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総務企画委員会審査状況(令和7年3月14日)

ページID:0601093 掲載日:2025年9月16日更新 印刷ページ表示

総務企画委員会

委員会

日時 令和7年3月14日(金曜日) 午後0時59分~
会場 第8委員会室
出席者
 今井隆喜、日高 章 正副委員長
 水野富夫、高桑敏直、辻 秀樹、杉江繁樹、杉浦正和、富田昭雄、
 日比たけまさ、福田喜夫、島 孝則、木藤俊郎 各委員
 防災安全局長、防災部長、県民安全監、関係各課長等

総務企画委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

第1号  令和7年度愛知県一般会計予算
 第1条(歳入歳出予算)の内
 歳出
 第2款 総務企画費の内
 第6項 防災安全費
 第7項 災害救助費
 第3条(債務負担行為)の内
 愛知県基幹的広域防災拠点(消防学校)整備・運営等事業契約
 愛知県基幹的広域防災拠点(防災公園)整備・運営等事業契約
 次世代高度情報通信ネットワーク整備工事

結果

全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
 第1号

会議の概要

  1. 開会
  2. 議案審査(1件)
    (1)理事者の説明
    (2)質疑
  3. 休憩(午後2時35分)
  4. 再開(午後2時45分)
  5. 採決
  6. 一般質問
  7. 閉会
主な質疑
議案関係

【委員】
 消防団加入促進事業費及び南海トラフ地震等対策事業費補助金に関する消防団の充実強化に向けての取組について質問する。
 消防団は地域防災の重要な役割を担っており、災害時の迅速な対応や初期消火活動に加え、心肺蘇生法を身につける応急手当て講習、大雨や台風など水災時の対応などの教育訓練を受けながら地域防災に必要なスキルを身につけている。そうしたスキルを持った消防団員が地域に数多くいることは、大規模災害時のみならず地域の祭礼警備など、地元から大変頼られる存在になっている。
 しかし近年、消防団員の高齢化や減少が深刻な課題となっている。若年層の参加が少なく地域住民の消防団への関心も低下していると言われている。全国的にも消防団員数は減少傾向にあり、愛知県においても県内に344消防団が組織され、消防団員数は昨年4月1日現在で2万991人であり、前年より377人減少しているという現状である。
 減少の要因としては、団員の高齢化に加えて産業、就業構造の変化や少子化や過疎化など、社会経済の大きな変化の中で変革期を迎えていることが考えられる中、今の学生や女性、機能別消防団などの加入促進の取組を行っているが、多様な生活において訓練活動に係る負担も問題視されている。
 これらの課題を解決するためには、何より消防団の魅力向上や効率的な活動方法の導入、地域との連携強化や大規模災害時の対応能力の向上などが求められている。
 そこで、県として、消防団員の確保に向けた啓発を各市町村とどのように連携して取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
 市町村と連携した消防団員確保の啓発について、本県では1月20日をあいち消防団の日として定め、2013年から毎年県内一斉で消防団への加入促進活動を展開している。来年度も1月20日前後に行われる二十歳の集いや消防出初め式などの機会に合わせて、市町村がPRできるよう市町村に啓発物を配布するとともに、県自らもPR活動を行いたい。
 また、地域全体で消防団活動を応援するあいち消防団応援の店制度については、応援の店検索サイトの運用を引き続き行うとともに、チラシを作成し制度のPRを行っていく。各市町村には、引き続き登録店舗の拡大等に協力してほしい。
 このほか消防団加入促進事業費補助金の交付により、引き続き市町村が行う啓発活動の支援を行う。
【委員】
 次に、消防団の災害対応能力の強化を図るためには、消防団の救助用資機材や救助用資機材等を搭載した消防車両の充実強化が必要であると考えるが、本県としてどのように市町村を支援していくのか。
【理事者】
 消防団の救助用資機材や車両の充実強化への支援について、南海トラフ地震の発生が懸念されている本県においては、消防団の資機材、車両の整備は非常に重要である。本県としては、市町村が行う消防団の活動資機材や車両の整備を南海トラフ地震等対策事業費補助金の補助対象として、財政的に支援している。
 今年度予算案においては、同補助金の地域防災力強化事業等の1市町村当たりの補助基準額を2,500万円から4,000万円に引き上げ、大規模災害に対する市町村の取組の支援を一層加速していく。
 このほか国の消防団設備整備費補助金や消防団車両の無償貸付制度等を有効に活用できるよう市町村に情報提供していく。
【委員】
 最後に、消防団の加入促進に関連して伺うが、大規模災害時のみの活動や、火災予防などの広報活動のみに従事する、特定の活動のみに従事する機能別団員や機能別分団制度を創立する取組は今、様々な地域で行われていると聞いている。この制度を拡充すれば、より多くの県民、生活者が消防団に参画できる環境をつくり、共助の意識高揚や地域づくりを形成するための活動にもつながると考えるが、機能別団員、機能別分団の拡充について本県の考え方を伺う。
【理事者】
 機能別団員、機能別分団の拡充について、国においては2005年1月の報告書を受けて、機能別団員、機能別分団制度は基本団員を補完する制度として消防団員を確保し地域防災力を維持する上で有効であることから、制度の導入活用を積極的に促している。本県においても、市町村に対し制度の周知を図ってきた。
 本県の状況としては、昨年4月1日現在、県内30市町村で制度が導入されており1,997人が機能別団員として活動している。機能別団員の構成や活動は地域によって様々なものがある。構成については消防団員、消防職員、団員のOBで構成するもの、学生で構成するもの、女性で構成するものなどがある。
 また、活動内容については、大規模災害時の活動、防災啓発、広報、指導活動やドローンの操縦などがある。当該市町村における消防団員の役割、条例定数に対する団員の充足状況、大学や企業の立地状況など、地域の状況が異なることから各市町村が地域の特性等に合わせて機能別団員、機能別分団制度の導入活用を積極的に検討していく必要がある。
 このため県内市町村に対し、国の団員確保マニュアルや県内における具体的な活動事例を情報提供するなど必要な情報の共有に努めていく。
【委員】
 近年、毎年のように甚大な自然災害が続き、不安が大きい状況になっている。消防団の重要性が増していく中で、消防団員の確保に向けた啓発や機能別団員、機能別分団制度の拡充、また消防団の救助用資機材や車両の整備の支援など、消防団の充実強化に引き続き取り組むことを要望する。
【委員】
 委員の質問に関連して、若手消防団員が活動する上で課題となっている消防団の車両、運転免許制度の変更への対応について伺う。
 道路交通法の一部を改正する法律が平成29年3月12日に施行され、新たに準中型自動車免許が創設されたことに伴い、同日以降に普通自動車免許を取得した人が運転できる車両は総重量3.5トン未満に限定された。消防団が消火活動等に使用する車両は、主に消防ポンプ自動車と小型動力ポンプ付積載車があり、このうち消防ポンプ自動車については、現状では運転に準中型免許が必要な車両総量3.5トン以上のものが主流となっているため、新たに普通自動車免許を取得した若手の消防団員らは車両総量3.5トン以上の消防ポンプ自動車を運転できず、将来的に消防団活動に支障が生じるおそれがある。
 国は市町村が消防団員の準中型自動車免許の取得に対して助成を行った場合、助成額の2分の1に対して特別交付税措置を講じており、消防団員の準中型自動車免許の取得費用に対する公費助成制度の創設を市町村に対して促しているが、本県の県内市町村の制度導入状況について伺う。
【理事者】
 消防団員の準中型自動車免許の取得費用に対する公費助成制度を設けている市町村についてであるが、令和6年4月1日現在で、県内では瀬戸市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、幸田町、設楽町、豊根村の計8市町村が消防団員の準中型自動車免許の取得費用に対する公費助成制度を設けている。
【委員】
 本県では、8市町村で消防団員の準中型自動車免許の取得費用に対する公費助成制度を設けているとのことである。それ以外の市町村における消防団員は、準中型自動車免許の取得を積極的に促進することが難しい状況の中、普通運転免許で運転することのできる小型動力ポンプ付積載車も、名古屋市内にも順次導入されている。しかし、消防団の消火対応能力の強化を考えると、消防団が使用する車両の中でも、現場に到着後、速やかに消火活動に取りかかることができる、ポンプが車両と一体となった消防ポンプ自動車について、若い消防団員でも現場で使用できるように小型車両への更新を促すことが重要だと考えるが、現在の県の南海トラフ地震等対策事業費補助金での補助実績について教えてほしい。
【理事者】
 県の南海トラフ地震等対策事業費補助金では、現在、可搬式のポンプを車両に載せる形の小型動力ポンプ付積載車は補助の対象としているが、ポンプと車両が一体となった消防ポンプ自動車は補助対象としていない。
【委員】
 現時点では、南海トラフ地震等対策事業費補助金において消防ポンプ自動車が補助対象となっていないとのことだが、今後の消防団の消火対応能力の強化を考えると、普通免許で運転できる消防車両の整備が必要になってくると考えているが、来年度予算ではどのように支援をしていくのか。
【理事者】
 近年、車両総重量3.5トン以上の消防車両を運転できない消防団員が増加していることなどを背景に、本年1月に発出された消防庁長官の、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に向けた取組事項についてという通知においては、小型の消防車両の整備が推奨されている。
 こうした動きを踏まえて、本県の南海トラフ地震等対策事業費補助金において、本年4月の交付要綱の年度改正により、補助対象となる消防団車両としてA-2級のポンプを備えた普通免許でも運転可能な消防ポンプ自動車を新たに追加する。
【委員】
 本年1月の国の消防庁長官通知を踏まえて、小型消防車両の整備が推奨されたことで、県もこれを積極的に考え、南海トラフ地震等対策事業費補助金の補助要綱を4月から改正することは大変評価する。
 これにより従来の小型動力ポンプ付積載車に加えてA-2級の消防ポンプ自動車も補助対象になるとのことであるため、南海トラフ地震等対策事業費補助金の補助要綱の改正を市町村にしっかり普及啓発し、これを活用して現状の課題解決につながるよう、市町村と連携してしっかり取り組むことを要望する。
【委員】
 消防団加入促進事業費について、委員からも言及があったように、消防団は地域における消防防災体制の中核であり、地域住民の安心・安全の確保に大きな役割を果たしていることは言うまでもない。
 昨年の元日に発生した能登半島地震では、道路が寸断され、関係機関の応援が困難となった。消防団のように自らの地域を自ら守る地域防災力の重要性が、改めて認識されたと思う。
 しかしながら、本県の消防団員数は、この10年間で2,400人以上減少しており、平均年齢も39歳から42歳になるなど、地域防災力の低下が懸念されている。
 こうした状況の中で、消防団の加入促進にしっかりと取り組むことが県としては重要である。
 そこで、消防団加入促進のため、来年度はどのような取組を進めるのか、改めて伺う。
【理事者】
 今年度に行う消防団加入促進の取組について、消防団は、消火活動はもとより災害時の避難誘導や救助の実施、平時には防火、防災に関する啓発活動を行うなど、地域防災の中核を担っており、消防団員の確保は大変重要である。
 来年度は若者の消防団加入促進のため、男性だけではなく女性もターゲットとして、大学やフィットネスクラブ等を中心にPR活動を実施していく。また、地域全体で消防団活動を応援する、あいち消防団応援の店制度について、今年度、団員カードの電子化を図るなど利便性の向上を図ったことから、来年度は改めて登録店舗のさらなる拡大に向けてPRしていく。
 新たな取組としては、愛知県消防操法大会を開催する会場内において消防フェスティバルを開催し、多くの地域住民が消防団について楽しく学べる機会を設けていく。
【委員】
 来年度は新たに消防フェスティバルを行うとのことである。消防団への加入を促進する、団員が活動しやすい環境をつくるために、地域住民に消防団の活動を知ってもらうことが重要だと思うが、フェスティバルではどのようなことを行う予定か。
【理事者】
 消防団への加入を促進するためには消防団員になる人だけでなく、家族の理解が不可欠であり、より多くの地域住民に消防団活動を知ってもらう必要がある。
 このため、新たに行う消防フェスティバルでは、より多くの地域住民に来てもらい、楽しく消防団や消防の活動について学んでもらえるよう、体験ブースや消防団啓発ブース、飲食ブース等を設置していく。また、フェスティバルを愛知県消防操法大会と同時開催とすることで、消防団員が士気高く、高い技術を持って活動している姿をより多くの人々に見てもらい、団員の士気高揚と団員の家族の理解促進につなげていきたい。
 さらにフェスティバルの中で、大規模災害を想定した訓練やドローンの活用など、消防操法以外の消防団の活動や女性の消防団員の活動なども紹介することで、様々な消防団の活動を知ってもらい、若者、女性などの加入促進につなげていきたい。
【委員】
 予算に関する説明書108ページ、防災安全総務費6災害対策事業費のうち(5)ゼロメートル地帯広域防災拠点費について伺う。
 今回、ゼロメートル地帯広域防災拠点費が11億1,022万9,000円計上されているが、この予算には私の地元である、豊橋市にあるゼロメートル地帯における広域防災活動拠点の整備も含まれていると思う。まず、豊橋市において整備する施設の概要を伺う。
【理事者】
 施設の概要についてだが、所在地は三河湾沿岸部に広がるゼロメートル地帯の浸水想定区域内にある豊橋市富久縞町の国道23号豊川橋料金所跡地であり、敷地面積は約9,200平方メートルである。用地は、国から無償で譲渡を受け、進めていく。構造は、既存の盛土を生かしつつ、地盤改良を行う盛土構造であり、高さは約5メートル、周辺の想定浸水深は約1.5メートルであり、浸水しない構造となっている。拠点には救出救助ボートの船着き場や、防災倉庫を整備する。
 また、当該拠点は国道23号と隣接するため、国道が使用可能であれば救出した被災者をバス等で浸水区域外へ搬送することが可能である。このため、国道本線からの乗り入れ口や、バスの停車スペースも整備する。さらに、国道が使えない場合を想定して、救助者をヘリコプターで浸水区域外へ搬送できるよう、ヘリポートも整備する。
【委員】
 国道23号豊川橋料金所跡地を活用して浸水想定区域内でも機能する防災拠点として計画しているとのことである。特に船着き場、国道からの乗り入れ口、ヘリポートなど複数の救助、搬送手段を確保する点は、災害時の状況に応じた柔軟な対応が可能となり、大変重要な整備だと思う。
 それでは、拠点整備の進捗状況と今後のスケジュールを伺う。
【理事者】
 進捗状況、スケジュールだが、昨年度までに測量や地質調査を行い、基本設計を実施した。今年度はその成果を基に、防災関係機関が参加する図上演習を実施しながら実施設計を進めるとともに、国からの土地譲渡の手続を進めている。
 今後のスケジュールは、来年度に地盤改良、敷地造成、防災倉庫の整備を実施し、2026年度は上面部工事を、2027年度には仕上げ工事を行い、供用開始を目指していく。
【委員】
 着実に計画が進んでおり、2027年度の供用開始に向けて段階的に整備が進んでいくことが確認できた。特に注目すべき点として、実施設計と並行して図上演習を行っているとのことであるが、実践的な検証を設計段階から取り入れることは非常に重要であると思うとともに、行うべきだと思う。図上演習の具体的な内容について、もう少し詳しく伺う。
【理事者】
 図上演習の概要だが、豊橋市消防本部、愛知県警察本部、陸上自衛隊等の救出救助機関や地元の豊橋市のほか、学識者として名城大学川崎浩司特任教授に参加してもらい、拠点の基本設計を基に災害時のタイムラインに沿って各機関の動き等を確認し、課題等を洗い出したものである。今年度は10月と2月の2回実施した。
【委員】
 図上演習には消防、警察、自衛隊といった実際の救出救助活動を担う機関に加えて、学識経験者や地元自治体も参加し、多角的な視点から検証されることが理解できた。また、タイムラインに沿った検証は時間経過に伴う状況変化への対応力を高める上でも非常に有効な手段だと思う。こうした演習で得られた知見は設計にどのように反映されたのか。
【理事者】
 豊橋市にあるゼロメートル地帯における広域防災活動拠点は、他の拠点と異なり、既に豊橋市の津波避難場所に指定されており、住民が自主的に避難してくることも想定している。そうした住民が拠点に滞留しても救出救助活動を安全に継続できるよう、南側に住民の避難スペースを確保する一方、ヘリポートを敷地の北側に寄せて、のり面を補強しスペースを確保する。
 また、当該拠点は国道23号に隣接することから、道路が使用できる場合には救助された人を、バス等で浸水区域外へ搬送することが可能である。その際の国道への乗り入れ口について活動を円滑に行えるよう、2か所確保することとした。このように演習を基に明らかとなった課題について設計上対応すべきものを可能な限り反映し、今年度の実施設計を固めていった。
【委員】
 図上演習の成果が具体的に設計に反映されていることが確認できた。特に住民避難スペースと救助活動スペースを機能的に分離して、ヘリポートの位置や国道への乗り入れ口を複数確保することなど、実践的な視点での改良がなされている点は評価できる。こうした施設整備は非常に重要であるが、完成後の運用体制も同様に重要であると思う。拠点整備と並行した効果的な運用について、どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
 運用に関しては、各拠点において県、地元市町村、消防本部、愛知県警察本部、自衛隊をはじめ防災関係機関と連携し、各機関の役割や活動内容などを定めた運用マニュアルを整備している。
 豊橋市にあるゼロメートル地帯における広域防災活動拠点も、今回の図上演習などにより、各防災関係機関と連携しながら2027年度の供用開始に向けマニュアルを整備していく。また、拠点完成後もマニュアルをより実効性のあるものとするため、既に供用を開始した他の拠点と同様に、指揮所の開設訓練をはじめ防災関係機関による要救助者の受入れ、搬送訓練などの運用訓練を実施し、その成果を踏まえマニュアルの改善を図る。
 そうした実践的な訓練を重ねながら災害発生時の拠点の運用手順や関係機関との連携方法等を確認し、また、訓練で明らかとなった課題等の解消を図ることで、拠点の効果的かつ的確な運用ができるよう、不断の運用体制の強化に努める。
【委員】
 運用マニュアルの整備から実践的な訓練の実施、そして継続的な改善サイクルの構築までハード整備と並行したソフト面の充実に取り組んでもらえることが理解できた。
 災害対応は施設や設備だけではなく、使いこなす人と組織との連携が何よりも重要だと思う。今後も地元住民を交えた実践的な訓練を重ね、いざというときに真に機能する広域防災拠点として整備を進めてほしい。
 また、豊橋市の拠点での経験や教訓は、県内の他地域の防災拠点整備にも生かされると考える。引き続き、県全体の防災力向上のため、拠点整備と運用体制の構築に取り組むことを要望する。
【委員】
 愛知県基幹的広域防災拠点について、来年度予算にも防災安全総務費5愛知県基幹的広域防災拠点整備事業費が15億7,216万1,000円計上されている。先ほど詳しい説明もあったが、確認の意味も含めて質問する。
 まず、計上されている予算の内訳を伺う。
【理事者】
 事業費の内訳だが、第1期の消防学校について、アドバイザリー業務を委託し、来年8月に入札、12月に議会の議決があった後、特定事業契約の締結といった公募手続等を進めていく。
 また、特定事業契約締結後、消防学校の設計、建設に着手することから、進捗管理のためモニタリング支援業務を委託する。これらの費用として合わせて2,079万9,000円を計上している。
 第2期の防災公園は、来年4月に実施方針を公表し、7月に入札公告、12月に入札といった公募手続を進めるためのアドバイザリー契約に係る費用として875万6,000円を計上している。
 また拠点用地について、用地取得の交渉を継続し、用地取得の完了に向け、土地の購入手続等を行い、取得が完了した事業用地の管理を行っていく。これらに係る費用として4億8,022万9,000円を計上している。
 また、敷地造成工事等について、敷地造成や幹線水路、施設ライフラインの移設及び撤去等を行うための費用として6億6,035万6,000円を計上している。
 さらに、掘削等を行う工事を実施する消防学校及び防災公園予定地において、埋蔵文化財調査を行うための費用として4億202万1,000円を計上している。
【委員】
 今、第1期、第2期の整備事業と全体に共通する用地の取得や敷地造成工事、埋蔵文化財の調査を行うという説明があった。用地の取得、敷地造成工事、埋蔵文化財調査の現在の進捗状況を伺う。
【理事者】
 進捗状況だが、用地取得は本年1月末時点で、面積比約99パーセントの土地について売買契約を締結済みである。未契約の地権者については代替地への移転等、用地取得の条件を一つ一つ解消し交渉を進めているところであり、来年度内の契約締結を予定している。
 敷地造成工事は用地取得が完了した箇所から順次、敷地造成工事に着手しており、本年1月末に約34パーセントの造成が完了済みである。また、調整池工事は昨年2月から工事に着手しており、一部工事を来年度に繰越し、来年8月末に完成予定である。
 埋蔵文化財調査は、調整池の建設予定地等における調査を昨年7月末までに完了し、昨年8月からは消防学校予定地等の調査を進めている。
【委員】
 用地面積の約99パーセントの土地について売買契約を締結していること、敷地造成が34パーセント、調整池工事が来年8月末と、順調に進んでいることが分かった。本定例議会には、当初予算で防災公園の債務負担行為が上程されている。約73億円の債務負担行為であるが、第2期防災公園は昨年9月定例議会で当局から事業計画が示され、アドバイザリーに関する補正予算が計上されている。まず9月補正予算のアドバイザリー契約による事業費検証やマーケットサウンディングによって、どのようなことが分かったのか伺う。
【理事者】
 今回の防災公園に係る事業費検証では、建設物価調査会の建築費指数などの統計指標と防災公園で建設を予定している屋内運動施設などの建設等の関係を検証し、特出する特殊な要因がないことが確認できた。その上で事業者へのマーケットサウンディングを進め、例えば屋内運動施設について、これまでテニスの公式戦ができることを要求水準書に示していたが、事業者が想定する大会規模に応じた観客席など過剰な設備を計画に盛り込む傾向や、防災イベント事業等において事業者が事業範囲を過大に積算する傾向なども見られた。
 また、建設の面では、合築によってコストが下げられる可能性があるのではないかという意見や電波障害のシミュレーションに関して、仮にコストダウンのために新たな建物配置を提案したくても、これまでは入札時にシミュレーションに係る書類を求めていたため時間的に提出が難しいとの意見があった。
 これらのことを踏まえて、県の求める水準について要求水準書でより明確にしていきたい。
【委員】
 アドバイザリー契約によって事業検証を行ったとのことだが、その結果、今回の防災公園に係る債務負担行為約73億円は前回の入札時と比べてどのように変わったか。
【理事者】
 前回のBTコンセッション方式では2023年6月補正において、愛知県基幹的広域防災拠点全体の債務負担行為を計上していた。そのうち防災公園の県直接工事発注分を除いた部分を比較のため抽出すると、設計建設費が約49億円、維持管理運営費として約20億円の総額約69億円と積算していた。
 今回、来年度当初予算に計上する額は約73億円であり、内訳は設計建設費約51億円、維持管理運営費約22億円である。
 2023年度6月補正予算と比較すると、設計建設費で約2億円の増、維持管理運営費で約2億円の増、総額で約4億円の増となる。増額となった理由は、アドバイザリー契約において分析した資材費、労務費等の市場動向を補足し、設計建設費、維持管理運営費にそれぞれ反映したものである。
 また維持管理運営費に関しては、維持管理費や修繕費等を積算し、その額から運動施設の利用料収入を差し引いた額としているが、前回はコンセッション方式の導入効果として利用料収入に関し約2割程度の増収効果を見込んでいたが、今回はBTO方式のため増収効果は見込まず同規模の施設収入を参考に算出した。
 このように積算した結果、前回の入札と比較して設計建設費で約2億円の増、維持管理運営費で約2億円の増となった。
【委員】
 前回の入札総額69億円と比べて設計建設費で2億円増、維持管理運営費で約2億円の増で73億円になったとの説明があった。
 続いて中身について、先ほどの防災公園に関するマーケットサウンディングの結果を受けて要求水準書に反映していくとのことであるが、どのように反映していくのか。
【理事者】
 防災公園に係る要求水準書は、マーケットサウンディングの結果を踏まえ、現在さらなる明確化や利用者の増加につながる内容とするよう作業を進めている。例えば、サバイバルキャンプ等の防災イベントの実施者は、県または防災関係団体とすることの明確化や公園管理事務所と屋内運動施設の合築を提案する際の条件を緩和したい。
 また、屋内運動施設は、これまでテニスの公式戦ができることを求めていたが、テニスに限定せず多くの利用者が見込まれる利用方法を提案できるようにしたい。また、事業者側が観客席など過剰な設備を想定する傾向が見られたことから、開催できる試合のレベルは事業者側から提案できるようにしたい。
 このように、防災公園としての必須の内容と任意の提案を求める内容とが明らかになるよう整理していきたい。
【委員】
 要求水準書の中に幅を持たせ、自由度を高めた提案しやすい形にしたとのことである。
 引き続き事業手法について伺う。事業手法としては昨年の9月定例議会でBTO方式と一部工事を県が直接発注するという説明があったが、マーケットサウンディング等の結果の考え方に変更はないか。また、こうした事業手法を選択する理由も含めて、今一度確認する。
【理事者】
 設計建設においてBTO方式を採用する理由は、運営維持管理までを見据えて民間ノウハウを設計段階から反映することができ、安定的な運営や事業費コストの削減が期待できるからである。そうした効果が期待できる中で、従来採用することとしていたBTコンセッション方式と比べて施工例も多く、より多くの事業者の参加による競争性の確保も期待できる。
 また、一部工事を県が直接発注することについては、防災公園の整備が屋内運動施設と公園管理事務所の建築工事のほかに、多目的広場や駐車場等の造園土木工事など複数の工種にわたることを踏まえて、工種を整理し造園土木工事を県が直接発注することで複数の工種を一括して発注する、より参入が容易になるものと考えたからである。
 BTO方式、一部工事県直接発注での事業手法を踏まえ事業費の検証を行ったところ、コスト削減効果としては設計、施工一括発注や民間の創意工夫、ノウハウの活用による費用の縮減を見込むことができ、県が直接実施する場合に比べてバリューフォーマネーとして約5パーセント、約2億円の県財政負担の削減効果があると積算できた。さらに事業手法は、マーケットサウンディングにおいて課題等の指摘はなかった。
 こうしたことから、第2期防災公園は9月補正予算で想定したとおり、BTO方式、一部工事県直接発注として計画している。
【委員】
 方式はBTコンセッション方式よりもBTO方式と一部県発注で問題ないとのことだが、これまで2回不落が続いていることが一番問題であり、それに対して当局としても最善の対応に努めてほしいと本委員会で繰り返し指摘してきた。
 その上で、第2期の防災公園の発注に向けてどのような工夫をするのか。
【理事者】
 まず、要求水準書は県が求める施設の機能や性能を明確化し、事業者が過大な費用を積算しないようにするとともに、建物配置や仕様、実施するスポーツについて、より自由な提案を認めるようにする。
 また、可能な限り県と事業者の役割分担を明確化することで、民間の知恵やノウハウを生かすことができる余地を残しつつ、事業者がリスクを過大に積算しないように整理する。賃金水準または物価水準の変動への対応は、物価等の変動により設計建設費や維持管理運営費が不適当となった場合には、県または事業者は費用、サービス購入料の改定を請求することができるものとする。これは、他のBTO方式の事例でも一般的に行われている。
 特に、設計建設費の改定は通常の公共発注と同様に、いわゆるスライド条項を設け適用していく。これに加えて第1期の消防学校と同様に、将来の物価変動リスクを減じるため、昨年6月に公表された内閣府のガイドラインを踏まえ、物価変動に伴う契約金額の変更の計算基準日について、これまで契約の締結日としていたものを入札公告日に前倒しすることを考えている。
【委員】
 物価高騰に対しても様々な手を打ち、計算基準日も契約日から入札公告日に前倒しする方法も取っているとのことである。これまで、委員会において大規模災害はいつ起こるか分からないことも何度か話した。愛知県基幹的広域防災拠点の一刻も早い整備を要望してきたところだが、第2期の防災公園のスケジュールはどのように予定しているのか。
【理事者】
 第2期の防災公園のスケジュールだが、本定例議会で当初予算の議決がされた後、本年4月に実施方針を公表する予定である。その後、7月にこれまでに行ってきたマーケットサウンディング等の結果を踏まえた要求水準書を示して入札公告を行う。来年2月に落札者の決定及び公表を行い、議会での議決を得た上で、来年7月に契約締結ができるよう進めていきたい。その後、約3年をかけて設計建設、開業準備を行う。
 また、県が直接工事を発注する造園土木工事は、2027年度中の発注を予定しており、防災公園全体としては2029年度上半期の完成を目指していく。なお、公園施設の維持管理運営期間は2029年度から2049年度までの20年間である。
【委員】
 スケジュールどおり進み、2029年度の上半期には完成するという予定どおり、しっかりと進めてほしい。
 県事業と同時に進むと思われる、隣接する豊山町の事業があるが、進捗状況はどうか。
【理事者】
 豊山町事業は、昨年10月に町において臨空第2公園基本計画が策定された。その計画においては多世代交流を目的としたアリーナ及び地域の魅力の発信につながるにぎわい施設の整備が予定されている。またアリーナについては、災害時に避難所として利用される。
 県としては、消防学校、防災公園そして豊山町事業との間で、どのようにして相乗効果を高めていくか、平常時においても災害時においてもどのような連携ができるか、引き続き豊山町と一緒になって検討し、必要なものについて要求水準書に位置づけていきたい。
【委員】
 これからも豊山町と一緒に連携しながら進めてほしい。
 今回の当初予算で防災拠点の全体像が見えてきたことになるが、12月補正予算で計上された消防学校の債務負担行為、そして今回の防災公園部分の債務負担行為、その他も合わせて防災拠点全体の事業費はどのようになるのか。
【理事者】
 前回の2023年6月補正予算発表時においては、全体事業費は350億円と見込んでいた。今回物価及び賃金の変動、埋蔵文化財調査の必要性が生じたことなどにより、そこから70億円の増加となり、全体事業費は420億円になると見込んでいる。
【委員】
 全体事業費は420億円とのことである。できるだけ国庫を活用するなど、財源を確保しながら事業を進めてほしいと思うが、現在見込まれる財源内訳はどのようになっているのか。
【理事者】
 財源内訳は、国土交通省の交付金、防災・安全交付金として約79億円、国庫補助事業に充当する県債、防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債として約93億円を見込んでいる。地方単独事業に充当する県債として約206億円、そのうち現在の緊急防災・減災事業債を想定するものが約93億円としている。そのほか名古屋市負担金等として約24億円、一般財源として約18億円と見込んでいる。
 なお、緊急防災・減災事業債等は来年度までの制度とされているが、その後継の制度の取扱いは今後定まってくるので、その中で最も有利なものを活用していきたい。仮に現行制度を前提に試算すると、交付金、県債の元利償還金に対する地方交付税の額、名古屋市負担金等の額を合わせると約215億円に上り、全体事業費約420億円の半分以上を特定財源や地方交付税で賄うことができると考えている。
【委員】
 緊急防災・減災事業債の制度を前提に試算するとのことで、約半分が交付税措置されるであろうというところ、特定財源や交付税で賄うことができるとのことであった。金額、予算の面もだが、愛知県基幹的広域防災拠点がスケジュールどおりに整備されて県民の安心に資することが一番大切なことだと思うため、今後もしっかりと事業を推進することを要望する。
【委員】
 次世代高度情報通信ネットワーク整備費について伺う。
 2002年度から運用を開始している現在の高度情報通信ネットワークは、災害時における円滑かつ効率的な通信を確保するための通信基盤として活用され、県機関と市町村、消防本部、防災関係機関を結んでいる。一方、現在県は国が定める新たな衛星通信規格への移行や設備の老朽化に対応するため、次世代高度情報通信ネットワークの整備を進めている。
 整備に当たっては、昨年2月定例議会で福田喜夫議員が議案質疑し、当時答弁した防災安全局長は、南海トラフ地震などの大規模災害時においても県、市町村、防災関係機関の間を確実につなぐネットワークであることが求められる中、映像送信等、近年のデータ通信量の増大への対応や高層建築物による電波障害のおそれを解消するため、メイン回線を有線回線に転換することとした。
 中部電力パワーグリッド株式会社の電力保安通信回線(CINET)は、県内全域において通信回線の複数ルート化が図られていること、専用回線のため災害時にも輻輳せず安定した通信が維持されること、24時間監視体制が確立されていること、また、有線回線の途絶や停電が発生した場合でも迂回による通信が確保でき、電力会社の回線として早期復旧が見込まれることから高信頼度の通信回線として活用することとした。
 なお、広域災害による途絶の場合にも備え、一般財団法人自治体衛星通信機構が管理運営する地域衛星通信ネットワークをバックアップ回線として引き続き利用することにより、通信の確保に万全を期すと当時答弁があった。
 そして、今年度から3か年かけて整備を行う計画と承知している。
 そこでまず、次世代高度情報通信ネットワークの整備に関し、現在どのような状況であるのか、また、次年度以降のスケジュールについて伺う。
【理事者】
 次世代高度情報通信ネットワークの整備は、2022年度から基本調査及び基本設計を行い、2023年度に実施設計を実施した。今年度からは、まず県機関、防災関係機関の工事に着手している。来年度は引き続き県機関、防災関係機関の工事を実施するとともに、新たに市町村54か所、消防本部34か所、計88か所の整備工事に着手する予定である。
 2026年度にかけて各機関の設備設置工事を実施し、整備が完了した機関から順次運用を開始、全面供用開始は2027年度を予定している。
【委員】
 昨年12月、総務企画委員会にて愛知県災害情報センターの施設調査をした。様々なシステムの説明を受ける中で、より多くの機関そしてより精度の高い情報の連携ができることが迅速かつ的確な災害応急対策に必要であると感じた。
 そこで、次世代高度情報通信ネットワークでは、どれくらいの通信容量を確保しているのか。また、新たにどのような機関とネットワークを結ぶのか。

愛知県災害情報センターの施設調査のようすの画像
愛知県災害情報センターの施設調査のようす

【理事者】
 次世代高度情報通信ネットワークにおける通信容量と、新たに接続する機関についてであるが、まず通信容量は現行の無線のネットワークに比べて、有線の光回線に転換を図り約5倍の通信容量を確保することで、ヘリコプターからの撮影映像や膨大な地図情報をストレスなく伝送できると考えている。
 次に、新たに接続する機関は、現行のネットワークが県機関、防災関係機関、市町村消防本部、合わせて146機関を結んでいるのに対して、次世代高度情報通信ネットワークでは、新たに災害拠点病院、通信事業者、運送事業者等を加えた203機関に固定の通信設備を整備する。また、保健所分室、県立学校をはじめ197機関に新たに可搬型の移動無線機を整備する。このことにより、ネットワークに接続する機関数は現行の146機関から400機関へと大きく増加する。
【委員】
 来年度予算では、3か年整備計画の2年目事業として59億余円が計上されている。そこで、来年度からは市町村及び消防本部の整備に着手するとのことだが、県はどのように市町村等の整備を支援していくのか。
【理事者】
 大規模災害時に県及び市町村が連携して災害対応を実施していくためには、市町村及び消防本部等のネットワークの早期整備が必要である。そこで整備に当たっては、県が一括して工事発注を行い、整備に係る工事費の削減と工期の短縮を実施し、早期の整備を図る。また、市町村及び消防本部が整備する工事費用は、現行ネットワークの整備維持と同様に県が3割を負担することで財政的な支援をしていく。
【委員】
 第2款総務企画費、第6項防災安全費のうち南海トラフ地震等対策事業費補助金について伺う。
 政府の地震調査委員会は本年1月15日マグニチュード8からマグニチュード9程度が想定される南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率をこれまでの70パーセントから80パーセントから、80パーセント程度に引き上げたと発表した。地震調査委員会の平田直委員長は80パーセント程度とは、いつ起きてもおかしくない数字と述べ、引き続き備えを進めるように求めている。
 昨年1月1日に発生した能登半島地震では、輪島市の中山間地域を中心に土砂崩れによる道路の崩壊などにより、救助や物資の運搬が困難になる孤立集落が発生した。国土交通省の能登半島地震の対応についての資料によると、最大で33地区、3,345人となっており、集落の孤立が実質的に解消したのは1月19日、実に地震発生から2週間以上も孤立が続いた。
 本県では、国が2023年7月に国土強靱化基本計画を変更したことを踏まえ、今年度愛知県地域強靱化計画を変更するとともに、今年度に最終年度を迎える地震対策アクションプランについて、風水害等対策を含めた総合的な防災対策のプランへとリニューアルし、一体化して推進できるよう作業を進めてきた。
 次期愛知県地域強靱化計画と愛知県の具体的なアクション項目を整理するあいち防災アクションプランの素案が取りまとめられたが、この素案では次期愛知県地域強靱化計画の六つの対策目標に人材育成等の対策を加えた7項目を対策の柱として掲げ、過去の風水害や能登半島地震の教訓等を踏まえた追加拡充を行い、290のアクション項目を設定している。県では南海トラフ地震等対策事業費補助金により、市町村の防災対策の取組を支援していると承知している。
 能登半島地震では奥能登を中心として土砂崩れによる道路の寸断などにより孤立集落が発生した。その教訓を踏まえて、南海トラフ地震等対策事業費補助金に新しく創設された被災者支援緊急パッケージの中に離島・孤立集落対策事業が設けられたが、これはどのような内容か。
【理事者】
 離島・孤立可能性集落内との情報連絡手段を確保するため市町村が実施する通信機器の整備、ヘリスポットの整備、被災者用の毛布など必要な資機材の整備を支援していく。補助率は3分の1が基本だが、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法による過疎地域を有する市町村と離島振興法による離島振興対策実施地域は、補助率を2分の1にかさ上げして支援していく。
【委員】
 2分の1へのかさ上げで、大変支援が進むものと期待する。
 能登半島地震では孤立した地域に対する支援が課題となっていた。今の答弁では、情報連絡手段を確保するための通信機器等の整備が含まれるとのことだが、補助金の対象となる情報連絡手段の具体的な内容について伺う。
【理事者】
 能登半島地震では孤立した地域において、外部との通信も遮断され被害状況の把握ができない事例があった。このため、南海トラフ地震等対策事業費補助金で孤立地域と外部が相互に連絡できるよう通信手段の確立を支援していく。
 具体的には、衛星携帯電話、衛星インターネット機器のほか、能登半島地震ではオフロードバイクが孤立地域における被害状況の確認などに活用されていた事例があったことから、悪路を走行して孤立集落内に侵入できるオフロードバイクなどを新たに補助対象としていく。多様な通信機器や自動二輪車を補助対象とすることで地域の実情に合った幅広い連絡手段が検討され孤立地域対策が進むよう、市町村に促していく。
【委員】
 オフロードバイクはぜひ導入を図るよう後押ししてほしい。
 次に、代替水源の確保について、国土交通省の資料によると、能登半島地震では浄水場や主要な送水管の破損等により、石川県、富山県、新潟県、福井県、長野県、岐阜県の6県で最大13万7,000戸の断水が発生した。愛知県庁業務継続計画の資料によると、南海トラフ地震想定のうち、本県では上水道では被災直後で最大約702万1,000人、給水人口の約9割が断水する。県西部と液状化の可能性が高い地域は95パーセントが復旧するのに2か月以上を要するなど、大きな断水被害が想定される。全県では95パーセント復旧に約6週間を要するとの記述がある。この予測に基づくと、相当の期間、復旧までの間、代替水源の確保が必要と考えられる。
 今回の能登半島地震では断水が長期化し、避難生活を送る被災者が生活用水の確保に苦労した事例もあった。南海トラフ地震等対策事業費補助金の被災者支援緊急パッケージには、ライフライン確保対策として代替水源等確保事業も含まれているが、その内容を伺う。
【理事者】
 代替水源等確保事業の補助対象について、能登半島地震では、断水が長期にわたる中、被災者は避難生活を余儀なくされたことから手洗い、風呂、トイレの洗浄など、日常の生活用水を供給する代替水源の確保が重要な課題となった。このため、市町村が災害用井戸などを整備する事業や、民間事業者や個人が所有する井戸を災害時に地域開放するため市町村が補助金を活用して整備改修する事業を補助対象とする。
【委員】
 次に、災害用の代替水源には井戸や貯水タンクなど様々なものが考えられるが、その中でも井戸は現在市町村ではどのような取組を行っているのか。
【理事者】
 市町村では、避難所に指定されている小中学校などの一部に井戸を整備しているほか、民間事業者や個人が所有し災害時に地域住民に井戸水を提供できる井戸をあらかじめ登録する災害時協力井戸登録制度を昨年8月現在で県内に21市町村が運用している。
【委員】
 民間事業者や個人が所有する井戸を地域に開放することは、代替水源を確保する上で効果的な取組と考えるが、どのように災害時の実効性を確保していくのか。
【理事者】
 南海トラフ地震等対策事業費補助金を活用して市町村が整備改修を行った民間事業者や個人の井戸などを市町村にあらかじめ登録するとともに、市町村と民間事業者等との間で災害時の井戸の運用について取決めをして覚書を取り交わすなどして実効性を確保していくことを考えている。県としては、市町村において災害時に被災者の生活を支える代替水源を確保する取組が一層進むよう支援していく。
【委員】
 最近生成AIを使うようになり、南海トラフ地震等対策事業費補助金の好事例を20個出すようインプットしたら20個出てきた。次に40個出すよう命令したら40個出てきた。多分100個出すように言ったら100個出てくると思う。これは何を意味しているかというと、地域によって様々な補助金が必要で、様々なメニューがあると思う。本日のこの委員会だけでも、先ほどの委員から質問のあった小型消防車両や、オフロードバイクなどを追加しているとのことである。地域に必要な事業こそが大事になるため、今後は各市町村への丁寧な情報提供や対話により、メニューに加えていくことが地域の安全につながると思うため、市町村との対話を要望する。
 令和7年度愛知県一般会計予算、第2款総務企画費、第6項防災安全費、第4目県民安全費自転車安全利用促進事業費について質問する。
 本県の昨年の交通事故死者数は141人で、前年比マイナス4人となり、6年連続で全国ワースト1位を回避することができたが、交通事故死傷者数に占める自転車の割合は増加傾向にある。
 そこで、本県で昨年発生した自転車の死亡事故のうち、自転車側が第一原因となる法令違反があった事故はどれくらいあり、どのような違反があったのか。
【理事者】
 警察本部に確認したところ、昨年中に県内で発生した自転車事故死者数は23人で、このうち自転車が第一原因となる法令違反があって亡くなった人が11人とおよそ半数47.8パーセントを占める。
 法令違反の内訳は、ハンドル操作不適などの安全運転義務違反が4人、優先通行妨害が3人、一時不停止が2人、信号無視及び整備不良がそれぞれ1人となっている。
【委員】
 自転車死亡事故のうちの約半数47.8パーセントが自転車側に第一原因となる法令違反があったとのことであり、交通ルールさえ守っていれば多くの自転車事故は防げると思う。自転車は非常に多くの人が手軽に利用する移動手段でもあるが、運転免許が必要な車やバイクと異なり、利用者にとって自転車が車両であるという認識が弱く、交通ルールを学ぶ機会が少ないことも事実である。
 そこで、自転車利用者に交通ルールを遵守してもらうために、県としてどのような取組を行っているのか。
【理事者】
 県では自転車のヘルメット着用と交通ルールの遵守を運動重点に掲げた四季の交通安全運動を、毎年県民総ぐるみで展開している。また、県民に自転車の正しい交通ルールと安全な通行方法を学んでもらうため、自転車シミュレーターを活用した体験型の出張講座を実施しており、今年度は2月末現在で41回、延べ3,032人に参加してもらった。
 さらに、啓発ポスターの制作配布や啓発イベントの実施、動画広告の配信など、自転車利用者に向けて交通ルールの遵守を呼びかける様々な広報啓発事業を実施しており、今年度は自転車事故死傷者の多い児童、生徒、高齢者等のそれぞれの世代別に自転車交通安全教育に関する教材を新たに制作し、県内の市町村や学校、シルバー人材センター等に配布するなど、ターゲットを明確にして啓発を実施している。
【委員】
 自転車に関わる事故が全国的に増加傾向にある中、自転車の交通違反に対して反則金を納付させる交通反則通告制度、いわゆる青切符を導入する改正道路交通法が昨年5月24日に公布され、2年以内、2026年5月までに施行される。
 交通反則通告制度では、報道によると113の違反行為を対象とし、16歳以上に適用されることとなり、通学等で自転車利用の多い高校生から高齢者まで年齢にかかわらず自転車の交通ルールを学び直していく必要があると思う。
 そこで、今回の交通反則通告制度の導入に向けて、どのような啓発を行っていくのか。
【理事者】
 自転車の交通反則通告制度、いわゆる青切符については16歳以上の運転者を対象に比較的軽微な違反行為について一定期間内に反則金を納付した場合は刑事裁判等の審判を経ずに違反処理を行う制度である。
 信号無視や一時不停止など113の違反が対象となると報道されていることは承知しており、今後、政令等により違反の対象や反則金の額、具体的な取締り方針が正式に定まっていくと理解している。
 今回の交通反則通告制度の導入は、自転車の交通違反の取締りに関する大きな制度変更であり、広く県民にその内容をしっかりと周知していくことが重要である。このため、来年度は自転車の交通違反取締りに関するデザイン性を重視した分かりやすいルールブックを新たに制作し、県内の市町村や学校、シルバー人材センター等に配布する。
 また、制作したルールブックを県ウェブページに掲載し、県内事業者等にも幅広く活用してもらうとともに、県が実施する啓発イベント、出張講座等でも積極的に活用していく。
【委員】
 私の住んでいる近くに事故が起こった交差点があり、15年くらい前に女子高校生が車にはねられて死亡した横断歩道には信号がない。10年くらい前にもう一件死亡事故があり、自転車の高齢者、加害者の車も高齢者と二件事故があった。その都度、信号の設置はできないのかと警察本部に要望したが物理的な問題もあってできていない。
 このように、交通死亡事故が後を絶たないが、規制の強化の前にルールブックを配布するというのは大変よい事業だと思う。免許制度がないこともあって自転車側にもルールを徹底することが大事であるが、機会がないため、最大の効果はルールブックにあると思う。
 答弁にあったように様々な機会を捉えて、好事例も勉強しながらルールブックを広く、自転車に乗る人は多いので子供からお年寄りまで手に渡るように、読んでもらえるように活用してほしいと要望する。

一般質問

【委員】
 大規模な林野火災対策について伺う。
 本年2月26日に岩手県大船渡市で発生した林野火災について、総務省消防庁の発表によると3月12日現在、約2,900ヘクタールが焼損し死者1人、住家102棟、住家以外では108棟が焼失や損壊した大惨事となり、3月9日に火災鎮圧と発表されたが、出火から16日経過したものの鎮火には至っていない。
 昨年4月からの林野火災の全国の発生状況を調べると、4月20日に岩手県宮古市で鎮火までに8時間、焼損面積約80ヘクタールの火災があり、岩手県防災ヘリコプター、青森県防災ヘリコプター、秋田県防災ヘリコプターと自衛隊ヘリコプター6機が消火に当たり、空中消火は延べ443回という記録が残っていた。
 また、昨年5月には、山形県南陽市で負傷者1人、建物2棟が全焼、137ヘクタールが焼損し鎮火まで9日を要した林野火災が発生している。9月には、山口県山口市で40ヘクタールを焼損した林野火災が発生している。
 12月に山梨県上野原市で発生した林野火災では、人的被害はなかったが、飛び火等でいわゆる火点が点在したために山梨県防災ヘリコプター、埼玉県防災ヘリコプター、横浜市消防ヘリコプター、東京消防庁ヘリコプター、自衛隊ヘリコプター5機が出動して、鎮火までに10日を要している。その後も長野県上田市、山梨県笛吹市、山梨県大月市でも林野火災が発生していた。
 今言った全国の林野火災はいずれも出火原因が調査中となっていたが、林野火災は主にたき火や火入れ等の人的な出火原因が多く、空気が乾燥して強風が伴えば一たび火災が発生すると瞬く間に火災が拡大し、地形が急峻な斜面、海岸線であれば複雑に入り込んだ入江などで消火が困難となるため、出火防止、いわゆる火災予防対策が大変重要と考える。
 そこで林野火災を警戒するために、消防法第22条に規定されている火災警報の発令がある。火災警報は、気象の状況が火災の予防上危険であると判断されるときに市町村長が発令するものであるが、県は火災警報がどれくらい発令されているか知っているか。
【理事者】
 火災警報の発令状況は、消防庁が毎年度調査を実施しているが、直近3年間、2021年から2023年の愛知県内での発令実績はない。
【委員】
 直近3年間で火災警報の発令実績がないとのことだが、以前、あすけ地域消防組合の時代、現在は豊田市と統合された旭高原元気村に行ったときに火災警報発令が流れた。火災警報発令までの具体的な手続は決まっているが、市町村が火災警報を発令しない理由は何が考えられるか。
【理事者】
 火災警報の発令に至る手続は、まず、気象台等から気象の状況が火災予防上危険である旨の通報、火災気象通報が県に対してある。それを受けて、県が市町村に通報している。市町村は火災気象通報を受けた場合などに警報を発することができるといった手順が、消防法第22条に規定されている。警報が発令されると、その効果として市町村の条例に定める火の使用の制限が行われることになる。標準条例では山林、原野における火入れなどが制限されることになっている。
 愛知県内においては、今年に入り1月に9日、2月に19日、3月は昨日時点で4日名古屋地方気象台から火災気象通報があり、高度情報通信ネットワークを通じて市町村に速やかに伝達した。
 火災警報を発令しない理由だが、山林原野を多く管轄する消防本部に確認したところ、警報を発する判断基準として湿度、風速の基準を消防本部において定めており、その基準に達していないことから発令しなかったとのことであった。なお、ホームページでの注意喚起や消防車両による予防広報など、林野火災予防に関する啓発を実施しているとのことであった。
【委員】
 火災警報が発令された場合、周知する必要があるが、既に山林に入山している人がいる。そういった場合、私は防災ヘリコプターの拡声器を活用することなどが有効かと思うが、どのように周知されるのか。
【理事者】
 入山者に対する呼びかけについては、地元消防本部による消防車両等による呼びかけが行われていると承知している。防災ヘリコプターによる呼びかけは、行ったという実績は承知していないが、今後各消防本部との会議等において必要性や有効性等について意見を聴きながら、防災ヘリコプターの活用も含めて状況に応じた適切で有効な方法を検討していきたい。
【委員】
 現在の状況を踏まえて、今後どのように対応していくのか。
【理事者】
 火災警報の発令を含めた林野火災予防についての今後の県の対応についてだが、岩手県の大規模林野火災の発生を受けて、総務省消防庁から林野火災の予防の徹底についての通知が3月4日に発出された。これを、県から各消防本部に対して速やかに周知した。この通知では、強風、乾燥が続くなど火災の危険性が高い状態となった場合には、市町村が責任を持って火災に関する警報を的確に発することとされている。県としては市町村に対し、火災気象通報を受け、火災警報の発令の判断も含めて、林野火災予防の取組をしっかりと進めるよう改めて周知徹底を図っていきたい。
【委員】
 林野火災は市街地における火災と異なり、現場への侵入放水全体像の把握が難しく地上での消火活動が困難な場合が多いため、空中消火の積極的な活用が重要である。消防ヘリコプター、防災ヘリコプターでの消火活動を迅速円滑に実施するためには、離着陸場や給水場所の確保、また県営名古屋空港に戻らなくても燃料補給が県内各地でできる体制を整えておくことが必要だと考えるが、どのような状況か。また、愛知県内の消防放水ヘリコプター3機だけでは対応できない場合もあると思うので、応援体制はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
 県営名古屋空港以外の離着陸場としては、48市町村に124か所を登録している。また、空中消火用の給水ができる場所としては、23市町村で75か所の池、その他河川を利用できる状況となっている。燃料は豊田市内に2か所、新城市、田原市、西尾市に各1か所の県内5か所に備蓄しており、これらを活用して県営名古屋空港以外でも燃料補給できる体制を整えている。
 また、延焼状況から被害の拡大が予測され、愛知県と名古屋市のヘリコプターだけでは消火が困難であると判断される場合は、岐阜県、三重県、静岡県と締結している相互応援協定に基づき、消火活動の応援を要請する体制を整えている。
【委員】
 現在の林野火災に関して火災警報に係る要望だが、火災警報を発令していない理由の中で、火災警報を発令する判断基準として湿度、風速の基準を定めており、その基準に達していないとのことだが、どこで観測しているのかが問題となる。
 ほとんどの場合、消防本部所在地のいわゆる気象観測機器だと思うが、あすけ地域消防組合は従前、足助町に消防本部があった。今は豊田市消防本部で豊田市内にある。この状況を考えると、例えば名古屋市なら守山区の東谷山周辺、豊田市なら稲武地区、旭地区、藤岡地区、小原地区、下山地区など、広域な山林が広がる地域がある。また、奥三河を管轄する豊川市などには、林野火災防止の観点から、火災警報を発する判断基準を的確に把握するように気象台から連絡がある。気象台の観測網のデータを活用しながら、適時適切な火災警報の発令が行われるよう、県も指導や助言を行い、各市町村が積極的な取組ができるようにお願いしたい。
 次に、住宅用火災警報器についてであるが、以前も令和6年12月定例議会総務企画委員会で、11月30日から12月7日の間に発生した5件の住宅火災における住宅用火災警報器の設置の有無について質問した。5件中2件は設置されており、3件は調査中との答弁であったが、その後の調査結果はどうか。
【理事者】
 昨年12月の総務企画委員会で答弁した後、管轄消防本部から報告があった。報告によると、3件のうち1件は住宅用火災警報器の設置があった。2件は不明との報告であった。
【委員】
 昨年12月の総務企画委員会で消防本部と協力して住宅用火災警報器が100パーセント設置されるように取り組むことを要望した。その後、県はどのように取り組んだのか、具体的にどんなことを行ったのか伺う。
【理事者】
 昨年12月の総務企画委員会以降の県の取組についてだが、西尾市消防本部が1月11日に開催した火災予防PRイベントにおいて、西尾市消防本部と協働して、住宅用火災警報器の設置点検交換の必要性についてPRを実施した。また、本年2月14日に昨年の住宅用火災警報器の奏功事例を県のホームページに掲載し、有効性を広く周知している。2月28日には昨年の火災概況について記者発表を行った。記者発表において、逃げ遅れを防ぐには住宅用火災警報器の設置が有効であることや設置後の点検、適切な交換について広く周知を行った。
 さらに、3月1日からの1か月間、県内の商業施設であるユニーの各店舗において、県が作成した防火ポスターの掲示をしている。そこで、住宅用火災警報器の設置点検交換を広く呼びかけている。また明日3月15日と明後日16日に、オアシス21銀河の広場において開催される、住まいづくりの総合イベント、あいち住まいるフェア2025においてもPRを実施する予定である。今後も様々な機会を捉えて住宅用火災警報器の設置や点検交換について、積極的に県民に呼びかけを行いたい。
【委員】
 住宅用火災警報器は義務設置であるが、一般的に10年くらいで電池切れとなり、ピッピッという警報音が発せられると皆さん知っているか。恐らく一般の人には警報音が何の音か分からないため、多くの人が取り外している状況を聞く。
 住宅用火災警報器メーカーは10年をめどに更新交換を推奨しているため、住宅用火災警報器の電池切れの例えばPR動画を作り、県などのホームページやSNS、ユーチューブなどにアップロードしてほしい。
 値段の話をすると、例えば1軒に五つ住宅用火災警報器があるとする。交換すると1個3,000円から4,000円である。電池交換は1個で1,000円くらいであるため、県民には電池交換の要領も周知した方がよい。せっかく設置した住宅用火災警報器が少しピッピッと鳴り、電池切れの警報を何か分からないのに外してしまったのでは、何をやっているのか分からないので、住宅火災で大切な命を守るためにも、あらゆる手段を講じてほしい。県としても、先ほど述べた電池交換の要領について、動画のアップロードを要望する。
【委員】
 災害ボランティアとの連携に関する取組について伺う。
 2022年9月定例議会で、県とボランティア団体との情報共有や今後の取組について一般質問し、防災安全局長から県、社会福祉協議会、ボランティア団体等で防災のための愛知県ボランティア連絡会を設置しており、被災地での活動内容や支援方法について意見交換や協力体制づくりに努めるとともに災害時に備え、広域ボランティア支援本部の設置訓練を実施していること、また、保健医療、子供、高齢者福祉、障害者支援分野の団体と情報交換を行うため、愛知県災害支援のためのボランティア等情報共有会議を新たに立ち上げたと、当時答弁があった。
 そこで防災のための愛知県ボランティア連絡会をはじめとした連携について、2023年度及び今年度はどのような取組を実施したのか伺う。
【理事者】
 防災のための愛知県ボランティア連絡会は、2023年度は活動状況報告や意見交換を目的とした定例会を4回開催するとともに、2023年6月の大雨災害に伴う臨時会を2回開催し、支援状況等の情報共有を図った。今年度は定例会を3回開催し、今月末に、もう1回開催を予定している。また、広域ボランティア支援本部の運用訓練に関しても、各年度1回ずつ開催した。
 なお、愛知県災害支援のためのボランティア等情報共有会議は、2022年度までの実績を踏まえて2023年度からの2か年は、内閣府のモデル事業を活用した検討会へと発展させ、常設の災害中間支援組織の設立に向けた検討会を2023年度は3回、今年度も2回開催し、先月24日にシンポジウムを開催した。
【委員】
 災害中間支援組織の設立に向けて、先月24日にシンポジウムも開催したと答弁があったが、シンポジウムの場で被災者のための自発的かつ組織的に支援を行う災害中間支援組織である、あいち広域ボランティア・NPO支援本部の在り方を公表している。今後、災害中間支援組織の運営に当たっては、今までの取組が適切に引き継がれ、その役割をしっかりと計画に位置づけることが重要であると考える。
 そこでまず、災害中間支援組織とはどのような役割を果たす組織か伺う。
【理事者】
 熊本地震や能登半島地震など過去の大規模地震、大規模災害時においては避難所運営支援や被災地の復旧に係る重機作業等を実施する専門的な知識、技能を持つボランティア団体やNPOなどが多くの被災者支援に当たった。
 しかしながら、多くの団体が支援を行う地域がある一方で、支援が届かない地域があるなど支援の漏れ、むらといった課題が指摘されている。このような課題を解消するため、被災地で活動するボランティア団体やNPO等の活動支援や情報共有、活動調整をすることが災害中間支援組織の果たす役割である。
【委員】
 災害中間支援組織は現在策定中のあいち防災アクションプランの項目にも記載されている。そこで、あいち防災アクションプランの実施期間の5年間に災害中間支援組織について、どのように位置づけて取組を進めていく考えか。
【理事者】
 災害中間支援組織が災害時にその機能を十分に発揮するためには、平時からボランティア団体、NPO等との連携が構築されることが重要である。このため、あいち防災アクションプランにおいては、災害中間支援組織に関する取組として平時から県と多様な民間支援団体、組織等との協力体制確保に向けた連携づくり等を進めることを位置づけて取り組んでいく。また、人材育成や体制整備も重要であることから、プランに位置づけて訓練等を実施していく。
【委員】
 アクションプランの実施期間中の位置づけと取組については理解した。これまでも防災のための愛知県ボランティア連絡会などにおいて、意見交換を実施して災害時に備えていたと思うが、あいち広域ボランティア・NPO支援本部の下での新体制ではどのような点がこれまでと変わるのか。
【理事者】
 災害時は、広域ボランティア支援本部を設置してボランティアの活動調整を行っていた。また、平時は広域ボランティア支援本部の構成団体と防災のための愛知県ボランティア連絡会を開催して、活動状況報告や意見交換を行い、協力関係を維持してきた。
 今後は、広域ボランティア支援本部をあいち広域ボランティア・NPO支援本部と改称して常設化することで平時、災害時を通じて災害ボランティア活動全般に関する愛知県の窓口として機能するよう目指していく。
 また、あいち広域ボランティア・NPO支援本部では、災害時の業務として個人のボランティア活動に加え、専門的な知識技能を持つボランティア団体や、NPO等の活動支援や活動調整を行うことを明確化する。加えて平時において、新たに研修会やフォーラムなどを開催し、県内外で活動するボランティア団体、NPO等との顔の見える関係づくりに取り組むほか、ボランティア活動未経験の人の取組など、人材育成にも取り組んでいく。
【委員】
 様々な答弁があったが、一日も早くあいち広域ボランティア・NPO支援本部を設立してほしい。
 そこで、今後のスケジュールはどうなっているか伺う。
【理事者】
 あいち広域ボランティア・NPO支援本部の設立に向けて、現在の防災のための愛知県ボランティア連絡会を構成している14団体との速やかな協定締結に向けて準備している。
【委員】
 昨年10月の総務企画委員会の県外調査にて熊本県健康福祉政策課を訪問し、社会福祉法人熊本県社会福祉協議会における災害中間支援組織との連携について説明があった。
 熊本県では平成28年熊本地震におけるボランティア団体等に対する行政側の理解不足や連携の準備不足などの課題を教訓に、平時からの連携と災害時の連携体制を整備するため、特定非営利活動法人くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD)、特定非営利活動法人全国災害ボランティア団体ネットワーク(JVOAD)と平時の連携、災害時の連携協力、市町村におけるNPO等のボランティア団体との連携推進を盛り込んだ協定を締結し、これまでKVOADを事務局とする情報共有の場、火の国会議を440回、県、県社会福祉協議会、KVOADの3者連携会議を142回開催しているとのことである。そこで、中間支援組織結成後の具体的な連携イメージについて伺う。
【理事者】
 被災地支援が継続している熊本県では、熊本県や熊本県社会福祉協議会とは別にKVOADというNPOが災害中間支援組織の役割を担っており、県、県社協、KVOADの3者で定期的に連絡会議を開催し情報共有を行い、課題調整している。
 これに対し、愛知県におけるあいち広域ボランティア・NPO支援本部においては、その構成員にあらかじめ社会福祉法人愛知県社会福祉協議会が入る予定であり、また、当面事務局を愛知県防災安全局が担うことから、県、県社会福祉協議会との連携が取れる組織となると考えている。
 このため、熊本県のような県、県社会福祉協議会、災害中間支援組織の3者での連携会議は開催しないが、平時においてあいち広域ボランティア・NPO支援本部を構成する団体間の関係をより強固なものとするために、定期的に連絡会を開催していく。
 また、熊本県では実際に被災地支援に当たっているボランティア団体、NPO等の参加を得て県災害対策本部からの情報提供、ボランティア団体、NPO等の間での情報提供を行うための火の国会議が開催されている。本県においても、大規模災害時にはあいち広域ボランティア・NPO支援本部が事務局となって、情報共有のための会議を開催し、活動調整につなげたい。
【委員】
 熊本県の災害中間支援組織を例に、ボランティア団体との具体的な連携イメージについて質問したが、熊本県を含む23都道府県で既に災害中間支援組織の運営がされている。そして、先行している組織の中には実際に近年大きな災害に見舞われた地域も多く見受けられる。実務を経験した組織と本県のように想定で行う組織とでは、運営面に差が生じてしまうことはあると思う。その差をできるだけ埋められるように、これから関係者間でしっかりと話し合ってもらうことを要望する。
【委員】
 災害時の備蓄をどのように市町が行っているか伺う。以前も指摘したが、直接死よりも関連死が多い事例は、能登半島地震でもはっきり出ている。そうした中で、トイレの問題が一番大きいと聞いており、東日本大震災のときも3日以内にトイレが届いたのが34パーセントしかないとのことである。備蓄の方法、どう被災地に届くかという観点から、どういった体制でどこに備蓄して、どう届くかを県がしっかりと把握しているかをもう一度確認したい。
 先日、国が全体の備蓄状況の数を公表し、米やパンなどの主食、水、ダンボールベッド、トイレ、テントの数を把握したが、県として最低限必要な数を把握し、どのように届くかという体制もできていると思う。主食、水、トイレ、ダンボールベッド、テントの5項目について、現在、県内の市町村の備蓄状況及び体制、どう届くかについて把握している内容があれば伺う。
【理事者】
 内閣府が調査を実施した昨年11月1日現在の、県と市町村の備蓄の合計だが、まず、米やパン等の主食類は約661万6,000食、水は約162万4,000リットルとなっている。既設の便器に袋をかぶせ、し尿を凝固剤で固める方式の小型で持ち運びができる携帯トイレは県、市町村の合計で約612万8,000回分ある。
 また、トイレについては食料飲料水と同様、3日分を市町村が備蓄して、不足分を県が保管して備蓄するという体制を取っているが、県の被害想定により、発災1日後に想定される避難者約71万8,000人を基礎として、これに対応して必要となるトイレは1人1日当たり5回、3日分で計算すると、トイレの必要量は1,077万回分となり、県や市町村の備蓄だけでは不足する状況となっている。このトイレについては、不足を補うために民間事業者等との協定により確保する体制を取っている。
 ダンボールベッドは県と市町村の合計で約8,000セット、簡易ベッドは約1万5,000台となっている。
 テントは、内閣府の調査項目に含まれていないが、県の調査によると、昨年4月現在で県、市町村の合計で約1万8,000張りのテントを備蓄している。
【委員】
 それで足りるのかという話である。特にトイレとベッドは全然足りない気がしており、トイレトレーラーを3台購入するのはよいが、3台しか所持していない。トレーラーは、全国で81台しかない。国が調査したという話があったが、県としても調査しているのか。国の調査では、備蓄がゼロの自治体もあると聞くが、この辺りについて、しっかり県として把握しているのか。
【理事者】
 トイレ、トイレカー、トイレトレーラーの配備状況について、県内の市町村の状況は県として把握している。
【委員】
 それでは、まず数として足りるかという問題がある。仮設トイレも含めて、それぞれが例えば業者に頼むと大量に持ってきてもらえる体制になっていると思うが、携帯トイレを含めた設置型のトイレのみならず、ベッドも含めて各市町村の分は把握しており、なおかつ足りるという認識でよいか。
【理事者】
 県として、市町村ごとの備蓄状況は把握している。市町村によってトイレカー、トイレトレーラーのように備蓄がない自治体も実際にある。特にトイレは、必要量に対して備蓄だけでは不足することが想定されるため、繰り返しになるが、民間事業者等と結んでいる協定を使い、国からも大規模地震の際には発災4日目以降にプッシュ型で支援が届くという計画をしており、県、市町村の備蓄、また民間事業者との協定、国からのプッシュ型の支援を組み合わせて確保していきたい。
【委員】
 協定の部分の台数は、どれぐらい業者が所持しており、どのように届くかは協定の中で取り決められているか。
【理事者】
 協定の中で具体的な調達可能な台数までは定めていないが、市町村の備蓄状況や県の備蓄状況などを踏まえて、必要な数量を協定事業者に要請し、確保していきたい。
【委員】
 台数は協定の中では把握していないとのことである。災害が起きたときに、例えば建築業者が所持している仮設トイレについて、何台所持しているか分からないが、持ってきてほしいと言い、持ってくるかもしれないが、果たして間に合うか、足りるかどうかは難しいと思う。トイレに関しては、日頃からある程度、市町村が設置型のトイレをきちんと備蓄しておく必要がある。
 そうした点をきちんと県として把握してほしいと思うし、できれば台湾を参考に、プライバシーの確保を考慮すると、テントも非常に重要だと思う。これこそ、協定の部分でお願いして用意してもらわないと、在庫がなければ難しい気がする。
 スフィア基準への対応も難しいところがあると思うが、最低限水と食料、トイレは3日以内に来る、そしてある程度長期になった場合はベッドやテントがあるという状況をつくらないといけない。
 災害関連死が起こる点について、3か月も4か月も体育館で雑魚寝の状況が続くことや、食料もままならないことは、能登半島地震の際にも聞いた。そうした状況が続くことも、被災者は耐え忍んでいる。そういった状況が、ぜひ少しでも改善されるように、愛知県も体制を取ってほしいと思うが、防災安全局長の考えを伺う。
【理事者】
 避難生活を支えるための市町村の物資の備蓄の問題についてだが、指摘のとおり能登半島地震の場合、食料、簡易ベッド、災害用のトイレ等と、トイレトレーラーは補完的なもので、簡易トイレのような凝固剤で固めるタイプのものが主力になっていくかと思うが、そうした必要な物資が発災直後に不足する指定避難所、あるいは備蓄そのものがない自主避難所が発生した。
 指摘のとおり、国は避難生活の取組支援でスフィア基準への対応あるいは場所の支援から人の支援への転換で、避難所外に避難する人たちも支援していくことを明確化している。したがって、市町村あるいはそれを補完する立場の県には平時から必要な物資を十分に備蓄していく必要があると思っている。
 一つには、県では今回、先ほど審議された令和7年度当初予算の南海トラフ地震等対策事業費補助金の中に被災者支援緊急パッケージを新設し、車中泊避難者あるいは在宅避難者のための対策等も重点的に支援できる形で支援の部分を作っている。
 そうしたものを活用し、市町村によって凸凹があるため、さらに県としても引き続き、市町村の備蓄状況を踏まえて広域的な視点から補完できる形での備蓄をこれからもしっかりと確保していきたい。そうした形で大規模災害に備えて、一つ一つしっかりと物資の備蓄に取り組んでいく。

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