本文
公営企業会計決算特別委員会審査状況(令和7年10月17日)
公営企業会計決算特別委員会
委員会
日時 令和7年10月17日(金曜日) 午後0時59分~
会場 第8委員会室
出席者
坂田憲治、鈴木まさと 正副委員長
水野富夫、藤原ひろき、神谷和利、朝日将貴、柳沢英希、伊藤貴治、
朝倉浩一、江原史朗、岡 明彦、柴田高伸 各委員
建設局長、同技監、治水防災対策監、
病院事業庁長、病院事業次長、
代表監査委員、監査委員事務局長、同次長、関係各課長等

委員会審査風景
付託案件等
決算
決算第13号 令和6年度愛知県県立病院事業会計決算
決算第17号 令和6年度愛知県流域下水道事業会計決算
(令和6年度愛知県流域下水道事業剰余金処分計算書(案)を含む。)
結果
全員一致をもって認定すべきものと決した決算
決算第13号及び決算第17号
全員一致をもって原案を可決すべきものと決したもの
令和6年度愛知県流域下水道事業剰余金処分計算書(案)
会議の概要
【1】建設局関係
- 開会
- 審査事項の概要説明
- 質疑
- 採決
- 休憩(午後1時50分)
【2】病院事業庁関係
- 再開(午後1時59分)
- 審査事項の概要説明
- 質疑
- 採決
- 委員長報告の決定
- 閉会
主な質疑
建設局関係
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算付属書の177ページ、(1)建設工事の概況における、衣浦西部流域下水道事業汚泥焼却施設機械設備工事について伺う。
この汚泥焼却施設は、令和10年度の供用開始を目指し整備を進めていくと聞いている。下水処理の技術については日進月歩であることから、国土交通省では、下水道事業における低炭素・循環型社会の構築やライフサイクルコストの縮減、老朽化対策等を実現するため、新技術の研究開発及び実用化を民間企業の技術により加速させる下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)も実施しているとも聞いている。この汚泥焼却施設についても様々なメーカーにより新技術が開発されている。整備に多額の費用を要し、大規模な施設であることから、それらの新技術を取り入れることが費用の低減にもつながっていくと考える。
そこで、下水汚泥の焼却施設の導入において、有効な新技術を活用するための事業者選定方法について伺う。
【理事者】
下水汚泥の焼却施設には複数の形式があり、各メーカーによる技術的な工夫の余地が大きいため、幅広く提案を求めることで、建設費だけでなく、品質などの要素の向上が期待できる。現在、整備中の衣浦西部浄化センターの焼却施設では、あらかじめ一つの形式に絞り込まず、民間企業の優れた技術を活用する設計・施工一括方式により事業を実施している。
事業者選定に当たっては、施設に求める基本的な性能を要求水準書として公表し、その内容を満足する技術提案と価格を総合的に評価して事業者を選定している。
具体的には、衣浦西部浄化センターの焼却施設では、複数の処理場からの性質の異なる汚泥を安定的、効率的に焼却する工夫、運転経費の削減につながる消費電力、環境対策として温室効果ガス削減量などを評価項目とし、価格だけでなく、品質にも優れた提案を行った事業者を選定している。技術提案の評価に当たり、学識経験者の意見を聴き、評価項目、配点を適切に設定することで事業者の提案意欲が高まり、より有効な新技術の導入が期待される。
今後も民間が持つ有効な新技術を引き出しつつ、安定的、経済的で環境性にも優れた施設の導入に努めていく。
【委員】
様々な選択肢の中で考えていくと話があったが、全て一括で、自前で設計や施工するのはどうしても難しいと思う。民間側からの提案だけでは偏ってしまうことにもなりかねないため、幅広い選択肢の中で進めてもらうよう願う。
過去にバイオの力で汚泥そのものを減らす技術提案も勉強したことがある。得られた成果による成果報酬型の契約もできるようなので、そういった幅広い中で、一つでも新技術を活用しながら、契約方法も含めて一緒に進めてもらえればと思う。
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の23ページに、汚水処理の広域化・共同化の取組を進めるとあるが、愛知県では2023年3月に汚水処理の広域化・共同化計画を策定し、施設の統廃合などのハード面の連携や、維持管理業務の共同化などのソフト面の連携を位置づけていると聞いた。
下水道をはじめとする汚水処理施設は、今では県民・市民の生活に欠かせない重要なインフラとなっており、今後、まだ進むであろう人口減少や老朽化によって、下水道事業を取り巻く経営環境はますます厳しくなっていくと考えると、この広域化と共同化を、しっかりと計画を持って進め、現状よりもさらに効率的な事業運営を求められるようになると考えている。
そこで、今回の汚水処理の広域化・共同化計画における流域下水道としての取組状況について伺う。
【理事者】
下水道をはじめ、農業集落排水、コミュニティプラントなどの汚水処理施設の事業運営は、人口減少に伴う使用料収入の減少、施設の老朽化による更新需要の増大などにより年々厳しくなっていることから、持続可能な事業運営を図るため、汚水処理の広域化、共同化に取り組んでいる。
流域下水道では、県が管理する全11か所の処理区に県内7割の市町村が接続している。こういった特徴を生かし、単独公共下水道や農業集落排水施設、コミュニティプラントなどの汚水処理施設を流域下水道へ接続する施設の統廃合や、焼却炉など汚泥減量化施設の整備、運用を共同実施する汚泥処理の共同化などを進めている。
施設の統廃合の具体例としては、一宮市中心部などの汚水を処理する市の西部処理区を、県が管理する日光川上流流域下水道へ統廃合する事業を進めており、日光川上流浄化センターでは、この汚水を受け入れるため、水処理施設の増設工事を2023年度から開始している。
また、下水道以外の汚水処理施設について、幸田町の農業集落排水5施設を矢作川流域下水道へ、津島市のコミュニティプラント1施設を日光川下流流域下水道へそれぞれ接続することにより、計6か所の施設統合を進めてきた。
一方、汚泥処理の共同化としては、衣浦西部流域下水道において、近隣の常滑市、東海市、知多市の単独公共下水道で発生する下水汚泥を衣浦西部浄化センターに集約し、共同で焼却する施設を2022年度から運転している。
さらに、この3市に加え、対象を県内全流域下水道へ拡大し、他の流域下水道の浄化センターで発生する下水汚泥を受けるための共同焼却炉の建設を2023年度から行っている。こうした取組を着実に進めていくため、広域化・共同化計画の進捗管理を毎年実施している。加えて、市町村へのヒアリングなどを通じて、新たな取組を促進している。
今後も市町村とともに広域化、共同化の取組を推進し、効率的な事業運営を図っていく。
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算書61ページの損益計算書を見ると、当該年度の純利益が約8億7,300万円と黒字決算となっている。一方で、処理場の施設や、管路の老朽化、施設の耐震化対策などに加えて、今後想定される人口減少などに伴う下水道処理水量の減少など、経営がより厳しくなっていくと想定されている。生活や産業の基本インフラとして、極めて公共性の高い下水道事業、その重要性から健全な経営を行うことが求められていると思う。
そこで、この流域下水道の経営の観点から、この決算書の黒字決算をどのように捉えているのか伺う。
【理事者】
流域下水道事業の主な収入は、流域下水道の維持管理費に充てる維持管理費負担金であり、流域ごとに県と市町が協議して1立方メートル当たりの汚水処理単価を定め、流入水量の実績に応じて市町からもらうこととなっている。
令和6年度は、市町からの流入水量がおおむね計画どおりであったことから、主たる営業収益である維持管理費負担金収入は、ほぼ見込額を確保することができた。一方、流域下水道の維持管理費は、汚水処理に必要な電気料金や消毒用薬品単価などに急激な変動がなかったこと、処理場など施設が安定して稼働したことにより、流域全体として計画的な執行ができたと考えている。加えて、流域間の共同汚泥処理や薬品、汚泥焼却用の燃料等の共同調達など、コスト縮減に努めてきた。また、営業外費用において、大きな支出や特別損失がなかったため、昨年度を上回る純利益となった。こうしたことから、令和6年度は、計画的で効率的に事業をすることができた。
今後しばらくは、本県の処理区域内人口の緩やかな増加が見込まれるものの、施設の老朽化による修繕費の増加や物価高などによる維持管理費の上昇が懸念されることから、汚水処理の広域化、共同化の取組をさらに進めるなど、効率的な経営に努めていく。
【委員】
続いて、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の23ページによると、中期的には汚水処理区域の拡大による処理区域内人口の増加により、有収水量の増加が見込まれるとある。県内には、日光川下流流域下水道のように、下水道普及率が4割程度の流域があり、このようなところは整備を急ぐよう市町村からも要望が入っているところだと思う。
しかし、長期的には人口減少により有収水量が減少していくことから、合併浄化槽など、他の汚水処理施設を含めて、将来を見据えた下水処理区域の見極めが重要であると思う。
そこで、持続可能な下水道事業の運営のために、下水道整備区域の最適化に向けた取組について伺う。
【理事者】
汚水処理施設には、下水道以外にも、農業・漁業集落排水、コミュニティプラント及び合併処理浄化槽などがある。汚水処理施設は、市町村において、経済性などを踏まえ、地域ごとに効率的な整備手法を選定し、これを県が全県域汚水適正処理構想として取りまとめている。同構想は、1996年度に初めて策定し、社会経済情勢の変化などに対応するため、おおむね5年ごとに見直し、現行の構想は2023年3月に策定している。
下水道整備は、集合処理で事業を実施することが経済的となる都市部などの人口密度が高い地域を中心に進めている。このため、この見直しでは、下水道整備を予定している区域において人口減少が見込まれるなど、下水道経営が困難となる地域については合併処理浄化槽による整備への見直しも行った。この結果、32市町、約9,500ヘクタールの下水道整備予定区域について、集合処理から個別処理である浄化槽整備となった。
引き続き、持続可能な下水道経営に向け、下水道整備区域の最適化に向けた見直しを行っていく。
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の23ページに、計画的かつ適切な施設整備・更新による費用の縮減を図るなど、中長期的な視点に立った健全な事業経営に努められたいとある。また、24ページには、現状・課題を踏まえた適切な次期事業・収支計画を策定されたいとある。
この収支計画とは、流域下水道事業経営戦略の投資・財政計画のことだと思うが、次期経営戦略の策定状況について伺う。
また、中長期的な視点の中で、最近注目度の高い、施設の老朽化の進展など、様々な着眼点があると考えるが、どのような点に着目して策定しているのか伺う。
【理事者】
本県の流域下水道事業経営戦略は2020年3月に策定し、今後10年間の投資・財政計画を作成している。現在、この経営戦略の中間見直しを進めており、今年度中の策定を予定している。
次期経営戦略の策定に当たり、着目すべき点としては、今年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損に起因する道路陥没事故を受け、下水道の機能確保への社会的関心が高まっていることである。本県でも、今後、施設の改築更新需要が高まってくることから、老朽化対策を最優先で進めていく必要があると認識している。
また、効率的な下水道事業の運営に資する広域化、共同化の推進に向けて、共同汚泥処理施設などの増設も重要であると考えている。
そして、未普及対策や、迫りくる巨大地震への対策も計画的に取り組む必要がある。
加えて、近年の人件費や資材価格などの上昇や、投資の平準化にも配慮し、次期経営戦略を策定していく。
【委員】
市町村負担金をもらって、この下水道事業を進めてもらっている。建設局は、老朽化対策は得意な分野だと思うので、しっかりと老朽化対策に努めながら、効率的な経営に努めてもらいたい。
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算付属書の173ページ(1)総括事項に、施設の改築工事や耐震化工事の実施について記載があるが、2025年1月に、先ほども話に出た、埼玉県八潮市で発生した流域下水道の幹線管渠の破損事故では、12市町の120万人に下水道の使用自粛が要請され、住民の生活に大きな影響があったことが報道されていたことは覚えている。
私の地元である半田市の下水は、ほとんど衣浦西部の流域下水道で処理されている。下水道、特に規模の大きな流域下水道の処理場の機能の停止はあってはならないし、適切に改築更新を進めていかなければならないとよく理解できたと思っている。
そこで、老朽化した処理場施設の改築更新をどのような方針で進めていくのか伺う。
【理事者】
下水道施設は、年間を通じて、昼夜を問わず稼働し続ける必要があり、健全性を保ちながら設備の異常や故障を未然に防ぐために、予防保全型の維持管理が重要と考えている。
このため、本県においては、11の流域下水道において、施設の重要度や点検結果を基に、修繕や改築更新の時期を定めたストックマネジメント計画を2016年度に策定し、日常点検や計画的な定期点検等の結果を反映し、これまで随時、見直しを行っている。
このストックマネジメント計画では、施設の改築更新については、機械設備の耐用年数や設備の稼働年数などを基に、最新の点検結果を踏まえ、部分的な修繕で対応できないと想定された場合、実施する。
改築更新に当たっては、施設の長寿命化と更新費用の平準化を見据えて計画的に実施していく。
今後もストックマネジメント計画に基づき、修繕や改築更新工事を進めることで、老朽化による故障や機能の停止など、重大なトラブルの発生を防止していく。
【委員】
2024年1月に発生した石川県の能登半島地震での被災地についての報道も、下水道が十分に使えないことがかなり報道されており、記憶に新しいものと思う。地震発生時においても下水道が使えなければならないことがよく分かったが、処理場施設の耐震化は、どのような方針で進めていくのか伺う。
【理事者】
本県では、1995年の阪神・淡路大震災を契機に、国の設計基準などが見直しされたことを受けて、優先度の高い施設から地震対策を進めてきた。
地震の発生時、まずは汚水を原因とする伝染病の蔓延を防ぐため、流れてきた汚水を消毒して放流する機能が処理場に求められる。このため、機能の確保に必要となる消毒施設など38施設の耐震化を優先的に行い、既に完了している。
次の段階として、放流する水質を平常時と同等にできるよう、水の汚れを取り除く機能などをさらに高める地震対策に着手し、これまでに74施設のうち、30施設の対策を実施した。
引き続き、2025年3月に策定されたあいち防災アクションプランでは、25施設の対策を位置づけており、今年度末には新たに4施設の対策が完了する予定である。
また、2018年の北海道胆振東部地震において大規模な停電が発生したことを受け、商用電源が喪失した際でも、処理場を継続して運転できるようにするための非常用電源の確保も進めており、今年度中に全11処理場において対応が完了する予定である。
今後も地震発生時でも処理機能が維持されるよう、処理場施設の耐震化を計画的に推進していく。
【委員】
続いて、経営指標に関する事業について伺う。
本県には、半田市が接続している衣浦西部流域下水道をはじめとする11の流域下水道がある。下水道事業においては、人口減少等に伴うサービス需要の減少や、施設の老朽化に伴う更新需要の増大など、下水道事業を取り巻く経営環境は厳しさを増す中にあって、将来にわたり、住民生活に必要なサービスを安定的に提供するため、財政マネジメントの向上に取り組んでいく必要が高まっている。
それらの要請から、経営成績や財政状態をより明確に把握するため、平成31年度から流域下水道事業会計に地方公営企業法の財務規定を適用している。
そこで、本県の流域下水道事業の経営について伺う。
令和6年度愛知県公営企業会計決算付属書175ページに経営指標の推移が示されており、過去5年間の経営収支比率の記載があるが、おおむね100パーセントとなっている。こうした経営収支比率となっている要因はどのようなものか伺う。
また、今後の経営の見込みはどうか伺う。
【理事者】
流域下水道事業会計の主な経常費用と経常収益は、流域下水道施設の維持管理費に要する経費と、その経費に充てるために市町からもらう維持管理負担金であるため、これらの変動が経常収支比率の変動の主要な要因となる。
流域下水道事業では、11の流域ごとに3年間の単位で、見込み水量と、その処理費用を算定した収支計画を策定している。その収支計画により、3年間で収支が均衡するよう、維持管理費負担金の水量当たりの単価を定めている。各年度の支出においては、経費節減に努めており、その結果として生じた収支差額である剰余金は、原則として市町に収支計画の終了後に返還する。
なお、市町との協議により、電気代高騰などの不測の事態へ速やかに対応するため、剰余金の一部を返還せずに留保する場合がある。こうしたことから、基本的には3年単位で各流域の収支は均衡し、経常収支比率は、おおむね100パーセント前後となっている。
また、今後の経営の見込みについて、過去5年間の経常収支比率のうち、令和4年度のみが100パーセントを切っている。これは、年度途中での急激な電気代高騰による費用の増加により赤字となったものである。流域下水道事業会計の経営に当たっては、物価の状況を踏まえた維持管理費負担金単価を設定しており、年度途中で不測の事態が生じなければ、これまでと同様に経常収支比率は安定するものと考えている。
今後も市町との連携を密にして、見込み水量を把握し、適正な処理費用を見込んだ維持管理費負担金単価を設定していくことで、経営の健全性を確保できるよう努めていく。
【委員】
流域下水道事業における脱炭素の取組について伺う。
令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の24ページの、あいち下水道ビジョン2025の中で、下水道の役割として、地域社会、地球温暖化対策へ貢献とある。そして、使用エネルギー、温室効果ガスの低減が掲げられている。
案内のとおり、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す長期目標の下、2021年には地球温暖化対策推進法が改正された。また、閣議決定された地球温暖化対策計画では、2030年度において温室効果ガス排出量を2013年度比で46パーセント削減することとなっている。
そこで、本県における下水道事業の脱炭素に向けた方針について伺う。
【理事者】
下水道施設は、その処理に多くのエネルギーを使用し、下水処理から発生する温室効果ガスは、電力消費、燃料消費に由来する二酸化炭素と下水汚泥の焼却に伴う一酸化二窒素が大部分を占めている。
本県流域下水道事業の温室効果ガス削減については、愛知県の事務事業における温室効果ガス排出量削減のための計画であるあいちエコスタンダードにおいて、下水道事業における2030年度の排出量を、2013年度比で処理水量当たり53.8パーセント削減することとしている。
このことから、流域下水道の2030年に向けた地球温暖化防止の取組として、省エネルギー、創エネルギーによる購入電力量等の削減や、汚泥焼却からの一酸化二窒素の削減を進めていくこととしている。
【委員】
省エネルギー、創エネルギーによる購入電力量等の削減という話と、汚泥焼却からの一酸化二窒素削減を進めていくという話があった。この一酸化二窒素の削減について、温室効果を削減する意味では、極めて意味のあるものだとも聞くが、その実現に向けてどのような取組をするのか。
【理事者】
温室効果ガス削減に向けた主な取組として、一つ目に、矢作川浄化センターでは、民間資金を活用した電力購入契約方式により、自家利用型の太陽光発電設備を整備中で、浄化センターで使用する電力の約1割に相当する購入電力量を削減する取組を進めている。
二つ目に、衣浦西部浄化センターで現在整備中の焼却炉では、省エネルギー、創エネルギーのため、焼却廃熱により汚泥を乾燥し、燃えやすくすることで補助燃料を削減するとともに、廃熱発電の導入により購入電力量の削減を図る。また、焼却炉内の燃焼温度を最適化する制御を導入することによって、焼却炉から排出される一酸化二窒素の削減を図る。
このような新技術を導入することで、従来型の焼却炉に比べ、二酸化炭素に換算して8割以上の温室効果ガス削減を見込んでいる。
2030年度の温室効果ガス53.8パーセントの削減の目標に向けて、これらをはじめとする取組をしっかりと進めていく。
【委員】
要望する。脱炭素の取組と言われても県民が広く理解できないことが多いと思う。特に、この焼却施設などの取組は見える化ができない。しかし、県民の意識を高める意味でいうと、はっきりと、このようなことに取り組んでいる、このくらい削減できる効果があるため頑張っているといったことを伝えていくことが、県民の意識も高めて相乗効果を生むと思うため、PRや啓発に取り組んでもらえるとよい。
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の24ページに記載のある下水道における地震対策について伺う。
あいち下水道ビジョン2025は、本年度が最終年度であることから、現ビジョンの現状、課題を踏まえた次期計画の策定について意見されている。
そこで、現ビジョンの見直しについて、現在の状況を伺う。
【理事者】
あいち下水道ビジョン2025は、県が目指す下水道事業の方向性を示すものとして、2016年度に策定し、今年度、中期目標の最終年度を迎えている。昨年度より下水道ビジョンの見直し作業に着手しており、有識者の意見を聞きながら、近年における下水道を取り巻く環境変化を考慮し、検討している。
具体的には、埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえた下水道管路の流下機能の強化、能登半島地震を踏まえた上下水道一体となった耐震化の推進、人口減少を考慮した下水道の持続性確保などの視点を含めて見直しを進めている。
今後、必要な手続を行った後、今年度中の改定を目指して作業を進めている。
【委員】
持続可能な事業経営に配意しつつ、選択と集中でしっかりと耐震化に取り組んでいき、次期ビジョンが実効性の高いものとなるような取組を進めてもらいたい。
続いて、南海トラフ巨大地震がいつ起きてもおかしくないとちまたでいわれている中で、特に、先ほども話があったように、他県で起きている地震の影響を考えるにつけ、当県での地震発生の影響について関心が極めて高いものと思う。
引き続き、施設の地震対策を続けていく中で、昨年元日に発生した能登半島地震後に新たに取り組むこととなった地震対策があるのか伺う。
【理事者】
能登半島地震においては、下水道施設のうち、管渠とマンホールに大きな被害があった。
本県の流域下水道管渠の地震対策については、地震後も汚水を処理場まで流下させる機能の確保を第3次あいち地震対策アクションプランに位置づけ、計画期間内の2025年3月までに完了した。
次に、マンホールについては、能登半島地震で地盤の液状化によって多くの箇所で浮上し、救援活動に大きな影響があった。特に、緊急輸送道路でマンホールの浮上が発生すると、緊急車両などによる道路通行が阻害され、避難や救助、応急活動に支障を来す。
このため、本県では、昨年度までに緊急輸送道路内にある約520か所を対象にマンホールの浮き上がりの調査を行い、マンホールの82か所で浮き上がる可能性があると分かった。このため、マンホールの浮上対策を新たに策定したあいち防災アクションプランに位置づけ、2029年度までの経過期間中に20か所の対策を実施することとした。このうち、今年度は10か所について実施設計を行っており、次年度からは順次、工事を進めていく。
加えて、能登半島地震では、医療施設や防災拠点など人命に関わる重要な施設で地震発生時でも水を使えるようにするためには、下水道施設の一体的な耐震化や上下水道一体での支援体制の構築などが重要であると認識されたため、本県において、新たにあいち防災アクションプランに上下水道施設の一体的な耐震化の促進や、自治体間や民間団体との連携強化を位置づけた。
具体的には、被災時に即座に対応できるよう、県と県内市町村の上下水道事業者が公益社団法人全国上下水道コンサルタント協会と技術支援協定を先月締結し、また、事業者が一体となった情報伝達訓練を今年度も実施していく。
【委員】
今、答弁をもらったことが、まさに必要な取組である。水道が復旧しても、下水道が壊れていて水道が結局使えないため、一体的な耐震化が必要だと指摘している。また、マンホールについても、能登半島では、1メートル余り地上に浮上したことで、車両の通行が大いに阻害をされたため、マンホール浮上対策は、しっかりやっていかなければいけない取組だと思う。
当県でも、南海トラフ地震で液状化の発生する危険度が高い地域は、尾張西部、西三河南部、東三河中部、平野部に分布していると認識している。この地域で、もしマンホールが浮上すれば、交通への影響は計り知れないものがあるため、しっかりと緊急に対応しなければならない。今、指摘してもらった箇所を中心にしっかり進めてもらえればと思う。
また、東日本大震災では、液状化によってマンホールの中に土砂が堆積し、下水道の流下機能が阻害されてトイレの使用制限が生じたため、土砂堆積の要因となったマンホールの側塊の目地ずれを抑制することも必要だと指摘されているため、そうしたこともマンホールの浮上対策と併せて進めてもらうよう願う。
病院事業庁関係
【委員】
愛知県がんセンターについて伺う。
令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書35ページの研究研修費に当たる、MDアンダーソンがんセンターとの連携事業について伺う。
昨年度、MDアンダーソンがんセンターとの連携事業が実施され、先ほどの報告の中でも、人材交流や共同研究事業、合同シンポジウムが行われたとのことだが、具体的にどのようなことが行われたのか。
【理事者】
MDアンダーソンがんセンターとの連携事業としては、昨年度は、共同研究、人材交流及びシンポジウムの開催を実施した。
共同研究については、がんセンター内で研究テーマを公募し、選定委員会において3件を選定した上で、昨年6月からプロジェクトを開始した。具体的な研究内容は、成人T細胞白血病リンパ腫のリスクに関わる遺伝子の解明、膵がんの新規治療標的分子の探索、分子標的薬の耐性克服法の開発で、疾患や病態の克服を目指す橋渡し研究となる。
次に、人材交流については、世界最先端の医療現場及び医療システムについて学ぶために、昨年度は、がんセンターの医師等4人をMDアンダーソンがんセンターに派遣した。
最後に、シンポジウムについては、本年2月15日に、MDアンダーソンがんセンターから研究者3人を愛知県に招聘し、知事にも挨拶してもらい、昨年12月1日に開設60周年を迎えたがんセンターの記念事業の一つとして開催した。
【委員】
今後、この取組をどういったことにつなげていくのか、成果について伺う。
【理事者】
まず、共同研究について、MDアンダーソンがんセンターとのがん予防研究や橋渡し研究を着実に推進している。3年間の研究期間の1年目に当たるので、今後、具体的な成果が得られてきたら、社会や臨床の現場に還元して県民の命を守り、健康リスクに適切に対処できるように取り組んでいく。
これからも研究所では、こうした取組を通じて、最先端のがん研究の充実を図り、新しいがん医療を開拓していく必要がある。
【理事者】
続いて、人材交流については、これまで派遣された職員による院内報告会を2回開催するなど、得られた新たな知見をがんセンター全体で広く共有してきた。こうした取組が組織全体の専門性の向上につながっていると考えている。
今後も医療人材の育成に積極的に取り組んでいく。
最後に、シンポジウムについては、その開催を通じてがんセンターのブランド力の向上が図られたと考えているため、引き続き、発信力のある取組を重ねることで、日本をリードするがん医療の拠点として存在感を一層高めていきたい。
【委員】
より一層の存在感を高めていくとのことだが、2024年4月策定の新愛知県がんセンター基本構想や、2025年3月策定の新愛知県がんセンター整備基本計画においても、こうした連携は明記されている。
新愛知県がんセンターの建て替えに当たっては、今後、これがどのように役立つと考えているのか、その考えを伺う。
【理事者】
新愛知県がんセンターの建て替えに当たっては、本年4月、大村秀章知事がMDアンダーソンがんセンターを訪問した際、現在検討を進めている新愛知県がんセンターの整備に大きく寄与し得る協議をさらに深めていきたいとの期待を述べ、MDアンダーソンがんセンターからも協議をさらに進めていく旨が表明されている。がん治療の全米一の病院と評される世界有数のがんセンターと連携を強化することで、愛知県がんセンターの高い医療・研究レベルをさらに向上させ、県民の健康、安心に貢献することができるものと考えている。
また、こうした連携を対外的にPRすることで、患者の増加及び医師をはじめとした人材の確保が期待され、安定した運営にも資するものと考えている。
【委員】
私も昨年、MDアンダーソンがんセンターを訪問した際に、臨床数、規模感など、全米だけではなく世界一大きながんセンターだと思った。この愛知県のがんセンターが、今後、よりそういった臨床検証をしながらレベルを上げてもらえるよう願う。
続いて、あいち小児保健医療総合センターについて伺う。
令和6年度愛知県病院事業報告の15ページ、(4)職員の状況のうち、保育士(チャイルドライフ担当)について質問する。
令和6年度末で5人が配置されているが、治療が必要な入院、外来の子どもたちへの対応について、この配置の考え方を伺う。
【理事者】
当センターでは、21病棟、22病棟、23病棟、31病棟、32病棟と五つの病棟で、小児入院医療管理料を算定している。そこでは、それぞれ1人の常勤の医療保育士が、担当病棟で主に勤務しているという施設基準を満たすことで、さらに診療報酬点数を加算して算定できることから、5病棟に各1人配置している。
そのほか、小児集中治療室と新生児集中治療室には、一般職非常勤職員である保育士1人が担当し、さらに、外来では、臨時職員である保育士4人が担当している。
当センターでは、このように保育士を配置しているが、状況に応じて保育士全員で協力し合い、入院及び通院する子どもたちの療養環境がよりよくなるよう努めている。
【委員】
一般的な保育園と違い、あいち小児保健医療総合センターの保育士には、どのような役割が求められているのか。
【理事者】
当センターの保育士は、実際には医療保育士というが、一般的な保育園の保育士とは大きく異なる役割が求められている。例えば、プレパレーションという、手術や治療を受ける子どもに事前にその内容を説明することで、子どもの心の準備ができ、主体的に医療を受ける気持ちを整えることができる。保育士は、こうした活動に携わっている。また、遊びを取り入れて、治療や検査時に感じる痛みや不安、恐怖、ストレスから気持ちをそらす活動であるディストラクションにも関わっている。こうした活動は、保育士の日課に組み込まれており、子どもたちが医療について十分な説明をされ、思いやりのある医療を受ける上で大きな役割を果たしている。
さらに、アトリウムでのイベントや遊びの提供、院内の壁面や空間の装飾、ボランティア活動の受入れなど、外来での保育活動や療養環境の整備、さらに、虐待を受けた児童への対応や、終末期の子ども本人や家族、兄弟のケアなどにも当たっている。
このような専門性の高い業務を十分に果たすため、当センターに勤務する常勤の医療保育士は、全員が病児を支援する専門資格を持って業務に従事している。
【委員】
今、答えてもらったとおり、高度な医療によって患者や家族の安心を提供するだけではなく、ここに入院する不安に押し潰されそうな子どもたちの心の安心など、そういった大きな意味がある。慣れない環境の中で、家族以外で安心感や楽しみを用意することはとても重要なことである思っている。
あいち小児保健医療総合センターは、一日平均患者が135.8人とある。その平均患者数によって、今だと、各病棟1人ずつの配置で5人が常勤とのことである。ベッドサイドでは令和6年度では年間約6,000人、ディストラクションを受けたのは約2,500人、プレパレーションは約1,400人との数字が出ている。1人当たり1日でどれぐらいの子ども、患者を保育士が看るのかそれぞれ計算していくと、ベッドサイドでは1日5人、ディストラクションでは1日2人、プレパレーションでは1日に1人といった形になってくると思う。一日平均患者数を考えると、保育士と接する時間は、非常に少なくなっていると感じる。
そのため、心の安心や安定を考えたときに、高度な医療だけではなく、環境面での整備で、もう少し配慮してもらえたらよいと要望する。
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の4ページに、医師の定数と現員の表がある。定数と比較して、がんセンターで9人、精神医療センターで2人、あいち小児保健医療総合センターで2人、合計13人の医師数の定員に対する欠員があるとのことだが、この要因について伺う。
そして、その要因に対して、令和6年度に取り組んできたことと、今後の方向性についての考えがあれば伺う。
【理事者】
医師については、病院事業中期計画(2023)の取組方針である高度先進的な専門医療と政策医療の提供のため、これまで積極的に定数増を図り、確保に努めてきたが、全国的な勤務医不足の影響から欠員となっている。
医師の確保に向けては、大学医局への働きかけのほか、ホームページでの募集や、医学系大学に向けた公募を行うなどしている。しかしながら、例えば、集中治療や救急など特定の分野の医師不足が深刻であり、また、県立病院は専門病院であることから、採用に当たっては、一定の技術レベルが求められるという事情もあり、直ちに欠員を解消することは難しい状況にある。
近年の取組としては、専門医の資格取得を目指す医師である専攻医や、さらなる専門領域の資格取得を目指す若手医師を積極的に受け入れることで医師の確保を図っており、引き続き、県民の安心・安全な医療を提供できるよう取り組んでいく。
【委員】
新専門医制度対応分なども含めていろいろと対応していると聞くが、まだ足りない部分も結構あり、その辺りのバランスも考える必要があると思うため、またよろしく願う。
次に、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の34ページ、医業費用について記載があり、医業費用増加の要因としては、給与、時間外勤務手当及び勤勉手当の増加によるとある。
時間外勤務手当額は、令和5年度と比較して令和6年度は約4.3パーセントの8,203万5,000円の増とのことである。この要因については、給与の上昇分が含まれているとのことだが、時間外勤務の時間数については、令和5年度と比較し、令和6年度は約2パーセントの6,305時間の増と聞いている。
延べ入院患者数の増が、前年比で約8.3パーセントの増とのことであるが、時間外勤務時間数が増えている要因の一つでもあるかと推察するが、時間外勤務時間数が全体的に増えていることに対して、先ほどの医師の定数の話もあったが、看護師の配置状況も含めて、各病院の現状について、愛知県、病院事業庁としてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
令和6年度の職員の時間外勤務の年間総時間数は、前年度比で約2パーセントの増加となっており、その内訳を職種別に見ると、医師は前年度比約2.9パーセントの増加、看護師は前年度比約3.1パーセントの増加、その他医療技術者は前年度比約0.7パーセントの増加、事務は前年度比約8.1パーセントの減少となっており、医師と看護師が特に増加している。
この主な理由としては、入院患者数が増えたことによるものと考えられ、各病院の状況を言うと、がんセンターでは、延べ入院患者数が約7.9パーセント増えたのに対し、昨年度末時点の職員の現員数は、医師が約4.2パーセントの増、看護師が約1.8パーセントの増にとどまっており、また、精神医療センターでは、延べ入院患者数が約5.6パーセント増えたのに対し、医師が約5.9パーセント増、看護師が約2.3パーセント減、また、あいち小児保健医療総合センターでは、延べ入院患者数が約13.2パーセント増えたのに対し、医師が約2.2パーセント増、看護師が約0.3パーセント減となっていることが理由として挙げられる。
病院は、24時間体制で患者の命を預かる現場である。時間外勤務をゼロにすることはできないが、時間外勤務の増加は、県民に提供する医療の質にも影響する可能性があるため、今後とも安心・安全な医療を提供できるよう、引き続き人材の確保に努め、時間外勤務の縮減に取り組んでいきたい。
【委員】
安心・安全な医療提供という部分と、健全な病院の運営という部分もある。近年だと、働き方改革等もあるので、がんセンターも、あいち小児保健医療総合センターも、精神医療センターもそうであるが、そこにしっかりと定着してもらうことも願う。また、資料には、医師、看護師、という形での年間の総時間数があるが、できたら、診療科ごとの数字が出る形にしてもらえるとよいかと思う。引き続き、しっかりとした病院の運営を願う。
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算の概要の38ページ、職員数の推移について伺う。
まず、人材の確保、とりわけ看護師の確保、定着について伺う。
病院事業中期計画(2023)の目指すべき方向性の中で、高度先進的な専門医療という部分と、人材の育成という点がある。この目指す方向性を支えるのが医療人材の確保と育成であると思う。
同じく、病院事業中期計画(2023)の中で、策定当時の数字だと思うが、愛知県内の看護師数が載っていた。6万4,927人であった。愛知県の人口10万人当たりの看護師数が860.8人、一方で、全国平均は1,015.4人で、愛知県は全国平均に比べると少ないという記載がされていた。
そのような環境の中で、病院事業庁としても様々な看護師確保の対策を取っていると思うが、令和6年度の看護師の状況について、看護師の充足状況、看護師の離職率及び看護師確保に向けた取組状況、特に院内保育所を開設しているとのことであるので、その活用状況について伺う。
【理事者】
看護師の充足状況については、本年4月1日現在で、定数886人に対して、産育休者等を除いた実働者数は891人で、5人の過員となっている。
看護師については、年度途中に産育休や退職等が生じる際に、直ちに代替職員を確保することが難しいため、あらかじめ一定の過員を配置するといった運用上の工夫を行い、病院運営に支障が生じないよう努めている。
次に、看護師の離職率については、令和6年度の病院事業庁の離職率は7.2パーセントとなっており、公益社団法人日本看護協会による全国調査の離職率11.3パーセントと比較すると、低い状況にある。
最後に、看護師確保に向けた取組については、ホームページでの情報発信や病院見学の実施、就職情報サイトへの掲載、就職説明会への参加といった取組のほか、民間マンションを借り上げて、看護師宿舎として活用することとし、がんセンターは平成26年度から、あいち小児医療総合センターは平成28年度から運用を開始している。
また、院内保育所については、がんセンターは平成26年度から、あいち小児保健医療総合センターは平成29年度から運用を開始し、看護師、医師、また、空き状況によるが、ほかの医療従事者の子どもも受け入れるなど、病院現場で働く職員の確保対策に努めている。
【委員】
実働者数が5人プラスとのことであるが、年度の途中で辞める人、産休に入る人もいると思うため、欠員を起こさない点では大事なポイントだと思った。
それから、離職率7.2パーセントは、大変優秀な数字だと思う。医療、介護に限らず、全体で調べたら、全産業平均13.9パーセントであるため、そういったところから比べてみても、病院事業庁の取組の結果がこの数字に表れていると感じることができた。
その一つの要因としては、愛知県内は、特に都市部、名古屋市は、働き口がたくさんある産業圏でもあるので、看護師確保に大変苦慮する側面もあるかと思う。他の民間病院との獲得競争も引き続き、看護師を確保し、不足が生じることのないよう取り組んでもらうよう願う。
続いて、令和6年度愛知県病院事業報告の巻頭言、はじめに、に記載のあった入退院支援センターの新設について伺う。
一昨年、福祉医療委員会でがんセンターを視察した際に、メディカルソーシャルワーカーが、退院患者の支援において人手不足があるといっていた。特に退院手続とは別で、患者が地域に戻ったときに、地域のケアマネージャーなど、医療や介護サービスとの連携という部分で、特にいろいろなサービスができ、そして、退院する患者の家庭の経済的な状況など多様に条件が重なり、地域連携、退院手続に時間が割かれていると聞いた。
それを聞いた当時の令和4年度の入院者数を、この令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の27ページで確認することができたため、数字を見たところ、令和4年当時、年間10万9,389人が入院していたとのことである。令和6年度の実績は13万1,488人で、実に120パーセントアップしている状況であった。
この数字を見ると、当時のメディカルソーシャルワーカーは大丈夫だろうかと、思わず心配になるアップ率であったが、そのような中で、令和6年度に入退院支援センターが新設されたとのことである。設置することになった経緯、職員の体制、取組の内容、効果について伺う。
【理事者】
入院前の医療機関や退院後の医療機関との連携を含めたサポートを一貫して提供するために、2024年4月に、地域医療連携・相談支援センター内に入退院支援センターを設置し、現在、管理者である看護師長1人の下、看護師8人と非常勤看護師2人で業務に当たる体制としている。
取組の内容としては、入院が決定した患者、家族への問診を実施し、退院後の生活を見据えた早期アセスメントを実施するとともに、入院中に必要なケアの充実を図っており、具体的には、手術や検査に関するオリエンテーションや問診等を実施し、そうした情報を基に、入院後3日以内にセンター看護師と病棟看護師が連携し、入院前問診で得た情報やアセスメントを基に退院支援カンファレンスを実施することで、退院後も安心して生活の場に戻れるように支援調整を行っている。
設置の効果としては、これまで1日12人から13人であった面談を、プライバシーの確保に留意しつつ、1日30人以上の面談が実施できるようになった。入退院支援の業務を集約化することによって、より多くの患者の支援を効果的に行えるようになったと思っている。病棟看護師の負担の軽減も図られている。
また、業務の効率化だけではなくて、入院前から入院後、退院後を見据えた患者支援を行うことで、患者にとっても安心した入院生活ができるようになったと自負している。
【委員】
一番大きなポイントは、これまで12人から13人だったのが、30人以上になり、キャパが大変大きくなったことである。
病院事業中期計画(2023)の中で、16指標設定している中で、がんセンターの病床利用率は、昨年度は目標78パーセントに対して72パーセントであった。令和7年度以降は、それに向けてさらなる入院患者の受入れ、需要増に応えていくと思う。
そういった中で、先ほども委員の質問に対して、時間外の勤務時間の答えがあった。看護師が3.1パーセントの増、一方で、事務職が8.1パーセントの減とのことで、もしかしたら支援センターの機能が発揮されているのかと感じたが、いずれにしても、まだまだこれから需要が増えて対応していかなければいけない中で、ひとまず、1日30人は事務対応が可能になったとのことであるので、患者の質的向上と、働く皆のワーク・ライフ・バランスという両てんびんを支えながら、引き続き、県民に良質なサービス、医療を提供してもらうよう願う。
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算書の5ページ及び6ページの損益計算書によると、令和6年度において、県立病院事業は約12億5,100万円の純損失を計上し、累積欠損金が467億円に達している。大変深刻な経営状況であると認識している。
公立病院の経営強化については、総務省から公立病院経営強化ガイドラインが発出されており、令和5年3月に策定された病院事業中期計画(2023)もこのガイドラインに沿って検討されたものと認識している。
このガイドラインの中で、公立病院経営強化の基本的な考え方として、地域の中で各公立病院が担うべき役割、機能を改めて見直し、明確化、最適化をした上で、病院間の連携を強化する機能分化、そして連携強化を進めていくことが必要であるとされている。
まず、この現計画の策定に当たって、三つの県立病院が民間病院を含むほかの医療機関との機能分化などをどのように考えて計画を策定したのか伺う。
【理事者】
総務省のガイドラインでは、公立病院に期待される主な役割、機能として、県立がんセンター等、地域の民間医療機関では限界のある高度、先進的な医療の提供、救急、小児、周産期、災害、感染症、精神などの不採算、特殊部門に関わる医療の提供が例示として挙げられている。
ガイドラインの内容を受け、病院事業中期計画(2023)では、まず、取組の基本方針の1番目に、がん、精神、小児の三つの専門医療において、地域医療を担っている市町村や民間の医療機関等と機能分担しながら、県内の中核機関として新興感染症等への対応も含め、役割を果たすと定めた。
これらの考え方の下で各病院の役割等を検討し、具体的には、がんセンターは都道府県がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療拠点病院として、ほかの拠点病院等との連携を強化しながら、県内のがん医療の中心的な施設としての機能を果たすことを具体的な役割として定めた。
また、精神医療センターは、精神科救急医療の最後のとりでとしての機能や、行政機関等との連携推進、災害拠点精神科病院としての災害時の精神科患者の受入れ、搬送拠点としての役割を果たすことを掲げている。
最後に、あいち小児保健医療総合センターについては、県内唯一の小児救命救急センターとして、県内全域の医療機関から重症患者を受け入れること、心臓病や高度治療を要する周産期医療の強化などを果たすべき役割等として計画に位置づけている。
【委員】
それぞれ機能分化という意味では、民間に委託できない、公立としての役割が十分にあると認識した。
県立病院に求められるこうした役割を将来にわたって提供していくことは、持続的な経営を実現していくことが不可欠であるともいえる。
この467億円という多額の累積欠損金を、今後どのように解消していくのか、考えを伺う。
【理事者】
中期計画においては、三つの病院がそれぞれの経営の安定化を目指し、収益確保や経費削減等の取組を進めることにより、2027年度までの計画期間の毎年度、病院事業全体が単年度で経常黒字を達成することを目標としている。
昨今の物価や人件費の高騰により、病院経営を取り巻く環境は大変厳しくなっているが、現状に対する危機感を病院事業庁全体で共有し、職員が一丸となって一層の経営改善に取り組むことにより、引き続き、健全な経営基盤の構築に努めていく。
【委員】
医業未収金について伺う。
令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の5ページに、過年度に属する医業未収金については、令和6年度末時点で716件、9,873万余円となり、前年度末と比較して件数、金額ともに増加したと記載がある。
同じページに表が載っている過年度医業未収金の年度別推移について、令和2年度から減少傾向であったが、増加に転じている。その要因を伺う。
【理事者】
未納となっている診療費等のうち、1年以上未払のものは不良債権となるおそれがあることから、過年度医業未収金として整理している。
令和5年度末と令和6年度末を比較すると、563万135円増加したが、主な要因としては、新型コロナ禍から患者数が回復してきたことに伴い、入院外来収益が増加したため、その中から新たに発生する医業未収金も増加したものと分析している。
【委員】
収益に比例して未収金も増加したとのことである。
それでは、その未収金の回収について伺う。6か月以上未払となっている個人未収金を対象として、法律事務所に対して回収額に応じた完全成功報酬制による回収業務委託を行っていると聞いている。職員では回収困難となっているものが、弁護士による働きかけによって支払いに応じてもらえることがあるため、効果があるとのことであるが、令和6年度の回収率はどうであったか伺う。
【理事者】
委託の対象とする未収金の範囲は、過年度の個人医業未収金で、具体的には1年以上未払いで回収が難しくなる可能性が高いものを委託することとし、回収額に応じた完全成功報酬制による回収業務委託を弁護士法人と契約している。
令和6年度は、前年度までの継続委託分を含め、5,679万8,676円を委託し、うち152万2,220円、委託額の2.7パーセントを回収した。
【委員】
152万円を回収し、回収率が2.7パーセントであるとのことだが、これは低いような気がする。それだけこの業務委託している債権回収の案件が難しいということだと思う。
医業未収金の中には、本人が死亡した場合や海外に転出して行方が分からない場合など、明らかに回収が不可能な事案もあるのではないかと推察する。そのような案件に対しても法律事務所に回収業務を委託するものなのか、回収不能案件については、債権放棄という形で会計処理上の不納欠損処理をすべきと思うが、そのような規定について伺う。
【理事者】
本人が死亡した場合や、海外に転出して行方が分からないような場合においても、保証人へ未払い医療費を請求することとなるので、必要に応じて回収業務を委託することとなる。
回収のためあらゆる手段を尽くした上で回収することが不可能な場合には、地方自治法第96条第1項第10号の規定に基づく債権放棄の議決を経た上で、会計処理上の不納欠損処理を行うこととなるので、債権放棄を行う際には、放棄するための議決を願うこととなる。
【委員】
過年度に発生した未収金が累積し、継続委託分がだんだん膨大になっていくことを心配している。令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書にも、医業未収金の発生防止にも一層努められたいと意見が添えられている。
そこで、未収金の発生防止に取り組んでいる内容と、令和6年度の新規に発生した未収金について伺う。
【理事者】
未収金は、早期に回収することは言うまでもなく、発生防止が最も大切であり、院内の各種会議において未収金対策の定期的な進行管理のほか、未収金発生事由の分析による具体的な対策の検討、情報交換を行い、病院全体で取り組んでいる。
このほか、医師による患者自己負担の概算金額の説明、事務職員や医事業務委託業者による入退院時及び定期請求時における支払い方法等の説明、ケースワーカーによる各種医療費補助制度、貸付制度の案内を行うほか、相談体制づくりも進めている。
また、計画的な退院を徹底し、土日退院の場合は金曜日までに会計処理を行うこと、退院時に患者が支払手続を済ませていることを看護師が確認した上で退院してもらうなど、診療部門と事務部門との連携強化を図っている。
なお、支払いに当たってはクレジットカード払制度を平成18年度から導入しており、患者の利便性を高めている。
また、各病院において未収金対策マニュアルを整備しており、さらに、病院事業庁経営課からも未収金催告、回収に当たって注意するポイントを具体的な事例に即して記載した通知を病院に出しており、実務で役立てるようにしている。
なお、令和6年度に発生した患者個人負担分の未収金については2億5,450万余円発生しており、本年7月までに、このうち2億3,850万余円を回収し、残額は1,600万余円となっている。
【委員】
努力しているし、新しい未収金を出さないように願いたい。公的医療機関であり、最後のセーフティーネットという役割もあるため、医業未収金の発生が完全にゼロになることは難しいと思う反面、公立病院だからこそ、この不公平は是正しなければならない。逃げ得があってはならないと思うため、一層の努力を願う。
次に、愛知県がんセンターの研究部門について伺う。
今年のノーベル生理学・医学賞に愛知県がんセンターにも研究生として在籍された、大阪大学の坂口志文特任教授が、制御性T細胞の発見とその免疫寛容メカニズムの解明によってノーベル賞に選ばれた。愛知県がんセンターの研究所での研究が後の成果につながったと本人も言っていた。その当時から優れた研究成果を上げていたものと推察する。このような研究の成果は論文として発表されると思う。
そこで、令和6年度愛知県病院事業報告の19ページに記載されているとおり、現在、がんセンター研究所では、令和5年度に93件、令和6年度には96件の研究所欧文原著発表ということで論文が発表されたと記載されている。
こうした論文はどのように評価されているのか伺う。
【理事者】
科学論文の評価は、発表直後から非常に高い評価を受ける場合から、学術的な重要性が認められるまで長くかかる場合がある。それに関しては、一概にいえず、様々ということになる。例えば、今回の坂口志文博士がノーベル賞受賞の対象になった1995年発表の論文に関しては、発表直後、全く受け入れられず、重要性が認められるまで非常に長くかかったことが知られている。坂口志文博士が愛知県がんセンターで行われた研究について、1982年に発表された二本の論文、これも制御性T細胞の発見の原点になったものだが、その重要性がようやく認められた。もう40年以上かかっていることになる。
このように、直近の評価のみでは研究成果の重要性は、なかなか測れないが、最近のがん予防や診断、治療に直結するような研究は、論文の発表直後から他の研究者によって検証がなされ、その結果を報告する他の研究者の論文に引用されることになるので、その引用回数、サイテーションインデックスという指標に反映されていく。こういった指標が重要なわけだが、研究所でも研究分野ごとの研究活動の状況を把握するために、論文の数だけではなく、高いレベルの専門誌に掲載されたか、サイテーションインデックスがどの程度か、直近のものは当然回数が少ないため、それを把握することによって、定期的に行われる外部評価委員会によって評価してもらっている。
例えば2023年に、がん予防研究分野から世界トップレベルの医学専門誌であるニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に発表された研究成果は、胃がんの発症予防に直結する研究成果として、2年間で200件を超える引用があり、診療ガイドラインにも引用されるといった短期間で注目されるような結果にもなっている。
研究所では、今後も県民の命と健康を守るために、直近だけでなく、長期間の評価にもつながるような学問的に質が高い研究を行っていきたい。
【委員】
先ほど委員の質問に、アメリカのヒューストンのMDアンダーソンがんセンターと共同研究や人材交流をしたり、一緒にシンポジウムを開いたりするとあった。私も1年前に北米調査団でそこに行き、そのような本当にすばらしいところと共同で取り組めるのも、愛知県がんセンターが常に論文を発表している、そのようなブランド力となって評価された結果だと思うため、今後も継続して研究成果をどんどん発表してもらいたい。
【委員】
今の委員の話にも続く流れになるが、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の5ページ及び6ページ、病院事業中期計画(2023)の主な成果指標のうち、がんセンター研究所について伺う。
今も話があったが、愛知県がんセンター研究所で研究生として学んだ坂口志文氏がノーベル生理学・医学賞を受賞した。この知らせは県民に感動をもたらすとともに、愛知県が長年にわたって支えてきた同センターの研究基盤の厚みを改めて印象づけた。
同センター研究所は、がん医療の最前線を支える研究拠点として全国的にも高い評価を得ているが、ここでは、その研究力の現状と今後の方向性を確認したい。
日本全体で見ると、研究開発力の低下が指摘されている。論文の被引用数、国際共同研究の件数、若手研究者の流出など、データを見ても、中国や欧米諸国との差が広がっている。その背景には、研究開発投資の総量の不足や、中長期的な人材育成、研究環境の整備の遅れがあると思う。
こうした状況の中で、地方における公的研究機関が果たす役割は大きくなっていると思う。特に、がん研究のように、臨床と基礎が連動して成果を出す分野では、病院と研究所が一体となって診療と研究に取り組む総合がんセンターである本県のがんセンターの存在意義は、極めて重いものだと思う。
そこで、二点伺う。本年度の病院事業中期計画で掲げた研究所の成果目標について、6ページにある、がんセンター研究所における成果指標の四つのうち、三つが達成されたとのことだが、未達成となった企業との共同研究件数が目標を下回った理由について、どのように分析しているのか。感染症の流行期の制約や企業側の研究費削減など外的要因もあると思うが、県としてどのように再起動を図っていくのか、具体的な方針を伺う。
また、外部の競争的研究費についても確認したい。県からの一般研究費など研究支援が限られる中で、外部の競争的研究費を少しでも多く獲得して、研究を実施し、成果につなげることが、今の研究者にとっては必須となっていると承知している。競争的研究費の獲得は、研究活動状況や研究環境の重要な指標でもある。
そこで、競争的研究費獲得状況と、その獲得のための研究基盤強化に向けた方向性を伺う。
【理事者】
指摘のとおり、企業との共同研究件数に関しては、令和6年度の目標を下回っているが、獲得した共同研究費の総額は目標を上回っている。この理由の一つとしては、研究開発の早期段階に当たる研究、例えば、治療法の候補の探索、あるいはその絞り込みといった研究は、企業にとって共同研究対象としてはリスクとして敬遠される傾向がある。その一方、実用化が近いと判断した治療法に関しての研究については多額の研究費を出す、こういった安全志向が最近あると考えている。
ただ、研究所では、企業とのマッチングの場を増やすために、昨年度は名古屋大学のトランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)が中心となって組織された産官学での異分野融合研究コンソーシアムの会員になって、ワークショップでの発表などを通じて研究を紹介している。
また、今後は、例えば、バイオテクノロジー関連の産官学を対象としたイベントに出展するなど、より多くの企業に積極的にアピールして、企業との共同研究を促進していきたい。
それから、もう一点、競争的研究費の獲得状況については、令和6年度の外部の公的な競争的研究資金獲得は76件、4億3,654万4,000円であり、病院事業中期計画の成果指標を達成している。この内訳は、科学研究費、それから国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)、それから国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)といったものが主なものだが、これらの競争的研究費への応募を所員全員に奨励するとともに、特に若手研究者の応募に際しては、申請書類の内部評価による指導を行うことによって、採択率を上げるようにしている。
また、平成31年から県の財政的な支援を受けて開始された重点プロジェクト研究事業により、当センター全体の研究基盤強化を図るために、研究用の検体、それから情報、研究技術の蓄積を行ってきている。これにより、個別研究での外部の競争的研究費の獲得は、事業を開始した年の7,364万6,000円から実に6倍に増えている。こういったことが研究基盤が強化されていることを示していると思う。
さらに、研究費獲得により得られる間接経費を用いて、研究所の研究に必要なハードインフラ、それからソフトインフラの整備も進めることができており、例えば、最近の人工知能(AI)や機械学習を用いた医学研究なども遅滞なく進めることができている。
【委員】
一生懸命やっていることはよく分かった。
その上で、今度は研究人材の確保について伺う。
近年、全国の公的研究機関で若手研究者のポスト確保が難しくなり、定年退職後の継承や研究継続に課題が生じている。一方で、がん研究者の数も減っており、一部の研究機関に集中する結果、地方の大学や研究機関では、次世代のがん研究を担う優秀な若手研究者の確保が困難になっていると聞く。
同センター研究所でも、採用と退職のバランスや欠員の状況に課題はないのか、また、研究者のキャリアパス確保にどのように取り組んでいるのか、今後の方針を伺う。
特に、坂口志文氏のような基礎研究から世界的成果を目指すには、今、40年との話があったが、長期的な研究支援と挑戦的な研究を許容する、そのような環境が不可欠である。県として、研究者が安心して挑戦できる体制をどう維持、拡充していくのか、見解を伺う。
【理事者】
研究員については、当センター研究所でも研究の専門性などもあって、退職後、すぐに次を採用することが困難であるため、一時的に欠員が生じるといった課題があると考えている。
令和7年4月1日現在の研究所の研究員は、定数42人に対して18人の欠員となっているが、これは2人の分野の分野長が選考中であり、さらに新たに異分野融合研究領域を設置することとしたため、12人を一時的に欠員としていたことによるものである。12人のうち、2人の分野長の選考は進んでおり、残る10人についても、分野長決定後、速やかに当該分野の研究員の採用を進めていきたい。
それ以外の六つのポストに関しても、今年度中に既に4人が採用されており、残り2人も来年度に採用予定となっているので、順調に進んでいる。
もう一つ、多彩な研究者のキャリアパスの確保については、研究所でも外部講師によるセミナー、それから医療系大学などでの教育機会の提供などにより、積極的に取り組んでいる。
また、研究所では、任期付の研究員と任期を定めない研究員の二つの雇用形態を用意しており、指摘のような挑戦的な研究を許容する環境と、それから長期的な研究支援を両立できる環境を実現していると考えている。
魅力的な研究環境を若手研究者に提供することで、今後も世界的ながん研究の成果を生み出すことができるよう努めていく。
【委員】
今、金の話と人材の話をし、それぞれ努力しているのはよく分かったが、人と金が全てなので、しっかり今後も取り組んでもらいたい。
もう一点、別の角度だが、がん研究の今後を左右する重要なテーマとして、ゲノム解析データの活用がある。愛知県がんセンターは、全国でも先駆けて、がんのサンプルデータを蓄積し、臨床情報と結びつけた高度な解析基盤を持つと承知している。
その一方で、全国規模でのビッグデータ化は、個人情報保護や倫理的課題を含めて、その進捗が緩慢になっているとも聞く。
県として、国や他機関とのデータ連携、共同研究の進捗状況をどのように把握し、どのような課題があると認識しているのか、また、愛知県発のがんゲノム研究の強みをどう発信し、地域発の成果を国全体に還元していくのか、具体的な方向を伺う。
【理事者】
指摘のとおり、当がんセンターは、全国に先駆けて、病院の初診患者から生活習慣などの情報や血液の検体をもらって、診療情報と合わせて、がんの予防や診療に役立つような疫学研究を行っている。これは、平成25年度で一旦、収集は終了しているが、当センターでの研究方法は国立がん研究センターなど各地に広まるとともに、当センターで蓄積されたデータが国内外の研究機関との共同研究でも利用されており、日本でのがんゲノム疫学研究の拠点となっていると考えている。
また、指摘があったように、さらなる国内でのビッグデータ研究を目指して、国内の六つの分子疫学研究グループが結集して、安全なクラウド環境上で45万人規模でのゲノム疫学研究が可能な体制を愛知県がんセンターが中心になってつくった。指摘のあった個人情報などのデータの安全性、倫理的な課題もクリアしながら、レセプトデータや地域による社会経済格差など、様々なビッグデータを入手し、これらをつなげることによって、健康格差や医療格差の原因と介入方法を探る研究にも取り組んでいる。
これまでの愛知県民の協力の下、このような強みをさらに発展させるために、平成29年度から当センター全体の事業としてバイオバンク事業を新たに開始した。バイオバンクの試料の蓄積は進んでいて、これらの試料やデータを利活用して、他の研究機関、企業とがんの新規診断、治療法の開発につながる共同研究等を実施し始めている。今後は、これらの試料を使って、さらにゲノムデータを解析した上で、ビッグデータとして活用していきたい。
【委員】
45万人規模のゲノム疫学研究ができる体制をがんセンターが中心になってつくったとのことであり、まさに今後のがん研究、がん治療の大きな礎をつくっているわけであり、その上で、バイオバンク事業に私は注目している。ここには、たくさんの検体があり、この検体がさらにビッグデータ化されれば、がん治療がさらに進化、進歩していくと思うので、バイオバンク事業の新たな展開も期待する。
最後に、まとめになるが、坂口志文氏の受賞は、県の研究支援の成果が長期的に結実した象徴的な出来事であり、この機を捉えて、愛知県がんセンターが日本を代表するがん研究の拠点として、次世代の研究者育成や県民へのがん治療、がん研究の理解の促進にどのように取り組むのか伺う。
【理事者】
愛知県がんセンターは、これまで60年にわたり、病院と研究所が一緒になった総合がんセンターとしての強みを生かした、日本におけるがん研究の拠点としての役割を果たしてきた。研究力の高さと先進性は、がんゲノム医療をはじめとする高レベルのがん医療を県民に届ける形で還元する基盤となっている。
今回の坂口志文博士のノーベル賞受賞は、愛知県がんセンターの研究力を国内外に知らせる非常によい機会となった。これを機会に、協定を締結している名古屋大学との連携をさらに進め、次世代の研究者の育成に当たるとともに、現在も行っている当センターの公開講座や、研究所の高校生実験体験講座などの活動を通じて、県民の理解を促進し、今後も当センターを応援してもらえるよう取り組んでいきたい。
【委員】
次に、同じく、審査意見書の5ページ及び6ページにある病院事業中期計画(2023)の主な成果指標では、令和6年度における精神医療センターの成果指標のうち、訪問介護と包括型地域生活支援プログラム(ACT)の訪問件数が目標を下回っている。
まず、ACTの実績が目標に達しているか、達していない場合は、その理由を伺う。
【理事者】
訪問看護とACTによる訪問を合わせた令和6年度の目標件数6,570件のうち、ACTの目標は3,160件であったが、実績としては1,678件となっている。
目標を大きく下回った理由は、中期計画では、ACTの24時間365日化を進めるとする上での計画としていたが、現状としては、主に平日、日中の支援体制としているためである。
なお、前年度の比較では、前年度の1,796件と、118件減少している。
【委員】
ここで、この訪問件数の減少が一時的なものなのか、それとも制度とか人員とか地域連携など、構造的な課題によるものなのかを順次、質問する。
愛知県では、平成27年度からACT事業を開始し、当初は地域移行のモデル事業として位置づけられた。当時の平成27年2月定例議会における議会答弁だが、このときには、院外の医療、福祉、生活支援を一体的に行う多職種チームによる訪問支援を整備し、当面は赤字を覚悟の上で、県立病院としてモデル的に実施するとされていた。
それから10年たった。精神医療センターにおけるACTの訪問件数や平均訪問頻度の推移、人員体制、対象の患者、そして退院の促進、また、再入院の抑制といった効果について、どのように評価しているのか伺う。
【理事者】
ACTの訪問件数の推移について、事業を本格的に開始した平成27年度の実績は1,561件であったが、直近3年間では、令和4年度が1,900件、令和5年度が1,796件、令和6年度は1,678件と減少傾向にある。
また、訪問頻度は、個人差があるが、おおむね週1回から2回程度で、事業開始時と大きくは変わらない。
ACTの人員体制は、医師1人、看護師3人、作業療法士1人、精神保健福祉士1人の計6人で構成されており、現在まで変更はない。
また、対象となる患者は、長期の入院患者や入院頻度が高い人など、重い精神障害を抱えている人で、この点についても事業のスタート時から変わっていない。
ACTは、一般的な訪問看護では地域で生活を送ることが難しい患者に対し、退院前から多職種チームが関わって、本人のニーズに合わせたきめ細かな支援を行い、地域の一般的な訪問看護や福祉サービスへとつないでいく機能を有している。
ただ、当初は、ACTがこのような患者をずっと支えていくとなっていたが、近年、そのようにつないでいくという機能に少しずつ変わってきている。
当センターの平均在院日数は、10年前は125.2日であったが、ちなみに現在、日本全国の精神科の平均在院日数は250日程度で、その時点でも半分ぐらいになっているが、昨年は62.7日と、さらに半分まで短縮しており、この日数の実現のためにACTが大きく貢献している。
また、退院後も様々な職種の専門家が見守ることで、必要に応じた適切な支援を行うことができるので、再入院を防止する効果も大きいと考えている。
このようなACTの支援により、これまで長期入院により処遇していた患者を、地域の一般的な医療、福祉サービス等へつないでいくことが可能となった。その結果、結果的にACTの対象者が、特に当院の入院患者の中では緩やかに減少していることも、実績件数の減少傾向にある理由の一つと考えている。
【委員】
私も答弁を聞いて大変すばらしいと思ったのは、平均の在院日数が現在62.7日とのことで、大きく短縮している。これがACTの一つの成果になる。
その反面、ACTは6人体制でやるわけで、これは10年間変わっておらず、数が増えるとは一般的には考えにくい。
そうすると、ACTを実施するに当たって、時間的制約等により訪問範囲が限られている。精神医療センターから30分以内の範囲でないとACTが動かないと思うが、訪問範囲外の患者に対してどのようにするかという話になる。訪問範囲外の患者に対しては、相談支援センターや訪問看護ステーション等のケア会議を設け、連携を図るとしていると思う。しかしながら、現場では、地域の民間訪問看護ステーションとの連携が十分に機能していないのではないかとの声もある。
その実態と、連携をより有機的にする考えを伺う。
【理事者】
ACTの対象者に限らず、患者の地域での生活を支援するため、地域や医療機関、行政機関との連携窓口である地域医療連携室において、関係機関とのカンファレンス・ケア会議を開催している。その開催実績は、2023年度が1,963件だったが、2024年度は3,182件と大幅に増加している。これは、年々増加している。この会議には、必要に応じて地域の訪問看護ステーションや相談支援センターなどの関係者にも参加してもらっているが、当センターの訪問看護の利用者と比べ、患者の状況などを把握する、共有する機会が少ないことが課題の一つである。
当院もACTとともに、一般の訪問看護もやっているが、同じ医療機関の中だと、行ったときにすぐどのような状況かとか、緊急な対応ができるが、外のところだと、どうしても、何週間か後に報告が文書で来る形になっており、その辺りが課題と思っている。
このような状況であることから、地域連携室を通じて、当院と地域の関係機関が常に顔の見える関係を構築していくことが重要である。
【委員】
続いて、ACTの収支バランスと利用者、患者から見た費用対効果について伺う。
ACTは、重度の統合失調症患者など、地域での生活支援が困難な人々を対象として多職種配置や車両運用など、コストが高いと指摘されている。
そこで、現在、ACTによる診療報酬収入と支出のバランスをどのように把握しているのか伺う。
【理事者】
現在、当センターがACTで算定できる診療報酬は、精神科訪問看護指導料の5,800円等で、1人1日当たりの平均単価は1万円となっている。2024年度のACTの件数1,678件を掛け合わせると、約1,700万円の収入となっているが、これを6人分の人件費等と勘案すると、支出が収入を大幅に上回る状況となっている。
【委員】
今度は、患者から見てどうかを聞く。患者から見て、1人当たりの治療費、統合失調症患者を中心とした精神医療費と比較して、ACTの費用対効果はどのように評価しているか伺う。
【理事者】
ACTの1回当たりの平均単価約1万円に対し、当センターの一般精神科病棟の平均入院診療単価は、慢性期の病棟で考えると、1日当たり1万7,000円となっている。1週間単位でこれを考えると、ACTを平日に2回利用する場合、約2万円となる。入院すれば、平日の5日間で約8万5,000円となるので、利用者から見たACTの費用対効果は高いものと考えられる。
逆に、医療機関からすると、経営的にはかなり難しいところがあって、それが地域でACTが広がらない理由の一つかと考えている。
【委員】
まさに二律背反の話で、そのジレンマの中でどうするか答えをもらった。
近年、国の精神保健医療政策では、入院中心から地域生活中心への流れが加速をしている。一方で、実際の地域移行には、住まい、社会参加、医療、地域の支え合いという四つの要素が必要であり、ACTは必要不可欠なものになると思う。
その一方で、今、話があったように、病院事業庁が厳しい経営状況にもなることも聞いた。
その上で、これまでの実績や課題を踏まえて、精神医療センターではどのようにACTに今後、取り組んでいくのか、また、地域精神医療体制の中核を担うために、どういった在り方を今後模索していくのか伺う。
【理事者】
ACTは、当センターのこれまでの実績を見ても、重い精神障害を持つ人々が退院後、住み慣れた地域で安心して生活を続けていく上で、非常に効果的な取組であると考えており、本県の精神科医療における中核的な病院として、ほかの医療機関では対応が困難な患者を受け入れている当センターに必要不可欠な機能であると認識している。
さらに、精神科医療は、強制入院に代表されるように、人権を制限するという問題があるので、そのような医療機関には極めて高いモラルが要求されており、そういった意味でも、中核的なモデル的な医療機関であらねばならないと考えて行っている。
それゆえに、ACT単体では採算を取ることができず、県内では当センター以外で導入が進まない状況だが、引き続き、ほかの医療機関のモデルになるように事業を継続していきたい。
さらに、今ある資源を有効に活用しつつ、関係機関との連携を深め、また、他県の先進事例も参考にしながら、地域の事情に合った新しい取組を模索するなど、精神医療センターが本県の精神科医療体制の中核医療機関としての役割を果たしていけるよう、今後も努めていく。
【委員】
決算審査意見書の3ページから4ページにかけて記載のある病院事業の経営改善について伺う。
先ほども質疑があったが、令和6年度の本県の県立病院事業は、経常損失が増加して、非常に厳しい経営状況にある。したがって、これから一層の収益の増加と費用の削減を図って経営改善を図ることが求められる。
この事業報告にも理事者から、高度先進的な専門医療及び政策医療を、安定した経営基盤の下に提供すると言及があったが、中核病院としての存在意義、役割を十全に担うよう、一方で、健全経営にも配慮しながら日々やってもらっていることを認識しているが、改めて3センターにおける経営改善の方針について、それぞれ伺う。
【理事者】
愛知県がんセンターでは、収益最大化と経費削減を目的とした経営改善プロジェクトチームを設置しており、その下に、新来患者や手術室の運用改善などのテーマごとにワーキンググループを立ち上げて、経営改善につながる様々な取組を検討、実施している。
例えば、新来患者の関係では、地域の医療機関との連携強化を進めるため、病院、クリニック、健診センターなどを積極的に訪問しており、ほかにも医療機関などが参加する中部地区がん医療連携学術講演会を開催するなど、紹介患者の増に努めている。
また、昨年度は、身体の負担が少ない手術を可能とする手術支援ロボット、ダヴィンチを1台増設した。手術室の運用改善については、この機器を最大限活用するため、手術室の空きをより効率的に運用し、手術件数の増加を図っていく。
引き続き、令和4年度に認定取得した特定機能病院のブランド力を生かしながら、より安全で高度な医療の提供に努めるとともに、患者及びセンターにとって魅力的で必要な機能を備えることで、一人でも多くの患者に受診してもらえるように、センターが一丸となって経営改善に努めていく。
【理事者】
精神医療センターでは、従来から地域の医療機関と連携を強化するため、地域の身体科クリニックなどの医師が当院の非常勤医師として治療に関与するオープンホスピタル、クリニックの医師向けの見学会、総合病院や精神科単科病院との意見交換会などを実施しているほか、身体科クリニックとの連携も検討するなど、新規患者数を増やすための様々な取組を実施している。
今年の6月からは、試行的に一部の病棟をよりニーズの高い急性期対応へ転換したことにより、入院単価が上昇した。
そのほか、今年度からアルコール依存症の専門医療機関としての対応をしており、さらに来年度からはギャンブル依存症の診療も開始できるよう準備しており、引き続き、専門的な精神科医療体制の充実を図っていく。
さらに、当センターでは、ジェネリック医薬品の採用を積極的に進めており、支出面での改善にも取り組んでいく。
【理事者】
あいち小児保健医療総合センターでは、小児の重症患者を積極的に受け入れており、相談元の医療機関と相談担当の医師、受入先のICUを電話会議システムでつなぎ、適切な介入をしながら患者搬送を行う小児重症患者相談システムを関係医療機関へ周知している。この取組により、小児集中治療室及び新生児集中治療室の病床稼働率が上昇している。
また、令和5年度から、LINEによる育児相談を開始し、さらに、昨年度は、センターのホームページのリニューアルを行っており、昨年度制作したセンターの紹介動画等に加え、今年度も新たな動画コンテンツを制作する予定であり、引き続き、一般県民に向け、当センターの取組や小児保健医療に関する情報の発信にも力を入れていく。
その他、診療材料を多く取引している業者とのスケールメリットを生かした価格交渉、手袋など使用する材料の標準化、在庫の削減、在庫定数の見直しなど、様々な取組を継続的に実施しており、今後も徹底した経費削減に努めていく。
【委員】
理事者から、医療者でありながら経営者の視野をしっかり持って、前広に網羅的に取り組んでもらっていることが確認できた。
公立病院の赤字の問題は構造的な問題だと思い、少し全国を俯瞰して調べてみたが、総務省が9月30日に昨年度、2024年度の地方公営企業等決算を発表しており、自治体が運営する全国678の公立病院事業全体の経常収支は、過去最大の3,952億円の赤字だったそうである。赤字幅は前年度から1,853億円拡大し、赤字となった病院の割合も過去最大の83パーセントである。そのため愛知県に限ったことではないが、これについては、国も6月に閣議決定した骨太の方針で、これまでの高齢化の伸びに加えて、人件費、物価高騰、あるいは病院経営安定を勘案した増額や加算を行う方針を明示している。
この予算措置の実現は我々の役割だと思うが、ぜひこれからも経営安定化に向けた取組を、病院事業報告にも記載してもらっているが、持ち場、立場で知恵を絞って取り組んでもらうよう要望する。





