本文
議員定数等調査特別委員会審査状況(令和8年7月2日)
議員定数等調査特別委員会
委員会
日時 令和8年7月2日(木曜日) 午後3時1分~午後3時47分
会場 議会運営委員会室
出席者
横井五六、鈴木 純 正副委員長
直江弘文、松川浩明、神野博史、峰野 修、中根義高、神戸健太郎、田中泰彦、長江正成、谷口知美、森井元志、
木藤俊郎、しまぶくろ朝太郎 各委員
森 正 参考人(愛知学院大学総合政策学部 教授)
議会事務局長、同次長、関係各課長等

委員会審査風景
議題
議員定数、選挙区問題等について
会議の概要
- 開会
- 委員席の一部変更について
- 理事の指名について
- 委員長あいさつ
- 議題について参考人からの意見聴取
- 質疑
- 閉会
参考人の意見陳述
【参考人】
ただいま御紹介いただきました愛知学院大学の森でございます。本日は、委員会参考人としてお招きいただきまして、ありがとうございます。政治学を愛知学院大学の中で講じておりますが、政治学の専門の立場から、御参考になるような意見を申し述べられればと存じます。よろしくお願いいたします。
まず、本日でございますが、本来、こうした選挙制度の議論に入る大前提といたしまして、地方議会、地方議員の役割といったものは何か。そうした議論がまず前提として、あるべきかとは思いますけれども、今日の機会ではこうした議論にはちょっとあまり立ち入る予定はございません。
法的には、4年前、意見陳述されました榊原秀訓先生がこの委員会の場で整理をされているというふうに記憶しておりますので、屋上屋を架すということは避けたいと考えております。
本来、選挙制度というのは、代表とは何か、代表制はどうあるべきといったような哲学であるとか理念、これを具現化したものであると考えることができます。例えば、1990年代のいわゆる国政における選挙制度改革の議論におきましても、例えば比例代表制は民意の反映であるとか、小選挙区制は民意の集約であるとか、そうした哲学や考え方をどう制度に落とし込むかといったことが、いわゆる政治改革の議論の中でもされていたと記憶しております。
したがいまして、今回、選挙制度の在り方といったものを議論するに当たりまして、選挙制度の在り方は、まさしくその地方議会、地方議員の在り方というものと密接に関連するということは言をまちません。
あるべき役割を考え、そこからあるべき選挙制度像を導出する、導き出すという論理は極めて重要であるということは言うまでもございませんが、一方で、本委員会の主要たる関心であるとか、今回、私に要請された職責といったものは、地方議会や地方議員の在り方をゼロベースで議論することにあるとは考えておりません。
しかも、それは広く議会内外で議論をされるべきと考えておりますので、この現職の議員の方がいらっしゃる場のみで検討するということは、異論なしといたしません。
それこそ、例えば政策本位や、政党本位を目的とした、例えば完全小選挙区制であるとか、比例代表制を導入するといった議論は、正直、いささか現実離れすぎると考えております。例えば、小選挙区制を導入するといった場合に、人口の多い自治体では、複数の選挙区に割るというようなことが、当然不可欠になってまいりますが、これが現行法制上可能なのかどうかといったことも含めて、慎重な検討が必要になろうかと思います。
仮に、この場で自由に制度設計をすることができる、そうした意見を発言することができるといたしましても、国と地方自治体の間には、実は制度不均一という大きな問題がございます。つまりこれは決定や執行制度において、例えば国レベルでは議院内閣制だけれども、地方議会レベルでは二元代表制だとか、選挙制度においても、国政レベルでは並立制だけれども、地方選挙のレベルでは小選挙区制、中選挙区制であるといったような、国レベルと地方レベルで一致していないという、これを制度不均一の問題と私ども政治学者は呼んでおります。
したがいまして、例えば国政レベルの選挙制度を変更したとしても、地方政治や地方選挙、地方組織のレベルとは、当然そごが生じてまいりますので、国政レベルで並立制を導入して、二大政党制を志向するといっても、地方政治、地方選挙のレベルでは、なかなかその制度設計時に想定したとおりにはならないという結果になるわけです。
そこで本意見陳述におきましては、あるべき選挙制度の問題と、選挙制度の適切な運用、執行の問題をあえて切り分けたいというふうに考えております。その上で、この後者の選挙制度の適切な運用、執行の問題に焦点を当てて議論を進めたいと考えております。
より具体的には、議員定数削減の問題と、喫緊の課題である選挙区の区割り及び定数是正の問題、この大きく二点に絞ってお話したいと考えております。
まず、議員定数の削減といったところからお話させていただきたいのですが、昨今、身を切る改革という名の下に、議員定数削減を進める動きというのが、国会、地方議会で見られるわけでございます。
ただ、参考人といたしましてはこれにくみする立場ではございません。
政治学における先行研究を見渡しても、残念ながら議員定数を削減することによって、議会全体のパフォーマンスが向上する、もしくは、個々の議員の例えば専門性が向上する、政策立案能力が高まるといったような知見や合理的根拠を見いだすことはできません。
例えば、中選挙区制であった選挙区が小選挙区制になることによって、選出された議員が専門性を有するといったことにはなりませんし、むしろ政治学の研究の中では、中選挙区制で、同一政党から複数の候補者が立候補する、擁立するということによって、地域割りであるとか、それぞれの専門領域のすみ分けといったようなことが行われたというような研究もございます。
議員の数を削減すれば、議員の能力が高まる、変わるという合理的根拠は、管見の限り、残念ながら見いだすことができません。
仮に身を切ることが重要だと、正しいというのであるならば、いささか極端な議論になりますが、じゃあ10人減らせばよいのか、20人減らせばよいのか、というように、議員をどんどん減らしていって、それこそ、一人になってもよいのかというようなことにもなりかねないわけでございます。
つまり、議員定数の削減というのは、有権者の民意を切り捨てるおそれがあるものであって、いわゆる改革の名に値するというふうには参考人は考えないわけでございます。仮に何らかの形で身を切るということであるならば、それは少なくとも、議員の定数ではないだろうと考えております。
むしろ、これから後に申し述べますが、一票の較差等を検討するに際して、公職選挙法上の要請を満たす上では、必ずしも全体の定数増といった選択肢も排除すべきものではないと考えております。
もっとも有権者の理解、県民の理解を得る上では、これはもちろん、本委員会の議論の範疇から外れるかもしれませんけれども、例えば、議員報酬の削減等とセットで実施するというようなことも一つのアイディアにはあるかもしれません。
続いて、選挙制度及び各区の定数見直しといったことについて、意見を申し述べたいと思います。
繰り返しになりますが、本意見陳述におきましては、選挙制度の適切な運用執行の問題に焦点を当てたいと考えております。
公職選挙法の規定を踏まえるならば、論点は絞られてくるかと思います。
一つは、いわゆる定数不均衡、特に逆転現象の問題、さらには最大較差の縮小です。
もう一つが、選挙区をいわゆる自治体単位とする行政区画主義、いわゆる市の任意合区です。公職選挙法の第15条第3項になりますが、この任意合区、例えば市制の移行や国政選挙の選挙区割り等との不相応との関係です。
この大きく二点になろうかと思います。
ただ、この二つの論点は、必ずしも独立した問題ではないというふうに考えております。
と申しますのも、あくまで一般論として聞いていただきたいのですが、仮に特例的な選挙区を設けることで、一票の較差といったものが大きくなるということは、当然考えられるわけです。
例えば、本県ではございませんが、いわゆる島しょ部、そうしたところに特例の選挙区を設けるといった事例がございますが、こうした地域の特性を踏まえた、特例選挙区を設置、維持するかどうかという問題と、一票の較差の縮小のいずれかを優先するかということは、議会の責任において、その合理性について十分議論を要する問題と考えております。
一票の較差を限りなく小さくするといった場合には、どういう方法があるのかということでございます。
あくまでも、これは算術的な話です。計算上の話を申し上げさせていただきますと、それこそ、例えば大選挙区制にするだとか、総定数そのものを増やすということをすれば、算術的には解決は可能です。
例えば極論ですけれども、愛知県議会102人の定員を愛知県全体で1選挙区にしてしまって、定数102人の大選挙区にすれば、当然一票の較差は存在しないというわけです。
さらには、定数をどんどん増やしていけば、より配分しやすくなりますので、一票の較差を縮小することは算術的には可能です。
これは参議院選挙区の定数是正を想起していただければ、この論理は御理解いただけるかと思います。参議院の選挙区148議席、これを3年ごとに半数改選ですので必ず偶数で、各都道府県に割り当てる。実際には3年ごとに74議席ということになりますが、例えば一番人口の小さい鳥取県の25倍の人口を持つ東京都、愛知県だったら鳥取県の約14倍の人口がございますが、こうした25倍や14倍の人口のところに、仮に鳥取県に定数1を配分した場合、東京都は25議席、愛知県が14議席というふうに配分していったら、当然74人の議員では足りなくなる。
そうなると、どう考えるかというと、例えば、いわゆるブロック制の大選挙区制であるとか、合区であるとか、議員定数そのものを増やすといったことしか基本的には解決ができないということを想起いただければ、算術的にはこの大選挙区制だとか選挙区のサイズを大きくする、もしくは定数そのものを増やすといったことぐらいしか実は手はないというものです。
一方で、都道府県レベルに議論を戻しますと、基礎自治体を単位として選挙区を構成する、これは行政区画主義というふうに申し上げますが、こうした行政区画主義を維持する、さらには現行の102人という定数を維持しつつ、較差の是正を図るという条件を満たす解を導き出すということは、極めて容易ではないと私も考えるところでございます。
特に、本県は全国でも埼玉県に次いで市の数が多いということもございますので、各市に対して一つずつ独立した選挙区として構成するといった場合には、先ほど申し上げたような、いわゆる定数の配分という問題が、そうでない都道府県に比べると、より難しい問題になっているということでございます。
幸いにして、愛知県の人口の推移を考えた場合、もう少し先の議論になるかもしれませんけれども、全国の都道府県を見た場合、今回の国勢調査の速報値等を見る限り、都道府県の中には、県庁所在地などに人口がどんどん集中していく。例えば高知県では、人口の48パーセントが高知市に集中しているという状態となっております。
いわゆる都道府県の中で、人口の較差というか、そうしたものが広がっているというような事例も見受けられます。
そうしますと、例えば周辺の自治体の中には、いわゆる議員一人当たりの人口の2分の1を下回るような事例、これは公職選挙法の第15条第2項とも関わってくる問題なんですけれども、こうした議員一人当たりの人口の2分の1を下回るような自治体といったものも出てきます。
そうしますと当然区割りそのものを、現状のまま維持し続けるということが容易ではない都道府県といったものが出てくるということでございます。
こうした、極めて難しい問いではあるのですけれども、この定数是正の方法としては、しばしば較差が最も大きい選挙区、逆に最も小さい選挙区に注目して、〇増〇減といったような手法がとられることがございます。
しかし、先ほど申し上げました、特例選挙区の存廃の問題等も含めて、都道府県内の地域間の較差が拡大している中では、こうした極端に多い選挙区、少ない選挙区だけに注目した定数是正というのは、中長期的には限界があるだろうと考えております。
さらに申し上げるならば、いわゆる定数不均衡の問題を最大較差のみに焦点を当てるということも、疑問なしといたしません。
いわゆる人口に応じて議席を配分していくといったときに、比例度がどれほど高いかということを見る上では、最大較差のみに注目すべきではなく、本来であるならば、例えば各選挙区における議員一人当たりの人口、これの平均であるとか、分散であるとか、そうしたものにも本来は考慮すべきものと考えております。
つまり最大較差のみに注目して、定数是正が行われた、行われていないという議論はいささか十分な議論ではないのではないかとも考えるわけです。
さて、具体的にどのように、定数の配分、区割りをしていくかというところに入っていきたいと思いますが、基本的な考え方といたしましては、公職選挙法の規定に基づき、原則どおりに運用を進め、その上で、例えば第15条第8項ただし書にあるような特別の事情がある場合には、その合理性、必要性を十二分に議会等で検討した上で、特例的な措置を講じる、と考えるものでございます。
その上で、まず選挙区の区割りについて論じていきたいと思います。
選挙区を自治体を単位とする行政区画主義、第15条第1項に関わる問題ですけれども、いわゆる市の任意合区、第15条第3項との関係に関する問題ということで、この区割りの問題は整理できるのではないかと思います。
今日の資料の中では、資料3の議員定数等関係法規及び本県の状況で整理いただいておりますが、そのうち、本県において、論点となるものといたしましては、第15条第2項に基づく、一つの市の区域と隣接する町村の区域を合わせた、例えば岡崎市と額田郡、新城市、さらに日進市、あま市等々の4例がございます。
そのうち、北設楽郡は第15条第2項前段にございます、議員一人当たり人口の半数には達しないため、隣接する自治体である新城市と合区するということになろうかと思います。
あま市及び海部郡の選挙区におきましても、人口にのみ着目するならば、海部郡のみでも、選挙区を構成することは可能のようにも見えますが、ただこの場合、大治町が飛び地になってしまいますので、第15条第1項で言うところの隣接する町村という規定に抵触する可能性がございます。
こうして考えますと第15条第2項に基づく、一つの市の区域と隣接する町村の区域を合わせた選挙区、4選挙区はいずれも従前のままの選挙区割りといったものが妥当ではないかというふうに考えるところです。
さらには、額田郡、愛知郡は、議員一人当たり人口の半数は確かに超えるものの、隣接する市と選挙区を構成するということが、この第15条第1項の規定上、これも問題はないのではないかと考えます。
そうしますと、残る区割りの問題は、市の任意合区の問題になります。
具体的には、清須市、北名古屋市及び西春日井郡選挙区の事例になろうかと思います。
こちらも人口にのみ着目した場合には、清須市単独でも、議員一人当たり人口を7万3,033人、愛知県の人口を102人で割った値でございますが、この7万3,033人の、2分の1を清須市単独でも超えることから、単独の選挙区とすることは、公職選挙法上可能ということになります。
これにつきましては、清須市より陳情も出されていると伺っておりますので、議会においても、一定の判断が示されるべきであろうというふうに考えております。
一つの選挙区で複数の市から構成されている選挙区というのは、現在本県では他にないこと、さらには人口要件をクリアしていることを考え合わせますと、現行の任意合区を維持し続けるべきとするのであるならば、議会自らがその合理性、必要性を十分に検討し、その上で、県民に対して説明する責任といったものが求められると考えられます。
例えば、考え得る論点としては、いわゆる広域行政での問題等があります。つまり広域行政で一つの単位なので、選挙区を同じにしてよいのではないかという考え方があります。ただその場合には、本県内の他の選挙区においても同様の検討を進めるという必要が出てくるかと思います。そうなりますと、こうした任意合区が増える可能性といったものもあろうかと思います。
一方で、国政における衆議院小選挙区の区割りとの関係を踏まえた議論もあろうかと思いますが、仮に衆議院で再び定数是正が行われ、区割りが変更になるというようなことがあれば、これはまた従前に戻すような必要があるのかというようなこともございます。その場合は、いわゆる選挙区の安定性といった問題が出てくるということもあります。
こうした様々な論点については、指摘をさせていただきたいと考えております。
続いて、各選挙区の定数、一票の較差の問題について検討を進めたいと存じます。
衆議院とは異なりまして、いわゆる行政区画主義の立場をとる以上、区割りそのものを大きく見直すということは難しいわけでございます。
つまり一つの自治体を分区するなどというようなことが、第15条第1項では想定をされていないわけです。
さらに、一票の較差の是正というのは実は限界がございます。
第15条第2項にございますように、選挙区の人口は、議員一人当たり人口の半数以上になるようにしなければならないという規定がございますが、これは半数以上であるならば、単独の選挙区を構成することは可能と読むことができます。
もちろん、選挙区の区割りや、各自治体の人口に決定的に依存しているものの、公職選挙法の規定を踏まえて、一つの市から成る単独の選挙区を設けるならば、単純に一票の較差が二倍近くにまでなり得るということを意味しており、現在、本県では、逆転現象が生じております。
これにつきましては対象となる安城市、豊川市ともに単独の市から構成をされている、かつ、片方の選挙区、いずれかの選挙区が著しく、例えば人口が少ない、例えば議員一人当たりの人口7万3,033人を大きく下回っている、2分の1ぎりぎりに近いといったような選挙区ではないといった二点から、専門家の立場としては、逆転現象を存続させるような、合理的な根拠を見いだすということはなかなか困難ではないかと考えております。
ただ、これも先ほど区割りのところでも申し上げましたとおり、逆転現象を維持し続けるということであれば、議会自らがその合理性、必要性を十分に検討した上で、県民に対して説明する責任が議会には求められると考えております。
区割りの問題にしても、この定数の問題にしても、議員自らがどのように、自らを選出する制度をつくるかということでございますので、基本的にはその議会の御判断といったものが、もちろん最大限優先されるわけでございますが、その場合の合理性であるとか、必然性といったことについては、ぜひ県民にもこうした議論をお示しいただきたいというふうに望むものでございます。
もっとも、この逆転現象が生じている当該選挙区、この二つのみを注目し、この選挙区の定員を単純に増やす、減らすと増減すればよいというふうには考えておりません。
それこそ、いわゆる衆議院の選挙区割りのように、国政選挙の数値に基づいて、定期的かつ自動的に、ある決まったフォーミュラに基づいて定数を見直す方法、例えば衆議院議員選挙区画定審議会設置法のような第三者的な組織の設置を定めた条例の制定といったものを提言するところでございます。
関連して、人口比定数と現在の条例定数が異なる選挙区といったものが全部で6選挙区ございます。
これらも逆転選挙区の問題と同じく、今申し上げました第三者的な組織の検討に基づく定数の見直しの一環として進めるということを提案するものでございます。
最後の問題になりますが、定数配分の方法でございます。
これは極めてテクニカルな議論になるということを、少しお許しいただきたいと思います。
第15条第8項には、各選挙区の議員の数は人口に比例して条例で定めるというふうにございます。
問題は、この人口に比例させる定数配分方法でございます。
先ほど議員一人当たりの人口といたしまして、7万3,033人、このいわゆる基数、基となる数は、当たり前でございますが、各自治体の人口が、この基数の倍数であるはずはありません。
したがいまして、人口をこの基数7万3,033人で割れば必ず端数が出て、この端数の処理をどのようにするか、処理方法が、実は様々な議席配分の方法として、数学者等によって検討されているところでございます。
現在、各都道府県議会の配分方法は、最大剰余式、ハミルトン式とも呼ばれておりますが、最大剰余式と呼ばれる方法が採用されております。
これは人口を先ほどのこの基数で割った商を、これを合計しても、選挙区の定数に達しない場合には、端数の大きい順に議席を配分するというものでございます。
これは昭和39年に出されました自治省選挙局長による回答の中にもあるということでございます。
この端数の大きい順に議席を配分していく、だから最大剰余式というのですけれども、この方法は確かに分かりやすい方法ではございますが、実はこの最大剰余法は、数学的に大きなパラドックスがあるということが知られております。
これは、議会の総定員を増やすと、なぜか議席配分が減る自治体が出て、逆に総定員を減らすと、なぜか議席配分が増える自治体が出る、そういう可能性が生じるというパラドックスがございます。
これはかつて、アメリカの連邦議会、下院に435人いますけれども、これを各州にどのように配分するかというときに、かつてアメリカではこの最大剰余式というものを導入していたんですが、これによって、アラバマのパラドックス、つまりアラバマ州だけで増える、減るといった問題が発見されまして、こうしたアラバマのパラドックスと呼ばれる問題が生じるということが知られております。
そのため、アメリカでは、1910年にこの最大剰余式という方法を廃止しております。
恐らく、経済学、政治学の研究者において、この最大剰余式を議席配分の望ましい方法として考えている者はいないのではないかと考えております。
現在、衆議院の定数配分に用いられている方法は、アダムズ方式でございます。
数学的な議論は、煩雑さを避けるため割愛をさせていただきますが、簡単に申し上げるならば、この端数の小数点以下を切上げにする方法とお考えいただければと思います。
したがって、切上げにいたしますので、いずれの選挙区にも最低1議席が保障されるというものでございます。
ちなみに衆参の比例区で用いられている議席配分方法が、ドント式と呼ばれるものでございます。
これは逆に、小数点以下を切下げにする方法でございます。
ちなみにこの四捨五入する方法が、北欧等で使われているサンラグ式、1、3、5、7、9、いわゆる奇数で割ったその商の大きい順に議席を配分します。
ドント式は1、2、3、4と自然数で割っていきますけど、奇数で割った場合はサンラグ式という方法でございます。
参考人といたしましては、衆議院の配分方法で用いられているアダムズ方式に基づく配分方法の導入といったものを提言するものでございます。
単独の市で1議席当たりの人口数、基数の2分の1を上回る場合には、単独の選挙区を構成するということを考え認めた上で、アダムズ方式の配分をするということを御提案するものでございます。
先ほども申し上げましたとおり、このいわゆる最大剰余式は、昭和39年の自治省選挙局長の回答が根拠となっているわけでございますが、衆議院ではアダムズ方式を採用しながら、都道府県議会ではその採用を拒むということに、合理的な積極的な根拠があるというのは、なかなか考えにくいところでございます。
パラドックスを生じるおそれのある配分方式は改めるべきではないかというふうに考えるところでございます。
以上、参考人の方からは、政治学の知見を踏まえました意見を陳述させていただきました。
ただ、先ほど申し上げましたとおり、この選挙制度の在り方というものは、地方議会、地方議員そのものが、自らをどのように代表制として捉えるか、哲学、考え方を具現化したものであります。
さらに申し上げるならば、議会自らがその選挙制度、区割り、定数配分等々について、その合理性や必要性について十分に検討いただき、その上で、県民に説明をしていただく、そういう形で進めることを強く望むものといたしまして、私の意見陳述とさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
主な質疑
【委員】
愛知県議会の議員定数102人にはいつからなったか。その際の人口は何人だったか。
【理事者】
議員定数が103人から102人になったのは平成27年である。
その際の国勢調査の人口は741万719人であり、議員一人当たりの人口は7万2,654人である。
【委員】
103人になる前はどうか。
【理事者】
平成23年に104人から103人となっている。
その際の国勢調査の人口は740万8,499人であり、議員一人当たりの人口は7万1,927人である。
【委員】
選挙区の定数の議論の中で、参考人にハミルトン式、アダムズ方式、ドント式と三つの方式を説明してもらった。
最後に、私見として、端数を切上げにするアダムズ方式を提案してもらった。
参考人が知っていれば、全国の都道府県でアダムズ方式を検討している都道府県を教えてほしい。
【参考人】
今回の意見陳述を行う際に、こうした議論が他の自治体、都道府県で行われているかどうかについて調べた範囲では、表立って、例えば委員会等での議論で、アダムズ方式という名前は出てきていない。
もちろん最大剰余式というのは、非常に計算が簡略であることもあり、その配分の方法を変えるという形には、やはり経路依存的に難しいと思うが、先ほど言ったとおり、明らかに矛盾を生じるような制度設計は難がある。もう一つ言えば、人口の集中、さらには、特に周辺部で人口が減ってくる場合、その周辺の自治体でも選挙区の定数を維持し得る方法を考えたときに、従前の最大剰余法では、その保障ができないこともあり、いわゆる切上げにするアダムズ方式は、それぞれの自治体の行政区画を維持しつつも、議席の配分や定数の配分が可能になり得る点でメリットもある。





