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農林水産委員会審査状況(令和7年6月27日)

ページID:0606445 掲載日:2025年10月1日更新 印刷ページ表示

農林水産委員会

委員会

日時 令和7年6月27日(金曜日) 午後0時59分~
会場 第2委員会室
出席者
 安井伸治、中村貴文 正副委員長
 中野治美、須崎かん、島倉 誠、山田たかお、中村竜彦、浦野隼次、
 鈴木 純、谷口知美、古林千恵、末永けい 各委員
 農業水産局長、農林水産推進監、農業水産局技監、農政部長、
 畜産振興監兼畜産課長、水産振興監、
 農林基盤局長、同技監、農地部長、林務部長、関係各課長等

農林水産委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

なし

閉会中継続調査申出案件
  1. 農林水産業の振興について
  2. 農地関係の調整及び土地改良について
  3. 緑化の推進について
  4. 農業水産局、農林基盤局、海区漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会の行政運営について

会議の概要

  1. 開会
  2. 一般質問
  3. 閉会中継続調査申出案件の決定
  4. 閉会中の委員会活動について
  5. 閉会
主な質疑
一般質問

【委員】
 私からは、経営体育成基盤整備事業豊川萩地区における農地の大区画化による生産コストの削減について一括で質問したい。今定例議会の一般質問では、令和の米騒動と報じられる事態が注目されることもあり、農業水産局長の答弁が目立った印象であったが、答弁があった農家に対するあらゆる経営支援に関連があるので、私からは農林基盤局が管轄する質問をさせてもらいたい。
 2024年に改正された食料・農業・農村基本法に基づき、今年度4月に基本計画が閣議決定され、その中では、生産性の抜本的向上による食料自給力を確保するため、農地の大区画化を推進し、生産コストの低減を図るとされている。
 令和の米騒動の中、コメ担当大臣という思いで取り組んでいる小泉進次郎農林水産大臣もさきの就任記者会見で、「生産性の抜本的向上に向け、農地の大区画化など、集中的、計画的に進めていく」と発言している。
 豊かで競争力ある農業を実現し、意欲ある担い手農家が農業を継続していくためには、農地の集積、集約化や、効率的かつ高収益な農業を可能とする農地の大区画化は極めて重要である。
 実際に農家の人に農地のことについて聞いてみると、隣の土地なら小さくても借りるが、離れている農地はまとまった大きな土地でないと興味がないとのことであった。その理由としては、トラクターなど農業機器の移動が大変で、隣地ならついでに作業ができるので、手間がないからとのことであった。
 私は令和6年2月議会の議案質疑で、地元である経営体育成基盤整備事業豊川萩地区の実施内容と今後の進め方について聞いた。その際、農林基盤局長から、大型機械の導入を可能とする農地の大区画化と併せ、農道、用排水路の更新整備を2024年度から工事着工するとし、分散した農地を所有者ごとに集団化する換地を行い、担い手農家への貸出しを希望する農地を、農地中間管理機構とも連携して集積を図ることで、事業完了の5年後には、担い手農業への農地集積率を、現況の35パーセントから83パーセントに大幅に増加させる計画との答弁をもらい、実際に現地を確認すると、地区南側の一部の農地が大区画に整備され、しっかりと稲が成長している状況であった。
 経営体育成基盤整備事業豊川萩地区の農地計画部分20.2ヘクタールのうち19.6ヘクタールの97パーセントが水田であって、豊川萩地区で作られている米はミネラル分が豊富な沢水を利用して、低農薬かつ有機肥料のみで栽培されており、豊川ブランドの音羽米として地域の人々に広く愛されている。
 そこで、豊川萩地区において農地を大区画化することにより、生産コストの削減がどれほど見込まれるのか伺う。
【理事者】
 農地の大区画化により大型機械の導入が可能となり、作業時間が大幅に短縮されるほか、畦畔の除去、給水口や排水口の統合により除草や水管理作業が省力化されるなど、作業の効率化に伴う営農経費の削減が可能となる。
 豊川萩地区の場合、1筆当たりの標準区画を現在の10アールから1ヘクタールへ大区画化することにより、稲作に要する作業時間が約6割削減される。生産コストに換算すると、米1俵60キロ当たり現在の1万5,025円から大区画化後は9,458円となり、5,567円のコスト削減が図れることとなる。
 加えて、本地区では委員が言うとおり、担い手への農地の集積を現在の35パーセントから83パーセントに増加させる計画としており、経営規模の拡大に伴うさらなるコスト削減が見込まれる。
【委員】
 大区画化により、コスト削減され、効果があることが確認できた。
 現在、水田農業の稲の栽培方法はいろいろあって、今定例議会の一般質問にもあった愛知県農業総合試験場が開発した栽培技術の不耕起V溝直播栽培や、今月12日に中部電力株式会社が新城市で田んぼに水を張らない稲作栽培の実証実験を報道陣に公開された栽培方法も含めて、将来にわたって米の生産を継続していくためには、農地の集積、集約化や大区画化により、生産コストの削減を図ることが不可欠である。
 6月13日に閣議決定されたいわゆる骨太の方針には、我が党の議員が理事を務める全国土地改良事業団体連合会などから強い要望もあって、新たな基本法に基づく初動5年間の農業構造転換集中対策期間において、コストの徹底的な低減に向けた農地の大区画化を集中的、計画的に推進できるよう、別枠で必要十分な予算を確保することが盛り込まれていると聞いている。この別枠予算をぜひ確保してもらい、計画的に事業が進むようお願いし、私からの質問を終わる。
【委員】
 私からは、農業の担い手確保の取組について伺う。
 県においては、農業の担い手確保のために就農までの道筋を明確に示し、品目等を含めた就農意思決定サポート、就農に向けたスケジューリング、研修、就農計画、就農に必要な農地、施設、農業機械の確保などに関する相談に対し、就農を望む人へ伴走支援を実施している。
 また、就農前後の生活の安定に向けた事業費補助金として、49歳以下の就農希望者を対象とした就農前の研修期間中最大2年及び49歳以下の認定新規就農者を対象とした就農直後の最大3年に年間最大150万を交付する農業人材力強化総合支援事業費などで担い手の確保に努めてもらっている。令和5年度においては、研修期間中の交付は33人、就農直後の交付は217人が受けるなど、確実に成果を上げていると評価される。
 しかし、愛知県の動向調査資料、農業の動き2025によると、物価高騰による経営の圧迫及び農業者の高齢化による新たな担い手の確保が喫緊の課題であるとあり、2020年2月の愛知県の農業経営体数は2万6,893経営体と、2015年より9,181経営体、25.5パーセント減少しており、一方で、新規就農者数は、2023年度は44歳以下が148人で前年より1人減少、45歳から64歳以下が50人で前年より8人増加したと記載がある。
 また、食と緑の基本計画2025の中で、意欲ある人材の確保・育成は一番の目標に掲げられており、新規就農者確保については、5年間で1,000人の確保との目標が明記されている。
 そこで、大きく三点について伺う。
 一点目は、愛知県における新規就農者数の推移と、食と緑の基本計画2025における達成度について伺う。
【理事者】
 本県の食と緑の基本計画2025における進捗管理指標では、委員が言うとおり、2021年度から2025年度までの5年間で1,000人の新規就農者数を確保するとしている。
 県では、毎年5月2日から翌年5月1日までの1年間の間に新たに就農した64歳以下の新規就農者数を調査していて、2021年度から2024年度の4年間の新規就農者数はそれぞれ181人、191人、198人、202人とほぼ横ばいで推移している。4年間の新規就農者数の合計は772人であって、食と緑の基本計画2025における4年間の計画値800人に対する達成度は97パーセントとなっている。
【委員】
 私は令和7年4月11日に富山県農林水産部農業経営課、セカンドキャリア応援!農業経営継承事業等について視察してきた。
 富山県においては、新規就農者は年間70人であるのに対し離農者は528人と、年々就農者が激減しており、また、兼業農家がそのほとんどを占めているため、専業農家の担い手を募集しているという状況だった。サポートセンター等に寄せられた50代の就農希望者の声などを基に、令和7年度より50代の人への資金支援の枠組みを作成したと聞いた。Uターンを希望する人への支援にもつながると期待も大きいとのことだった。
 また、富山県のとやま農業未来カレッジの卒業生の就農率は100パーセントであり、5年就農定着率は80パーセントから90パーセントとのことだった。その定着の要因には、農林水産省が推奨する農業青年クラブ、4エイチ活動、農業の改良と生活の改善に役立つ腕、ハンドを磨き、科学的に物を考えることのできる頭、ヘッドの訓練をし、誠実で友情に富む心、ハートを培い、楽しく暮らし、元気で働くための健康、ヘルスを増進するというクラブ理念を通じて積極的に交流を深め、助け合い、横のつながりも強いことが定着につながっている可能性もあるとのことだった。
 愛知県においては、就農相談の窓口として8か所の農業改良普及課の農起業支援センターと、2021年度からは農業大学校に農起業支援ステーションを設置し、就農相談会や就農相談を実施している。
 農起業支援ステーション及び農起業支援センターにおける2023年度の個人からの相談件数は1,155件、実相談者数は566人となっている。2019年度は相談件数790件、実相談者数は401人、2020年度は相談件数955件、実相談者数は473人であり、農起業支援ステーションを設置後、着実に就農に関する相談は増加している。
 二点目は、就農相談は増えているが、実際の相談内容の概要の内訳と、相談から就農にどれぐらいの割合でつながっているのか伺う。
【理事者】
 本県の農起業支援ステーション及び農起業支援センターにおける2024年度の就農相談件数は延べ件数が1,112件、相談者の実人数は508人となっている。508人のうち非農家出身の新規参入希望者が372人と、73パーセントを占めている。
 相談内容の内訳としては、補助金等各種支援制度に関する相談が24パーセントと一番多く、続いて、農業塾などの研修に関する相談が18.4パーセント、農地に関する相談が17.7パーセント、住居等に関する相談が11.2パーセント、それから、資金に関する相談が9.9パーセントとなっている。
 次に、相談者の就農状況については、2024年度の相談者508人のうち、就農した者は76人、約15パーセントとなっていて、これは2024年度の新規就農者数202人の約4割を占めている。
【委員】
 相談者を実際の就農に導くため、今年度から農地や支援制度などの情報をスマートフォンで手軽に情報収集できる就農支援プラットフォームの構築に取り組んでいるとのことだが、新規就農者のうち、非農家出身の新規参入者は増加傾向にある一方で、新規学卒者やUターン就農者の親元就農者は年々減少している。
 三点目は、こうした後継者等、親元就農についてどのように支援していくのか伺う。
【理事者】
 県では、今年度、49歳以下の独立自営就農者に対して、就農直後の最大3年間、年最大150万円を交付する経営開始資金の交付要件を国が緩和し、従来対象にならなかった親元就農者が受給しやすくなったことを受けて予算を拡充し、農業後継者の親元就農支援に取り組んでいる。
 また、農業人材力強化総合支援事業に、後継者や第三者が事業を継承する際に必要となる農業用機械、ハウスの修繕に係る経費、円滑な経営移譲に向けた手続に係る経費などについて、県、国、市町村が協調して、事業費の3分の2を補助するメニューを新たに加えている。
【委員】
 要望する。農業を始めるには、技術や資金等、継続的なサポートが必要であることは言うまでもない。また、新規就農希望者が安心して就農できるように、魅力を発信することや伴走型の支援を引き続き行うこと、様々な相談内容に即した対応をできるだけ速やかに対応してもらうことなど、引き続きお願いする。
 次に、農作業中の熱中症予防対策について伺う。
 日本農業新聞電子版の5月23日の配信記事に、5月も油断禁物、農作業中の熱中症、10年で280人犠牲、60代以上9割と、農作業中の熱中症への注意を呼びかける記事が記載された。記事本文には、農作業中の熱中症による死者数は2023年までの10年間で280人を記録し、年代別では80代が135人、約5割を占め、60代以上が全体の9割以上となった。また、月別では、全体の8割以上が7月(116人)、8月(115人)が占めたと記載されていた。
 農林水産省はホームページ等で熱中症死亡事例を公表している。令和5年7月に80代の人が食事や水分を取らずに炎天下で畑仕事をしていたところ、畑でうつ伏せに倒れているのを発見された、また、60代の人が自宅近くの畑で午前中から農作業を行っていたが、昼頃に家族が畑に確認しに行ったところ、心肺停止の状態で発見されたなど、もしもしっかり予防ができていたら、もしも早期に発見できていたら、もしも独りじゃなかったらなどと感じるものばかりだった。
 昨日は雨が降ったが、今年も梅雨があったのかと思うぐらい、6月も暑い日が続いている。名古屋地方気象台の6月24日公表の向こう3か月の天候の見通しでは、7月から9月の気温は平年より高くなると見込まれる。今後、本格的な暑さとなる7月に向けて熱中症リスクが高まり、被害の発生が懸念される。
 近年、湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温の三つを取り入れた暑さの厳しさを示す指標であるWBGTが労働環境や運動環境の指標として取り扱われており、農作業においてもこの指標に応じて作業を行う必要がある。WBGTが高い日は、安静または作業強度の低い作業に変更するなどの対応の徹底が必要である。
 愛知県における農作業中の熱中症による健康被害の実態とその予防対策をどのように行っているか伺う。
【理事者】
 まず、本県が市町村からの報告や、農協、農業団体への調査によって把握している農作業事故のうち、熱中症による健康被害は令和2年から令和6年までの5年間で12件あった。このうち、死亡は3件、入院3週間未満の中等症が1件、軽症が8件という内容だった。
 また、令和7年については、現在までに既に2件の報告があり、うち1件はビニールハウスの作業中に亡くなった。もう一件は軽症で、畑作業中に気分が悪くなったということであった。
 これらの14件のうち13件については6月から8月に発生したもので、かつ、高齢者が被害に遭った。
 熱中症の予防対策については、一つ目が暑さを避けて体を暑さに慣らすこと、二つ目が小まめな休憩と水分を取ること、三つ目が単独での作業を避けること、四つ目が熱中症対策のアイテムを活用することの四つがあろうかと思う。
 県では、農業者一人一人が対策を意識して確実に取り組んでもらえるように、啓発用のチラシを1万部作成して、県の関係機関、農協、市町村等に配布している。これらを活用して、各種講習会等で啓発をしてもらう形で配らせてもらっている。
 国の農作業安全研修に参加した県職員や農協職員などを中心にして、令和6年度中は農作業事故の安全の講習会を393回開催して、延べ7,774人が受講している。
 また、令和7年6月1日から労働安全衛生規則が施行されて、労働者を雇用している事業者についても、熱中症対策をするように義務づけられているので、そうしたことの周知も図っている。
 農作業中の事故で情報を入手した際は、速報として関係機関、団体等に配り、ほかの地域でも同様の事故がないように啓発活動を行っている。
 農業従事者の安全、ひいては農業経営の安定に向けて熱中症の被害がゼロになるように、引き続き対策に取り組んでいく。
【委員】
 私からも1件伺う。
 本質的には、米騒動というか、米相場だと思っているが、そこはまた後で話すとして、小泉進次郎農林水産大臣に替わって、本当に予想していたとおりというか、小泉劇場というか。これはスポーツ新聞なども、お父さんの代の20年前に郵政民営化して、株式会社ゆうちょ銀行や株式会社かんぽ生命保険などを米国に売り渡したと、また農業協同組合(JA)をやり玉に上げて、息子が同じようなことをしようとしていることを、本質が結構見抜かれてきていると思っている。
 この前も、スーツを着て、農道で農業関係者と一緒に、意見を聴くようなパフォーマンスをしたり、公用車の中で牛丼やおにぎりを食べたり、SNS上でもそのようなメディアを有効に活用したプロモーションを大臣がやっているが、これにあまり影響されないことが私は非常に大事だと思っている。
 メディアの論調を見ていても、米価格が上がったか下がったかの話が非常に多くて、そこは確かに国民の家計からすると気になるのかもしれないが、まさに冷静な人々の声を聴くと、適正価格でしっかり農家が収益構造を改善してくれたら、担い手がしっかりと潤ってくれて、これからも米をしっかりと作り続けてくれたらいいと、そのような冷静な有権者もたくさんいるので、まさに愛知県の状況を見たときに、米の生産量がしっかり維持されているかどうかが大事になってくると思う。
 先日から本会議場でも一般質問でやり取りがあったように、足元、基幹的農業従事者が2022年に123万人で、推計値だが2030年には40万人になっていく、2040年には30万人になってしまうということで、ものすごいインパクトだと思う。それで、70歳以上の基幹的農業従事者が全体に占める割合が56.7パーセントなので、本当に待ったなしの状態だと思う。
 国も県も政策として農地を集約化や、ICT化をして生産性を上げていくようなこともいっているが、この農業従事者の減少の推計値を考えると、多分、集約化やICT化では補い切れない。
 その一方で、消費者である国民の数、日本人の数が今激減してきている。70万人の出生数を切るとか、私の地元の春日井市でも、この10年で出生数が3,000人から2,000人に減っている。都市部の尾張部、春日井市や、名古屋市にいると社会増が多いため、そこまで人口が減っているように思わないかもしれないが、少し岐阜県に足を伸ばすと、自治体が住宅地を無償で出す、譲渡することを挙げているなど、そのぐらい地方に近いところまで、人口減少のインパクトが来ている状態である。
 だから、数年前、この米騒動になる前までは、もう日本人が米を食べなくなったとも言われるなど、実際、人口が減っていくのを考えると、政策的な目的地というのか、この目標をどこに置いたらいいのか、私もこの質問をするに当たってすごく考えるが、日本のアイデンティティーとして、神事にも、新嘗祭などになっている限り、やはり米作りをこれ以上疲弊させないと。
 人口が減っていく、消費量が減っていく見込みがあったとしても、公共が買い取ったり、輸出をしていったり、日本が世界の稲作でトップを走っていた時代もあったわけで、そのような今のこの生産量、生産能力を維持、向上させて、稼いでいくことが大事である。日本人が減っていく、食べなくなっていった状態でも、農業として一次産業がしっかりしている、欧米でもそうだと思うが、先進国であってもほかの国々はそのように維持されているわけだから、日本もそこはやはり政策の目標にしていくべきだと思っている。
 その上で、これは本会議でもやり取りがあったが、改めて聞く。令和6年度の夏に米不足となったと言われている令和の米騒動の要因について、もう一度、改めて伺いたい。
【理事者】
 今般の米不足の要因についてだが、国の分析によれば、2023年産の米は、夏の猛暑で高温障害を受けたものなどが精米時に割れるなどして、実際に販売された白米の量が少なかった可能性がある一方で、コロナ禍後の外食機会の増加や、食料品全体の価格が上昇する中で米に値頃感があり、需要が増加したのではないかとされている。
 こうしたことから、2024年6月末時点の米の民間在庫は153万トンとなり、1999年以降最低水準まで減少し、さらに、2024年8月の南海トラフ地震臨時情報等の影響で買いだめ需要も発生した。そうした中、2024年産の収穫量は2023年産を18万トン上回る679万トンとなったことから、この米が流通し始めれば、スーパー等での品薄は解消に向かうと国は見込んでいた。
 しかし、その後、2025年に入っても米の品薄感が収束しなかったことから、国は、1月末時点の在庫数量等に関する調査を実施し、その中で、生産者や卸売業者、小売業者などが、それぞれ在庫を増やしたことにより流通の目詰まりが発生し、米の供給が滞ったことが原因ではないかとの見方を示している。
【委員】
 米の県内の作付面積の推移については、どのようになっているのか。生産量と需要量のバランス、状況はどのようか伺いたい。
【理事者】
 本県の主食用米の作付面積だが、2021年産は2万5,800ヘクタール、2022年産は2万5,200ヘクタール、2023年産は2万4,700ヘクタールと微減の傾向にあった。しかし、2024年産は前年の2023年産が夏の猛暑により高温障害を受け、流通量の減少などにより民間在庫が減った影響から、2万5,000ヘクタールと微増した。2025年産の見込みは国の調査によるとさらに微増し、本年4月末時点で2万5,300ヘクタールとなっている。
 本県では、主な水田において稲、麦、大豆を2年間で栽培する2年3作ブロックローテーションが実施されており、需要に応じた米生産を行うとともに、水田機能を維持しつつ、麦・大豆生産により水田の有効活用が図られている。
 県内の米の需要量はおよそ40万トンあるが、県内の生産量はその3分の1程度の約13万トンとなっている。本県の水田の面積は2024年で3万8,800ヘクタールとなっており、全ての水田で米を生産した場合でも、生産量は約19万3,000トンと推計される。
【委員】
 JAが生産者から買い取る米価の県内の状況について伺いたい。
【理事者】
 JAは組合員である生産者の米を集荷し委託販売を行っているが、JAが生産者から米を集荷する際に一時的に支払う前払金として概算金を支払っており、販売の見通しが立った時点で、販売見込額から経費、概算金を除いた額を生産者に追加払いして精算している。
 概算金は収穫前の需給状況や生産コスト等を勘案して決めている。その概算金を本県の主要な銘柄であるあいちのかおりで見ると、2021年産は玄米60キロ当たり9,700円、2022年産は1万500円、2023年産は1万2,100円であった。米不足が発生した年の2024年産については1万8,500円と、前年産と比べて約1.5倍に増加している。
【委員】
 店頭価格が上がって家計は苦しいと思うが、実際、生産者の収益となる仮渡し価格がしっかりと、1.5倍に反映されていることに関しては一つよかったとは思うが、いずれにしても、県内のこの生産が消費量に対して3分の1の生産量になっているので、最初にも言ったが、この水準は農業従事者が減っていく見込みの中でも、減らさずにいかなければいけない。
 それは国全体で見ていくのか、あるいは愛知県単独で見ていくのかで、いろいろな視点で考え方は変わると思うが、やはり安全保障や、国防、今の家計のこの逼迫具合からすると、子ども食堂などの話を聞いても、米が入らないと非常に運営も厳しいという声も聴いており、現物でしっかりと届けていくことは、公共の役割としてしっかりと見ていく必要がある。
 次の質問にこれはつながるが、米のダイレクトサプライチェーンの構築に関して、大阪府の泉大津市の、ニュースでも最近取り上げられて、市長が5年前からこういった事態になることは予想していたとコメントがあるが、私も、数年前から、このようなことになると分かっていた。
 泉大津市ではもう農地は3パーセントしかないものだから、事実上、食料自給率はゼロといってもよいと思う。逆に、全国を見たときに、自給率が100パーセントを超えている一次産業が基幹産業になっている市町がある。そういったところは、適正価格で、安定的に農産物を買い取ってくれるところを求めている。それは公共であろうと民間であろうと、安定的に買い取ってもらえる消費地あるいは消費者を求めている。
 地方の自治体と都市の自治体が連携をして学校給食として買い取って、特別栽培米やJAS認定を受けた米を提供しているということで、子供たちにも非常に好評らしい。将来的には備蓄庫を公共としてつくるなど、そういったことも検討されているそうだが、愛知県としても、同様の取組ができないか。あるいは、そういったことをする自治体に対して、支援ができないか。
 前回も言ったが、愛知県の田原藩で渡辺崋山が、江戸時代だからいろいろ飢饉なども天候不順で頻発していたのを見て、藩としても備蓄庫をつくろうじゃないかということを上司、藩主に進言して、領民と一緒に報民倉というものをつくって、天保の飢饉が来たときに誰一人として餓死者を田原藩は出さなかったというような、幕府からも表彰されたそうだが、そのようなよい歴史がこの地元にもあるから、ぜひ公共としてそのような生産者から三方よしのこの政策、適正価格で農産物を買い取ることができる、このようなことをやることについて、ダイレクトサプライチェーンの構築に関して伺う。
【理事者】
 米の備蓄についてだが、国が食料安全保障の観点から、これまで不作や災害など、緊急時における国民への安定的な食料供給を確保するため、6月末時点で適正備蓄水準とする100万トン程度を保管していた。今般の米価高騰を受けて、国は備蓄米による米価を安定させる制度を構築し、現在、備蓄米の放出が実施されている。
 米の備蓄倉庫は全国にあり、本県にも政府備蓄米の倉庫があり、備蓄米の供給を受けやすい地域となっていること、また、米などの食料は国全体で対応することが必要であることから、現時点で県として米の備蓄を行う考えはない。また、県内の市町村が同様の取組を実施するかは市町村が独自に判断することであり、現時点では支援は考えていない。
【委員】
 食料の安定供給という観点から小泉進次郎農林水産大臣もこの前言っていたが、米を輸入するということに関して、不測の事態が起きたときに、あるいは備蓄が足りなかったり、サプライチェーンが混乱したり、そういったことが何らかの要因で考えられると思うが、そういったことに備えて、例えば、最近の報道だと、インドが米の輸出を解禁したとか、タイで米が余っていると報道もある中で機動的に、国の動きを待たずして、県として米を輸入するルートをしっかりと構築していく、あるいは、さっきの話ではないが、市町村が米を輸入するというような方策を取ろうというときにそれを支援するなどを検討することは考えていないか。
【理事者】
 米の輸入については、国がミニマム・アクセス米として、無税で年間77万玄米トン輸入している。このうち、10万トンはSBS米と呼ばれて主食用として輸入されている。一方、ミニマム・アクセス米の枠外として1キロ当たり341円の関税が設定されており、民間により需要に応じて輸入されていると認識している。
 このように、国が国際間の取決めにより輸入している上に、民間により需要に応じて輸入されていることから、現時点で県として新たに米の輸入を行う考えはない。また、本県において市町村が米の輸入を行いたいという声は今のところはなく、現時点では支援は考えていない。
【委員】
 続いて、公共事業による米の生産に関して、先ほどから話をしているように、基幹的農業従事者が今後大きく減少していくことが懸念されている中で、これがV字回復や、今の水準を維持するのがなかなか現実的に私もイメージができない。いろいろな方策が各関係機関で取られているのは重々承知しているが、民間に自律的にそれを任せていくのは非常に難しいと思う。
 やはり直営で、県としてあるいは市町村としてやっていくことも、十分、この検討に私はのってくると思っている。農林部局からだけだと難しいと思い、防衛や防災の観点からも、防衛予算も拡大されたので、防衛費で農業をやってもいいのではないか。
 実際、国土交通省では、北海道では生産支援施設を造り、農政をやっているので、そのような庁舎横断的にやってもいい。最近だと、6月6日に、これは知っているかもしれないが、「農林水産業及び自衛隊における人材確保の取組に係る申合せ」といって、退役自衛官に農業をやってもらうような取組も打ち出された。
 今の話自体は少しきな臭い部分もあるが、実際、一次産業、二次産業、三次産業、どこが今疲弊していっているかと言ったら、やはり一次産業。だから、直営で殖産興業のようにやっていく。行政が率先垂範して、そこの産業を育てていくことをすれば、農業従事者も増えるし、農家の農地の相続問題も解消されるし、耕作放棄地も解消されるし、食料自給率も上がってくるから、三方よし、四方よしだと思う。ぜひそれをやってもらいたいと思うが、考えを伺う。
【理事者】
 県内の農業生産は、県ではなく、農業者が主体となって取り組むものと考えている。
 このため、県は、農業人材の確保、育成に向けて、農起業支援センターなどにおける相談活動の実施や農業者の経営の安定を図るため、普及指導員による栽培指導、県独自の補助事業であるあいち型産地パワーアップ事業など各種の補助事業により、農業施設や機械などの導入支援を行っている。
 今後とも、県としては、市町村や農業団体と連携をしながら、農業者の担い手の確保と生産や経営の支援を行っていく。
【委員】
 県内でもいろいろ地域によって状況は非常に違うと思う。今の答弁で成立する地域もあると思うが、逆に、小さい農地や飛び地があって、なかなか集約化が難しいようなところや、専業に近い形でやっている人が少ない地域においては、やはりそうも言っていられない。
 全国的に見ると、行政、市町村が出資する形で農業公社を持って、農作業に従事しているところもある。県内の市町村で農業を行っている事例、それに代わるような事例について伺う。
【理事者】
 県内の市町村において、農地の権利を取得して農業を行っている事例というのは把握していない。
 しかしながら、担い手が不足している地域において、JAが中心となり、地域での合意形成を得た上で、JA本体ではないが、JAが出資して法人を設立して、水田作を中心に生産や農地管理を行っている事例はある。
 県内には、JAなごやが出資して設立した株式会社JA名古屋ファームをはじめ、10法人が設立されている。
【委員】
 繰り返しになるが、市町村あるいは県でもいいが、公共が出資する形の農業公社みたいなものの設立支援に関しては、ぜひ積極的に検討してもらいたい。
 米について最後になるが、先ほど、令和の米騒動ではなくて米相場だと言ったのは、昨年の8月に大阪府の堂島取引所に米平均先物が上場した。これ、私も実際問い合わせた。これは現物を扱っていないとはっきりと言われた。
 先物というと、大阪府の堂島取引所だと、それこそ徳川吉宗の時代に現物市場と先物市場というのが正式に取引が許可されていたわけだが、当時でいうと、飢饉などに備えて、それにリスクヘッジするためという、ちゃんと現物と連動したようなものだった要素、色彩が強かったはずだが、今回の上場されたものは、純然たる金融商品、現物は全く関係ないというものらしい。そこにやはり実勢価格が引っ張られている。
 まさに米というのは、もともと江戸時代でいうと、日本の一つの貨幣でもあったわけで、そういったものを金融のこの分野のほうに今意識を持っていかれてしまっていることについて、私は非常に危惧している。それが今回の米騒動と言われているものの本質的な部分の大きなシェアを占める部分だと思うので、本当に米生産能力にしっかり意識を戻してもらって、米の価格が上がったか下がったかだけではなくて、しっかり県民に、食卓に現物が届いているかどうか、そのためには何をすればいいのかを我々はしっかりと考えていかなくてはいけないことを最後に言って、次の質問に移りたい。
 続いて、農泊の推進に関して伺いたい。農泊推進ネットワーク会議、先日も所管事項でちょっと資料に載っていたので、それについて設立した経緯に関して伺いたい。
【理事者】
 農泊とは、農山漁村に宿泊し、豊かな地域資源を活用した食事や体験等を楽しみながら、その地域の魅力を味わってもらう滞在型の旅行である。
 国においては、平成29年度から農泊に取り組もうとする地域が実施する組織体制の整備、観光コンテンツの開発、滞在施設の整備などを農山漁村振興交付金により支援しており、採択された地域を農泊地域としている。令和6年度末現在、全国で673の地域が農泊地域となっている。
 本県では、8地域がこの農山漁村振興交付金を活用して、体験プログラムの開発、ウェブサイトの新設、外国人観光客向けのPRや人材の育成など、地域の実情に合った受入れ体制の整備に取り組み、宿泊・食事・体験の売上高や宿泊者数の増加が図られるなど、地域の活性化につながる効果が出ている。
 しかしながら、本県の農泊の取組は局地的、個別的にとどまっていたことから、県内の農泊地域間の連携により特色を生かした地域の魅力向上を図るとともに、都市と農村の交流の普及・定着化を進めるため、県関係局、関係市町村、農泊地域の関係機関などから組織する愛知県農泊推進ネットワーク会議を令和7年4月23日に設立した。
【委員】
 先ほど、都市と地方の連携ということで話したと思うが、非常に近い意味合いがあると感じている。都市と農山漁村の関係人口、交流人口を増やしていくということで、農山漁村には日本の原風景があって、一次産業の発祥、人と自然が共生していたコミュニティーがあって、そういったものをしっかりと維持していく。
 また、そういった生活をやはり都市部に行った人々にも魅力を知ってもらうことで、まちづくりに関わってもらう。週末、例えば、二拠点生活、デュアルライフをして、半農半Xをしてもらうことへのきっかけになる非常に有効な取組だと私は思って、応援したい。
 農泊推進ネットワーク会議の本年度の取組と、さっき8地域と言ったか、ほかにも農泊ということを実態的にはやっているが、地域としては、まだできていないようなところもあるかもしれないので、今後、まさにこの取組に加わっていけるような地域も掘り起こしていかなければいけないと思っており、そういった地域の会議への参加の考え方について伺いたい。
【理事者】
 これまでは農泊地域が各自で農泊の取組を実施していたので、本年度は県が県内農泊地域2か所以上を周遊する農泊モニターツアーを主催することで、県内農泊地域間の連携を促進するとともに、参加者のアンケート結果を農泊推進ネットワーク会議で共有することにより、県内農泊地域のさらなる魅力向上や都市と農村の交流人口拡大を図る。
 また、愛知県における農泊の取組を推進するためには、農泊に取り組もうとする地域の会議への参加も重要である。このため、宿泊・食事・体験の三つのサービスの提供、個人の活動ではなく多様な構成員で取り組む体制を有すること、地域の農林漁業に役立つことを満たす地域についても農泊推進ネットワーク会議に参加してもらい、県内農泊地域との連携を図り、都市と農村の交流促進を推進していく。
【委員】
 最後の質問に移る。論点としては、外国資本による森林取得をどのように考えるか。まず聞きたいのが、外国資本による森林の取得をどのように把握しているのか、全国の状況、本県の状況について伺う。
【理事者】
 平成24年4月以降、相続や売買等で新たに森林の土地の所有者となった人は、90日以内に土地のある市町村長に届け出ることとなっている。
 県では、この市町村からの届出の報告のほか、国土利用計画法に基づく届出や登記情報等により、外国資本による森林取得を調査している。また、この調査結果は、毎年林野庁に報告している。
 この調査によると、海外に居住している外国人及び外国法人による森林取得の全国の状況は、令和5年で33件134ヘクタール、平成18年から令和5年までの累計では358件2,868ヘクタールとなっている。
 また、県内の状況は、令和元年に中国に居住している中国人と思われる人が個人で新城市の森林0.07ヘクタールを取得した1件となっている。
【委員】
 この問題に関しては、先ほどから言っているような人口減少も相まって、森林だけではなくて農地もそうだと思うが、なかなか相続や、手放したい、管理できないというようなところが背景にあるとか、外国人もいろんなルートで入ってきているので、外国人に取得されるのが本当に心配だという声を非常に多く聞くようになっている。
 実際、森林だけでなくて、その森林の近くには水資源があるため、その場所だけではなくて、非常に大規模に影響を与える話になってくる。外資規制自体がやはり全然ないということ自体が、多分、ほかの国々では恐らく何かしらの外資規制というのは設けているはずだが、本邦にはそれがない状況は非常に問題だと思っている。メガソーラーの乱開発とか。
 安全保障の観点からもそうであり、コミュニティーの維持、水資源の問題、あるいは適正な管理の観点、こういったところが危惧されるが、県としては、このような問題をどのように考え、どのように対応していくのか伺う。
【理事者】
 所管する森林の管理について、本県における外国人による森林取得事例である新城市の1件0.07ヘクタールについては、問題となるような状況は把握していない。
 しかしながら、所有者が日本人、外国人にかかわらず、不在村の人が所有する森林の管理が課題となっており、手入れが行き届かなくなることが考えられる。
 こうしたことから、適正な経営管理が行われていない森林については、市町村に経営管理を委託するという森林経営管理制度が2019年度からスタートしている。
 県では、この制度が円滑に運用されるよう、あいち森林経営管理サポートセンターを設置するなどして、市町村の支援を行っている。
【委員】
 外国資本による森林取得に関する調査結果というものを毎年、農林水産省ではプレスリリースしていて、ホームページでも見ることができるが、その取得者の住所地を見ると、例えば、イギリス領のバージン諸島や、租税回避地、タックスヘイブンと思われるようなところで、実際は分からないが、恐らくそのような金融系の筋だと思われるようなところも上がっていたりする。
 日本のもともとのコミュニティーや森林の維持開発に即した形の使われ方をされているのであればいいが、本当に外国の人々もいろんな思想というか、全然日本人とは違う価値観を持っているため、外資規制をしっかりと持って、この要衝はしっかりと守っていかなくてはいけないと思う。
 今紹介のあった管理制度に関しては、適正にもっと周知をしてもらって、所有者の人には利用してもらいたいと思うが、究極的には手放すことになったときに、外国に渡るのではなくて、県として本当は外資規制をしてほしいが、なかなかそこは法律を超えていくことになるので、憲法裁判になりかねないから難しいと思うが、何が次善の策でできるかというと、公共で買い取る、これが一番よいのではないかと思う。
 どこの筋か分からないところに持っていかれるよりは、県として買い取りをして、森林の維持管理を、スケールメリットを生かしてやっていくというような考え方もできると思うので、自治体などによる森林の取得について伺う。
【理事者】
 国においては、相続した土地を手放して国に引き渡すことができる相続土地国庫帰属制度がある。これは一定の要件を満たした宅地や田畑、山林などの土地を10年間の土地管理費用相当額の負担金を支払うことで、土地の所有権が国に移転する制度である。
 県としては、森林の売却の相談等があったときに、この制度の周知を行っている。
【委員】
 私からは2問伺う。まず一つ目、農地中間管理機構について伺う。
 農地中間管理機構は、農地の貸出しを希望する人と受け手をつなぐ役割を担う組織で、農地の集積、集約化を促進し、地域の農業を活性化させることを目的としている。
 主な役割としては、一つ目、農地を借りたい人と貸したい人の間に入って権利移動を行い、農地の集積、集約化を促進すること、二つ目、地域農業の担い手となる認定農業者や法人などに農地を集約して貸し出すことで、効率的な農業経営を支援すること、三つ目、遊休農地を借り受け、担い手に貸し出すことで、耕作放棄地の解消や有効活用を促進すること、四つ目、必要に応じて、農地の区画整理や水路整備など、農地の利用状況を改善する条件整備に向けた支援をすること、五つ目、賃貸借契約に代わる手続として、農用地利用集積等促進計画を作成すること、六つ目、農業委員会や市町村など関係機関と連携をして、農地問題の解決に取り組むこととあって、また、最近の動きとしては、各市町村において地域の農業者が話し合いを行い、従来の人・農地プランを法定化した地域計画を昨年度末までに策定することとなっており、今後の農地の利用集積は、この地域計画に基づいて行うこととされている。
 最後の部分については昨年度末までということなので近々だが、豊橋市でも大きな農業地帯だが、手広く農業をやっている人々から、実際に今後のことを考えて、どんどん農業人口が減っていって、農業に従事する人たちが減っていくことは、最終的には集約して、やる気のある人がたくさん耕さなければならないようになるであろうと、それについて今の農地中間管理機構というのは、本当にそれに向けて効果的に機能しているのだろうかという話を聞いた。
 このような本来期待されている役割、農地中間管理事業について、現在の課題を当局としてどのように考えて、そして、今後どのように取組を行っていこうとしているのか伺う。
【理事者】
 農地中間管理機構は、これまで市町村やJA等と連携して、農地の出し手と受け手との調整を進めており、2025年3月末時点での貸付面積は1万2,563ヘクタールとなっている。また、農地中間管理事業以外の方法も含めた担い手への集積率は44パーセントとなっている。
 2023年4月に施行された改正農業経営基盤強化促進法に基づき、市町村は地域計画を策定しており、昨年度末までに策定された地域は50市町村311地域に及ぶ。
 今後、農地中間管理機構は、この地域計画の中で農地1筆ごとにどの農地を誰が担うのかが記載された目標地図に基づいて利用権の設定を進めることとされており、県では、利用権の設定を円滑に進めるため、現在策定された計画の分析、検証を行っている。
 現時点での分析では、将来の受け手が位置づけられていない農地が約4割あり、現状をそのまま目標とした計画も見受けられることから、このままでは担い手への利用集積が十分に進まないことが懸念され、市町村が地域計画の完成度を高めていくことが課題となっている。
 県は、様々な機会を捉えて関係者に農地中間管理事業を活用するメリットを紹介するとともに、国をはじめ、JA、土地改良区等とも連携しながら、市町村が実施する地域計画のブラッシュアップを支援することにより、農地中間管理事業による農地の集積、集約化を促進していく。
【委員】
 先ほども議論があったが、今後30万人ぐらいの農業人口に向けて、70歳以上の人がもう半分以上だという中で、昔はサラリーマンをやっていて、60歳で定年したらじいちゃんがやっているのを継ごうかというのがあったが、これで定年退職の年齢も延びるわけで、そうしていくと、今までのモデルケースみたいな三ちゃん農業みたいなのは駄目になってくると思うので、やはり30万人に向けて、やる気のある人たちがやるのをやめようと、廃業した農地をしっかりと受け継いでいけるような仕組みをきちっと促進していかなければならないと思うので、今答弁してもらったように、計画は市町村でつくられるようであるが、それをしっかりと指導していきながら、やってもらいたい。
 二点目、農業総合試験場における品種開発についてだが、県内では、それぞれの産地の特性に合わせて品種を選択して、米だとか野菜だとか様々な品目が生産をされているわけだが、その中で、愛知県の農業総合試験場というのは、新たな品種改良するものについて、どのようにしてその品目を選択しているのか。
【理事者】
 新品種の開発に当たっては、専門的な知識や技術に加え、基となる遺伝資源や生産する圃場や温室などの設備が必要となってくることから、品種開発する品目を絞り込む必要がある。
 農業総合試験場では毎年度、農業改良普及課や関係機関、農業者団体などから新技術や新品種の開発などに関する要望を受け付けている。
 受け取った品種開発に関する要望については、試験場内で生産現場の意見も聞きながら、品種開発の目標や緊急性、それから採算性、実現可能性などを総合的に考慮しながら、開発する品種を選択している。
【委員】
 本県の農業総合試験場で開発したイチゴでゆめのかというものが2007年3月22日にみんなの夢がかなうおいしいイチゴという意味が込められて命名され、品種登録がされた。
 ネットで、平仮名でゆめのかと検索をすると、真っ先に長崎県産ゆめのかイチゴと出てくる。ゆめずきんちゃんというマスコットキャラクターなどもつくって、大々的にそれを前面に出して売り出している。
 ほかの地域でそういったマスコットキャラクターをつくるなど、大々的にゆめのかとやっていないので、愛知県はないのかと思って、グーグルの検索ページの二枚目に行き、どうやって書いてあるかというと、県のホームページで、愛知県育成品種いちご「ゆめのか」の許諾契約手続についてというページがあって、許諾契約は個人、団体ともに可能で、許諾料は愛知県内の人であれば年間5万円、県外の人は15万円だと、毎年それを納付してほしいとある。
 長崎県はこの許諾契約を経て、愛知県の農家より10万円高い許諾料を払って作っているのだと思うが、そもそも本県の農業総合試験場が開発したゆめのかが、本県ではなくて、長崎県で盛んに生産されている理由は何なのか、一点目として伺う。
 また、二点目、せっかく愛知県が開発したものは、ぜひ愛知県で作ってほしいという気が私はするわけだが、さらに2024年に、11月8日には、イチゴの新しい品種で愛経4号、ブランド名を愛きらりと命名されているが、こちらについて新たに品種登録をされているが愛きらりについて、これもよそでまたたくさん作られていて、愛知県はそうでもないのかどうなのか、現在の普及の状況について伺う。
【理事者】
 本県が開発したゆめのかは、甘さと酸味のバランスが絶妙で、鮮やかな赤色をした、見た目もよい品種である。このゆめのかの栽培試験を長崎県が行った結果、これまで長崎県が栽培していた品種に比べ多く収穫できることや、果皮や果肉が硬くて長距離輸送に向くという点が優れており、2011年頃から盛んに生産されている。
 一方、愛経4号、ブランド名愛きらりは、年内の収穫量が多くて、形のそろいもよく、糖度も安定して高い品種である。これについては、2024年秋から本格的に県内に限って栽培が始まったばかりだが、県内のイチゴ栽培面積の約5パーセントに当たる13.7ヘクタールで栽培されている。県と農業者団体が連携して、2028年の栽培面積35ヘクタールを目標として生産拡大を図っている。

愛経4号「愛きらり」画像
   愛経4号「愛きらり」

【委員】
 実際に豊橋市でもイチゴ農家というのはたくさんおり、事情を率直に聞いてきたら、確かに、ゆめのかの味はよいとのことである。しかしながら、あまおうだとかというブランド力はなくて、収量もそんなに取れるものではない。そうすると、結局、収量の多い章姫や、そういったものになってしまうのだといったところに、今回の2024年の愛きらりが出てきて、今作っているということだったが、これは結構収量が見込めて、味もそれなりにいいということで随分期待していた。こういったものをぜひ前面に打ち出して、頑張ってもらいたいと思う。
 最後の質問だが、こうした品種改良の開発途中では、最初からいきなり愛経4号か、愛きらりがぽんと出てくるわけではなくて、いろいろな試作や失敗作だとかいろいろなものが出てきて、100点満点になれば、これを採用しようかというところで、98点だとか、80点だとかといろんなものが出てくるんだと思う。没になった品種が、その選抜から漏れた系統の中にも、利用価値のある形質を持ったものがあるように思う。
 同期と一緒に視察に行ってきたが、愛媛県では県として行っていたが、ミカンの品種改良で、今、紅まどんなというのが1強だったようだが、紅まどんなや甘平という有名なブランドのミカンが成功して、一生懸命頑張っているわけだが、それに至るまでに没になった、だが味はいいんだがみたいなものがあって、それは特に特許も取っていなくて、ただ単に試験場の倉庫の中に眠っている品種だというものを、これがいいかどうかは別として、海外に売って、そのロイヤリティで商売しようという取組も農業試験場の例がある。
 愛知県も、品種改良の過程で生まれた、没になった系統をどのように活用しているのかしていないのかについて伺いたい。そして、今後の考え方についても伺いたい。
【理事者】
 優れた品種を早期に開発するためには、多様な遺伝資源が必要となってくる。このため、本県では、品種改良の過程で選抜から漏れた系統も重要な遺伝資源としてしっかり保存し、次の新品種を開発するための交配親として有効に活用を図っている。
【委員】
 私からは、新しい農法に取り組む米農家への技術的支援について伺う。
 先ほど、委員から農地の集約とか集積、土地改良事業についてとか、委員から中間管理について話があった。ここはある程度進んでいるとはいうものの、問題点も幾つかあると思うので、それについてはまた別のタイミングで話をさせてもらおうと思う。
 私の地元の話をちょっとするが、この米騒動というか、米の高騰が始まる前、その頃から、大規模、ほぼ大規模の農家たちの中では、やはり米の生産に関わるところでどんどん価格が下がってくるので、この価格が下がっていくのに打ち勝たなければならないといろいろな取組がされていた。
 少し紹介すると、地元の農家、地元というか、県内の農家4軒でつくった未来のお米づくり協議会という名前の組織で、4軒で農地全体の面積で370ヘクタールほど、水稲で213ヘクタールを管理しているグループである。別々の経営体ではあるが、いろいろなものを作っている。
 その組織の人たちがいろいろな農法でとにかく作っていかないと、これはもう今の作り方ではとてもコストが合わないと、1キログラム当たり100円を大きく下回らない限り、もう勝負にならないことも考えながら、農水省の事業で、名前を忘れたが、輸出米の政策があって、とにかくそことジョイントをして、できるだけ低コストで米を作ることに取り組んでいた。
 その人々と話をする中で、今年は米が値上がりしてしまったので、少し考え方が変わったところがあって、この問題が発生したがために、米の政策というのは一気にまた進んでいくのではないか。これまではある程度守られた中で米の計画があったが、例えば自由化や、転作助成金など、そういった部分が大きく変化してしまう可能性がある、それも農家にとっては厳しい方向に進むのではないかと取っていた。
 そのようなこともあって、自分たちが今進めている農法や実験について、もっとスピードアップしていくべきだということで、彼ら、今年はいろいろな圃場で、自分たちの当然持ち出しで、いろいろな農法で植えるなど管理していくことにトライしている。
 少し言葉が難しいので軽く言うが、DDSRという、先ほど本会議でも話があったが、不耕起V溝直播栽培で植えたり、マイコス米というものを植えたり、ドローン播種してみたり、湛直、水があるところに種をまく、それをドローンでやってみるなど、まき方、植え方だけでも多種多様な種類で植えて、その後の管理についてもいろいろなことにトライしようと今進めている。
 その様子を見ると、実は、うちのまちで以前、キュウリを生産している農家が最終的に日本農業賞になったが、データを管理しながら生産をしていくことで、20パーセントとか30パーセントだという安定した生産をしていくという技術を開発し、愛知県であぐりログという商品で今、普及していると思うが、そういった勢いのあることをやっているんだと思う。
 特に米が問題になったので、テレビなどでも最近、徳本修一氏という鳥取県の農家がよく出てくるようだが、その人が始めている農法とか、そういったものも取り入れながら、いろいろなことにトライしている。
 ただ、キュウリのときに比べると、キュウリの担当の人にも話を伺ったが、ハウスの中で物を作るのと比べると、やはり外でやるというのはあまりにも変化が大きい、変数が多過ぎる。天気があり、地温があり、水温があり、地中の成分があり、いろいろなものがある。
 これを簡単に解析して、キュウリのように生産性を上げるのはかなり難しいだろうともいっていた。実際、トライしているのが農家なので、当然、そんなデータは、取れない。ただ感覚的にこれがいいのではないかぐらいのレベルでやろうとしている。
 そういった農家があるので、何とかこのような農家を支援してもらいたいと思って、相談もさせてもらっているが、何ができるかということである。こういった農家に対して、栽培指導というか、経済性の評価だとか、農業イノベーションを含めて、どんな支援体制が今、県にあって、今後どんなことができるのかがあれば、教えてほしい。
【理事者】
 県では、県内8か所に農業改良普及課があって、そこの中で普及指導員が農家の技術指導や、経営相談に対応して、農家支援を行っている。
 個々の農家が試験的に取り組んでいる栽培方法については、今までの既存の栽培方法の延長ということで相談に対応している。
 また、若手農家で生育データ等々を知りたいという場合については、調査方法や、調査項目、調査時期をほかの今までの栽培方法と合わせることで後々実証ができるということで、そういったことも相談に乗っている。
 また、経済性評価についても、慣行栽培と比較してどうだったかという実証のほうも相談を受けて行うことになっている。
 新たな栽培技術については、現場での普及員によるこういった技術指導だけでなく、農業総合試験場においても、省力化や安定生産というものに向けて、いろんな技術開発を行っているので、県としては引き続き米農家を支援していきたい。
【委員】
 今の体制ではそれが多分限界なのかもしれない。今、全国的に、先ほど紹介した鳥取県の徳本修一氏とか、そのような人々は、農地の集約、集積をしたらいいのではないかと、大規模化したら採算が合うんだと、今やっとそれを始めている。ただ、愛知県は運がいいことに、大規模化というのはある程度進んでいて、もっと農地があればもっと広くやりたいという農家が、米農家に関してはたくさんいるわけである。
 もう一つ、先ほどのキュウリの人の話だが、先行した技術というのは必ず追いつかれる。先に行った分だけ先行者利益はあるが、追いつかれたときにはコストの安いところにやはり最後は負ける。だから、次にもう一歩行かなければいけないと言っている。それを考えると、1年に一作しかできない米のいろんなことでトライをしている人の情報というのをせっかくやってもらえる。最大限、県として活用をすることもそうだし、またまた別の今回やっている子が圃場で地温が測りたいといっていたが、地温を連続的に測るものは何十万もする。さすがにそれにはトライできないといっていた。貸出しでもいいし、県がデータを取れるのかどうか分からないが、そのようなことができると、先行者利益も得られるかもしれないし、それから、もともとでは米農家の生産コストが下げられて、先進的な農家として愛知県が走っていけるかもしれないということを含めて、この先からぜひ、予算化されていないかもしれないが、取り組んでもらって、愛知県はとにかくお米の世界でリードしていけるというところを実現してもらいたい。
【委員】
 それでは、私からは農福連携について伺いたい。
 国のほうでは、2019年の4月に省庁横断の農福連携等推進会議を設置し、2024年の6月には農福連携等推進会議で、農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)を決定。そして、そのビジョンに基づいて、農福連携等を通じた地域共生社会の実現を目指して、各省庁連携した施策が始まっている。
 農福連携といった場合、まず、農業者と福祉事業者の連携がイメージされるが、農業者の立場としたら、高齢化や人手不足のために作業を福祉事業所に委託をして、そして、福祉事業所のほうは、障害者の個々の特性に合った農作業によって、就労や社会参加の機会を得るという、そうした連携ができる。
 私の地元の名古屋昭和区でもAJU自立の家というところがあって、障害者の人がブドウ栽培をして、それをワイン販売につなげているというのも農福連携の一つかなと思う。
 国のほうでは、2030年までに農福連携の取組主体数を1万2,000以上にすることを目標に掲げているが、ここでまず質問だが、現在、本県の取組主体数はどのくらいなのか、また、取組主体として農業者と福祉事業所の内訳はどのようになっているのか、示してもらえればと思う。
【理事者】
 本県において、農業者と福祉事業所間の農作業の受委託や、福祉事業所が自ら農業を行っているケース、それから、農業者が障害者を直接雇用しているケースなど、様々な農福連携の取組が進められていて、その取組主体数は2024年4月時点で計220主体となっている。その220の内訳としては、農業者が95主体、福祉事業所等が125主体となっている。
【委員】
 以前、北海道の恵庭市に、農福連携をしている農業者を調査したことがあった。そこで印象に残っているのは、農業者が障害のある人が作業しやすいように、分かりやすいようにと工夫して、作業工程を細かく分けて、何かを量るときに、はかりに目盛りをつけて、ここまで量ってほしいと言ったりして、袋に詰められるようにしたり、種をまくために土に穴を掘るにも、深さを同じにするためにできるような棒を農業者が作るなど、作業を見える化していたのが印象に残っていた。
 本県も2019年度から愛知県農福連携相談窓口というのを設置して、事例集なども作って、農福連携の推進を図っていると聞いているが、愛知県の相談窓口の取組について、相談者の内訳や、その内容、そして、県がどのように対応しているのかということ、その相談に応じる農福連携技術支援者と言われる人がいるそうだが、本県の認定者数と活用状況について示してもらいたい。
【理事者】
 昨年度は、農福連携相談窓口を県庁内に設置して、104件の相談に対応した。
 なお、県が相談窓口を開設した2019年度からの累計では、1,059件の相談に対応している。
 昨年度、相談窓口に来た相談者の内訳としては、農業者からの相談が41件と一番多く、続いて、福祉事業所からの相談が20件、市町村からの相談が20件、そのほか、農福連携に興味がある企業からの相談などがあった。
 主な相談内容としては、農作業受委託に係るマッチングに関する相談が44件、続いて、農作業内容等に関する相談が12件、作業工賃や契約に関する相談が12件あって、その対応として、マッチング先の紹介や、工賃の調整等を行った。
 次に、農業と福祉の両方の知識を有し、双方に助言できる専門人材である農福連携技術支援者については、本県では2022年度から農林水産省の認証カリキュラムによる研修を開催していて、育成に取り組んでいる。
 現在、愛知県には、農業者や福祉事業所の職員など65人の認定者がいる。昨年度は、農業者や福祉事業所から相談窓口に寄せられた相談への対応として、県から技術支援者を計16回派遣して、作業の見える化など、農作業手順に関するアドバイス等を行っている。
【委員】
 今の答弁の中で、窓口でマッチングを図るということだったが、実際にマッチングされた件数というのは教えてもらえるか。
【理事者】
 昨年度は、相談件数104件のうちマッチングできたのは5件あって、ミニトマトや柿の収穫作業等、農作業の作業受委託をやっている。
【委員】
 104件で5件というこの形が、何かハードルがあったか。やりたいなと思っていたが、結局は5件だったという中で、そこのところのハードルをまずどうやって見ていくのかも課題の一つかと思う。
 2024年の令和6年6月定例議会で、農業水産局長の答弁を利用するが、6月5日に施行された改正食料・農業・農村基本法では、農福連携に関する条文が新設され、その中で、障害者だけでなく社会的に支援が必要な者の社会参画を促進するため、障害者その他の社会生活上支援を必要とする者の農業に関する活動の環境整備に必要な施策を講ずることが盛り込まれたとして答弁をしている。
 昨年度から国では、農福連携について障害者だけではなくて、社会的に支援が必要な人が農業分野で活躍を通して社会に参画できる場面をつくっていくことも目的の一つになったという、そのような答弁だった。
 現在のところ、保護者に頼れない状況で、福祉の制度のはざまで、居場所がなくて苦しんでいる若い人もいるし、何らかの障壁で引きこもってしまった人や、それから、犯罪から立ち直ろうとしている人などの参画の場としても、農福連携の推進、農福連携を活用できるということだと思うが、ただ、まだまだこちらも進んでいないと聞いている。
 こうした状況下だが、国では障害者以外の社会的に支援が必要な人への農福連携を進めるものとして、世代や障害の有無を超えた多様な人々が農業体験を通して社会参画を図るユニバーサル農園の拡大を推進している。ここで質問するが、ユニバーサル農園について、本県の取組状況について示してほしい。
【理事者】
 本県におけるユニバーサル農園については、国の調査によると、現在4件の取組がある。
 一つ目の事例として、岡崎市にある県立みあい特別支援学校が隣接する農業大学校の敷地内にユニバーサル農園を設置している。JAや岡崎市とも協働し、児童生徒と地域住民との交流の場として、サツマイモの苗植え体験を実施するなど、農福連携の好事例となっている。
 また、名古屋市及び東郷町が障害者や高齢者等の交流の場や、健康づくり、生きがいづくりの場として、ユニバーサル農園を設置、運営している。
 そのほか、福祉事業所が運営しているユニバーサル農園では、障害者や高齢者だけでなく、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者、罪を犯した者など、社会的に支援が必要な者も受け入れることとしている。
【委員】
 農福連携の課題のもう一つだが、販路拡大であるとも聞いている。本県の販路拡大の取組、及び11月29日をノウフクの日として示して、決まっているそうで、そのノウフクの日の活用なども、どのように取り組んでいくのか伺いたい。
【理事者】
 販路拡大に向けては、農福連携の認知度を上げることが重要であって、そのための取組として、ノウフクJASの取得という制度がある。ノウフクJASとは、障害者が生産工程に携わった農林水産物や、これらを原材料とした加工食品等を規格化した認証制度で、人、社会、地域等に配慮した消費行動であるエシカル消費につながるものとして、現在、県内では3件の福祉事業所が取得している。
 次に、ノウフクの日の取組として、毎年、ノウフクの日の前後をノウフクウィークとしているが、県では、ノウフクウィークにおけるイベントとして、農福連携マルシェを開催している。マルシェは2016年から開催しており、昨年度は12月14日に名古屋市の久屋大通公園で開催し、18の福祉事業所や農業者に出店してもらった。農福連携による農産物、加工品等の販売促進、販路拡大とともに、農福連携の認知度向上にもつながるので、今年度も開催予定である。
【委員】
 ノウフクウィークについて、知らなかった。が、やはり認知度というのは課題の一つかとも今答弁を聞きながら感じたので、ぜひまた11月29日を中心にしたウィークで、ノウフクJASなども、ぜひまた広げてもらえればと、この質問を通してお願いをさせてもらおうと思う。先ほどマッチングの話や、この認知度というところでも、まだまだいろんな課題があると思うので、ぜひ連携効果を十分に得られるようになっていってほしいと思う。
 先ほどユニバーサル農園、ここはちょっと要望になるが、地域の人と生徒が農作業を行っているという岡崎のみあい特別支援学校だが、先生に話を聞いた。みあい特別支援学校では、学習の一環として、このユニバーサル農園を活用して、地域の人と触れ合うなどとあるが、その後のところで就農や、工賃を得るまでにはつながっていないらしい。
 ただ、特別支援学校は、全ての特別支援学校であるが、就労先を懸命に探している状況でもあるので、先ほど示してもらった農福連携技術支援者などが活躍をしてもらえば、こうした特別支援学校での農福連携にも何らかの影響がされていくと感じている。いろんなハードルがあるのは承知しながらだが、可能性としてお願いしたい。
 そしてまた、ちょっと違う視点だが、アクアポニックスというものがあって、今、魚の養殖と、それから水耕栽培を組み合わせた水耕栽培のシステムがあって、愛西市にあるつなぐファームという、日本でも最大級らしいが、そこに調査に行かせてもらったが、そこは就労継続支援B型事業所と連携をして農園を営んでいる。
 このアクアポニックスというのは、魚を養殖しているが、その魚の排せつ物を利用して、その水を野菜を育てるところに流して、魚の排せつ物に含まれている栄養でレタスやそのようなものが育つ、そこでまた栄養価が抜き取られたきれいな水が魚のところに戻っていくので、実は化学肥料や、農薬を使うことができない、オーガニックな野菜を育てることができるというメリットもある。
 先ほど言ったように、作業としてはそのような循環のハウスの中で行っていることなので割と軽易な作業で、販売までつなげていくという就労継続支援B型事業所のことを行っているので、こうしたところも農福連携と知ってもらって、県としても何らかの農福連携の支援に役立ててもらえるのではないか。オーガニックの野菜を売ることで付加価値もできるし、そしてまた、ハウスなので年中収穫があって、ほかの農業者だと季節によって作業する日にちがあったり、なかったりもあるかと思うので、ここもぜひ農福連携の一つとして見ていってもらえければと思う。
 そこで、いろいろな価値を生むことができると思われる農福連携なので、ぜひ県としても推進してもらいたい。最後の質問である。今後の農福連携の推進について、県の考えや、今後の取組について伺う。
【理事者】
 県では、農福連携の取組を円滑に進めるため、農業水産局、福祉局、労働局、教育委員会の関係局や、愛知労働局、東海農政局、JAあいち中央会及び名古屋市、豊橋市等関係者とともに2019年度からあいち農福連携推進協議会を設置し、農福連携に関する施策や課題等について情報共有し、連携を図っている。
 県としては引き続き、相談窓口の設置、技術支援者の育成、農福連携マルシェの開催や、あいち農福連携セミナーの開催等による、理解促進及び認知度向上に取り組んでいきたい。
 それから、今年度については、先ほどもあったが、罪を犯した人々に対する農福連携の推進として、矯正施設の職員の農福連携技術支援者育成研修への参加を促すなど、障害者以外の社会的支援が必要な人々に対する取組の拡大も図っていきたい。
【委員】
 一歩、進んだ部分もあるようなので、ぜひまたいろいろ工夫して、課題を克服しながら、進めてもらえたらと思う。
【委員】
 勘違いしていると思う。農福連携、これはもう私も何十年前から、地元に帰ったらやっているが、要は、知的、精神、身体、A、Bとある。Aの場合はまだいい。Bの場合だと、1人の障害者の子に何人かつかなくてはいけない。そして、毎日のように、朝、また同じことを教え何かをして、はっきり言って、もうからない。何をやってももうからない。ただ、国からの補助があるから、それで成り立っているだけである。
 もう一つ、今、罪を犯した人々のうんぬんということを言った。私の施設で、そのような話がもう30年も前にあった。
 県議会でも全体会議の中で少し問題にしたが、確かにそのような人たちに手を差し向けるというのも必要だが、これは環境というか、そのような部分もきちんと精査して、そして、そのような者を農福なら農福へ入れるならば、それなりのきちんとしたものをつくってあげなくては、やるほうも来る人もこれは大変だ。簡単に農福農福というが、本当に大変だ。
 今、私のところは五十何人の施設があるので、それで、農業部門、そして、お菓子や何かを作る部門もあるが、私のところだと大きな施設だから、従業員がいるからやれるだけで、あれは大変だと思う。そして、絶対事務所はもうからない。ただ、福祉だからこそやっているだけで、そんな甘いものじゃない。どう思うか。
【理事者】
 委員の言うとおり、農福連携を進めていくに当たって課題というのがあって、農家サイドにしては、障害者だけが来ても作業が進まないので、福祉事業所の人が一緒に来てもらわないと、なかなか作業が進まないところもある。ただ、最近、人手不足等々もあって、福祉事業所も人を出せないというところから、農福連携、実はちょっと取りやめている事例というのも、幾つか出てきている。
 先ほどの社会的支援が必要な人々についても、やはりそういった間を持ってもらう人、指導してもらえる人がいないと、なかなか進まないので、そういったところも併せて、県のほうで支援できればと考えていきたい。
【委員】
 障害者の子たちの一日のローテーションは決まっている。それをやれなければ、全部職員が残って、暗くなるまでやっている。帰れない。
 だから、そのようなことも踏まえて、農福、確かに必要な部分だと思うが、やはりきちんと行政のほうも把握をして、指導していってもらいたい。
【委員】
 私からは、まだ愛知県では聞き慣れない言葉であるが、エネルギーの森の整備について質問したい。
 本県は森林が多く、利用期を迎えた森林資源が充実してきている。森林資源は主に、住宅などの建築用材として利用することを目的に育てられてきた。この森林資源を利用して、その後、植栽して育てていく森林の持続的な活用は、大変重要である。
 こうした中、2020年、日本政府は2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言した。このカーボンニュートラルの実現のため、第6次エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーを主力電源として、最大限の導入に取り組むわけである。
 なお、2025年2月に第7次エネルギー基本計画が閣議決定されているが、再生可能エネルギーの重要性は全く変わっていない。2030年には電源構成、(エネルギーミックス)のうち、再生可能エネルギーの利用割合は、36パーセントから38パーセントの見通しとなっている。
 そのうち、太陽光は14パーセントから16パーセント、水力は11パーセント、風力は5パーセントで、バイオマスは5パーセント程度を担うとされている。木質バイオマスの利用についても推進していく必要があるが、そこで、県の森林資源のバイオマス利用の現状について伺う。
【理事者】
 バイオマス燃料用を含むチップ用材の利用としては、過去3年間の平均で県の木材生産量全体の約3割を占め、年間約6万立方メートルとなっている。
 また、愛知県木材利用促進条例において、バイオマス利用について触れており、エネルギー源としての利用への支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとするとしている。
 具体的には、伐採木を搬出するための経費や、バイオマスボイラー、木材を破砕するチッパーなどの導入を支援している。
 バイオマスに利用するものは、建築用材として利用できない樹木の先端部や枝葉の部分、間伐後、林内に切り置いていた細い伐採木、それから、製材加工するときに出る端材などを活用している状況である。
【委員】
 2025年3月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がエネルギーの森シンポジウムというのを開催していて、その資料を見せてもらった。
 このシンポジウムでは、国産材の木質バイオマス発電利用を推進していくことを目的として、再生可能なエネルギー源の一つとして、木質バイオマス燃料の生産、供給の普及に向けた課題や取組を紹介していた。
 その中で、木質バイオマス発電の課題は、コストの大半を占める燃料費の削減と、燃料の安定調達や持続可能性の確保であるとされている。これらの課題解決に向け、低コストかつ安定的に木質バイオマス燃料を確保するため、エネルギーの森を整備していく取組を紹介していた。
 エネルギーの森とは、成長が早い樹種を植え、育てて、短い伐採サイクルで利用していく、エネルギー源としての森林のことである。森林の新たな活用方法として、魅力的な取組であると感じた。
 そこで、愛知県として、エネルギーの森の整備についてどう考えているのか伺う。
【理事者】
 条例に基づく木材利用の促進に関する基本計画では、これまで木材があまり使われていない商業施設やオフィスなどの建築物で使っていくことを推進している。こうした用途に使われる木材は長期間利用されるため、二酸化炭素の固定期間も長くなり、カーボンニュートラルへの貢献度も高い。
 また、利用期を迎えた森林資源を持続的に活用していくため、伐る・使う、植える、育てるの循環型林業を推進し、次の世代の森林を育てている。伐採後に植栽し、育てていく森林において、建築材の用途だけでなく、新たにエネルギー用途の樹種を植栽し、育てていくエネルギーの森の整備は、次の世代の森林の選択肢の一つになると思う。
 今後、先進的に取り組んでいる県などの調査を進めながら、エネルギーの森の採算性、持続性を含めた可能性を探っていく。
【委員】
 私も先進的な取組についてこれから勉強していって、愛知県のバイオマス利用の取組としてどういったやり方がよいのかを探っていきたい。ぜひ情報を共有しながら、検討を進めていきたいなと思っているので、よろしく願う。

 

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