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総務企画委員会審査状況(令和6年12月12日)

ページID:0601090 掲載日:2025年9月16日更新 印刷ページ表示

総務企画委員会

委員会

日時 令和6年12月12日(木曜日) 午後1時~

会場 第8委員会室

出席者
 今井隆喜、日高 章 正副委員長
 水野富夫、高桑敏直、辻 秀樹、杉江繁樹、杉浦正和、富田昭雄、
 日比たけまさ、福田喜夫、島 孝則、木藤俊郎 各委員
 防災安全局長、防災部長、県民安全監、関係各課長等

委員会審査風景の画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

第183号  令和6年度愛知県一般会計補正予算(第6号)

 第1条(歳入歳出予算の補正)の内
 歳出
 第2款 総務企画費の内
 第7項 災害救助費

 第2条(繰越明許費の補正)の内
 第2款 総務企画費

 第3条(債務負担行為の補正)の内
 愛知県基幹的広域防災拠点整備・運営等事業契約
 愛知県基幹的広域防災拠点(消防学校)整備・運営等事業契約

第199号  愛知県基幹的広域防災拠点の公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例の廃止について

結果

全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
 第183号及び第199号

会議の概要

  1. 開会
  2. 議案審査(2件)
    (1)理事者の説明
    (2)質疑
    (3)採決
  3. 一般質問
  4. 閉会
主な質疑
議案関係

【委員】
 愛知県基幹的広域防災拠点の公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例の廃止について、一度公布した条例を廃止する理由を伺う。
【理事者】
 愛知県基幹的広域防災拠点の整備・運営の手法は、PFI法に基づくBTコンセッション方式とし、2022年10月に愛知県基幹的広域防災拠点の公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例を制定、公布し、事業者の選定手続を進めていたが、2024年3月に入札の結果、不落となった。
 防災拠点の早期整備に向け、消防学校と防災公園それぞれを単位として事業を進めることとし、第1期として消防学校の整備をBTO方式、第2期の防災公園の整備はBTO方式・一部工事県直接発注により実施することとした。これにより、コンセッション方式は導入しないこととし、第1期の消防学校について、来年1月に予定しているBTO方式による実施方針の公表前までに条例を廃止する。
【委員】
 コンセッション方式を導入しないことにより条例を廃止することは理解したが、今回導入するBTO方式の場合は、条例の制定は不要か。
【理事者】
 コンセッション方式を導入する場合は、PFI法第18条の規定により、条例に定めるところにより実施方針を定める必要があると規定されているが、コンセッション方式を導入しないBTO方式の場合は、そのような規定がないため、条例の制定は不要である。
【委員】
 今回のように、一度公布した条例を廃止した例は他にあるのか。
【理事者】
 大阪市の水道管路更新事業において、当初、コンセッション方式によることとし、実施方針に関する条例を公布した後、全ての応募者から辞退届が提出され、事業手法が見直されたことに伴い、コンセッション方式を導入しないこととするために、条例を廃止した事例がある。
【委員】
 大阪市の事例においても事業手法をコンセッション方式から見直したとのことだが、そもそもBTコンセッション方式とBTO方式の違いは何か。
【理事者】
 BTコンセッション方式、BTO方式ともにPFI事業者が民間資金を活用し、公共施設を建設するB(ビルド)、行政に所有権を移転するT(トランスファー)、そのスキームに差はないが、最も大きな違いは、維持管理・運営の部分である。コンセッション方式の場合、事業者が運営権に基づく自由度の高い維持管理・運営ができることが大きな特徴である。施設の利用料金を例にすると、コンセッション方式の場合、事業者は条例で定める範囲内で裁量により利用料金を設定し、県に届けることで足りるが、BTO方式の場合は、利用料金を設定するに当たっては、施設の設置者である県の承認が必要となる。
【委員】
 BTコンセッション方式とBTO方式の違いは、自由度の高い維持管理・運営ができるかどうかが大きな違いだと理解したが、今回の消防学校の整備でBTO方式を採用する理由を伺う。
【理事者】
 当初の手法であるBTコンセッション方式は、事業者が運営権に基づく自由度の高い収益事業を展開できるといったメリットがある。しかし、現在の市況では、物価高騰、2024年問題に起因する人手不足や、様々なリスクが顕在化しており、収益性や市場の動向が先行き不透明である中、BTコンセッション方式には参加が難しいという経営判断が働きやすい状況にある。 
 一方、BTO方式は施工例が多いことに加え、事業単位を小さくすることで事業者のリスクが軽減されることに相まって、より多くの事業者の参加が見込める。また、設計・建設から運営・維持管理までを見据え、民間ノウハウを活用して一体的に行うことで、安定的な運営や事業コストの削減が期待できる。さらに、設計・施工期間の点では、従来の公共発注と比べて都度の手続期間が不要となることで、期間を圧縮することができ、可能な限り早期の整備につなげることができる。こうしたことからBTO方式を採用する。
【委員】
 今回、事業費の増額や事業手法の見直しに伴う条例の廃止ということだが、建設資材の高騰等は1回目の入札時から予見されていたことではないか。事業費の積算見込みや事業方針をBTコンセッション方式とした見込みが甘かったのではないかと思うが、その点について伺う。
【理事者】
 2022年度の事業導入時の調査において、様々な事業手法を比較検討し、民間のノウハウや技術力等を最大限活用し、施設の設計建設と維持管理・運営を一体で行うことにより、政策目標の実現、サービス水準の向上、ライフサイクルコストの削減が可能となることから、BTコンセッション方式を採用することとした。また、当時実施した事業者へのヒアリングにおいても、BTコンセッション方式は成り立つとの評価を得ていた。
 一方で、BTコンセッション方式による入札が不調・不落となった要因は、公告までに分析・設定した価格や工期などの発注内容が、その後の市場環境の先行きを踏まえた事業者の見通しと異なった結果であり、入札公告時点では予見できなかったと考えている。
【委員】
 ここ数年、不安定な国際情勢に伴う建設資材の高騰、急激な円安、そして人件費の高騰は、条例制定時に予測することは不可能だと思うが、できるだけ早く、安く、しかし適正価格で予算を組むことは理解できた。
【委員】
 消防学校の整備について、なぜ令和6年12月補正予算で債務負担行為が必要となったのか伺う。
【理事者】
 消防学校は県内消防の教育施設であり、災害時は拠点の中核施設となるため、第1期として先行して整備を実施し、2028年度内の完成を目指している。その整備に向け、来年1月を目途にPFI法に基づく実施方針を公表し、その後2月に入札公告を行い、事業者の選定手続を進めていく予定であり、その裏づけとなる経費を令和6年12月補正予算に債務負担行為として計上するものである。
【委員】
 今回の消防学校の整備における債務負担行為として、163億余円を計上しているが、これは昨年10月の入札公告に向けた債務負担行為と比べ、どのように変わったか伺う。
【理事者】
 前回のBTコンセッション方式による入札に向けては、2023年度6月補正予算において、防災拠点全体の債務負担行為を計上し、そのうち消防学校分の事業費として、設計・建設費で約133億円、維持管理・運営費として約11億円の総額144億円と積算していた。今回、補正予算に計上する額は約163億円であり、内訳は、設計・建設費で約155億円、維持管理・運営費として約8億円である。2023年度の6月補正予算と比較すると、設計・建設費で約22億円の増額、維持管理・運営費で約3億円の減額、総額で約19億円の増額となる。
【委員】
 設計・建設費が、約22億円の増額とのことだが、その理由を伺う。
【理事者】
 建設費の増額について、物価等の市場動向を反映したものである。具体的な手法として、本年7月11日に締結したアドバイザリー契約において、消防学校の施設ごとに資材費、労務費等の市場動向を捕捉、反映し、積算した結果、設計・建設費22億円の増額となった。
 なお、前回の入札公告時と比較し、設計・建設費として増額となるような仕様の変更はない。
【委員】
 設計・建設の仕様は同じであり、約1年半で昨年度の6月補正予算と比較して設計・建設費が22億円、これが資機材と労務費で増額とのことで理解した。
 物価等の市場動向を反映したということであるが、具体的にどのように分析したのか。
【理事者】
 具体的な分析については、建設物価調査会の建築費指数や建築資材物価指数、日本銀行の企業物価指数、国土交通省の建設工事費デフレーター、厚生労働省の最低賃金、愛知県などの統計指標の上昇率を分析した。さらに、防災拠点や消防学校に固有の施設・設備については、工事における使用頻度が低いことなどにより、市場における最新の取引価格が統計指標に反映されにくいという特徴があるため、見積りの徴取、ヒアリング等により実態の把握に努めた。
【委員】
 防災拠点、消防学校に固有の施設・設備について、見積りの徴取、ヒアリング等により、実態の把握に努めたとのことだが、防災拠点や消防学校に固有の施設・設備とは具体的にどのようなものか。
【理事者】
 防災拠点・消防学校に固有の施設・設備として、可動式の模擬家屋を用いて様々な街区を想定した訓練を実施する街区消火訓練場、地震により建築物が倒壊した現場を想定した訓練を実施する震災訓練場、土砂災害を想定した訓練を実施する土砂災害訓練場があり、いずれも実災害の現場と類似した状況を再現して訓練を行うことができる施設である。
 また、防災拠点としての機能を果たすために必要な施設・設備で、災害時に災害応急車両への給油を行う自家用給油取扱所や、大規模災害時に電気が途絶した場合でも1週間の電力を確保する自家発電機についても、市場における使用頻度が低いことから、見積りの徴取、ヒアリング等により実態の把握に努めた。
【委員】
 様々な街区を想定した訓練を実施する街区消火訓練場などを実際に施設として作ることは、まさに固有の施設・設備であろうと実感する。その中で、実態把握に努めたとあるが、消防学校の設計・建設費が約155億円の各施設の事業費を伺う。
【理事者】
 各施設の事業費について、最終的には応札する事業者の提案によるが、今回提出する予算の積算上の見積りは、管理・教育棟などの管理系建物で約67億円、複合訓練施設や屋外訓練場などの訓練系の建物等で約41億円、街区消火訓練場や震災訓練場、自家用給油装置、自家発電設備などの防災拠点、消防学校に固有の施設・設備で約23億円、その他、外構工事、設計費で約24億円の計約155億円を見積もっている。
【委員】
 施設ごとの事業費について理解した。
 維持管理・運営期間について、何年分の期間を積算しているのか。
【理事者】
 維持管理・運営期間は20年を積算している。
【委員】
 維持管理・運営期間を20年とした根拠を伺う。
【理事者】
 運営期間を長期とすることにより、維持管理・運営のノウハウの蓄積による効率化というメリットが高まると考えている。
 一方で、15年から20年を超えて運営期間を設定した場合、期間内の大規模修繕や更新の発生リスクが高まる。
 また、今年度実施した事業者へのヒアリングでは、20年間の維持管理・運営期間が妥当との意見が出された。
 このことから、維持管理・運営期間を20年とした。
【委員】
 昨年10月の入札公告から維持管理・運営費が約3億円減額した理由を伺う。
【理事者】
 前回のBTコンセッション方式では、防災人材の育成・啓発を必須の提案としていたが、今回のBTO方式では、県と事業者の役割分担を鑑み、任意の提案であることを明確に位置づける一方で、その分の人件費については経費の積算に含めないものとしたことによるものである。
【委員】
 防災人材の育成・啓発は、消防学校の役割の大きな一つだと思うが、それを任意提案とする理由は何か。また、育成・啓発は誰が行うのか。
【理事者】
 これまでも、防災人材の育成や啓発については、職員が消防学校に常駐し実施することを考えてきた。
 そうした前提を明確化した上で、民間の知恵やノウハウを生かした効果的な事業提案を期待している旨を明らかにするため、防災人材の育成・啓発は任意提案とするものである。
【委員】
 防災人材の育成・啓発は、非常に重要なものであると認識しており、それは県の役割だと考えている。したがって、今回の防災人材の育成・啓発を必須から任意の提案とするのは当然である。 
 現時点の価格をできる限り把握しようとしたことは理解したが、今後も物価変動は続いていくと考えられ、物価変動を的確に把握し、追随できなければ、また同じ入札不落を繰り返すことを危惧している。
 そこで、物価の動向についての認識を伺う。また、足元の物価動向はどうであったか、先行きをどう評価しているのか伺う。
【理事者】
 昨年10月から今年9月までの1年間の統計指標の伸び率は、建築費指数の鉄筋コンクリート造で5.2ポイント、同じく建築費指数の鉄骨造で5.1ポイント、企業物価指数で3ポイント上昇している。
 また、人件費の指標としている、愛知県の最低賃金についても、2022年度は986円、2023年度は1,027円、2024年度は1,077円と上昇しており、その他の指標でも上昇傾向にあることが分かった。
 今年度当初に行ったヒアリングやマーケットサウンディングでは、建築資材や人件費が上昇しているとの回答があったが、これを裏づけるものであり、こうした物価や人件費の上昇傾向は今後も続くものと考えている。
【委員】
 物価や人件費の上昇傾向は今後も続くとのことだが、私も同意見である。その中で、物価変動リスクを軽減するために、どのような措置を講じていくのか。
【理事者】
 賃金水準または物価水準の変動により、設計・建設費や維持管理・運営費が不適当となった場合は、県または事業者は費用、サービス購入料の改定を請求することができ、これは、他のBTO方式の事例でも一般的に行われている。
 特に、設計・建設費の改定は、通常の公共発注と同様、いわゆるスライド条項を設け適用することとなる。これらの規定は、来年12月に事業者と取り交わす予定の契約書に定める。
【委員】
 答弁の中でスライド条項の話があったが、スライドの発動基準について、どのような指標を用いるのか伺う。
【理事者】
 スライド条項は、愛知県公共工事請負契約約款第26条の規定を準用する。スライド条項には三つある。全体スライドは、契約締結から12か月が経過した後に請求することが可能な、残工事に対する材料・労務価格の変動率を上昇分として措置するものである。二つ目の単品スライドは、主要工事材料の価格について、材料価格の変動率を上昇分として措置するものである。三つ目のインフレスライドは、公共工事設計労務単価の上昇が認められた場合に適用でき、残工事に対する材料・労務価格の変動率を上昇分として措置するもので、12か月の経過を待たずに請求できる点が全体スライドと違う。
 スライドの判断に用いる指標は、これまで2回の入札では建設工事費デフレーターを用いることとしていたが、近年の入札動向では、その他の建築費指数を用いている事例もある。今回の入札で用いる指標は、マーケットサウンディングを継続しており、その結果も踏まえ、今後入札関係の指標として整理していく。
【委員】
 スライド条項の指標については、柔軟、適正なものを選定しなければならないと思うため、マーケットサウンディングを参考にしながら、適切な判断をしてほしい。
 前回の入札でも、スライド条項はあったはずだが、それでも前回は不落という結果になった。物価が動いている局面では、物価スライドのみで本当に十分かという疑問が生まれるが、それに対してどのような対応をしていくのか伺う。
【理事者】
 物価変動に対しては、前回の入札同様、スライド条項を設け対応するが、今回は物価スライドの計算基準日を改めたい。
 前回の入札では、計算基準日を契約日としており、入札公告日から契約日までの物価変動分については物価スライドが適用されないものであった。
 一方、本年6月には内閣府がPFIのガイドラインを改定し、その中で物価変動をより的確に反映するため、計算基準日を契約締結日のほか入札公告日とすることが考えられる旨が示された。
 このことから、計算基準日について、これまでの契約の締結日から入札公告日に前倒し、入札公告日から契約日までの物価変動にも対応していきたい。
【委員】
 物価スライドの計算基準日を改めることで対応していくとのことであるが、これは県でやってもらわなければならないことだと思う。
 消防学校の整備について、バリューフォーマネーは約5パーセントであり、県が直接実施する場合に比べて約8億円の県の財政負担の軽減が見込まれるとのことだが、コスト削減効果は、前回の入札時と比べてどのように変わったのか。
【理事者】
 前回の入札時でもバリューフォーマネーを約5パーセントと見込んでおり、今回は同率の削減効果を見込んでいる。
【委員】
 前回と同率の削減効果が、BTO方式とBTコンセッション方式ではほぼ変わらないことは、BTコンセッション方式には利があったとはいえないと思う。削減効果が約5パーセントとのことだが、この数字は他の事例と比べて、高いか低いか、どのような判断をしているのか伺う。
【理事者】
 本件と同じBTO方式により整備・運営を行う施設と比較すると、環境調査センター・衛生研究所整備事業では、契約額ベースで7.1パーセント、警察運転免許試験場整備等事業では同じく契約額ベースで6.2パーセント、豊川浄化センター汚泥処理施設等整備・運営事業では契約額ベースで4.3パーセントであった。
 本件の約5パーセントという数字は中庸であり、仮に予算よりも低い額で契約ができた場合、さらに削減効果は上がると見込んでいる。
【委員】
 費用削減効果が約5パーセントというのは平均的な数値であると理解した。
 今後の消防学校の整備スケジュールを伺う。
【理事者】
 令和6年12月定例議会の議決を経た後、来年1月には実施方針を公表する。2月には、これまで行ってきたマーケットサウンディング等の結果を踏まえた要求水準書を示し、入札公告を行う。
 その後、9月に落札者の決定及び公表、議会での議決を経て、12月には事業者と契約締結ができるよう進めていく。その後、約3年をかけて設計・建設を行い、2028年度内の完成を目指す。なお、施設の維持管理・運営期間は2029年度から2048年度までの20年間である。
【委員】
 大規模災害はいつ起こるか分からない。全体の整備も含め、基幹的広域防災拠点を一日でも早く整備できるよう、スライド条項、契約の計算基準日も含めて適切に進めてもらうとともに必ずスケジュールどおりに整備を進めてほしい。
【委員】
 消防学校は消防職員や消防団員の教育訓練に資する、県民の安全な暮らしのために大切な施設だと認識している。本県の現在の消防学校は設置が昭和39年、建物としては昭和52年に整備されているため47年経過しており、名古屋市は、昭和27年に開校し、現在の場所では昭和43年8月から約56年、改修、補修はされていると思うが、公共施設としては更新時期を迎えていることは把握していると思う。
 今回整備する消防学校の特徴は何か。

愛知県基幹的広域防災拠点(第1期:消防学校)の画像
愛知県基幹的広域防災拠点(第1期:消防学校)

【理事者】
 今回整備する消防学校は、県と名古屋市が共同設置するもので、県と政令市による共同設置は全国初の取組である。これにより、全県一貫した教育訓練を実施し、大屋根を設置し雨天でも利用できる救助訓練棟のほか、可動式模擬家屋を用いた街区消火訓練場や、実火災を再現し、高度な消火技術を練成できる複合訓練施設等を整備し、実践的な訓練を行うことで県内消防のレベルアップを進めたい。
 また、地域防災力の要である消防団の教育も行い、地域防災力の充実・強化を進めていく。
【委員】
 都道府県と政令指定都市の一本化は既に実施されており、大阪市、京都市で行われていると認識しているが、今回の共同設置は全国初の取組ということである。
 そこで、共同設置の制度内容と効果を伺う。
【理事者】
 共同設置とは、地方自治法第252条の7に定める、機関等の共同設置のことであり、複数の地方公共団体が行政機関、内部組織などを共同で設置するものである。県内では岡崎市と幸田町が消防指令業務に係る事務を処理する内部組織を共同で設置し、岡崎幸田消防指令センターとして運用している事例がある。
 今回、名古屋市と消防学校を共同設置することにより、名古屋市とその他の消防本部の職員が統一した基本の知識・技術を習得し、同じ資機材を使用して訓練することにより、県内全体のレベルアップはもとより、部隊の連携における意思疎通を迅速化して、災害対応力を強化できると考えている。
【委員】
 県内統一した基本知識や技術のレベルアップは非常に必要なことだと思う。また、共同設置はどちらかに偏らず、県も名古屋市も両方で責任を持って行えるのは良い方式だと思う。参考資料で示された消防学校の図面を見ると、素晴らしい施設になるのだろうと思う。そこで伺うが、消防学校の施設を十分に活用するため、その中で行われるカリキュラムが重要だが、その調整は進んでいるのか。
【理事者】
 名古屋市と共同設置する消防学校における教育、訓練カリキュラムについて、これまでも名古屋市をはじめ県内消防本部とも意見交換を行ってきた。
 今年度から、新たに県と名古屋市でカリキュラム検討ワーキンググループを設置し、カリキュラムの検討を行っている。教育訓練の質をより一層高め、消防力のさらなるレベルアップが図られるよう、しっかりと検討していく。
【委員】
 これまでの共同設置に向けた協議に加え、今回はバージョンアップしたワーキンググループで検討を行うということであった。共同設置のメリットを高めるために必要なことであるため、今後も進めてほしい。
 今回整備する消防学校は、名古屋市と愛知県の共同設置であるが、名古屋市の費用負担についての考え方を伺う。
【理事者】
 共同設置する消防学校の設計・建設費及び維持管理費は、2022年9月に名古屋市と基本協定書を締結し、応分の負担をしてもらう取決めをした。名古屋市の負担分の考え方については、平時に県と市がともに利用する消防学校の施設について、受入れ定員の割合や消防職員の割合に応じて算定する。
【委員】
 応分の負担を求めるということだが、現時点で名古屋市の負担額の見込みを伺う。
【理事者】
 名古屋市に負担を求めるのは、契約を締結して以降、事業費が固まってからであり、現時点では負担金額は確定していない。仮に今回の補正予算額の積算をベースに負担割合を当てはめた場合、負担金額は約25億円程度となる。
 ただし、実際の負担額については、事業者が契約の際に積算してきた施設ごとの事業費によっても変わり、また、年々の受入れ定員の割合などによっても変動するものである。
【委員】
 確定していないということで、積算ベースで当てはめた場合との答弁で、名古屋市負担金は25億円ということだが、施設ごとの負担割合はどのように決めているのか。
【理事者】
 整備する施設・設備のうち、県事業に利用する教育棟や、防災拠点としての必要性から整備する自家発電設備などを除くものについて、名古屋市に応分の負担を求めるものである。主な考え方として、まず、各施設・設備について平時の消防学校としてのみ利用するものか、平時に消防学校、災害時には防災拠点として利用するものかに分類する。
 名古屋市には消防学校としての負担を求めるものであるため、平時の消防学校としてのみ利用する施設・設備については、その事業費の100パーセントを案分の対象としている。災害時に防災拠点としても利用する施設については、事業費の半分の50パーセントを案分の対象としている。
 その上で、主に初任科生が利用する宿泊棟や管理教育棟については、寮の定員割合によって案分する。
 その他の訓練施設については、名古屋市と名古屋市以外の県内消防本部の消防吏員の数によって案分する。
【委員】
 例えば、各施設の負担割合はどのようになるのか。
【理事者】
 平時、災害時共に使用する管理教育棟、宿泊棟については、平時には主に初任科生が利用するものであるため、名古屋市の寮の定員割合の37.14パーセントに50パーセントを掛け合わせた約19パーセントが名古屋市の負担割合となる。
 一方、平時のみ利用する複合訓練施設や街区消火訓練場については、名古屋市の消防吏員の割合である約29パーセントがそのまま名古屋市の負担割合となる。
【委員】
 予算の積算ベースで名古屋市の負担額が約25億円とのことだが、事業全体ではどのような財源を見込んでいるのか。
【理事者】
 全体事業費約163億円の財源内訳について、約130億円を県債、約25億円を名古屋市からの負担金、約8億円を一般財源で見込んでいる。県債については、その時点で最も有利なメニューを選択していく。
【委員】
 県債は最も有利なメニューを選択するとのことだが、現時点で何を見込んでいるのか。
【理事者】
 約130億円の県債のうち、約65億円を緊急防災・減災事業債、残りの65億円を一般事業債で見込んでいる。緊急防災・減災事業債については2025年度までの制度となっており、後継の制度の取扱いは今後定まるため、その中で最も有利なメニューを選択していく。
【委員】
 約130億円の県債のうち約65億円を緊急防災・減災事業債で見込んでいるとのことであった。緊急防災・減災事業債は東日本大震災を受け、制定されたものであるが、期限の延長を経て、現在に至る。国の動向等もしっかりと見極め、その時々の一番有利な方法を考えてほしい。
 また、名古屋市の負担分についても、高いか安いかではなく、県は県の支出として県民の理解を得られるような形で進め、名古屋市からも理解してもらえるよう、しっかりと取決めをし、共同設置してよかったと思われるものを造り上げてもらうよう要望する。
【委員】
 事業期間、令和7年度から令和30年度まで、限度額が163億5,305万6,000円、契約期間中の物価の変動による影響額を加算して算出した額とのことだが、この限度額は固定ではないという理解でよいか。
【理事者】
 物価に変動があった場合、限度額が増加、減少することはあり得る。
【委員】
 この限度額に対し、今までは債務負担行為の増減について議決を経てきたわけだが、限度額が動いてしまった場合、どの時期に変動についての説明があるのか。
【理事者】
 状況により様々であるため、具体的な時期について明言できないが、債務負担行為の場合は、実際に支出する場合に毎年度実予算化し、毎回、当初予算を審議するため、まずその段階で明らかであれば説明する。また、状況、必要に応じ、その都度議会の場に限らず、必要な説明をしていく。
【委員】
 愛知県基幹的広域防災拠点の整備方針が一括発注から分離発注に変わり、第1期の消防学校の整備が約163億円ということであるが、全体が見えなければならないと思う。そこで、第2期の防災公園や県の直営で整備する事業費を合わせて総額は幾らか。
【理事者】
 昨年度の6月補正予算時点では、総事業費は約350億円と見込んでいた。
 今後、第2期の防災公園の予算額を積算していくため、その時点で総事業費について整理する。
【委員】
 債務負担行為の制度自体が、総額が上限だと理解しているが、他の事業も改めて積算していくと、かなり総額が増加していくと予想されるため、早めに我々にも情報提供してもらい、議論する場が欲しい。
 消防学校の整備費の財源について、委員の質問における説明が防災拠点推進室長からあった。例えば年度途中から始めれば、起債は上限90パーセント借りることができると理解しているが、年度当初から始めると70パーセント充当するような制度などがあるため、一番有利な方法を選択すべきである。特に債務負担行為であるため、財源の一番有利な考え方を伺う。
【理事者】
 現在は緊急防災・減災事業債での充当を考えているが、後継の制度が定まっていないため、そうした情報をしっかり入手しつつ、情報を総合的に勘案し、最も有利な時期、方法で対処していく。
【委員】
 県債と一般財源という説明であったが、他に補助の対象となるのか。場合によっては補助金等を充当できないのか。名古屋市と共同設置で整備を進めるが、国庫補助が得られるような取組を研究・調査したことはあるか。
【理事者】
 補助金等を使うことができる財源は常に国庫補助等を調査している。また、毎年度国に対し、当初予算に係る要請を行っており、事業の内容を説明し、新たな補助メニューの創設を求める要望を毎年実施している。
【委員】
 消防学校は防災拠点となる施設であるため、そのような取組をしっかり行ってほしい。
 名古屋市の費用負担について、初任科生の定員割合での案分を考えているとのことだが、消防学校では、初任科の学生以外にも救急科、救助科、警防科などの専科、専門の課程がある。それぞれ入校者数も変化すると思うが、それを考慮し、初任科生の入校者数のみで案分するのか、それとも各課程の合計人数で考えるのかどちらか。
【理事者】
 宿泊棟については、愛知県と名古屋市の初任科の定員の割合で考えている。その他の施設は、県内各消防と、名古屋市の消防吏員の割合で定めている。
【委員】
 その時々により入校者数は変動するため、負担割合を定めるのが非常に難しいことだと理解している。
 今後、長期契約になるため、維持管理負担分についても名古屋市に負担してもらうわけだが、そこも踏まえ、長期的な財政負担を試算していると思う。改めて、名古屋市との負担割合の考え方について伺う。
【理事者】
 名古屋市との負担割合については、名古屋市と覚書を締結したため、現状はこの割合で事業を進めていく。
【委員】
 その年の消防吏員数を考慮すると、入校者数で負担割合を設定すると影響が大きいと思い、質問した。
 愛知県の現在の消防学校には、防災教育のための防災教育センターが併設されている。県民に地震の揺れや火災の煙を体験してもらうなど、体験型の啓発施設がある。名古屋市にも同様の施設として名古屋市港防災センターがあり、豊田市消防本部にも同様の施設がある。
 防災について県民に正しく学んでもらう施設は必要であると考えるが、新たに整備する消防学校では、啓発施設についてどのように考えているのか。
【理事者】
 県の消防学校に併設されている防災教育センターに代わり、防災・減災の普及・啓発及び人材育成を担う施設として教育棟を整備する。展示物等については、事業者から積極的な提案を求め、県と協議し、検討していく。
 整備後については、県職員が常駐し、防災啓発、防災ビジネス支援の拠点として運営し、防災フェスタ等の県民参加型の防災イベントを定期的に実施することや、小中学生などを対象とした防災普及啓発などを実施していく。
【委員】
 教育棟の機能として、現行の防災教育センターのようなものがあるのか。
【理事者】
 機能はある。
【委員】
 まだ事業の詳細の詰めが甘い部分があると思う。県職員、消防職員、県民にとって、良い施設を建設してもらうことを要望する。
【委員】
 愛知県基幹的広域防災拠点について、次は不調・不落にならないために、マーケットサウンディングを実施してきたと思う。マーケットサウンディングの結果を要求水準書に反映していくことになると思うが、不調・不落を防いでいくとともに、要求水準書でしっかり担保してほしい内容がある。
 例えば、消防学校について、県内の消防力を高め、消防職員等を対象とした消防教育及び実践的な訓練を実施するため、複雑多様化する災害に対応した訓練が可能な施設とすることなど、議会の意見もしっかりと踏まえた上で要求水準書を策定してもらった。これに変化があってはならない。
 そこで、マーケットサウンディングの結果を踏まえ、要求水準書を今後どのように策定していくか、県の考え方を伺う。
【理事者】
 要求水準書については、マーケットサウンディングの結果を踏まえ、現在さらなる明確化に向けた作業を進めている。
 例えば、複合訓練施設では実火災を再現し、高度な消火技術を錬成する訓練を実施するが、実際に木材等を燃やして訓練を行うため、発生した煙の無害化処理等が必要となる。これまでは要求水準書上、排煙除去可能とすることと記載していたが、詳細は事業者の提案を求めた上で、設計時に協議することを考えていた。今回の入札では、このように必要となる排煙装置についてあらかじめ性能を明記することを考えている。
 このように、民間の創意工夫を阻害しない範囲内で、求める性能をあらかじめ要求水準書に明記することも考えている。また、これまで議会から意見をもらった点等も要求水準書に反映していきたい。
【委員】
 次に不調・不落が発生しないために、マーケットサウンディングの結果を要求水準書にどのように反映していくかが、まだ明確ではない。
 これまでに2回入札を失敗しており、3回目はないと考えている。3回目の不落・不調を防ぐため、どのような工夫をしていくのか。
 また、仮に、3度目の不調・不落があった場合、PFI手法の見直しも県の考えとしてあるのか。
【理事者】
 昨年度末の入札不落を受け、幅広くヒアリングを行い、事業者の幅広い参加と、競争性を確保する観点から、事業手法、事業単位を見直すとともに、必要な設計・建設の期間を確保することなどに配慮しながら、事業計画を立案し、補正予算を今回提出した。
 今後、補正予算に基づいて入札手続を進める際は、まず、要求水準書について、可能な限り県と事業者の役割分担や仕様の内容を明確化することにより、民間の知恵やノウハウを生かす余地は残しつつ、事業者がリスクを減じることができるよう整理していく。
 これに加え、将来の物価変動に対応するため、内閣府のガイドラインの改訂も踏まえ、物価変動に伴うスライド条項、その契約金額の変更の計算基準日について、これまで契約締結日としていたものを、入札公告日に前倒すことにより、入札公告日から契約日までの変化も捕捉ができるようにするなど、工夫をしながら措置していく。そうした必要な措置を講じながら、基幹的広域防災拠点の早期整備に向けてしっかりと取り組んでいく。
 事業手法の見直しについて、もし仮に不調・不落となった場合は、今回同様、市況等を一から調査し直し、事業の推進手法も含めて考えていくことになる。

一般質問

【委員】
 本年11月30日から12月7日までの8日間、県内各地で5件の住宅火災が相次ぎ、8人が亡くなった。
 住宅火災による死者を低減する目的で、平成20年6月までに、県内の市町村、消防一部事務組合、消防広域連合の火災予防条例において、住宅用火災警報器の設置が義務化された。
 そこで、今回の5件の住宅火災において、住宅用火災警報器の設置の有無及び火災の原因を伺う。
【理事者】
 火災の原因等については現在調査中だが、住宅用火災警報器の設置の有無について、管轄の消防本部に聞き取りを行ったところ、5件のうち2件については、住宅用火災警報器が設置され、警報音も鳴っていたことが確認できている。うち1件については、住宅用火災警報器の音に気づいて住人が1人避難したことも判明している。残る3件については、現時点で調査中との回答であった。
【委員】
 住宅用火災警報器の設置の義務化から年数が経過していると思うが、県内における住宅用火災警報器の設置率を伺う。また、交換目安を経過した住宅火災警報器の割合や電池切れなど、有効に作動していない住宅用火災警報器の割合といった、住宅用火災警報器の現状について伺う。
【理事者】
 総務省消防庁が全国の消防本部を通じ、昨年度から今年度にかけて調査員による訪問、電話、電子メール等による抽出調査を実施している。
 その調査結果では、本県の住宅用火災警報器の設置率は85.2パーセントであり、全国の設置率84.5パーセントを上回り全国15位となっている。
 また、設置から10年を経過したものが30パーセント、電池切れや故障している割合は2.5パーセントである。
【委員】
 総務省消防庁が全国の消防本部を通じて確認しているとのことであるため、引き続き本県としても注視してもらいたい。
 住宅用火災警報器を設置することで、火災により早く気づき、初期消火や早期の避難ができる、逃げ遅れによる死者を減らすことが目的であり、住宅火災の対策として、非常に効果的である。住宅用火災警報器の設置率は85パーセントであるが、設置していても3割が10年以上経過している。電池交換や住宅用火災警報器の更新の呼びかけや、住宅用火災警報器が未設置の住人に設置を促す必要があると考えるが、県として今後どのように取り組むのか。
【理事者】
 住宅用火災警報器の設置、設置から10年が交換の目安であること、故障がないか、電池が切れていないか等について、定期的に作動確認が必要であることを県ホームページ、大型の商業施設におけるポスター掲示やチラシの配布により、広く広報啓発を行っている。
 これに加え、愛知県消防連合フェア、あいち防災フェスタ等、各種防災関連イベントでの啓発、消防本部が開催しているイベントに県も参加するとともに、愛知県社会福祉協議会が開催する講座の中で、高齢者向けの住宅用火災警報器の説明を行い、チラシを配布するなど、防災・消防関係に限らずあらゆる機会を捉え、積極的に啓発に取り組んでいる。
 また、各消防本部における住宅用火災警報器の普及に関する取組等について、毎年度調査を行っており、その結果を各消防本部と共有している。今後も様々な機会を捉え、住宅用火災警報器の設置や交換について積極的に県民に呼びかけていく。
【委員】
 住宅用火災警報器は火災予防条例で義務化されているため、100パーセント設置するように、消防と協力して取り組んでほしい。
 住宅用火災警報器は火災に対してのみであるが、震災対策として家具固定や、通電火災を防ぐ感震ブレーカーの取組にも一層取り組んでもらいたい。
 特に高齢者は耳が遠いなどの事情もあるため、一斉鳴動したり光が発したりするなど、様々な住宅用火災警報器があるため、適切な住宅用火災警報器の設置を促してもらうよう要望する。
【委員】
 被災地でのスターリンクの活用について、本県では、南海トラフ地震及びこれに伴う津波を想定し、国・県・市及び防災関係機関と地域の自主防災会等が連携し、津波からの避難行動、被災者の救出、救助、広域的な避難などに取り組み、地域防災力の強化、県民の防災意識の向上を図る津波・地震防災訓練を2011年度から実施している。
 本年11月17日、愛西市立佐屋中学校をメイン会場として訓練が行われた。
 本委員会では、令和6年9月定例議会にて、委員より被災地での通信手段としてスターリンク導入について質問があり、今回の津波・地震防災訓練において、その活用を通じて検証する旨の答弁があったが、本年11月17日に愛西市で実施した津波・地震防災訓練において、どのように訓練で活用したのか伺う。
【理事者】
 津波・地震防災訓練では、4か所の会場に可搬型のスターリンクを設置し、非常用発電機を用い、機器の立ち上げから通信の確立、機器の撤去までの一連の動きの中で、機器の操作性や通信の安定性を検証した。
 訓練検証項目は、県災害対策本部と各拠点の連絡調整、防災関係機関との情報共有、インターネット回線を利用した通話や通信の3項目を実施した。
 連絡調整や情報共有では、グループ通話や各拠点のウェブカメラを通じた状況把握、国土交通省防災ヘリコプターが上空から撮影した映像を共有した。
 また、インターネット回線の利用は、スマートフォンからLINE通話やメール送信を実施した。
【委員】
 その訓練には私も参加したが、来場者のスマートフォンを用い、スターリンクを利用して情報を入手する体験を実施していた。
 当日、現場にあった機器1台分で128人が同時に利用できるという説明があり、その便利さに驚いたが、スターリンクを訓練で活用した結果、どのような効果があったのか。
【理事者】
 各会場において、機器の設置から撤去まで円滑に実施ができ、大型ヘリコプターからのダウンウォッシュの影響もないことを確認できた。
 連絡調整や情報共有の面では、グループ通話により、被災者を輸送する大型ヘリコプターや、バスの発着のタイミングなどを各拠点同時にリアルタイムで情報共有できたことから、各拠点での被災者の受入れなどを円滑に実施できた。
 こうしたことから、スターリンクが災害対応を円滑に進める上で、既存の無線回線などの代替手段になり得ることが実地に確認できた。
 本年11月11日に公表した、あいち防災アクションプランの素案にも、県庁各方面本部、各拠点におけるスターリンクなどの衛星インターネット設備の整備を推進していくことを盛り込んでいる。来年3月の策定を予定しているあいち防災アクションプランには、その旨を位置づけ、災害現場等での通信の安定や連絡手段の多重化に取り組んでいく。
【委員】
 要望だが、本年2月に石川県穴水町の避難所でボランティア活動を行ってきた。発災当初は、穴水町では震度6強の地震で多くの建物の倒壊があり、人的被害が多く発生し、警察車両、自衛隊車両、消防車両、DMATなど、救助活動に取り組む各機関の車両やヘリなどが現地にて活動した。
 災害現場では、平時は連絡を取り合わない機関同士の正確な情報共有があり、助かる命を一人でも増やすことができることを実感した。
 また、9月の豪雨災害など、刻々と変わる災害現場の状況の正確な把握と、災害現場と対策本部との情報の共有が極めて大切だと思う。
 県には、まず、県庁各方面本部、各拠点における連絡手段の多重化のための衛星インターネット設備の整備に尽力してほしい。
 次に、日本カーシェアリング協会の支援活動について伺う。
 能登半島地震の被災地では、日本カーシェアリング協会はこれまで最大規模の支援を行っており、間もなく1年が経過しようとしている今なお、車の貸出しの要請があると聞いている。被災者にとって、毎日の暮らしに必要な買物や、自宅の災害ごみの片づけなどのため、移動の足が欠かせないものとなっている。
 日本カーシェアリング協会との協定に関して、本年9月定例議会におけるあいち民主県議団の阿部洋祐議員の質問に対し、防災安全局長からは、被災者の手元に速やかに車を届けるため、発災後できるだけ早期に日本カーシェアリング協会が車を貸し出すための拠点を開設することが必要であり、県では各市町村に対し、貸出拠点の候補地に関する調査を実施しているとの答弁があった。
 そのように、発災後、速やかに支援活動を始められるよう、平常時から支援体制を整えておくことは重要であると思う。
 能登半島地震では、広い範囲で被災者への車の貸出しが行われており、南海トラフ地震で広域に被害が及ぶと想定される本県にとっても、支援を受け入れるための参考事例になると考えられる。
 そこで、能登半島における日本カーシェアリング協会の支援活動の実績と、併せて車の貸出拠点は何か所か、どのような場所に設置されているのか伺う。
【理事者】
 本年11月末時点で523台の車を活用し、合計4,776件の貸出実績がある。このうち210件は、9月下旬の能登半島豪雨で被災した人への貸出しと聞いている。
 また、車の貸出拠点については、輪島市、珠洲市など、被害が甚大であった奥能登を中心に、1月から4月にかけて7市町9か所に設置されている。その後、貸出しのニーズの減少に伴い、2か所は既に終了しており、現在7か所の拠点で引き続き貸出しを行っている。これらの貸出拠点は、市町の多目的ホール、福祉施設、観光拠点施設などを活用して設置、運営されている。
【委員】
 本県でも災害時には被災状況や地域を考慮し、車の貸出拠点を設置することになる。
 日本カーシェアリング協会の吉澤武彦代表によると、本県が本年9月に実施した貸出拠点の候補地調査は、全国初の取組と聞いている。能登半島でも場所の確保が難航し、拠点の設置に時間を要したため、平時から候補地をリスト化しておくことは有効だと考える。
 そこで、市町村の貸出拠点の候補地調査の結果と、それを今後どのように活用していくのか伺う。
【理事者】
 市町村からは、庁舎や公営施設の駐車場など、現時点で85か所の具体的な場所の回答があったほか、被災状況などを踏まえてオープンスペースから選定すると回答した市もある。市町村が貸出拠点の候補地について最新の情報を把握しておくことで、発災時の速やかな支援の受入れにつながることから、今後も継続して調査を行う。
 また、候補地のリストについて、災害復旧用の資材置場や災害廃棄物の仮置場など、重複することが想定される他の用途についての情報をリストに追加するなど、被害や応急対策の状況に応じて適切に貸出拠点を選定できるように工夫を加えていく。
【委員】
 今後とも県内自治体と協議を続けてもらい、日本カーシェアリング協会との協定の実効性を高め、貸出拠点の確保に尽力してほしい。
【委員】
 被災地の避難所の環境について、能登半島の被災地においても、いまだ雑魚寝をしている状況が続いていると聞いている。
 そのような中で、スフィア基準というものをよく聞くが、このような基準をどう取り入れ、どのようなものを準備していくのか。避難所の環境整備について、日本はまだ遅れていると思う。台湾などは災害が起きた際には物はスピード感をもってベッド等の環境整備が行われていると聞いている。
 避難所の収容人数にも限りがあり、地域の人が全員避難することはできないと思うが、どのような人が避難所に避難することを想定しているか。
【理事者】
 自宅の建物が大きな被害を受ける、断水が続いているなどの理由により、自宅で生活することが困難であるという被災者が避難所に避難することを想定している。
 なお、市町村ごとの具体的な避難者の数は、愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査報告書で示している。また、各避難所の収容人数については、各市町村が地域防災計画で示している。
【委員】
 答弁自体はそのとおりであると思うが、いざとなるとうまくいかないこともあるため、防災訓練等、地域としっかり連携をとる必要があると思う。
 その上で、避難が必要な被災者に、避難の呼びかけを行うことが必要だが、どのような方法で伝達するのか。
【理事者】
 市町村において、防災行政無線や緊急速報メール、SNSなどを用いて住民等へ情報を伝達し、避難を呼びかけている。
 市町村では様々な場所に居住、滞在している住民や観光客等に対して、避難の指示や避難所開設の情報が早急、確実に伝わるよう、伝達手段の多重化、多様化を図っている。
 県としても、愛知県防災ウェブを開設し、県民に避難所等を提供しているほか、市町村が実施する防災ラジオの購入、防災行政無線を屋内で聞くための受信機の設置など、住民への情報伝達手段の整備に対して、県の南海トラフ地震等対策事業費補助金で支援している。
【委員】
 県は指導する立場で、現場の市町村がしっかりと呼びかけを行う必要がある。自分自身も北海道で災害が発生し、避難した経験があるが、翌日には避難したホテルから出て行ってほしいと言われ、市役所から誘導された寝る場には食料も毛布もない状況だった。避難誘導の際のリーダーとなる人がしっかりと誘導できなければ、幾ら想定していてもそのとおりに進めることは難しい。
 ただ単に、お金を出す、物を渡すだけでは済まないため、想定をしながら進めなければ、いざというときに機能しなくなると感じた。実際に市町村としっかりと議論して備えてもらいたい。
 その上で、スフィア基準はどのような基準か。
【理事者】
 スフィア基準は、かつてアフリカのルワンダの難民キャンプで、劣悪な環境で多くの人が亡くなった反省から、国際赤十字、NGOなどを中心に立ち上げられたスフィアプロジェクトにより、災害や紛争の影響を受けた人々が、尊厳のある生活を営むために必要な最低の基準として、1997年に作られた。
 スフィア基準は、元来難民キャンプの生活環境について示されたものだが、トイレの衛生、1人当たりの居住スペースなど、災害時の避難所に適用できる基準も一部含まれている。このうち、避難所における避難者1人当たりの居住スペースは最低3.5平方メートルとされている。トイレについては、発災初期の段階では50人に1基、さらに避難が長期化する段階では20人に1基のトイレが必要で、また女性用と男性用のトイレの割合は3対1とすることが示されている。
【委員】
 基準は設けられているが、なかなかそのようにはいかない。実際、能登半島地震でも基準どおりになっていない。
 市町村において、避難所のスペースを作る上で基準がマニュアルで決められていると思うが、段ボールベッドやテント、トイレを含め、購入してどこかに置いてあるのか。県が予算を出して購入しているのか。
【理事者】
 最近の大規模災害の反省を踏まえ、各市町村でも備蓄が進められている。また、県においても、物資を取り扱う事業者と災害協定を結んでおり、災害時にそれらの業者からの調達を計画することと併せて避難所の環境を確保していく。
【委員】
 大事なトイレについてはどうか。
【理事者】
 トイレについて、市町村、県において備蓄している。また、それを補えるよう、協定事業者と協定を締結し、調達できる体制を整えている。併せて、大規模災害時には、国からのプッシュ型として被災地にトイレを供給するなどして必要なトイレ数を確保していく。
【委員】
 南海トラフ地震等対策事業費補助金があるため、有効に活用してほしいと思うが、南海トラフ地震対策事業費補助金について、市町村とどのように話合いをしているか。
【理事者】
 南海トラフ地震等対策事業費補助金では、避難所に設置するトイレや段ボールベッド、パーテーションなどを市町村が調達し、活用できる。今年度も、トイレカーを含め、避難所で活用するそれらの物資を調達してもらい事業を進めているが、今後も財源を有効に活用してもらえるよう、機会を捉えて財源制度の説明会を行うなど、市町村の取組を支援していきたい。
【委員】
 県がお金を出すだけではなく、市町村が十分に取り組めていない場合は、しっかりと議論、チェックし、指導する、人を派遣するなどして備えるとともに、民間の力を借りられるような体制を作ることが肝腎である。     

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