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教育・スポーツ委員会審査状況(令和7年7月1日)

ページID:0606484 掲載日:2025年10月1日更新 印刷ページ表示

教育・スポーツ委員会

委員会

日時 令和7年7月1日(火曜日) 午後0時58分~​
会場 第5委員会室
出席者
 杉江繁樹、江原史朗 正副委員長
 峰野  修、いなもと和仁、高桑敏直、山下智也、南部文宏、杉浦哲也、
 富田昭雄、村嶌嘉将、岡 明彦、筒井タカヤ 各委員
 スポーツ局長、スポーツ監、
 アジア・アジアパラ競技大会推進局長、アジア・アジアパラ競技大会推進監、
 教育長、河野教育委員、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、教育部長、
 教育改革監、関係各課長等

教育・スポーツ委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

第104号 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
 第1条(歳入歳出予算の補正)の内
  歳出
   第9款 教育・スポーツ費の内
    第1項 教育総務費
    第4項 高等学校費
 第3条(債務負担行為の補正)の内
    高等学校施設長寿命化推進工事
第111号 愛知県立学校条例の一部改正について
第123号 訴えの提起について(定時制課程及び通信制課程修学資金貸付金返還請求事件)
第124号 訴えの提起について(奨学金貸付金返還請求事件)

​結果

全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
 第104号、第111号、第123号及び第124号

閉会中継続調査申出案件
  1. 学校教育の充実及び施設整備について
  2. 生涯学習について
  3. スポーツの振興について
  4. スポーツ局及び教育委員会の行政運営について

会議の概要

  1. 開会
  2. 議案審査(4件)
    (1)理事者の説明
    (2)質疑
    (3)採決
  3. 委員長報告の決定
  4. 一般質問
  5. 休憩(午後2時49分)
  6. 再開(午後2時59分)
  7. 閉会中継続調査申出案件の決定
  8. 閉会中の委員会活動について
  9. 閉会
主な質疑
議案関係

【委員】
 私からは、第104号議案、令和7年度愛知県一般会計補正予算のうち、第9款教育・スポーツ費、第1項教育総務費のうち、二つの事業について伺う。
 まず、公立高等学校等就学支援事業費について伺う。
 高等学校等の授業料に係る保護者の経済的負担軽減について、今年度から世帯年収約910万円の所得制限が撤廃され、世帯年収にかかわらず授業料が無償化されることとなった。例えば全日制の県立高校では、その年額の授業料に相当する11万8,800円が支給される。しかし、病気等やむを得ない事情も含め、3年間で卒業できず4年以上高校に通う生徒の家庭には4年目以降は補助が出なくなると聞いている。実際はどのような取扱いになるか伺う。
【理事者】
 今回の補正予算の増額分である国の高校生等臨時支援金における支給要件では、高等学校等に在学した期間が通算して36月、つまり3年、定時制、通信制課程の場合は48月、つまり4年を超えないものが対象となっており、全日制の高校では4年目以降は臨時支援金の支給対象外となる。これは従来の高等学校等就学支援金と同様の取扱いである。
 一方、本県においては教育の機会均等を図るため、国の制度を補う形で、経済的理由により学費の支払いが困難な県立高校の生徒に対して授業料等の減免を行っており、例えば市町村民税非課税の場合や児童扶養手当の全部支給を受けている場合は、全日制の県立高校4年目であっても授業料を免除する取扱いとしている。加えて、国に対して就学支援金制度について、支給月数の制限を緩和することなどを要請しているところであり、今後も引き続き働きかけていく。
【委員】
 経済的理由がある家庭に対しては愛知県としても援助をしており、国に対しては今の就学支援金を3年目以降も支払ってもらえるよう要望しているというような答弁だったと思うが、国に対して要望してもらうことはもちろん大変重要なことだと思うが、それがいつになったら認められるかは未知数であると思うので、その間愛知県として独自で何らかの、少なくとも病気等やむを得ない事情により3年間で卒業できなかった、あるいは4年間で卒業できなかった家庭に対して支援を要望する。
 次に、公立高等学校等奨学給付金支給費について伺う。
 低所得世帯の高校生等に対する授業料以外の教育費負担を軽減する奨学給付金について、国公立の全日制等の第一子と第二子以降の給付額を同額とするということで、第一子が13万1,500円、第二子以降が14万3,700円であったものを、一律14万3,700円にするとのことであるが、その支給費は7月1日の基準日から12月末までの間とされている。しかし、授業料以外の教育費というと、制服や体操服の準備、部活動に参加する場合はその道具代や遠征費など、入学前の3月に必要なもの、あるいは4月からすぐ必要なものが大半であるかと思われる。今年度に関してはもう既に7月であるが、来年度以降この制度が継続される場合、県が肩代わりするなどして、給付日を前倒しできないものか伺う。
【理事者】
 奨学給付金は国の補助事業を活用しているので、国の通知等に基づいて、県の給付金支給要綱等を定めている。その中に7月1日時点で当該年度の課税証明書の確認を行い、12月末までに給付金の支払いを完了することとしている。
 しかしながら、新入生については入学当初に多くの経費が必要となることから、前年度の課税証明書により早期給付が可能となることを3月に行われる合格者説明会などで周知をしている。具体的には、4月から5月末までに申請を行い、6月に3か月分の給付を受けるものである。残りの9か月分については、改めて7月に申請が必要となるが、こうした制度を活用している生徒もいる。今後も国の事業の枠組みを踏まえて、奨学給付金の事業に取り組んでいく。

一般質問

【委員】
 初めに、公立学校の充実について伺う。
 高校授業料の実質無償化に関して、本年2月の3党合意を受け、今年度からまず公立高校においては世帯年収約910万円の制限が撤廃され、全日制高校では年額11万8,800円が支給されるようになった。来年度には私立高校に関しても、世帯年収590万円の制限が撤廃され、世帯年収にかかわらず年額45万7,000円が支給されることとなっている。子供たちの教育機会の公平性を確保するという点においては大変喜ばしいことであるが、公立高校離れが懸念されている。私立高校の無償化を先行して進めている大阪府では、公立高校の定員割れが加速しているとも聞いている。本県ではもともと私立高校に対する授業料補助を独自で行っており、来年度からそれが必要なくなる。その予算をぜひとも公立高校の魅力化や公立小中学校の充実に活用してもらいたい。例えば、現在進められている中高一貫校をさらに拡大して、県立大学まで一貫教育とすることが考えられないか伺う。
 また、国は現在小学校全学年で35人学級を実現し、来年度から中学校で35人学級を実現する方針を示しているが、愛知県では既に先行して中学1年生まで35人学級が実現している。来年度、本県ではさらに先行して35人学級を実現することは検討できないか伺う。
【理事者】
 県立中高一貫校については、今年4月に附属中学校4校が開校したばかりなので、まずは現在の附属中学1年生に、そしてこれから入学してくる生徒に6年間の一貫教育をしっかり行っていきたいと思っている。そのため、現在県立大学までの一貫教育については考えていない。
【理事者】
 中学校の35人学級については、2009年度から第1学年において本県独自に実施しているが、委員指摘のとおり、2026年度から国は中学校に35人学級を導入する方針を示しており、本年6月13日に閣議決定された、いわゆる骨太の方針にもその旨明記されたところである。これまで小学校の35人学級については、2021年度から国が段階的に学級編制基準を引き下げるのに合わせ、県として1年先行して拡充をしてきた。県教育委員会としては、中学校の35人学級導入についても、小学校におけるこれまでの対応と同様に、国よりも1年先行して35人学級を実施できるよう検討していく。
【委員】
 次に、給食時間について伺う。
 私が聞いたこの話は、名古屋市の中学校の話のため直接愛知県の話ではないが、その中学校では午前の授業が終わるのが12時10分、名古屋市の中学校では、生徒が自分で家から持ってくる弁当のほかに、スクールランチといって事前に学校に注文しておく弁当もあるが、スクールランチの場合は係の子が取りに行く、日によっては食堂までみんなで食べに行く日もあるそうであるが、いずれにしても食べ始められるのが12時15分から20分ぐらいで、12時30分や35分にはもう片づけの時間になってしまう。他の市町村の小中学校や県立学校では、どれくらいの給食時間が確保されているのか伺う。
【理事者】
 愛知県教育委員会では、学校給食の管理と指導についてまとめた手引を各学校に配布をしており、準備、会食、後片づけを含めて、小学校では50分以上、中学校では45分以上を設定することを示している。各学校ではこれを踏まえて給食時間を設定している。また、県立高校ではおおむね35分から40分を昼食時間としている。
【委員】
 私の同僚の同じ団の県会議員で、この場にはいない人間だが、ちょうど息子が県立高校に今通っており、弁当を食べた後に合唱部の練習があるという話であって、もう毎日ほとんど弁当は半分残して帰ってきていると聞いたことがある。基準はあるということだが、ある程度基準はあっても細かい部分は各学校に任せられているところもあると聞いているので、いずれにしても子供たちが何らかのプレッシャーを感じて食べる時間がほとんどないとならないように留意してもらいたいと、要望する。
 最後に、暑さ対策について伺う。
 今年の夏も猛暑が予想されている。現在、学校現場ではWBGT値、つまり気温、湿度、輻射熱を総合的に測った値を基に、運動場での体育の授業を中止したり、体育館の部活を中止したりと、そのような判断をしていると思うが、例えば、工科高校の生徒は実習室で過ごす授業が多く、そうした工科高校の実習室だったり、定時制の食堂や調理場であったり、普通科の教室以外の特別教室、美術室、化学室、音楽室、家庭科室等であったり、そういった場所ごとに細かく測定できているのか伺う。また、普通の教室や体育館には順次エアコンがついてきているが、特別教室には、まだ十分にエアコンが設置されておらず、夏は暑く、冬は寒く難儀していると話を聞いている。また、ある学校の教頭先生に聞いたところ、定時制の食堂には夏は扇風機、冬は石油ストーブがあるが不十分であるということである。生徒だけでなく、学校で働く人には定時制の調理場で働く調理員もいるが、スポットクーラーはあっても、火を使った調理の人の暑熱対策が安全配慮義務を満たしているかも忘れてはならない観点であると思う。
 そこで、今後、特別教室等に対するエアコンの設置をどのようにしていくのか伺う。
 また、愛知県警察では昨年の夏から勤務中のサングラスの着用を正式に認めたと話があった。年々紫外線の量が増えているというデータもある。児童生徒等から登下校時のサングラスの着用希望があった場合どのように対応するか伺う。
【理事者】
 まず、暑さ指数の測定についてである。
 県教育委員会では、県立学校における教育活動の目安として、熱中症予防に向けたガイドラインを定めていて、活動場所における暑さ指数が31度以上の場合、原則として活動の中止や延期、活動場所や活動内容の変更を検討、暑さ指数が33度以上の場合は活動を中止している。各県立学校にはWBGT計測器を2019年に1台、2024年にはさらに3台を追加して措置をしているので、グラウンドや特別教室など、それぞれの活動場所で暑さ指数を計測し、ガイドラインに沿った対応をしている。
【理事者】
 年々暑さが厳しくなっていると言われている状況であるので、全てではないが、定時制の調理場においてもWBGT計測器を利用している学校がある。今後は教職員による熱中症発症の未然防止を図るためにも、執務場所におけるWBGT計測器の利用を働きかけていく。
【理事者】
 まず、特別支援学校については、2020年度までに全ての普通教室及び特別教室へ空調を整備した。2023年度から今年度までの3か年で体育館へ空調を整備することとしていて、今年度末までに全ての普通教室、特別教室、体育館への空調整備が完了し、設置率が100パーセントとなる。
 次に、高等学校については、2021年度から普通教室について公費による空調の整備、運用を開始していて、クラスルームの設置率は既に100パーセントとなっている。また、体育館、武道場については、昨年度から2027年度までの4か年で空調整備が完了する。なお、特別教室は2024年9月現在で53.8パーセントとなっている。工科高校の実習室、定時制高校の食堂や調理場、空調の設置されていない特別教室などが非常に暑いことは承知していて課題であると考えているが、まずは体育館、武道場への空調整備を着実に進め、特別教室等への空調整備の拡大については、できる限り早く行うことができるよう検討していきたい。
【理事者】
 最後に、サングラスの着用の関係である。
 サングラスの着用については、県教育委員会として指針等は示していないが、近年の気候変動や児童生徒の個別の事情を踏まえつつ、各学校において適切に判断されるものと考えている。
【委員】
 それでは、私からは2項目について質問する。
 まず一つ目の項目で、スクールロイヤー設置事業について伺う。
 文部科学省の調査によると、小中学校における児童生徒の暴力行為、不登校児童生徒数、そして、いじめの重大事態の発生件数というのは年々増加しているとのことである。これらの課題に対しては、学校は従来の法令に加え、いじめ防止対策推進法やこども基本法、いわゆる教育機会確保法など、近年整備された法令や子供の権利に基づく対応を行っていると承知している。そのような中、暴力行為に及ぶ児童生徒に対する指導や、いじめや不登校に悩む児童生徒の保護者の要望への対応などに苦慮しており、時には過剰とも思われる要求が繰り返し行われている小中学校もあると聞き及んでいる。学校現場において児童生徒や保護者との法律的な争いに関しては、対策が必要な事例が増加している状況に加えて、教員が法的対応に追われることなく教育に集中できるよう、法律相談の専門家による支援体制の整備が必要である。
 そこで、令和2年度から県が設置しているスクールロイヤーの積極的な活用が、今後、さらに有効であると考えている。
 そこで、三点について順番に聞いていく。
 まず一点目、2024年度の活用状況はどのようになっているのか。
【理事者】
 本県では20人の弁護士にスクールロイヤーを依頼し、小中学校や市町村教育委員会の求めに応じて相談を行っている。主な相談内容としては、いじめ事案への対応や保護者からの過剰な要求への対応、SNSによるいじめや犯罪行為に対する学校の対応などがあり、2024年度の相談件数は小中学校合わせて153件であった。スクールロイヤーを活用した教職員からは、法的な根拠を持って学校がすべきこと、しなくてよいことが明確になった、問題の核心が明確になり適切な対応ができたといった報告を受けている。
【委員】
 一定の効果があるということで、次に、学校で重大なトラブルが起きる前に、学校が法に基づく適切な対応について学ぶ機会も必要だと考える。現在、スクールロイヤーを活用した教職員への研修はどのような内容を実施しているのか。
【理事者】
 研修の内容としては、法に基づくいじめへの対応、学校の安全配慮義務、保護者等からの過剰要求に対する適切な対応、日常的なリスクマネジメントなどであり、2024年度は県内で22回実施した。このうち、管理職を対象とした研修会では、実際に起きたトラブルの例に対し、グループで対応策を協議した。その後、他のグループの発表を聞くことを通して、事案に対する組織的な対応の在り方や、対応する際の留意点について学ぶことができた。実際に参加した教職員からは、事案の解決に向けて、自分では気づかなかった視点を持つことができた、グループワークでは、解決を急ぐあまり子供のことを第一に考えていなかったことに気づけたとの感想があり、今後の円滑な教育活動の実施に向けて研修が有意義なものになっている。
 こうした研修を通して、いじめ等の未然防止や初期対応、保護者対応等について学び、法的な視点を持って対応することや、常に子供のことを第一に考えて日々の教育活動を行っていくことの大切さを現場の教職員に伝えていく。
【委員】
 この項目の最後の質問だが、今、本県議会において愛知県カスタマーハラスメント防止条例の案が提案されている。今後この条例が制定されれば、過剰要求等への対応の指針となる一方で、学校が本条例に基づく対応に苦慮する、悩むのではないか少し心配をしている。こうしたことを含め、スクールロイヤーの必要性はますます高まっていくと考えているが、今後どのように活用をしていくのか。
【理事者】
 現在、スクールロイヤーへの相談の多くは、深刻なトラブルに発展した事案となっている。しかし、トラブルが深刻化する前にその芽を摘むことができれば教員の負担軽減につながる。そのためには、教員が早めに相談することや、法的根拠を持って適切に対応できるスキルを身につけることが必要である。
 そこで、スクールロイヤーによる教職員研修において、トラブルになりやすい事例をより多く取り上げるとともに、新たにカスタマーハラスメント防止条例が制定された場合には、その内容を取り入れるなど、研修内容の充実を図っていく。こうした取組により、スクールロイヤーのさらなる活用を図ることで教員のスキルアップを図るとともに、トラブルの未然防止と早期解決につなげていく。
【委員】
 三点質問したが、この事業は有効であることが確認できた。愛知県のスクールロイヤー設置事業については、児童生徒の人権保護と教職員の支援という両輪で、今後の教育改革の一環としても大変有効な事業であると再認識したので、今後ともしっかり予算づけも含めて継続して取り組んでもらうよう、よろしく願う。
 それでは、二つ目の項目の質問に入る。
 二つ目の項目は、アジア競技大会についてである。2026年9月19日から10月4日まで、ここ愛知・名古屋を中心に第20回アジア競技大会が、また、10月18日から24日にはアジアパラ競技大会も実施されることになっている。このアジア最大のスポーツ大会には45の国と地域から最大1万5,000人の選手団が参加する壮大なイベントであると認識している。日本で夏季アジア大会が開催されるのは1994年の広島大会以来32年ぶりのことで、現在改修を進めている名古屋市瑞穂公園陸上競技場をメイン会場として、各地域の既存施設を有効活用することになっている。これによって建設費用を抑制しながら広範囲な経済波及効果が生み出されると聞き及んでいる。また、観光客の宿泊の需要や飲食、そして交通機関の利用増加によって、愛知・名古屋だけでなく近隣地域全体の経済の活性化が期待される。現在大会の開催まで500日を切っている状況であるが、メディア等によると、まだまだこの大会が県民の認知度が低く、PR、周知がまだまだ足りていないとメディアでも報道されているが、私もそのように感じている。
 そこで、一つ目の質問だが、この大会のPR資材、のぼりだとかそのような資材を県内の各自治体に配布して、市役所やその自治体の競技会場等において装飾することで県民の認知向上につながるのではないかと考えるが、この大会のPR資材を配布する予定があるのかどうか伺う。
【理事者】
 大会の認知度向上や機運醸成を図っていくために、各自治体へ大会のPR資材を配布し、多くの県民の目に触れるよう、庁舎や競技会場等への設置、各自治体が主催するイベント等で活用してもらいたいと考えている。本年9月には大会1年前を迎えることから、来月中に各自治体へコアグラフィックスを使用したのぼりや横断幕等のPR資材を配布する予定である。
【委員】
 来月中に資材を配布してもらえるということで、私の地元の碧南市でもビーチバレーの競技会場になっているので、しっかり装飾をして啓発に努めたいと思う。
 二点目、今年9月にはアジア・アジアパラ競技大会まで1年を切るので、大会の機運醸成というのは、今後開始されるチケットの販売に影響すると考えるが、今後どのような機運醸成の取組を行っていくのか。
【理事者】
 今年度の機運醸成の取組としては、県内市町村で行われるイベントや県内及び県外で行われるアジア競技大会のテストイベント、また、8月には大阪・関西万博においてPRブースの出展を行うなど、様々な機会を活用し、大会の周知、機運醸成を図っていく。今週末には東京都の国立競技場で開催される日本陸上競技選手権大会でのブース出展も予定しており、スポーツへの関心の高い層が集まる大会やイベントの機会を捉えて、しっかり大会のPRを行っていく。
 また、アジア競技大会、アジアパラ競技大会の開幕1年前となる9月から10月にかけて、名古屋市をはじめ、県内4か所で大会1年前を記念したセレモニーや競技体験等を行う1年前イベントを開催するとともに、1年前イベントに合わせて県内及び県外の会場所在地の人の往来の多い主要駅などでデジタルサイネージ等を活用した大会の集中PRを実施していく。
【委員】
 この項目について最後の質問をする。
 各競技が行われる自治体での、競技会場への輸送ルートについて聞いていく。このアジア・アジアパラ競技大会の開催に当たっては、自治体や道路管理者の中に、大会に向けた道路等の環境整備を前向きに検討しているところもあると聞いている。大会における選手等関係者や観客の輸送ルートがいまだに分かっていないために、道路工事等が進められない場合もあるとの声を聞いている。道路の整備うんぬんになると、各建設事務所で道路の幅や距離も決めて、予算の範囲の中で整備をするということで、各建設事務所も入札をかけていかないといけないので、整備に遅れが出ることを懸念している自治体もあると聞いている。そこで、選手等関係者や観客の輸送ルートについて、現在関係市町とどのような調整を行っているのか、現在の状況について伺う。
【理事者】
 選手等関係者や観客の輸送ルートについては、会場周辺の交通環境や来場者の移動手段の傾向といった各競技会場の特徴や、時間帯ごとの輸送ニーズ、道路の交通状況などを踏まえて、実現可能性の高いルート案を競技会場ごとに作成している。さらに、これらのルート案について、輸送事業者や愛知県バス協会などの業界団体、中部運輸局などの行政機関といった幅広い関係者が参画する輸送連絡調整会議でも意見をもらいながら精査を行っている。輸送ルートのうち、選手・関係者輸送については、選手等の宿泊先や輸送拠点の決定がルート案に影響するため、暫定的な情報を基に関係者と協議を進めている。宿泊先等が確定次第、速やかにルート案を更新し、関係者間で情報共有を行いながら調整を進めていく。
 また、観客輸送については、各競技会場の最寄り駅等から会場までのルート案を自治体等の関係者に示した上、ルート及び会場周辺の交通事情やシャトルバスを運用する場合のバス乗降場の設定などについての意見を聴きながら、具体的な検討、調整を進めている。
【委員】
 今三点、PR資材のことと機運醸成、それから、競技会場がある自治体の道路整備等について聞いたが、もう大会まで500日で、実際にプレイベント等もやる予定と聞いていると、実際には1年切っているというぐらいの認識でいないと、いろいろなところで準備が遅れているとか、情報が下りていないと聞く。しっかり各競技会場の自治体も巻き込んでやっていかないといけないことなので、スピード感を持ってしっかり準備をしてほしいということを要望して私の質問を終わる。

第5回アジアパラ競技大会500日前イベント画像
  第5回アジアパラ競技大会500日前イベント

【委員】
 先ほど委員から話があった熱中症対策についても、私から質問したいと思う。
 全国各地で猛暑日が記録され続けていて、まさに本年度は災害級の暑さが現実になっている。学校に通う子供たちの命を守る観点から、これまで以上に現場での対応、対策強化が求められる。
 それで、まず県内の学校における熱中症の実態について確認をしたいと思う。県教育委員会においては、豊田市で児童が熱中症で亡くなった2018年以降、学校管理下において発生した重症の熱中症件数、中等症の件数をどのように把握しているか伺う。
【理事者】
 学校管理下における熱中症の重大事故件数は、2018年度は6人、2019年度は2人、2020年度は2人、2021年度はいなかった。2022年度は1人、2023年度は1人、2024年度は1人となっている。
 なお、県教育委員会では各学校から重大事故の報告を求めているが、重大事故とは、死亡またはそのおそれがある場合、治療のため入院した場合、完治まで1か月以上を要する場合などとしていて、熱中症の中等症など、症状に応じた件数については報告を求めていない。
【委員】
 私から一つ強調したいと思うことがある。それは、重大事故の裏には、軽症や、いわゆるヒヤリ・ハット事例が数多く存在するという点である。ある研究では、一つの重大事故の裏には29件の軽微な事例と300件のヒヤリ・ハットが潜んでいるとされている。
 独立行政法人日本スポーツ振興センターでは、学校での熱中症発生状況を毎年全国調査している。都道府県別の数字は公開されていないが、各種統計データを基に、個人的に本県の発生状況を推測してみた。災害級の酷暑であった2018年度は約500件、コロナ禍で学校での教育活動に大きな制限があった2021年度の重症事故はゼロだが、約180件、その他の年度は200件の前半から半ばで推移をしている。県教育委員会が示した重症事案の裏には数百の事例があると推量ができるわけである。現場で発生した軽症の熱中症や、症状は軽かったものの早期に対応した結果、重症化を免れた事例についても教育委員会が系統的に把握分析をし、再発防止策に生かしていくことは、子供たちの命を守る観点から重要ではないだろうか。
 そこで質問する。
 こうした認識を県教育委員会としてどのように持っているか、その所見を伺う。
【理事者】
 県教育委員会では、熱中症を未然に防ぐことが重要であると考えている。県教育委員会が作成したあいちの学校安全マニュアルには、これまでの事例を踏まえ、熱中症の発生しやすい条件や、熱中症が疑われる症状が見られた場合の対応などについて示し、このマニュアルに沿って対応するよう求めている。現在、県教育委員会では、軽微な熱中症の事例までは報告を求めていないが、県教育委員会が毎年開催をしている県立学校及び小中学校の学校安全担当教員や県立学校の保健体育科教員を対象として実施している研修会で、各学校における軽症の熱中症や適切な対応により重症化を免れた事例などを収集する機会を設け、情報共有することで未然防止につなげていきたいと考えている。
【委員】
 この質問に至る経緯だが、実は私自身の経験があって、高校教員の時に、県大会の会場でうちの選手が今でいう熱中症になった。当時は熱中症という概念がなかったので、その試合を続行させるか否かで大変悩んだが、続行させた。事なきを得たわけだが、今考えるとまさにヒヤリ・ハット事例だと思うわけであって、それは私自身教職員としての見識が足りなかったという証左だと今思うところである。
 そこで、子供たちの命を守る、安全を守る教職員の育成について、熱中症に対する対策、見識を深めることについてどうしているか伺う。
【理事者】
 県教育委員会では、毎年6月に学校管理下における事故や災害の未然防止を目的として、県立学校、小中学校の学校安全担当教員を対象とした学校事故対応講習会を開催しており、その中で熱中症予防や熱中症を疑う症状があった場合の対応について、適切に対処できるよう指導している。
 また、毎年4月と12月に県立学校の保健体育科教員を対象として、熱中症予防を含む体育活動中の事故防止や事故発生時の適切な対応について研修を実施しており、こうした研修で得た知識を学校全体で共有するよう依頼している。
 加えて、例年6月頃に知事から県民、それから児童生徒、保護者に向けて知事メッセージを出していて、体の調子がいつもと違うと感じたら無理をせず周りの大人に伝えることなど、注意喚起を行っている。
【委員】
 本県は大塚製薬株式会社と包括連携協定を結んでおり、その包括協定の流れの中で、2020年以降、教職員の多数が熱中症対策アドバイザーになったと思う。当時何人の教職員が熱中症対策アドバイザーの資格を得たのか教えてもらいたい。また、この資格は更新が必要となるが、現在は何人が資格を保持しているか聞かせてほしい。
【理事者】
 大塚製薬株式会社との協定の下、熱中症アドバイザーの資格を取得した教職員は、2020年から2022年までの3年間で360人であった。資格の有効期間は2年間であるので、既に更新時期を過ぎた教職員もいるが、更新は各教職員が個別に行うものであるので、県教育委員会ではその人数を把握していない。そのため、現在資格を保持している人数については承知していない。
【委員】
 大塚製薬株式会社と話をする機会があり、新たに大塚製薬株式会社が熱中症対策アンバサダー講座を創設して、オンラインで90分ほどの短時間だが、熱中症対策に資する最新の専門的知識を学ぶ場を用意しているようである。本県の包括連携協定に沿って広く活用できる状況になっているとも聞いているので、先ほども様々な研修をしていると聞いたが、一人一人の教員が知見を広げることが大事だと思うから、こういった講座もフルに活用して、教職員の対応能力を高めてもらいたく、要望したいと思う。
 そして、この質問の最後だが、先ほどの委員の話とも重複するが、改めて県立高等学校の体育館と武道場に対して、今進んでいるところの空調整備、改めてその進捗状況と今後の整備計画を伺う。
【理事者】
 県立高校の体育館、武道場への空調設備の整備について、これまでに36校74棟について整備を完了し、今年度は34校71棟について整備を行う予定である。今年度の見込みでは、合計で70校145棟に整備を行うことになる。昨年度から2027年度までの4年間で全ての県立高校の全292棟について整備をする計画であるので、ちょうど半分程度の進捗状況となる。
 今後の整備計画について、残る2年間で全ての県立高校の体育館と武道場に空調設備を整備していくが、これまでと同様に避難所に指定されている学校を優先する方針で整備を進めていきたい。
【委員】
 それで、空調整備について一つ要望をしたい。
 昨年の9月である。安城市内の専修学校において、10代の生徒5人と女性教員1人が熱中症で倒れた。そのうち教員は中等症と診断される事案であった。熱中症のリスクにさらされているのは生徒だけではない。屋外での長時間指導を担う体育の教員にとっても例外ではないわけである。体育教官室はグラウンドに隣接していることが多く、そこに空調があれば万が一生徒の具合が悪くなった際にも、すぐに移動し冷房を稼働して、応急措置を行うことが可能である。特に保健室が開いていない土曜日や祝日の部活動時などに体育教官室が簡易的な避難・休養場所として機能する意義は大きいものだと思うので、教員の健康確保も併せて、今後、体育教官室も空調整備の対象として加えてもらうよう要望して一つ目の質問を終えたい。
 続いて、アジア競技大会、アジアパラ競技大会を見据えた教育的展望について伺う。
 東京2020大会に向けては、文科省主導で全国的なオリンピック・パラリンピック教育が推進され、本県内でも教育委員会の指定を受けた推進校を中心に多様な取組が行われた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの事業が中止や縮小を余儀なくされた。特に注目されていたものとして、児童生徒が競技会場で生の大会を観戦することで感動や学びを得る学校連携観戦プログラムがあった。全国規模で約90万人の参加が予定されていたにもかかわらず、感染症拡大により、都内も含め多くの自治体で中止となり、子供たちがスポーツの祭典に直接触れる機会が失われた。また、各国の選手団と地域住民や児童生徒が交流するホストタウン交流事業も愛知県内の複数の自治体で受入計画が進められていたが、選手団の来日中止により実現しないケースが相次いだ。これらの事業が持つ教育的意義の大きさを考えると、コロナ禍によって失われた学びの機会の重さを検証し、今後のスポーツ大会に係る教育に生かす必要があるわけである。
 そこで、アジア大会、アジアパラ大会では、貴重な機会を生かし、県内児童生徒にとって夢の扉を開くような体験や人生の気づきとなる教育を実現することを強く求めたいと思う。既にアジア大会、アジアパラ大会の準備段階で、オリンピアンやパラリンピアンが県内の学校を訪問し、スポーツの価値や挑戦する意義、共生社会の重要性を語る特別な授業が行われている。これらの体験は、子供たちが本物のアスリートと触れ合い、スポーツの力を実感する貴重な機会であり、今後はさらに拡充することが望まれる。その一方で、大会関連施設の見学会や競技体験イベント等の実施など、子供たちの関心を引き出す教育プログラムを積極的に企画していくことも大事だと思う。
 事実、アジア大会、アジアパラ大会は資金の調達、宿泊等の施設整備、ボランティアの募集等、課題が山積していたこともあった。しかしながら、その結果といってはなんだが、オリンピック教育の充実が遅れていたのも事実だと思う。今一気に準備を進めなければ、愛知県の児童生徒にとって夢の扉を開くような体験や人生の気づきとなる機会を失うことを私は危惧をする。
 そこで、四つ質問をしたいと思う。
 まず、教育委員会に伺う。
 東京2020大会に際して、文科省が全国大会を予定しながらも、コロナ禍で中止となった教育事業のうち、特に教育的意義が大きかったと考えるものは何か。その理由も併せて示してほしい。
【理事者】
 東京2020大会の開催を契機として、様々な事業が計画をされたが、そのうち実際に児童生徒が競技会場に赴いて観戦する学校連携観戦プログラムが、子供たちにとって大きな教育的効果があったのではないかと考えている。現地での観戦は、アスリートのパフォーマンスを直接目にし、国際大会を肌で感じることができる貴重な機会であり、本物に触れることによる感動体験を生み出し、生涯にわたってスポーツに対する意欲を持ち続けるきっかけになるものであると考える。また、こうした体験は世界や異文化について学ぶことができる意義深いものであったと考える。
【委員】
 それでは、東京2020大会における本県内のオリパラ教育推進校の成果と課題を教育委員会はどのように総括しているか。また、その経験をアジア大会にどう生かしていくのか、今後の方針を伺う。
【理事者】
 本県では、2018年度から2021年度までの4年間にわたり、県内の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校から推進校として年間18校を指定し、延べ72校において、オリンピック・パラリンピック教育に取り組んだ。小学校ではオリンピアンによる講演やパラリンピアンによる出前授業で、ボッチャなどのパラスポーツや車椅子の体験などを行い、中学校、高校ではオリンピックについての調べ学習や、オリンピアン、パラリンピアンの講演、文化祭におけるオリンピック・パラリンピックに関する展示、パラリンピック種目の体験授業などが行われた。実際の競技体験やオリンピアン、パラリンピアンの講演から、スポーツの持つ力や魅力に気づき、スポーツへの関心や意欲を高めることができた。また、一流選手たちが語る体験から、夢を諦めない、挑戦する気持ちの大切さを学び、自らの将来について主体的に考えるきっかけにもなった。県教育委員会としては、これらの取組はスポーツの価値や意義などについて学びを深める効果的な取組であった。
 一方で、東京2020大会におけるオリパラ教育を実践した学校は延べ72校と県内の学校の一部に限られたので、来年開催されるアジア競技大会、アジアパラ競技大会に向けて、こうした推進校での成果を広く周知することで、大会がより多くの児童生徒にとって有意義な学びの場となるようしていきたい。
【委員】
 今答弁があったとおりだとすれば、横展開が大事だと思うので、しっかりとした横展開を要望したい。
 続いてアジア・アジアパラ競技大会推進局に伺いたい。
 この大会において、県内の児童生徒にとって夢や気づきを与える体験型教育の機会とするために、アジア・アジアパラ競技大会推進局が具体的に準備している事業は何か伺う。
【理事者】
 県は名古屋市と共同で愛知・名古屋2026大会を契機に、児童生徒が多様性や国際理解について学び、次世代を担う人材の育成を図るため、大会学習教材を制作している。本教材は、小学生と中高生を対象とした大会への興味、関心を促す内容と、国際理解を深める内容の2種類の動画教材となっている。理解を深めるためのワークシート教材、教員向けの学習展開事例と併せてインターネットで配信しており、様々な場面で活用してもらうことができる。さらに、パラアスリートが県内の小学校及び特別支援学校を訪問し、スポーツの楽しさや価値、共生社会の大切さなどを直接児童に伝えるパラアスリート学校訪問事業を実施しており、今年度は9校を訪問する予定である。
【委員】
 先ほどの教育委員会の答弁で、いわゆる体験型の観戦というのは極めて意味があったと重要な話があった。それを踏まえて、今、アジア・アジアパラ競技大会推進局としては、計画中だと思うが、ぜひとも観戦をすることが極めて重要だと思うので、このことについては強く、たくさんの生徒が体験して、特にパラアスリートのすばらしいパフォーマンスを見せることでこの大会を盛り上げてもらいたいと思う。
 もう一問、アジア・アジアパラ競技大会推進局に伺う。
 冬季五輪長野大会における一校一国運動のような国際理解教育プログラムに代わる事業と言ったらよいだろうか、今回市町村単位でのフレンドシップ事業が行われると聞いている。どんな目的でどんな事業が計画されているのか、具体的に伺う。
【理事者】
 大会開催時にはアジア各国、地域から多くの選手や観戦客が来県するため、市町村での大会時のおもてなし、盛上げにつながる取組や、小中学校での大会の観戦、応援につながる取組の実施を促すため、今年度からアジア・フレンドシップ推進事業費補助金による財政支援を実施している。市町村での具体的な取組としては、地域の連帯感と大会機運の醸成を図るため、アジアをテーマとした音楽ステージと食に関するトークセッションによるアジア地域出身の住民の人々との交流イベントが計画されている。また、異文化に対する理解と尊重の心を育むため、外国人講師を招いたアジア文化や言語を学ぶ事業が小学校で実施される予定となっている。
【委員】
 それでは、改めて要望したいと思う。
 愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会は国際的な競技と教育の両輪が大会成功には不可欠だと位置づけている。各局が連携して地域学校を巻き込みながら運営する方針とも聞いている。なので、アジア・アジアパラ競技大会推進局、教育委員会とも県内の児童生徒が両大会を通じて夢を抱き、学びを深められるよう、今聞くとようやく緒に就いたかという感じがするが、実際に学校というのは来年4月から一気にやろうということはできないわけであるから、この夏あたりにしっかり仕込んでいかないと来年できないのが学校の授業であるので、そのような意味で、有意な事業の計画立案と実施してもらうことを要望して、最後に、もう一問質問する。
 義務教育段階におけるフリースクールの発展と充実、その支援策について伺う。
 近年、愛知県においては夜間中学の設置が進み、中高一貫校となる日進高等学校の附属中学校は、いわゆる不登校特例校としてスタートする。また、高校段階では普通科、昼間定時制、通信制を自由に行き来できるフレキシブルハイスクールが設置されるなど、学びの多様化が着実に推進している。こうした動きは不登校や学びの困難を抱える子供たちに対して多様な学びの場を保障し、誰一人取り残さない教育環境をつくるための重要な一歩だと思う。
 一方で、改めて義務教育段階に目を向けると、不登校児童生徒の数は年々増加しており、本県内でも令和5年度は2万4,051人。それらの子供たちが安心して学び、自立へと向かうための選択肢として、これまでも校内教育支援センター、いわゆる校内フリースクール、市町村の教育支援センターが整備されてきた。そしてこの二つのセンターに次ぐ第三の選択肢として民間のフリースクールを挙げることができる。しかし、民間のフリースクールは居場所としての意義は認識されつつも、経済的な支援の在り方、教育機関としての位置づけや教育の質の確保、在籍校との連携、出席扱いの基準など、多くの課題を抱えている。それでもその役割は日に日に重要になってきていると思う。私は愛知県における義務教育段階の不登校児童生徒への支援をさらに前進させるためには、民間のフリースクールをはじめ、多様な学びの場の選択肢を社会全体で支え、子供たちの学びたいという思いを保障する体制を整えることが不可欠だと思う。
 こうした認識に沿って順次質問する。
 近年教育委員会が力を入れて整備してきた校内教育支援センター、いわゆる校内フリースクールの現状と課題を伺う。
【理事者】
 校内教育支援センターは、教室に入りづらい子供が人の目を気にせず安心して過ごせる学校内の居場所である。本県では2023年度に尾張旭市と幸田町、2024年度にあま市、半田市、新城市を加えた5市町の5校で支援員を配置するモデル事業を実施した。その結果、学級とは別の場所で支援員に勉強を教えてもらったり、相談したりできたことで、子供たちが安心して学習できたり、不登校であった生徒が登校できるようになったりするなどの効果が確認できた。
 一方、課題としては、市町村が支援員に係る経費を確保することが困難なことが挙げられており、2024年度の名古屋市を除く小中学校の校内教育支援センター設置率は38.8パーセントとなっている。本年度からは、国が新規に校内教育支援センターを設置する学校を対象に、支援員に係る経費を補助する事業を開始した。そこで本県では、この国の事業を活用し、全ての中学校に支援員を配置できるよう支援している。
【委員】
 それでは、市町村の教育支援センターの現状と課題について伺う。
【理事者】
 市町村の教育支援センターは、学校に通いづらい不登校児童生徒が通うことができ、社会的自立に向けた支援を受けることができる学校外の施設であり、名古屋市を除く県内の50市町村に75か所設置されている。それらのセンターを利用した児童生徒数は、直近で2023年度のものになるが、小学生622人、中学生1,222人の合計1,844人となっている。課題としては、学校外での活動となるので、教職員との情報共有がしにくいことや、医療、福祉等の関係諸機関との円滑な関係づくりが必要と認識している。
【委員】
 それでは、本県における義務教育段階の児童生徒で民間のフリースクールに通っている人数について伺う。
【理事者】
 直近のものは2023年度になるが、フリースクールなどの民間施設を利用する児童生徒数は、名古屋市を除き、小学生336人、中学生237人の合計573人となっている。
【委員】
 それでは、フリースクールを利用する児童生徒のうち、学校の出席扱いとなっている児童生徒数を伺う。併せて、校内教育支援センター、いわゆる校内フリースクール、それと市町村の教育支援センターの出席扱いはどうなっているか伺う。
 それと、フリースクールに通う日を出席扱いと認めるかどうかは学校や校長の裁量に委ねられていると思うが、学校の出席扱いというのはどのような基準で判断されているか伺う。
【理事者】
 はじめに、フリースクールを利用する児童生徒のうち、出席扱いとなっている児童生徒数について、直近のものは2023年度になるが、名古屋市を除き、小学生190人、中学生200人の合計390人となっている。
 次に、出席の取扱いについては、校内教育支援センターでは、学校内に設置された場所であることから、通学する他の児童生徒と同様に出席扱いとなっている。また、市町村の教育支援センターについては、児童生徒がセンターに通所し、相談や指導を受ける場合、出席扱いとなっている。
 フリースクールの出席の取扱いについては、文部科学省が示す要件を踏まえて、校長が市町村教育委員会と連携を取り、判断している。具体的には、出席の要件として、保護者と学校間の連携、協力が保たれていること、校外の施設における相談、指導が不登校児童生徒の社会的な自立を目指すものであり、かつ円滑な学校復帰が可能となるよう、適切な支援を実施していると評価できることなどである。
【委員】
 校内教育支援センターについては全て出席、市町村の教育支援センターについては、ほぼ出席扱いになっていると聞いている。この二つの場所については居場所づくりと学習支援の両立が図られており、不登校対策としても極めて有意なものであると評価ができると思う。だから、もっとどんどん頑張ってほしいと思う。
 その一方で、民間のフリースクールに通っている小学生のうち、数字を計算すると、小学生は146人、中学生は37人、小中合わせて約3分の1の児童生徒が学校の出席扱いにはなっていないということになる。その理由は、さきの基準に示されたようにいろいろあると思うが、いずれにしても2万人を超える不登校児童生徒数がいることを考えると、子供の学びを保障する観点からは、フリースクールといわゆる在籍校、また、教育委員会との連携を今後より密にしなければならないと考えるわけである。
 そこで最後の質問である。
 名古屋市では昨年から定期的な協議会が始まったと承知しているが、愛知県教育委員会として、フリースクールと学校が連携して子供を支えるための具体的な方策、例えば情報共有の仕組みや名古屋市と同じような定期的な協議会や、あとは間に入るコーディネーターの配置など、そのようなことをどのように考えているか伺う。
【理事者】
 フリースクールと教育委員会や学校が連携することは、児童生徒への充実した支援を実現する上で大切なことだと考えており、本県では2022年度から県教育委員会や市町村教育委員会、市町村の教育支援センター、フリースクールなどを構成員とするフリースクール等連絡協議会を立ち上げ、毎年開催し、情報共有を行っている。昨年度は市町村の教育委員会や教育支援センターから103人と、フリースクールから78人が参加している。協議会ではフリースクールが活動内容を発表し、グループ協議を行った。グループ協議では、学校や関係機関と連携を密に行っているところほど不登校の子供が自立に向かっている。子供が安心できる空間の提供と他者とつながる機会の設定が自立につながっているなど、児童生徒の自立に向けた意見交換がなされた。県教育委員会としては、フリースクール等連絡協議会の内容を充実させることで、市町村の教育委員会や教育支援センターとフリースクール等の連携がさらに進むよう取り組んでいく。
【委員】
 名古屋市が定期的に協議会を開いていると思う。愛知県については定期性がなかったと承知をしているので、しっかりと順次、様々な問題を解決できるような協議会、連携を希望するところである。
 この質問に至った経緯を一つ、少し話をさせてもらう。私は、三つのフリースクールの設立に関わった。一つは放課後デイサービス等をやっている福祉関係の人。もう一つはスポーツで子供たちを盛り上げようとしている人。そして、もう一つは藤田医科大学で熟練を重ねた看護師である。どの人々も大変な思いが強く、何としても子供たちを自立できるようにしてあげたいという思いの人ばかりだった。ところが、その人たちと話をしていつもぶつかるところは、学校とどう連絡を取ったらいいか分からない、教育委員会にどのようなアプローチをしたらいいか分からないという話がどこも最初に出る。なので、民間のそのような思いに対して、きちっと受け入れる受皿がないと、その人たちの思いは現実的に前に進むことにはならないというのが、この何年か関わってきた実感である。
 そのような意味で、フリースクールに、様々な課題があることは承知しているが、その課題を教育委員会が伴走しながら、共に解決をしながら、そして不登校児童が自立に向かう流れを民と共につくっていく。このようなことをしっかりやれるような教育委員会であってほしいということを要望して質問を終わる。
【委員】
 県立高等学校における学校図書館への新聞の複数配備と一括発注について伺う。
 私は昨年6月定例議会本会議において、県立高等学校における学校図書館への新聞の複数配備と一括発注についての一般質問を行い、教育長から次のような答弁を得た。複数紙の新聞記事を読み比べることは大変有効であり、県教育委員会としても、国の第6次計画に示されている目標達成を目指して、県立高校の学校図書館への複数紙配備を進めていく。また、一括発注については、新聞社との一括契約に向け検討をしていきたいと考えているというものである。私はこの答弁から、これまでにない新たな取組の意欲を感じ、大いに期待をした。あれから1年がたち、その後の教育委員会の取組と成果について伺う。
 まず、高等学校図書館における新聞の複数配備についてである。その前に、私が質問した意図について改めて述べたい。
 まず一つ目である。選挙年齢が20歳から18歳に引き下げられ、高校生にも投票する権利が与えられた。国は選挙年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、児童生徒が主権者として必要な資質や能力を身につけることの重要性を踏まえて、学校図書館への新聞の複数配備を図ることとした。目安として、小学校が2紙、中学校3紙、高等学校は5紙とした。主権者としての責任を全うするには、教科書の学習だけでなく、新聞を読むことが必要であると国は捉えている。
 二つ目である。オールドメディア衰退に相反するかのように、インターネットによる情報入手が急増している。インターネットやSNSはキーワード検索すれば好きな情報が手に入り、嫌いな情報は見ずに済む。また、簡易で便利でもある。しかし、幅広い知識や異なる見方を検索する機会が乏しくなる。インターネットは興味ある情報が流れてくるアルゴリズムや、自分と同じ意見が多く入ってくるというエコーチェーンバーという情報の偏りも指摘されている。新聞は見出しに目を通すだけでも日本や世界の出来事を知ることができ、自分が知ろうとする以外の情報が網羅的に入るよさがあるとされている。
 三つ目は、新聞各社によって報道の内容や論評に違いがあり、複数の新聞を見比べる意義があると考える。例えば、憲法改正について朝日新聞と産経新聞の報道や論評を比べれば、明確な違いがあることは世間一般の周知の事実である。だから、複数の新聞を子供たちが読むことによって様々な考え方に触れ、それが自らの考えや意見を育むことにつながることが重要だと考えるからである。
 そこで一つ目の質問である。
 高等学校図書館における新聞の複数配備について、教育長の答弁から1年、どのような取組を行ったのか。また、成果について答弁を願う。
【理事者】
 昨年6月以降の取組であるが、昨年10月に開催した司書教諭を対象とした研修会において、国の学校図書館図書整備等5か年計画の中で、高校では5紙を目安に新聞の複数配備に努めることが示されていることを伝えている。また、複数の新聞を配備している学校の取組として、新聞の社説を読み比べ、自分の考えをまとめる活動を紹介した。
 県立高校の新聞配備の状況については、5年に1回行われる国の調査において、令和2年度は1校当たり2.8紙の日刊紙が図書館や教室に配備されていた。今年度県が行った調査は購読数を調べるものではあるが、日刊紙については1校当たり3.5紙が購読されている。日刊紙以外では、英字新聞や高校生向けの新聞などを購読している学校もある。
【委員】
 昨年の教育長の答弁は、非常にこれまでにないような挑戦、意欲が感じられ、踏み込んだ答弁だと思ったわけである。この1年その取組でよかったのだろうかと思う。昨年教育長が答弁して、今までにない新しい取組はあるか伺う。
【理事者】
 県立高校に対して、新聞の複数配備に努めるよう伝え、その活用事例を紹介することにより、新聞の複数配備の推進に一定の効果が得られていると考えているので、今年度も引き続き取り組んでいく。
【委員】
 新聞を購読していない家庭が増えている。一般社団法人日本新聞協会の新聞の発行部数と世帯数の推移によると、年々新聞購読率は下がり、2023年のデータによると40パーセント弱となっている。学校でしか新聞を読む環境にない子供たちが、特定の限られた新聞を読むことがよいことだろうか。また、あるいは複数の様々な論調の新聞に触れ、新聞を読んだほうがよいか、どちらがよいと考えるか。
【理事者】
 子供たちが複数紙の新聞記事を読み比べることは、主に時事問題についての理解を深め、多面的、多角的に考察し、公正に判断する力を身につけることができ、主体的な社会に参画しようとする意識づけにもつながる、大変有効な方法であると考えている。
【委員】
 どうも今までやってきたことを今までのようにやっているかのようにしか聞こえないわけである。それで改めて私の質問に対してその後どうなったかを確認したかったということである。
 私が昨年質問をした翌日には、読売新聞と毎日新聞が記事を書いてくれている。読売新聞は高校図書館新聞5紙配置へ、と大きな字で書いてある。公正な判断力を育てる、県教育委員会の方針と書いてある。また、毎日新聞は県立高校の図書館に新聞5紙の配備を進める考えを教育長は示した。選挙権年齢や成人年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、主権者教育の重要性が高まる一方、ネット上にあふれる情報を正しく読み解くための情報リテラシーの向上が求められている。このため、文部科学省は学校図書館への新聞配備を求めており、公立校では5紙を目安としている。さらに、複数紙を読み比べることは多角的に考察したり公正に判断したりする能力を養うために有効であると答弁している。目標達成を目指して進めていく、と新聞は喜んで書いてあるわけである。新聞が増えるわけだから、それは喜ぶように私は思う。私は新聞が増えて、購読数が増えて何らかの利益を得るという、そのような立場に一切ないが、どうもこの新聞の論調に対して、報道に対して、今の答弁はどこまで踏み込んだのかということを思うわけである。
 では、要望する。
 国が示した令和4年度から8年度の5か年計画を対象期間とする第6次学校図書館図書整備等5か年計画の意図するものをいま一度よく考えてもらい、高等学校図書館における新聞の複数紙配備を進めてもらうよう要望をする。
 新聞は、右の論調、左の論調、それぞれあるわけである。それはそれでいいわけである。好きな新聞を買って読めばいいわけである。ところが子供たちにとっては、これは特定の新聞に偏ってしまうことはいかがなものかと思うわけだから、新聞を学校に配備するのである。ならばバランスを取ってもらいたい。具体的に言うと、朝日新聞を置くならば産経新聞を置く。これ、大事ではないか。新聞は公平であるという、新聞倫理綱領に書いてあるが、公平であるというのは本当に幅の広いものだなとつくづく思う。そんなことで、これはもう世間一般の事実である。この新聞はこのようなことをいつも書いている、この新聞はこのような論調であると。時には新聞が世論をつくろうとしているのではないかという記事もあるわけである。そのようなところを踏まえ要望する。
 次の質問である。
 一括発注について、その後の取組と成果について伺う。
 学校が新聞を購読する場合、一般家庭と同じように地元の販売店と契約し、支払いなど事務手続をしなければならない。手間が煩雑である。これを教育委員会が一括して契約をし、支払いも行うことで事務手続が簡略化される。学校現場での働き方改革にもつながると考える。昨年、教育長は、一括発注については新聞社との一括契約に向け検討をしていきたいと考えていると答弁した。その後の取組と成果について答えてほしい。
【理事者】
 県立高校における新聞の購入については、今年度も従来どおり各学校において契約を行っている。各学校が必要とする新聞を県が一括購入することは、事務の合理化につながる一方で、販売店との調整も必要となっていく。今後は他県の取組状況や一括契約ということについて販売店からの意見も聞き取りながら、効果的な契約方法について考えていく。
【委員】
 答弁をもらったが、昨年の教育長の答弁が、なかったとしても同じ今の答弁になったのではないだろうか。今までと違って何をした、このことを確認したかったわけである。もうこれ以上は言わない。要望としておきたいと思う。
 既に資料は持っているかと思うが、葛飾区教育委員会の取組の紹介である。各学校で販売店と契約をしていた取組を、葛飾区の教育委員会が、それぞれ区内の学校からどの新聞を希望するかという要望を取るわけである。そして、その要望に基づいて新聞の販売店に対して発注をする。支払いも葛飾区教育委員会がするものである。それが合理的である。資料も手元にあると思う。研究もしていると思うので、引き続き取り組んでもらいたい、昨年の踏み込んだ答弁が残念にならないようにお願いする。
 もう一つの質問である。
 次に、小中学生に対する北朝鮮による拉致問題の啓発について伺う。
 子供向けの啓発冊子「たいせつな人をとり戻すために」という20ページほどの冊子がある。イラストを多用し、文字は少なく、簡潔に拉致問題を人権問題として取り上げた内容となっている。漢字には振り仮名が振ってあり、小学校低学年にも理解できるよう仕上がっていると理解している。この「たいせつな人をとり戻すために」は、誰が何のために作成したものか説明がほしい。
【理事者】
 拉致問題こども向け冊子「たいせつな人をとり戻すために」については、内閣官房拉致問題対策本部が、これまで拉致問題について触れる機会の少なかった若い世代の人々、特に子供向けの啓発資料として作成したものとなる。
【委員】
 続けて、本県の公立小中学校で何冊配布されたのか。さらに、どのように活用されているのか伺う。
【理事者】
 この冊子については、学校から直接内閣官房拉致問題対策本部事務局に申し込むことになっているため、配布された冊数については把握しておらず、活用状況についても把握していない。
【委員】
 何冊配布されたかは正確には分からないという答弁である。また、活用方法についても、本県において活用実績も明確ではないという答弁だった。
 国は本年4月1日付けで都道府県教育委員会人権教育担当や政令指定都市教育委員会人権教育担当らに対して文書を発している。それは北朝鮮当局による日本人拉致問題に関する映像作品等の活用促進についてという文書である。その文書の内容は、北朝鮮当局による日本人拉致問題は我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、しかも最重要課題として位置づけていること、そして、その解決に向けて全力で取り組む姿勢を示している。さらに、拉致問題解決のためには、国民が心を一つにして拉致被害者奪還に向け、強い意思を示す必要があり、特に若い世代の人々への啓発活動が重要としている。そのために映像作品等を政府が用意しているので、学校現場で活用してほしいという趣旨のものである。ここでいう映像作品等には、内閣府拉致問題対策課が用意したアニメ「めぐみ」やドキュメンタリー映画「めぐみ-引き裂かれた家族の30年」をはじめ、パンフレットや電子漫画などが用意されている。「たいせつな人をとり戻すために」もこの映像作品等の中に含まれている。4月1日付けの国からのこの文書を受け、本県は、2日後の4月3日付けに教育委員会義務教育課長名で、県内各教育事務所長及び支所長宛てに、国からの文書のコピーを添えて、管内小中学校、義務教育学校及び特別支援学校に周知することを依頼する文書を発出している。
 ここで管内というのはどのような意味なのか答弁してもらうが、質問は続ける。
 国からの依頼文書を受け、県は2日後には文書を発送しているので、速やかな対応をしてもらっており、行政機関として手続に何ら問題はないと思う。しかし、あえて問いたいと思う。国からの依頼に基づき発送した。任務完了である。果たしてそれでよいのだろうか。県は国と市町村の中間に位置する行政機関であることは承知しているが、国からの指示に基づき文書を送るためだけの機関であってよいのだろうか。県内名古屋市を除いて、小中学校が幾つかあるが、その幾つの学校が「たいせつな人をとり戻すために」を取り寄せているのかを今後把握する予定はあるか。さらに、冊子を活用した授業を1校でも多くの学校で行うように働きかけをするなり、より踏み込んだ取組を行うことを県は考えているのだろうか、いないのだろうか。
【理事者】
 はじめに、管内小中学校とは、市町村教育委員会が設置している小中学校という意味である。
 続いて、拉致問題については、小中学校の社会科の授業で取り扱われており、我が国と近隣国との間に存在する課題の一つであることや、そうした課題を考え続ける大切さなどについて学んでいる。国が活用を促している「たいせつな人をとり戻すために」や、アニメ「めぐみ」などの教材は、子供たちにとって大変分かりやすく作られており、拉致問題について理解する上で大変有効であると考えている。
 現在、拉致問題に関しての調査は実施していないが、例年、人権問題の取組についての調査を行っているので、今後はその中で拉致問題への取組や使用した教材について把握できるよう検討していく。また、小中学校初任者や県内各地区の人権教育推進担当者を対象とした研修会の中で拉致問題を取り上げ、教員の理解を深めるとともに、教材の活用について促していく。
【委員】
 ここからは要望というか、この質問をした意図、きっかけを話す。私は本年の4月12日に名古屋市中区にあるソレイユプラザなごやで開催された「めぐみへの誓い」等上映会&トークin名古屋に参加した。この会を主催した一人から、「たいせつな人をとり戻すために」の冊子をより多くの小学校で子供たちに配布してほしい、配布だけでなく授業でも取り上げてほしい、その働きかけをしてほしいと強く要望をもらった。議員である私に要望すれば、この冊子がより多くの子供たちの目に触れ、拉致問題に関心を持ち、被害者を奪還する心を育むことにつながるのではないかとその人は考えたから、私に要望したわけである。小中学校は当然のことながら市町村の管轄である。私は県議会に身を置くものである。市町村議会に身を置いていない私にも何かできることはないだろうか、できることは何でもしようとそのとき私は思った。県の立ち位置は理解しているが、あえてやりを投げる。その思いでこの質問をした。
 拉致された被害者の家族、また、熱心に奪還運動をしている人々の思いや熱量に対して、一般の人々の熱量、もちろん一般の人々も、拉致はけしからん、早く帰ってきてほしい、そう願う人々、国民だと思っているが、その差というものは決定的に違うわけである。熱量が高いというよりも必死なわけである。これらのこのような思いに対して、国が県に文書を出し、県は市町村に文書を出し、仕事は終えた。寂しいとは言い方が正しくないが、簡潔過ぎる。このことに非常に不安を覚えたわけである。拉致問題を風化させてはならない。県教育委員会としてできることは何かあるはずだと私は考える。
 強く要望して質問を終わる。
【委員】
 先般の盗撮に関する名古屋市内の事件を見て、私は学校に通う親の気持ちを受けたらとてもいたたまれない。もちろん皆さんそうだと思う。
 そこで、まず教育長として、今回のこの事件を、犯罪を見てどのように思ったのか、率直な意見をまず聞かせてもらいたいと思う。
【理事者】
 今回の事案については、今まででは想定されなかったような事案だと思う。それはやはり親や我々教育に携わる人間もこれ以上ない大きな衝撃を受けたのは間違いない。これをどう防ぐかは我々にこれから求められていくことかと思うが、今明確に、こうすればよいというものが私にもあるわけではない。
 しかしながら、教員に対して性悪説に立つとか、そういったことを私はしたくないと思っている。ただ、それは甘いのではないかと言われればそうかもしれないが、ほとんど多くの教員は一生懸命やっている。現場の子供たちが生き生きと活動している場をつくっているのは教員そのものであるし、私が知る限り多くの教員はそのような教員だと思っている。ただ、それではやはり不祥事は、いつまでたってもなくならないという指摘もあろうかと思う。毎年、必ずしも多い数ではないかもしれないが、ああいった不祥事が起きているので、我々は、機会を捉えて教員に対して不祥事防止を地道に訴えていくしかないと思っている。
【委員】
 本当に、今、例えば私立の高校はスマートフォンを学校で預けて、帰るまで預けていくという学校もあるわけである。本当に先生もスマートフォンをみんな学校に預けて、授業中、帰るまでと、それぐらいやらないと駄目かと思うぐらいのことを今回の事件を見て、だんだんその内容が明るみになってくると本当に思った。今の教育長の思いを聞いて、やはりこれからいろいろ再発の防止策というのは、我々もこれからの委員会で聞きたいと思うし、やはり強いメッセージを愛知県の教育委員会として各市町村の教育委員会、また、県立高校もはじめ、強いメッセージをこれからも発信してもらいたいと、そんな思いである。
 これはここで終わる。
 それから、質問になるが、先ほどからアジア大会、アジアパラ大会の話題が出ている。委員も言っていたが、正直言ってこの4月ぐらいまでは関心がなかったように思う。私はこのアジア大会のポロシャツをもう3年着ているが、つい4月までは、これ何だねとよく聞かれた。これが4月以降、ボランティアに関する事案があってから、例のあの大会かと言われるようになっている。でも、まずこれは当局のPR不足だということは、認識してもらいたいと思う。
 当初、3月時点でボランティアの数も少ないということで、我々にも知事やいろいろなところからもっともっと集めてくれという要望があった。それぞれ皆声をかけて、やっと5月の時点で2万6,096人、ボランティアが一応集まったということになっている。東京オリンピック2020のときには10万の目標に対して24万人のボランティアが集まったと、そのようなことを言われている。もちろん規模が違うから当然少ないのはよいが、これだけの人数が集まったからまあいいやという考えも一つあると思う。
 ただ、私も一生懸命声をかけて15人を集めた。これで終わったからいいかなと思っていたら、例の事案があってからやっぱり心配で、皆一人一人に私は電話をした。その後どうなっているかと言ったら、四、五人から何も連絡が来ていないということを言われた。そんなことないだろうと聞いたら、結局は連絡がメールで来る、あるいは電話でかかってくると。それが、特に仕事でよく電子媒体を使っている人、特にスマホをよく使うなど慣れている人は迷惑メールをブロックしてしまう。それから、分からない電話に出ないということが非常に多くて、全然私のところには来ていないよということが何人もあった。たまたま四、五人で申し込んだうちの1人に連絡がついたものだから、ほかの人たちに言ってそれで連絡ついたが、そのような事例があった。多分一定数のそのような人は出てきたと思う。もう早い人は5月の連休明けに連絡が来た。先々週ぐらいにいろんなところで採用イベントがあって、オリエンテーションやグループワークを受けて、それから服装や靴のサイズを測るというところまでいっている。片やまだ連絡も、もう今さら1か月前、2か月前のメールを見るとか、電話を確認するなどは、実際難しいと思うが、今、この時点において連絡が取れないとか、ある程度そのような人が出るという、そのような認識であったのか。今、どれぐらいの割合でそのような人があったのか。
【理事者】
 愛知・名古屋2026大会のボランティアへの応募に当たっては、初めに登録してもらったメールアドレス宛てに、活動場所、それから役割の希望や採用イベントの参加希望日程といった情報登録の案内をさせてもらっているが、こうしたメールがURLリンクつきのメールであることから、迷惑メールに仕分けられる、メールの受信設定により応募者の元に届いていないなどの理由により、今後ボランティア活動を行ってもらうために必要な手続が進んでいないといった状況も一定数生じている。このため、必要な情報登録が進んでいない人を対象として、登録してもらっている携帯電話の番号へのSMS、ショートメールの送信や、電話での連絡を順次行い、登録状況の確認や必要な手続の案内といった対応を現在行っている。
【委員】
 当然、皆やる気があってボランティアを申し込んだ。そのような人が連絡取れないから、もうその人はいいやという切捨てでは駄目だと思う。それから、例えば女の人は炎天下のところではとても日焼けしてやれないとか、それから重たい荷物を持つところなんか嫌だという人も出てくる。当然これからまた減っていくだろうということも想定される。だんだん近づいてくると、やっぱり無理かなと。これから2回、3回講習を受けていくと自分には荷が重いなという人も出てくるし、それから何人かで、グループで一緒にやれればいいが、別々になったらちょっと嫌だなという意見も聴く。その人たちをいかにつなぎ止めて、これからあと1年ちょっと、どのようにボランティアとして育てていくのかという方策があったら教えてほしい。
【理事者】
 愛知・名古屋2026大会のボランティアには多くの人々に応募をしてもらった。その中には、大会での活動を楽しみにしてもらっている一方で、こうした大規模な国際スポーツ大会での活動経験がないなど、活動場所等も含めて、今後の活動に不安を感じる人もいるかと思う。こうした不安を解消するためには、活動内容や期待される役割を明確にして伝えることや、仲間と共に活動する楽しさを感じてもらうことが重要であると考えている。このため、今後、役割別や会場別の研修を実施し、研修への参加を通じてボランティアに応募してもらった人々に大会でのボランティア活動に必要な知識や心構えを身につけてもらうとともに、参加者同士の交流も図り、不安の解消に努めていく。
 加えて、大会に向けたテストイベントや他のスポーツイベントへのボランティア参加、ボランティア交流イベントなど、誰もがボランティア参加の魅力を感じ、楽しみながら活動を行うことを体験できるエンゲージメントイベントといったものを案内することで、関心やモチベーションが途切れないよう、しっかり取り組んでいく。
【委員】
 まだ1年ちょっとあるが、もう1年しかないという、逆に言えばそうなるし、せっかく好意でボランティアを申し込んだ以上は全員がこれから続けてやれるような、常にモチベーションをずっと持ち続ける、そのような企画を常に発信してもらうことをぜひお願いする。
 それからもう一つ、ボランティアの募集の中に医療ボランティアというのがある。片や、もう一つは専門的な知識を有する医療従事者というのがあると思うが、そもそも医療ボランティアといわゆる医療従事者の、例えば医療面において、この違いというのは何が違うのか教えてほしい。
【理事者】
 医療の専門家、いわゆる医療従事者については、競技会場等に設置する医務室や救護室において、医師、看護師、理学療法士等の有資格の人に診察、診断、応急処置等の医療行為や医療補助といった業務に従事してもらう。こうした医療従事者の確保に向けては、組織委員会が昨年11月及び今年度6月に、県医師会、県病院協会、県看護協会、また、県理学療法士会等を構成員とする会議体を設け、各団体から意見をもらい協力を求めながら、必要な人員体制が確保できるように準備、調整を進めている。
 また、医療大会ボランティアの活動内容の一つである医療サポートについては、医師などの医療従事者の指示の下で、急病人やけが人の担架での搬送や、医務室、救護室の運営サポート、ドーピング検査のサポートをしてもらうことを想定している。こうした人々は資格の有無は条件としていないが、現在、学生ボランティアを募集しているので、こうした中で医療系の大学や専門学校にも働きかけ、医療に関する一定の知識を有する人にも応募してもらえるように努めている。
【委員】
 こういった医療系のボランティア、特に医療従事者も含めて、これも相当数必要だと思っている。今、医師会とかいろいろな業界団体に話をしているということだが、たまたま私は薬剤師会の会員なのだが、なかなかその話が下りてこない。薬剤師というのはいわゆるスポーツファーマシーといって、ドーピングの薬物専門の知識を持った薬剤師もたくさんいて、何とかこういったボランティアに参加したいとか、やりたいという人もたくさんいる。でも、上の人には話したが、実はそれがまだ下まで下りてきていないというのが現状である。特に医療従事者はなかなか忙しいし、平日に出てくれといっても仕事があって難しい状況の中で、もっともっとアプローチをして下に下ろして、よほど人数の確保をしていかないとちょっと苦しいという気がしている。
 いずれにしても、こういった本当に一生に一度しかできない、経験できない、体験できないというイベントなので、皆何か一つでも、ちょっとでも関わりたいという気持ちがあるわけだから、ぜひもっともっと業界から下に下りるような、また人を集め、そのような団体の長を集めたときにはもっともっと下に下ろすようなことをぜひやってもらいたいと思っている。
 それからもう一つ、港に選手村ができるということだが、先般、港区の保健センターの所長から、これからここに選手村ができる、あるいはフェリー、豪華客船が来るとなると、すごくこの近辺の医療体制が大変だという話を聞いたことがある。というのは、例えばけがをした、あるいは食中毒になったときに、当然近隣の医療機関と提携をして、そこに搬送できる体制をつくっていかなければならないという話をしたが、選手村や選手のこういった医療体制、特に港近辺のこういった体制は今どのようになっているのか伺う。
【理事者】
 名古屋市港区では、金城ふ頭エリアにおいて収容人数約4,000人のクルーズ船や、ガーデンふ頭エリアに約2,000人収容の移動式宿泊施設など、合計で約6,000人規模の選手団宿泊拠点を設置する予定となっていることから、選手のけがや病気などの医療需要は非常に多いと想定されるため、十分な体制が必要だと認識している。そのため、組織委員会では、両エリアにて医師、看護師を配置した医務室を設置するとともに、状況に応じて薬剤師や理学療法士を適切に配置した諸室等を設置する予定としている。また、状況に応じて大会指定病院等へ搬送し、医療提供を行うこととなる。各医療施設の設置においては、県医師会や県病院協会、また、県薬剤師会、県理学療法士会などの医療関係団体から医療体制構築への助言をもらうとともに、医療従事者の派遣や病院の指定について協力を求めるなど、調整を図っている。そのほか、指摘のあった食中毒をはじめ、環境衛生や感染症など公衆衛生上の対応も必要なことから、保健所をはじめとした県、市の公衆衛生当局とも連携し、準備を進めていく。
【委員】
 まだまだ9月、10月というとまだ暑い時期もあるし、ひょっとしたら台風が来るかもしれない、といった状況がある。特にパラリンピックのときは、そのような障害を持つ人は特に気候の環境が変わると非常に負担がかかってくるということがあるので、こうした医療体制はどれだけやってもこれで十分だということはないと思う。ぜひ万全を期して体制をつくってもらいたいというのが一つである。
 それから全体を通じて、これは要望だが、いろんな一般の人がボランティアで参加したいということで、例えば理容組合がボランティアで選手村へ行って散髪をしたいとか、医療的に難しいと思うが、柔道整復師会とか、はり・鍼灸マッサージの人がボランティアをやってみたいとか、そのようなことがある。それから、例えば愛知県だと盆栽が有名だからこういった盆栽や花とかの実演をしたいとか、いろいろな団体が協力、このようなところでやりたいという要望がある。ぜひ、そのような要望を一つでも二つでも反映できればよいと思っているので、また考えてほしいと思う。
【委員】
 私からは大きく三つ聞きたいと思う。
 ただ、その前に、今意見もあったが、今回の盗撮の事件についてはぜひできない環境をつくってもらいたいというような、今回の事案は、へえ、と終わってしまうような話ではないと思うので、必ずこれは何か変わったという対策をぜひしてほしいと思うし、これは来年法律ができて、このような性癖がある人は二度と教壇に立てないようになると聞いているが、そのことについても徹底してもらわないと、どんどん信頼がなくなる。今度起こったら大変なことになると思う。そのような盗撮ができない環境をつくっていくことが大事だと思うので、ぜひ検討してもらいたい。
 それは要望としてお願いし、三つ聞くが、一つは中高一貫、もう始まっているが、中だるみが生じてしまうと思うわけである。入試がないということについて、どのような対策をしているか伺う。
【理事者】
 高校入試のない6年間のゆとりある生活は、中高一貫教育のメリットである一方、中学3年生や高校1年生の時期に一時的に学習意欲が低下する、いわゆる中だるみが生じやすいことが課題の一つとして指摘もされている。そのため、中高一貫校では生徒が学習意欲を高く保ち続けられるような工夫が求められる。一般的な大学受験を目標とした先取り学習により、知識詰め込み型の教育を行う学校では中だるみが生じやすいと考えられるが、本県の第一次導入校である中高一貫校では、生徒が自ら課題を設定し、情報収集、分析し、まとめ、発表し、さらなる課題に取り組むという探究学習のプロセスを繰り返しながら、自分が興味関心がある分野の学習に意欲的に取り組んでいくことができる探求のカリキュラムを導入している。また、学校ごとに中学3年生の時期に3年間の探求成果について発表会を開催したり、海外研修を実施したりするなど、生徒の意欲を高めるための行事も企画している。各校では、それぞれのカリキュラムに基づき、工夫しながら、生徒のもっと知りたい、もっと学びたいという探求心を引き出し、中高の6年間を通して、高い学習意欲を持って探求に打ち込んでいけるように取り組んでいく。
【委員】
 理想論はそのようなことなのだが、何をやるかよく分からない。その探究というのは、具体的に何をするのか。どのような授業をするのか。
【理事者】
 本県の第一次導入校の中高一貫校では、従来のような大学受験のための知識詰め込み型の教育ではなく、6年間の探究学習により、社会の変化を起こすチェンジ・メーカーを育成していくことが第一次導入校の最大の目玉と考えている。例えば、明和高等学校附属中学校では総合的な学習の時間をMCJ(メイワ・キャンパス・ジュニア)と名づけて、学問の分野の垣根のないリベラルアーツを意識した探究学習を行っていく。1年生では様々な分野の講師を招いたり、博物館や劇場、大学の研究室などに実際に足を運んだりして、本物に出会う機会を数多く設け、生徒の知的好奇心を引き出していく。今の明和高等学校附属中学校は、開校してから3か月であるが、既に外部講師による数学の探求の講義や県芸術劇場のバックヤードの見学、名古屋城でのフィールドワークといった取組も行っている。2年生からは、例えば歴史や芸術、宇宙など、自分の興味関心がある分野のゼミを選んで、自ら設定した課題について仲間とディスカッションをしながら探求を深めていく。そして1年間の探求の成果を学年末に成果発表会で報告して、3年生ではより高度な課題にチャレンジしていく。第一次導入校では各校が特色ある探究学習によって生徒の探求心や様々な人と協働する力、粘り強く取り組む力を伸ばして、これからの愛知や日本をリードするチェンジ・メーカーを育てていきたいと考えている。
【委員】
 そのように変えていくということなのだろうが、その場合に、意欲ある人はよいのだろうが、全員意欲があるという前提なのか。もう一つは探究、探究というが、何をもって推しはかっていくというか、今までの詰め込み教育というのは、ある程度点数でどれぐらい記憶したかというのはよく分かるわけだが、それがないとなると、何をもって推しはかって、この子はよくやっているということを把握するのか。
【理事者】
 生徒が課題を設定して自主的に課題の解決を目指していく探究学習を進めるためには、生徒の学ぶ意欲を高めることが重要と考えている。例えば、半田高等学校附属中学校では生徒の主体性、自主性を伸ばして、生徒自身が自分に今必要な学習は何かを把握して、自主的に学びを進めていける自立した学習者として成長していけるように、数学の授業において、自由進度学習を取り入れている。このほかにも津島高等学校附属中学校ではチーム担任制を敷く、明和高等学校附属中学校では家庭科や体育などの一部の教科を除いて、中学校の教員と高校の教員によるティームティーチングのような形で様々な興味関心がある生徒を複数の目で見るようなこともできるように取り組んでいる。
【委員】
 中高は結構長い。私が見に行った麹町中学校は担任がいない。8クラスを8人の先生が見るという。そのような意味では、非常に人気のある先生はよく分かる。そこの校長がよく言っていたが、私たちの仕事は生徒のやる気にスイッチを入れるだけだと。自主的な学びに重きを置いていると言っていたので、だから、中間も期末もない。だから、非常に伸び伸びとやっているが、ものすごく差が出てしまう。同じ数学の授業をやっていても、1クラスだけは前を向いて聞いているが、あと2クラスはみんな自主的にiPadを持って勉強して、分からないところは先生に聞いているという授業をやっている。そのような意味では、本当に6年間の間にスイッチを入れるだけだと言っていたが、そのようなものがしっかりとできればよいが、できないとなると大変なことになるので、その環境の変化に注意できるようにどう指導するか。中高一貫について愛知県は、後発である。進んでいるところは15年ぐらい前からやっていて、愛知県は本当に遅い。遅く参入して、一気にやろうとしているので、そこのところの環境変化にどうついていくか心配している。それだけの指導者がちゃんとついていっているかをチェックしていかないと、前と同じようなやり方で同じように進んでいったら全くチェンジ・メーカーなんかできない。その点だけ指摘しておきたい。
 二つ目の質問は先生についてであるが、私が見に行ったところは同じ先生が6年間一気通貫でやっていたところが多いが、愛知県は3年間、3年間で分けるのか。
【理事者】
 愛知県の第一次導入校については、3年間、3年間で、身分的には中学校、高校とは別にはなるが、中高一貫校の教員配置については、2023年度と2024年度に開催した中高一貫校の教育内容や教員配置、入学者選抜などの具体的な事項を検討するために開催した中高一貫教育具体化検討部会において、市町村の教育長や県立の校長からも同じ教員が6年間継続して指導できるとよいとの意見ももらったところである。そのため、本県の中高一貫校では中高6年間を見通した指導ができるように、市町村立小中学校の教員に加えて、県立高校の教員のうち中学校教諭の免許を保有している教員を配置する。これによって、第一次導入校については、学校が所在する地区を中心とした市町から教員を派遣してもらうとともに、県立高校の教員を人事異動によって配置した。
【委員】
 具体的に、中学の先生が3年間見て、高校の先生が3年間見るのか、それを一気通貫で6年間見る人がいるのか。それの割合が混在していて何割か違うのかと、簡単に言ってもらえばよい。
【理事者】
 全ての教員が6年間継続していけると一番よいとは思う。今のところ県立からの中学校に異動する教員がずっと上がっていくようなことを考えていきたい。
【委員】
 最初の中学3年間は中学の先生が見て、高校の3年間は高校の先生が見ると。だが、いずれは6年間同じ先生が見ていくというならそれはそうやって答えてもらえばよい。現状は今どのような体制になっているか。
【理事者】
 現状はこの4月に開校した第一次導入校では普通の一般教員が基本的に9人いて、そのうち6人が小中学校から来た教員である。残りの3人が県立高校からの教員であって、これが2年目、3年目以降は県立の教員を増やしていって、そのまま6年間、5年になるか4年になるかもしれないが、指導していけるようにしていきたい。
【委員】
 6年間一気通貫の方がよいという結論であれば、そのような体制を敷くということが大事だと思うので、よろしくお願いする。資格の問題があるのだろうが、両方免許を持っている人が多ければそれはそれでいいと思うが、今無理やり地域の中学校の先生を駆り出しているとすれば、その人たちは戻してあげてほしいと思う。
 二つ目だが、県立高校の再編について聞く。これは前から指摘していたが、そんなに遠くないところで大きく生徒の数が減る。今まで大体7万人ぐらいだったと思うが、それを1対2の割合で私立と公立が分け合ってきたということであるが、一時は私立も2,600人ぐらいまで定員割れがあったと記憶しているが、それは相当解消されてほとんど今ないところまで、若干増えてきたが、それにつれて県立というか公立というか、倍以上になっている。そこへ持ってきて、今度は無償化がどんと進むとなると、今までのスピードではなく、私立にかなり進んで、もっと定員割れを起こしていくという気がしている。中高一貫にお金をつぎ込むことも結構であるが、ほかの公立高校の校舎、また、いろんな設備にお金を投じていかないと、公立高校として存在意義がだんだんなくなっていくと心配をしている。生徒が減っていくと、当然地域に、4校あったらそれを3校にするのか、2校にするのかを今から考えていかないと、どこの学校の校舎を直すか投資額が違ってくるので、そのような意味では公立高校の再編を含めた校舎、また、施設の整備、私立に負けない整備をしていかないことには、どんどん魅力に欠けていく。どんなに中身の仕組みを変えても、校舎がきれいで、先生が元気なところへ行くから、将来像をどうしていくかということも考えて、当然再編計画は考えていると思うが、いつ頃どのようにするつもりか、考えを聞きたい。
【理事者】
 再編の話だが、県教育委員会では2021年の12月に県立高等学校再編将来構想を策定して、学校関係者を中心に幅広く意見を聴きながら、魅力化、特色化、再編に向けた具体的な取組を検討し、順次、公表をしている。
 愛知県全体の中学校卒業者数だが、ここ数年7万人程度で推移しているが、今から13年後の2038年には約2万人減少し、5万人程度になることが見込まれている。
 また、高校無償化によって生徒にとって私立高校への進学がより選択しやすくなるので、県立高校の入学者の減少についても懸念をしている。
 このような状況を踏まえて、現在中学校卒業者数の推移や、中学生の進学ニーズ、あと、国立、市立、私立を含め高校の設置状況を総合的に勘案して、当面の県立高校の再編、統合と魅力化、特色化を両輪で検討しているので、その方向性がまとまり次第、できるだけ早く公表したい。
【委員】
 そのようなことだと思うが、もうちょっと具体的に、もう計画はできているのか。クラス数を減らすのではなくて学校を削るのだろう。その辺も含めていつ頃出すのか。
【理事者】
 実際に検討を進めている学校というのはあるが、まだ方向性がまとまっていない状況である。したがって、具体的な中身をなかなか今は述べる状況にないが、中身、方向性がまとまり次第早急に公表したい。
【委員】
 2,600人の欠員があるということで、もう40クラスや60クラス削らなければいけない。クラスを削るということでいくならそれで済むが、7万人が5万人になるということであれば、学校の数は今150校あるが、どれぐらい削るかというところ。ただ、地域でやはり学校がなくなるというのは大変大きな意味があるので、慎重に、どこをどうするかということについては議論を重ねていかないといけないと思うが、もうそろそろやっていかないと駄目だと思うので、ぜひよろしくお願いする。
 最後は部活である。部活については、あまり県教育委員会のよい答えを期待していない。期待していないというのは、もう手も足も多分出ない。県立高校しかないので、そのような意味では、小中については県が何かやるかというと、なかなかやれることはないと思うが、部活の今回の地域移行は大変大きな問題であり、地域の市町の保護者は大変困惑しているということはよく理解しておいてもらいたい。その上で、県教育委員会としてどのような認識に立って、どう対応していくかは大変重要なことだと思うので、県教育委員会としての見識をしっかりと持ってもらいたい。
 この間の朝日新聞にも載っていたが、熊本市は、市に部活を残すという方針を出した。そのようなところも出てきている。これはある意味では部活動を大変重視していて、一つは生徒を今まで学校の授業と部活動という二つの視点で見て教育をしていた。その半分の、片方の部活がなくなることについて、教育としての存在感が薄まるという、そのような認識に立って、熊本市の教育長は残すと言っている。そのようなところがこれから出てくるだろうと思うし、学校の先生の中にもクラブ活動をやりたいがやらせてもらないと言っている声も多数聞いている。これについてはどれぐらいのパーセンテージがあるか分からないが、中学校には相当いるのではないかと思うが、実際にその中でも伝統校は今でも全国大会に出ていく。9連覇をしている、名東区に神丘中学校があるが、吹奏楽は全国レベルで、保護者が集まって、いつも大会を開いて地域の人が見に行くという。これをなくすのかという話になる。今までは顧問の先生は、人事異動としては必ずこの人の後はこの人だと決まっていて、10年ぐらいのスパンで替わって、そこは継続されていくように伝統校はなっている。今でもそうみたいだが、ただ、それ以外のところはもうほとんどない。地域移行がちゃんとできていればいいが、地域移行ができていないとなると責任を取るところがない。この間も保護者が来て話を聞いていると、中学によって相当ばらつきがある。もうほとんど部活がなくなってきているところもある。あるところは伝統のあるクラブが少しは残っているが、現場によって状況がかなり違ってきている。来年になるとほとんどなくなってしまうのではないか。なくなったときに、地域移行がちゃんとできていればよいが、地域にそれだけの受皿があるかという話もあると思う。熊本市が地域移行をやめたのはそれも一つあるそうである。
 2万人の中学生を受けるだけの地域の総合クラブがないということで、改めて市の教育委員会がしっかりとそれを受けて、やりたいと言っている学校の教員と、プラス今までどおりではできないので地域の指導者も取り入れてやっていくという新しいハイブリッド型のものをつくっていくということを宣言していたが、それが現状に合っていれば、そのような方法が望ましいのかもしれない。私が心配しているのは、今までの小中学校の部活動、特に中学は教育という側面でいうとかなりウエートが大きかったのではないか。単なるスポーツということではなくて、教育という面での側面が剝ぎ取られることについて、もしこれがいわゆる地域移行して、地域移行の受皿となるクラブにそのような側面はないと思う。だから、サッカーや野球を大人までやっていく、そのようなスポーツについて技術的にレベルを上げていくというところはあるかもしれないが、教育という側面がなくなることについて大変危惧をするわけであるし、そこに携わっていた先生の思いもあり、それが今度はやる場所がなくなることについて、先生も生徒と接する面でどうかという気がしているが、それをケアというか、どう学校でそれを授業だけで補っていくのかについて、しっかりと教育委員会で議論していって、生徒たちがしっかりとした教育が受けられればよいと思うが、単に国がそのような方針を出したから、学校の先生が大変多忙で、そのようなところまではもう限界があるのはよく分かる。だからといって子供たちに対する教育について、これからの時代はそのような教育の環境の在り方ではないということならそれでよいと思うが、それはそれでしっかりと打ち出していかないといけないと思うが、教育長の所見を伺う。
【理事者】
 最初に、大きな問題だというのは、これまで部活が果たしてきた役割の大きさがあると思う。それは教育的な意義が大変大きかったと思う。先輩がいて、後輩がいてという異なる学年での人間関係をつくる、あるいは責任感、協調性、さらには授業の場所とはまた違ったところでの自己肯定感の涵養とか、そういった教育的意義が大変大きかったと思う。それらが一人一人の教員の献身的な支えによって何とか部活は成り立ってきたものと思っている。だから、そうした意義は確かになかなかそれを継続していくことは難しい部分もあると思う。さらにそこに我々としては、できればまた違った形になったときに、違った役割、違った意義というものを付け加えていくことが大事だと思う。それは、一つには、学校の垣根を越えたつながりをつくっていくことや、あるいは学校の垣根もあるし、広い世代との交流もあると思う。そういった新しい価値をできれば付加するような形になるのが一番望ましいと思っている。
 それでは、どのような形態があるんだと。例えば熊本市はある意味部活の形を残したような形、そこに新しいものを入れた形でやっているというのもあった。形態としては一つの形でこれが理想的であるとは思っていない。それはそれぞれの地域、市町村の事情によるので、それぞれの市町村がそれぞれの実情に合った形で、どのような形が一番子供にとってよいのかを考えていくことが必要だと思っている。それは我々も一緒になって考えていかなければいけないと思っているので、多分形は千差万別になると思う。実施形態も千差万別。それから、活動内容そのものもそれぞれまた多様なものになってくると思う。
 ただ、それでも全てはやっぱり子供にとって、よりよい改革になるようにということだけは市町村も、それから我々、県教育委員会も同じ思いだと思っているので、思いは共有しながら、次の6年間、これでまた改革実行期間ということになるので、それぞれの実情に合った地域展開の仕方を、子供たちにとって何が一番大事なのかを常に念頭に置きながら、市町村と一緒に考えていくことが我々に求められていると思っているので、これからも引き続き指導してもらえればと思っている。
【委員】
 最初に、県立高校の欠員の分析について伺う。
 今回の県議会代表質問において、今春の公立高校の入試の結果、2,300人を超える定員割れがあったことが明らかになった。この定員割れの要因をどのように分析しているのか、まずは伺う。
【理事者】
 2025年度入試における全日制県立高校の欠員は、速報値ではあるが、2,372人となった。また、私立の高校で360人程度の欠員が生じているため、全日制高校全体では約2,700人の欠員が生じている。全日制高校の生徒募集は、過去5年間の中学3年生の進路希望や進学実績を勘案して計画しているが、近年、中学生の進学ニーズが多様化しており、全日制高校へ進学する割合が低下し、一方で、通信制へ進学する生徒の割合が上昇している。また、私学志向の高まりにより、全日制高校の欠員の多くは県立高校で生じている。このような通信制への進学率の上昇と私学志向の高まりが全日制公立高校の欠員の増加の大きな要因と考えている。
【委員】
 次に、国による高校無償化の影響で、公立高校への志願者が減少するのではないかとの懸念の声が聞こえてくる。授業料の安さで公立高校は成り立っていたというように思われてならない。このような懸念の理由をどのように考えるのか、私立高校と公立高校の魅力の違いを踏まえて話してほしい。
【理事者】
 私立の高校は建学の精神に基づく独自の教育方針と、その方針に合った施設環境が大きな特徴と考えられる。また、多くの学校が名古屋市内に立地していたり、郊外にある学校でもスクールバスを運行していたりするため、生徒にとって通いやすくなっている。一方公立高校では、私立高校では数少ない総合学科や、将来の職業選択に直結する農業、工業、商業といった専門分野が学べる高校が地域バランスを考慮して設置されていることが特徴であるが、駅から遠く、交通不便な立地条件にある学校もあり、そうした学校で欠員が生じる傾向にある。こうしたことに加え、高校授業料の無償化は、家庭の所得水準にかかわらず、公立でも私立でも行きたい学校を選択しやすくなるので、私立高校を選択する生徒が増加し、公立高校の志願者がこれまでよりも減少するのではないかという懸念につながると考えている。
【委員】
 また、同じく代表質問で、県立高校において時代の変化に伴う多様なニーズに応えるとともに、子供たちの可能性や能力を最大限に伸ばす教育活動の充実や、学習環境の整備が必要との意見に対し、時代の変化に即した新しい施設、設備の整備を進め、実践的な知識や技術を習得できるような学校にしていくと述べた内容が新聞の記事として報道された。私自身としても総論としては理解する。ただ、この新聞記事を見た若い父母から、何がどうなるのか、もう少し分かるように説明してほしいとの声が寄せられており、どう対応すればよいのか苦慮している。こうした父母の声があることを知ってもらうとともに、専門学校において時代の変化に即した新しい施設設備の整備を進め、実践的な知識や技術を習得できる学校としていくとのことであるが、具体的にどのように取り組むのか伺う。
 私立高校では、それぞれの学校において、経営者、教職員、PTA、同窓会が一致協力して独自の校風を築き、自らも進化、発展に取り組んで、それが校風となり、受験生もこの私学で学びたいと思い、父母、同窓会も後押しをしている。公立高校は一部の進学校、特別に最新整備された学校以外のほとんどが金太郎あめ的とまでの評判である。この評価も含めて答弁してほしい。
【理事者】
 代表質問における教育長の答弁は、農業高校や工科高校など、専門高校について答弁したものである。
 農業高校や工科高校など、県内の多くの専門高校は公立の学校であるので、高校授業料の実質的な無償化により大きな影響を受けることを懸念している。専門高校において実践的な知識や技術を習得するためには、まず実際の現場で使われている道具や機械などを用いて学べる教育環境を整えることが必要である。そのため、県教育委員会では、これまでも故障や老朽化の実態などを踏まえながら、継続的に専門高校の機器の更新を行うとともに、例えばVRゴーグルやドローンなど、時代の変化に応じた新しい機器の整備を進めてきた。
 しかし、技術革新が頻繁な時代において、引き続き新しい施設設備の整備が必要となる。今後は授業料の無償化に伴う国の専門高校を含めた公立高校への支援の拡充の動向を注視しながら、施設設備の整備に努めていく。
 さらに、必要となる知識技術の習得のために、地域の産業界等とも連携し、企業から講師を招き、企業等に出向いて実習を行うなどの教育活動を一層充実させていく。また、専門高校以外の普通科や総合学科においても、地域社会が抱える課題の解決に向けた学びに重点的に取り組み、キャリア教育に力を入れて取り組むなど、それぞれの特色化を進め、その魅力を積極的にアピールすることで中学生がこの学校で学びたいと思えるような学校づくりを進めていく。
【委員】
 次は、同窓会の活動について伺う。
 私は過去に私立東邦高校の同窓会の副会長として、卒業生の集い、校友会の一員として母校の現状を伝えるとともに、同窓生の活動状況の広報や学校の現役の学生に対する支援、協力に取り組んできた。まさに卒業生こそが母校を愛し、支える集い、活動を続けている。おおむね私立学校ではこうした卒業生が底辺を支え、母校の発展に寄与している。さらに、母校の日本大学では、私は愛知県の県内の卒業生7,000人の代表として、校友会代表として現在も活動している。2か月に1回、東京の大学本部へ校友会副会長としても出向いて会議に参加している。
 そこで伺う。
 愛知県の公立高校における卒業生の同窓会、校友会の活動状況をどのように情報収集し、活動しているのか。どこの部署で分析しているのか。
【理事者】
 県立高校の同窓会は卒業生が自主的に組織する任意団体であり、県教育委員会に所管部署はなく、活動状況の情報収集や分析は行っていない。そのため、全校の同窓会の状況を把握しているわけではないが、同窓会による物品寄附や卒業生による講演など、教育活動へ支援してもらっている学校もあることは承知しており、意義あるものと認識している。
【委員】
 公立高校の活性化には、現役生徒、教職員だけではなく、卒業されたOB、OGの支援、協力がこれからは不可欠だと考えている。所見を求める。
【理事者】
 同窓会からの寄附や卒業生による教育活動への協力は、学校の教育活動の充実において大きな力となっている。
【委員】
 公立高校の特徴や卒業生の活動、協力をもって活性化とすべきではないかと考える。県として同窓会、校友会の支援は今どう行っているのかも含めた答弁を求める。
【理事者】
 同窓会から学校への支援は、同窓会の考えに基づいて行われるものである。また、県が直接同窓会を支援することは考えていないが、学校が校内にとどまらず、同窓会を含め、地域、大学、企業などの様々な機関と連携しながら教育活動を行うことは重要なことであると考えている。特に卒業生は高校生にとって身近なキャリアモデルとなることから、卒業生による講話などは教育的効果も高いと考えており、こうした教育活動を推進していくことは意義あるものと受け止めている。
【委員】
 公立高校の同窓会、校友会の活性化の活動こそが力となると私は今も信じている。今の公立高校の同窓会、校友会の活動の実情の調査を求める。答弁を求める。
【理事者】
 同窓会は自主的な団体であり、その活動内容も多様であることから、現時点で一律の調査を行うことは予定していないが、卒業生の協力の下で行われる教育活動は意義あることなので、充実するよう学校に働きかけていく。
【委員】
 今回の教育・スポーツ委員会で質問するに当たり、当局との打合せにおいて、受験生、父母に向けて、県立高校を案内するフェアを開催する企画があることを知った。高校への進学に関しては、これまで中学校側が生徒及び父母に対して、これまでの学校成績を基準として合格する可能性が高いであろうとする公立高校はこことここにする進路指導が長年にわたって行われてきたのではないだろうか。生徒の進学希望はぼんやりとしていて、現実に受験が近づくと、公立高校、私立高校の入学金、授業料等の負担の違いを比較して親と相談して公立高校を受験する例も多いと思う。公立高校は一部の進学校を除けばどこも同じで、特別なものがあって強く希望するものはない状況にある。公立高校に入学しても母校愛は生まれず、大学への進学準備を考えるだけの生徒も多いと考えられる。私立高校は必死になって改革を進め、特徴ある学校へと常に努力を行っている。公立高校はこうしたことを承知しながらも、特別に何も考えなくても受験生は向こうからやってくるとの考えが支配していたことは事実である。校長も教頭も教職員も経営の概念すら誰一人として考えてこなくても心配なかった。給与も心配なかった。私学が経営努力をして学業、スポーツに特徴を示し、ぼんやりした公立高校よりも評価が高くなり、公立高校の受験希望者が定員を割る事態が現実となり、自らの高校自体の特徴をアピールできなくなっていることを自覚するようになり、驚いて何とかしなければと考えるに至っている。3年ほど前に、遅れて公立高校も夏休みの期間に学校の概要説明を廃止しているとのことである。
 そこで伺う。
 このフェアの企画構想はいつから始まり、どのような目的で開催されたのか。また、この参加者数、各校の対応を具体的に話してほしい。私も51年目の県会議員であるが、こうしたことの情報は全く知らされず、案内もなく、一度も参加したことはなかった。残念でならない。今年は参加したい。答弁を求める。
【理事者】
 2021年度に県立高等学校再編将来構想を取りまとめる際に、学校によって異なる魅力、特色が中学生に十分に伝わっていないという課題が挙げられた。そのため、県立高校それぞれで行っている学習の特徴や特色ある行事、部活動、進学、就職の実績などを広くPRするため、構想策定の翌年度の2022年度から、県立高校を地区に分けて実施する愛知県立高校進学フェアを毎年開催している。昨年度は8地区10会場で中学生とその保護者など、延べ2万1,000人に参加してもらった。高校生も自分の学校のブースで中学生に向けて自分の通っている高校のよさを一生懸命に説明している。また、来場者からは一度にたくさんの学校の様子を知ることができた、先生や先輩から直接話が聞けて親近感が湧いた、そういった感想が寄せられており、好評を得た。
【委員】
 公立高校における地域の人々との交流は、学校としても親交を深める中で、地域の人々がこの学校こそが自分たちのまちの学校であるとする絆が必要となる。かつての旧制中学校から公立高校となった学校には、これまで支え合った伝統という母校愛が育まれているが、戦後の生徒の急増期により開校した公立学校にはこうした絆が少ないと思う。さらに私立高校の多くは、教員から教頭、校長にと勤務が長年にわたることから、これが自分の母校なんだとの思いが常に生まれ、同窓会、校友会との交流の中で生徒募集から始まり、様々な学校行事の支援に関わり、寄附金が寄せられているような原動力となっている。公立高校では、教員、主任、教頭、校長も定期異動され、周囲との関係は希薄ではないだろうか。教員の希望によっては、ある一定期間長く同じ学校で勤務できるとする考えについて質問する。
 なぜこうも異動しなければならないのだろうか。しているのだろうか。聞かせてほしい。
【理事者】
 学校では教科ごとにベテランと若手をバランスよく配置する必要がある。また、県立学校には全日制、定時制、通信制といった課程や普通科、職業学科といった学科など様々な種類があり、多様な経験を積むことによってより資質の高い教員へと成長していくことも期待できるため、これらを目的として人事異動を実施している。さらに、退職者が出て補充が必要であったり、家庭環境等の変化により本人が異動を希望したりすることもあり、人事異動を実施することで教員の希望をかなえる必要もある。人事異動に当たっては、事前に校長の意向や各校の実情を聴取するなど、よりよい学校運営ができるよう実施している。
【委員】
 公立高校において、私立高校のように同じ学校で教員、主任、教頭、校長となった例はあるか。聞かせてほしい。
【理事者】
 教員の人事異動に際しては、同一校勤務10年以上の者は特別の事情のない限り異動を行うと実施要領で定めている。また、教頭任用の受審資格として、複数校の勤務経験を要することを原則としている。過去の管理職の経歴を全て把握はしていないが、同一校内で教諭、主任、教頭、校長となった事例はほぼないものと認識している。
【委員】
 これまでだと、この学校に愛情、情熱を注いでもどうせすぐ転任になると思っている教員が多いわけである。教頭、校長は銀行の支店長、副支店長のようにお客さんとの利害関係は生じることもないわけであって、そんなに定期異動が必要はないのではないだろうか。当局の見解を聞かせてほしい。
【理事者】
 教頭は複数の学校で多様な職務経験を積むことで、管理職としての資質の向上を図ることを重視して異動を行っている。校長はその職に就くのが役職定年である60歳に近いことが多く、1校のみの校長経験であることも多いが、校長としてより力を発揮できるよう、過去の経験を生かし、学校ごとの特色や課題に対応した適材適所な配置を目指して人事異動を行うことがある。
【委員】
 今年2025年11月15日から11月26日まで、東京都を中心に開催される第25回夏季デフリンピック競技大会が行われる。今大会は100周年記念大会で、日本で初めてのデフリンピック開催とのことである。デフリンピックとは国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が主催する聴覚障害のあるアスリートのための国際総合スポーツ競技大会で、オリンピックやパラリンピックと同様に4年ごとに開催されることのようである。開催場所は東京都内を中心に静岡県、福島県でも行われる。参加国、地域は70から80か国で、21競技のようである。
 質問の本論に入る。
 愛知県と名古屋市は来年、2026年アジア競技大会とアジアパラ競技大会を開催する。特に、身体障害者のパラ競技と聴覚障害者のデフリンピックでは、障害の違いはあるものの、ある意味の相違はあるものの、その心においては共通するものがあると思う。
 そこで質問である。
 デフリンピックを支えている運営主体の組織と東京都の行政当局の関わりと開催運営費について、知り得る限りの情報を話してほしい。私が知り得る限りの情報では、愛知県は1人だけの人員が参加しているということは事実だろうか。私が知る限りたった1人だけである。東京都だけではなく、静岡県、福島県の両県も加わっているようであるが、開催地の決定はいかなる状況で決定したのか。この静岡県、福島県の競技運営の支援協力の体制、愛知県・名古屋市として、デフリンピックへの支援協力体制について話してほしい。静岡県、福島県の両県でもデフリンピック競技が行われるなら、なぜ愛知県・名古屋市が積極的に会場の誘致、協力に手を挙げなかったのか、私には不思議でならない。アジア競技大会を広報する貴重な場を避けるようにしながらとしか私には映らない。
 以上、四点について答弁を求める。
【理事者】
 初めに、デフリンピックの準備運営体制については、一般社団法人全日本ろうあ連盟と東京都が協働して行っており、全日本ろうあ連盟内には大会主催者との窓口などを担う組織が設置され、競技や会場運営などの運営実務を公益財団法人東京都スポーツ文化事業団が担っている。東京都は、当事業団へ職員派遣のほか、大会の機運醸成のための取組を行っている。
 また、デフリンピックの大会開催に係る計画額は、2023年12月に公表されている資料では、会場の仮設費や選手団の輸送等で130億円となっている。
 次に、デフリンピックの開催地について、東京都外の静岡県の日本サイクルスポーツセンターで自転車競技、また、福島県のJヴィレッジでサッカー競技が開催されるが、公表されている資料では、競技会場は選手や競技運営にとっても良好な環境を備えた最適な会場を選定したとされている。なお、静岡県、福島県の両県は、公表されている資料から大会の機運醸成などで連携協力とされており、両県のホームページにはデフリンピックに向けた機運醸成への取組などが紹介されている。
 次に、デフリンピックへの本県の支援協力についてだが、昨年度2024年度からデフリンピックの運営実務を担う東京都スポーツ文化事業団へ1人の職員を派遣している。また、先月6月1日と、本日付になるが、各1人を新たに派遣しており、現在3人の職員を派遣している。
 最後に、デフリンピックの競技会場の本県の招致、協力についてだが、競技会場について、大会の運営組織等から本県に対する協力要請はなかったが、デフリンピック開催期間中にアジア・アジアパラ競技大会のPRブース出展を調整しており、大会の広報に努めていく。
【委員】
 今回のアジア競技大会、アジアパラ競技大会が愛知・名古屋で開催される。基本的な話をさせてもらう。今回のアジア競技大会・アジアパラ競技大会の開催立候補に名のりを上げたのは日本では福岡県だった。しかし、後に大会開催に伴う運営費が膨大な巨額な費用になることが判明し、立候補の辞退をした。しばらくして、大村秀章知事がどこにも具体的に相談することなく、突然アジア競技大会、アジアパラ競技大会の開催の立候補に名のりを上げ、今に至っている。
 質問の1は、福岡県の膨大な開催費用を検討して立候補を辞退した理由の中に、これまでのアジア競技大会東京大会、広島大会では、万博やオリンピックと違って日本の国としての開催支援の資金は支出されず、国からの運営の助けはないということであった。
 そこで、アジア競技大会の開催には、国から運営費の支援は出ない。期待ができないことを承知の上で愛知・名古屋大会の開催を決定したのだと私は思っている。もちろん大村秀章知事、愛知県は国の支援を確約しての判断ではなかったと思う。この点についての明確な答弁を求める。
 次に、国との協議をしてアジア競技大会開催を決めた経緯について話してほしい。もし国との支援金の協議もないまま、合意のないままアジア競技大会を決めた経緯なのか。答弁を求める。
 次に、アジア競技大会、アジアパラ競技大会愛知・名古屋の開催に際し、運営費の全てにおいて予想以上の経費となることとして、慌てて国からの大幅な支援を求めて陳情を行っているが、これが報道されている。国に支援を求める背景、理由に昨今の物価、人件費、資材の高騰等を声高に主張している。しかし、これまでのオリンピック、万博、科学博でもそうであり、愛知でもそうであるが、その翌年には必ず資材高騰、人件費の高騰を必ず述べており、今さら最近物価の高騰、人件費の高騰というのはどうも理解ができない。
 衆参の両国会においてもアジア競技大会・アジアパラ競技大会について地元の国会議員から、石破茂総理を含め所管大臣への支援を求める議論が行われている。国としても、アジア競技大会、アジアパラ競技大会への協力に対する理解をした前向きな答弁はあったが、国からの支援金を出すとした答弁は今まで国会の委員会議論では一切ない。愛知県議会、名古屋市会、地元経済界からの陳情も再三行われている。本議会で大村秀章知事は、石破茂総理、国から骨太の方針において支援するとの決定を得られたからと、県民、市民にも大丈夫だとの答弁をしている。
 しかし、よくよく考えると愛知・名古屋からアジア競技大会、アジアパラ競技大会への協力支援を求めるも、ずばり国としての巨額なお金を求めている内容は今まで一切明記されていない。さらに支援金はこれがどうしても不足だから500億円、否、1,000億円ほど負担してもらいたいとの明記はない。事業をするにも、家のローンを考えるのも金融機関、すなわち費用を出す側にこれこれの費用を求めるのが、いろんな数字を並べ立てるのが本来である。なぜ具体的な数字を示さないのか。答弁を求める。幾らかも不明のままで大体推察せよとの要求、お願いは真剣に検討されない。国へ求める支援金の数字をいつ示すのか、答弁を求める。
【理事者】
 まず初めに、国との協議についてだが、アジア競技大会の開催が決定した2016年当時、国からの財政支援は見込んでおらず、開催経費は850億円とし、行政負担の600億円については愛知県と名古屋市が2対1での負担割合で負担することとした。
 次に、国の支援に当たって、具体的な数字の提示についてであるが、国に支援要請を行うに際しては収支見込みや必要経費を精査する必要がある。現在、組織委員会においてOCAやAPC、各競技団体等と大会運営に係る計画作成など協議調整を進めており、必要経費の精査を行っていることから、現時点で具体的な数値を示すことができない。支援要請額をしっかりと固めた上で、今後は国に対する支援要請を行っていく。
【委員】
 一生懸命しゃべっても、答弁が何だか何もない。こんなような状態で、いつもこういった委員会が回っていくこと自体が異常だと私は思う。
 骨太の方針における支援の国の回答とは何のことだと理解しているのか、答弁を求める。
【理事者】
 6月13日に閣議決定された骨太の方針2025の本文に、アジア・アジアパラ競技大会の意義等を踏まえた各般の開催支援が明記された。引き続き財政支援、人的支援など、国の適切な支援を要請していきたいと考えている。
【委員】
 間もなく参議院選挙が行われる。今回の東京都議会議員選挙の結果を推察すると、与党、自民、公明はどうやら大敗が予想され、野党政権が大連立も含めていろいろな検討がされるかもしれない状況になっている。要は、私は、石破茂総理の意味不明なアジア競技大会、アジアパラ競技大会への骨太の方針における支援の約束の決定そのものがもうすぐ立ち消えとなると思う。県当局の理解はどのようなのか。答弁を求める。
【理事者】
 骨太の方針の本文に明記されたことについては、大会の成功に向けた大きな一歩であると認識している。参議院選挙の結果にかかわらず、具体の財源確保をはじめ、適切な支援について関係方面と十分協議し、国へ要請していく。
【委員】
 要請することは何回やってもよいが、今この参議院選挙の結果によっては国がどう進むかが大きく変わるわけである。全国の47都道府県、愛知県と名古屋市の競技会はこんなところで費用を大量に使ってもらっては困るというのが本音だと私は思うし、そんなわがままが通じるのかとさえ思慮するわけである。そういったことも含めて、よくよく対応を考えないと私は駄目だと思っている。物価対策、教育、福祉、医療、国も県も市も必死のときに愛知・名古屋のアジア競技大会、アジアパラ競技大会に膨大な国費を投入するなんてとんでもないというような声が出るならば、非常に難しい状況になるのではないかと杞憂している。そういったことを踏まえて心得ていかなければいけないと思う。考えてみれば、石破茂総理の骨太の方針の話はそのうちに一笑に付して終わるような可能性もなきにしもあらずである。そのときを考えてどう対応するかも考えておくべきだと思う。これはそんなに間違っていないと思う。岐阜県や三重県、静岡県の仲間と話をすると、必ず、ちょっとそれは愛知県・名古屋市は傲慢だという話が聞こえてくる。よく心得ていかなければいけない。
 もう一つ伺う。
 これはアジア競技大会、アジアパラ競技大会、愛知・名古屋の宿泊施設についての質問である。
 質問の1、アジア競技大会・アジアパラ競技大会の選手村は名古屋競馬場を取り壊し、その跡地に完成させるとのパンフレットを私は承知している。とてもすばらしい計画、構想のように思われた。
 そこで伺う。
 どこに問題があってこの選手村が消えてしまったのだろうか。私は何も理解ができていない。なぜなのだろう。当局の説明を求める。
 それと、アジア競技大会愛知・名古屋の選手村の建築構想の建物計画とは、一体当時はどんなものだったのだろうか。建築費の負担というものは誰がどのように負担して造っていき、販売していく予定だったのだろう。この建物は計画的に賃貸か分譲住宅、それとも公営住宅を考えたのだろうか。ちょうど東京オリンピックがそうだった。ただ、たまたま、土古町については全く不適格で、そのようなものがなかったというだけのことである。私の知る限りの情報では、施工業者が建築をして分譲する責任があったと思っている。詳細を話してほしい。
 まずここまで伺う。
【理事者】
 初めに、選手村整備の取りやめについて、東京2020オリンピック・パラリンピック大会後、国際スポーツに対する厳しい世論が高まる中、アジア・アジアパラ競技大会を取り巻く環境も大きく変化した。建設資材や人件費の高騰などの要因も重なり、収支見通しが不透明となる中、計画どおりの規模で選手村の整備を実施した場合、総事業費は予定額を上回る可能性があった。また、コロナ禍において選手村へ選手を集約させること、選手間の交流を促すことは、集団感染のリスクを高めるおそれがあった。こうした要素を考慮、判断の上、選手村の整備を取りやめることとしたものである。
 次に、アジア競技大会の選手村の建設構想の建物建築計画についてであるが、アジア競技大会への参加が見込まれる選手団最大1万5,000人のうち、選手村では約1万人を収容することを想定していた。具体的には、民間事業者が整備予定であった分譲マンションなどを活用するほか、周辺に仮設施設を造る計画であった。
 次に、選手村の建設にかかる費用負担については、選手村として活用する住宅等の仮設整備は組織委員会が負担することとしており、分譲マンションのほか、複合商業施設、複合型福祉施設、スポーツ施設などのまちづくり事業は民間事業者が負担することとしていた。
 最後に、建築後の建物計画については、民間事業者からの提案により、分譲住宅を宿泊施設として活用する予定であった。
【委員】
 ここの住宅地、この場所は、名古屋市内の中でも地震や津波が川に押し寄せると、一番浸水する地域である。それはみんな知っている。かつて名古屋市内で土地の高騰があったとき、たった1か所だけ下がったところがあった。それがここの地区である。そういったことを考えてみれば、ここに住宅を造って分譲して何かをする。あり得ない話である。まして教育環境だとかそういったものを見てみたら全くその対象外で、もしそこに住宅を造ったとしたら誰も小中学校やいろんなところに喜んで来るような環境ではないということだけははっきり分かっていたはずである。そういったことも含めて、もっと正直に言わなければいけない。これは、でたらめだったということである。
 それと、この代わりにクルーズ船を利用しての選手村といっている。クルーズ船、私もこの間2月の議案質疑を行った。このクルーズ船、もうどの船を利用するか決まっている。今頃、世界中のクルーズ船を見ても契約ができない、コスタセレーナ号しかなかった。それも、悪いとは言っていない。よいものだった。巨大クルーズ船というと豪華客船のように思えるが、この船だけがなぜか修学旅行的な、要するにアパホテル的なホテルである。なかなかよいものではないか。それを推し進めているが、それも県の職員も名古屋市の職員も体験して見ているわけだろう。それを公表しないということはどのようなことなのか。前も話を聞いたが、巨大クルーズ船、コスタセレーナ号、これである。これ以外ない。世界中もう予約できて、走る計画もできている。決まっているのに何でそれを発表しないのか。要は、競技団体とかはどのような船で、どのような構造で、そして選手として差がないのか。そういったものが気になって仕方がない。早くやるべきだと思うが、これがここまで来てもできない。仮契約もできていない。契約もできていない。これはどのようなことなのか。それを私は尋ねている。何かもったいぶってやっているような感じがしてならないが、もうこの船しかないのだろう。だから、もうはっきりとこういったものをきちんといえない、今でも公表できない背景と理由は何なのか。答弁してほしい。
【理事者】
 活用の可能性がある船舶や船会社名については、船会社との協議、交渉に影響を及ぼすおそれがあるので、現時点で公表できないということを理解してもらいたい。今後、交渉先との協議が整い次第公表する。
【委員】
 先ほども言ったが、県の職員も名古屋市の職員もこの船を見て、そして報告が出ていると思う。それが何でできないのかといっていた。何が問題で、こんな具体的に進まないのかということである。2月の時点でも話したが、もう7月である。アスリートたちはいろんな考えを持って、ここでどのように生活し、そして、能動的に選手が過ごせるか。クルーズ船というのは大きな海辺のところの窓から見えるところもあれば船倉のところで窓がないところもある。そういったものがあるだけに、使い勝手も何かやっていかないといけないと思う。何の理由があって言わないんだということしか言いようがない。この船しかない。もうほかの船は運航計画が出ている。県は、この間もそうだが、同じような船で間違いないんだと言った。この船なんだ。だから、もっときちんと発表すべきときは発表し、そして理解してもらうところは理解し、やっていかないと、後々になればなるほど難しい。それを心配している。
 今日はまだたくさん、1時間ぐらいやるつもりでいたが、私も51年目の県議会議員で、文書を出してこのような質問をすると言ったが、受け取ったでもなければ何でもない。反応もなければ何もない。こちらから議会事務局を再三通じ、教育委員会も通じて、アジア・アジアパラ競技大会推進局というのはこんなものかと。そのようなものにしか理解できない。特別な県の組織でも何でもない。やっぱりポイントを押さえてこないといけないし、言うべきときは言わなければいけない。この委員会だってそうではないか。言うときに何も言わないと。腹に収めているのは理事者の方だけでは、これはまずいと思う。あまり演説していても仕方ないから終わる。

 

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