本文
議事概要(平成17年度第1回愛知県特別支援教育連携協議会)
平成17年度第1回愛知県特別支援教育連携協議会
とき
平成17年8月19日(金)午前10時から午前11時30分まで
ところ
愛知県庁西庁舎 9階 教育委員会室
出席者
委員 19名
| 氏名 | 所属・職名 |
|---|---|
| 神野 秀雄 | 愛知教育大学教授 |
| 横田 雅史 | 愛知みずほ大学教授 |
| 近藤 薫 | 健康福祉部児童家庭課長 |
| 高井 厚司 | 健康福祉部障害福祉課長 |
| 石田 德義 | 健康福祉部医療福祉計画課長 |
| 鏡味 次男 | 愛知労働局職業対策課長 |
| 上田 能德 | 産業労働部就業促進課長 |
| 山崎 嘉久 | あいち小児保健医療総合センター保健室長 |
| 長屋 昌宏 | 愛知県自閉症・発達障害支援センター長 |
| 山本 克利 | 武豊町立武豊小学校長 |
| 岡田 禮子 | 愛知県立春日井高等養護学校長 |
| 三浦美智子 | 愛知県知的障害者育成会副会長 |
| 岡田ひろみ | 日本自閉症協会愛知県支部副支部長 |
| 堀田由美子 | 愛知県小中学校PTA連絡協議会副会長 |
| 葛谷 恵子 | 愛知県公立特殊学校PTA連絡協議会副会長 |
| 鈴木 眞二 | 愛知県総合教育センター相談部長 |
| 伊藤 昭三 | 尾張教育事務所次長 |
| 堀田 道夫 | 西三河教育事務所次長 |
| 二宮 英二 | 名古屋市教育委員会学校教育部指導室長 |
審議の概要
議題
〔報告事項〕
1 平成17年度愛知県特別支援教育連携協議会について
2 平成16年度愛知県特別支援教育連携協議会の経緯等について
3 平成17年度愛知県特別支援教育体制推進事業について
4 平成17年度発達障害支援体制整備事業について
〔協議事項〕
1 平成17年度第1回地区特別支援教育連携協議会での課題等について
会議録
1 開会
2 教育委員会あいさつ 教育長
特別支援教育の方針が打ち出されているが、これは教育の方向を大きく変えるものと認識している。教育委員会も本年度から従来の「特殊教育課」を「特別支援教育課」と課名を改めた。この問題は、教育だけでなく、福祉・医療・労働等の関係の方々の協力が不可欠であり、昨年度、この愛知県特別支援教育連携協議会を立ち上げた。特別支援教育については、今後たいへん重要な、しかも大きなエネルギーを要する課題を含むものと言える。今、中央教育審議会において議論がされているが、常にこの問題は専門的な知識とマンパワーが不可欠である。国に対しても要望を出しているが、なかなか目に見えてこない。今後、この協議会が中心となって幅広い視点から議論がいただけると思うが、より地域に密着した議論も必要になってくる。その意味でも、本年度は各地域に連携協議会を設置した。これまでも、各小・中学校への巡回指導の実施やモデル的な地域での実践があるが、こうした成果を見極めながら、特別支援教育が本県にとってよりよいものとなるようにしたい。
いろいろな分野での専門的知識が必要であり、忌憚のないご意見をいただきたい。
3 委員等紹介
4 本協議会開催の目的の確認
5 会長・副会長選出
[委員] 昨年度のこの会の会長で、文部科学省での御経験もあるみずほ大学の横田先生を会長に、また、県内の特別支援教育の状況をよく把握されている総合教育センターの鈴木先生を副会長に選出したいと思う。
[委員] ※賛成者多数により選出
6 会長あいさつ
昨年度に引き続き、愛知県で非常に大事な会だと認識している。平成15年3月28日に文部科学省の中央教育審議会から、「今後の特別支援教育の在り方について」という最終報告が出され、これが基になって、実際に全国一斉に準備を始めたり、動き出したりしてきている。最終報告で示された特別支援学校や特別支援教室については、法律が整備されていないということから、法整備が必要ではないかということを背景としながら、国としてはなかなか実際の動きになっていかなかった。そこで、昨年2月に、中央教育審議会の初等中等教育部会に特別委員会を設けて実際に検討を始めた。12月1日に「中間報告」が出されると同時に、全国の意見をパブリックコメントとして募集した。数として1600件くらい、中身は3700件近い。総論としては問題ない、しかし実際に展開するには無理があるとか、時間をかけてほしいとか、いろいろな意見があったと聞いている。文部科学省はこれを整理して、中央教育審議会の特別委員会に返し、この秋には中央教育審議会から「最終報告」が出され、予定としては来年の通常国会で法律が整備されるのではないかと思われる。
全国を見ると、十分整備ができていないところや、愛知県のように具体的に展開しているところと温度差がかなりある。愛知県の動きは全国でもかなり注目を集めているので、それを意識しながら取り組んでいきたい。みなさんの忌憚のないご意見を聞きながら、事務局にとっても仕事がやりやすいように、それよりも100年後の子どもたちにあの時にいいことをやってくれたと言われるような、そんな会になることを期待しながらあいさつに代えさせていただきたい。
7 副会長あいさつ
愛知の特別支援教育をこれからどう推進していくか、特別支援教育のキーワードは、「個別の教育支援計画」と「特別支援教育コーディネーター」の二つだと考える。障害のある者のニーズに応じた個別の教育支援計画を、コーディネーターが、医療・福祉・労働などの関係諸機関と連携して作成し、障害者の社会自立に向かうことが目的だと考える。総合教育センターに研修にみえる先生方と話をしていると、まだ地域によって状況に違いがある。先進的に取り組んでいる地域の実践を紹介していくことも重要なことだと思う。
総合教育センターも、コーディネーターの養成や特別支援教育に関する研修を実施している。特別支援教育におけるセンター的役割が果たせるように努力していきたい。
8 議事
〔報告事項〕
(1) 平成17年度愛知県特別支援教育連携協議会について
愛知県特別支援教育連携協議会開催要綱、平成17年度愛知県特別支援教育連携協議会委員名簿、平成17年度愛知県特別支援教育連携協議会年間計画(案)について事務局から説明
※質問・意見はなし
(2) 平成16年度愛知県特別支援教育連携協議会の経緯等について
平成16年度愛知県特別支援教育連携協議会の経緯について事務局から説明
※質問・意見はなし
(3) 平成17年度愛知県特別支援教育体制推進事業について
愛知県特別支援教育体制推進事業の概要、平成17年度愛知県特別支援教育体制推進事業の取組、平成17年度第1学期の巡回指導の実施状況について事務局から説明
[会長] 専門家チームの研修会についてはどうか。
[委員] 愛知県は全国的に上位レベルだと思う。盲・聾・養護学校は軽度発達障害児に対する教育についてノウハウが十分にあるとは言えないかも知れないが、巡回指導等の経験をしながら努力をしている。
[会長] 体制を整備しながら、人もつくりながらの実践だと思う。
[委員] 巡回指導について3割程度とのことだが、特殊学級の子はどうか。どのような実施方法か。また、名古屋市はどうか。
[事務局]この事業については、通常の学級に在籍する児童生徒を対象としている。学校については、15年度に実施した調査で愛知県は1.2%という数字だった。その結果を基に、約2倍の2.5%以上の在籍率であった学校は定期巡回校、それ未満の在籍率の学校は不定期巡回校として考え、同時に、市町村教育委員会(各小・中学校)からの要望を加味して巡回校を決定した。
[委員] 名古屋市の場合は、本年度各学校に校内委員会ということで、学習支援委員会をつくり体制ができている。しかし、まだまだ整備をしなければいけないところがある。名古屋市には4校の養護学校があり、その先生方による巡回指導も考えられるので、現在、検討を始めているところである。また、名古屋市教育センターで300名を目標にしてコーディネーターの育成に取り組んでいる。
[委員] 巡回指導の対象児童生徒の内訳で、「その他」が多いが、主にどんなものがあるか。
[事務局]LD、ADHD、高機能自閉症の欄は、すでに診断名がついている子どもだと解釈している。「その他」は診断はされていないが、「気になる子ども」だと解釈している。
[会長] 通常の学級の中には、特別な支援を必要とする子どもがかなりいると考えられる。そのうち発達障害と診断されている児童生徒が資料にある数だと考えてよい。
[委員] これ以降に、これをきっかけにして医療機関にかかって判断がされるという動きはあるのか。
[事務局]ある。
[会長] このことについては、巡回指導の実施状況を次の会でも報告してもらうことによって明らかになってくると思われる。
[委員] 診断名が出ている、出ていないということだが、障害のある子どもの定義はどうなっているのか。
[事務局]子どもの状態像で判断をしている。毎日の生活で「気になる子ども」も巡回指導の対象にしている。したがって、明確な定義は各学校にも示していない。
[委員] 通級指導の中に知的障害は含まれていないのか。
[事務局]特殊学級の中には知的障害はもちろん対象になっているが、通級指導では対象外というのが現行の法になっている。
[委員] 子どもが通う学校は過大規模校であり、養護学校の職員の多忙化という問題がある。重度の障害のある子どもも含めて考えてほしい。バスの整備も必要だ。
(4) 平成17年度発達障害支援体制整備事業について
平成17年度発達障害支援体制整備事業概要について事務局(健康福祉部障害福祉課)から説明及び提案
〔協議事項〕
(1) 平成17年度第1回地区特別支援教育連携協議会での課題等について
平成17年度第1回地区特別支援教育連携協議会での課題等について事務局から説明及び提案
[会長] 本年度初めて開催された地区別の協議会の課題だが、これについてどのように協力体制をつくっていったらよいか、また、要望も含めて意見等あれば伺いたい。
[委員] 地区によって連携ができているところと、そうでないところがあると聞いている。どの子も同じレベルの支援が受けられる体制にしていただきたい。
[会長] 実感として地区によって違いがあるということなので、事務局もよく受けとめておいていただきたい。
[委員] 地区の構成には公共職業安定所が入っていない。説明の中では就労後の支援と言われたが、学校卒業後のことか。
[事務局]就学前の支援と就学中での支援とのつながりが希薄ではないかということと同時に、就学前に比べて卒業後の支援が今後の課題だという話が出された。
[委員] 教育委員会と健康福祉部との連携が言われているが、両方のコーディネーターはどういう働きをしていくか。仕事として位置づけていく必要がある。巡回指導の中に福祉関係の地域コーディネーターを入れ、子どもに近い立場での連携がしたい。
[会長] コーディネーターが両方にあがっているが、コーディネーター同士の連携を深めるにはどうしたらいいか、事務局の考えはあるか。
[事務局(健康福祉部障害福祉課)]モデル圏域支援体制整備事業の「発達支援コーディネーター」はこれからの事業であるが、就学前については大切な事業であると思っている。就学中(昼間)については教育委員会で、放課後は健康福祉部、というやりかたもできる。ただ、地域ぐるみ等支援事業も行っているが、この中では学校とも協力して、先生方との共同作業、研修、支援もやっている。
[会長] 今、コーディネーターの連携という話題が出たが、教育委員会としてはいかがか。
[事務局]福祉とも今後は連携していきたいと考えているが、今は学校内のことを中心としている。
[会長] ある地域でだれがコーディネーターになっているのか、明確になるような体制づくりをお互いにしていただきたい。人は石垣、人は城というが、人同士が知り合わなければうまくいかない。事務局で検討いただきたい。
[委員] 養護学校に在籍している子どもの卒業後の支援、企業就職だけではなく作業所入所などは、特別支援教育の中でとらえていかないのか。
[事務局]特別支援教育とは、盲・聾・養護学校に在籍しようと特殊学級に在籍しようと通常の学級に在籍しようと、障害のある子どもに対応していくこと。現在取り組んでいるのは、特別支援教育という言葉を使っているが、体制推進事業で通常の学級に在籍する子どもたちの支援もやっていくということである。
[委員] 発達障害は一過性のものではない。ライフステージという言葉があるが、縦軸は就学前・就学中・就学後、横軸は保健・医療・労働・教育だと思う。それぞれの組織がいかに連携していくか、共通の課題をもつことが大切である。発達障害支援法に基づく各ライフステージに沿う協議会が発足したが、本日の連携協議会ともっと密に連携していくことが大切だと思われる。両協議会が、密になるようにしていただきたい。
[会長] 人が生きるということで何が必要か、必要なところが動きたい。モデル事業としても動いている。やってみてうまくいかない場合はどこがいけないのか、うまくいけばノウハウを広めていくというのがモデル事業だと認識している。いいものを選びたい。これまでいただいたご意見を事務局で整理して、愛知県の子どもたちのために特別支援教育に生かしていただきたい。また、今後の県の体制に生かしていただきたい。
(2) その他
[事務局]冊子「平成15・16年度実施 特別支援教育体制モデル事業報告書」の資料はご参考にしていただきたい。次回のこの協議会は2月上旬を予定している。
[会長] 15・16年度のモデル事業のまとめだが、個別の教育支援計画等は苦労して作られたものなので実践的にご活用いただきたい。この件で何かあれば教育委員会にお話しいただきたい。
[委員] 親の思いを聞いていただき理解してほしい。
9 閉会あいさつ 学習教育部長
ご多用の中をご出席いただき、本年度の特別支援教育の推進体制の整備にかかわる事項等につきまして貴重なご意見を賜りまして誠にありがとうございました。横田会長さんには議事運営でお世話になり、たいへんありがとうございました。
障害のある児童生徒の教育の充実に向けては、さまざまな課題があるかと思うが、その課題一つ一つについて、十分検討を行い、解決を図っていくことが大切かと思う。その意味で、平成17年度は、特別支援教育の推進に向けて大きな歩みを進める年になろうかと考えている。それぞれの関係機関、関係部署が、それぞれの資源やノウハウを有効に活用し、必要な支援を効率よく提供できるようなシステムを作り上げていくことができたらと願っている。そのために、この特別支援教育連携協議会の果たす役割は非常に大きなものがあると認識をしている。
今後とも、乳幼児期から学校卒業後まで、障害のある子どもたち一人一人を生涯にわたって支援する体制の整備に向けて、ご協力をよろしくお願いしたい。委員の皆様に改めてお礼申し上げて、あいさつとさせていただきたい。
10 閉会
2 教育委員会あいさつ 教育長
特別支援教育の方針が打ち出されているが、これは教育の方向を大きく変えるものと認識している。教育委員会も本年度から従来の「特殊教育課」を「特別支援教育課」と課名を改めた。この問題は、教育だけでなく、福祉・医療・労働等の関係の方々の協力が不可欠であり、昨年度、この愛知県特別支援教育連携協議会を立ち上げた。特別支援教育については、今後たいへん重要な、しかも大きなエネルギーを要する課題を含むものと言える。今、中央教育審議会において議論がされているが、常にこの問題は専門的な知識とマンパワーが不可欠である。国に対しても要望を出しているが、なかなか目に見えてこない。今後、この協議会が中心となって幅広い視点から議論がいただけると思うが、より地域に密着した議論も必要になってくる。その意味でも、本年度は各地域に連携協議会を設置した。これまでも、各小・中学校への巡回指導の実施やモデル的な地域での実践があるが、こうした成果を見極めながら、特別支援教育が本県にとってよりよいものとなるようにしたい。
いろいろな分野での専門的知識が必要であり、忌憚のないご意見をいただきたい。
3 委員等紹介
4 本協議会開催の目的の確認
5 会長・副会長選出
[委員] 昨年度のこの会の会長で、文部科学省での御経験もあるみずほ大学の横田先生を会長に、また、県内の特別支援教育の状況をよく把握されている総合教育センターの鈴木先生を副会長に選出したいと思う。
[委員] ※賛成者多数により選出
6 会長あいさつ
昨年度に引き続き、愛知県で非常に大事な会だと認識している。平成15年3月28日に文部科学省の中央教育審議会から、「今後の特別支援教育の在り方について」という最終報告が出され、これが基になって、実際に全国一斉に準備を始めたり、動き出したりしてきている。最終報告で示された特別支援学校や特別支援教室については、法律が整備されていないということから、法整備が必要ではないかということを背景としながら、国としてはなかなか実際の動きになっていかなかった。そこで、昨年2月に、中央教育審議会の初等中等教育部会に特別委員会を設けて実際に検討を始めた。12月1日に「中間報告」が出されると同時に、全国の意見をパブリックコメントとして募集した。数として1600件くらい、中身は3700件近い。総論としては問題ない、しかし実際に展開するには無理があるとか、時間をかけてほしいとか、いろいろな意見があったと聞いている。文部科学省はこれを整理して、中央教育審議会の特別委員会に返し、この秋には中央教育審議会から「最終報告」が出され、予定としては来年の通常国会で法律が整備されるのではないかと思われる。
全国を見ると、十分整備ができていないところや、愛知県のように具体的に展開しているところと温度差がかなりある。愛知県の動きは全国でもかなり注目を集めているので、それを意識しながら取り組んでいきたい。みなさんの忌憚のないご意見を聞きながら、事務局にとっても仕事がやりやすいように、それよりも100年後の子どもたちにあの時にいいことをやってくれたと言われるような、そんな会になることを期待しながらあいさつに代えさせていただきたい。
7 副会長あいさつ
愛知の特別支援教育をこれからどう推進していくか、特別支援教育のキーワードは、「個別の教育支援計画」と「特別支援教育コーディネーター」の二つだと考える。障害のある者のニーズに応じた個別の教育支援計画を、コーディネーターが、医療・福祉・労働などの関係諸機関と連携して作成し、障害者の社会自立に向かうことが目的だと考える。総合教育センターに研修にみえる先生方と話をしていると、まだ地域によって状況に違いがある。先進的に取り組んでいる地域の実践を紹介していくことも重要なことだと思う。
総合教育センターも、コーディネーターの養成や特別支援教育に関する研修を実施している。特別支援教育におけるセンター的役割が果たせるように努力していきたい。
8 議事
〔報告事項〕
(1) 平成17年度愛知県特別支援教育連携協議会について
愛知県特別支援教育連携協議会開催要綱、平成17年度愛知県特別支援教育連携協議会委員名簿、平成17年度愛知県特別支援教育連携協議会年間計画(案)について事務局から説明
※質問・意見はなし
(2) 平成16年度愛知県特別支援教育連携協議会の経緯等について
平成16年度愛知県特別支援教育連携協議会の経緯について事務局から説明
※質問・意見はなし
(3) 平成17年度愛知県特別支援教育体制推進事業について
愛知県特別支援教育体制推進事業の概要、平成17年度愛知県特別支援教育体制推進事業の取組、平成17年度第1学期の巡回指導の実施状況について事務局から説明
[会長] 専門家チームの研修会についてはどうか。
[委員] 愛知県は全国的に上位レベルだと思う。盲・聾・養護学校は軽度発達障害児に対する教育についてノウハウが十分にあるとは言えないかも知れないが、巡回指導等の経験をしながら努力をしている。
[会長] 体制を整備しながら、人もつくりながらの実践だと思う。
[委員] 巡回指導について3割程度とのことだが、特殊学級の子はどうか。どのような実施方法か。また、名古屋市はどうか。
[事務局]この事業については、通常の学級に在籍する児童生徒を対象としている。学校については、15年度に実施した調査で愛知県は1.2%という数字だった。その結果を基に、約2倍の2.5%以上の在籍率であった学校は定期巡回校、それ未満の在籍率の学校は不定期巡回校として考え、同時に、市町村教育委員会(各小・中学校)からの要望を加味して巡回校を決定した。
[委員] 名古屋市の場合は、本年度各学校に校内委員会ということで、学習支援委員会をつくり体制ができている。しかし、まだまだ整備をしなければいけないところがある。名古屋市には4校の養護学校があり、その先生方による巡回指導も考えられるので、現在、検討を始めているところである。また、名古屋市教育センターで300名を目標にしてコーディネーターの育成に取り組んでいる。
[委員] 巡回指導の対象児童生徒の内訳で、「その他」が多いが、主にどんなものがあるか。
[事務局]LD、ADHD、高機能自閉症の欄は、すでに診断名がついている子どもだと解釈している。「その他」は診断はされていないが、「気になる子ども」だと解釈している。
[会長] 通常の学級の中には、特別な支援を必要とする子どもがかなりいると考えられる。そのうち発達障害と診断されている児童生徒が資料にある数だと考えてよい。
[委員] これ以降に、これをきっかけにして医療機関にかかって判断がされるという動きはあるのか。
[事務局]ある。
[会長] このことについては、巡回指導の実施状況を次の会でも報告してもらうことによって明らかになってくると思われる。
[委員] 診断名が出ている、出ていないということだが、障害のある子どもの定義はどうなっているのか。
[事務局]子どもの状態像で判断をしている。毎日の生活で「気になる子ども」も巡回指導の対象にしている。したがって、明確な定義は各学校にも示していない。
[委員] 通級指導の中に知的障害は含まれていないのか。
[事務局]特殊学級の中には知的障害はもちろん対象になっているが、通級指導では対象外というのが現行の法になっている。
[委員] 子どもが通う学校は過大規模校であり、養護学校の職員の多忙化という問題がある。重度の障害のある子どもも含めて考えてほしい。バスの整備も必要だ。
(4) 平成17年度発達障害支援体制整備事業について
平成17年度発達障害支援体制整備事業概要について事務局(健康福祉部障害福祉課)から説明及び提案
〔協議事項〕
(1) 平成17年度第1回地区特別支援教育連携協議会での課題等について
平成17年度第1回地区特別支援教育連携協議会での課題等について事務局から説明及び提案
[会長] 本年度初めて開催された地区別の協議会の課題だが、これについてどのように協力体制をつくっていったらよいか、また、要望も含めて意見等あれば伺いたい。
[委員] 地区によって連携ができているところと、そうでないところがあると聞いている。どの子も同じレベルの支援が受けられる体制にしていただきたい。
[会長] 実感として地区によって違いがあるということなので、事務局もよく受けとめておいていただきたい。
[委員] 地区の構成には公共職業安定所が入っていない。説明の中では就労後の支援と言われたが、学校卒業後のことか。
[事務局]就学前の支援と就学中での支援とのつながりが希薄ではないかということと同時に、就学前に比べて卒業後の支援が今後の課題だという話が出された。
[委員] 教育委員会と健康福祉部との連携が言われているが、両方のコーディネーターはどういう働きをしていくか。仕事として位置づけていく必要がある。巡回指導の中に福祉関係の地域コーディネーターを入れ、子どもに近い立場での連携がしたい。
[会長] コーディネーターが両方にあがっているが、コーディネーター同士の連携を深めるにはどうしたらいいか、事務局の考えはあるか。
[事務局(健康福祉部障害福祉課)]モデル圏域支援体制整備事業の「発達支援コーディネーター」はこれからの事業であるが、就学前については大切な事業であると思っている。就学中(昼間)については教育委員会で、放課後は健康福祉部、というやりかたもできる。ただ、地域ぐるみ等支援事業も行っているが、この中では学校とも協力して、先生方との共同作業、研修、支援もやっている。
[会長] 今、コーディネーターの連携という話題が出たが、教育委員会としてはいかがか。
[事務局]福祉とも今後は連携していきたいと考えているが、今は学校内のことを中心としている。
[会長] ある地域でだれがコーディネーターになっているのか、明確になるような体制づくりをお互いにしていただきたい。人は石垣、人は城というが、人同士が知り合わなければうまくいかない。事務局で検討いただきたい。
[委員] 養護学校に在籍している子どもの卒業後の支援、企業就職だけではなく作業所入所などは、特別支援教育の中でとらえていかないのか。
[事務局]特別支援教育とは、盲・聾・養護学校に在籍しようと特殊学級に在籍しようと通常の学級に在籍しようと、障害のある子どもに対応していくこと。現在取り組んでいるのは、特別支援教育という言葉を使っているが、体制推進事業で通常の学級に在籍する子どもたちの支援もやっていくということである。
[委員] 発達障害は一過性のものではない。ライフステージという言葉があるが、縦軸は就学前・就学中・就学後、横軸は保健・医療・労働・教育だと思う。それぞれの組織がいかに連携していくか、共通の課題をもつことが大切である。発達障害支援法に基づく各ライフステージに沿う協議会が発足したが、本日の連携協議会ともっと密に連携していくことが大切だと思われる。両協議会が、密になるようにしていただきたい。
[会長] 人が生きるということで何が必要か、必要なところが動きたい。モデル事業としても動いている。やってみてうまくいかない場合はどこがいけないのか、うまくいけばノウハウを広めていくというのがモデル事業だと認識している。いいものを選びたい。これまでいただいたご意見を事務局で整理して、愛知県の子どもたちのために特別支援教育に生かしていただきたい。また、今後の県の体制に生かしていただきたい。
(2) その他
[事務局]冊子「平成15・16年度実施 特別支援教育体制モデル事業報告書」の資料はご参考にしていただきたい。次回のこの協議会は2月上旬を予定している。
[会長] 15・16年度のモデル事業のまとめだが、個別の教育支援計画等は苦労して作られたものなので実践的にご活用いただきたい。この件で何かあれば教育委員会にお話しいただきたい。
[委員] 親の思いを聞いていただき理解してほしい。
9 閉会あいさつ 学習教育部長
ご多用の中をご出席いただき、本年度の特別支援教育の推進体制の整備にかかわる事項等につきまして貴重なご意見を賜りまして誠にありがとうございました。横田会長さんには議事運営でお世話になり、たいへんありがとうございました。
障害のある児童生徒の教育の充実に向けては、さまざまな課題があるかと思うが、その課題一つ一つについて、十分検討を行い、解決を図っていくことが大切かと思う。その意味で、平成17年度は、特別支援教育の推進に向けて大きな歩みを進める年になろうかと考えている。それぞれの関係機関、関係部署が、それぞれの資源やノウハウを有効に活用し、必要な支援を効率よく提供できるようなシステムを作り上げていくことができたらと願っている。そのために、この特別支援教育連携協議会の果たす役割は非常に大きなものがあると認識をしている。
今後とも、乳幼児期から学校卒業後まで、障害のある子どもたち一人一人を生涯にわたって支援する体制の整備に向けて、ご協力をよろしくお願いしたい。委員の皆様に改めてお礼申し上げて、あいさつとさせていただきたい。
10 閉会

