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総務企画委員会審査状況(令和7年12月25日)

ページID:0630875 掲載日:2026年3月11日更新 印刷ページ表示

総務企画委員会

委員会

日時 令和7年12月25日(木曜日) 午後1時~
会場 第8委員会室
出席者
 神戸健太郎、朝日将貴 正副委員長
 水野富夫、藤原ひろき、辻 秀樹、今井隆喜、増田成美、長江正成、
 森井元志、朝倉浩一、黒田太郎、木藤俊郎 各委員
 岡村 誠 参考人(東海学園大学経営学部 准教授) 
 人事局長、人事管理監兼人事課長、関係各課長等

総務企画委員会の審査風景画像
委員会審査風景

議題

職員のエンゲージメント向上の取組について

会議の概要

  1. 開会
  2. 委員長あいさつ
  3. 参考人からの意見聴取
  4. 理事者から議題の説明
  5. 質疑
  6. 閉会
参考人の意見陳述

【参考人】
 私、東海学園大学経営学部の准教授をしております岡村誠と申します。本日はこのような貴重な機会を頂戴いたしましたこと、心から感謝を申し上げます。
 先ほど委員長からも御紹介いただきましたが、私、大学卒業後に新潟県庁で10年間勤めまして、農業に関連する制度資金の運用を担当したりですとか、医療法関連の法律許認可関係の事務をしたりですとか、あとは、スポーツ推進計画、行政計画の策定事務ですとか、そういったことを経験してきました。その後、研究者になりまして、自治体職員の個人の特性、パフォーマンスですとか、モチベーション、あるいは能力、専門性など、そういったところを研究しております。
 本日は、自治体職員のエンゲージメント向上の取組というテーマでお話しさせていただくのですが、それにつきましては、私自身がこれまで新潟県職員としての経験ですとか、そういったところも踏まえ、また、さらには、このたび全国調査ですとか、あるいは、先進の実践事例の調査なども行った上で、そういった経験を踏まえながら、本日、最終的にはエンゲージメントをどう高めていくか、その展望と政策的な提言といいますか、示唆についてお話しさせていただきます。短い時間ではありますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の説明は、このような流れで行わせていただきます。
 まずは、最初に、本日の主題でありますエンゲージメントとは何かについて簡単に整理をさせていただいた後、自治体職員においてエンゲージメントが重要視される背景ですとか、そういったところをお話しさせていただきます。
 その後、私が行いました自治体職員のエンゲージメントの現状、そして、エンゲージメントに影響を与える要因に関する調査、その結果を御紹介して、その結果を踏まえまして、エンゲージメント向上に向けた取組の実践事例ですとか、方向性についてお話しさせていただきまして、最後に私見ということで政策的示唆を述べさせていただきます。
 まず、スライド3枚目になりますが、エンゲージメントとは何かということになります。このエンゲージメントというのは、もともと英語で、和訳をすると、契約ですとか、本当に雇用契約とか、そういったような意味の言葉になっていますが、これは、ビジネスですとか、あるいは学術界では少し異なる特殊な意味を持つ用語として使われております。
 例えば、ビジネスの世界におきましては、こちら、コンサルティング会社がよく用いているのですが、例えば、日本のみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社においては、こちらに書いてあるように、職場や会社に貢献し、つながりや愛着を感じている状態というような定義をしております。いわゆるこれは、従業員が組織に対して抱く貢献意欲ですとか、組織への愛着、そういったところを含む、そういった言葉として用いられています。
 一方、学術界では、ワークエンゲージメントという言葉がよく使われておりまして、これは、仕事に対する、仕事に関連するポジティブな充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭といった状態によって特徴づけられる状態だと定義されています。
 このように、こういったビジネス界、学術界の話を総合して平たく申し上げますと、エンゲージメントというのは、従業員が仕事に対して活力や熱意、そして没頭を持って取り組んでいる心理状態であり、結果としては、組織への愛着や、当事者意識というところにもつながる、そういう概念になります。一般的に、バーンアウト、燃え尽き症候群、疲弊ですとか、そういった特徴づけられるバーンアウトという概念の真逆に、いってしまえば、燃え尽き症候群の対極に位置づけられる概念とされております。
 エンゲージメントに関しては、非常に似たような言葉がございます。特に、職務満足感ですとか、ワーカホリズムという言葉が、これまでエンゲージメントという言葉が使われる前はよく使われておりました。この職務満足感というのは、これは文字どおり、仕事に対して満足をしている状態で、エンゲージメント同様に、ポジティブ、仕事に対してよいと思っている、よい感じを持っているんです。そういう面で言えば、エンゲージメントと非常に共通しているんですが、ただ、この職務満足感は、必ずしも、一生懸命働いているという状態であるかというと、そうとは限らないというのが職務満足感というふうになっています。
 一方、このワーカホリズムというものに関しましては、これは、いわゆる仕事中毒というような言われ方をされていました。これは、バブル期とかに一般化した言葉なんですが、確かに一生懸命仕事をしているという状態では、エンゲージメントと同じなんです。一生懸命仕事をしているという意味ではエンゲージメントと同じですが、ただ、一方で、このワーカホリズムというのは、仕事に対して非常にネガティブな感じを抱いている、言い換えると、不安や義務感に駆られて仕事を一生懸命やっていると、そういうのがワーカホリズムになっております。
 ですので、このエンゲージメントというのは、仕事に対して非常にポジティブな感情、よいという感情を持ちつつ、さらに一生懸命仕事を取り組んでいる状態という、この二つが両立している状態で最も望ましい状態にあるというのが、このエンゲージメントというものになるかと思います。
 続きまして、このエンゲージメントというのが、なぜ重要性が今、言われているのかというところです。
 少し民間企業の部分の背景になるんですけれども、20世紀に関しては、日本は非常に経済成長、そして人口増加が続く成長社会でした。当然、企業も自然と成長していく時代でした。この時期の人材マネジメントは、主に労災防止ですとか、メンタル不調の予防といった、いわゆるリスク回避型のメンタルヘルス対策というのが中心でした。
 ただ、それが21世紀に入りまして、低成長と人口減少が進む中、成熟社会へと移行していくと、状況は大きく変わります。いわゆる限られた人材の中で、従業員一人一人の強みを生かして組織全体のパフォーマンスを高める方向、そういったところが必要となりまして、そういった方向、施策へと人材マネジメントがシフトしていくと。一生懸命パフォーマンスを高めようと職員が、従業員が努力している、そういう状態の指標としてこのエンゲージメントというのが非常に民間企業において重要視されてきたということになります。
 ちなみに、学術界においても、このエンゲージメントが高い人材の特徴に関する調査が行われておりまして、例えば、エンゲージメントが高い人は、ここにも書いてあるように、慢性炎症反応が低いというような、いわゆる健康状態が良好であるというような報告もありますし、組織への忠誠心が高く、離職意思が低いといったこともあります。
 あとは、非常にエンゲージメントが高い人は、顧客に対して非常に配慮したおもてなしの行動を自発的に取り、組織への貢献を図ろうとする、そういう傾向が見られるといった研究もあります。
 あとは、サービス関連の業種ですが、非常にエンゲージメントが高い人がいると、職場全体の風土が、雰囲気が改善して、結果として顧客からの評価が向上すると、そういった報告も見られます。
 このように、従業員エンゲージメントが高まると、自発的な貢献行動、あるいは職場風土の改善、心身の健康の向上など、結果として組織パフォーマンスの向上につながるということが確認されています。
 このように民間企業の中でかなり注目されているのですが、自治体においても今、非常にこのエンゲージメント、注目されております。というのも、現在、少し自治体を取り巻く環境になるのですが、今、自治体の置かれている状況というのが、20世紀末ぐらいから地方分権改革というのが進んでおります。自治体は、20世紀の従来の中央集権システムの下では、国の政策ですとか、法令、事務を的確に執行、スムーズに執行するというのが非常に求められていました。
 しかしながら、このように分権化という中では、自治体が地域の課題に応じた政策を自律的に形成するという、いわゆる政策形成機能というのが非常に重要視されております。それに伴いまして、個々の自治体職員においても、自らの業務が本当に政策の成果、あるいは住民満足につながっているのかを考え、その実現に向けて自発的に様々な取組を立案して実行できる、そういった職員の育成というのが今、非常に自治体において課題となっております。
 こうした背景を踏まえまして、総務省が2023年に人材育成・確保基本方針策定指針というのを策定しまして、その中で、自治体において職員のエンゲージメント把握向上をすべきであるというような提言がされています。
 このように非常に政策形成ということが求められる中で、自主的、自発的にそこに関与し、成果、貢献できる自治体職員を育成する上では、このエンゲージメントというのが同様に非常に重要な指標になると考えられます。
 続いて、自治体職員のエンゲージメントを高めるための方策についてお話ししたいのですが、とはいえ、先ほど申し上げたように、これまでの多くの研究は、民間企業を対象としていまして、自治体職員に焦点を当てたエンゲージメント研究というのが十分とはいえないというのが現状です。
 そこで、今回、自治体職員のエンゲージメントの現状とエンゲージメントを高める、エンゲージメントに影響を及ぼす要因というのを把握するための目的で、全国の自治体職員及び全国の都道府県職員及び市区町村職員を対象に調査を実施しました。調査は、リサーチ会社の協力を経て、11月10日に実施して、444名から回答をいただきました。
 調査の内容、質問項目に関しましては、まずは、エンゲージメントを測定する質問項目として、定義にもあるように、活力や熱意、没頭、そして組織への愛着、あるいは当事者意識、そういった関係する5項目を質問項目として作成しました。
 その後、エンゲージメントに影響を与える要因に関しましては、これまでの既存の研究ですとか、書籍ですとか、そういったところを参考にしながら18項目を作成しました。その18項目のうち、職場組織からの支援に関する項目が10項目、個人の性格ですとか特性に関連する項目が2項目、仕事の特性に関するものが6項目ということで、計18項目になっております。
 回答方式につきましては、全く当てはまらないを1点、とても当てはまるを5点というような形で、5段階で求めまして、1点から5点で点数化しております。
 まず分析の結果になります。
 自治体職員のエンゲージメントの現状を見てみると、五つの質問項目それぞれについて、全回答者の得点の平均値を算出してみました。そうしたところ、活力3.35、熱意3.22、当事者意識3.3というように、この三つは比較的高く、自治体職員は、ある程度、一定の活力エネルギーや責任感を持って業務に取り組んでいるという傾向が見られました。
 一方で、組織への愛着ですとか、組織への誇り、あるいは没頭という部分については相対的に低く、資料が間違っています、失礼しました、没頭が2.96です。これは、所属組織への愛着や業務への集中度、これは、それほど強くは自治体職員は感じていないというところが確認されました。
 続きまして、エンゲージメントに影響を与えるであろう要因に関して、こちらに関しては、まず、職場組織からの支援に関する要因としては10項目、仕事の努力や成果に対して上司からフィードバックを受けているかと、あるいは、業務を進める上で、適切な支援やサポートが受けられているか、業務の進め方や意思決定において裁量が与えられているか、業務成果に見合った賃金を受け取ることができているか、自分は組織から正当に評価されているかどうか、組織の目標、ビジョンが明確化され、それに調和している、納得しているか、あとは、研修などの成長機会が提供されているか、あるいは、これは空調ですとか、あるいはインターネット環境ですとか、そういった職場の環境が整備されていて業務に集中できるかと。続いて、職場には協力的で前向きな雰囲気があり、メンバー同士の関係も良好であるか、ワーク・ライフ・バランスを支援するための制度や文化があるか、この10項目について確認をしました。
 そうしましたところ、こちらにあるように、裁量の付与という、裁量を発揮できているというところの得点が非常に高いと。また、職場の雰囲気ですとか、ワーク・ライフ・バランスの支援の得点も非常に高かったということで、これらに関しては肯定的に評価しているということが分かりました。
 一方で、これは後ほど話しますが、組織の目標、ビジョン、これが必ずしも十分に示されているとは評価していない職員が多く、これは、組織としての方向性、明確化という部分が不十分であるというような傾向があるということです。
 続きまして、個人の特性に関する影響要因について見ていきますと、ここでは、自己効力感といいまして、自分が組織の目標達成に貢献できているかどうかというところ、あとは、キャリア、自分のキャリアについて具体的な目標や希望を持っているか、この二つの項目について調査しております。
 これを見ますと、自己効力感に関しましては、高い得点が見られる一方、キャリア展望に関しては非常に点数が低いということで、自治体職員は、一定の自信を持って職務を遂行している一方で、将来のキャリアに関する目標、あるいは方向性、これに関しては明確に描き切れていない傾向が見られるというところになります。
 また、仕事の特性、特徴に関する影響要因の部分の傾向を見ますと、こちらは6項目になります。処理すべき業務量が多く、時間的余裕が乏しいかどうか、業務内容が複雑で責任が重く、高い集中力が求められる仕事であるかどうか、仕事において感情をコントロールすることが求められるかどうか、あるいは、役割分担が曖昧で、担当すべきかどうか迷う場面があるかどうか、あとは、時間外勤務や休日出勤が常態化しているかどうか、そして、単調な業務、裁量や創造性の余地が乏しい単調な作業が多いかという、この四つで項目として設定したところです。
 この結果なんですが、見ますと、責任のある仕事ですとか、感情コントロールの要求、この得点が高いということで、非常に自治体職員は感情面ですとか、あるいは責任の重さに対しては、非常に負担を感じるといいますか、そういう業務であるというふうに感じていると。一方で、長時間労働ですとか、単調な作業は比較的少ないという傾向にあるというふうに評価をしているということが分かりました。
 このように現状の傾向を見たんですが、続きまして、もう一歩踏み込んだ形で、では、先ほど挙げた要因がエンゲージメントにどれが強く影響しているかというのを少し私のほうで統計分析を行いました。その結果、こちらの8項目が非常にエンゲージメント向上に強く影響しているということが確認されました。
 紹介しますと、職場、組織からの支援に関しては、上司からのフィードバックがある、業務上の裁量がある、組織目標の明示がされているというところ、これが非常にエンゲージメントを高めているということでした。
 個人の特性に関しましては、自己効力感ですとか、キャリア展望、これが高いほどエンゲージメントが高いということで、自分の能力や、そういったところに自信を持って、将来に対して肯定的な見通し、ビジョンを持っている人ほどエンゲージメントが高いという傾向が見られました。
 仕事の特性につきましては、これは、責任ある業務や対人対応などを行う業務、この辺りの数値が非常にエンゲージメントに高く作用しているということで、これ、最初は、業務の負担が重ければ重いほど、エンゲージメントが下がると思ったんですが、そうではなくて、逆に、責任感が重たい仕事、これに取り組んでいる人ほどエンゲージメントが高いという結果になりました。逆に、単調な作業をしている人ほどエンゲージメントが低いという傾向が確認されました。
 今、申し上げた結果を踏まえて、ここでは、エンゲージメント向上の取組の方向性や具体的施策についてお話ししたいと思います。
 今の調査結果を踏まえると、自治体が重点的に取り組むべき方向性は、大きく四つあると考えます。
 まず、一つ目が、組織目標の提示とフィードバック体制の強化になります。調査結果で組織目標の明示とフィードバックが非常にこのエンゲージメントに影響していたという結果からも分かるとおり、自治体としての目標ビジョンをしっかり提示した上で、それを職員一人一人が納得して業務に取り組み、その成果や努力、業務プロセスに対して適切なフィードバックを受ける、行う仕組みというのが非常に重要になるかと思います。これは、民間企業では結構MBOという言い方をされて、日本語で言うと目標管理制度というもので、広くもう今では多くの自治体でも導入されている状態です。ただ、これのより実効性を高めるというところがまず重要かと思われます。
 二つ目は、仕事における裁量の拡大、そして創意工夫というものの奨励です。調査結果でも示されたように、職員が主体的に判断できる裁量を持つということは、エンゲージメント向上にこれは寄与します。そのため、可能な限り、もうやり方までがちがちに固めるというよりは、可能な限り職員一人一人の裁量の余地を広げ、あるいは創意工夫、こういったものを促す仕組みというのが重要かと思います。これは、もう自治体でも、例えば、具体例としては、業務改善報告ですとか、業務改善提案制度といったものとして行われていまして、近年、導入事例というのが非常に増えています。ただ、これもやっただけではなく、それをいかに実効性を高めていくかというところが重要かと思います。
 三つ目の方向性としては、キャリア形成と能力の支援といったところになります。先ほどの調査にあるように、将来のキャリアが明確であると同時に、自信を持って仕事を取り組めている人は、エンゲージメントが高くなる傾向にあります。したがって、職員自身の将来ビジョンを描き、それを実現できるようなキャリア支援や能力開発の機会を提供するというのが重要になるかと思います。
 四つ目としましては、適切な業務配分と人事配置になります。調査結果では、責任のある、非常に複雑性の高い業務、言い換えれば、挑戦的な仕事に取り組んでいる人ほど、エンゲージメントが高いという傾向が確認されました。もちろんこれ、過剰に負荷をかけてしまうと、バーンアウト、燃え尽き症候群につながる可能性があるために、そこは避けなければいけませんが、職員の能力や経験、そういったものを踏まえて適正な難易度の業務を割り振り、挑戦意欲や達成感、これを得られる機会を提供するということが非常に大事になってくるかと思います。
 以上の方向性を踏まえまして、少し実際の自治体職員の取組事例について御紹介をいたします。
 まずは、目標の提示とフィードバック体制、いわゆる目標管理制度についてです。これは、もう今、多くの自治体で取り組まれているのですが、こちら、簡単にこの制度について御説明しますと、手順としましては、まずは自治体全体の目標、これを明確化するというところから始まります。多くの自治体では、総合計画というものがもう策定されておりまして、恐らくそれに基づいて、各部局や課がそれぞれ独自の方針ですとか、目標というのを示していると思いますが、これがまさにその自治体の目標、ビジョンになるかと思います。
 その上で、目標管理制度では、年度当初に、各個人、職員個人が自分自身で目標を設定して、それを踏まえて上司と面談を行い、組織や課の方針、目標とすり合わせたりするというようなことが、まず次のステップで行われて、それを踏まえまして、職員個々人は、設定した目標、個人目標に向けて日々の業務を遂行し、必要に応じて上司の助言やサポートを受けるといった形になります。
 年度の中間には、中間評価として上司の面談を実施して、進捗状況を確認して、必要に応じて修正ですとか、見直しを行うと。年度末には、職員自身が目標に対して自分がどの程度成果を上げられたか、行動できたかという自己評価をしまして、それを上司も併せて評価して、それぞれ評価結果を持ち寄って面談を行い、最終的に上司から職員に対して、個々人の職員の努力や強み、改善点についてフィードバック、評価すると、お伝えするということです。
 最後に、組織的な話になりますが、こうした評価結果を踏まえて、今後の職員育成ですとか、研修計画、人事配置に活用していくというのが目標管理制度の流れになります。
 先ほども申し上げたように、この取組はもう多くの自治体で導入されていて、自治体職員のエンゲージメント向上にも寄与していると考えられますが、やはりこれも実効性を高めることが大事であり、特にその実効性を高める特徴的な取組としては、大阪府の泉南市が、この目標管理制度に関するマニュアルというのを本当に事細かく策定しておりまして、例えば、面談時に、職員との面談で素直に話し合える雰囲気をつくるとか、被評価者の話をよく聞き、中断しないとか、非常に事細かく面談のやり方などを決めていて、制度の実効性を高めようとしています。
 あと、愛知県で豊田市が、非常に業務内容ですとか目標の難易度というのを細かく類型化しまして、高い難易度に挑戦した人を高く評価する仕組みというものをしています。その際、評価に関しては、よく公務員って、割と減点主義などと言われますけれども、これを加点主義ということで、高く目標を設定して、それに対して挑戦した人を高く評価し、仮に未達であっても減点しないという、そういうことをして挑戦心を、意欲を高める、そのような制度として運用しております。
 少し目標管理制度に関しては、私自身の経験も申し上げますと、私は、かつて新潟県庁で勤務していたときも、これ、同様の制度がございました。入庁後、最初に配属されたのが農林水産部でして、当時、農業関係の補助金ですとか、融資制度の運用、これを担当していたのですが、やはり新採用でしたので、まだ右も左も分からない中で、とにかくもう目の前の事務処理を、申請書作成ですとか、そういったものをひたすら正確にやるということに終始していました。ですので、なかなか抽象度の高い総合計画における目標ビジョン、あるいは、新潟県の農業をどうしていくかという、そういうビジョンと、自分の業務を結びつけるというのが非常に難しい状況でした。
 そうした中で、最初に年度当初に係長と面談しまして、そこで組織の目標とか、課の目標と、自分の運用している制度がどういう目的で、どういう県の目標に貢献しているのかというのを非常に丁寧に説明してもらったことがありました。そういうことをしていただくと、私としても目標をどういうふうに立てるかというところも分かってくるわけです。
 実際、面談前、私がその当時、新採用でやったときの目標が、ミスなく補助事務を遂行するというような目標を立てていました。ですが、そういう上司との面談の中で、本当にこういう所属目標に貢献するには、自分が担当している制度、これを農家に積極的に活用してもらうこと、こういったことが重要だと気づきました。それで、目標を補助事業、担当する事業の活用実績を高めるというふうに変更しました。そうして変更すると、例えば、ただ補助金申請書を取りまとめるとか、作成するとかではなくて、具体的に農家に活用してもらうために、補助事業のメニューですとか、そういった内容を分かりやすくまとめたパンフレットを自発的に作成して、それで農家に配布するなどをやってきました。ただ、結果的には目標には届かなかったのですが、期末面談で、その自発的な取組に対して非常に係長から評価してもらったということがあります。これは私、今でも覚えているように、仕事へのやる気というのが大きく高まったなというふうに覚えています。
 次に、裁量の拡大と創意工夫の奨励です。具体的には、業務改善提案制度、この取組例としては、さいたま市の一職員一改善提案制度、カイゼンさいたマッチという制度が参考になるかと思います。こういう業務改善提案制度は、これも多くの自治体で導入されていますが、さいたま市では年間1万7,000件以上の改善提案が提出されていて、全国的にも突出した取組となっています。
 この制度は、もう本当に大きな業務改革だけではなくて、日常業務、ほんの少し改善するというのも対象にしていまして、基本的には、職員全員がそういった少しの改善でもよいのでやってみようという、そういうスタンスでやっている事業になります。この改善された事例に関しては、審査を経て、優れたものに関しては、例えば、庁内広報紙で共有されたり、表彰されたり、あとは、発表会というのを毎年開きまして、それを通じて他部署への展開をしているということです。こういった仕組みも職員の創意工夫ですとか、挑戦心を非常に促し、エンゲージメント向上、これに寄与するものと考えられます。
 ちなみに、愛知県ですと、豊田市の改善提案制度というのも非常に有名で、これも年間5,000件、6,000件は報告があるとのことでした。
 これも個人的な話になりますが、私自身も新潟県職員時代、業務改善提案制度がありまして、私も幾つか提案したことがありました。1か所目が農業関係部局で、2か所目が地域機関の健康福祉関係、そこで医療法や薬事法といった、言ってしまえば、病院とか薬局の開設ですとか、そういった変更ですとか、立入検査、そういった事務を担当していました。非常に申請が頻繁に来たりして、申請書の審査も大変なのですけれども、何よりも医療法ですとか、薬事法、本当に法令が複雑で、申請書のチェックですとか、適切な処理に関しては、もう本当に多くの条文とか規定というのを確認する必要があるんです。実際、私が職場にいないときに、別の同僚が対応するような、そういったこともあったりして、複雑にもかかわらず、そういうことを担当でもない人が対応しなくてはいけない、そういったことで、事務ミスが発生するというようなこともありました。
 そうした中で、私がこういった医療法に関する病院開設ですとか、薬局開設に関する手続ですとか、その規定ですとか、あるいは基準というものを整理して、申請処理の手順をまとめたマニュアルというのを自発的に作成して、これを業務提案として報告したことがありました。制度として何か表彰されるということがあったわけではないのですけれども、何かこれはもう、その後、それを見た局長から直接呼ばれて、非常に褒めてもらいまして、それが、ほかの地域振興局ですとか、そういったところにも展開されるようなことがありました。こういうことも私自身、非常に仕事への熱意とか、貢献心、これを大きく高めるきっかけになったと思っています。
 ただ、一方で、自分ではよかれと思って事務処理の方法を改善したとしても、上司から、当然、余計なことはせず、昨年度と同じようにやりなさいというようなこともありまして、これは逆に非常に私としてはやる気がそがれた、苦い思い出というのも幾つかありました。
 次に、キャリアの形成支援に関しましては、神戸市が非常に一生懸命取り組んでおりまして、これは、新採用時、3級昇格時、45歳のときに、キャリア研修を行い、その都度、自分自身のキャリアを考える機会というのを提供しています。
 また、ここでキャリアカルテというものを作成して、これを自己分析ですとか、今後のキャリア形成という欄があって、これを埋めると、おのずから自分自身のキャリアを考える、そういった機会になるということで、こうした様式もうまく活用しております。こういったことでキャリア研修後のアンケートでは、研修受講者の7割がキャリアを考えるようになったというような成果もあったということでした。
 あとは、キャリア形成です。キャリアを描くだけではなくて、それを実現するための能力開発というのも不可欠になります。
 これは、私が勤務していた新潟県の事例ですが、新潟県では、高度専門能力の育成を目的として、市町村と合同で研修を行っています。研修内容に関しては、政策形成ですとか、政策法務ですとか、あるいは財務ですとか、経営分析など、本当にいろいろなメニューが用意されています。それぞれ専門の大学教授を呼んで、最新の知識を学ぶとともに、県内市町村ともグループワークを行い、最終的には成果発表を行うという、そういった構成になっています。右側には、私も受けたことがあるのですけれども、政策形成研修のざっくりとした流れがあります。
 当時、私自身、これも私の事例なんですけれども、将来的にそういった政策立案を積極的にやりたいと思ってはいるんですけれども、職員って、若手のうちは、基本的にはそういう自発的な政策立案に携わる機会というのがあまりないというのが現実です。ですので、そういったこともあり、政策形成のやり方、どうやって問題を発見するか、どうやって課題を設定するか、どのように政策を立案、要するに、事業の内容を考えていくかというところを学ぶ、そして、実践的に成果発表まで行うという意味では、非常に貴重な経験になりました。
 最後、適切な業務配分ということになりますが、適切な業務配分、人事配置に関しては、行政研究でも非常にしばしば取り上げられる代表的な事例として、愛知県豊田市の取組があります。
 豊田市では、業務の特性に応じて、四つの系統、例えば、事務系ですとか、土木系のような形で四つの系統、さらに、それぞれの系統に対して、業務の内容で、例えば、企画事業とか、住民対応ですとか、さらに業務の特性で17個に細分化しております。こうした分類に基づいて、職員に偏りなく多様な業務経験を積んでもらうということを目的として、計画的、戦略的に業務を配分しているというのが豊田市です。
 ちなみに、その業務配分のために経歴管理台帳というのを作って、このように各職員の業務経験ですとか、あるいは研修履歴、こういったものを体系的にデータとして蓄積しております。これを踏まえて、では今度、この職員はこういった経験をさせようといったことで、適切な業務配分、人事配置を行うということになっています。
 ちなみに、ジョブリクエスト制度というのもあるようでして、職員が自発的に希望の部署に挑戦できる、そういった機会も設けているということでした。このように、挑戦的な業務を経験したりといったようなところも、これもエンゲージメント向上に非常に大きく影響するものではないかと思います。
 最後に、総括としましては、政策的な示唆としてお話しさせていただきますと、まず、第一に、私見になりますが、非常に今、環境が激しく変動して、公共問題が複雑化していく成熟社会においては、自治体は、やはり自発的に地域の問題解決に責任を持って取り組める職員を育成していくというのが不可欠になります。ということで、そういった指標としては、エンゲージメントは極めて重要となるので、職員のエンゲージメントというのを人材育成指標として位置づけて、定期的にそれを把握し、それに基づいて人材マネジメントを企画、実施、評価、改善をしていく、言わばエンゲージメントを基盤とした人材マネジメントのPDCAを回す仕組みを構築していくというのが大事だと思います。実際、まだ全国的にはエンゲージメント調査を行っている自治体は多くはありませんが、愛知県は今年度、試行的にやっているということなので、非常によい取組なのではないかと思います。
 第二に、先ほど見ていただいたように、エンゲージメントは何か一つの要因で形成されるというものではなくて、複雑な要素が絡んで形成されるものです。ですので、これだけ改善すればよいという最適解というのがあまりなくて、人事評価制度、勤務制度、業務設計、キャリア支援、能力開発など、そういったいろいろな人事施策を整合性を取りながら組み合わせ、統合的に人材マネジメントを推進していく必要があると。
 第三に、取組事例を紹介してきましたが、施策制度をつくるだけでは不十分であり、その実効性を高めるというのが極めて重要です。これ、人材育成って、よく人事課、人事部局だけが担当しているというふうに思われる傾向もあるんですけれども、人材育成というのは、全部局が取り組んでいくべきものでして、人事部局と各課がしっかり人材育成の理念を共有した上で、全庁として推進していく体制というのが必要かと思われます。
 最後に、少し具体的な話になりますが、人材育成施策の実効性、エンゲージメント向上を左右する大きな要因の一つとして、やはり管理職と所属長といった上司の役割が非常に重要になってきます。先ほど御紹介した目標管理制度における目標提示とか、面談というのはもちろんのこと、日常のコミュニケーションで上司が部下に対して関心を持って声をかける、これが非常に職員のやる気、意欲を高めることになります。逆に言うと、上司が無関心である状態が続くと、職員は頑張っても報われないと、こういうのを心理学でいうと、学習性無力状態というんですけれども、管理職が適切に日頃から部下と対話して、フィードバックを行う、目をかけてあげるということが、職員のエンゲージメント向上の鍵になるかと思いますので、そういった意味で、管理職のそういった意識醸成、そのための研修充実は極めて重要かと考えます。
 ちなみに、最後に、こうした観点から、この後説明があると思いますが、愛知県の調査結果を拝見すると、私が実施した調査と指標とは質問文が異なるので、単純比較はできませんが、総じて、エンゲージメントやその影響要因に関する指標得点は高い水準にあるように見受けられました。特に、コミュニケーションですとか、あるいは上司のマネジメントといったところが非常に高くなっております。そういった具体的にどういうふうにそういう政策が行われているか、私はまだ把握していませんが、これが愛知県の高いエンゲージメントを支えている要因ではないかと考えております。
 以上、私の発表を終わらせていただきます。本日の議論が愛知県の人材マネジメントの発展につながれば幸いです。ありがとうございました。

主な質疑

【委員】
 参考人の資料の8ページである。
 まず、この調査をしたというところで、3番にデータの収集、444人とあり、この評価を伺いたい。アンケートの回答は、少なくとも300は欲しいとよく言われ、回答が300あると有意性が出てくるということだと思う。多ければ多いほどよいかは、いろいろ見方があるし、たくさんやるとお金もかかってしまうとも思うが、この444人の評価を回答率と併せて伺う。
【参考人】
 このデータのいわゆるサンプルのサイズに関しては、委員が言うとおり、例えば因果関係、その原因と結果について、統計的な有意性がある程度見えてくるのが、おおむね400ぐらいだと思われる。もちろんもっと大規模にできればよかったが、今回は時間や予算、私自身の研究費の関係もあって、最低限、有意差、誤差ではない影響が見られるところでやっている。そういった意味でいうと、最低限度の正確性は担保できていると考えている。
【委員】
 ちなみに、回答率はどのぐらいだったか。
【参考人】
 こちらは、質問紙調査ということで、通常だと、何人に対して何枚、例えば1,000人に対して配って、その結果、300人から回答が来た場合は、30パーセントという回答率になるが、今回はそのようにあらかじめ誰に配るのではなくて、リサーチ会社に登録しているモニター会員に回答を依頼して、早い者勝ちというか、回答してくれる人が順次回答して、ある程度の数になったら締め切るという形なので、有効回答率はなかなか算出が難しい状況である。
【委員】
 もう一点、20ページの政策的示唆の中の4番である。要は、管理職が職員の意欲を高められるように対話が重要だと書いていて、これは、県のアンケート結果にも同様の結果が出ていたと理解した。
 その一方で、今、上司が何か話しかけると、すぐハラスメントだという世の中になってきていて、このさじ加減がものすごく難しい世の中になってきてしまっているのではないか。上司からしてみれば、よかれと思って声をかけても、なかなか難しい例もあると思い、この辺りにどういうよい解があるか参考人の見解を聞かせてほしい。
【参考人】
 委員が述べたとおり、今、ハラスメントに関して本当に注意しなければいけない中で、非常に難しいのが、ハラスメントは、受け取る側の主観的な部分が入ってしまうところである。なので、例えば上司が自分ではハラスメントとは思っていなくても、受け取り方によってはなるというところが非常に難しいところで、そこに関して一律に、これをすれば絶対にハラスメントにはならないという解が、正直言えないのが現実である。
 とはいえ、そういったハラスメントの特性だとか、そういった部分は、これは人材育成というよりは、もっと別の観点から、ハラスメント防止対策も当然一緒に進めていくのは、施策の方向性としてはあるべきと思う。
【委員】
 話を聞かせてもらう中において、部下に目標を持たせて、やったことに対して評価する上司の役割も大変重要だと思った。
 参考人に聞きたいのは、例えば、参考人本人が首長になった場合、まずどこからメスを入れ、変革をし、取り組んでいくことが効果的と考えるか。首長は任期4年間という意識の中で組み立てると思うが、まず、どこから取り組んでいくのか教えてもらいたい。
【参考人】
 エンゲージメント向上には管理職の役割が必要ということで、上司の振る舞いであるとか、そういったところが重要と考えると、いろいろな自治体を見る限り、今回私が事例として紹介したものは、結構多くの自治体が既に取り組んでいる内容でもある。その実効性を高めるためには、ソフトの部分というか、運用の部分をどう機能させていくかが重要で、その中核が管理職であることを考えると、制度は既にある程度できている。そこよりはむしろ、それを運用する、特にその中心となる上司の教育的な、教育というと上から目線になってしまうが、上司のそもそもの意識や考え方を変えるために、まずは上司、管理職の研修で伝えていくことが大事だと思う。ただ、目に見える評価として4年で結果が出るかというと、それはなかなか難しいところはあるが、取り組むとしたら、そこが私としては重要であると考えている。
【委員】
 まさしく私もそう思っていた。部下を評価しなくてはいけない上司の立場がきっと鍵になってくるのかと。また、そういった人々に対して共通認識、目標を持って地域の未来を一緒に組み立てていく首長の役割は大きいと思うので、きっとそこの部分になってくるのかと思っていた。しっかり勉強させてもらう中において、我々もこういったものに意識を持たせてもらえるよい機会になった。

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