来年度にかけて道路設計を行い、公安協議等の関係機関協議を実施していく。事業実施には地元との合意形成が重要と考えており、丁寧に対応していく。
 なお、残る南側約500メートルについては、必要な用地幅が確保できていることから、北側の整備と併せて着手できるよう進めていく。
【委員】
 旧都市計画法が廃止され、20メートルを22メートルにしなければならないことで、セットバックを1メートルずつしなければならならず、納得がいかない。工事が遅れることにより、区画整理でやっているのだから、本来なら20メートルでもよいのではないかと思うが、法律上、コンプライアンスの問題としては、やらなければならないと思うので、しっかりやってほしい。
 東浦町の県道知多東浦線の緒川植山交差点から阿久比町の県道西尾知多線の福住交差点までの約2.4キロメートルの区間については、今、県道名古屋半田線のバイパスとして整備が進められている。この区間に並行する現道の県道名古屋半田線は2車線で慢性的な交通渋滞が発生していて、早期のバイパス整備が求められている。この区間がつながることで都市計画道路名古屋半田線、名半バイパスというが、名古屋市から半田市までの全線がつながるので、知多半島の縦軸が構築されて、知多半島全体の発展に大きく寄与することが期待されている。
 そこで、県道名古屋半田線バイパスの東浦町から阿久比町にかけての未開通区間の整備の現状と今後の取組について伺う。
【理事者】
 県道名古屋半田線バイパスの東浦町から阿久比町にかけての未開通区間の整備についてである。
 東浦町内の県道知多東浦線から南へ知多半島道路の下を抜け、阿久比町内の県道西尾知多線までの約2.4キロメートル区間については、東浦阿久比工区として、2021年度から国の交付金を活用してバイパス整備を進めている。
 現在用地買収を進めているところであり、東浦町内では約85パーセント、阿久比町内では約91パーセント、工区全体では約87パーセントの用地を取得している状況である。
 今後も東浦町、阿久比町の協力を得ながら、残る用地の取得にしっかりと取り組んでいく。
 また、まとまった用地が確保できたことから、来年度より工事着手できるよう、道路詳細設計に着手した。引き続き早期整備に向け、しっかりと取り組んでいく。
【委員】
 日光川水系における新たな河川計画策定の進捗状況と今後の進め方について伺う。
 近年、世界各地で気候変動の影響により甚大な自然災害が多発している。本年11月下旬から12月初旬にかけて東南アジアを襲った複数のサイクロンでは、インドネシアなどで1,500人を超える人々が亡くなったと報道されている。また、日本でも記録的な降水量が今年も観測され、8月上旬には北日本から西日本の広い範囲で大雨となり、福岡県や熊本県では総降水量が600ミリリットルを超えるなど、所によっては観測史上1位を更新する記録的な大雨となった。これらの災害は、気候変動がもたらす災害リスクの深刻さを浮き彫りにし、私たちに警鐘を鳴らしている。だからこそ、一歩一歩着実に治水対策を進めていかなければならない。
 地元である愛西市を含む日光川流域は日本最大のゼロメートル以下地帯を抱えており、豪雨や巨大な台風が襲来した場合には甚大な被害につながりやすい、大変脆弱な地域である。東海豪雨では日光川の水位がかなり危険な水位となったが、現況のポンプで排水する中、海の潮位が低くなって水閘門を開けることができたため、大きな被害とならなかった。昨今の気候変動の影響により激甚化、頻発化する水災害から住民の生命、財産及び産業活動を守るためには、日光川流域の要である河口排水機場のポンプ増設は必要不可欠な対策である。
 ポンプの増設は、昨年12月定例議会の代表質問と建設委員会において質問があり、進め方が示されている。その進め方は、気候変動を踏まえたポンプの増設などの整備に当たっては、現在の河川計画を見直し、ポンプ増設などの整備内容を位置づける必要があり、日光川水系については、2027年度までに新たな河川計画の策定を目指すとの方針が示されている。
 そこで、日光川水系における新たな河川計画策定の進捗状況について伺う。
【理事者】
 新たな河川計画については、洪水と高潮の検討内容に対して技術的な助言や意見を聴くため、有識者で構成される県の治水計画検討会を昨年度の3月に開催し、気候変動により増加する降雨量などについて議論を進め、見直しに着手した。その後、3月の検討状況を踏まえ、9月に検討会を開催し、気候変動により増加する降雨量への対策方法などについて議論を行った。来月にはこれまでの検討状況を踏まえ、気候変動により勢力を増す台風により上昇する潮位と増加する降雨量に対応した高潮ポンプ必要量について検討会を開催し、議論を行っていく。今年度末には、河川計画の策定に向けての助言や意見を聴くため、河川や海岸、都市計画など幅広い分野の有識者で構成される県の流域委員会での議論をスタートし、現地視察を行い、流域の現状と課題について整理を行っていく。
【委員】
 昨年度から治水計画検討会を開催し、気候変動を踏まえた洪水と高潮の対策方法等について議論を進めていること、また、年度末には流域委員会での議論に着手するとのことで、着実に検討が進められていることが確認できた。
 そこで、新たな河川計画策定の今後の進め方について伺う。
【理事者】
 日光川水系の新たな河川計画については、来年度以降も継続して流域委員会による議論を重ね、ポンプ増設などの整備に必要となる河川計画について、2027年度の策定に向け、着実に進めていく。さらに、河川計画の策定後速やかに事業化できるよう、河川計画の策定作業と並行して、今年度から河口部周辺の地形測量に着手し、来年度以降も周辺環境の把握を行うなどの調査検討を着実に進めていく。
【委員】
 河川計画の策定後、速やかに事業化できるように進めるとの答弁があった。大変力強く思っている。どうか私たちの住む海部津島ゼロメートル地帯が安心して暮らせるよう排水機増設が早期に実現できるよう要望する。

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