本文
農林水産委員会審査状況(令和6年12月10日)
農林水産委員会
委員会
日時 令和6年12月10日(火曜日) 午後0時58分~
会場 第2委員会室
出席者
桜井秀樹、横田たかし 正副委員長
久保田浩文、横井五六、中野治美、峰野 修、新海正春、杉浦哲也、
鈴木 純、鈴木まさと、安井伸治、しまぶくろ朝太郎、末永けい 各委員
農業水産局長、農林水産推進監、農業水産局技監、農政部長、
畜産振興監兼畜産課長、水産振興監、
農林基盤局長、同技監、農地部長、林務部長、関係各課長等
委員会審査風景
付託案件等
議案
第183号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第6号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳出
第6款 農林水産費
第10款 災害復旧費
第2条(繰越明許費の補正)の内
第6款 農林水産費
第10款 災害復旧費
第200号 工事請負契約の締結について(排水施設保全対策事業目比川河口地区排水機場機械設備工事)
第225号 損害賠償の額の決定及び和解について(畜産総合センター)
第233号 愛知県森林公園の公園施設の指定管理者の指定について
結果
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第183号、第200号、第225号及び第233号
閉会中継続調査申出案件
- 農林水産業の振興について
- 農地関係の調整及び土地改良について
- 緑化の推進について
- 農業水産局、農林基盤局、海区漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会の行政運営について
会議の概要
- 開会
- 議案審査(4件)
(1)理事者の説明
(2)質疑
(3)採決 - 委員長報告の決定
- 一般質問
- 閉会中継続調査申出案件の決定
- 閉会
主な質疑
議案関係
【委員】
あいち型産地パワーアップ事業費補助金は5,000万円の増額と聞き、これは本当に農家にとってよい事業だと思う。農政部長から夏季の高温対策等、提案理由を聞いたが、もう一度、提案理由を伺う。
【理事者】
あいち型産地パワーアップ事業は、本県農業の生産力の強化を目的に、国の事業では補助対象とならない栽培施設や共同利用施設の整備、高度な農業機械の導入などの取組を支援する本県独自の補助事業である。県内各産地においてこの事業の活用が進む中、今年の夏は統計開始以来最も暑かったと言われ、農業の現場では農産物の品質低下、病害虫の多発、収量の減少など大きな影響があった。このため、特に今年の夏以降、県内各産地から次の作付に向けて高温の影響を緩和するための取組に対する早期の支援が強く求められるようになっている。
しかしながら、本年度当初予算で計上している3億円の枠内では、高温対策を含む各産地からの要望に十分に対応することができない状況である。また、次年度当初予算による対応では来年の夏の高温に対応するための機器導入が間に合わないことから、12月定例議会で補正予算案を提出した。
【委員】
この補正予算として提案されているあいち型産地パワーアップ事業について、どのように必要額を積算したのか。
【理事者】
県内各産地や農業団体等から夏季の高温対策に対する支援を求める多くの声が寄せられたことを受け、本年10月にあいち型産地パワーアップ事業に係る事業活用要望調査を実施した。その結果、農業用ハウスに設置する遮光カーテンやミスト装置の導入といった取組をできる限り早期に実施したいとの意向を持つ産地が数多く存在することを確認することができた。今回の補正予算においては、これらの産地に加え来年度事業で夏季の高温対策に資する取組を計画していた産地についても来年の夏に間に合うように実施したいとの意向を受け、これらを前倒しで採択し、支援対象とする予定である。
こうして算定した夏季の高温対策の取組に要する経費から補助金所要額として5,000万円を積算した。
【委員】
これからも農家のいろいろな意見を聴き、取り上げてもらうよう要望する。
一般質問
【委員】
11月12日に愛知県JA大会が盛大に開催され、私も来賓として招待された。大村秀章知事からの挨拶の中で、10月29日に本県とJAグループ愛知が包括協定を結び、これを契機に愛知県の農業の発展に向けてより実効性のある施策を進めるとの力強い話を聞いた。私も、この協定を機に本県とJAグループ愛知の連携強化が図られ、愛知県の農業がこれまで以上に発展していくことを期待している。
そこで、この包括協定はどのような内容か、またそれを踏まえて今後どのように取組を進めていくのか伺う。
JAグループ愛知との連携・協力に関する包括協定
【理事者】
JAグループ愛知とはこれまでも地域農業の持続的発展に向けた取組を連携して進めてきた。このたび農業分野での連携協力をより強固なものにするとともに、地域振興や人口減少対策、健康福祉の増進、環境保全など幅広い分野において相互に連携、協力関係を深め、地域社会の持続的発展を図るため、10月29日に包括協定を締結した。
今後は、農業分野では生産現場での課題解決のための農業総合試験場と企業等が連携したイノベーションの創出や、スマート農業をはじめとした革新的技術の社会実装、担い手の確保、育成に向けた支援体制の整備、栽培等のデータの共有、活用などについて連携を強化する。また、地域振興や人口減少対策に関しては関係人口の創出や集落、地域活動の活性化に向けた連携を、健康福祉の増進に関しては農福連携や介護予防における連携を、環境保全に関しては脱炭素社会の実現及びSDGsの達成に向けた連携を強化していく。
今回の協定を契機として、JAグループ愛知との相互の連携協力関係を深め、愛知県の発展に向けた取組をしっかりと進めていく。
【委員】
今回の協定を契機として地域振興や健康福祉など様々な分野でJAグループ愛知と協力して農業農村を発展させる県の取組をさらに強化してもらいたい。
【委員】
国の森林環境譲与税について伺う。
東日本大震災に係る震災復興特別税の終了に伴い、森林環境税を1人1,000円、年間で約600億円を国で集め、各市町村と各都道府県へ譲与する2通りとなるが、使い道については国がこういう目的で使いなさいと指示があると思う。そのような形でもう5年たった。今年から100パーセントの税が森林環境譲与税としてつくと聞いているが、5年間でどのように活用してきたのか。
各市町村の活用については、県は直接それに関わるものではないため把握することが難しいかもしれないが、各市町村のホームページ等で公開されている情報によると、例えば岡崎市では、森林経営管理制度を活用した森林整備から、私の地元新城市では、新城市鳳来総合支所の建設にあたって天井や壁のルーバーに国産材、県産材を使った木質化という形で使われている。
そこで、まず各市町村がどのように税を使っているのか。都市部だと税金額の決め方が私有林の人工林面積から林業就業者数、人口を分けて、それぞれの割合で決めていると聞いている。横浜市は山がないのに一番もらっているとも聞く。そのため、人口割の弊害は多少修正はされてきたと聞いているが、そのような都市部と山間地の市町村との使い方の傾向はどのようになっているのか、県はどのように把握しているのか伺う。
【理事者】
令和5年度における県内市町村の森林環境譲与税執行額は、合計で約13億円である。そのうち森林整備に39パーセント、木材利用に37パーセント、普及活動に13パーセント、人材の確保、育成に3パーセントが使われており、残り8パーセントが基金積立てになっている。
それぞれの市町村の税の使い道は、都市部の市町村においては名古屋市の学童施設や半田市の保育園の木質化、刈谷市や豊明市の新生児への木製品の配布など、木材利用が中心で50パーセントを占めている。また、新城市をはじめとした山間部の市町村においては、森林整備が中心で75パーセントを占めている。
【委員】
都市部では割と木材利用に主に重点を置いて使われている、山間部では森林整備というように使い分けされていると思う。一つ気になるのは基金の積立てについてである。これは、基金として積み立てる必要はないのではないか、要らないお金を出すのかと、新聞等でも批判されたことがあるが、決してそうではないと思う。もう一度、基金の積立ての8パーセントの内容をどのように把握しているのか伺う。
【理事者】
まず森林環境譲与税について、愛知県内の市町村の執行率は、この5年間で84パーセント、全国の市町村の執行率が73パーセントで、全国に比べてかなり執行している。
そして、委員が言う基金への積立てについて、例えば将来保育園の木質化をしたいけれどもこの金額では足りない場合に、これを積み立てておいて木質化するというような目的を持って基金に積み立てていると県では把握している。
【委員】
愛知県の執行率が全国平均より11パーセント多いとのことで、愛知県は積極的に使っていることがわかる。
地元の北設郡の市町村は、林務専属の職員がいない。そのため、ぜひ県からも、森林環境譲与税を使って人を雇い、専門的に関われる人をつくることを指導してもらうことがより積極的な活用につながると思うため、各市町村に働きかけてもらうよう要望する。
次に、県は森林環境譲与税をどのように使っているのか、使ってきたのか伺う。
【理事者】
県の使い道は、市町村の支援、人材の確保・育成、木材利用の促進、普及啓発に活用することと法律で決められている。令和5年度においては、県の執行額は約1億5,000万円、各市町村が個別に実施するよりも県が広域的に実施したほうが効果的だと思われる森林整備に関する人材の確保・育成で約7,000万円、森林情報の整備に約3,000万円、その他木材の利用促進に約6,000万円を執行している。
また、県と市町村の双方の事業が円滑に進むよう、「あいちの森づくり」県・市町村連絡調整会議を各農林水産事務所単位で年間3回程度開催している。
【委員】
答弁にあった「あいちの森づくり」県・市町村連絡調整会議は、大変大切な意見交換、打合せの場だと思うため、しっかりと市町村と協議しながら県としての指導的役割を果たしてもらいたい。
県の使い道として、三つ活用するとのことである。人材の確保・育成、木材利用の拡大と、最後の一つをもう一度言ってほしい。
【理事者】
最後は普及啓発と言った。
【委員】
以前、森林情報の整備と聞いたことがあるが、それと違うのか。
【理事者】
これは、一般の人に木材、森林の整備の大切さや、木を使うよう普及啓発をすることである。広く言えば森林の整備につながるという意味での普及啓発となる。
【委員】
なぜその点について聞いたかというと、かつて県は航空レーザー測量で愛知県内の森林のデータを全部取った。それに伴い、その情報データを解析するためにいろいろ工夫し、努力し、ある程度データの解析ができたと聞いている。問題はこの先で、それをこれからどのように活用して境界確定し、利用を推進していくのか、その一番基となるデータになってくると思うため、その点について現状と、これからどのように進めていくのか伺う。
【理事者】
航空レーザー測量については、航空機を飛ばしてレーザーのデータを取っている。この活用について、本年度からクラウドシステムを本格運用しており、市町村及び事業体もこのデータを見ることができ、活用することができるようになった。先ほど委員が言った境界確定は、令和3年度から新城市をはじめ4市町で航空レーザー測量のデータを使って作成した森林境界推定図を用いて現地立会いを省略し、境界の明確化を図る実証事業を行ってきたものである。現在、県が中心となって実証事業を行っているが、市町村に実際にこれを使ってもらい、図面により境界画定ができるようマニュアルを作成している。
【委員】
データを市町村で使うことについて、私も新城市でその話の中に参加させてもらった。同じ建物の中に愛知県の出先機関である新城設楽農林水産事務所新城林務課と新城市の森林課があり、それぞれ10人程度いたため、条件面でも良かったと思うが、いろいろ意見交換しながら新城市がモデルケースとして約80ヘクタールを5年間かけて境界をはっきりさせ、森林整備している。
多くの山主を探し、それに同意してもらい、また事業をやっていくには膨大な労力が要るが、その労力を惜しまずにやっていくことが、この事業を進めていく上でどうしても大切になると思うため、県として、それぞれの市町村に指導し一緒になって取り組んでもらいたい。
最後に、森林環境譲与税の使い方で一番多いのが人材の確保、育成だと思うが、どのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
人材の育成については、未経験者から指導者までキャリアに応じた基礎コース、中堅コース、指導者コースといった段階的な研修体系を整えたあいち林業技術強化カレッジを昨年度オープンし、より効果的な人材の育成に努めており、昨年度で延べ993人の林業就業者が研修を受講した。
また、今年度末までに屋根つきの全天候型研修施設を整備する予定であり、これにより雨天時や酷暑時期の研修も可能となる。さらに、昨年度からあいち伐木競技会を開催し、林業技術及び安全作業意識の向上を図るとともに林業の魅力発信や新規就業者の確保に取り組んでいる。今年の伐木競技会は13の林業経営体から16人の選手に参加してもらった。この競技会は出場に向け自己研さんが促されることから、技術向上に効果的な取組である。実際に本年度の競技では昨年度より高い平均点となり、技術の向上が見られた。
また、将来の林業就業者の確保につなげるため、県内の林業関係高校である安城農林高等学校、猿投農林高等学校及び田口高等学校の3校の高校生を招待し、チェーンソーの優れた操作技術を間近で見てもらうとともに、世界大会に出場した選手による林業の魅力に関する講演も聞いてもらった。そのほかにも、就業相談会や新規林業就業者への安全装備の支援など、様々な取組を通じて引き続き愛知県の森林・林業を支える担い手の確保、育成にしっかりと取り組んでいきたい。
【委員】
最後に要望する。
答弁のとおり、あいち伐木競技会は今年で2回目かと思うが、非常に内容も充実してきたと思う。特に答弁にあった高校生が10人程度来ていた中には、女子高校生もおり、非常に新鮮な新しい力を感じた。多くの人に来てもらっており、引き続きあいち伐木競技会は、より内容のあるものにしてもらえればと思う。
また、森林・林業技術センターで昨年から始まったあいち林業技術強化カレッジは、ほかの県では林業大学校と言われているが、私は愛知県ではこの形が一番適していると思う。特に、担当の職員は非常に熱心に取り組んでおり感心している。講習に多くの人が来るのかと思っていたが、延べで993人に来てもらっている。予想以上の効果を生んでいると思うため、あいち林業技術強化カレッジの内容をより効果あるものにしてもらいたい。
【委員】
二点伺う。
まず、愛知県森林公園の利用者を増やすための取組について伺う。先ほど来年度から5年間の指定管理者を指定する議案について審議をされた愛知県森林公園だが、ここでは指定管理者とは別に、愛知県森林公園の利用者を増やすための取組などについて、順次伺う。
愛知県森林公園は、明治時代に当時の宮内省から払下げを受けた御料林を元に昭和9年に県民の保健休養林として開園をした。それ以降都市近郊にありながら緑あふれる豊かな自然を有し、多くの県民に憩いの場として親しまれてきた歴史のある公園だと聞いている。187ヘクタールという広大な敷地に遊具やボート池、バーベキュー場などがある一般公園、展示館や憩いの森、郷土の森などがある植物園、野球やテニスなどができる運動施設を有しており、県民の健康の増進及びレクリエーションの場として大変幅広い世代に利用されており、年間100万人ほどの来園者があると承知している。
私も令和元年にこの愛知県森林公園で開催された、令和初の行幸啓として天皇皇后両陛下が臨席した第70回全国植樹祭に、当時は碧南市議会議員として出席した。それ以来、先日改めて愛知県森林公園に行き、乗馬施設や子供たちが遊ぶ木製遊具やこどもの家など、いろいろな施設を視察した。植物園内の広芝生にも行ったが、ちょうど紅葉の季節で眺めも大変すばらしく、都市部の人々が自然を生かした環境で様々な体験ができる貴重な公園であり、さらなる集客を見込める大変高いポテンシャルを秘めた公園であると実感した。
一方で、森林公園は開園して以来、昭和、平成、令和と経過しており、中には老朽化した施設もあり、また、来園者数も平成26年の111万人をピークに少し伸び悩んでいるとも聞く。そこで、施設の老朽化対策を含め、利用者を増やすために県としてこれまでどのような取組を行ってきたのか伺う。
【理事者】
施設の老朽化対策については、昨年度施設の建物等の長寿命化初期改修工事を実施し、屋上防水工事や空調設備改修等の予防的補修を行った。また、テニスコートの改修やトイレの水洗化、洋式化など、利用者の安全と快適さに関わるものについても順次改修工事等を行っている。利用者を増やすための取組については、子供が楽しく安全に遊べるように木製遊具を計画的に導入するとともに、昨年度こどもの家の内装木質化工事を行い、木の質感やぬくもりを感じながら遊べる空間にリニューアルし、利用者から大変好評をもらっている。
森林公園のメインエリアとなる植物園では、森林の良さを体感してもらうフィールドとして、森林整備や樹木の説明をする標識を設置するとともに、指定管理者が自然観察会等のイベントを定期的に開催するなど、都市近郊にある広大な自然に親しんでもらう場となっている。また、今年5月には全国植樹祭5周年記念イベントを開催し、約7,000人に来園してもらうなど集客に努めている。さらに、運動施設においては、野球やテニス、乗馬の一般利用をしてもらえるほか、初心者でも楽しめるようにテニス教室や乗馬教室を開催するなど身近なレクリエーションの場としても広く県民に利用されるよう努めている。
【委員】
先日ここを視察し、乗馬の施設や子供が遊ぶ遊具があるスペースを見た。大変昔からある遊具もなかなか味わいもあった。そして、安全と快適さを担保して老朽化対策をしながら利用していくことも大変重要であると思う。また、その遊具のある広場に、切り株を楽器に見立てている親子連れがいて、大変穏やかなのんびりした公園で、子供が本当に楽しめているような公園だと思った。答弁にあったような様々なイベントをはじめ、こうした森の魅力、楽しみを味わえることも森林公園の大きな特徴であり強みだと思う。
一方で、最近では都市公園で公募設置管理制度(Park-PFI)などの手法を取り入れて民間活力を導入した施設の建設や運営も進められており、利用者の増加につながっていることも多くの事例で聞いている。そこで、今後森林公園の魅力を最大限に生かして利用者をさらに増やしていくために、県として今後どのように取組を進めていくのか、考えを伺う。
【理事者】
近年健康、観光、教育等の様々な分野で森林空間を活用した体験サービスを提供する、いわゆる森林サービス産業への関心が高まるなど、森林空間を活用することで健康で心豊かな生活を送り、働く活力を向上させたいという社会的なニーズが高まっている。
こうした中、春や秋の気候のいい休日やイベント開催時には、現状でも多くの人に利用してもらっているが、駐車場の容量やアクセスなどの課題がある。また、広大な敷地を有する植物園では、広芝生を利用したキャンプや音楽イベントといったサービスを提供することでより多くの人に楽しんでもらう可能性もあるが、電気などのインフラや管理施設が整っていないなど課題がある。また、令和3年度には民間活力の導入を検討し、樹上アスレチックやグランピングなどの提案があったものの、事業者側の採算が合わないといったことから一旦断念したが、新たなニーズや時勢の変化を踏まえた対応をしていく必要がある。
今後は、委員から示してもらった森林公園の持つポテンシャルや魅力の発信を強化するとともに、利用者や地域の人々、関係者の意見をもらい、インフラなどの施設整備や民間活力の導入、制度の見直しなどを検討し、より多くの人に利用される公園にしていきたい。
【委員】
先ほど話したが、視察した中で、例えば自然を体感できるキャンプ場や、既存のバーベキュー場を活かしたキャンプ場をつくる、大変人気がある乗馬施設の充実をさらに図る、また、最近はペットの散歩を公園でする人が多いため、ドッグランのスペースをつくるなども検討してもらい、併せて、駐車場が少し狭いと感じたため駐車場の増設など周辺の整備も総合的に行っていくことにより、利用者をより増やせるのではないかと強く思った。ぜひ他の施設の成功事例、先進事例等を参考にし、新たな手法を積極的に取り入れるなどして、利用者を今後さらに増やすための取組を進めてもらうよう要望する。
それでは、二点目の質問をする。
農業用水に使用されている石綿セメント管の更新状況について伺う。
私の地元、碧南市の南部地域は砂質土壌で、ニンジンやタマネギといった露地野菜は県内でも有数の産地になっている。碧南市の耕作者は、優良な農地を求めて同じように砂質土壌である矢作川対岸の近隣の西尾市平坂地区でも営農している。この平坂地区の農業用水管は、昭和40年代に整備されており、その大部分に当時は経済性、作業性が良好とされていた石綿セメント管が使用されているが、整備から50年以上経過し、近年では老朽化を原因とする破損により漏水が頻発している状況で、営農に支障を来しており耕作者が大変困っている状況が続いている。
破損した石綿セメント管はアスベストが飛散する恐れがあるため、事業者の責務として適切に処分しなければならない。このため、平坂地区では、令和2年度から特定農業用管水路特別対策事業によって、石綿セメント管を塩ビ管に取り替える対策を行っている。県内には平坂地区と同じように、かつて石綿セメント管を使用することで農業用水の供給を確保し、様々な作物の優良な産地となっている地域が多数あると認識している。
そこで、県内の農業用水における石綿セメント管の更新状況はどうなっているのか伺う。
【理事者】
県内の農業用水における石綿セメント管については、平成18年度の調査により、農業用水管全体の12パーセントに当たる1,161キロメートルで使用されていることを把握している。本県は、他県に先駆けて、平成18年度から特定農業用管水路特別対策事業を実施しており、平成29年度には事業費の地元負担を軽減するなどして、石綿セメント管の除去対策を進めている。
こうした除去対策を実施する県営事業により、令和5年度末までに240キロメートルの石綿セメント管を塩ビ管などに更新している。また、水資源機構においても同様の対策を実施しており、豊川用水や木曽川用水などの水資源機構施設については、令和5年度末までに279キロメートルが更新されている。県営事業と水資源機構営事業を合わせると、519キロメートルの石綿セメント管が更新済みで、県全体の進捗率は45パーセントとなっている。
【委員】
県全体の1,161キロのうち45パーセントを更新しているとのことで、まだ600キロメートル以上の農業用石綿セメント管が残っていることになる。この老朽化した石綿セメント管については、平坂地区で営農している碧南市の耕作者から、漏水が発生するたびに地元が部分的な一時補修で対応していると聞いている。この一時補修の費用が大きな負担になっている。こうしたことからも、公共事業による早急な対応が望まれている。そこで、今後の進め方について伺う。
【理事者】
残りの石綿セメント管642キロメートルのうち、163キロメートルは既に事業採択されており、工事の実施にあっては、営農者との調整を十分に行い、より経済的で効率的に施工して早期の更新に努める。また、事業化されていない479キロメートルについては、関係市町村、施設管理者、受益農家の要望を踏まえつつ、漏水の頻度や路線の重要性などを考慮し、順次事業化して更新を着実に進めていく。
【委員】
石綿セメント管はアスベストが飛散するおそれがあり、簡単な事業ではないと認識しているが、耕作者も、漏水が頻発すると、水が全く散水できない状況が度々起きているため大変困っていることも事実である。県の財政が大変厳しい状況であると認識しているが、引き続き必要な予算を確保してもらい、できるだけスピード感を持って進めてもらうよう要望する。
【委員】
スタートアップへの支援について伺う。
愛知県では、社会課題の解決と地域の活性化を目指すために、官民連携プロジェクトとして2022年12月に革新事業創造戦略を策定し、農業分野においてはあいち農業イノベーションプロジェクトに取り組んでいる。10月31日には日本最大のスタートアップ支援拠点であるSTATION Aiがグランドオープンした。STATION Aiのメンバーとしてスタートアップ500社、パートナー企業が200社とオープン時に聞いているが、農業分野に関するスタートアップはどのくらい入居しているのか、そのうち県内企業はどのくらいか、そして、農業イノベーションプロジェクトに参加している企業がSTATION Aiに何社入っているのか伺う。
【理事者】
まず、STATION Aiに入居しているスタートアップ等169社のうち、食も含めて農業に関連すると思われる企業は19社となっている。そのうち県内企業は11社、あいち農業イノベーションプロジェクトに参加している企業18社のうち1社が入居している。
また、他分野で起業したスタートアップ等でも、農業分野に生かせる技術やアイデアを持っているものもあると考えているため、農業分野での登録に限らず、スタートアップ等に対して県の取組や連携の働きかけについては幅広く行っていきたい。
【委員】
思ったよりしっかり入っているというのが率直な感想である。STATION Aiはこれからもさらにパートナー企業、スタートアップ企業の申込み、募集を継続すると聞いているが、政府がスタートアップ創出元年と銘打って2021年の1万6,100社から2023年には1.5倍の2万2,000社と増加していると聞く。これからもスタートアップ企業はどんどん増えていくと思うが、多くのスタートアップ、優秀な企業に本県に集ってもらうように積極的に働きかけをしなければならないと思うが、どのように農業関係のスタートアップ企業を本県に集うようにアプローチしていくのか。
【理事者】
県内外でスタートアップ等を参集したイベントやコンテストが行われており、そういった機会を捉えて交流会に参加し、情報収集や意見交換している。プロジェクトの成果を発信する、愛知県が開催するあいち農業イノベーションサミットでは、スタートアップ等を含む関係者による交流会、ネットワーキングの機会を設けており、あいち農業イノベーションプロジェクトの成果の周知を図るとともに、新たなスタートアップ等の発掘にもつなげている。
【委員】
スタートアップ企業は新しい技術やアイデアを豊富に持っている、意思決定が早い、考えが柔軟であることが大きな特徴であるが、弱点としては資金力の不足、経営が不安定という部分があると思う。
そこで、スタートアップを資金面で支えていく仕組みとして、ベンチャーキャピタルがあると思うが、実際にベンチャーキャピタルから支援を受けた農業関連のスタートアップはあるのか伺う。
【理事者】
例えば、農林中央金庫によって設立された農林中金キャピタル株式会社や、経済産業省が主導するJ-Startupといったファンドは、農業関連のスタートアップも支援の対象としており、公開されている情報からも複数の農業関係のスタートアップが投資を受けていることがわかる。
また、あいち農業イノベーションプロジェクトに参画している株式会社トーイングは、三菱UFJキャピタル株式会社をはじめとする複数のベンチャーキャピタルから資金調達を実現しており、現在その総額は10億円を超えると報じられている。
【委員】
例えば、先ほど答弁にあった株式会社トーイングの10億円など、そういった多額の資金調達ができる企業が一部ある一方で、スタートアップは若く実績の少ない企業が多いため、資金面だけでなく、農業の現場についての十分な知識や持っている技術を現場でどう生かしていくのかという手段や、機器のサービスを開発し、実際現場にどのように入っていくのかという点で大きなハードルがあると思うが、県ではそういった課題を解決するために、どのように農業関係のスタートアップを支援しているのか伺う。
【理事者】
資金面について、起業して間もないスタートアップ等に対しては、経済産業局が所管するあいちスタートアップ創業支援事業費補助金などがスタートアップ支援を対象としており、農業関係のスタートアップから相談があったときなど、機会を捉えて周知していく。
また、現在取り組んでいるあいち農業イノベーションプロジェクトのように、農業総合試験場や普及組織がスタートアップと連携することで、農業の現場に受け入れられる機器や機械、サービスの開発と社会実装を支援していきたい。
【委員】
あいちスタートアップ創業支援事業費補助金の上限額を伺う。
【理事者】
あいちスタートアップ創業支援事業費補助金の上限額は200万円である。
【委員】
200万円とのことだが、200万円では少ないのではないかというのが率直な感想で、経済産業局の関連だと新あいち創造研究開発補助金は中小企業1億円、トライアル型だと500万円が上限であると思う。一方、あいち農業イノベーションプロジェクトだと、上限が500万円であることを考えると、農業系のスタートアップの農業イノベーションプロジェクトの500万円上限、約500万円の枠をもう少し広げてもらう、経済産業局に農業系のスタートアップを手渡すことはないと思うため、それよりも農業水産局、農林基盤局がしっかりとサポートしていくことを考えても、このイノベーションプロジェクトの上限500万円の枠を広げてもらうことが一番よいと思う。それが難しいのなら、経済産業局と密に連携を取りながら経済産業局の補助金を利用していく中で、しっかりとサポートしていくことが重要ではないかと思うがどうか。
【理事者】
農業関係のスタートアップに対して、新あいち創造研究開発補助金をはじめスタートアップ支援施策については、積極的に活用するよう後押ししていく。また、農業イノベーションプロジェクトについては、開始以降11月末までに延べ206件のスタートアップ等から愛知県農業総合試験場との連携を希望するなどの問合せを受けている。こういった熱意あるスタートアップ等の有望な技術やアイデアを、時機を逃さず取り込めるよう、経済産業局ともしっかりと連携し、今後も継続的にスタートアップ等との共同研究開発に取り組んでいけるよう努めていく。
【委員】
最後に要望する。STATION Aiという日本を代表する支援拠点ができ、いろいろな分野のスタートアップ企業がそこに集まっていく、その企業の人々に、農業だけではなく農林水産業という言葉が頭の片隅にあることが、その人々が農林水産業に対して技術、知識を生かしていこうというきっかけにもなり、STATION Ai自体がそのような仕組みになっているため、そういったところで農業水産局、農林基盤局も経済産業局としっかりと連携を取りながら、他分野、農林水産関連のスタートアップも含め、より多くの優秀なスタートアップ企業が本県に集うように要望する。
【委員】
化製事業、レンダリング産業について伺う。
まず、畜産業における化製事業の役割はどのように認識しているのか伺う。
【理事者】
化製場は、食肉の処理、加工等の際に排出される副産物等を適正に処理し、肥料や飼料の原料に製造するなど畜産業を支える重要な役割を担っており、欠かすことのできない施設と認識している。
【委員】
今答弁の中にもあった副産物に付加価値を付け、再利用する業界で、食用油や工業用飼料、肥料、ペットフード等に再利用する事業だが、月に1回発行される解放新聞の中で、堀田光政委員長が、2007年の部落差別事件、B地区にようこそ!in愛知県というホームページの中に、「お前の親は骨をトラックに積んでいると誹謗され、従業員の子供たちがいじめに遭っていたことを思い出した。化製事業は産業廃棄物をリサイクルする循環型社会に必要不可欠な産業である。それなのに、部落差別の対象になるという問題がある。子供が部落差別でいじめられている。」という挨拶をした。今、答弁にあったとおり欠かすことのできない施設とのことである。
そこで、あま市及び名古屋市中川区高畑の化製場の現状はどうなっているのか伺う。
【理事者】
まず、あま市にある化製場については、創業から約50年経過しており、施設の老朽化が著しいことに加え、臭気問題を抱えており、対策が必要な状況にある。
現在の場所は、土地の制約等もあり、抜本的な対策も難しいため、移転も含めた対応が必要な状況になっていると認識している。
また、名古屋市中川区にある化製場については、旧名古屋市中央卸売市場高畑市場の周辺に立地している。土地の制約もあり、これも現在の場所からの移転を希望しているが、なかなか適地が見つからず、現在も旧市場の跡地周辺で事業を継続していると、名古屋市から聞いている。
【委員】
あま市の方は約50年が経過しており、この地域は第二種中高層住居専用地域のため、その地域には物はもう建てられない。
そのようなことも踏まえて、五条川の反対側には清須市がある。冬場になると北風により向こうからの苦情、反対に夏場になると南風で、隣の市町まで臭って苦情が出る。移転問題で何年続けているのか。そこで一生懸命働いている人たちの子供がいじめられている。県として、そのような部分は入り込めないかもしれないが、20年も30年もこの話で、住民も、周りにいる県民も、そこで一生懸命働いている人たちも、その子供もいじめられている。なぜ加速して、移転地を探さないのか。局長はどう思うのか。
【理事者】
化製場の移転も含めた検討については、10年ほど前から検討がなされてると認識している。
また、子供に対するいじめなども、あってはならないとも認識している。
県としても、必要な支援、移転などについては、きちんと対応していかなければならないと考えている。
【理事者】
農業水産局長から答弁があったとおり、化製場の移転問題は、大変重要な問題である。
現化製場は、先ほども答弁したとおり老朽化や環境問題といった課題があるため、県庁内の関係課が定期的に集まって情報交換等を行っている。
移転先をどうするかが一番の問題であり、その部分がなかなか進まないこともあり、現在課題が解消されてない状況が続いている。
【委員】
私が聞いているのは平成5年に当該組合から県に話があり、何十年も経過しているが、移転先がないとのことである。移転先がなければ探してあげなければならない。
万が一、組合の方で、移転先を決めるならば、化製場に関する法律があると思う。
例えば、県有地を組合が仮に買ったならば、前へ進むのか。
【理事者】
委員が言ったとおり、化製場を設置するにあたっては、化製場等に関する法律がある。その規定の中で、例えば、周辺に住居がない、公衆衛生上に問題がないなど、そういったことの担保が必要になってくる。
県有地を前提で言うと、愛知県では保健医療局の所管となる。そこが今話したような判断をすることとなる。
【委員】
仮に移転先が見つかった場合、一会社では、ちょっとやそっとでできない。国や県の補助金といった財政支援があるのか。
【理事者】
農林水産省の強い農業づくり総合支援交付金において、畜産副産物肥飼料利用施設というメニューがあり、そこに化製場を整備するための支援メニューがある。
【委員】
最後に、もう一度繰り返す話になると思うが、あま市の化製場移転に向けて組合などとどのような調整、連携を結んでいるのか伺う。
【理事者】
協定は結んでいないため、連携という意味で答える。化製場の移転に向けて、まずは移転先を決定し、土地を確保することが大変重要であることから、県も候補地となるような土地の情報があれば収集し、その状況等について必要に応じて関係者に共有を図っている。
【委員】
冒頭に話した子供たちに対してのいじめ、そして周りの民家からの苦情がある。とはいうものの絶対なくてはならない業種である。それが約50年もたっており、本当に1年のうちに移転をさせなければ、万が一稼働が止まってしまったら畜産業界はどうなるのか。本当にいち早く移転先を、県ももちろんのこと、業界と話をきちんと詰めて、一日も早く移転先を見つけて移転するよう要望する。
【委員】
アニマルウェルフェアについて伺う。
先日の本会議でも話したが、人間でも家畜でも自然から離れた生活をしていることが病気の元である。平飼いの養鶏農家を見学し、平飼いの鳥などと一緒に餌やりなどもしたが、非常に元気である。動物と人間は一緒だという気持ちにもさせられるくらい、非常にかわいらしく、生き生きとしているという感覚を持った。
食の分野でオーガニックウェルネス宣言やオーガニック運動が最近広がりを見せている。それは野菜のことだと思うが、畜産分野、食肉の分野に関してはワクチンや薬が投与されている現状に関して、学校給食でも完全にオーガニックだとなかなかいえないのではないかと思う。特に免疫力で考えたときに、人間でもコロナ禍のときにステイホームといっていたが、実際そのまま長い時間が続いていたら、人間も免疫力が下がるため、外に出て適度な運動をと呼びかけも行われた。これは動物も全く一緒で、食の安定供給の分野で、ケージがよいとか、どちらがよい、悪いではないが、自然の法則として平飼いで動物自身も免疫力を高めれば、ワクチンなどの抗生剤を投与しなくても済むような免疫力がしっかりと確保される。
家畜の食に関しても、米ぬかなどを与えており、発酵している樽で、実際手で触らせてもらったが、本当に発酵しているので温かく、それを鳥に食べさせるようにしたと聞いた。輸入のコーンを食べさせていたら鳥ががんになり、早く死んでしまったそうだが、米ぬかを食べさせるようになってからがんの鳥もいなくなったことも聞いた。
家畜自体の免疫力を高めることが、ひいては薬剤の耐性菌の問題なども解消して、人間の食の安全にもつながるということをやってもらいたいという観点から、また当然、動物の権利もあると思うが、アニマルウェルフェアについて伺う。山梨県では県独自の認証制度もあるとのことで、愛知県もそういったことも検討してもよいと思っているが、現在、どのように取り組んでいるのか。
【理事者】
近年家畜の飼料管理においてはその生態や習性における行動が妨げられないよう、アニマルウェルフェアに配慮することが国際的に求められている。アニマルウェルフェアは、日本も加盟している国際獣疫事務局において動物が生きて死ぬ状態に関連した、動物の身体的及び心的状態と定義づけされている。
農林水産省は、こうした国際的な動向を踏まえ、畜産物の輸出拡大等のため、令和5年7月にアニマルウェルフェアに関する飼養管理指針を畜種ごとに作成し、国が主体となって普及を図っていくこととしている。また、この飼養管理指針では、具体的な飼養管理について、実施が推奨される事項としてまとめられている。国は各事項について達成目標年の設定を検討するため、現在全ての畜産農家の実態を調査している。
県としては、こうした国の取組について県内の畜産農家、畜産関係団体に周知を行っている。また、農業総合試験場では、2025年を目途に名古屋コーチンにおいてアニマルウェルフェアに配慮しながら生産性を向上させる飼育技術の開発を進めている。今、委員から指摘があったような県が認定することについては、現段階は行っていない。ただ、今後も国の動向に注視しつつ、アニマルウェルフェアへの配慮が畜産物の販路拡大につながることも踏まえ、今後の対応を検討していきたい。
【委員】
ケージ飼いと平飼いに関して、本当に価値観、世界観が違うが、消費者も選べる、社会的に選べるように、どちらがよい、悪いという話よりも選べるような体制で進めていくためには、消費者に対する理解をまず行わなければならない。オーガニック野菜でも同じことが言えると思う。生産者が育たず、当然動物愛護の観点からもよい取組ではあると思うが、消費者がそれに価値を感じるような見せ方、啓発も含めて考えてもらいたい。
次に、一次産業に携わる人を増やすことについて伺う。
耕作放棄地の問題の解消について、県が全部耕作放棄地を買い取って直営し、殖産興業として一次産業に取り組まなければならない段階に来ており、各生産現場の声を聞くと本当に危機感を感じている。私もいろいろなところに出入りして農業、一次産業に携わっていない人に対して、いいともあいちネットワークのパンフレットや、あいまるの宣伝をさせてもらいながら歩いているが、県民はどうかというと、県民も事業者も危機感があまりないと感じている。
食と緑が支える県民の豊かな暮らしづくり条例の第5条、県民の役割には、「県民は、食料等の生産活動及び森林等の有する多面的機能に関する理解を深めるとともに、食料等の消費の改善及び有効利用並びに県内産の食料等の消費及び利用を進めること等により、基本理念の実現に積極的な役割を果たすとともに、県が実施する食と緑が支える県民の豊かな暮らしづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。」と努力義務でうたわれているが、愛知県だけの問題ではなく、国全体として食料自給率の向上に向け、どんな人であっても一生に一回は一次産業に携われるような仕組みがあるとよい。
まず、消費者に一次産業について理解を深めてもらう取組について伺う。
【理事者】
名古屋圏を中心に都市化も進む中で、農林水産業を身近に感じる人が少なくなっている。本県では、農林水産業への理解を深める取組の一つとして、消費者と生産者が一緒になって愛知県の農林水産業を支えることを目標とした、いいともあいち運動を推進しており、SNSやメールマガジンで地産地消に関するイベントや県産農林水産物に関する情報提供などを行っている。
また、積極的に県産品を取り扱う産地直売所や飲食店等へ消費者に足を運んでもらうため、地産地消デジタルスタンプラリーを実施している。この取組は今年で3年目となり、回数を重ねるごとに参加者も増加しており好評を得ている。さらに、先月金山総合駅イベント広場で開催したあいちの農林水産フェアでは、子供とその親が県内の農家と一緒に野菜をつくり、収穫物を会場で販売する子ども農家の八百屋さんを実施した。参加した小中学生からは、フェアの当日に合わせて売れる野菜を栽培することが難しかったとの感想が聞かれた。野菜づくりは天候などの影響を受け、工業製品のように計画的に生産できないことを参加者は体験することができ、農林水産業への理解を深めることができた。
あいちの農林水産フェア
【委員】
二点目に、農業以外の産業を行っている事業者について伺う。もともと経営ノウハウを持っていると思う。私の知り合いも新しく新規事業として農業を始めた人もおり、一次産業の分野に興味があるという事業者もいるため、そういった人々に一次産業に携わってもらう、事業展開してもらうためにどのような取組が考えられるのか。
【理事者】
今年度働き盛りの世代への地産地消のさらなる浸透、定着を図り、本県の農林水産業への理解を深めてもらうため、株式会社デンソーと碧海信用金庫の社員食堂で愛知県産農林水産物を使用したメニューフェアを実施した。このメニューフェアのキックオフイベントでは、株式会社デンソー本社の社員食堂において知事が株式会社デンソーの幹部や若手職員とメニューの試食と歓談を行い、地産地消や県産農林水産物の魅力をPRした。このメニューフェアに取り組んだ企業の幹部からは、地元の農林水産業に対する認識が深まったなどの感想があり、農林水産業に興味を持ってもらう機会になった。
今後もこのような取組を通して、事業者に農林水産業に対する理解を促していきたい。