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公営企業会計決算特別委員会審査状況(令和6年10月15日)

ページID:0601350 掲載日:2025年9月16日更新 印刷ページ表示

公営企業会計決算特別委員会

委員会

日時 令和6年10月15日(火曜日)午後0時58分~
会場 第8委員会室
出席者
 青山省三、南部文宏 正副委員長
 久保田浩文、中根義高、日高 章、杉浦正和、増田成美、鈴木 純、
 福田喜夫、村嶌嘉将、木藤俊郎、永田敦史、阿部武史 各委員
 病院事業庁長、病院事業次長、
 監査委員事務局長、同次長、関係各課長等

公営企業会計決算特別委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

決算

決算第13号 令和5年度愛知県県立病院事業会計決算

結果

 全員一致をもって認定すべきものと決した決算
 決算第13号

会議の概要

  1. 開会
  2. 審査事項の概要説明
  3. 質疑
  4. 採決
  5. 閉会
主な質疑
病院事業庁関係

【委員】
 私からは、令和5年度愛知県公営企業会計決算書1ページ及び令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書27ページから29ページのうち、病院の運営・経営について質問する。
 先ほどの決算の説明では、医業収益の減収は入院患者数が見込みを下回ったためと説明があったが、病院の経営において、入院患者の確保が重要であると認識している。
 ついては、入院患者数の現状をどのように分析しているのか伺う。
【理事者】
 令和5年度の入院患者数について、がんセンターは12万1,854人で、稼働病床利用率は70.4パーセント、精神医療センターは6万3,364人で、稼働病床利用率は76.9パーセント、あいち小児保健医療総合センターは4万3,795人で、稼働病床利用率は65.4パーセントだった。
 令和5年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴う患者受入れの制限等がおおむね解除され、病床利用率はいずれのセンターも令和4年度より上回ったものの患者が戻り切っておらず、新型コロナウイルス感染症の拡大前の病床利用率までは回復していない。
 委員の指摘のとおり、病院の経営において、まずは患者の確保、特に入院患者の確保が重要であるので、各センターとも地域の医療機関との連携強化などに努めていく。
【委員】
 患者数の増加に向けた努力について説明があったが、病院事業庁が運営する病院は、がん医療、精神医療、小児医療に特化した三つのセンターであり、県民に高度で安心安全な医療を提供していると認識している。現状、患者数が見込みを下回っているのは、三つのセンターの医療への取組が県民に十分理解されていないと感じており、各センターから県民へのアピールが十分ではないとも感じている。
 ついては、三つのセンターの病院長にアピールできる取組と、その情報発信の方策を伺う。
【理事者】
 当院は愛知県内で唯一の都道府県がん診療拠点病院として県内がん医療の中心的役割を担っている。また、令和元年には、がんゲノム医療拠点病院に指定され県内二つの病院と連携実施しながら、がんゲノム医療を推進している。
 さらに、令和4年には大学病院本院と同等の能力を備えた病院であるとして、特定機能病院に指定され、確かな医療安全の下に高度かつ専門的ながん医療を提供している。低侵襲な代替治療の開発、研究所と共同してAIやビッグデータの利活用など、先進的な医療の創出やエビデンスの発出も行っており、治験においては全国有数の件数を実施している。今年度は2台目の手術支援ロボットダヴィンチを導入するなど、高度で専門的ながん医療をさらに実施している。
 患者を含めた県民への情報発信については、今年10月にホームページをリニューアルし、がんセンターにおける良質ながん医療提供体制について、より分かりやすく、かつ効果的に伝わるようにした。また、県民向けの公開講座や高校生体験講座、地域の医療機関向けの学術講演会を定期的に開催するなど、幅広い対象に向けて情報発信を行っている。
【理事者】
 当院は、愛知県唯一の県立精神科病院として愛知県の精神科医療の中核としての役割を担っている。精神科救急医療においては、夜間休日の全県内の後方支援基幹病院として愛知県精神科救急システムへ参加しており、平日日中に他病院で入院を断られた患者などを引き受け、精神科救急医療の最後のとりでとしての役割を果たしている。
 また、最近では、県や名古屋市の児童相談所との連絡会や県警察県民安全課との勉強会など、行政との関わりを多々もっており、精神医療の中で中核的な組織として対応している。また、災害精神医療の分野でも災害派遣精神医療チーム(DPAT)を組織し、災害精神科拠点病院の一つとして、災害精神科医療の中核としての役割を担っている。
 また、児童青年期、医療観察法、成人発達障害などの専門的な機能をしっかりと発揮するとともに、修正型通電療法やクロザピンなどの精神的医療を実施することで、他院では対応困難な重症患者も積極的に受け入れ、先進的な精神科医療のモデルとなる病院として高度で良質な精神科医療を提供している。
 情報発信においては、ホームページの充実、公開講座の開催、広報誌の発行、文化祭の開催、マスコミとの協力などにより、県民へ分かりやすく情報発信を行っている。今後、精神科病院や県内54市町村へのアンケートなどを実施し、当院を知ってもらう機会にしたいと考えている。
【理事者】
 当センターは多くの小児専門医を擁する県内唯一の小児専門病院として、高度で先進的な医療を提供している。
 医療のアピールできる取組について、平成28年に救急棟及び周産期部門を設置して以降、県内唯一の小児救命救急センターとして三次救急医療機関を担っている。このため、救急科では当センターで所有する専用の大型救急車や、県が配備しているドクターヘリなどを活用し、県内全域から対応困難な重症患者を受け入れている。
 また、小児心臓病センターを設置し、集中治療科、救急科、産科などと連携して複雑な先天性心疾患など重篤かつ緊急性の高い疾患などに対応している。その他の診療科においても県内、東海地方から多く患者を受け入れ、必要に応じて各科で連携を図りながら必要な治療を行っている。
 次に、情報発信については、令和5年1月からLINEアカウントを新設して、適時の情報発信を個別の患者に行うとともに、子供のための医療と保健の情報を効果的に提供する仕組みを構築した。また、本年度中にホームページをリニューアルするとともに、センターの紹介動画を作成し、ユーチューブなどを活用して発信している。今後も、県民の皆様にセンターの情報がしっかり届くよう努めていく。
【委員】
 それぞれのセンターの取組、情報発信、アピールポイントがよく理解できた。
 引き続き、患者数の増加に向けて、しっかり取り組んでほしい。
【委員】
 私からは令和5年度愛知県公営企業会計決算書の5ページの損益計算書、愛知県病院事業報告の2ページから、まず、医療収益について伺う。
 先日、子ども・子育て対策特別委員会の県内視察で大府市のあいち小児保健医療総合センターを視察した。愛知県内のそれぞれの地域で解決できない問題に対し、愛知県の子供たちの命のとりでとなっている現場を見させてもらい、視察当日も水頭症の急患を、豊明市の専門医師、一宮市の患者の病院、そして大府市のあいち小児保健医療総合センターにドクターヘリを飛ばして30分で搬送した後、手術を終えた先生が説明してくれた。
 病院内を見学させてもらい、小児は学校や家庭で風邪をもらうことが多く、直前のキャンセルが多いこと、がんなどと違って待てる患者が多く、閑散期と繁忙期ができてしまうこと、少子化が進む中で手術件数を増やしていくことが容易でないことなど、現場の課題などを聞いた。
 手術件数が減少すれば若手医師の研さん機会が阻害され、中長期的に医療の質が低下してしまう。働き方改革などについては随分と改善されたとのことであったが、長い目で見れば、高い志を持った医師の先生たちが引き続き地域住民の皆様に良質な医療を提供するためには、課題が山積しているようであった。
 また、近年急増する児童虐待の事案についてもあいちの小児のとりでとして、小さな声から拾い上げる支援、しっかりと受け止める支援を行っていると説明があった。
 ほかにも、救命救急の担当の方からは災害時に病院間で情報を共有するIT周りには、まだまだ課題があるということであった。また、周産期については周産期医療協議会など、妊婦や新生児の対応はできるが、例えば医療的ケア児をどうするか、障害を持つ子供たちの避難所のサポートをどうするかなど、そういったことを議論できる会議体が現状ないため、構築体制整備などの課題があるとのことであった。
 さらに、産科を志望する先生が減っていることなど、公営病院を取り巻く現状が本当に厳しいことを実感したが、どの先生も大変使命感をもって本当に真剣に医療に取り組んでいる姿勢に、ただただ頭が下がる思いだった。
 一方で、病院経営との両立は避けて通れない課題である。あいち小児保健医療総合センターでは、事業報告にもあるように、患者数の減少などにより外来収益が2.2億円減少している。今、まさに少子化問題については愛知県全体で取り組んでいるが、人口減少下においてもあいちの命のとりでとして、あいち小児保健医療総合センターの医療と経営を両輪として成り立たせていかなければならない。
 そこで伺う。
 あいち小児保健医療総合センターにおける患者数の減少や病院経営上の課題について、どのように捉えられているのか。その見解について教えてほしい。
【理事者】
 外来患者数については、長期的には少子化という影響もあるが、近年はコロナ禍の影響もあり一時的に患者数が減少し、その後も回復し切っていないという状況が続いている。このため、医業収益が減少し、経営上の課題となっている。
 今後は、地域の診療所訪問などを積極的に実施し、当センターの高度で専門的な医療を活かしつつ、より多くの患者に積極的に受診してもらうような対応を強化していく。
【委員】
 最後に、私からもう一点、公営企業会計決算書の6ページ、損益計算書の当年度純損失について伺う。
 公営企業病院として、純損失が計上されることは、人口減少も相まって仕方のない側面もある。本年6月に、公営社団法人全国自治体病院協議会の会長に就任された望月泉新会長は、自治体病院の経営改善に向けた手法の一つとして、独立行政法人化も一つの選択肢に据えていく必要があるとの前副会長の提案などを受けつつも、やはり地域に必要な病院、地域になくてはならない病院が、自治体病院の目指していくべき姿であるとその方向性を示された。公営の3病院は愛知県にとって、地域にとって、なくてはならない病院である。純損益は前年度の9.4億円の赤字と比較して7.6億円改善し、約1.8億円の赤字と改善傾向であるが、引き続き純損失を計上する状況である。だからこそ、厳しい財務状況であっても病院事業中期計画の目指す方向に沿って、高度で先進的な専門医療を提供する各病院が最善の医療を提供できるよう、病院事業庁においては経営安定化に向けた最善の取組を期待したい。
 そこで、伺う。
 病院事業損益計算書では当年度純損失の状況ではあるが、決算状況を踏まえ経営安定化に向けて病院事業庁としてどのように取り組んでいくのか見解について教えてほしい。
【理事者】
 経営安定化に向けての取組について、県立病院事業全体の令和5年度の純損益は昨年度の9億3,655万余円の赤字と比較すると7億5,795万余円改善したものの、1億7,860万余円の赤字となっている。病院事業庁が所管する3病院は、いずれも県内の中核基幹として高度で先進的な医療を提供しており、こうした役割、機能を維持していくために持続可能で安定した経営基盤の確立が必要である。
 地域の医療機関とのより一層の連携強化を通じた患者数の増加や、新たな診療報酬の加算の取得などにより収益の増加を図る一方で、費用の削減にも取り組み、収益、費用の両面から中期計画の目標である黒字化に向けて、病院事業庁一丸となってしっかりと経営改善に努めていく。
【委員】
 私から、一点要望する。
 先ほど、あいち小児保健医療総合センターを視察したときの話をしたが、例えば医療的ケア児についてどういうサポート体制をつくっていくのか、その会議体がないという現場の声を聞いたので、まずその点を念頭においてほしいことと、各3病院ともそれぞれ現場の先生は大変高い使命感を持って医療に携わっている。経営の安定化について取り組んでもらうことをお願いするが、現場の声にも耳を傾けてもらうようお願いする。
【委員】
 令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の28ページ、近年の外来患者数の推移が示されている。先ほど、委員からも小児保健医療総合センターについて質問があったが、がんセンター、精神医療センター、あいち小児保健医療総合センター、いずれも外来患者数が減少している。コロナ禍の令和3年度から4年度にかけての減少は私も理解できるが、昨年はコロナ禍が終了した年、5月に一度コロナ禍から、いわゆる世間的には脱却できた。にもかかわらず、令和5年度にかけても外来患者数が減少している。そこで、外来患者数が増えていないことをどのように分析されているのか伺う。
【理事者】
 令和5年度の延べ外来患者数について、病院別に令和4年度と比較すると、がんセンターは330人の減、精神医療センターは1,881人の減、あいち小児保健医療総合センターは3,850人の減であり、3病院とも減少となっている。
 外来患者数が依然としてコロナ禍前の状況に戻っていない状況であり、患者確保に向けて努めていくとともに、もう少し中長期的に状況を分析していきたいが、精神医療センターでは医師確保が十分にできず、外来患者よりも他の医療機関等で診ることが困難な入院患者の受入れを優先したこと、小児保健医療総合センターでは新型コロナウイルス感染症の蔓延期に外来患者の3密を避けるために実施した再診サイクルを延ばす調整の影響が残っていること、と分析している。
【委員】
 今、精神医療センターについて、もう一度理由を伺う。
【理事者】
 当院の場合、外来と入院と比べると収益性が違い、他の医療機関等で診ることが困難な入院患者をたくさん確保しながら、さらに外来も受け付けることは医者に負担が大きく、とにかく収益確保を第一に、入院患者を増やす対策をしたことが、まず一つ大きい理由である。実際に、入院患者が増えて外来患者が減ったが、収益は増えた。
 もう一つは、コロナ前からあった傾向として、精神医療センターは、デイケアという病院を退院した後、まだ就労などができない段階の人を受け入れることがすごく多かったが、就労に特化して患者を受け入れる就労移行支援施設が国の政策により充実し、収入を得られるようになり、コロナ禍に、病院でコロナが蔓延しないようデイケアの利用を控えている間に、その傾向が定着し、外来患者数の稼ぎ頭だったデイケアの数が戻っていない。人気のあったプログラムをコロナ禍が終わった後に実施したが、デイケアに戻らず、外来患者が減っていると分析している。
【委員】
 外来患者も今後増やす必要があるが、その対応についてはどのように考えているのか。
【理事者】
 外来患者の増加に向けて、各センターとも中期計画にのっとり、きちんと対応していく。
 各センターとも最近ではホームページのリニューアル等を行った。特にがんセンター、小児保健医療総合センターは病院や診療所からの紹介が大部分を占めているので、連携を密にして患者の確保に努めていく。
【委員】
 もう一点、伺う。外来患者数が減少傾向にあれば一般的には外来収益も減少すると考えられるが、決算審査意見書の34ページを見ると、がんセンターは令和3年度から令和4年度、令和4年度から5年度にかけて外来収益が増加している。
 がんセンターにおいて外来患者数が増えていないが、外来収益が増加していることをどのように分析しているのか。
【理事者】
 令和5年度の外来患者収益は102億9,843万余円であり、令和4年度の90億8,811万余円と比較すると、外来患者数が減少する中、12億1,032万余円の増収となっている。
 この要因として、コロナ禍が終わり薬剤師の業務配分を見直し、院外処方を一部院内処方に戻したことが挙げられる。また、新たに承認された高額な新規薬剤により、単価の高い医薬品の使用が増加したことで、診療単価が8,617円増加したことによるものである。
【委員】
 コロナ禍が終わり、処方箋の一部を院外処方から院内処方に戻したという説明であった。一般的には薬の処方は院内から院外へという流れだと理解しているが、がんセンターにおいて、処方箋の一部を院外処方から院内処方に戻すことにした理由と効果、さらにコロナ後の外来患者確保を含めた経営改善策について伺う。
【理事者】
 まず、処方箋の一部を院外から院内に戻した理由、またその効果及び経営改善について、国の方針は医薬分業推進の下、原則院外処方とされているが、院外薬局では取り扱いにくい抗がん剤等は従来から患者の利便を考慮して院内処方を行っている。
 令和3年度から始まった新型コロナウイルスワクチン大規模接種事業の実施に当たり、会場に薬剤師を常駐させる必要があり、少人数で外来処方に対応できるよう、一時的にできる限り院外処方としていた。令和4年度で新型コロナウイルス大規模接種事業が終了し、従前の体制に戻ったことから、院外処方の一部を再度院内処方に戻した。これにより、すぐに薬がもらえることで患者の利便性が向上するとともに、薬価と購入価格の差額である薬価差益により増収効果があったと考えている。
 外来収益を上げるためには新規外来患者の増加が必要だと考えている。紹介患者増に向けて病院、クリニック、検診機関の訪問、医師会との連携会議や広報活動の強化に努めて患者数の増加に努めていく。
【委員】
 高度専門病院について、院内処方のほうが患者の利便性が高くなるので、経営が改善していくのであれば、よいことだと思う。
 これからも患者第一で考えてもらいながら、その上で経営をしっかりとやってもらいたい。
【委員】
 私からは、あいち小児保健医療総合センターの決算状況について伺う。
 私の地元は大府市であり、近くに同センターがあるので愛知県議会各委員会が県内調査あるいは訪問の際に、地元議員として呼んでもらう機会や、各種イベント、フォーラム、セミナー等でも呼んでもらう機会が多く、さらに個人的にも、親として子供の病状が解決困難である場合には紹介してもらい受診するなど、その中の状況がよく分かっている議員の一人として、いろいろな情報や思いを踏まえて決算状況を確認したので、質問する。
 令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の2ページ、3ページに、新型コロナウイルス感染拡大に伴う入院制限や診療制限が解除されて、収益が増加したため医業損失が減少して経営損益は改善したと総括しつつも、依然として累積欠損金が多額で厳しい経営状況が続いていると分析されている。
 しかし、あいち小児保健医療総合センターは本県における小児医療の最後のとりでであると、センター長をはじめ関係者が口々にしている。当センターは、経営の観点での収益性以上に子供の命を守る最後のとりでとしての使命が優先されるべきという観点も持っている。
 まず、本年度も愛知県議会各委員会の県内調査で私も地元議員として同行し、センターを訪問した際に関心を持った点について伺う。
 現場の医療従事者の方々にヒアリングしたところ、子供の命を守る使命を持って携わっているので、きつい仕事ではあるが大いにやりがいを感じているということであった。しかし、スタッフの数が十分に足りているとは言いにくい状況とも感じているとの言葉も聞こえてきた。
 令和5年度愛知県公営企業会計決算の概要では、当該年度の病院事業全体における技術系の職員の方は1,467人で、同決算審査意見書によれば、あいち小児保健医療総合センターの医師の定員に対する現在の人員は5人不足とある。同センターの医療従事者の全体の定員に対する充足率はどうであったのか。また、充足率が100パーセントになれば、理論上は現場の負担は解消されるのか。
【理事者】
 医療従事者全体の定数と育児休業者等を除いた実働数及び充足率の推移は、各年度4月1日現在で令和6年度定数505人に対し、実働数490人で充足率97.0パーセント、令和5年度は定数505人に対し、実働数509人で充足率100.8パーセント、令和4年度は定数502人に対し、実働数508人で充足率101.2パーセントという状況である。
 人手が足りないという声が出ていることについては、医療従事者の全国的な不足により年度途中に産・育休や退職が生じた場合であっても、すぐに代替の要員を採用することが難しいといった状況が背景にあると認識している。その対策として、年度当初にあらかじめ一定数の過員を条例定数の範囲内で配置する運用上の工夫など、病院運営に支障が生じないよう努めている。
 職員の充足率が100パーセントであれば想定される医療を適切に提供できると考えているが、今後とも患者数や業務量に応じて適切に人員を配置していくことで、小児保健医療総合センターがその使命を果たしていけるよう努めていく。
【委員】
 さらなる分析をしっかり行い、適切な人員の数、そしてそれが充足するような努力をしてもらいたい。
 現場の声については、対応してもらえるということであるが、他方で、同センターの事務職員にもヒアリングしたところ、小児医療の集中医療についてコメントをもらった。NICU、PICUというのがあるが、一般的な集中治療(ICU)と違い、新生児集中治療(NICU)、そして小児集中治療(PICU)については、医療従事スタッフが倍以上必要になることが多いと聴いた。そのため、採算などを考慮せず十分な体制で対応する必要があり、経営面ではその点を考慮してほしいという声も聞こえてきた。
 他の医療機関のICUと比較して、NICU、PICUの1床当たりのコストはどうであったのか。また、その点について、決算における経営分析では十分に考慮されているのか伺う。
【理事者】
 センターの各部門の1床当たりの収支を正確に算出することは困難であるが、小児保健医療総合センターのNICU、PICUについては重症度の高い患者を診療しており、医療の質や安全を確保するため医師を手厚く配置しているので、少なくとも人件費は多くなっているものと認識している。こうした人件費を含め、NICUやPICUにかかる経費については費用から収入を差し引いた収支差等を一般会計負担金として繰り入れている。
【委員】
 その点については、いま一度、本当に十分であるかよく考えてほしい。
 次に、このような現場の声がある一方で、公営企業会計決算審査意見書の3ページ、病院事業会計に対する審査意見として患者数の増加、病床利用率の向上などによる収益の増加を図るように要請がされている。小児医療の最後のとりでを経営する上で、このような収益の増加を図るという求めに対してどのように考えているのか。
【理事者】
 当センターは本県の小児医療の最後のとりでという自負を持って活動している。この機能を維持し続けるためにも、持続可能な経営基盤を確立するということは重要である。
 収益の増加を図るためには、患者数を増やすなどの取組が必要となる。まず、患者数を増やす取組について、当センターでは県内病院の重症小児に迅速適切な集中治療を提供するために重症患者相談支援システムを運用しており、このシステムを主要な医療機関へ周知することにより医療機関からの相談件数が増加し、その結果として当センターへの搬送患者が増加している。
 また、新たに診療所訪問を行うことで、地域の医療機関との連携を深め、紹介患者を増加させる取組を開始した。
 その他収入を増やす取組についてであるが、診療報酬の改定の都度、新規の加算取得について検討するなど各種加算を漏れなく取得するよう努めている。また、新たに診療報酬請求の査定内容について専門家に委託し、分析を進め、請求不備等の改善を図っている。
【委員】
 同意見書の審査意見として、コストの管理の徹底などによる費用の削減を図り一層の経営改善に努めるようにとの要請もある。そのような経営視点は同センターの現場でのヒアリング内容と相反する部分もある。
 また、小児医療の最後のとりでとして削減しにくい、あるいはできない特別なコストなどもあるが、コストの管理の徹底などによる費用の削減を図り一層の経営改善に努めるようにとの要請を、同センターの経営の観点ではどのように受け止め、また、どのようなことをすべきと分析したのか。また、無理な削減の影響はなかったのか。
【理事者】
 収益の増加を図る一方で、コストの縮減に努めていく必要がある。コストの縮減については、例えば時間外勤務の縮減に努めるほか、適正な診療材料費の単価での契約による材料費の削減などを行っている。
 これに関してはベンチマークシステムなどを指標として、より安価な同種品への切替え、不動在庫の削減や在庫定数の見直し、品目の集約によるスケールメリットなどを活かした価格交渉など最近力を入れて行い、数年前と比べて効果を上げている。
【委員】
 経営の改善あるいはコストの削減というより、より効率のよい経営の方向への努力というのはよく分かった。その上であえて最後にもう一度伺うが、こういったコストの管理の徹底などによる費用の削減が求められ対応されている中で、小児医療の最後のとりでとして削減すべきではない、先ほど言ったようなコストも多分にある。例えば、NICUをはじめとする周産期医療やPICU、小児救急医療体制などが挙げられる。これらは採算度外視で運用する必要がある。このように採算を求めることができない領域、こういった医療に対する公的な予算措置が必要になると思うが、その負担金、補助金にはどのような種類があるのか、またそれらは十分であったのか。
【理事者】
 負担金等について、地方公営企業法に基づき、その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費や、当該地方公営企業の性質上、能率的な経営を行っても、なおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費について、一般会計負担金を繰り入れており、救急部門の人件費、NICUを含む周産期部門やPICUの収支差等を繰り入れている。
【委員】
 先ほどから言っているNICUをはじめとする周産期医療やPICUそして小児救急医療体制などは小児医療の中でも究極の公共の福祉とも言うべき領域であって、これらに対して採算を求めることは現実的ではない。そもそもこれらを包括した形で会計することについて、企業会計の黒字化を包括会計に求めるとすれば、その不採算をその分を補う入院収益や外来収益が必要になる。そうするとどこかに無理な負担が生じ、そのようなことにならないように全体の黒字化を求めるのであれば、採算を求めることができない領域への費用をち密に精ちに分析して、必要な負担金の十分な予算措置そして増額を検討すべきである。
 そして、あえて最後に言及するが、どうしてもこういった病院事業会計について患者数を増やすことによっての収益の改善ということが述べられるが、患者数を増やすということは当事者にとってあまり聞こえのよいものではない。会計上仕方ないのかもしれないが、患者数を増やすという表現はあまり使われないほうがよい。患者数が増える、要するに病気の小児が増えると受け止められかねないので考えてほしい。
【委員】
 令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の5ページに記載の過年度医業未収金について、令和4年度末と比較して件数、金額ともに減少し、令和5年度末時点で622件、9,310万7,000余円となっている。そこで、未収金の発生要因、どのようなことで未収金が発生したのか伺う。
【理事者】
 過年度未収金について、事業不振、失業、病気治療、借金その他収入の減といった生活困窮によるものが金額の半数程度、また、患者本人が死亡したケースが金額の約4分の1程度あり、この二つが未収金発生の主な要因となっている。
【委員】
 そのようなことになると、回収がなかなか容易ではないと思うが、一般の方が支払っている医療費について、やはり不公平感を持つのではないか。やむを得ないところもあるが、それ以外にまだ回収できるのであれば、回収すべきである。
 回収に関する取組の中で、意見書にも記載があるが、民間委託の内容、また、その成果についてどのような状況なのか伺う。
【理事者】
 1年以上未払となっている個人未収金を対象として、平成22年7月から法律事務所に対して回収額に応じた完全成功報酬制による回収業務委託を行っており、平成29年12月からは対象を6か月以上へと拡大している。
 平成22年7月から令和6年7月末までに過年度未収金2億2,951万余円を回収委託し、そのうち17.6パーセントの4,031万余円を回収している。なお、回収にかかる成功報酬は1,099万余円であり、職員では回収困難となっていたものが弁護士による働きかけにより支払いに応じてもらえたため、効果があったと考えている。
【委員】
 成功報酬になると職員が努力してもなかなか回収ができなかった、弁護士にお願いしたらこの程度返してきたことになるので、できる限り未収金は早期に回収することは言うまでもないが、まず発生させない手立てがないのか。決算審査意見書の中でも発生防止に努められたいという文言が明記されているが、発生防止に向けてどのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
 未収金の発生防止について、未収金は発生防止が最も大切であると認識を持っており、院内の未収金対策会議等において未収金対策の定期的な進行管理のほか、未収金発生事由の分析による具体的な対策の検討、情報交換を行い、病院全体で取り組んでいる。
 医師による患者自己負担の概算金額の説明や事務職員や医事業務委託業者による入退院及び定期請求時における支払い方法等の説明、ケースワーカーによる各種医療費補助制度、貸付制度の案内を行うほか、相談体制づくりを進めている。そのほか退院時に看護師が、患者が支払い手続を済ませていることを確認した上で退院してもらうなど、診療部門と事務部門との連携強化を図っている。また、クレジットカード払い制度を平成18年度から導入するなど、支払いの利便性を高める取組も行っている。こうした取組により、令和5年度末に新規で発生した過年度未収金は316万余円となっている。
【委員】
 いろいろ取組を行っていることを評価する。これからも発生防止に努めてほしい。
 医療費未納者の状況によっては、回収が見込めないことがあるが、会計処理上で不納欠損処理をすることはないのか伺う。
【理事者】
 各病院では、未収金回収のために電話、文書による請求、訪問による督促をはじめ、本人が行方不明の場合は住民票を請求して所在を確認するなど、様々な努力をしている。このように未収金回収に向けて相当な努力をしたにもかかわらず、本人と連絡が取れない、回収できない事案もある。
 不納欠損処理の考え方は、未収となって5年が経過したもののうち、納入義務者が行方不明となっている場合など、納入義務者に接触することが事実上不可能となったものを中心に不納欠損処理を行っている。令和5年度においては、2件、112万8,080円を不納欠損処理している。今後も、未収金の発生防止や早期の回収に向け取り組んでいく。
【委員】
 今後もしっかりと取り組んでほしい。
 次に、令和5年度愛知県公営企業会計決算付属書の19ページ、研究研修費でどのような研修を行っているのか伺う。
【理事者】
 研究研修費で行う研修は、医療従事者のスキルアップを目的として、各専門分野の学会や専門資格取得のための研修、実技を磨くための講習会などに職員を派遣するいわゆる派遣研修が主な内容となっている。具体的に、医師の各専門領域において、最新の知見を発表する学術学会に参加し、最新の情報の収集に努めているほか、手術看護など看護師の認定資格を取得するための研修会への参加、診療放射線技師の精度管理技術セミナーといった講習会への参加など、職員のスキル向上に努めている。
【委員】
 医学はまさに日進月歩で、研修は非常に大切であり、効率的な愛知県の医療をより進めてほしい。
 他方、医療事故のニュースが時々ある。医療事故の予防のため、教育訓練は必要である。教育訓練は誰を対象に、どのような内容で行っているのか。医療事故防止の分野に絞って伺う。
【理事者】
 各病院では年に2回、医師、看護師、事務等を含む全職員を対象として、対面やeラーニングによる医療安全研修を実施しており、正しい知識を学び、的確な患者の観察や医療内容の理解を通じ、起こり得る危険を見通すなど医療事故の未然防止を図っている。
【委員】
 医療事故をいかに防止するかというのは、医療に対する信頼である。人間であるのでどうしても見逃すことはあるが、そこは複数の医師での確認など日々の基本的な部分にしっかり取り組み、愛知県の病院事業で医療事故がくれぐれも発生しないようお願いする。
【委員】
 昨年度の決算で新型コロナウイルス感染症の補助金が減ったことで、全国の公立病院で2,055億円の赤字になったと先月末の読売新聞でも報道された。新型コロナウイルス感染症関連の補助金、多くは空床補償だと思うが、これが減少したことで公立病院が4年ぶりに赤字に転じたという報道であった。令和5年度愛知県公営企業会計決算書の5ページ、医業外収益の一般会計補助金の中に新型コロナウイルス感染症関係の補助金が含まれており、愛知県病院事業報告でも記載があるが、改めて新型コロナウイルス感染症関連の補助金について、本県の病院事業関係における内容と金額について伺う。
【理事者】
 令和5年度の新型コロナウイルス感染症関連の補助金は、病院事業庁全体で約5.6億円であり、その大半、約5.5億円が新型コロナウイルス感染症対策事業補助金、いわゆる空床補償補助金であった。令和5年度は新型コロナウイルス感染症の位置づけが5月8日から5類感染症になったことに伴い、令和4年度の約15.6億円と比較して、補助金の受入額が約10.1億円減少した。
 令和5年度の空床補償補助金を病院別にみると、がんセンターが前年度比約1.5億円減の約2,800万円、精神医療センターが前年度比約5.7億円減の約3.6億円、小児センターが前年度比約2.9億円減の約1.6億円であった。なお、令和6年4月1日以降は通常の医療提供体制へ移行され、当該補助金は令和5年度末で終了している。
【委員】
 大半が空床補償補助金であるが、令和4年度から比べて大きく減り、これが令和5年度末でなくなることで、それぞれの収益に影響があると思うが、精神医療センターは比較的補助金が多いと感じた。令和6年度は経営に対して影響は出ると思うが、精神医療センターの経営の見込みについて伺う。
【理事者】
 令和5年度は約3.6億円の新型コロナウイルス感染症関連の補助金の受入れがあり、全体では約1.5億円の赤字だった(後刻訂正)。令和6年度は補助金がない中で赤字を最小限に抑えるために、より一層の経営改善に取り組んでいる。
 具体的には、ほかの医療機関等ではできないような修正型通電療法などの対象患者を積極的に受け入れ、連携強化の下、入院患者数の増加に努める。
 また、オープンホスピタルの導入により、地域診療所やクリニックの医師が当院の非常勤医師として治療に関与し、当該クリニックの患者が一時的に病状悪化した際に当院へ円滑に入院できるようにすることで、入院患者数の増加に努める。
 外来においては、新型コロナウイルス感染症対策として実施を控えていたデイケアのプログラムや訪問活動を新型コロナウイルス感染症以前に戻した。この効果もあり、当センターの令和5年度の平均在院日数は66.7日と、ほかの精神科病院とは桁違いの短さであり、患者の早期社会復帰を目指す精神科医療のあるべき姿を追求している。全国的な精神科病院の平均在院日数は250日余りであり、当院は4分の1程度の短さである。
 しかしながら、一般的に精神科病院は長期入院患者の受皿となり、病床を埋めることで稼ぐ仕組みと言われており、その点で当センターは黒字にはなりにくい経営体質であるが、入院患者数を増やすなど、引き続き経営改善に努める。
 先ほど、令和5年度の赤字が1.5億円と答弁したが、1.2億円に訂正する。
【委員】
 通常の長期入院ではなく、サイクルを早くして社会復帰を目指しているところを伺うことができた。エールを送らせてもらう。

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