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総務企画委員会審査状況(令和7年7月1日)

ページID:0606265 掲載日:2025年10月1日更新 印刷ページ表示

総務企画委員会

委員会

日時 令和7年7月1日(火曜日) 午後0時59分~
会場 第8委員会室
出席者
 神戸健太郎、朝日将貴 正副委員長
 水野富夫、藤原ひろき、辻 秀樹、今井隆喜、増田成美、長江正成、
 森井元志、朝倉浩一、黒田太郎、木藤俊郎 各委員
 防災安全局長、防災部長、県民安全監、関係各課長等

総務企画委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

第114号 工事請負契約の締結について(次世代高度情報通信ネットワーク市町村等設備整備工事)

結果

全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
 第114号

会議の概要

  1. 開会
  2. 議案審査(1件)
    (1)理事者の説明
    (2)質疑
    (3)採決
  3. 一般質問
  4. 閉会
主な質疑
議案関係

【委員】
 私からは第114号議案工事請負契約の締結について、次世代高度情報通信ネットワーク市町村等設備整備工事について伺う。
 まず、次世代高度情報通信ネットワークの整備については、今年度の当初予算において約59億7,500万円が計上されている。また、昨年の6月定例議会においても次世代高度情報通信ネットワーク整備に関する契約議案が提出されていたと認識しているが、それぞれ今回の議案とはどのような関係にあるのか。また、改めて整備全体の概要について再度伺う。
【理事者】
 今年度当初予算に計上している歳出59億7,539万余円については、昨年度から実施している県機関及び防災関係機関の工事の今年度分約47億6,000万円、今年度から実施する市町村等の整備に係るものが約12億1,500万円という内訳になっている。昨年の6月定例議会で議決された契約議案は、県機関及び防災関係機関に係る工事の契約となる。今回提出した契約議案は、市町村等の整備に係るものであり、来年度工事分を含めて、契約額15億5,430万円の契約の締結をお願いするものである。また、それらを含めた整備全体の概要としては、2022年度から基本調査及び基本設計を行い、2023年度に実施設計した。その後、先ほど答弁したとおり、2024年度から、まず、県機関、防災関係機関の工事に着手した。今年度は、これらに加えて、新たに市町村、消防本部など計94か所の整備工事に着手する。
【委員】
 県機関及び防災関係機関分については昨年度から整備を開始していると先ほど説明があったし、私自身も認識している。これについての進捗状況を伺いたい。また、市町村分を含めた全体の供用開始はいつになるのか併せて伺う。
【理事者】
 県機関及び防災関係機関分については、昨年の6月定例議会において議決してもらった後、昨年7月に工事に着手し、2026年度中の完了を目指して整備を進めている。なお、整備を完了した本庁等の一部機関では既に運用を開始している。また、市町村等における整備については、今回議決されたら、速やかに契約を締結した上で工事に着手し、2026年度にかけて設備設置工事を行い、整備が完了した機関から順次運用を開始する。全面供用開始は2027年度を予定している。
【委員】
 整備が完了したところから順次運用を開始していくとのことだが、この件については、これまでの議会でも次世代高度情報通信ネットワークについての内容の説明があった。本委員会では、昨年12月に、本県の災害対策本部における実際の運用について視察した。これらを踏まえ、改めて今回の次世代高度情報通信ネットワークの整備について、これまでのネットワークとどう変わっていくのか、また、新たなネットワークの整備によって、県としてどのような効果を見込んでいるのか伺う。
【理事者】
 現在の高度情報通信ネットワークは県が2002年度に整備したものだが、2027年度までに新たな衛星通信規格への移行が必要とされており、また、整備後20年以上が経過し、設備の老朽化が進んでいる。このため、次世代高度情報通信ネットワークとして情報通信設備を全面更新するものである。次世代高度情報通信ネットワークでは、現在の高度情報通信ネットワークと同様に、メイン回線とバックアップ回線による2系統のネットワーク構成は維持しつつ、メイン回線を地上系無線から民営の光回線の有線へ転換し、衛星系無線をバックアップとする構成とする。
 整備による効果については、新たな衛星通信規格に対応するほか、新たに災害拠点病院、通信事業者、運送事業者等をネットワーク接続機関として拡充することで、ネットワーク接続機関を現行の146機関から大きく増加させ、400機関による通信網が確立できる。また、メイン回線を有線の光回線とすることで、通信容量が約5倍となり、ヘリコプターからの撮影映像や膨大な地図情報を伝送することが可能となる。さらに、高層建築物により遮断されない通信回線網の構築が可能となる。
【委員】
 ICTの進展によって、情報の伝達はデータでやり取りされることが当たり前の現代において、防災対策上、強固な情報通信ネットワークの存在は、地震や風水害をはじめ、災害発災時においては、リアルタイムでより多くの情報をやり取りできるため、欠かすことのできないインフラ基盤であると認識している。一方で、昨年の元旦に発生した能登半島地震では、石川県内の一部市町村において、自治体間や国とのメールの送受信を担うネットワークが一時利用できなくなったようである。今回、新たに整備するネットワークについては、そうした教訓をしっかりと生かして、自治体だけではなく、接続機関数を大幅に増加させたと説明もあった。また、動画や高画質の画像等大容量のデータも送受信できるようになるなど、大きなメリットもあると説明があった。そして、県及び市町村をはじめ各機関において、早期にこの運用が開始できるよう、整備工事を確実に進めてもらうよう要望する。また、この件は昨年の11月の決算特別委員会でも我が党の委員から指摘したように、こうしたネットワーク整備がされることは非常に大切なことであるが、日頃からしっかり運用していくことが大変重要である。そうした日頃からの備え、そして訓練等についても十分に充実を図ってもらうよう要望する。

一般質問

【委員】
 私からは、高齢者の交通事故抑止に向けた取組について伺う。
 昨年、愛知県内においては、交通事故により141人の貴い命が奪われ、その半数以上の77人が65歳以上の高齢者であった。また、77人のうち41人が歩行者で最も多く、次いで自転車乗車中が17人であることから、高齢者の交通事故抑止対策、とりわけ歩行者、自転車への対策は喫緊の課題である。
 一方で、ニュースで毎日のように取り沙汰されている高齢者による高速道路の逆走やアクセルの踏み間違いによる事故が多発している。先々週、私の息子の妻も高齢者による信号無視で事故に巻き込まれた。話を聞いたところ、ぼーっとしていて飛び出してしまったとのことだった。何とかむち打ちで終わったが、車が大破して、全損で廃車となった。孫が乗車していればとんだことになっていたと思う。
 そこで、今年に入ってからの高齢者の交通死亡事故の発生状況とその特徴について伺う。
【理事者】
 令和7年1月から5月末までの交通事故死者数44人のうち、65歳以上は24人で、半数以上を占めている。特徴として、歩行者が10人で約4割を占めている。また、自転車乗車中が24人のうち6人で、25パーセントとなっており、そのうち3人が、信号無視や指定場所一時不停止といった交通ルールを遵守しなかったことで交通事故に遭っている。
【委員】
 県として高齢歩行者への交通事故対策についてどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
 高齢歩行者の交通事故については、特に横断中に多発していることから、横断するときは横断歩道を渡る、信号機のあるところでは信号に従うなど、基本的な交通ルールを守ってもらうように広報、啓発を行っている。具体的には、出張講座において歩行環境シミュレータを活用し、交通ルールを学んでもらっている。また、横断歩道でのハンドアップを促すポスターを作成して、図書館をはじめ、県内各所で掲示している。このほか、夜間、薄暮時の反射材着用は事故抑止に有効であることから、キャンペーンなどの機会に反射材を配布し、着用を促している。さらに、今年度は、高齢者層の利用が多い薬局や医療施設のデジタルサイネージを活用し、愛知県内で活躍する著名人が交通ルールの遵守や反射材の着用を呼びかける啓発動画を放映し、高齢者の交通事故ゼロを呼びかけていく。
【委員】
 高齢歩行者の対策については大変理解した。一方、高齢者の死亡事故には自転車乗車中のものも多くなっており、全体の25パーセントを占めている。また、その中には、信号無視や一旦不停止など、交通ルールを遵守しなかったことで交通事故に遭っている人もいる。折しも来年4月からは自転車の交通反則通告制度、いわゆる青切符が導入される。交通安全教育を受ける機会の少ない高齢者に対して、県はどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
 高齢者の自転車運転中の交通ルール遵守に向けては、老人クラブなどの行事において、自転車を運転する際に起こり得る危険を体験できる自転車シミュレータを活用した参加体験型の出張講座を実施し、疑似体験を通じて、自転車乗車時の交通ルールや危険性などについて周知を行っている。また、令和8年4月からの青切符の導入に向け、今年度作成を予定しているルールブックをシルバー人材センターや公民館など、高齢者が利用する施設にも配布していく。今後も、様々な機会を通じて、高齢者の交通事故抑止に向けてしっかりと取り組む。
【委員】
 それでは、要望する。先日、高齢者の女性が、車も古くなったので、安全装置付きの新車が欲しいと私の会社に来た。試乗してもらい契約に至ったが、数日後、納期もかかるとキャンセルになった。その人の娘に話を聞いてみると、最近事故のニュースがよくあり、怖くなって、改めて免許返納を決めたとのことだった。高齢者が被害者となる交通事故が発生し、また、ブレーキ、アクセルの踏み間違いを原因とする交通事故や高速道路での逆走など、高齢者が加害者となる交通事故も発生しており、その対策も喫緊の課題である。そこで、運転免許証の自主返納制度やサポカー限定免許証等に関する周知についても一層行ってもらうよう要望する。
【委員】
 私からは、地震対策として家具の固定について伺う。
 本年3月に、国の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループは、新たな被害想定と今後実施すべき防災対策について取りまとめた報告書を公表した。この報告書では、家具等の転倒防止対策を徹底することによって、屋内落下物などによる死者数を大きく減らせることが示されている。このように、家具の固定は地震対策として高い効果が期待できる取組であり、身近で比較的簡単にできる取組である。県民に取り組んでもらえるよう、しっかりと啓発していくことが必要である。
 そこで、愛知県の状況について質問する。まず、本県の家具の固定率は何パーセントか。また、家具の固定率の目標は立てているのか伺う。
【理事者】
 本県における家具の固定率については、2年に一度行っている防災に関する意識調査で確認している。直近の2023年9月から10月に行った調査では、家具の固定率は58.1パーセントだった。家具の固定率の目標については、本年3月に策定したあいち防災アクションプランにおいて、2023年度の58.1パーセントから、2029年度に65パーセントとすることを目標としている。
【委員】
 2029年度に家具の固定率を65パーセントに高めていくため、まず、家具固定の必要性を県民に理解してもらうことが必要だと考えるが、県としてどのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
 県民に家具の固定を行ってもらうためには、地震の揺れを体験してもらい、家具固定の必要性を体感してもらうことが有効である。このため、本県の保有する3台の地震体験車なまず号を活用し、積極的に啓発活動を展開している。
 具体的には、ショッピングセンターやハウジングセンター、展示会等の各種イベントや防災訓練など、多くの人が集まる場所に出向き、地震の揺れを体験してもらい、併せて家具固定の啓発チラシを配布している。このほか、市町村等へなまず号を貸し出し、学校や事業所の防災訓練などで活用してもらっている。2024年度は3台の合計で延べ355会場、延べ4万1,957人に地震の揺れを体験してもらっている。このほか、昨年11月に開設したスマートフォン用のサイト、防災・減災備L(そなえる)診断Webサイトでも、まずは必須の準備から、という項目で、家具等転倒防止を表示し、家具固定の重要性を啓発している。
【委員】
 家具の固定の必要性を伝えるために、地震体験車やウェブサイトを活用して取り組んでいることはよく分かった。しかしながら、必要性が分かったとしても、家具固定の具体的なやり方が分からないとなかなか進んでいかないのではないか。
 そこで、県民に家具固定の方法を分かりやすく伝えるためにどのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
 正しい方法で家具固定を確実に行ってもらうためには、家具固定に使う器具や取付けの様子を実際に見てもらうことが効果的である。このため、家具固定器具の取付け及びその指導をボランティアとして実施してもらえる人を家具固定推進員として登録する制度を設けており、推進員には、市町村や自主防災組織が行う研修、なまず号が派遣される啓発イベントなどに出向いてもらい、啓発や指導を行ってもらっている。また、愛知県消防学校内にある防災教育センターにおいては、家具固定の実物見本を展示しているほか、家具固定の実習も受け付けている。こうした取組により、確実に家具を固定するための方法について県民に学んでもらう機会を設けている。
【委員】
 冒頭にも言ったとおり、家具の固定は地震対策として高い効果が期待でき、かつ身近で比較的簡単にできる取組である。県当局においては、家具固定の重要性や取付け方法を分かりやすく伝える啓発活動により一層努めてもらうよう要望する。
【委員】
 まず、ドローンを活用した災害対策の推進等について伺う。今や、ドローンは様々なところで使われており、その進歩は日進月歩である。これは世界的な潮流である。
 そこで、最初の質問だが、災害対策においてドローンが広がっているが、先日、あいち防災アクションプランを見たところ、災害対策用ドローンを活用した防災対策の推進が位置づけられていた。警察、また自衛隊などとの協定に基づき、災害時に各機関が所有しているドローンなどから災害情報を共有する取組のようだが、具体的な協定の内容について伺う。
【理事者】
 2024年3月11日に、本県と中部管区警察局、国土交通省中部地方整備局、海上保安庁第4管区海上保安本部、陸上自衛隊第10師団、岐阜県、三重県及び名古屋市の8者の間で、災害時における映像情報の共有に関する協定を締結している。各機関がヘリコプターやドローンなどを活用し収集した映像情報を相互に共有するものである。県では、災害情報センターにおいて、これらの映像を被害状況の把握と対策の立案に活用する。また、ほかにも、2025年3月には、本県と名古屋港管理組合との間でも同様の映像情報を共有する覚書を締結した。
【委員】
 協定はそのように各機関の持っている情報や映像の共有などが中心かと思うが、映像の共有にとどまらずに、大規模災害時には、要救助者の捜索、また、その後の物資の搬送など様々な局面でドローンが活用されていると承知している。市町村においても災害対策用の目的でドローンを導入しようとする動きがある。災害対策のためのドローンを導入する場合に、県の財政的な支援は何かあるか伺う。
【理事者】
 市町村におけるドローンの導入に当たり、購入費及び操作技能習得のための講習費等に対して、県の南海トラフ地震等対策事業費補助金の災害応急対応等DX化推進事業のメニューによって財政支援をしている。補助基準額は350万円で、補助率は2分の1となっている。2023年度から補助対象としており、2023年度で5市町、2024年度で6市町に対して補助を実施している。今年度は、申請のあった7市町に対して交付決定した。
【委員】
 補助金により、市町村におけるドローンの導入を推進しているので、各市町村の災害対策部署との連携を密にして、市町での活用に即したドローンをできるだけ導入してもらいたい。今年2月に岩手県大船渡市で大規模な林野火災が発生した。岩手県大船渡市だけではなくて、全国でもテレビで報道されていたとおり林野火災が相次いだ。消火に当たった緊急消防援助隊などが赤外線カメラを搭載したドローンを飛行させていた。熱源確認を行いながら、翌朝からの消火活動の指揮に効果を発揮したと報道があった。
 そこで尋ねるが、愛知県内の消防機関のドローンの導入状況はどうなっているのか。
【理事者】
 2025年4月1日時点で、県内34消防本部のうち16消防本部がドローンを保有している。また、消防団では、安城市消防団が2基保有している。
【委員】
 消防団でも導入しており、団員にとっては導入に合わせて操作に習熟することが大切である。消防団に対するドローンの操作研修など、どのような支援が行われているのか伺う。
【理事者】
 本県では、6月7日及び8日の2日間にわたって、消防庁の事業を活用して、消防団員を対象に、県消防学校で消防団員ドローン操作講習を開催した。この操作講習には7市町から7団33人の消防団員が参加した。内容は、基本的な操作講習はもとより、高性能な赤外線センサーを搭載したドローンによって地表の温度差を観測するなどの実践的な研修も行った。参加者からは、実際に機体を操作することができ、貴重な体験ができた、実際の火災現場で活用したいなどの声をもらっており、大変好評だった。
【委員】
 林野火災がないことを望むが、これから気温の高い季節が来るので、愛知県の中山間地域でも、これらのドローンの活用事例を参考に、消防署もしくは消防団がドローンを活用することによって、迅速な消火活動、救助活動がなされることを望む。
 今質問してきたように、ドローンの整備には費用がかかる。そのことから、南海トラフ地震等対策事業費補助金を市町村が積極的に活用してもらうため、周知していくことが大事である。
 また、県内の消防団でドローンを保有しているのは安城市のみだが、講習会の参加が7団33人と、関心の高さがうかがえる。機器の導入に合わせて、研修機会の確保、また、補助などにも積極的に取り組んでもらいたい。
 次に、トイレの確保についてである。
 災害時のトイレについては、一般質問、また、本委員会でも度々質問がある。私も、能登半島地震の被災地には2月の初旬から1か月ほど赴き、ボランティア活動をして、200人程度が入れる避難所において、避難者たちとの対話を重ねてきた。やはりその対話の中で、課題の一つに、トイレや風呂の問題があった。生きている以上欠かせない、それらの課題を目の当たりにしてきた。
 愛知県では、あいち防災アクションプランにおいて、市町村が実施する避難所等で使用するトイレトレーラーのような移動式のトイレの整備等を支援することが位置づけられた。
 そこで、まず、愛知県では幾つの市町村でトイレトレーラーなどの移動式トイレが整備されているのか伺う。
【理事者】
 内閣府が昨年11月1日現在での災害用物資・機材等の備蓄状況に関する全国調査を実施した。その結果によると、トイレトレーラーなどの移動式トイレは、愛知県内で、岡崎市、一宮市、春日井市、刈谷市、豊田市、阿久比町及び幸田町の7市町が保有している。
【委員】
 昨年も私はこの委員会に所属させてもらい、トイレの質問をした。そのときに比べて、トイレトレーラーを整備している市町村の数が随分増えた。
 次に、市町村に対して、このトイレトレーラーなどの移動式トイレの導入に関して、どのような支援策が講じられているのか伺う。
【理事者】
 まず、国の支援では、昨年度、令和6年度補正予算に計上した新しい地方経済・生活環境創生交付金に設けられた地域防災緊急整備型は、避難所の生活環境改善をはじめ、防災、減災に必要な車両や資機材の整備を支援するもので、トイレトレーラー等の移動式トイレも対象とされている。県内では、2市がトイレカー等の整備について地域防災緊急整備型の交付決定を受け、整備を進めている。また、同じ交付金の中に設けられた第2世代交付金においても、ソフト事業などと組み合わせることでトイレトレーラー等の整備が可能とされている。そのほか、緊急防災・減災事業債等を活用した整備も可能である。
 次に、県の支援としては、南海トラフ地震等対策事業費補助金の避難所機能向上事業のメニューにおいて、トイレトレーラー等の移動式トイレを補助の対象としている。
【委員】
 以前に比べていろんなメニューが増えてきた実感もある。今答弁にあったように、ソフト事業と組み合わせる導入の仕方も選択肢として加わった。好事例を啓発していくなど、補助金を使って市町村にトイレトレーラーの導入を進めてもらいたいが、今後、県としてどのような方針を持って進めていくのか伺う。
【理事者】
 国交付金は、補助率が2分の1であるなど、市町村にとってより有利な制度となっているので、この国交付金の積極的な活用を促している。また、県が地域防災緊急整備型を活用して、本年度3台導入を予定しているトイレトレーラーに、災害時におけるトイレの重要性をPRするラッピングを施し、平常時は防災訓練や地域の各種イベント等での展示に積極的に活用することで、トイレトレーラーなどの移動式トイレの有用性を県民に広く理解してもらいながら、市町村における導入の拡大につなげていきたい。
【委員】
 要望であるが、避難所での状況を言ったとおり、初動体制ですぐ必要になるのがトイレである。一般質問でも、携帯トイレや簡易トイレの話題も出た。トイレの利用環境の確保には、様々なものがある。その中で、トイレトレーラーは、被災した人が安心して利用できるトイレの確保につながる。体の不自由な人も安心してトイレを使える環境配慮型のトレーラーも多くある。市町村の導入が今後進むように、財政支援制度を周知してもらって、県が導入するトレーラーの活用も一つだが、快適さと必要性の理解が進むように働きかけていってもらいたい。
 つい先般、公明党の県議団で、ためるタンクは紙ではなく樹脂製であるが個室の壁やドアが固い紙でできたトイレを視察した。この利便性は、組み立てて保管でき、倉庫で五、六段積んでおける。マニュアルさえあれば、一般の人でも1時間ほどで組み立てられて、ドアもしっかりしているし、明かりもついている。不審者が周りをうろうろすることがあれば隠れられるとも説明を受けた。このように、いざとなったときに、1時間、2時間で緊急用のトイレが用意できる商品もある。防災安全局の職員にも立会いをしてもらい、デモンストレーションしてもらった。
 能登半島の避難所には、いわゆる従来型のレンタル式のものがあったが、やはりどこかから運んでこなければいけない。トイレトレーラーなど、ネットワークにより被災地に集まる仕組みも構築されつつある。いち早くいろいろな商品やシステム等を参考にして、被災した場合には迅速なトイレ環境が築けるように要望する。
【委員】
 本県における防災対策について伺う。
 本県の防災対策といっても、防災安全局がまとめながら、各部局横断的に協力して、愛知県の防災力をどのように高めていくのかについて取り組んでいると思う。その一番大きな枠組みは、愛知県の地域強靱化計画である。我々も9月に市町村等で防災訓練を行うときに、第3次あいち地震対策アクションプランや行動計画で出ていた過去最大級の数値を目標としている。一番分かりやすかったのが、死者数6,400人を1,200人に8割減にする目標である。家屋の全壊倒壊も9万4,000棟から4万7,000棟に5割削減しようという目標が2014年に発表されて、10年間かけて県民に周知されてきた。
 この県の防災計画の基となる強靱化計画があって、その計画をつくるための算定に必要とする国の被害予測調査が新しく出された。県としては、来年の6月に公表して、防災会議において議論を進めていく。今年度新しく強靱化計画もできて、第3次あいち地震対策アクションプランの後継となるあいち防災アクションプランも今年度新しくできたが、国において被害予測調査が新たにできたため、アップグレードしなくてはいけない状況だと思う。
 そこで、今後、来年の6月に防災会議を行うが、県の基となる地域強靱化計画、そして行動計画となるあいち防災アクションプランをいつまでにアップグレードするのか、スケジュール感を伺う。
【理事者】
 現在進めている県独自の南海トラフ地震被害予測調査については、先ほど委員指摘のとおり、2026年6月頃に開催する県防災会議において結果を報告し、公表する予定としている。調査においては、本県における防災対策上の課題についても整理し、今後必要となる対策を明らかにする。こうした対策については、可能な限り速やかに実行に移していく必要があるものなので、調査結果の公表に併せて検討に着手し、必要に応じたプランの見直しにつなげることができるよう準備を進めていく。
【委員】
 可能な限り速やかにとあったが、3年も5年もかけてプランの見直しをするわけではないと思う。可能な限り速やかにとは、ざっくりと大体1年ぐらいなのか、来年度中までにはプランを改定するのか、2年ぐらいかかるのか、そうした感覚を伺う。
【理事者】
 現在、被害予測調査を進めている最中であり、その中で防災対策上の課題について整理し、対策を明らかにする予定であるので、現時点において、いつまでと言うことができない。いずれにしても、できるだけ速やかに実行できるように準備を進める。
【委員】
 認識は一緒だと思う。長い年月をかけて、プランを改定するのではなく、国の被害予測調査をしっかりと参考にして、防災安全局のみならず、他部局においても、数値目標など取り組んでいかなくてはならないことが明確になると思うので、できるだけ早くお願いする。
 また、次期プランを改定していく中で、過去のプランはどのような実績があったのか、どのように防災力向上につながったかを評価すべきである。2015年から10年間行った第3次あいち地震対策アクションプランは防災安全局としてどのように評価しているのか伺う。
【理事者】
 第3次あいち地震対策アクションプランにおいては、10年間の計画期間において41項目の進捗管理指標を掲げ、対策に取り組んできた。2024年度末現在の実績については現在集計中であるので、計画9年目の2023年度末現在の状況について説明する。41項目については、県有施設や県立市町村立学校の耐震化、地震時等に著しく危険な密集市街地の解消、浸水、津波避難計画を策定している市町村の割合、災害拠点病院、病院群輪番制参加病院等の耐震化など、計画期間満了前に目標を達成した項目が23項目、率にして約56パーセントとなっている。このほか、津波避難ビル等を指定している市町村の割合や、事業継続計画を策定している中小企業の割合、農業用ため池の耐震整備箇所数など、目標を9割以上達成しているものが7項目あり、これらを含めると30項目、率にして約73パーセントとなる。
 このように多くの項目で目標達成や達成に近い実績となっているところであり、第3次あいち地震対策アクションプランに基づく取組により、本県の防災対策を着実に進めることができた。
【委員】
 まだ2023年度末現在の数字しかないようだが、項目の73パーセントの達成率ということで、しっかりとした率だと思う。今後改めて、数字がしっかり出てきたら評価を行ってほしい。
 冒頭に言ったが、今年度新しく策定した行動計画のあいち防災アクションプランを基に、防災安全局のみならず、各部局がそれぞれ災害に対して行動を起こしていく必要がある。他部局に横断するところもあるが、防災安全局に関わるところを伺う。
 特に市町村に関わるところを伺うが、先ほど消防団等の話題も出ていたが、火災等が起きたときに必要になってくるのが水利である。自然水利等は除いて、貯水槽の耐震化はあいち防災アクションプランにうたってある。貯水槽の耐震性の整備の支援を行っていくとプランに上げているが、その支援内容または状況等について伺う。
【理事者】
 市町村の耐震性貯水槽の整備に当たっては、国と県による財政的な支援措置を講じている。具体的には、国の消防防災施設整備費補助金と、県では南海トラフ地震等対策事業費補助金で措置しているが、国補助金の補助率が2分の1以内と有利なことから、国の補助金の活用を促し、国庫補助で不採択、もしくは国の補助対象とならない事業に対して県補助金の対象としている。今年度は、国の補助金に耐震性貯水槽の整備を申請した5市が採択されている。また、事業金額による交付要件を満たさず、国の補助対象とならない3市の事業に対して県の補助金の交付決定をしている。
【委員】
 この貯水槽について指摘したい。貯水槽は、豊川市だけで約590基ある。消火栓が1,000を超える。今年度の国の補助で5市が採択され、県の補助金を交付するのは3市である。承知のとおり、愛知県は54の市町村があるが、このスピード感で耐震性のある貯水槽が整備できるのか、ぜひ考えてもらいたい。
 また、この補助についてであるが、国の補助については我々も声を出していくが、県の部局からもこういう問題があることはぜひ理解してもらいたい。市町村で課題になっていることは、基準額の約950万円を達成しないと、国の補助の対象にならないことである。そうすると、一般の規模の40トンの貯水槽、1か所で耐震化の工事を行っても、もちろん基準額以下で補助の対象にならない。財政力の有無にも関係してくるが、財政力があまりない市町村だと、年に1か所ぐらいが限界である。三つぐらい一度にやれば国の基準対象を満たすが、そこまでの体力もなく、整備の数を増やすことができない状況があることはぜひ理解してもらいたい。新たなプランをつくっていくわけであり、目標数値を明記できるとよいと思うし、こういった課題があることも十分理解してもらって、国と議論するときにはそういう発言もしてもらいたい。
 次に、避難誘導の標識等について伺う。
 我が地域も海がある地域である。例えば御津1区、2区の企業団地で勤めている人、また、そこの公園で県外から遊びに来ている人、隣には蒲郡市があって、ラグーナテンボスがあり、観光客など、ふだんそこに住んでいない人々が多い。その人たちが、津波が来ると通知が来たときに、避難誘導標識を見て、高台や安全な場所に避難ができるような標識の設置が必要になってくる。県としてそういった標識の設置や、市町村に対して支援、また、民間企業に対してどういった協定を結んでいるのか、ぜひ教えてほしい。
【理事者】
 県では、愛知県避難誘導標識等設置指針を定め、避難誘導標識を設置する際の効果的及び統一的な基準として市町村に示している。具体的には、津波、洪水などの災害種別や、避難所、避難場所を表す図記号や、避難場所までの方向や距離を表示する標識の統一的なデザインを定め、市町村はその図記号を用いることで避難誘導標識を容易に製作できる。また、県民にとっても、統一的なデザインとすることで、どこにいても災害からの避難を容易かつ的確にできるものとしている。
 財政的支援としては、南海トラフ地震等対策事業費補助金の浸水・津波避難施設整備事業等のメニューで支援している。このほか、海岸線を有している、または河川遡上等による浸水、津波のおそれがある27市町村について、県は中部電力パワーグリッド株式会社及びNTT西日本株式会社との間で、各社が保有する電柱に市町村の標高表示板及び避難誘導標識板を設置する場合の基本事項を定める覚書を2018年度に締結している。具体的には、共架料等を無料とすることや、共通の契約様式を定めることで、各社との調整手続の簡素化を図り、避難誘導標識等の設置の迅速化につなげている。
【委員】
 標識が他市と違いが出ないように、愛知県内に住んでいる人はみんなが分かるような標識で、一元化すること、また、津波の被害が予測される市町村に対しては、電柱の使用に際して、県が間に入ってくれるとの説明だった。例えば避難誘導マップに落とし込みをして、ここに設置をしたいというときは、県に申請書類を出せば、中部電力パワーグリッド株式会社やNTT西日本株式会社に申請等を行ってもらえるのか伺う。
【理事者】
 中部電力パワーグリッド株式会社やNTT西日本株式会社の電柱にそういった標高表示板や避難誘導標識等を設置する場合には、当該市町村と中部電力パワーグリッド株式会社またはNTT西日本株式会社との間で直接契約を交わすことで、電柱の共架料等を無料とすることや避難誘導標識の設置の迅速化が図られる形で県は支援している。
【委員】
 次は、死体袋と遺体の処置体制の確保について伺う。まず、死体袋の確保状況について伺う。
【理事者】
 県地域防災計画において、遺体の処理に係る市町村の措置として、ひつぎ、ドライアイス等を調達し、埋火葬等の措置をするまで遺体を一時保存すること、県の措置として、ドライアイス等、遺体の処理に必要な物資の確保に努め、市町村等の要請に応じて、迅速に調達、あっせんの措置を講ずることとしている。2024年4月1日時点で、県と市町村合わせて2,250余りの死体袋を備蓄している。
 また、県としては、遺体の埋火葬・保管に係る資機材の確保に関して、関係団体との協定を締結している。具体的には、2011年度に愛知県葬祭業協同組合と協定を締結し、ひつぎ、ドライアイス、骨つぼ、骨箱その他の葬祭用品の供給を要請できることとしている。また、2019年度に一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会と協定を締結し、ひつぎ、ドライアイス、骨つぼ、骨箱、死体袋、その他の葬祭用品の供給について協力を要請できる体制を構築している。
【委員】
 現状、また目標設定は分かった。どんどんこれを整備してほしいという話は難しいかもしれないが、市町村でも整備ができるよう県が必要性を発信することは大事である。
 トイレの話は、先ほど委員からの質問があった。愛知県で3台購入していくと本会議でも答弁されたが、具体的にどのような性能があり、災害時にどのように活用していくのか伺う。
【理事者】
 県では、良好なトイレ環境の整備に資するため、トイレトレーラー3台の整備を進めており、主な仕様としては、お年寄りや障害のある人の利用にも対応できるバリアフリー仕様で、普通免許で牽引可能な車両の総重量となっている。災害時には、福祉避難所などのより良好なトイレ環境を必要とされる場所へ速やかに派遣し、活用することを考えている。
【委員】
 平時のときはどこに保管してあるのか伺う。
【理事者】
 県で導入を予定しているトイレトレーラーについて、県庁の西庁舎、西三河総合庁舎、東三河総合庁舎の、尾張、西三河、東三河の各地域に1台ずつ、駐車場において保管する予定にしている。
【委員】
 障害者や高齢者、車椅子の人にも利用できるように、勾配もなく、車椅子の人も自分で入っていけるようなトイレのスペックだと思う。
 委員からも話があったが、災害のときに避難場所で困るのがトイレであることは共通の認識で、関連死につながり得る。トイレの整備について、各市町村も必要性を認識し、国の補助、また県の補助を有効活用しながら、各市町村でまずは1個、という目標が必要と思っている。特に豊川市では、小学校にマンホール型トイレの設置を進めているが、車椅子の人が避難所で安心してトイレが利用できるように周知することも大切である。県の支援もぜひしっかりと手厚いものにしてもらいたい。
 最後に一点、先ほど委員からの質問において、なまず号が答弁の中で出てきた。市の防災訓練のみならず、各町内会の防災訓練でも本当に喜ばれて、防災意識の高まるなまず号である。なまず号を防災訓練のときに利用し、意識を高めてもらって、家庭の防災力を高めていくことが基本だと思う。プランの中に、水素を利用したなまず号とあるが、この水素燃料を活用したなまず号の考え方を伺う。
【理事者】
 新たに整備する起震車、水素燃料を使ったなまず号について質問をもらった。水素燃料を使った燃料電池車については、災害時において非常用電源として活用可能であること、また、CO2を排出しないので、屋内の展示場等でイベントにも使いやすくなる。起震装置を稼働させるエンジン音がなくなることから、静粛な環境で地震体験が可能となり、地震の揺れに伴い発生する効果音や説明が聞きやすくなるといったメリットがある。
【委員】
 このあいち防災アクションプランが今年度できて、これから5年間の計画で、国の被害予測調査を踏まえながら、新しい議論がされ、今、どんな課題があって、市町村はどんなことで困っていて、愛知県としてはこんなことを発信していきたいんだとか、市町村に理解してもらいたいだとか、お互いの思いが伝わることが重要である。そういった課題を解消できるようなアップグレードをしてもらうことを要望する。  

 

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