本文
総務企画委員会審査状況(令和6年12月13日)
総務企画委員会
委員会
日時 令和6年12月13日(金曜日) 午後0時59分~
会場 第8委員会室
出席者
今井隆喜、日高 章 正副委員長
水野富夫、高桑敏直、辻 秀樹、杉江繁樹、杉浦正和、富田昭雄、
日比たけまさ、福田喜夫、島 孝則、木藤俊郎 各委員
政策企画局長、企画調整部長、国際監、ジブリパーク推進監、
総務局長、デジタル戦略監、総務部長、財務部長兼財政課長、
人事局長、人事管理監兼人事課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、監査委員事務局長、同次長、
人事委員会事務局長、同次長兼職員課長、議会事務局長、同次長、
関係各課長等
委員会審査風景
付託案件等
議案
第183号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第6号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳入
歳出
第2款 総務企画費の内
第2項 総務管理費
第3条(債務負担行為の補正)の内
知多総合庁舎・知多福祉相談センター集約化整備工事
第4条(県債の補正)
第185号 愛知県事務処理特例条例の一部改正について
第186号 愛知県手数料条例の一部改正について
第228号 当せん金付証票の発売額について
結果
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第183号、第185号、第186号及び第228号
請願
第 64 号 「『消費税5%引き下げを求める意見書』採択を求める」について
第 65 号 「『インボイス制度廃止を求める意見書』採択を求める」について
結果
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第64号及び第65号
閉会中継続調査申出案件
- 行財政について
- 国際交流の推進について
- 地域振興について
- 地域及び県行政の情報化の推進について
- 防災対策及び安全なまちづくりの推進について
- 政策企画局、総務局、人事局、防災安全局、会計局、選挙管理委員会、監査委員及び人事委員会の行政運営について
会議の概要
- 開会
- 議案審査(4件)
(1)理事者の説明
(2)質疑
(3)採決 - 請願審査(2件)
- 委員長報告の決定
- 一般質問
- 閉会中継続調査申出案件の決定
- 閉会
主な質疑
議案関係
【委員】
知多総合庁舎及び知多福祉相談センターは、知多半島に住む県民にとって重要な施設であると考えているが、知多総合庁舎・知多福祉相談センター集約化整備事業の概要を伺う。
【理事者】
知多総合庁舎は、1968年度に建築され、老朽化が進んでおり、2018年度に実施した長寿命化改修基本調査では、長寿命化対策を実施しても20年以内に建て替えが必要となることが判明した。
また、知多総合庁舎の近隣にある知多福祉相談センターは、従来から狭隘化が課題となっている中、国が策定した新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づき、児童福祉司や児童心理士の増員が計画されていた。これらの課題に対応するため、知多総合庁舎の敷地内に両庁舎を集約した新庁舎を整備することとした。
具体的には、現在の知多総合庁舎の南側の駐車場に新庁舎を鉄筋コンクリート造4階建てで整備し、その後、現庁舎を取壊し、駐車場とする計画となっている。
【委員】
昭和43年度に建築されたということで、約56年が経過し、更新が必要であると、私も同様に捉えている。
12月補正予算の内容はどのようなものか、また、補正予算を踏まえた新庁舎建築工事に係る事業費は幾らか。
【理事者】
知多総合庁舎敷地内での新庁舎建築工事において土壌汚染が判明したため、本年8月下旬から汚染土壌の掘削除去工事を実施してきた。このたび、汚染土壌掘削除去工事が終了したことから、その結果を踏まえて、12月議会に補正予算案を提出した。
また、本年8月19日に新庁舎建築工事請負業者から、労務費の高騰等による愛知県公共工事請負契約約款第26条第6項に基づく、インフレスライド請求が提出されたため、スライド額についても併せて補正する。
具体的には、土壌汚染調査及び汚染土壌掘削除去工事を実施したことにより、本年度に予定していた新庁舎建築工事を7か月間中断せざるを得ず、本年の工事の出来高が減少したため、今年度当初予算を12億6,479万3,000円減額する。
併せて、来年度に、今年度建築工事を中断した分の出来高の増加及びインフレスライド請求に対応するため、12月補正予算において23億9,046万6,000円の債務負担行為を新たに設定する。
補正予算を踏まえた新庁舎建築工事に係る事業費は、当初契約で32億1,044万5,000円であるが、補正予算を踏まえると33億7,953万7,000円となり、1億6,909万2,000円の増額となる。増額分の内訳としては、土壌汚染対策として1億3,830万6,000円、インフレスライド請求対応分として3,078万6,000円となる。
【委員】
土壌汚染が判明して、8月から土壌汚染の掘削工事で、対策費として1億3,800万円かかったというのは、大きな金額だと思う。またインフレスライドで約3,078万円が増額されたとのことであるが、7か月間工事が中断したことで、スケジュールに大きな遅れが生じている。
まず、土壌汚染が判明したとのことだが、現在、建設工事を行っている付近には、様々な施設がある。隣では半田警察署の新築工事が始まっており、すぐ横には愛知県立半田高等学校を中高一貫校として整備している。南側には有名な飲食店が立地していると思うが、近隣への影響はなかったのか。
【理事者】
新庁舎建築工事計画地において、本年3月下旬に、施工業者が基礎工事の掘削に先立ち、発生土処分のための土壌試験を実施した結果、フッ素及びその化合物が条例に定める土壌溶出基準である1リットルあたり0.8ミリグラムを超過していることが判明した。
それを受けて、汚染土壌のある箇所をシートで覆い、拡散や雨水の浸透等による汚染防止対策をした上で、ボーリング調査等を実施して汚染の状況を確認した。その結果、33区画中18区画、10メートルのメッシュで、33区画のうち18区画でフッ素及びその化合物が、地下2メートルまでの深さで最大1.6倍の基準値を超えているという状況が判明した。この調査結果については、本年8月8日に記者発表した上で、県のホームページでも周知を行った。
また、近隣の影響だが、記者発表から現在まで、周辺の健康被害の情報や報告は寄せられていない。
【委員】
健康被害等の報告は寄せられていないとのことだが、フッ素及びその化合物は、私の住む地域でも、公共施設を建設する際に発生することがあるが、今後広がらないようにモニタリングしてほしい。
また、7か月間工事を中断したとのことだが、整備計画について、供用開始に向けた今後のスケジュールに影響はないのか。
【理事者】
土壌汚染対策工事を実施したため、新庁舎建築工事の工期は7か月程度延長となる見込みである。従来、来年6月20日までであった工期が2026年1月20日までの延長となる見込みである。
新庁舎の供用開始については、当初は来年秋頃を目指していたが、2026年1月20日まで新庁舎建築工事がかかるため、工事完了後、ネットワークの敷設工事や初年度備品の搬入を経た後に、現庁舎から引っ越しを行い、2026年5月頃になる見込みである。
【委員】
工事を中断したことで、供用開始も遅れるとのことである。冒頭に言ったとおり、この施設は知多半島に住む県民にとって重要な施設である。急いでといっても難しいと思うが、これ以上の遅れがないように進捗管理を行うようお願いする。
【委員】
第185号議案愛知県事務処理特例条例の一部改正について伺う。
先ほどの説明にあったとおり、宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく事務などを事務処理の特例として市町村に移譲するといった改正案とのことだが、そもそも事務処理の特例とは地方自治法を根拠とするものであり、都道府県知事の権限に属する事務の一部を都道府県の条例で定めることによって市町村が処理することができる制度である。
この特例制度により、本県においても権限移譲が進められており、移譲されている権限の内容は、今回改正が提案されている分野をはじめ、まちづくり、産業、福祉、健康、教育、環境衛生、生活安全などの幅広い行政分野にわたっている。
そこで、本県における権限移譲の基本的な考え方を伺う。
【理事者】
本県では、住民に身近な行政は、市町村優先の原則に基づき、より住民に身近な地方公共団体である市町村が担うことが望ましい。
市町村への権限移譲を進めるに当たっては、一つ目に、住民の居住地に近い市町村において手続ができることにより住民負担の軽減となるなど、住民サービスの向上につながること、二つ目に、地域の実情に精通している市町村において処理することにより、地域の実態に即した的確な対応が可能となるなど、市町村行政の充実、強化につながることの二点を基本的な考え方としている。
こうした考え方に基づき、市町村と協議を行い、県の事務について市町村が受入れ可能である場合には、事務処理特例条例において新たに規定することにより、権限移譲を進めている。
【委員】
権限移譲について、住民サービスの向上や市町村行政の充実、強化といった点を基本的な考え方としていることは理解できた。
事務処理特例条例による権限移譲は、地方分権一括法の施行とともに開始した制度であると認識しているが、制度導入当初と比べて権限移譲はどの程度進んでいるのか。
【理事者】
事務処理特例条例による権限移譲を開始した2000年度当初の移譲事務数は285であったが、新規移譲や既に移譲されている事務に移譲対象市町村が追加されるなどの理由により年々増加しており、現時点では1,062となっている。
今回提案している、農地中間管理事業の推進に関する法律に基づく事務や、宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく事務を移譲事務に追加することなどにより、条例改正後は1,134となる見込みであり、着実に権限移譲が進んでいると認識している。
【委員】
制度導入当初に比べて移譲事務が増加していることからも、着実に権限移譲が進んでいるとのことである。今後もさらに権限移譲を進めていく観点から、市町村が権限移譲を受けるに当たり、県としてどのような支援を行っているのか。
【理事者】
本県では、現在、市町村が権限移譲の可否を判断する上で必要とする情報を可能な限り提供するよう努めており、市町村ごとの処理実績の提供、移譲事務の内容に関する事前説明会の開催などに取り組んでいる。
また、権限移譲の市町村への働きかけに係る事務を市町村課から県民事務所等へ移管し、各地域において、より身近な視点から助言できるよう、働きかけを進めている。
権限移譲後においても、必要に応じて情報提供や助言などに努めるとともに、権限移譲に伴う市町村職員の人件費など、事務処理に必要な経費について権限移譲交付金による財源措置を行っており、昨年度は名古屋市はじめ54市町村及び2広域連合に対して1億7,446万余円を交付した。加えて、権限移譲を受ける市町村から、必要に応じて実務研修生を受け入れる等により、円滑な事務の引継ぎを支援している。
今後も引き続き住民サービスの向上につながるよう、市町村の実情をしっかりと把握した上で、権限移譲を進めていく。
【委員】
市町村への権限委譲を進めることは、住民にとって身近な窓口での手続が可能となり、市町村にとっても、地域の実情に応じた対応が可能となるなどのメリットがあることから、大変重要であると思う。今後も権限移譲により住民サービスが向上し、市町村行政のさらなる充実、強化につながるよう、引き続き県としてしっかりサポートするよう要望する。
請願関係
なし
一般質問
【委員】
本県の内部統制について伺う。本年11月27日に本県の次期行革大綱素案として、来年度から2029年度までの5年間の計画が公表されている。そこでは、SDGsの達成に貢献する行財政体制の確立を目指していくことなど、新たな局面を加味した目標が掲げられている。
一方で、これまでも公共への信頼や社会秩序を維持するために大切な、法令遵守の取組がさらに重要になると思う。行政の法令違反に関しては、意図的な行為、職員が法令や規則の変更に十分に対応できていないこと、リソース不足、予算や人員不足に直面していること、さらには監視体制の不備により、法令遵守のための必要な手続や監視が行き届かなくなることなど、様々な要因が発生する原因となっている。これらを防ぐためにも、継続的に組織全体で法令遵守の文化を築きながら、教育や監督をしっかりと強化することが重要になる。
これまでも、全国の自治体において、行政職員による不正経理や不適切な契約管理などの事例が取り上げられている。こうした中で、本県では2020年3月に財務に関する事務を対象として、愛知県内部統制基本方針を策定し、業務の効率的かつ効果的な遂行や、業務に関する法令等の遵守などにより、県民に信頼される行政運営を行う。
県庁内の全庁的な情報共有については、異なる部署間での情報共有不足が業務の効率性を低下させてしまうことがあるが、県庁という大規模な組織では、縦割り行政の弊害などから、部門ごとの情報が孤立して、横の連携不足から同じ過ちを招いてしまうことなどが懸念される中、どのように全庁的な情報共有を進めているのか。
【理事者】
財務に関する事務はどの局でも行っている全庁共通の事務であるため、実際に発現したリスクの内容や原因、改善事項を定期的に全庁で情報共有し、適正に業務が執行されるよう取り組むことがリスク発現の未然防止に有効だと考えている。そのため、毎年度人事異動や業務の担当替えが多く行われる4月に、内部統制制度について解説した職員向けリーフレットを全所属に配布し、発現件数の多いリスクの発現理由や改善事項の事例共有を行っている。また、例年内部統制評価報告書を9月に議会へ提出し、10月に全ての局等が参加する内部統制連絡会議を開催して、報告書のフィードバックを行いながら、重大な不備を含め、リスクの発現の傾向やリスクを防ぐためのポイント等を共有している。
【委員】
啓発活動も含めて進めていることについて承知した。
次に、職員の意識高揚も含めた教育について伺う。内部統制の重要性に対する職員の認識が不十分である場合には、内部統制の実行が形だけにとどまり、実質的な効果が得られないと考える。例えば、民間の事例では、不適切な契約を防止するために、システム入力の際に発注者や決裁者等の検定者を必ず二者以上設け、チェックできる体制を整えていると聞く。重大事案において、内部統制の仕組みをつくっても人間の意識を変えなければ、一人が違う人のIDを使い、表面的には二者検定による発注決裁が進んでしまうことから、大変難しい課題であると感じている。
また、リスク管理の観点からも、財務事務におけるリスクを評価した上で管理体制を整えることや、不祥事発生時の対応などについても、職員が定期的にリスク管理に関する研修を受けながら対応能力を高めることが重要になると思う。
県では、定期的なトレーニングや啓発活動を行っていると先ほど紹介してもらったが、改めて内部統制の弱体化を招かないように、研修関係等をどのように進めているのか。
【理事者】
研修については、新規採用時に加え、主査級や課長補佐級昇任時の研修や、所属長研修、班長研修等において、コンプライアンスに関する内容を扱うとともに、財務事務の新任担当者や中級担当者を対象とする財務会計研修、また新任出納員研修等を実施している。
啓発については、先ほど答弁した職員向けリーフレットの全所属配布や内部統制連絡会議の開催をはじめ、公金の管理等を複数の職員が関与して適正に行うという内容を含んだ不祥事防止の手引きや、不祥事防止チェックシートの作成、配布等により、定期的に取り組んでいる。
引き続き、内部統制制度に対する職員の認識やリスクへの対応力を高めることができるよう、人事局や会計局とも連携しながら研修や啓発を進めていく。
【委員】
次に、業務のデジタル化による影響だが、次期行革大綱素案に記載されている、改革の視点の一つに、DXの更なる推進が位置づけられている。デジタル技術の積極的な活用が進められる中で、行政の様々な分野に変革をもたらすことが想定されるが、内部統制に与える影響をどのように考えているか伺う。
【理事者】
次期行革大綱では、AIやRPA、ノーコード・ローコードツール等のデジタル技術によって業務フローを精査した上でさらなる活用を推進し、より多くの業務の効率化に取り組むこととしており、これは本県の内部統制の目的の一つである、業務の効率的かつ効果的な遂行に寄与するものと考えている。
例えば、RPAは財務システムでの公金支払事務にも導入した実績があるが、パソコンを使用して行う入力や集計といった定型業務をソフト型ロボットに自動処理させることで、作業を効率化するだけでなく、入力ミスもなくし、事務リスクを低減できるといった効果が得られている。
また、デジタル技術を活用し、作業時間を短縮することで生まれる時間をチェックする時間に充てることで、リスクの低減が期待できる。デジタル技術の活用は時間外勤務縮減等による働き方改革や、職員が創意工夫を要する業務への注力にもつながるが、内部統制機能を適切に発揮し、事務レベルでの適正なチェック体制を維持する観点からも、一層活用していく必要があると考える。
【委員】
本日の新聞に著作権の話が出ていたが、法令違反を未然に防ぐための予防措置としては、職員教育の強化と併せて、チェック体制が充実して、業務が透明化されるような対策が求められていると思う。また、内部統制に関する意識改革はもちろん、外部監査を積極的に活用することも課題解決の一助になると言われている。行政機関が常に適正な手続と判断を行いながら、県民の利益を最大化することが求められている。今後もデジタル化による効率化と併せて、引き続き内部統制の精度が低下しないよう要望する。
【委員】
東三河県庁の取組について伺う。
本年1月2日から3日にかけて、豊根村の花祭を参観した。議会の有志で訪れたが、地域外からも数多くの参観者がいた。子供からお年寄りまで集落が総出で、大変にぎやかで晴れやかなお祭りであり、参加した全ての人がそれぞれに舞い踊っている姿を見ることができた。
大変貴重でかけがえのない文化遺産だと思うが、こうした伝統ある地域文化の継承は、担い手不足から非常に困難になっており、花祭も開催中止や、日程短縮せざるを得ない地域もあると聞く。東三河地域に限ったことではないが、担い手不足の影響は社会のあらゆるところで顕在化していると思う。
こうした中、本年7月に当委員会の県内調査で、東栄町の交流拠点体験型ゲストハウスdanonと豊根村のチョウザメ養殖場を視察した。いずれの事例も地域固有の資源や環境を上手に活用し、立派な成果を挙げていた。また、そのことに大変勇気づけられた。
東三河全域に目を向けると、地域課題の解決に取り組む人がたくさんいると思うが、一つ例を紹介すると、豊橋市でスイーツの製造販売を通じて障害者の所得向上に取り組む、久遠チョコレートは、モデルとして大変重要であると思う。一つのことに集中して丁寧に長時間取り組める、障害者の個性を生かす作業工程を創出するなど、大都市を中心に全国的なブランディングを展開して利益率を上げるなど、様々な工夫がされている。
東三河地域は、特に県内の他の地域に先行して人口減少が進んでいる。小規模自治体もあるが、地域課題の解決に取り組む人たちも多いと感じている。こうした人たちとしっかりと連携していくことが地域振興には不可欠だと考えるが、東三河県庁ではどのような考え方に基づき取組を進めているのか。
【理事者】
東三河地域は、製造業を中心に産業基盤もしっかりとしており、豊かな自然、歴史、伝統文化や、全国有数の産出額を誇る農業など、魅力の多い地域である。こうした特徴を生かしながら、名古屋市や浜松市といった都市との近接性を生かし、新たな活力を生み出していくことが必要である。
東三河県庁では、その原動力となり得る人材を積極的に地域外から取り込む取組と併せて、働き方や暮らしを通じて地域と積極的に関わる人材を地域の中から新たにつくる取組に力を注いでいる。
【委員】
人材を地域外から、そして地域の中からもつくっていくとのことである。先ほど話した委員会視察では、豊根村及び東栄町に行ったが、豊根村を訪れた際に、チョウザメの説明をしていた人の一人は、本年1月に花祭に参加した際に知り合った青年であった。彼も県外からの移住者であり、地元でチョウザメを養殖しながら、消防団活動に従事し、地域に貢献していると聞く。
このように、地域外から人材を取り込むことは地域活性化において、非常に重要であると考えるが、人材を積極的に地域外から取り込む取組はどのようなことを行っているか。
【理事者】
人材を地域外から取り込む取組としては、関係人口、移住・定住の創出に特に力を入れている。2022年度には、移住ポータルサイトの開設・充実や、東京で開催される移住イベントへの出展などを実施した。昨年度は、移住希望者への伴走支援が重要であると考え、東三河の市町村ごとに移住相談の拠点を立ち上げ、移住希望者への伴走の協力をお願いした。その結果、昨年度の移住相談件数は349人となった。
【委員】
地域外からの人材の取り込みは、相談窓口などを設けて伴走支援しているとのことであり、これも評価するところだと思う。
一方で、働き方や暮らしを通じて地域と積極的に関わる人材を地域の中から新たにつくる取組は、どのようなことを行っているのか。
【理事者】
地域と積極的に関わる人材を地域の中から新たにつくる取組としては、今年度から森林空間を活用してサービス産業を創出する取組を始めている。森林には、木材を供給する以外にも、様々な産業を創出できる可能性がある。東三河県庁では、東三河の森林空間を新たに活用しようとする人だけでなく、既に地域に溶け込んで取組を始めている人にも伴走支援し、PRに協力することで、経営基盤の強化などに取り組んでいる。
【委員】
地域の特性を生かして地域の人材を地域産業振興とともに育成していくことは、非常に面白く、有益な取組だと思う。
地域課題解決に向けては、年齢を問わず様々な人が取り組んでいるが、特に若い人たちの発想や行動力は非常に大きな力となると思う。東三河地域の場合、高校卒業と同時に地域外に出てしまう若者が多い。この点が非常に心配されているが、東三河県庁としてどのように取り組んでいるか。
【理事者】
地域課題の解決に取り組む若い人との連携を推進するための取組について、東三河県庁では大学との連携を進めており、これまでに愛知大学豊橋キャンパス、豊橋技術科学大学、豊橋創造大学、愛知工科大学を運営する電波学園と東三河県庁とで連携協定を締結した。学生に地元企業を知るための説明会に参加してもらう、地元企業の商品開発に意見をもらうなど、様々な場面で連携している。
また、本年7月に協定を締結した電波学園の生徒も、情報処理等の分野で高いスキルを持つ人が多いので、地域のDXの推進などの場面で連携できると思っている。
【委員】
大学との連携は非常に有益だと思う。最近、私も近隣の大学生との交流があるが、彼らが卒業後、地域の課題解決をなりわいとして起業し、取り組む事例を最近よく見かける。どんどん取り組んで、それを支援してほしいと思う。
さて、東三河振興ビジョン2030を改めて読むと、中間見直しを行うことになっている。10年のビジョンで中間見直しだと、5年経過時点となる。見直しについてどのようなスケジュールを考えているか、またどのように進めていくのか。
【理事者】
東三河振興ビジョン2030は、計画期間の中間年度に当たる2026年度に中間見直しを行う。このため、来年度から中間見直しの検討作業に着手し、地域の現状を把握し、適切な目標値を設定するための調査等を行う。
また、8月に開催された東三河ビジョン協議会において、委員から、住民が自分の問題として捉えられるようにすることが重要との意見があったため、見直しに当たっては、大学生をはじめ、地域の様々な意見をしっかり聴いていく。
【委員】
見直しに当たっては、大学生をはじめ、地域の様々な意見をしっかりと聴いていくとある。先ほど話した、県外から東三河地域の大学に来て、その地域で活躍しようとする卒業生や、東三河地域で活躍している若者の声をしっかりと聴いてほしいと思う。
東三河地域も含めて、人口減少にとどまらず、社会が変わっていくスピードは想像を超えていると思う。本年9月定例議会総務企画委員会で質問した生成AIなど、ビジョン策定時には想定していなかった技術も出てきた。見直しのスケジュールを聞いたが、社会が変化するスピードが速い中、実効性のある取組ができるのか、少し心配している。中間見直しの方向性について、どのように捉えているか。
【理事者】
ビジョンの中間見直しという形式にとらわれることなく、不断に取組のローリングを行い、柔軟に対応していくことが求められる。東三河ビジョン協議会では、次に策定する重点プロジェクトのテーマの基本方針を、人口減少下でも地域社会を維持するに決定した。これは、人口減少に歯止めがかからない中、他地域から人を集めるだけでなく、地域の中から意欲ある人を新たにつくり、その人材を応援し、住み続けられる地域にしていこうという理念に基づくものである。
東三河振興ビジョン2030は、七つの柱となる考え方を掲げているが、こうした人材の発掘や育成の視点は、ビジョンの中間見直しに当たっても、これらの柱を横断する横串として核になり得るものと考えている。今後、この基本方針に沿って、東三河全体の現状や課題を共有しながら、人材の発掘や育成を核とした取組を進めていく。
【委員】
本年9月定例議会総務企画委員会で質問した行革大綱の中でも話したように、社会の変化のスピードは本当に速いと思う。それに対して、柔軟に対応、そして変更できる体制を構築して、それを維持してほしいと思う。
また、人口減少は避けられないものと認識する方がよいと思う。もちろん人口減少の要因を解決していくことは非常に大事なことであるが、人口減少下でどのように地域を維持していくのか、持続可能な地域にしていくのかが非常に重要だと思う。そうした地域社会の維持がかなう施策に取り組み、東三河を、人口が減っても地域が維持できる地域となることを期待する。
【委員】
愛知万博20周年記念事業について伺う。
本年2月定例議会一般質問において、昨年度の自由民主党愛知県議員団県土整備促進議員連盟公園部会による県営都市公園の現地調査結果を踏まえて、愛・地球博記念公園には、愛・地球博記念館、旧迎賓館をいかに更新しながら次世代に万博理念の継承を図ることができるかが今後の課題になると指摘した。
さらに、今定例議会の自由民主党の神戸健太郎政調会長による代表質問において、愛知万博20周年記念事業については、愛・地球博記念館の展示内容が開館以来ほとんど変わっていないことから、記念事業期間中、子供たちが訪れても楽しむことができ、愛知万博の理念や成果を分かりやすく学習できるよう、画像や映像を効果的に用いた特別展示の開催を企画していると知事から答弁があった。
現在の愛・地球博記念館は訪れる人が非常に少なく、閑散としており、愛知万博から20年の節目に、答弁にあったような特別展示を開催することは、愛・地球博記念館の現状を改善する上でも非常に重要である。
そこで、今回の特別展示について、今回の特別展示の基本的な方向性、コンセプトに関して県の考え方を伺う。
【理事者】
今回の特別展示では、愛知万博を知らない世代が、愛知万博開催前からジブリパークのある現在までの公園の移り変わりや、愛知万博開催までの歩み、愛知万博における様々な取組と成果を気軽に学べ、記念館全体を1時間程度で観覧できるものにしたい。愛知万博を全く知らない子供たちでも楽しみながら学習できるよう、見せ方を工夫する必要がある。文字による説明はできるだけ短く簡潔にして、当時の画像・映像や、今でも子供に人気のあるモリゾーとキッコロのイラストなどを最大限に活用しながら、各ゾーンに一定のテーマやストーリーを持たせることで明快で分かりやすい展示としたい。
モリゾーとキッコロ
【委員】
コンセプトとして、愛知万博を全く知らない子供たちでも楽しみながら学習できるようにしたいとのことであるが、現在の子供たちに興味を持ってもらい、かつ役立つ内容として、具体的にどういう内容を盛り込んでいくのか。
【理事者】
愛知万博はオオタカの保護と博覧会の実施を同時に実現するために、当初の会場計画を大幅に見直し、会場の自然をできるだけ改変しないよう、環境に配慮した万博であった。また、会場では、トウモロコシを原料とする生分解性プラスチックを用いた食器で食事を提供し、東部丘陵線(リニモ)や電動トラムなどの次世代型新交通システム、障害者の手助けや接客するロボットを実装するなど、最先端技術が地球温暖化や環境問題をはじめとする地球的課題の解決に役立つことを実感できた。
外国のパビリオンでは、展示を見るだけでなく、各国の人々との交流を通じて、自分たちが多様な文化や自然、歴史を持った世界の人々と共に生きていることを実感することができ、また当初目標の2倍となる3万人を超えるボランティアが参加するなど、まさに市民が運営する国際博覧会であった。
そうした様々な取組や成果を、当時の画像や映像を活用しながら子供たちにも分かりやすく説明していきたい。
【委員】
愛知万博を全く知らない子供たちに、記念館の特別展示を訪れてもらうためには、まずは興味、関心を持ってもらうことが必要であり、そのためにも愛・地球博記念館に訪れたくなるような仕掛けを何か用意できないかと思っている。モリコロパークにはジブリパークもあるため、何か仕掛けや工夫を考え、まずは子供たちの興味、関心を持ってもらい、特別展示のある記念館に訪れてもらう仕掛けが必要であるが、どのように考えているか。
【理事者】
愛知万博20周年記念事業全体を通して、若い世代に人気のあるジブリパークとうまく連携していきたい。特別展示の中でも、愛知万博のパビリオンとして建設され、現在も存続しているサツキとメイの家に焦点を当てたパネル掲出を行っていく。併せて、サツキとメイの家と関連したイベントも開催できないか、株式会社ジブリパークと調整している。
【委員】
愛知万博から20年がたち、次世代の若者や子供たちに理念や成果をつなげていくことは重要であり、今回の愛知万博20周年記念事業及び記念館を活用した特別展示は非常に有意義になると思う。ただ、愛知万博20周年記念事業で終わりではなく、この事業を節目として、愛知万博20周年記念事業の閉幕後もジブリパークと連携して関連する展示などを記念館で行っていくなど、ここを訪れる子供、若者たちが増え、愛知万博の理念の継承を将来につなげられるような取組を不断なく検討していくことを要望する。
さらに、特徴ある愛知の魅力ある歴史、食文化、産業などの発信に、この記念館も一役買ってもらいたい。ここを拠点にして、愛知の魅力、文化を発信できるよう、今後の方針を考えることを要望する。そうしたことを見据えて、記念館の価値を高め、愛知万博の理念と成果、愛知の魅力向上につなげてもらうことを切に要望する。
【委員】
本県が発行するグリーンボンドについて伺う。
令和3年11月定例議会代表質問において、安定した資金調達に向けた取組をテーマに質問を行い、その中で、当時注目を集め始めていたESG債についても触れ、県としての今後の取組を伺った。知事からは、ESG債の発行について、メリットやデメリットについて研究を進めるとの答弁があり、その後、様々な検討が重ねられ、1年後の令和4年12月、本県として初めてのグリーンボンド発行に至ったと理解している。
改めて、ESG債とは、環境、エンバイロメント、社会、ソーシャル、ガバナンスの頭文字を取ってつくられた言葉で、環境改善や社会貢献に効果のある事業を資金使途とする債券のことである。SDGsの概念が社会全体に浸透していく中、投資家である企業にとってもESGを重視することは、社会への貢献や信頼獲得といった企業イメージの向上につながるとともに、経営戦略としても社会課題の解決による経営リスクの回避や、新たな事業機会の創出にもつながるものとして、ESG投資への関心は年々高まってきた。こうしたことを背景に、地方債市場においても、年々ESG債の発行規模は右肩上がりに拡大している。
現在、ESG債の中で最も発行額が多いのは、環境面での課題解決を目的としたグリーンボンドである。グリーンボンドの発行額は、令和3年度には6団体で650億円であったものが、昨年度では53団体、3,337億円とこの3年間で大きく増加している。
本県では令和4年度からグリーンボンドを発行しているが、グリーンボンド発行の目的、狙いは何か。
【理事者】
近年、深刻化する気候変動への危機意識の高まりなどを背景として、投資家のESG投資への関心が高まっており、企業や地方公共団体などがグリーンボンドを発行し、資金調達する動きが拡大してきた。
本県においても、そうした状況を踏まえて、投資家層の拡大により安定的な資金調達を実現し、脱炭素社会の実現を見据えた環境改善効果のある事業を着実に推進していくこと、また、本県がカーボンニュートラルの実現に積極的に取り組む姿勢を示すことで、持続可能な地域づくりへの関心を一層高めていくことを主な目的として、2022年度から毎年度継続してグリーンボンドを発行している。
【委員】
グリーンボンドの発行に当たっては、様々なメリットやデメリットの検討がなされて発行に至ったと思う。そこで、グリーンボンドの発行には具体的にどのようなメリット、そしてデメリットがあるのか。
【理事者】
グリーンボンド発行のメリットは、主に三点挙げられる。
一点目は、グリーンボンドは資金使途を環境改善効果のある事業に限って発行するため、県が環境改善やカーボンニュートラルの実現に取り組む姿勢を分かりやすくアピールできることである。
二点目は、ESG投資の高まりにより、通常の地方債には投資しない投資家であっても、グリーンボンドであることを選好して投資する投資家もおり、投資家層の拡大につながることである。
三点目は、市場環境によっては通常の地方債より低利での発行が可能となることである。通常、地方債は国債の金利に一定の利率を上乗せして発行するが、現在のところグリーンボンドは旺盛な投資家需要を背景に、通常の地方債と比較して上乗せ幅が低く抑えられており、低利での資金調達が可能となっている。
次に、デメリットとしては、資金使途が環境改善効果のある事業に限られるため、多額の発行が難しいことが挙げられる。
【委員】
グリーンボンドの対象事業は環境改善効果のある事業に限定されるとのことだが、具体的な事業の選定はどのように行っているのか。
【理事者】
本県のグリーンボンドは、市場において適切なグリーンボンドとして受け入れられるため、国際資本市場協会が策定したグリーンボンド原則2021及び環境省が作成したグリーンボンドガイドライン2020年版に適合するよう、調達資金の使途やプロジェクトの評価、選定のプロセスなどについて定めたフレームワークを策定し、第三者機関による外部評価を得た上で発行している。
グリーンボンド原則においては、調達資金の使途として10の事業区分が示されているが、本県では、その中から該当事業のあるエネルギー効率、生物多様性の保全、グリーンビルディング、気候変動への適応などをはじめとした七つの区分を対象としている。
具体的な充当事業の選定に当たっては、起債した翌年度に作成するインパクトレポートにおいて取組実績や具体的な環境改善効果を公表することにしているため、事業効果を明確かつ定量的に示すことができる事業を、各事業を所管する局と調整の上選定しており、2022年度及び2023年度は信号灯器のLED化や貝類増殖場の造成事業、河川のしゅんせつや護岸改修工事などを対象としている。
【委員】
今年度の本県のグリーンボンドは12月6日に条件決定され、12月20日に発行されると聞いている。これを含めると、これまで3回の発行となるが、それぞれ発行額や投資家の需要の状況、利率などの発行実績はどのようになっているか。
【理事者】
過去3回の本県のグリーンボンドは、いずれも5年の満期一括償還で、発行額は各年度100億円となっている。発行初年度である2022年度は、投資家の需要は発行額100億円に対して約9.8倍の977.3億円が集まり、利率は通常の地方債よりも0.01パーセント低い0.249パーセントとなっている。昨年度は、投資家の需要は発行額100億円に対して約1.6倍の163.7億円、利率は通常の地方債よりも0.02パーセント低い0.477パーセントとなっている。
さらに、先週12月6日に条件決定した今年度は、投資家の需要は発行額100億円に対して約1.5倍の153.6億円、利率は通常の地方債よりも0.02パーセント低い0.809パーセントであり、12月20日に発行予定となっている。
【委員】
これまでの発行は順調に投資家の需要が集まり、通常の県債より低利で発行できていると理解した。
それでは、現在の債券市場全体を見た場合、グリーンボンドを取り巻く環境はどのようになっているのか、また、課題はどのようなものがあるのか。
【理事者】
現在の債券市場全体を見ると、グリーンボンドをはじめとするESG債の発行団体の増加に伴う供給量の増加により、投資家の選択肢が増えたことなどから、ESG投資ニーズが分散する傾向が見られる。その結果、先ほど答弁したとおり、本県のグリーンボンドの需要倍率も発行初年度と比較すると低下している。
また、発行年限が10年のグリーンボンドでは、他の地方公共団体において投資家の需要が集まらず、当初予定していた発行額から減額発行するケースもあると聞いているほか、本県を含め、地方公共団体44団体が共同で発行するグリーン共同債においては、これまで通常の地方債と比較して0.02パーセント低利での調達ができていたが、11月発行分では0.01パーセントに縮小しているため、今後こうした市場環境の変化に適切に対応していく必要がある。
【委員】
今、答弁があったように、グリーンボンドを取り巻く環境は少しずつ厳しくなってきていることを理解した。その上で、こうした状況を踏まえ、県として今後どのようにグリーンボンドの発行に取り組んでいくのか。
【理事者】
本県では、これまでも数ある地方債の中から愛知県債を投資家に選んでもらえるよう、格付会社からの格付の取得のほか、本県財政の健全性や本県の環境施策の取組などについて投資家に説明するIR活動を積極的に実施してきた。
また、今年度は新たな取組として、整備費の一部にグリーンボンドにより調達した資金を充当しているSTATION Aiにおいて、投資家を対象としたセミナー型IRを現地視察をかねて実施し、参加者のうち、新規6件を含む10件の投資家を、この12月に発行するグリーンボンドの購入につなげることができた。
グリーンボンドは、環境改善効果のある事業の着実な推進を資金調達の面から支えるとともに、持続可能な地域づくりに向けた機運醸成を図る有効な手段であるため、引き続き、本県がグリーンボンドを発行する意義や事業効果を積極的にPRすることで、投資家需要をしっかりと集め、安定的な資金調達ができるよう取り組んでいきたい。
【委員】
現在の金融資本市場は、国内外の金融政策の動向をはじめとした先行きの不透明感が強くなっていることから、非常に変動性が高い状況にあり、そうした中、投資家の動向を見極め、市場環境に即した形で県債を発行していくことは大変難しいと思っている。
こうした難しい環境下であっても、県としていかに安定的に資金調達を行っていくかが重要である。他県では、グリーンボンド以外のESG債として、社会課題の解決に資するソーシャルボンド、グリーンまたはソーシャルの課題解決に資するサステナビリティボンド、さらにはサステナビリティの目標達成度合いに応じて条件が変動するサステナビリティ・リンク・ボンドなどを発行している事例もある。
加えて、GX施策推進の起爆剤として期待が高まるGX経済移行債、これは世界初の国によるトランジションボンドであるが、本県は水素社会の実現に向けた様々な取組を実施しているため、この一環として全国発のトランジションボンド発行となると、さらに注目が高まるのではないかと思っている。
引き続き、時宜を捉えて様々な工夫を凝らしながら、調達手段の多様化に取り組むことを要望する。
【委員】
本県の中国との交流事業について伺う。
まず、最近の日中関係の動きについてだが、本年11月16日にペルーの首都リマで行われた、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議において、石破茂内閣総理大臣と習近平国家主席の会談が行われ、両首脳は戦略的互恵関係の総括的な推進を確認し、首脳を含むあらゆるレベルで意思疎通を強化する方針で一致した。この会談は、両国の関係改善と発展に向けた重要な一歩となった。
また、中国政府は昨年8月に福島第一原発の処理水放出を受けて、日本産水産物の全面的な輸入禁止措置を開始したが、本年9月、この措置を段階的に緩和することを発表した。また、本年11月22日の記者会見では、日本を含む9か国に対して短期滞在のビザを免除する措置を11月30日から実施すると発表した。
様々な報道を総合すると、中国政府は短期滞在ビザを免除することで、ビジネスマンや旅行客の往来を増やすとともに、外国企業からの投資を呼び込み、景気を押し上げる狙いがあると見られる。いずれにしても、近年冷え込んでいた日中関係に前向きな動きが見られるようになっている。
本県と中国江蘇省や広東省は、長年にわたり友好交流を続けている。この交流は多岐にわたる分野で行われており、両地域の絆を深める重要な役割を果たしていると承知している。
本県は中国の江蘇省及び広東省との友好提携を締結しているが、これまでどのような交流事業を行ってきたか。
【理事者】
江蘇省とは1980年7月に友好提携を締結して以降、5周年の節目ごとに知事と省長等の相互訪問や記念行事を行っているほか、随時職員間の派遣や受入れを行っている。
また、2012年の日中国交正常化40周年を記念して日中漫画展を開催し、2013年3月には江蘇省南京市で、2014年2月から7月にかけては本県で、両国の漫画家が描いた作品の展示を行った。
さらに、2017年の日中国交正常化45周年及び2018年の日中平和友好条約締結40周年を記念して、愛知県・江蘇省友好書道展を開催し、2017年11月には江蘇省南京市で、2018年6月には本県で、両地域の書道家や一般公募等の作品の展示を行うなど、交流を進めてきた。
次に、広東省とは2013年11月に相互協力に関する覚書を締結し、2019年5月にはこの覚書を発展させて友好提携を締結した。今年5周年を迎えたことから、本年6月に同省人民代表大会の黄寧生副主任を代表とする訪問団が来県し、本年10月には知事が広東省を訪問した。知事の広東省訪問では、王偉中省長と面談を行い、経済をはじめ教育や観光など、様々な分野で交流を進めていくことを合意した。
また、広東省とは友好提携の基となった、2013年の相互協力に関する覚書の締結を契機として、2014年度から高校生の相互訪問を行っており、現地の高校生との交流、文化施設等の訪問などを通じて、若い世代による相互理解の促進を図っている。
なお、これまでに広東省が3回、本県が2回、高校生訪問団をそれぞれの地域に派遣しており、直近では、今年3月に本県の高校生訪問団を広東省に派遣した。
【委員】
私は、本年11月25日に公明党愛知県本部で行われた、駐名古屋中華人民共和国総領事館の楊嫻総領事と、県内の国会議員、県会議員、名古屋市会議員との懇談会に参加した。その場で、総領事からは、中国と日本、なかんずく本県と、今後さらなる友好交流に期待を寄せるという話もあった。
そこで、江蘇省及び広東省とは今後どのような交流事業を実施することを考えているのか。
【理事者】
来年は、江蘇省との友好提携45周年という節目の年に当たる。両地域の友好関係を確認するとともに、さらなる交流を推進するため、知事及び江蘇省省長による相互訪問や記念行事の実施について検討していきたい。
なお、記念行事は、来年開催する愛知万博20周年記念事業の中での実施も視野に入れ、江蘇省と調整していきたい。
また、広東省とは、来年度は高校生訪問団を受け入れるなど、今後も引き続き高校生交流を進めていきたい。
そのほか、両省とは将来にわたって友好関係が続くよう、関係局とも連携し、経済、教育、観光など、幅広い分野においてより活発に交流を進め、関係の強化に取り組んでいきたい。
【委員】
来年は江蘇省との友好提携45周年の節目の年となる。また、議会では、本年10月15日から19日まで、新海正春副議長を団長とする、自由民主党愛知県議員団・石吾歩路団長、あいち民主県議団・森井元志団長の訪問団が、江蘇省人民代表大会を表敬訪問するほか、南京市、蘇州市を訪問した。日中の関係が良好な方向に向かいつつある今、来年の45周年の節目を、本県及び県議会も含めて、江蘇省との相互理解と友好親善の促進の絶好の機会としていただくよう要望する。
【委員】
次期行革大綱の策定が大詰めだと聞いたため、DXに伴う行革の進捗状況について伺う。
東京都が出しているシン・トセイに、行革の様々な計画が載っていたため、これを調べたところ、東京都は、都政のクオリティ・オブ・サービス(QOS)を向上させるために、DXをてこにした都政の構造改革に取り組んでいるとのことである。これが非常に分かりやすく、一つ目は仕事の進め方やオフィス環境の問題、二つ目は職員同士のコミュニケーション、上司、部下のコミュニケーション、また都民とのコミュニケーションをデジタル化によって進め、改めて都政のQOSを向上させるとのことである。
そこで、最初に出てきたのが、オフィスの環境を変える意味で、道具を変えることが一番良いため、五つのレスがあり、ペーパーレス、FAXレス、はんこレス、キャッシュレス、行政手続のタッチレス、この五つのレスを進めているとのことである。
併せて、仕事上でこれらの目標を数値化することが見える化も含めて必要であり、数値も出ていた。コピー用紙の調達量は、2016年との対比だと、現在、70パーセント削減されている。ファックスに至っては、対2019年比で99.1パーセントまで削減されている。まだ私の事務所にはファックスがあり、議会事務局からもファックスによる通知が送られている。答弁を求めることはないが、議会事務局長はこうした現状を知っているか。東京都では、FAXレスの実施により99.1パーセントが削減されている。はんこレスについては、電子決裁率が昨年度末で99.8パーセントと聞く。キャッシュレスについては、2022年3月で全78の都立施設において導入されている。タッチレスを進める行政手続のデジタル化は、昨年現在、2万8,000プロセスのうちの69.97パーセントがデジタル化されているとのことである。
この取組目標は非常に分かりやすいと思うが、これら五つの取組について、本県はどれぐらい進んでいるか。
【理事者】
まずペーパーレスだが、高機能の大型ディスプレイやタブレットを導入、活用し、会議における配布資料の減量化を推進している。用紙購入量は昨年度、全庁で1,690トンであり、5年前の2018年度と比較して8パーセント減少している。
ファックス通信については、受信印刷枚数の多い所属の洗い出しを進めており、今後ファックスの使用により非効率となっている業務を対象に、メールなど他のデジタルツールへの置き換えを推進していく。併せて、ネットワークファックスの活用により、情報漏えいリスクの軽減や効率化、ペーパーレス化を図る。
はんこレスについては、2020年度に行政手続の実態調査を行い、県が押印を求めていた4,760種類の行政手続において押印を廃止した。また、電子決裁率は昨年度で88.6パーセントである。
キャッシュレスについては、昨年4月からオンライン申請を伴う収納などにキャッシュレス決済を導入しており、県施設の窓口においても順次導入を進めている。窓口で使用料等を徴取する公の施設は49施設あるが、昨年度までに88パーセントに当たる43施設で導入済みとなっている。
最後に、行政手続のオンライン化によるタッチレスは、申請数が極めて少ないものや、複雑な審査を必要とするなど、オンライン化が困難なものを除き、来年度までに順次オンライン化を進めることとしており、昨年度末時点で1,212手続、年間処理件数では全申請の65パーセントに当たる約414万件がオンラインで申請されている。
【委員】
まだ少し甘い。特にコピー用紙は8パーセント削減とあるが、ぜひ進めてほしいと思うし、数字もしっかりと把握してほしい。
次に、次期行革大綱で掲げる三つの改革の視点の一つに、DXのさらなる推進があるが、どのような進捗目標、数値目標を設定して、見える化しようとしているのか伺う。
【理事者】
次期行革大綱の素案では、現行のあいち行革プラン2020と同様、取組の進捗状況を体系的に把握するため、三つの改革の視点を踏まえた取組がどの程度達成されているかを表すものとして、三つの視点にそれぞれ10項目、合計30項目の進捗管理指標を設定している。
また、進捗管理指標のうち、特定の値の達成を目指して計画的に取り組むことがそれぞれの改革の視点の一層の進捗につながると考えられる15項目について、数値目標を設定している。
このうち、DXのさらなる推進の視点においては、RPA及びノーコード・ローコードツールの活用数、生成AI活用職員数といった庁内業務の効率化、高度化に関する指標や、行政手続のオンライン申請率、電子契約サービスによる契約件数といった行政サービスの向上に関する指標などを設定している。
また、デジタル人材育成研修の延べ受講職員数や用紙購入量などの指標については、数値目標を設定しており、進捗状況の見える化を図りながら、目標達成に向けて、デジタル人材の育成、ペーパーレス化の推進などの取組を計画的に進めていきたい。
【委員】
次に、シン・トセイが掲げるもう一つの取組である、部門や役職を超えての職員同士の意見交換やコミュニケーションについて、特に若手がアイデアを提案し、課題解決で議論したりすることは非常に重要であり、また、部門長が部下に自分の考え方や仕事のやり方を発信していくことも大変重要なことだと思う。
こうしたことを、東京都はデジタル提案箱やQ&Aフォーラムなどを、ポータルサイト上に立ち上げながら意見交換を行っているが、本県においては職員同士の提案や要望を投稿できるような仕組みはあるか。
【理事者】
本県においても、職員がデジタル化・DX推進に関する提案や相談を投稿できるデジタル改善目安箱を本年10月21日から設置、運用している。この目安箱に投稿できる内容は、デジタル技術を活用した業務の効率化・高度化に係る提案や相談、既存システムに係る改善提案、その他デジタル化・DXに係る意見・提案である。投稿に当たっては、上司の許可を得る必要はなく、全職員を対象にポータルサイトから直接投稿することができ、目安箱の設置から約1か月を経過した本年11月末時点で132件もの多くの投稿があった。
投稿された提案や意見は、デジタル戦略監をリーダーとし、各局等に配置したデジタル化・DX推進担当を構成員とするデジタル化・DX推進チームにおいて共有し、提案先となる所属とともに対応の検討に着手している。
【委員】
職員からの提案があったとあるが、具体的にどのようなものがあったのか。
【理事者】
具体的な投稿について、初めに、デジタル技術を活用した業務の効率化・高度化に係る提案や相談では、勤務時間や休暇、旅費や通勤手当等の服務関係の諸規程について、問合せ用のチャットボットを作成することで、服務担当職員の業務の効率化につながるという提案、また、地方機関の職員が集まる会議について、オンライン会議の利用をルール化し、移動時間等の負担の軽減を図りたいといった投稿などがあった。
次に、既存システムに係る改善提案では、ネットワーク通信の快適性を求めるものや、メールやチャットといったグループウェアの操作性の改善に関する投稿などがあった。
最後に、その他デジタル化・DXに係る意見・提案では、デジタルツールの使用方法や各課の先進的な取組事例を庁内に紹介してほしいといった投稿などがあった。
改善につながる提案や意見は、投稿者に改善等の取組内容を回答するとともに、優れた改善内容を全職員に周知することで、業務改善につながる提案を促進していきたい。
【委員】
現在のデジタル改善目安箱は、恐らく、提出された意見がデジタル化・DX推進チームに上がってくるといった方法だと思う。そうした意味では、例えば相互に意見交換ができたり、上司が部下に意見を聴いたり、県民から意見を聴いたりする仕組みには至っていないと思うが、どうか。
【理事者】
デジタル改善目安箱は、双方向のコミュニケーションが取れる仕組みはない。県民からの提案は、デジタル改善目安箱とは異なるが、県政全般にわたってインターネットで受け付けている、県政への御提言という仕組みがある。
【委員】
ぜひ東京都のシン・トセイも参考にしてほしい。行革を行う上で、上司がどういったことを考えているかを部下に示す、発信することも必要であり、実際に提案したものや課題解決に関して相互にいいねボタンを押すことや、簡単に書き込みや追記ができたりするような仕組みも必要である。県民が、県庁内で行われている取組について、随時意見ができるようなものがあってもよいと思う。これは、まさにデジタル化をてこに、開かれた組織、フラットな組織、また、行革そのものを進めていく大きなてこになると思うため、よりフラットな組織で、要望がいえる仕組みづくりを目指してほしい。
最後に、デジタル戦略監に質問する。デジタル化の取組について、例えば、議員に対する答弁検討に関して大きな画面を導入したことで簡単に行えるようになった、生成AIのガイドラインを改定したなど、様々なことを行っていると聞く。今後、DXにより愛知県庁全体のサービスを向上していこうとする中で、考えを伺う。
【理事者】
仕事の進め方や数値化、コミュニケーションについて問題提起があった。
まず、次期行革大綱の素案では、先ほど答弁があったように、DXのさらなる推進を改革の視点の一つとしており、デジタル技術を積極的に活用し、県の業務やサービスを変革することで、それらをより効率的・効果的に実施し、県行政の質の向上に取り組んでいく。
具体例として、委員から話があったように、新しい道具である生成AIを活用した業務の高度化・合理化や、デジタル技術の活用による柔軟な働き方の推進等について、次期行革大綱に位置づけた上で取組を加速していく。
また、次期行革大綱の推進に当たっては、現行のプランと同様に、副知事をリーダーとするPTにより進捗管理を行うが、新たに私がサブリーダーの一人に指名される予定となっていることは、今定例議会の本会議代表質問において知事から答弁した。私もこのPTの一員として、委員から話のあった、仕事や進捗状況の数値化、見える化にしっかりと取り組んでいく。
さらに、もう一点のコミュニケーションについて、私自身が様々な問題意識や提案を多方面の職員から提示をされ、それが端緒となって業務改善につながった経験がある。
この経験から、デジタル改善目安箱については、本年4月に立ち上がった、私を含む56人からなるデジタル化・DX推進チームで構想を練ってきた。ここで、先ほど話のあった大画面による答弁検討等も実施されることとなった。
このチームは、各局の若手担当者から職種を問わずに選任しており、デジタル技術に慣れ親しんだ世代から現場に近いところで業務の効率化・高度化に積極的に取り組んでいる。
ただ、このチーム以外の若手職員にも、日常の業務の中でデジタル化に対する熱い思いや斬新なアイデア、関連する問題意識を多く持っていると思い、それらに耳を傾け具現化する仕組みを作ろうと考えて、デジタル改善目安箱の設置に至った。デジタル改善目安箱への投稿に対しては、私も目を通し、意見を述べ、全ての投稿に対して回答することにしている。
このように、職員の負担軽減に加えて、職員の意欲増進を実現する取組を多層的かつアジャイルに行うことにより、県民や県内事業者にとって、より質の高い行政サービスを持続可能な形で提供していくことの実現に向けて、引き続き全庁を挙げてデジタル化・DX推進に取り組んでいく。
【委員】
デジタル戦略監を先頭に、デジタル化によって愛知県庁が大きく改善され、その取組が県民のためになるよう、要望する。