本文
議事概要(平成18年度第2回愛知県特別支援教育連携協議会)
平成18年度第2回愛知県特別支援教育連携協議会
とき
平成19年2月8日(木)午前10時から午前11時45分まで
ところ
愛知県庁西庁舎 9階 教育委員会室
出席者
委員 19名
氏名 | 所属・職名 |
---|---|
神野 秀雄 | 愛知教育大学教授 |
横田 雅史 | 愛知みずほ大学教授 |
羽谷 篤 | 健康福祉部児童家庭課長 |
牧野 高明 | 健康福祉部障害福祉課長 |
村上 健次 | 健康福祉部医療福祉計画課長 |
鏡味 次男 | 愛知労働局職業対策課長 |
藤本 一 | 産業労働部就業促進課長 |
山崎 嘉久 | あいち小児保健医療総合センター保健室長 |
伊藤 憲治 | あいち発達障害者支援センター長 |
鈴木 由郎 | 岡崎市立甲山中学校長 |
北川 邦男 | 愛西市立勝幡小学校長 |
岡田 禮子 | 愛知県立春日井高等養護学校長 |
三浦美智子 | 愛知県知的障害者育成会副会長 |
岡田ひろみ | 日本自閉症協会愛知県支部副支部長 |
安田由美子 | 愛知県小中学校PTA連絡協議会副会長 |
鈴木 眞二 | 愛知県総合教育センター相談部長 |
山田 敦夫 | 尾張教育事務所次長 |
尾崎 智 | 豊田加茂教育事務所次長 |
加藤 文雄 | 名古屋市教育委員会学校教育部指導室長 |
審議の概要
議題
〔報告事項〕
1 平成18年度巡回指導の実施状況について
2 稲沢・岡崎市における平成18年度特別支援教育体制推進事業の概要について
3 平成18年度発達障害者支援体制整備事業の進捗状況について
〔協議事項〕
1 各地区特別支援教育連携協議会での課題等について
2 地域における支援体制整備に向けた展望及び課題について
会議録
1 開会
2 教育委員会あいさつ 教育長
平成19年4月から「学校教育法等の一部を改正する法律」が施行され、特別支援教育がいよいよ本格的にスタートすることになった。本県でも平成17年度から実施している「特別支援教育体制推進事業」などを通して特別支援教育体制の整備に努めてきたところである。その結果、名古屋市を除く県内の98%の小・中学校に校内委員会が設置され、87%にコーディネーターが指名されている状況となった。今後これらの組織をうまく機能させ活用していくことが重要な課題である。
国に対しては、方針を示すのみでなく、人の配置を含め全国教育長協議会の場でも特別支援教育に関して強く要望しているところである。ただ、この問題は喫緊の課題である。そのため本県としても、市町村における特別支援教育体制整備を支援するための「特別支援教育指導員」の配置や、特別支援学校へのコーディネーターの配置を検討している。
本年度文部科学省の委嘱を受け稲沢市と岡崎市で実施しているモデル事業では、発達障害の幼児児童生徒の指導や相談に関するリーフレットを作成したことにより、発達障害に関する理解が深まり、園や学校での生活の改善が図られたと聞いている。また、ある学校の校長からは、保護者や現場の声として専門的な知識のある教員の配置を望んでいると聞いている。
県としても今後障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な支援を行う「特別支援教育」の一層の充実に向け努力していく。委員の方々の協力と指導をお願いするとともに協議会において忌憚のない意見をいただきたい。
3 会長あいさつ
愛知県の取組は、全国から注目を浴びているものであり、国の大きな動きを見通したものである。また、結果を検証しながら事業を実施している確かさがある。法改正の話が教育長からもあったが、免許法や専門性の問題に至るまでを仕切り直そうという節目を迎えた。この改正は突然のように感じる方もあると思う。総論は賛成だが各論は反対といった場合もあると思う。ただ、自分の経験に照らすと、誰もがインターネット等で情報を知ったり発信したりすることのできる時代になっているので、一つのことを改正するには実に多くの方々からの意見が反映されている。
特別支援教育の体制はでき、歩み始めている。しかし、体制は人である。人を育て、人をつなげ、人を通しての体制でなければならない。これを念頭においていかなければこの体制はもろく崩れる。先日、教育課題対応緊急三か年対策として、平成19年度に311人、平成20年度に449人、平成21年度に656人の教職員措置定数を取ることができたという話を聞いた。今後の体制整備に資することができるのではないか。忌憚のない意見をいただき、検討することで障害のある子どもが「この世に生まれてよかった。この土地に住んでよかった。」と思える体制を作っていきたい。
4 副会長あいさつ
学校教育法等の一部を改正する法律が4月1日から施行される。平成19年度は特別支援教育の一層の推進を図る年である。障害者の教育におけるコペルニクス的発想の転換の年であるという学者もいる。県内の状況を見ると、取組は確実に進み、発達障害についての理解も拡大している。愛知県総合教育センターとしても研修や研究に取り組んできた。
総合教育センターが取り組んでいる研修については、新規採用教員に対する研修・特別支援学級担当教員等初心者研修・通級指導担当教員研修・特別支援学級管理運営研修などがある。また、幼稚園、小・中学校、高等学校、特別支援学校の教員を対象とした特別支援教育講座を8コース開催する。さらに、研究部門として特別支援教育のコンテンツについてインターネットを利用して理解啓発に努めたり、就学に関する移行支援の研究や特別支援教育コーディネーターの連携に関する研究を実施したりしていく予定である。そして、新規事業として幼稚園、高等学校における発達障害のある幼児生徒の理解と対応のため「訪問研修」を計画している。
特別支援教育について依然として、担任教員の理解に地域や学校で温度差がある。また、一部の教員の中には「発達障害」と診断を受けると特別支援学級を勧めるなど、ノーマライゼーションの理念に逆行するような指導を行うものもいる。このような認識不足の教員に対し特別支援教育の理念を周知することが総合教育センターの事業の目的でもある。
5 議事
〔報告事項〕
(1) 平成18年度巡回指導の実施状況について
―資料3~資料4により事務局から説明―
[会長]昨年度からの実施で質的に充実してきていると思うが、質問はありますか。
[委員] (なし)
(2) 稲沢・岡崎市における平成18年度特別支援教育体制推進事業の概要について
―資料5~6により事務局から説明―
[会長]稲沢市も岡崎市も今事務局から説明のあったように、リーフレットの配布や連携協議会の設置、独自の巡回指導などを実施しているということだが、質問はありますか。
[委員]岡崎市や稲沢市では独自にリーフレットを作成し配布している。昨年度障害福祉課でも発達障害に関するチラシを作成し配布したが、市町村でそのような動きはあるのか。
[事務局]障害福祉課では現在市町村の就学時前の子どもの実態調査を行うための案を作成している。本年度中には実施し、実態の把握を行いたい。
[委員]このようなリーフレットはありがたい。岡崎市や稲沢市のようなモデル地区とそれ以外の地区では格差がある。この格差を埋めていただきたい。
[事務局]教育長が冒頭申し上げたように、来年度市町村の支援のための指導員を教育事務所に配置したい。現在各学校に巡回指導を実施しているが、巡回を行っているのは盲・聾・養護学校の教員であり、市町村の教育委員会への指導は難しいので、それを行うための事業を要望している。
[会長]巡回指導は学校を中心に支援し、教育事務所に配置された人材が市町村教育委員会を支援する。確実に連携が進むだろう。
(3) 平成18年度発達障害者支援体制整備事業の進捗状況について
―資料7により事務局から説明―
[会長]質問はありますか。
[委員] (なし)
〔協議事項〕
(1) 各地区特別支援教育連携協議会での課題等について
―資料8により事務局から説明及び提案―
[会長]事務局から説明および提案があったが、各地区での連携が活発になることを県としては願っているわけだが、今後の地区の連携についてそれぞれの立場からご意見をいただきたい。
[委員]中学校を卒業してから、手帳を持っていない子はどこへ進学すればよいのか。結局高等部へ進むので高等部が過大化している。高等養護を増設するといった考えはないのか。
[会長]この問題について事務局としては将来どんなビジョンをもっているのか。
[事務局]発達障害のある児童生徒は通常の学級で学習することが適当であると考えている。中学校の通常の学級を卒業後の選択肢として発達障害のある子どものための学校を増設することは考えていない。そのため幼稚園や保育園、高等学校の教員等に対し発達障害に関する研修を実施しその対応を図っていきたい。
[会長]大阪府では高等学校に特殊学級を試験的に取り入れているという話も聞く。その成果等について事務局で今後検討してほしい。
[委員]保護者として、子どもが医療機関で受診した内容が学校や新しい担任になかなか伝わらない。また、特殊学級の設置されてない学校もある。通常の学級でも生活できるように特別支援教育コーディネーターを中心に支援するような働きかけも必要ではないか。
[事務局]乳幼児期から就労まで見通した支援について研究を進めている。サポートブックの作成を検討している。
[事務局]特別支援学級の設置については、基準を設けて障害種別の設置に努めているところである。また、へき地校については、特例を設け一人の児童生徒で学級設置を進めている。
[委員]通級指導教室の設置についてはどのように考えているのか。
[事務局]通級指導教室の設置についても、さらにその数を増やしていただけるよう国に要望しているところである。
[会長]通級指導に関しては、特に指導者の専門性が必要となる。
[委員]通級指導に関しては、非常に要望が強いということを理解してほしい。
[会長]福祉・医療・保健・教育の各機関が連携することについては、虐待問題などもあり、社会からも必要とされている。しかし、連携は責任転嫁と裏腹な面がある。そうならないために、コーディネーターの存在が重要である。連携に関するすべての情報を保護者がもっていることは難しい。また、手帳にすべてを記載することも困難である。情報を安心して記録でき運用することができるものがあれば理想的である。
[委員]虐待についてであるが、被虐待児の中に発達障害児が多くの割合でいることは事実である。発達障害児の中にはIQ相当の学力が身についていない場合もあるので、保護者へのサポートも必要である。また、要保護児童生徒に関する会議などで、特別支援教育に関する話題を取り上げることが可能なのではないか。
[会長]連携のベースは自分の持分をきちんと責任をもって果たすということである。
[委員]4月からスタートする特別支援教育について学校から相談を受けると、人の配置の問題になる。発達障害のある児童生徒に対する支援は必要になるわけだが、先日の新聞報道であった「特別支援教育支援員」の配置はどのようになっているのか。
[事務局]先日報道された「特別支援教育支援員」については、地方交付税措置されるという内容について市町村教育委員会に周知した。ただ、交付税なので不交付団体はその対象外である。
[委員]学校が手を挙げればすぐに支援できる体制作り、たとえ1~3ヶ月間だけでもいいから人の支援ができるようなシステムがあればありがたい。
[会長]学校現場での大変さについては事務局も十分理解していると思う。
(2) 地域における支援体制整備に向けた展望及び課題について
―資料9~12により事務局から説明及び提案―
[会長]具体的な意見や質問はありますか。
[委員]教員を対象としてK-ABCやWISC-Ⅲの研修が実施されているがこの研修の目的は、教員が検査を通してIQを把握するだけでなく指導に生かすことと考えてよいか。
[副会長]検査結果を指導に生かしている先生は増えている。総合教育センターで研修を実施している。検査器具が高価でもあり、検査器具を借用に来所する回数が増加している。
[委員]担任のレベルで検査が実施できるのか。
[会長]発達検査について、通常の学級の担任で実施できるものは全国的にも少ない。特別支援学級や特別支援学校の教員に実施を依頼する場合が多かった。しかし、最近は、通常の学級の担任が自分でやらざるを得ない傾向が生じている。
[委員]通常の学級の担任レベルで検査を実施できる力量を身につけることは大切である。わざわざ病院で実施するよりよい面が多い。
[会長]大切なことはIQを測定することではなく、子どもの様子や認知の特性を把握し指導に生かすために活用することである。
[委員]連携のための組織は立ち上がったが、これを機能させていくためにも、特別支援教育の底上げをしていくためにも、特別支援教育コーディネーターをはじめ教員の質的な向上が大切である。総合教育センターの研修により個々の力量アップが必要である。免許取得についても検討する必要がある。
[副会長]市町村の温度差が激しい。いろいろな先生の研修も各市町村レベルでの協議会が立ち上がってくれば整ってくると思う。
[会長]特殊教育から特別支援教育への変換で大切なことは、子どもへの支援の質を下げないことと先生の質の向上である。
[幹事]本年度、全中学校にスクールカウンセラーが配置できた。当初いじめ・不登校への対応のための事業であったが、今一番多いのは発達障害についての相談である。スクールカウンセラーも発達障害に関する研修を行っている。
[委員]小・中学校の現場で困っている内容が本日の協議会で協議されているという感想をもった。特にスクールカウンセラーに関しては、一番の相談相手という声も聞いている。専門的な知識をもった方が対応してもらえるので安心できる。
[委員]就労にかかわって、発達障害のある子どもたちの就労について、労働関係とのネットワークが必要である。
[会長]生涯というステージで考えると、入り口ははっきりしてきた。今後出口や受け皿について考えていかなければいけない。
[委員]ハローワーク等の関係職員の支援が必要であろう。
[委員]ハローワークには手続きなどに関し、お世話になっている。子どもの状態については学校がよくわかるので、企業と相談し就労へのめどがついた段階でハローワークに依頼している。個々の対応であるので、システムとして連携できればよい。
[委員]以前は知的障害職業相談員という制度があり、県内5箇所のハローワークに配置されていた。この制度はすでになくなっているが、このような制度が必要なのではないか。学校と企業をつなぐ役があると保護者は安心すると思う。
[会長]活発な協議に感謝する。
6 その他
7 閉会あいさつ 学習教育部長
本日は長時間にわたってご協議いただきありがとうございました。本日いただきました御意見は、障害のある児童生徒の教育の充実にとって大切な内容ばかりである。
とりわけ、特別支援教育を支える教員の資質向上は大切である。また、中学校卒業後の進路につきましても、千葉県や大阪府の取り組みなども参考にし、どのような受け入れができるのか、入学者選抜の問題をどのようにクリアーするのか、特別支援学級を設けるべきなのか、通常の学級で受け入れたらどうか、今後の課題にしたい。本県の特別支援教育体制推進事業も来年度で3年目を迎える。愛知県の特別支援教育がさらに充実するため、また、乳幼児期から学校卒業後まで、障害のある子どもたち一人一人を生涯にわたって支援する体制を整備するためにも委員の皆さんの協力を今後ともお願いしたい。
8 閉会
2 教育委員会あいさつ 教育長
平成19年4月から「学校教育法等の一部を改正する法律」が施行され、特別支援教育がいよいよ本格的にスタートすることになった。本県でも平成17年度から実施している「特別支援教育体制推進事業」などを通して特別支援教育体制の整備に努めてきたところである。その結果、名古屋市を除く県内の98%の小・中学校に校内委員会が設置され、87%にコーディネーターが指名されている状況となった。今後これらの組織をうまく機能させ活用していくことが重要な課題である。
国に対しては、方針を示すのみでなく、人の配置を含め全国教育長協議会の場でも特別支援教育に関して強く要望しているところである。ただ、この問題は喫緊の課題である。そのため本県としても、市町村における特別支援教育体制整備を支援するための「特別支援教育指導員」の配置や、特別支援学校へのコーディネーターの配置を検討している。
本年度文部科学省の委嘱を受け稲沢市と岡崎市で実施しているモデル事業では、発達障害の幼児児童生徒の指導や相談に関するリーフレットを作成したことにより、発達障害に関する理解が深まり、園や学校での生活の改善が図られたと聞いている。また、ある学校の校長からは、保護者や現場の声として専門的な知識のある教員の配置を望んでいると聞いている。
県としても今後障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な支援を行う「特別支援教育」の一層の充実に向け努力していく。委員の方々の協力と指導をお願いするとともに協議会において忌憚のない意見をいただきたい。
3 会長あいさつ
愛知県の取組は、全国から注目を浴びているものであり、国の大きな動きを見通したものである。また、結果を検証しながら事業を実施している確かさがある。法改正の話が教育長からもあったが、免許法や専門性の問題に至るまでを仕切り直そうという節目を迎えた。この改正は突然のように感じる方もあると思う。総論は賛成だが各論は反対といった場合もあると思う。ただ、自分の経験に照らすと、誰もがインターネット等で情報を知ったり発信したりすることのできる時代になっているので、一つのことを改正するには実に多くの方々からの意見が反映されている。
特別支援教育の体制はでき、歩み始めている。しかし、体制は人である。人を育て、人をつなげ、人を通しての体制でなければならない。これを念頭においていかなければこの体制はもろく崩れる。先日、教育課題対応緊急三か年対策として、平成19年度に311人、平成20年度に449人、平成21年度に656人の教職員措置定数を取ることができたという話を聞いた。今後の体制整備に資することができるのではないか。忌憚のない意見をいただき、検討することで障害のある子どもが「この世に生まれてよかった。この土地に住んでよかった。」と思える体制を作っていきたい。
4 副会長あいさつ
学校教育法等の一部を改正する法律が4月1日から施行される。平成19年度は特別支援教育の一層の推進を図る年である。障害者の教育におけるコペルニクス的発想の転換の年であるという学者もいる。県内の状況を見ると、取組は確実に進み、発達障害についての理解も拡大している。愛知県総合教育センターとしても研修や研究に取り組んできた。
総合教育センターが取り組んでいる研修については、新規採用教員に対する研修・特別支援学級担当教員等初心者研修・通級指導担当教員研修・特別支援学級管理運営研修などがある。また、幼稚園、小・中学校、高等学校、特別支援学校の教員を対象とした特別支援教育講座を8コース開催する。さらに、研究部門として特別支援教育のコンテンツについてインターネットを利用して理解啓発に努めたり、就学に関する移行支援の研究や特別支援教育コーディネーターの連携に関する研究を実施したりしていく予定である。そして、新規事業として幼稚園、高等学校における発達障害のある幼児生徒の理解と対応のため「訪問研修」を計画している。
特別支援教育について依然として、担任教員の理解に地域や学校で温度差がある。また、一部の教員の中には「発達障害」と診断を受けると特別支援学級を勧めるなど、ノーマライゼーションの理念に逆行するような指導を行うものもいる。このような認識不足の教員に対し特別支援教育の理念を周知することが総合教育センターの事業の目的でもある。
5 議事
〔報告事項〕
(1) 平成18年度巡回指導の実施状況について
―資料3~資料4により事務局から説明―
[会長]昨年度からの実施で質的に充実してきていると思うが、質問はありますか。
[委員] (なし)
(2) 稲沢・岡崎市における平成18年度特別支援教育体制推進事業の概要について
―資料5~6により事務局から説明―
[会長]稲沢市も岡崎市も今事務局から説明のあったように、リーフレットの配布や連携協議会の設置、独自の巡回指導などを実施しているということだが、質問はありますか。
[委員]岡崎市や稲沢市では独自にリーフレットを作成し配布している。昨年度障害福祉課でも発達障害に関するチラシを作成し配布したが、市町村でそのような動きはあるのか。
[事務局]障害福祉課では現在市町村の就学時前の子どもの実態調査を行うための案を作成している。本年度中には実施し、実態の把握を行いたい。
[委員]このようなリーフレットはありがたい。岡崎市や稲沢市のようなモデル地区とそれ以外の地区では格差がある。この格差を埋めていただきたい。
[事務局]教育長が冒頭申し上げたように、来年度市町村の支援のための指導員を教育事務所に配置したい。現在各学校に巡回指導を実施しているが、巡回を行っているのは盲・聾・養護学校の教員であり、市町村の教育委員会への指導は難しいので、それを行うための事業を要望している。
[会長]巡回指導は学校を中心に支援し、教育事務所に配置された人材が市町村教育委員会を支援する。確実に連携が進むだろう。
(3) 平成18年度発達障害者支援体制整備事業の進捗状況について
―資料7により事務局から説明―
[会長]質問はありますか。
[委員] (なし)
〔協議事項〕
(1) 各地区特別支援教育連携協議会での課題等について
―資料8により事務局から説明及び提案―
[会長]事務局から説明および提案があったが、各地区での連携が活発になることを県としては願っているわけだが、今後の地区の連携についてそれぞれの立場からご意見をいただきたい。
[委員]中学校を卒業してから、手帳を持っていない子はどこへ進学すればよいのか。結局高等部へ進むので高等部が過大化している。高等養護を増設するといった考えはないのか。
[会長]この問題について事務局としては将来どんなビジョンをもっているのか。
[事務局]発達障害のある児童生徒は通常の学級で学習することが適当であると考えている。中学校の通常の学級を卒業後の選択肢として発達障害のある子どものための学校を増設することは考えていない。そのため幼稚園や保育園、高等学校の教員等に対し発達障害に関する研修を実施しその対応を図っていきたい。
[会長]大阪府では高等学校に特殊学級を試験的に取り入れているという話も聞く。その成果等について事務局で今後検討してほしい。
[委員]保護者として、子どもが医療機関で受診した内容が学校や新しい担任になかなか伝わらない。また、特殊学級の設置されてない学校もある。通常の学級でも生活できるように特別支援教育コーディネーターを中心に支援するような働きかけも必要ではないか。
[事務局]乳幼児期から就労まで見通した支援について研究を進めている。サポートブックの作成を検討している。
[事務局]特別支援学級の設置については、基準を設けて障害種別の設置に努めているところである。また、へき地校については、特例を設け一人の児童生徒で学級設置を進めている。
[委員]通級指導教室の設置についてはどのように考えているのか。
[事務局]通級指導教室の設置についても、さらにその数を増やしていただけるよう国に要望しているところである。
[会長]通級指導に関しては、特に指導者の専門性が必要となる。
[委員]通級指導に関しては、非常に要望が強いということを理解してほしい。
[会長]福祉・医療・保健・教育の各機関が連携することについては、虐待問題などもあり、社会からも必要とされている。しかし、連携は責任転嫁と裏腹な面がある。そうならないために、コーディネーターの存在が重要である。連携に関するすべての情報を保護者がもっていることは難しい。また、手帳にすべてを記載することも困難である。情報を安心して記録でき運用することができるものがあれば理想的である。
[委員]虐待についてであるが、被虐待児の中に発達障害児が多くの割合でいることは事実である。発達障害児の中にはIQ相当の学力が身についていない場合もあるので、保護者へのサポートも必要である。また、要保護児童生徒に関する会議などで、特別支援教育に関する話題を取り上げることが可能なのではないか。
[会長]連携のベースは自分の持分をきちんと責任をもって果たすということである。
[委員]4月からスタートする特別支援教育について学校から相談を受けると、人の配置の問題になる。発達障害のある児童生徒に対する支援は必要になるわけだが、先日の新聞報道であった「特別支援教育支援員」の配置はどのようになっているのか。
[事務局]先日報道された「特別支援教育支援員」については、地方交付税措置されるという内容について市町村教育委員会に周知した。ただ、交付税なので不交付団体はその対象外である。
[委員]学校が手を挙げればすぐに支援できる体制作り、たとえ1~3ヶ月間だけでもいいから人の支援ができるようなシステムがあればありがたい。
[会長]学校現場での大変さについては事務局も十分理解していると思う。
(2) 地域における支援体制整備に向けた展望及び課題について
―資料9~12により事務局から説明及び提案―
[会長]具体的な意見や質問はありますか。
[委員]教員を対象としてK-ABCやWISC-Ⅲの研修が実施されているがこの研修の目的は、教員が検査を通してIQを把握するだけでなく指導に生かすことと考えてよいか。
[副会長]検査結果を指導に生かしている先生は増えている。総合教育センターで研修を実施している。検査器具が高価でもあり、検査器具を借用に来所する回数が増加している。
[委員]担任のレベルで検査が実施できるのか。
[会長]発達検査について、通常の学級の担任で実施できるものは全国的にも少ない。特別支援学級や特別支援学校の教員に実施を依頼する場合が多かった。しかし、最近は、通常の学級の担任が自分でやらざるを得ない傾向が生じている。
[委員]通常の学級の担任レベルで検査を実施できる力量を身につけることは大切である。わざわざ病院で実施するよりよい面が多い。
[会長]大切なことはIQを測定することではなく、子どもの様子や認知の特性を把握し指導に生かすために活用することである。
[委員]連携のための組織は立ち上がったが、これを機能させていくためにも、特別支援教育の底上げをしていくためにも、特別支援教育コーディネーターをはじめ教員の質的な向上が大切である。総合教育センターの研修により個々の力量アップが必要である。免許取得についても検討する必要がある。
[副会長]市町村の温度差が激しい。いろいろな先生の研修も各市町村レベルでの協議会が立ち上がってくれば整ってくると思う。
[会長]特殊教育から特別支援教育への変換で大切なことは、子どもへの支援の質を下げないことと先生の質の向上である。
[幹事]本年度、全中学校にスクールカウンセラーが配置できた。当初いじめ・不登校への対応のための事業であったが、今一番多いのは発達障害についての相談である。スクールカウンセラーも発達障害に関する研修を行っている。
[委員]小・中学校の現場で困っている内容が本日の協議会で協議されているという感想をもった。特にスクールカウンセラーに関しては、一番の相談相手という声も聞いている。専門的な知識をもった方が対応してもらえるので安心できる。
[委員]就労にかかわって、発達障害のある子どもたちの就労について、労働関係とのネットワークが必要である。
[会長]生涯というステージで考えると、入り口ははっきりしてきた。今後出口や受け皿について考えていかなければいけない。
[委員]ハローワーク等の関係職員の支援が必要であろう。
[委員]ハローワークには手続きなどに関し、お世話になっている。子どもの状態については学校がよくわかるので、企業と相談し就労へのめどがついた段階でハローワークに依頼している。個々の対応であるので、システムとして連携できればよい。
[委員]以前は知的障害職業相談員という制度があり、県内5箇所のハローワークに配置されていた。この制度はすでになくなっているが、このような制度が必要なのではないか。学校と企業をつなぐ役があると保護者は安心すると思う。
[会長]活発な協議に感謝する。
6 その他
7 閉会あいさつ 学習教育部長
本日は長時間にわたってご協議いただきありがとうございました。本日いただきました御意見は、障害のある児童生徒の教育の充実にとって大切な内容ばかりである。
とりわけ、特別支援教育を支える教員の資質向上は大切である。また、中学校卒業後の進路につきましても、千葉県や大阪府の取り組みなども参考にし、どのような受け入れができるのか、入学者選抜の問題をどのようにクリアーするのか、特別支援学級を設けるべきなのか、通常の学級で受け入れたらどうか、今後の課題にしたい。本県の特別支援教育体制推進事業も来年度で3年目を迎える。愛知県の特別支援教育がさらに充実するため、また、乳幼児期から学校卒業後まで、障害のある子どもたち一人一人を生涯にわたって支援する体制を整備するためにも委員の皆さんの協力を今後ともお願いしたい。
8 閉会