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公営企業会計決算特別委員会審査状況(令和6年10月16日)

ページID:0601351 掲載日:2025年9月16日更新 印刷ページ表示

公営企業会計決算特別委員会

委員会

日時 令和6年10月16日(水曜日)午後0時58分~
会場 第8委員会室
出席者
 青山省三、南部文宏 正副委員長
 久保田浩文、中根義高、日高 章、杉浦正和、増田成美、鈴木 純、
 福田喜夫、村嶌嘉将、木藤俊郎、永田敦史、阿部武史 各委員
 建設局長、同技監、治水防災対策監、
 企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長
 監査委員事務局長、同次長、関係各課長等

公営企業会計決算特別委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

決算

決算第14号 令和5年度愛知県水道事業会計決算
決算第15号 令和5年度愛知県工業用水道事業会計決算
 (令和5年度愛知県工業用水道事業剰余金処分計算書(案)を含む。)
決算第16号 令和5年度愛知県用地造成事業会計決算
 (令和5年度愛知県用地造成事業剰余金処分計算書(案)を含む。)
決算第17号 令和5年度愛知県流域下水道事業会計決算
 (令和5年度愛知県流域下水道事業剰余金処分計算書(案)を含む。)

結果

 全員一致をもって認定すべきものと決した決算
 決算第14号から決算第17号まで
 全員一致をもって原案を可決すべきものと決したもの
 令和5年度愛知県工業用水道事業剰余金処分計算書(案)
 令和5年度愛知県用地造成事業剰余金処分計算書(案)
 令和5年度愛知県流域下水道事業剰余金処分計算書(案)

会議の概要

【1】建設局関係

  1. 開会
  2. 審査事項の概要説明
  3. 質疑
  4. 採決
  5. 休憩(午後1時25分)

【2】企業庁関係

  1. 再開(午後1時33分)
  2. 審査事項の概要説明
  3. 質疑
  4. 採決
  5. 委員長報告の決定
  6. 閉会
主な質疑
建設局関係

【委員】
 あいち下水道ビジョン2025について、下水道の一般的な役割は、公衆衛生の向上・保持及び公共用水域の水質向上・保全である。また、下水道は生活を支える社会インフラであり、令和6年1月に起こった能登半島地震の被害を見ると、本県で発生が危惧される南海トラフ地震への備えとして早期の地震対策が望まれる。
 令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の24ページの審査意見のイ、あいち下水道ビジョン2025についてでは、このビジョンの進捗状況が示されており、令和5年度の各項目の進捗状況は、管渠の耐震化は達成できているが、その他の項目は未達成となっている。
 人口減少や物価上昇などの社会情勢の変化の中、このビジョンは2025年度までの計画であり、残り1年となっている。見直しの時期が来ているが、今後どうしていくのか。
【理事者】
 あいち下水道ビジョンは、2016年度に下水道事業の目標として策定し、9年目を迎えている。その間、国の下水道ビジョンが変更され、下水道と他の汚水処理施設の整備区域見直し、災害時の電源喪失対策の強化、広域化・共同化の取組の推進、水質の保全と豊かな海への対応など下水道事業を取り巻く状況の変化があり、各種事業に対処してきた。
 ビジョンの見直しでは、目標達成に向けた実施計画を策定し、人口減少による収入減、ストックの老朽化、頻発する自然災害及び地球温暖化などの課題を整理するとともに、その他社会情勢の変化に柔軟に対応できるよう次期ビジョンを策定していく。
【委員】
 状況変化や社会情勢という変化の中で、積極的な見直しを行っていくことは理解できた。今後も数値目標の達成に向けて積極的に取り組んでもらいたい。
【委員】
 県全体の流入水量の推移について、令和5年度愛知県公営企業会計決算付属書182ページから185ページにかけて令和5年度の流入水量についての記載があり、本県の流域下水道は、昭和55年度に豊川流域が供用開始してから平成24年度に供用開始をした新川西部流域下水道まで、11の流域において汚水処理を行っている。各流域の維持管理費の財源である維持管理費負担金は、県が流域ごとに市町と協議し定めた1立方メートル当たりの汚水処理単価に流入水量の実績を乗じて算出した額となっており、有収率は100パーセントとなっている。このため、適切に維持管理を行っていくためには、毎年、安定した流入水量であることが大切である。
 そこで、本県の流域下水道における流入水量の実績と今後の見込みを伺う。
【理事者】
 令和5年度の流域下水道事業における年間流入水量は、約2億7,340万立方メートルとなっている。対して公営企業会計に移行した令和元年度の年間流入水量は2億5,900万立方メートルであり、流入水量はこの5年間で約6パーセント増えており、安定的な流入水量が確保できている。
 今後の見込みは、未普及解消として市町による下水道整備の推進、広域化・共同化の取組により市町が管理する下水道施設や農業集落排水施設等の流域下水道への接続により、当面、流入水量はやや増加する。今後とも適切な施設整備・維持管理を行い、安定的な経営に努めていく。
【委員】
 愛知県流域下水道事業経営戦略にも処理区域内人口の増加による有収水量の増加が見込まれるとあったが、先ほど委員からも話があったように、人口減少がどうしても頭から離れない。処理区域内人口が見込みどおり増えていることで安心したが、中山間地や漁村の人口減少を防ぐという話も聞いているので、急激な人口減少に対してアンテナを張ってもらい、これからも計画の随時見直しも含めて進めてもらいたい。
 続いて、老朽化対策について、令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書23ページ、アの経営状況についてに老朽化施設の更新とある。本県最初の流域下水道である豊川流域下水道は供用開始して44年が経過しようとしており、その他の流域でも、今後、施設の老朽化が確実に進んでいくことになる。施設の老朽化が懸念される中、適切に維持管理を行っていくためには、処理場施設や管路がしっかり機能する状態に保つ日常的なメンテナンスだけでなく、中長期的な視点で計画的に改築や更新を行っていくことも重要である。
 そこで、流域下水道事業において今後どのように老朽化対策に取り組んでいくのか。
【理事者】
 下水道施設は県民の生活を支える重要な施設であり、日常生活や社会活動に重大な影響を及ぼす事故の発生や処理機能の停止を未然に防止するため長寿命化を考慮した計画を立て、老朽化対策を実施していくことが重要である。
 本県では、施設の劣化、損傷が進行する前に適切な対策を行う予防保全型の維持管理を実施しており、国の交付金事業である下水道ストックマネジメント支援制度を活用して施設の点検方針、長寿命化、改築更新の実施時期などを定めたストックマネジメント計画を策定し、この計画に基づき老朽化対策を行っている。また、ストックマネジメント計画を適切に進捗管理していくために、膨大な施設の劣化状況を正しく把握して計画を適宜見直し、改築の結果を反映している。
 さらに、計画をより的確かつ効率的に進捗管理するため、施設情報や点検調査結果などの維持管理情報を電子化により一元的に管理することとし、今年度から施設情報が電子化された管路の台帳システムを導入する予定である。あわせて、処理場の台帳についても電子化の基本検討を行うなど、早期の導入に向けた取組を進めている。今後は、こういったDX技術も活用しながら流域下水道の老朽化対策に取り組んでいく。
【委員】
 DX、台帳の電子化は大変重要なポイントである。最初は大変だと思うが、出来上がれば利便性が向上し、様々なことに利用できると思うので、しっかりと取り組んでもらいたい。また、老朽化と併せて耐震化で結構予算も使われているので、その辺が上手にミックスされて地域住民の負託に応えられるような取組をお願いする。
 令和5年度愛知県公営企業会計決算付属書の180ページ、2工事(1)建設工事の概況に衣浦西部流域下水道事業汚泥焼却施設機械設備工事について記載されているが、下水道事業における共同化は、単独公共下水道と流域下水道の双方にとって建設費及び維持管理費の削減が図られるものであり、事業の持続につながる意味のある取組である。流域下水道の衣浦西部浄化センターでは、令和4年度に稼働した汚泥焼却炉により、常滑市、東海市、知多市の3市の単独公共下水道で発生する下水汚泥を流域下水道の下水汚泥と共同で処理している。
 この汚泥焼却施設は2基目の共同汚泥焼却炉であり、令和10年度の供用開始を目指し整備を進めていると聞いている。衣浦西部浄化センターにおける2基目の共同汚泥処理炉の建設事業の内容と進捗状況について伺う。
【理事者】
 衣浦西部浄化センターに建設する2基目の共同汚泥焼却炉は、常滑市、東海市、知多市の3市に加えて、取組の対象を県内全流域下へ導入拡大して他の流域下水道の浄化センターからの下水汚泥を受け入れる。施設の能力は1基目が1日当たり60トンに対して2基目が150トンであり、大型化により汚泥処理のさらなる効率化や安定化が図られる。
 2基目の共同汚泥焼却炉の建設事業は民間提案を活用するため、設計・施工一括方式を採用して2023年に発注し、2024年2月に契約を締結した。現在は設計を進めており、今年度中に基礎構造物の築造に着手する予定である。次年度以降については、機械及び電気設備の機器製作と設置及び試運転を予定しており、2028年3月に稼働できるよう事業を進めていく。
【委員】
 計画どおり進んでいるが、かなり規模も大きくなるため、引き続き地域住民の理解を得ながら安全に工事を進めてほしい。
 汚泥処理に限らず、2023年3月に策定した全県域汚水適正処理構想にのっとり様々な面で広域化・共同化の取組を進めることで、さらなる効率化を図り、汚水処理の持続性の確保に努めることを要望する。

企業庁関係

【委員】
 令和5年度公営企業会計決算審査意見書の51ページ、営業収益のうち令和5年度の給水収益は285億4,416万890円であり、前年度と比較して0.3パーセント、9,699万4,738円の減少となっている。本県の人口も2019年をピークに減少傾向にあり、また2060年には現在より約30万人の人口が減少するという予測となっている。こうした状況を踏まえ、今後の水需要の動向についてどう見込んでいるのか。
【理事者】
 県営水道の水需要については、近年横ばいで推移しており、様々な要因から見通しにくいところではあるが、将来的には受水市町が保有する自己水源施設の老朽化や水質悪化等による県営水道への水源転換による増量もある程度想定されるものの、人口減少や節水機器の普及等により徐々に減少していくものと見込んでいる。
【委員】
 令和5年度公営企業会計決算審査付属書の41ページ、建設工事及び改良工事について、近年、豪雨災害が頻発する中、洪水等への対策として浄水場の浸水対策も考慮すべきである。2019年の台風19号が関東地方にもたらした豪雨災害では、多くの浄水場、取水場が浸水被害を受け、断水を引き起こしたと聞いている。そして、浸水被害を受けた多くの施設がハザードマップの浸水想定区域にあった。
 従来、浸水想定区域図は、河川整備において基本となる100年から200年に1回程度の確率で発生する計画規模の降雨を条件により作成されてきたが、近年、豪雨災害が頻発していることを受け、平成27年に水防法が改正され、1,000年に1回程度の確率で発生する想定最大規模の降雨によるハザードマップ作成が義務化された。
 本県の浄水場、取水場のうち、どれぐらいの施設が1,000年に1回程度の確率で発生する想定最大規模の降雨によるハザードマップにおける浸水想定区域に該当するのか、またその対策はどうか。
【理事者】
 県営水道の全11か所の浄水場及び3か所の取水場においては、従来の浸水想定区域図では運用に影響のある浸水想定区域はなかったが、改正後のハザードマップでは、稲沢市にある尾張西部浄水場、尾西取水場及び飛島村にある筏川取水場は敷地全体が浸水想定区域に該当し、また幸田浄水場及び豊橋市にある森岡取水場は敷地の一部が浸水想定区域に該当している。このうち筏川取水場については、建物内への浸水防止対策がなされている。
 尾張西部浄水場、尾西取水場、幸田浄水場及び森岡取水場の浸水対策については、改築更新に合わせて検討するとともに、それまでの間、浸水により機能が停止した場合には、他の浄水場からの送水系統の切替えや取水地点の切替えによりバックアップを行いつつ応急復旧を実施していく。
【委員】
 令和5年度公営企業会計決算審査意見書の12ページ、地震防災対策及び老朽化施設の更新について、本年1月に発災した能登半島地震では、最大で約13万7,000戸が断水し、完全復旧まで約5か月を要したと聞いている。復旧にこれほどの時間を要した原因は、地震により破損したのが末端の水道管だけでなく、川から水を取水する際の導水管や浄水場、配水池などの基幹施設にまで及んでいたことが挙げられる。
 工業用水道施設の地震防災対策については、愛知県営工業用水道地震防災対策実施計画により水道橋下部工の耐震補強などを実施しているが、今後予定されている対策の内容と見通しを伺う。
【理事者】
 工業用水道施設の地震防災対策については、2030年度完了を目標とする愛知県営工業用水道地震防災対策実施計画により計画的に進めているところであり、残る対策は水管橋下部工の耐震補強、場外施設の耐震補強及び場外施設の停電対策となっている。
 水管橋下部工の耐震補強は、口径500ミリメートル以上、延長50メートル以上の大規模な水管橋の橋脚などを補強するもので、名古屋市及び3市にある3橋を予定している。
 場外施設の耐震補強は、管路の水圧変動を吸収するサージタンクを補強するもので、豊田市はじめ4市にある6施設を予定している。
 場外施設の停電対策は、ポンプ場の自家発電設備を整備するもので、豊田市及び西尾市にある2施設を予定している。
 いずれの対策についても順次設計を実施しており、計画期間内に対策が完了する見込みである。
【委員】
 令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の13ページの下段の老朽化施設更新の進捗状況の表だが、管路延長の令和6年度以降の予定が50キロ、進捗率で66パーセント残っているとなっているが、目標達成に向けて何か対策があるのか。
【理事者】
 本県の工業用水道事業における、老朽化施設更新計画のうち管路更新については、老朽化に伴う漏水事故等の未然防止と耐震化を図るため、財政収支のバランスや毎年の事業費の平準化に配慮した更新計画を定め、計画的に進めている。今後、2030年度に向けて徐々に地震対策が完了していくことから、管路更新のほうに重点をシフトしていく。
 さらに、従来の設計・施工分離発注方式に加えて、設計と施工の同時進行により工期短縮が見込まれる設計・施工一括発注方式の導入を検討し、取り組んでいく。こうした取組により管路更新のペースを上げていき、計画期間内に完了する。
【委員】
 令和5年度事業報告の11ページ、2水質管理について、PFASに係る県営水道の水質保全に向けた取組について伺う。
 昨年の12月議会において、本県議会からPFAS対策の推進についての意見書により、健康影響への評価に必要なPFASの科学的知見を集積するとともに、PFOA等の使用した工場等における汚染状況の調査やリスク管理の手法の確立など、総合的な対策を推進するよう国に要望した。
 令和6年2月定例議会における経済労働委員会での一般質問で、県営水道の検査・監視について質問したが、質問を通じて県営水道の水質の安全性が確保されていることを確認した。
 地下水からPFASが検出された私の地元の豊山町でも、PFAS、PFOSについての問題を考える団体の勉強会に出席を求められ、私からは県営水道の安全性を伝えた。団体の人からは国への対応不足や水道料金などを指摘されたものの、県営水道の安全性については理解してもらえた。
 そこで、令和5年度の県営水道の水質検査・監視についての1年間の取組の総括について企業庁の見解を伺う。
【理事者】
 県営水道では、専門的知識を有する職員を配置した水質試験所において水道水の安全確認の検査を速やかに行える体制を整えており、2020年度からPFOS及びPFOAの検査を行っている。2023年度は、木曽川、矢作川及び豊川の3水系で6か所の取水地点は年2回を基本とし、水道の全11か所の浄水場の浄水については年2回、原水については毎月検査を行った。
 PFOS及びPFOAは、国がPFOSとPFOAの合算値で1リットル当たり50ナノグラム以下とする暫定目標値を定めているが、2023年度の浄水場の浄水の検査結果からはPFOS及びPFOAは検出されていない。
 なお、原水からは1回検出されたが、その値は1リットル当たり4ナノグラムと暫定目標値に対して十分低い値であった。
【委員】
 このPFOS・PFOAについては、ヨーロッパ、アメリカはじめ国際的な動向も変化しているところで、現在日本では、暫定目標値に基づいて水質管理を行っている。ただ、この水質基準が厳しくなったり変わったりすると、受水団体にも費用設置の面などで様々な影響が出る。私の地元では特に地元の人の関心が強いため、引き続き受水団体の助言・指導等を含め国際的な動向も踏まえながら監視してもらうよう要望する。
【委員】
 令和5年度愛知県公営企業会計決算付属書の40ページには1立法メートル当たりの料金、48ページと事業報告書7ページには給水料金について記載があるが、この中で特に県営水道の料金制度について、基本料金部分について伺う。
 県営水道は基本料金と使用料金の二部料金制を採っており、基本料金では資本費相当、施設の建設に要した費用の回収を、使用料金では維持相当の費用回収を図る考え方によるものである。
 県は昨年度、電気料金や資材価格の上昇など物価の高騰により維持費が増加していることなどを主な理由として使用料金の単価の改定を行い、本年10月1日から適用となっているが、その際、基本料金は特に改定がなかった。
 県営水道における基本料金の仕組みや考え方について伺う。
【理事者】
 水道事業では総括原価方式により、水道施設の整備費用など事業運営に必要な経費に見合った金額を水道料金として設定し、その費用を回収している。水源開発や水道施設建設に要する資本費相当を基本料金として、施設の維持管理に要する維持費相当を使用料金として回収している。
 県営水道事業は先行投資を伴う装置産業であり、資本費相当の固定費を確実に回収し、経営を安定化させるため、基本料金の割合を高く設定している。
 県営水道の基本料金については、受水市町ごとに取り決めた承認基本給水量に基本料金単価を乗じて徴収しており、この承認基本給水量は、毎年度、受水市町ごとに年間通じた1日当たりの最大給水量を前年度に事前に申し込んでもらい、審査・承認し、取り決めた水量である。
【委員】
 基本料金は県が決定した承認基本水量によって決まるが、この承認基本水量というのは事前承認制で、1日最大どれだけの水を使用するか受水団体が申請して、企業庁が承認すると答弁があった。つまり、実際に使用した実績使用水量に基づくものではなく、受水団体の過去の実績などの予想値によって申請・承認される水量によって料金が決まる特殊な制度だと思う。
 受水団体から翌年度の承認基本給水量の申請時、前年度からの変更等あったときには、受水団体の意向や申請がそのまま反映できるものなのか、何かしら企業庁側で規制や制限、ルールがあるのか、承認基本給水量はどのように決めているのか。そして、渇水や災害など企業庁側からの要請で節水のお願い、あるいは給水制限をしても基本料金は変わらないのか、基本料金の減免はされるのか。
【理事者】
 承認基本給水量は、受水市町から申込みがあった給水量について、自己水源の有無など受水市町間の公平性を確保しつつ、受水市町と県が合意したルールに基づき、基本給水量として決定し、承認している。
 県営水道の施設は、受水市町ごとに将来の水需要を推計して算出された計画水量の総和の規模で施設整備を行っている。しかしながら、昨今の水需要は節水機器の普及等により横ばいから減少傾向に転じつつあり、計画水量に比べて減少し、乖離している。
 こうした背景を踏まえ、翌年度の承認基本給水量は原則として給水申込年度の承認基本給水量を下回らないが、大口需要者の撤退や人口減少など、やむを得ない事情がある場合のほか過去の実績水量まで減量できるルールを設けている。
 こうしたルールは、地下水などの自己水源の有無による受水市町間の公平性の確保と確実な費用回収を行い、減量による料金収入の急激な減少を緩和し、県営水道の経営の安定を維持していくため必要な制度、ルールであり、県と受水市町との間で適宜検討会を開催し、見直しや柔軟な取扱いを取り決めて、双方合意の上でこれを策定し、理解を得ながら進めている。
 次に、節水等をお願いした場合に基本料金が減額になるかどうかについて、資本費は施設整備に要した費用で、使用水量の増減で変動する費用ではないため、これを回収する基本料金は、節水を依頼した場合、原則として減免はない。
 なお、災害その他特別な理由がある場合は、水道料金の免除が可能となっている。
【委員】
 原則としては承認基本給水量を下回らないが、基本的には受水団体の意向や申請がそのまま反映できる仕組みになっていない。近年の人口減少や節水機器の普及に伴い、一般家庭の配水量が減少傾向にあり、水需要の伸びが見込めない中で、承認基本給水量と実績給水量との差である余剰水量が生じる中であっても、承認基本給水量を自治体側は容易に減額変更できない。
 仮に実態に合わせた格好で、承認基本給水量が実際の1日最大給水量まで下げられるならば、受水団体の基本料金が下げられる可能性がある。
 また、水道料金全体に占める使用料金と基本料金の割合は6対4で、使用料金のほうが大きい。加えて、この余剰水量の部分は、基本水量の1.4倍ぐらいの割高になる。そのため、受水団体としては、水道経営を考えると、できるだけコストを下げたい部分となる。
 例えば、余剰水量分に係る費用は、1万5,000円に余剰水量を掛けた額になり、何千万円になる。こうした状況にありながら、受水団体の意向による減量変更が容易に承認されない仕組みになっている。
 また、先ほど答弁があったが、節水や給水制限があっても、料金の減免がされず、節水努力が報われない制度という見方もできる。承認基本給水量の事前承認制には改善点があると思う。少なくとも最善ではない。県民も分かりづらく、納得がいかない。
 そこで、こうした現状の基本料金を決める承認基本水量の事前承認制について、これまで受水団体、自治体から問題点の指摘や不満の声などはないのか。
 そして、今年度は二部料金制の使用料金の改定は行ったが、基本料金の改定は行われなかった。基本料金はいつから変わってないのか。
 また、今回なぜ改定が行われなかったか、その理由と基本料金の改定に対する考えを伺う。
【理事者】
 承認基本給水量の承認制度に関して、受水市町から問題点や指摘などの意見があったかどうかについて、受水市町と開催している勉強会では、県営水道の料金制度について理解を深めてもらうとともに、意見交換会では基本給水量承認制度の運用ルールに関する意見をもらっている。このルールは、これまでも受水市町の意見を踏まえつつ合意形成を図りながら運用してきている。
 ちなみに、令和5年度の承認基本給水量は、増量1団体、減量9団体であり、その他32団体は前年と同じ水量となっている。
【理事者】
 基本料金の前回の改定は、22年前の2002年4月に行っており、このたび基本料金の改定を行わなかった理由として、電気料金の高騰や資機材などの物価上昇により維持費が増加したため使用料金の改定を行い、減価償却費などの資本費については大きな影響がないことから基本料金の改定は行わなかった。
 基本料金の今後の改定については、老朽化更新などの施設整備の進捗に伴い減価償却費などの資本費が増加し、経営改善が必要と見込まれる場合に検討していく。
【委員】
 私は二部料金制を理解しており、維持していくことを支持している。そして、基本料金についても、固定費や資本費相当の費用を回収するという目的や意義は理解している。ただ、指摘した事前承認制の問題、基本料金の二段構え料金の例えば基礎水量というのも、1人200リットルというのも何十年も変わっていないわけであるし、そうした料金設定の在り方や、あるいは今答弁があったように2002年から基本料金が改定されていないことも含めて、中長期的な視点に立って少なくとも見直しを検討する必要はあると思っている。
 自治体の意見について、今後、受水団体から要望、意見を聴く場を設けてもらい、水道料金の制度の在り方などを協議・検討してもらいたい。水道は特殊かつ複雑で分かりづらい部分があるため、硬直した考え方ではなくて、今の時代に合わせた柔軟な姿勢で検討してほしい。
 そして、今後も中期的には公正・公平で納得感のある、そして水道事業を持続的に経営できるような料金体系にしてもらいたい。一方で長期的には人口減少や料金収入の減少、あるいは施設等の老朽化に伴う更新投資による支出の増大などで経営努力だけでは持続可能な経営が困難になることも見込まれるため、水道事業の共同化・一体化、最終的には広域化も必要になってくる。ぜひそうしたことも含めた研究・検討を行ってもらうことを要望する。
 続いて、愛知県公営企業会計決算書46ページの宅地造成費について、企業庁では、現在、安城北山崎地区をはじめ6地区で用地造成事業を行っているが、こうした用地造成事業は基本的には企業庁が市や町からの要請を受けて、市や町が事業用地の選定、土地を用意した上で企業庁が開発事業を行う。自治体と企業庁においては、開発公表時に開発基本協定書を締結して開発に当たり、様々な取決めを行って事業を実施している。その協定の項目の中に廃棄物の処理という項目がある。
 造成工事では、事前に市や町が地区内の予備調査を行っているものの、田畑や山林など様々な用途に使われた用地を対象に掘削などを伴う工事を行うため、工事掘削の際に地中から想定外の廃棄物が確認される可能性がある。分譲地を企業へ引き渡した後や、工事前や工事中に廃棄物が確認された場合、市や町が廃棄物撤去の責任を負うことが決められている。
 過去10年間程度において造成工事着手後に協定書に基づいて市や町の負担で廃棄物処理を実施した件数や地区について伺う。
【理事者】
 過去10年間程度において、工事着手後に廃棄物が確認され、市町の負担で廃棄物処理を実施した件数及び地区は6件で、安城榎前地区、豊橋三弥地区、刈谷依佐美地区、西尾次世代産業地区、岩倉川井野寄地区及び豊明柿ノ木地区となる。
【委員】
 私の地元安城市でも、令和元年に榎前地区の造成工事において排水路設置のための掘削を行ったところ、区域の一部から瓦くず等の廃棄物が発見され、協定に基づき安城市が廃棄物の撤去を行った。
 当時の協定書の中には、廃棄物の撤去を求める条件として廃棄物を確認した場合とあったが、この廃棄物を確認した場合の確認をしたとはどのような状態・定義なのか、どのように処理をする廃棄物の範囲を特定するのか。
 また、造成工事着手前の時点で廃棄物は確認されていないが、工事に着手すると廃棄物が発見される可能性がある箇所の対応はどうするのか。
【理事者】
 企業庁の開発では、市町において開発検討段階に開発地を試掘して廃棄物の有無確認の調査を行っており、廃棄物が確認された場合は、原則地権者が撤去を行い、開発地内に廃棄物がないことを前提に企業庁が開発公表し、後に造成工事を行っている。
 仮に造成工事着手後に廃棄物が確認された場合は、掘削などで掘り出された廃棄物を撤去するだけでなく、目視で確認できるところまでも、撤去するようにしている。確認されていない箇所の対応については、廃棄物がない土地であることを前提としているため、新たな調査や廃棄物を確認するために掘り起こすことは行っていない。
【委員】
 工事で発見されて掘り出された廃棄物を撤去するのは当然のことであり、加えて廃棄物を目視により見えるところまで撤去することも必要なことである。また、確認されていない箇所の対応については、新たな調査や廃棄物を確認するために掘り起こすことは行っていないが、法的にも掘り起こす必要はないため、企業庁の対応は同意できる。
 しかし、令和元年に安城市榎前の造成工事において排水路工事の掘削を行ったところ、区域の一部から瓦くず等の廃棄物が発見されて協定に基づき安城市が廃棄物を処理した件については、安城市は、企業庁から廃棄物の範囲を特定するようにと指示があり、試掘を行い、範囲を確定して廃棄物の撤去を行った。つまり、確認されていない廃棄物をわざわざ確認を求められて、そして掘削して処理をしたことになる。
 その際に要した費用が、約7億3,000万円になる。そのうち必ず撤去・廃棄しなければならない水路の工事部分は全体の1割、残りの9割の面積が法的には必要がないのに、わざわざ掘り起こして撤去した部分であり、費用を面積で案分すると約6億5,000万円となる。当時、安城市議会でも、法的に掘削・撤去する必要がないのに、そこまでやる必要があるのか、税金の無駄使いではないかと問題視する声があった。しかし、安城市は、企業庁の指示だからと繰り返すのみであり、結局、工事は行われた。当時、私自身は納得いくものではなく、当時の企業庁の姿勢には強い憤りを感じた。ただ、企業庁側からするとそもそも廃棄物が無いとして市から開発の要請を受けているため、廃棄物があることがおかしいと言われればそのとおりだと思う。また、立地する企業が工場を建てる時に廃棄物があることで費用がかかり工期が遅れること、企業庁も土地の品質を担保する必要があることも理解している。
 私は、法的な要請や企業が求めていれば調査は必要だと思うが、必要ないことはやる必要はないと思っている。
 そこで最後に確認するが、協定書を見ると、新たに当該廃棄物が確認された周辺を調査した上で、ほかに廃棄物がないことを確認しという項目が付け加えられている。これは見えている廃棄物のほかに、法的に根拠のない部分についても調査して、廃棄物が確認されたら撤去しなさいと読み取れるが、どういった意図なのか。また、立地企業の意向に対する企業庁の考えを伺う。
【理事者】
 協定書記載の当該廃棄物が確認された周辺を調査した上で、ほかに廃棄物がないことを確認しとは、目視により目に見える範囲の廃棄物を撤去することを意図した内容となっている。
 また、原則として廃棄物が確認されていない箇所の調査については、工事着手前に地区全体の廃棄物調査を行っているため、新たに調査を行う必要がないことを企業に説明し、理解を得ている。
【委員】
 基本的には目視で見える範囲の廃棄物を撤去することを意図とした内容で、従前と変わってない。そうであるならば、自治体側からすると誤解を招くので、明記する必要はない。
 企業庁は原則として調査を行う必要がない姿勢であり、それを企業に説明すると聞き、安心している。一方で現実的には、先ほど榎前の地区もそうだが、立地企業の意向も反映される場合があることもあり、立地企業との協議によっては、廃棄物の調査や撤去が求められるケースが現実的にはある。そういったことも対応できるような文言を協定書に明記してほしい。実は、引渡しの協定内容に関しては立地企業と協議するという文言が入っている。そのため、工事着手後の協定内容にも立地企業と協議すると明記したほうが、より正確で分かりやすいと思う。
 過去のことはともかく、法的にも必要なことや立地企業の意向で必要なことはやるべきだと思うが、本来行う必要のない撤去を多額の税金を投入して行うことがないよう要望する。
【委員】
 令和5年度愛知県公営企業会計決算書の20ページの損益計算書について、令和5年度は約4億3,000万円の単年度純利益となっている。私たちの生活に不可欠な水道事業は現在厳しい状況に直面している。先ほどから議論のあるように、人口減少や節水意識の高まりによって水需要が年々減少し、給水収益が落ち込んでいる。一方で、高度経済成長期に整備された水道施設の多くが更新時期を迎えており、その費用が増大している。例えば令和4年度愛知県の水道によると、県営水道管の57パーセントが法定耐用年数の40年を超えており老朽化がかなり進んでいる。
 今後、老朽化した県営水道施設の更新に必要な費用として、2024年3月に見直された企業庁経営戦略の水道事業の投資・財政計画では100億円を超える費用が見込まれている。この状況を改善するためには、水道料金の見直しや新規事業展開なども長期的には必要であるが、まずは喫緊の課題としてコストカットや事業のスリム化・効率化などが求められている。特に広域連携による運営効率化も重要な施策と考えられる。
 そこで伺うが、令和5年度における支出の削減のためにどのようなコストカット施策を実施してきたのか。
【理事者】
 県営水道では、安定供給対策に必要な投資を行う一方、効率的な事業運営に取り組み、経費の削減を行っている。2023年度を含め継続的に実施している取組として、安定供給対策では、施設の更新において予防保全型の点検・修繕による施設の長寿命化及び水需要動向を見据えたダウンサイジングによりコストを縮減している。また、効率的な事業運営では、全浄水場の排水処理施設の整備・運用をPFIで実施し、民間企業の技術と資金の活用を積極的に行っている。
 なお、これまでに県は行政改革の一環として組織の見直しや浄水場の統廃合など合理的な体制を整備するとともに、高金利の企業債の繰上償還などによる支払利息の軽減を図るなど、様々な経費節減に取り組んできた。
【委員】
 老朽化への対策はいろいろあり、具体的には、最近では漏水対策など最先端技術を用いた方法を取り入れている自治体もある。例えば人工衛星を活用した漏水検知システムもあり、この技術は豊田市が初めて導入し、今、全国的なモデルケースとなっている。
 具体的には、豊田市ではユーティリス社の衛星画像データとAIを組み合わせた漏水検知システムを採用している。このシステムは、衛星から地上に電磁波を照射して、その反射データを解析することで水道管の漏水の可能性がある区域を特定する。具体的には、衛星が撮影した画像から水道水に特有の反射特性をAIで補正・解析して、漏水の可能性があるエリアを半径100メートル以内の範囲で絞り込む。この方法によって、従来の音聴調査に比べて調査期間が約5年から7か月に短縮されてコストも約10分の1に削減する成果を挙げている。
 こういった最先端の技術について、検討は令和5年度にされなかったのか、またこれ以外の最先端技術の活用についての検討を行っているのか伺う。
【理事者】
 県営水道では、衛星画像データとAIを組み合わせた漏水検知システムの活用について検討を行った。その結果、県営水道管路は道路下3メートルを超える深さに埋設されているものがあり、同システムでは漏水の検知ができない可能性があること、また工業用水管からの漏水は水道水ではないことから検知が難しいとされているため、採用には至っていない。
 一方、県営水道では、水道管の管種や漏水履歴などの管路情報と土壌や地形といった環境ビッグデータをAIに学習・解析させ、漏水発生の危険性など、管路の劣化状態を予測・診断する調査を2022年度から行っている。
 また、そのほかには、2021年度からドローン等を活用した水管橋の点検を実施しており、2023年度からはクラウド上で、水道設備や点検・修繕履歴を管理する設備管理システムの構築を進めているなど、最先端技術の活用による効率的な維持管理に努めている。
【委員】
 大分県の水道事業のように、県単位で採用しているところもある。ただし、大分県の場合は、会社が異なるため、検査方法や機器の性能も大きく違う可能性は考慮する必要がある。
 技術の進歩は非常に早く、近年ではAIやドローンの進歩が目覚ましい。有用な技術の積極的な導入も視野に入れてほしい。
 続いて、コスト削減には、長寿命化や人件費を削減などの一般的なもの以外に、運営事業自体の効率化もある。それが広域連携による効率化である。
 広域連携による運営は、大きなコスト削減が見込まれる。愛知県は、現在、共同研修や技術支援、災害時の応援協力など、これまでの広域連携に加えて段階的な広域化を目指しており、2023年の3月には広域化計画を策定して具体的な取組が展開している。
 そこで伺うが、一つは広域化計画に位置づけられた活動として令和5年度はどのような取組を行ったのか。また、今後県内での水道事業の広域化を具体的にどういうふうに進めていくのか、どのような広域連携の形態が望ましいと考えているのか。
【理事者】
 水道の広域化については、2023年3月、県の水道行政を所管する保健医療局により愛知県水道広域化推進プランが策定された。このプランに沿って広域連携を推進するため、水道行政が主催し、市町などの水道事業者が参加する愛知県水道広域化研究会議により、地域ごとの実情に応じ、連携できる業務等を検討している。県営水道としては、この会議において施設の共同化や管理の一体化も含め、県と市町等との広域的な連携の方法などについて関係者とともに研究を進めてきた。
 続いて、今後、県内で水道事業の広域化をどのように進めていくのかについて、広域化の進め方に関しては、矢作川流域上下水道広域連携協議会(仮称)準備会が本年8月7日に設立された。この準備会において、まずは西三河地域を対象に、今年度から水道行政を所管する建設局を中心として西三河地域の上下水道事業者と連携し、上下水道の一体化を含め広域化の検討を進めていく。
 加えて、水道の広域連携の形態として、事業の統合、経営の一体化、施設の共同化など様々な方策が考えられる。県営水道としても、今後の施設老朽化によって更新時の施設の集約化やダウンサイジングなどによる効率的な施設づくりを進める必要があり、市町等との広域連携は重要な取組になる。
 今後、準備会において新たな組織の形態や広域化の効果を検証し、関係市町等と協議しながら望ましい広域連携の方策を検討していきたい。
【委員】
 広域連携は、コスト削減の効果があると同時に、各市町村でそれぞれの水道料金が違う中で、ある程度の平準化や効果も考えられる。一方で、水道料金が高い自治体は広域連携を歓迎するが、水道料金を低く抑えられている自治体にとっては気が乗らない話であると思う。
 各自治体の意見もしっかりと聴いてもらい、慎重かつ円滑に広域連携を進めてもらいたい。また望ましい連携については、全部一体になるものから部分的な連携というものもあると思うので、自治体の意見をしっかりと集約した上で、どういう形態がいいのかを見極めてほしい。
【委員】
 令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書19ページの事業未着手地区について、ここに三つの地区の事業があり、このうちの二つが私の地元の日進市にあるが、用地取得後、長期間にわたり事業着手していない地区のうち、実はこの日進東部地区はかなり調整が進んでおり、間もなく造成が始まると地元の期待も高まっている。それ以外の日進中部地区、幡豆地区の2地区については、なかなか進んでいない。これまでの企業庁の取組について伺う。
【理事者】
 日進中部地区については、平成2年度に約10ヘクタールの土地を先行取得した地区であるが、地区のほとんどが保安林であることや当初からアクセス道路がないことなどから開発が今現在進んでない。昨年度は、アクセス道路が課題となるため、日進市の道路担当部署を交えた意見交換会を開催するとともに、新たな事業展開の可能性を検討していくため、太陽光発電事業者を企業訪問し、利活用について現地案内を含めて意見交換会を実施した。
 次に、幡豆地区については、平成14年度から県庁内の各部局で構成する幡豆地区の土地利活用県庁内検討会において提案を働きかけているところであり、また西尾市とも勉強会を開催しているが、具体的な利活用案の策定には至っていない。
 なお、ここ数年の動きとしては、アウトレジャーを手がける業者や、木質バイオマス燃料の用途としての成長の早い樹木、いわゆる早生樹の栽培を手がける業者への聞き取りやキュウリなどの野菜を育てる施設園芸業者などの現地案内を実施したが、いずれも実現は難しい結果となっている。また、新たな事業展開の可能性を検討していくため、太陽光発電事業者を企業訪問し、利活用について現地案内を含めて意見交換を実施したが、日照時間が不足し、発電効率が悪いため、実現は難しい結果となっている。
【委員】
 それぞれ取組をしていることは承知したが、事業未着手地区である日進中部地区について、令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の中でも、地区の一部は日進市米野木北山グラウンドを一部利用しているが、保安林など関係法規制への対応は困難なことやアクセス道路が十分でないことなどで具体的な方策に至っていない。また、引き続き積極的な地元日進市と関係機関等への働きかけを継続して、その利用や処分の促進に努めてほしい。今後の取組について伺う。
【理事者】
 昨年度に引き続き日進市との意見交換会を実施し、利活用や検討を進めるとともに、太陽光発電事業者との意見交換を実施していく。
【委員】
 幡豆地区について、令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書では、その利活用が難しいとされている。引き続き地元の西尾市や関係機関、ボランティア団体等の意向を十分確認してもらい、幅広く調査・検討して、利活用の具体的な方策について考えもらいたい。
 続いて、令和5年度愛知県公営企業会計決算付属書の153ページ、155ページ、157ページ、160ページに西尾次世代産業地区の事業について書かれている。
 西尾次世代産業地区については、オーダーメイド型の開発で実施していると聞いているが、どのような手法で実績はどうなっているのか伺う。
【理事者】
 企業庁での過去の実績としては、東浦石浜地区、豊田・岡崎地区、西尾次世代産業地区の3地区でオーダーメイド型の開発を実施している。
 株式会社豊田自動織機がオーダーした東浦石浜地区では、車載電池生産工場を建設し、2022年から操業を開始している。
 トヨタ自動車株式会社がオーダーした豊田・岡崎地区では、2019年4月にトヨタテクニカルセンターシモヤマとして施設の一部運用を開始し、2024年3月に本格稼働した。
 次に、株式会社デンソーがオーダーした西尾次世代産業地区では、車両全体のシステムを制御する統合ECU(電子制御ユニット)の生産を行うこととし、2025年度内に着工、2027年1月の竣工を予定している。
【委員】
 オーダーメイド型の開発は非常にリスクが少ない印象を受ける。開発から分譲までの過程で、土地の引渡先があらかじめ決まっている。オーダーメイド型の開発を行うに当たっての基準はあるのか。
【理事者】
 企業庁では、企業が必要とする敷地面積が一般的な工業用地の分譲では対応できないほど大規模なものであり、かつ県の基幹産業である自動車産業の高度化に寄与するなど、県の政策上特に重要な開発である場合にはオーダーメイド型開発を行っている。
 オーダーメイド型開発は、特定の企業が必要としている工業用地開発について、立地企業と地元市町村から開発の要請を受け、企業庁が用地買収から造成工事までするものであり、企業庁の事務費を含む開発にかかる全ての経費と報酬を企業から受け取る開発手法である。
 企業庁としては、工業用地の売れ残りのリスクを負担しなくてよいというメリットがあるため、オーダーメイド型開発については企業や市町村に対して積極的に情報発信し、推進に努めていく。
【委員】
 事業未着手地区においてはオーダーメイド型開発を導入してもらい、地元関係者、企業、県、企業庁が一体となって進めてもらうことを強く要望する。
【委員】
 用地造成事業会計における未処分宅地と新規用地造成について、私の地元の大府市だが、大府市と聞くと、名古屋市や、尾張西部の人は西三河地方とのイメージを持つ人が多い。確かに西三河産業圏と一体となった、かなり産業の集積したまちであることと同時に、挟まれるように名古屋大都市圏の一部にもなっており、ベッドタウンでありながら産業や学校等も集積しているため、昼夜間人口が1.05であり、やや昼のほうが多い。
 そのため、かなり物流も多いが、加えて知多地区の一部の最北端、名古屋市の結節点にもなり、海と空の玄関口として高規格道路が何本もそこで枝分かれしており、産業、そして物流の拠点として産業界、物流業界から用地としての需要が大変高い、そして投資意欲が極めて旺盛な地域であり、これから何年もそういった状況が続く中で、地元地域では産業用地が大変不足しており、私のところにも産業用地を提供してもらえる状況をつくれないかと相談がたくさん来ている。
 実際に近年の企業庁の開発による産業用地、工業団地等についても、その計画が浮上した段階で既に用地割当てが完売状態に近いことが続いており、民間による開発行為でも同様に計画イコール即完売という状況になっている。ゆえに、この産業用地の供給が全く追いついていないと言うことをはばからないような状況があり、地元の製造業者を中心に産業、企業家たちは、新しく工場を新設するに当たって、その代替の用地を求める場所もなく、致し方なく、交通の拠点であることを利点として県外へ出ていってしまうことが多くなってきた。例えば岐阜県、あるいは湾岸を渡って三重県に愛知県から出ていく企業が出てきている。これは産業の空洞化という意味でも、我がまちだけでなく、愛知県にとっても大変な損失である。産業空洞化対策補助金もあるが、ただそれを使う用地がない。
 一方で県内に目を向けると、長年未処分となっている用地も散見される。このような状況を踏まえて、需要と供給のバランスという観点で質問する。
 まず、企業誘致について、令和5年度愛知県公営企業会計決算審査意見書17ページに令和6年3月末現在の内陸用地と臨海用地の未処分宅地の状況が記載されているが、この未処分宅地の現在の状況と分譲に向けたこれまでの取組について伺う。
【理事者】
 内陸用地の未処分宅地について、豊橋三弥地区では現在立地を内定している企業もあり、複数の企業からも具体的な引き合いがある状況にあるため、早期売却に向けて努めていきたい。
 残りの未処分宅地については、企業に貸し付けている土地ののり面に当たる部分であり、今後、借受企業が借地から購入に切り替えるときでなければ処分できない土地である。
 また、臨海用地については、内陸用地と比べ、多くの地区に未処分宅地があるが、令和5年度においては御津1区をはじめ計9件、約6ヘクタールの契約を締結し、着実に企業誘致を進めている。
 次に、これまでの企業誘致の取組について、土地リース制度や土地代金の10年以内の分割払を可能とする制度を導入するとともに、民間企業のノウハウを活用するため、不動産業者に仲介を委託する制度や企業誘致アドバイザー制度を導入している。さらに、地元市町などの各種産業立地優遇制度を活用しながら、年間約600件の企業訪問などを通し、積極的な企業誘致活動に取り組んでいる。
【委員】
 のり面については、いつも問題になるところであり、これを分譲宅地とするのか、あるいは減歩として見ていくのかも、今後はよく検討して造成・分譲しなければならない。
 また、内陸用地は分譲に向けて状況が進行している一方で臨海用地については、徐々に分譲は進んでいるものの、まだ未処分用地が残っている状況である。このような臨海用地の未処分宅地の分譲についてどのように考えているのか。
【理事者】
 企業庁では、臨海用地の特徴である港に近く、大規模画地にも対応でき、産業インフラが整っている点などをPRするとともに、これまでの製造業や物流業といった業種に加えて、今後、伸展が想定される資源循環型社会のニーズにも対応できるよう、地元市町の理解をもらいながら、これまで以上に幅広い業種の企業誘致に取り組んでいきたい。
【委員】
 内陸用地の用地造成について、企業庁では、本県の産業振興を図るために市町村の要請を受けて工業用地を造成し、既存企業の一層の高度化や先ほど言ったようなリプレイス、そして新たな産業の誘致・育成を図るための用地を積極的に提供している。
 企業庁が担う内陸用地の用地造成について市町村と共同事業で実施していくとしているが、具体的な流れを伺う。
【理事者】
 内陸用地の用地造成事業の流れについて、まず市町村において都市計画マスタープランで産業系の土地利用を位置づけるとともに、開発候補地を選定し、開発計画の原案をまとめていく。企業庁は、市町村と緊密に連携するとともに、関係機関と協議しながら事業の実現性や採算性の確保、企業立地の見通しなど開発要件の整理を進め、全ての要件を満たすことを確認した後、企業庁において造成工事を行うことを決定する。開発決定の後、用地買収と詳細設計などを行い、造成工事に着手し、造成工事完了後、企業に用地を引き渡す流れである。
【委員】
 2022年の経済構造実態調査によると製造品出荷額等が45年連続で日本一の産業先進県である愛知県の産業基盤をより強固なものとするため、今後とも工業用地のタイムリーな提供が必要であることから、計画的な工業用地の提供が不可欠な状況が続いている。
 また、令和5年度公営企業会計決算審査意見書17ページの中段にあるように、内陸用地に対する需要の高まりなどの社会経済情勢等を踏まえ、造成用地の圧縮を図りつつ、産業振興に寄与する新たな造成の推進に努められたいとも要請されている。
 これらの指摘をどのように分析して、新規開発地区の掘り起こしに取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
 企業庁では、これまで毎年、県の経済産業局が実施している市町村担当者会議において用地造成事業のPRに努めている。また、さらに2020年度から新たに工業用地の開発意向等に関するアンケートも加え、新たな用地開発の可能性の把握に努めている。
 今後も安定的に工業用地を供給していくために、企業訪問などによる企業ニーズの把握に努め、市町村の工業用地開発への高まるニーズに応えるよう、市町村と連携して新規開発地区の掘り起こしに取り組んでいく。
【委員】
 もっと積極的に進めてもらいたいと思う。質疑の冒頭で説明したように工業用地の不足が私の地元地域にもあり、今ある産業が他県に逃げていく状況にあることを改めて企業庁として認識してもらい、需要に対してどう提供していくかをしっかりと戦略的に考えてもらうことを要望する。
 続いて、水道事業会計について、県営水道管路の耐震化について伺う。
 安全・安心対策特別委員会の県外調査で、石川県能登地方、輪島市と志賀町を調査した。本当に水道の破壊がひどく、その後が大変であったため、社会基盤の耐震化はあらゆる面でできる限り進めていかなければならないのはもちろんのこと、その中で最も大事なのは水道管路の耐震化であると、担当者や関係者が言っていた。
 そこで、企業庁では水道管路の耐震化について、どのような考え方に基づき取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
 水道管路の耐震化については、耐震管に取り換えることにより耐震化を図ることとし、2030年度までを計画期間とする老朽化施設更新計画に基づき計画的に更新を進めている。
 この計画では、管路の使用年数の限度を80年程度として、水需要動向を考慮したダウンサイジングや、事業量、事業費の平準化を考慮しながら、緊急輸送路に埋設された耐震性のない管路などを優先的に更新している。
 なお、県営水道の管路のうち耐震性の低い管路は残り約1割となっている。
【委員】
 一般的な管路、構造というのは、管と管を接続したフランジをボルトナットで締め付けて強固にしてあるが、地震の揺れで引っ張られたりすることで破断してしまうため、管同士を引っかけて外れないようにする構造を進めていくと石川県での調査では聞いた。その管路の耐震化について、令和5年度までの更新実績からすると進捗に遅れが出ているように見受けられるが、目標達成に向けてどのように取り組んでいるのか。
【理事者】
 管路更新の計画前半では、地震対策との事業費等の平準化を図る観点から、地震対策に重点を置き管路更新のペースを抑えて進めてきた。2017年度の計画策定から5年が経過し、都市化による交通規制への対応や道路建設計画との調整等により進捗に遅れが生じたことから、2022年度から2023年度にかけて計画内容を点検し、埋設ルートの変更や現場状況を踏まえた工法選定等を行い、工事計画の見直しを行った。
 また、従来の設計・施工分離発注方式に加えて、設計と施工の同時進行により工期短縮が見込まれる設計・施工一括発注方式を2023年度から導入している。今後、管路更新の計画後半では地震対策が徐々に完了していくことから、管路更新に重点をシフトしていく。こうした取組により更新ペースを上げていき、計画期間内に完了する見込みとなっている。
【委員】
 一日でも早く、計画どおりに耐震化が進んでいくことを願うが、管路の耐震化が完了するまでにまだ時間がかかり、耐震化未整備のところが幾つか残っていく状況が続くと思う。その間に南海トラフ大震災が起こった場合、能登半島と同じような状況、あるいはそれよりもひどい状況で管路が破断して、全て水が流れないという状況になる。
 そこで、地震により管路の被害が発生した場合にどのように対応するのか、その対応を迅速に行うために、企業庁としてどのような体制を考えているのか伺う。
【理事者】
 大規模地震により県営水道の管路が被災し、受水市町への水供給が停止した場合、受水市町からの要請を受け、これまでに整備した応急給水支援設備や支援連絡管を活用し、避難所への給水等について協力する。
 同時に、被害状況の調査、把握を行い、連絡管やバイパス管を活用した送水系統切替えによる送水継続の実施と被災した管路の応急復旧を行う。
 応急復旧対策を迅速に行うため、毎年度当初に応急復旧業者を選定しているとともに、県内の各地域に整備した備蓄倉庫に必要な資機材を保有し、不足する資材は優先的に調達できるよう資材業者と協定を締結している。
 こうした応急復旧、応急給水の活動に必要な人員等が不足する場合は、公益社団法人日本水道協会の枠組みを通じて他県の水道事業者に応援要請を行い、尾張旭市にある水道事務所内に整備した水道災害活動拠点に応援職員を受け入れる。
【委員】
 私も被災地で対応した職員や関係の地域の人に話を聞くと、耐震化されているところでも水道管が破断していたそうである。地震は震源地から揺れが周りに延伸上に波及していき、あるとこで跳ね返り、それが重なる点で共鳴を起こす箇所、キラーパルスが出てくる。キラーパルスが発生したところは、どんな耐震化住宅でも耐震管路でも耐えられないと聞いた。
 そういったことも想定し、耐震化をどんどん進めていきつつ、キラーパルスにより耐震化された水道管が壊れてしまった場合も想定して準備するよう要望する。

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