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子ども・子育て対策特別委員会審査状況(令和7年8月25日)
子ども・子育て対策特別委員会
委員会
日時 令和7年8月25日(月曜日)午後1時~
会場 第7委員会室
出席者
かじ山義章、中村竜彦 正副委員長
島倉 誠、石塚吾歩路、政木りか、今井隆喜、中村貴文、杉浦友昭、
谷口知美、山口 健、加藤貴志、柴田高伸、下奥奈歩 各委員
病院事業庁長、病院事業次長、
あいち小児保健医療総合センター長、関係各課長等

委員会審査風景
議題
小児救急と重症患者の集約化について
会議の概要
- 開会
- 正副委員長あいさつ
- 委員自己紹介
- 委員席の決定
- 理事の指名
- 議題について理事者の説明
- 質疑
- 委員会活動について
- 委員による個別の県外調査について
- 閉会
主な質疑
【委員】
転院、搬送のことで、たくさん小児医療センターの方に患者が来ると大変ではないかと思うが、現状、受入れに対するセンターのキャパシティとしては余裕があるのか、さらに県から支援が欲しい状況なのか、現状の体制を教えてほしい。
【理事者】
患者が集中することがある。当院の小児集中治療室(PICU)の患者は、心臓手術後患者で大体半分を占めている。比較的病床が埋まっているときに複数の受入れ要請があると、瞬間的に病床数14床を超えそうになることがある。
そういった際には、一般病床へ移動できる患者を何とか押し出して、できる限り受け入れているが、1年に何回かは14床では足りず、16床までベッドがあるので、通常から16床動かせると余裕が持てるのにと思うことがある。
詳細については、小児救命救急センター長から説明させる。
【理事者】
時々、当院のキャパシティを超えそうになることがある。そういったときのために、愛知県小児重症患者相談システムを電話相談システムとして整えている。これは、パンデミック時、患者が多くなったときに、ふだんから連携している成人の集中治療施設で質の高い診療ができる施設を選び、どうにか患者をやり繰りできるようにするシステムである。
一方で、もう少し県から支援してほしいという思いがあるのかと聞かれると、救命救急を小児でやっていると、診療報酬上それほど利点がなく、我々の分析だが、体外式膜型人工肺(エクモ)に対応していない病院よりも、対応している病院の方が赤字であるデータもある。治療に費用がかかる患者を多く受け入れている部分もあるので、赤字に対して寛容にという意味ではないが、実態として理解してほしい。
【委員】
時として、受入れが厳しい状況もあるとのことであった。以前、ベトナムから子どもの患者を受け入れたことがニュースになったと思うが、ドクターヘリで搬送するなど、全国の小児救命救急センターとの連携は、実際にあるか。
【理事者】
救命救急という場面で、当センターでは、人数の都合上受け入れられないという理由で、静岡県立こども病院などほかの病院へ搬送してもらうことは、基本的にない。なお、それぞれの施設には得意分野があるため、患者の疾患の特殊性によっては、中には静岡県立こども病院に送ることもあるし、東京にある国立研究開発法人国立成育医療研究センターに送ることもあるが、これは疾患の特殊性によるものである。
【委員】
30ページに藤田医科大学病院のヘリコプター機種変更によりと記載があるが、2024年の2月に導入した藤田医科大学病院に導入されたドクターヘリに何か変更があったのか。
【理事者】
最初に導入したヘリコプターと同程度のヘリコプターを当初は導入したが、今年の春に変更になった。変更後の機種には、搭乗できるスタッフの数や乗せられる機材が増えたため、機能が向上した。
【委員】
約1年で変更ができたというのは、どのような理由があったのか。
【理事者】
豊明市にある藤田医科大学病院のヘリコプターの運用は、 中日本航空株式会社に委託されている。最初の1年は、試験運行で、ある程度既存の機種で運用する話があり、うまくいけば、機体をアップグレードする予定がもともとあった。機体の不具合で当初の予定から急遽変更になったわけではない。初めから予定があり、機体がアップグレードされた。
【委員】
愛知医科大学病院のドクターヘリとは、搭乗できる人数が違うという理解でよいか。
【理事者】
ドクターヘリの第一の目的が、病院到着前の救護だったが、藤田医科大学病院のドクターヘリは、病院間搬送も行っているので、その点で愛知医科大学病院よりも搭乗できる医療従事者が1人多い。
【委員】
30ページに各施設の救急・集中治療体制が成人医療で逼迫と記載があるが、高齢化の進展が要因となっているのか。それとも他に要因があるのか。
【理事者】
施設ごとの様々な事情があると思うが、あまりに年齢の高い人が集中治療室に入るか否かは別として、急患の受入れのキャパシティや集中治療室のキャパシティがかなり埋まっており、子どもを受け入れる余裕がない雰囲気があると各所から聞いている。
それぞれの施設には、小児の救命救急医や集中治療医はおらず、成人を含めても集中治療の専門医が必ずしも各施設にいるわけではなく、内科や外科の医師が一定期間集中治療を受け持っている状況にある。非常に複雑な子どもの重症化患者については、小児科医以外手を出せず、小児科医が集中治療室の患者も診なければならない状況が色濃く残っている。
小児科自体、若干、数が減ってきており、少子化の影響で経験値の減少、働き方改革に伴い、小児科の中でも集中治療まで手を回しきれない状況がある。それぞれの施設の集中治療室に入室しても十分な医療を提供できないと判断されることが増えてきたと感じている。
【委員】
生まれたての赤ちゃんに対しては特別な医療が必要だと思うが、成長していく過程で大きくなるにつれて、どのくらいの年齢で成人医療と大きく変わらなくなってくるのか。
病院経営の観点で見たときに、救急というのは、成人で見ても課題が大きいのではないかという問題意識を持っているので、国の医療制度に対する問題意識も教えてほしい。
【理事者】
どのくらいの年齢、体格から、成人診療科の医師が診られるかというのは、それぞれの先生の力量にもよるが、恐らくほとんど違和感がなく、どの成人診療科の医師でも扱えるのは、中学生であれば間違いない。小学校の高学年であれば、それほど大きな違いはないと思う。
小学校入学前となると臓器の働きも違うし、単純に血管の太さがかなり違うので、様々な処置をするにも、大人のデバイスでは使えない。
診療報酬で大きな治療を行うと赤字になるのは、金額としては大きな診療報酬があっても、それ以上に様々な医療機器や消耗品のコストがかかると、診療報酬との差引きで、今の診療報酬体系の中では、場合によっては赤字が出る。人件費増の動きも鑑みると、下手をすると純利益はマイナスに傾いてしまう。
収入金額だけで見れば、集中治療や心臓外科が、大きな収入金額を占めていることに間違いはない。
【委員】
空路搬送用としてはドクターヘリとドクタージェットがあると思うが、ドクタージェットは今どうなっているのか。
【理事者】
ドクタージェットについては、NPO法人が運営しており、そこのNPO法人と協定締結している施設が日本で5施設あり、当センターも5施設のうちの一つである。ドクタージェットの主な目的は、県をまたいだ地域の医療格差をなくすことで、ジェット機は乗り降りの前後で20分ずつかかるので、そこで1時間弱時間がかかる。そのため、500キロメートルほど距離が離れないと、ジェット機で搬送するメリットがないと言われている。
近隣の三重県や岐阜県だと、基本的には、救急車又は天候がよければドクターヘリで移動した方がはるかに患者を早く移動できるメリットがあるので、東海3県の搬送でジェット機を使うことはない。
一方で、太平洋ベルトに医療資源が集中しているのが日本の現状であるので、北陸地方などで高度な医療が受けられずに困ることがある。先日あったのは、石川県の患者をあいち小児保健医療総合センターへ運び、心臓の血管の手術をした例である。他の地域でも人口の少ないところだとその分医師も少なく、医療の質が担保できず高度な医療が提供できないので、そういった地域から運ぶこともある。例えば、当センターの協力のもと仙台の病院から静岡の病院までドクタージェットを使って運ぶこともあった。
【委員】
一昨年か昨年にドクタージェットを見に行ったときに、基本的に県営名古屋空港で1年くらいしか試験運用していないと聞いたが、その後どのようになっているか。
【理事者】
ドクタージェットを運用しているのは、日本重症患者ジェット機搬送ネットワーク(JCCN)というNPO法人になるが、彼らの目的は、国の事業にすることで、厚生労働省に理事長自らが話に行っているが、厚生労働省は通っても財務省で通らず、なかなか話がうまくいかない状況がある。予算申請には挙がっているが、その先でなかなか進めず、採用されずに現在、クラウドファンディングで寄附によってドクタージェットの全ての費用が賄われているのが現状である。
【委員】
先ほどあいち小児保健医療総合センター長が少し触れていたが、困難な状況の中で患者を受け入れることが多いと思う。我々や行政、医療関係者などは、医療事故は起こり得るものだと理解している一方で、患者やマスコミは、起こしてはいけないものだと考えており、そこで少し意識の違いがあるのだと思う。現場でチーム医療をしている中で、質の高い医療を提供し、患者の安全を一層高める努力は、引き続きやってもらえると思っている。その中で、チームステップスという研修をしていると承知しているが、その内容と成果について聞かせてほしい。
【理事者】
医療安全は、特に高度な医療をやる中でも一番大事であるので、様々な仕組みを使って医療安全の向上に向けて日々努力している。チームステップスというのは、一つの研修コースで、何段階かあるが、原則、当センターも全職員がチームステップスの基本的な講習を受けることとしており、今年度幾つかのコースを設けて研修会を行っている。チームステップスでは、実際に現場にいる比較的若いスタッフが、何かおかしいなと違和感を覚えたときに、上司に対して、私はおかしいと思いますと遠慮なく率直に発言できる空気がチーム内でできていることが一番重要なポイントになると理解している。
当センターは、発言しやすい雰囲気を持っていると思っているが、実際、若い看護師など、それぞれある特定の上司について、やはり発言しにくい事例が残っていると聞くので、チームステップスの中で、それではいけないと上の者から下の若い者まで共通認識を持てるよう日々努力している。
【委員】
先ほどの私の発言で誤解があってはいけないが、医療現場だけではなく、様々な状況の中で不具合は生じるものなのだという前提の上で、センター長の発言のように不具合が生じそうなときに止める勇気を出せるかどうかだと思う。いろいろな生産現場でも自動化といっているが、一度不具合が生じると止まる。しかし、医療は人間が行っていることであり、止められる人と止められない人がいる。研修などを通じて、環境づくりを強化してもらえるとよいと思う。





