本文
議事概要(平成19年度第1回愛知県特別支援教育連携協議会)
平成19年度第1回愛知県特別支援教育連携協議会
とき
平成19年8月22日(水)午前10時から11時30分まで
ところ
出席者
氏名 | 所属・職名 |
---|---|
神野 秀雄 | 愛知教育大学教授 |
横田 雅史 | 愛知みずほ大学教授 |
羽谷 篤 | 健康福祉部児童家庭課長 |
村上 健次 | 健康福祉部障害福祉課長 |
寺田 雅一 | 健康福祉部医療福祉計画課長 |
田口 秀春 | 愛知労働局職業対策課長 |
磯村多摩夫 | 産業労働部就業促進課長 |
山崎 嘉久 | あいち小児保健医療総合センター保健室長 |
浜野 英夫 | あいち発達障害者支援センター長 |
鈴木 由郎 | 岡崎市立甲山中学校長 |
鬼頭 勉 | 春日井市立玉川小学校長 |
石原みち子 | 愛知県立佐織養護学校長 |
三浦美智子 | 愛知県知的障害者育成会副会長 |
岡田ひろみ | 日本自閉症協会愛知県支部副支部長 |
尾崎 雄子 | 愛知県小中学校PTA連絡協議会副会長 |
濱田 照男 | 愛知県総合教育センター相談部長 |
山田 淳夫 | 尾張教育事務所次長 |
水越 光久 | 西三河教育事務所次長 |
加藤 文雄 | 名古屋市教育委員会指導室長 |
審議の概要
議題
〔報告事項〕
1 平成19年度愛知県特別支援教育連携協議会について
2 平成18年度愛知県特別支援教育連携協議会の経緯等について
3 平成18年度愛知県特別支援教育体制推進事業について
4 平成19年度愛知県特別支援教育体制推進事業について
5 平成19年度発達障害者支援体制整備事業について
〔協議事項〕
1 平成19年度第1回地区特別支援教育連携協議会での課題等について
会議録
1 開会
2 教育委員会あいさつ 教育長
本年4月から、「学校教育法等の一部を改正する法律」が施行され、特別支援教育が本格実施となった。本県では、平成17年度から実施している「特別支援教育体制推進事業」等をとおして、発達障害等の障害のある児童生徒に対する教育的支援を行うための特別支援教育体制づくりに努めてきた。小中学校においては、校内委員会の設置が約98%、特別支援教育コーディネーターの指名が約88%という状況になった。今後は、これらの組織を機能させ、特別支援教育の理念を実現させていくことが重要な課題であると認識している。そのためには、本協議会が大変重要な役割を果たすことになる。関係機関並びに関係部署等の方々の意見を伺い、県全体を視野に入れて、地域における特別支援教育を充実させるための体制づくりについて総合的に協議していたただけると幸いである。
法律は施行されたが、まだまだ実質的な部分では不十分であると考えている。全国教育長会議では、特別支援教育に係る予算化が不十分であるので、全国知事会とも協力し、コーディネーターの専任配置等、国へ働きかけていきたい。また、この4月より、本県単独で、市町村における特別支援教育体制の整備を支援するために教育事務所へ特別支援教育指導員を、特別支援学校の指導の充実と小中学校等へのセンター的機能の拡充に向けて知的障害養護学校へコーディネーターをそれぞれ配置した。これらの配置については、さらに充実していきたい。今後も、国に対して人的な配置を含め、必要な要望を重ねて行うとともに、施設の整備を図っていきたい。過大化の課題についても平成21年度に岡崎に養護学校を新設、高等部の生徒が増加していることから、豊川の宝陵高等学校に併設した形で分校を開校する計画である。特別支援教育は小中学校においても大きな課題があるので、現場の声を聞き、それらを踏まえて小中学校と県立学校が力をあわせて特別支援教育の充実に努めていきたい。
この分野は教育の中でも大変重要な役割を担っている。委員の皆様から忌憚のない御意見を賜り、障害のある児童生徒に対するより望ましい支援について協議いただければ幸いである。
3 委員等紹介 ―資料2により委員紹介(事務局にて)―
4 本協議会開催の目的の確認 ―開催要綱第1による(事務局にて)―
5 会長・副会長選出 ―開催要綱第3の2による(事務局にて)―
委員 昨年度の会長で、愛知みずほ大学の横田先生を本年度も引き続き会長に、総合教育センターの濱田先生を副会長に選出したいと思う。
委員 (賛同拍手)
6 会長あいさつ
今年は特別支援教育元年と位置づけられ、数年前から着々と準備が進められてきた。新たな取組ということで、各学校でも取組が粛々と進められてきた。愛知県では、平成17年度から巡回指導、教職員の研修等を計画的に展開し、全国、近隣地区から、愛知の取組は注目を浴びてきた。今後、こうした取組は教育だけでなく、福祉も労働も一斉に、そして最終的には一緒に動かなければならない。
特別支援教育課と障害福祉課との計らいで、県発達障害者支援体制整備推進協議会の高橋座長と次のことを意見交換した。一つ目は、教育委員会、あいち発達障害者支援センター、各種団体が実施する研修等についても必要に応じて連携を図る。二つ目は、私立学校に在籍している子どもさんへの取組を協力して進める。三つ目は、特別支援教育課と障害福祉課との連携を図っていく。このことについては、県発達障害者支援体制整備推進協議会でも同様に確認されている。
新しい教育基本法にある生涯学習との関連や、特別支援教育を推進するための家庭、地域との連携を大切にしていかなければならないときである。どのように取り組んでいるのかが県の成熟度に表れてくるものと考える。本協議会はその根幹を支える会と位置づけられると思う。
7 副会長あいさつ
すべての学校で特別支援教育が本格的に実施されるようになり、幼児児童生徒一人一人のニーズに応じた支援や指導の充実に向けて取組が進められている。本県の特別支援教育は、本協議会並びに特別支援教育課と総合教育センターで体制整備が進められている。小中学校の校内体制整備の枠組は、かなり出来上がってきた。総合教育センターとしても小中学校のサポートに当たっているが、管理職の特別支援教育への理念や思いによって校内の支援体制も様々である。
昨年度の文科省の報告では、幼稚園、高等学校については体制整備がまだまだであり、地域間における差も見られるとのことである。そこで今年度から、発達障害早期総合支援モデル事業、高等学校における発達障害支援モデル事業を実施している。小中学校段階における体制整備のみならず、幼稚園段階、高等学校段階まで拡大し、発達段階に応じた支援の推進を図ることが求められている。総合教育センターとしては、特別支援教育課と連携して高等学校、幼稚園・保育所への訪問研修を実施して、特別支援教育の理念、発達障害の幼児児童生徒の理解と支援についての研修を行っている。今年度は、高等学校45校、幼稚園・保育所35園を予定している。7月までに高等学校24校を訪問している。特別支援教育は、理念や制度がすばらしくとも現場の先生方の意識が高められないと成果が表れにくい教育である。総合教育センターの事業をとおして先生方の意識を高めたい。そして、各機関とのネットワークの構築に努め、相互に連絡を取り合うことが大切である。
8 議事
〔報告事項〕
(1) 平成19年度愛知県特別支援教育連携協議会について
―資料1~資料2により事務局から説明―
会長 質問はありますか。
委員 (なし)
(2) 平成18年度愛知県特別支援教育連携協議会の経緯等について
―資料3により事務局から説明―
会長 質問はありますか。
委員 (なし)
(3) 平成18年度愛知県特別支援教育体制推進事業について
―資料4~資料6により事務局から説明―
会長 質問はありますか。
委員 (なし)
会長 別冊で配付された稲沢市、岡崎市の取組について、質問はありますか。
委員 (なし)
(4) 平成19年度愛知県特別支援教育体制推進事業について
―資料7~資料8により事務局から説明―
副会長 7月までに訪問研修を実施した高等学校24校の先生方812名のアンケート結果の一部を報告する。発達障害に関する過去の研修受講者は約30%、その内のほとんどは養護教諭、相談担当教諭であったことから研修の必要性を感じる。研修内容についてはほとんどの先生が理解できたとの回答であった。高等学校での発達障害の研修が必要と回答した先生が約95%いた。
会長 質問はありますか。
委員 (なし)
(5) 平成19年度発達障害者支援体制整備事業について
―資料9により事務局から説明―
会長 本協議会とリンクしながら進められている事業ですが、何か質問はありますか。
委員 (なし)
〔協議事項〕
(1) 平成19年度第1回地区特別支援教育連携協議会での課題等について
―資料10により事務局から説明及び提案―
会長 事務局から説明及び提案があったが、7月末までの各地区から出された課題がたくさんあり、どれも重要な内容である。委員の考えを聞いて大きな筋が決まるので、支援体制整備を前提として協力してほしいことや協力できることについて意見をいただきたい。特に、連携の在り方、体制整備の在り方、保護者への支援の3点について協議したい。
委員 医療機関にかかわることだが、3年待ちの診察は解決に向かっている。数のアンバランスさから生じたもので受皿を増やしている。調査して必要があれば1~3か月待ちで診られるようになった。地域においても小児科学会と連携するなど、地域で医療機関と連携できるようになってきている。
学校にかかわることで特別支援教育コーディネーターが9割程の学校で指名され、教員研修、巡回指導を進めているが、個別の指導計画や教育支援計画はどれくらいの割合で作成されているのか。必要な児童生徒一人一人に対して作成されているのか。また、有効かどうか、就労に役立つものか検証することも必要ではないか。
会長 個別の教育支援計画の作成状況については、どの程度なのか。
事務局 昨年度の実績だが、通常の学級に在籍する児童生徒に対しての個別の教育支援計画を作成している小中学校は約30%、個別の指導計画は約40%強となっている。
委員 7割はできていないということですね。
事務局 保護者の同意の上、作成するように働きかけをしている。
会長 個別の教育支援計画について次回の協議会で提示してもらえると、具体的に分かり、皆さんから理解が得られる。
委員 就学に関することだが、養護学校から特別支援学級に転校したい場合、小中学校での受け入れは可能なのか。また、公立高等学校での研修が進められていることはうれしいが、私学の高等学校や専門学校に進学している発達障害の子どもが多いので、私学振興室の方にも出席してもらいたい。
事務局 制度上、養護学校から小中学校に変わることは可能である。各市町村教育委員会においては就学指導員会の意見を参考にしながら、子どもの実態に応じた就学に努めていると認識している。
会長 教育委員会が指定し、各小中学校で受け入れている。
副会長 今年度から訪問研修が始まり、公立高等学校153校を3年間で実施する予定である。幼稚園・保育所については、公立幼稚園72園を訪問するが、県下の保育所への訪問が難しい。そのため、各市町村の関係課と連絡を取り、市町で集まって研修ができないか、お願いしている。私学については、発達障害の生徒が存在していることは承知しているので、支援をしていかなければならないが、まず、県立、公立の充実を図り、私学からの要請があれば支援していきたいと考えている。公立・私立の連携を取り合いニーズに応じていきたい。
会長 まずは、公立高等学校や幼稚園・保育園に取り組み、私学は要請があれば始めるということですね。
委員 私立も公立も高等学校は3年間で卒業してしまうので、何とか制度として早く進めてほしい。
委員 発達障害の子どもへの支援体制整備は整い、その支援についての資料はきれいにまとめられているが、実際に進めるのは大変だろうなと思う。現在、困っている人は、どのように動いていいのか、どのような支援をしてもらえるのか分からない。子どもの障害を受け入れる保護者への支援をお願いしたい。
会長 大きな方向については考えられているが、実際、子どもに対してはどのような支援や指導をしているのか。
事務局 通常の学級に在籍する発達障害の児童生徒への支援は、通級による指導、特別支援学級担当者による必要に応じた支援、体制推進事業による巡回指導等がある。巡回指導では、特別支援学校の専門家チームの教員が、子どもの学校生活の様子を観察して、子どもへの指導の支援や対応方法について指導している。是非、巡回指導を活用してほしい。
会長 実際に困っている保護者の声が、具体的に届いていない可能性がある。
委員 保護者が障害を受け入れることに対して不安がある。相談機関や巡回指導についても地域によって偏りがあり、相談する場所がわからない人もいる。
会長 県内どこの地域にいても同様の支援が受け入れられるように教育委員会も努力しているので、もうしばらく待ってほしい。意見を言っていただいて多くの人の道を開くことが大切である。
副会長 県の総合教育センターには特別支援教育相談室と一般教育相談室がある。不登校や発達障害の子どもについての相談は、両室が連携を取り合っている。電話相談や来訪しての直接面談を実施している。
委員 障害のある子どもについて保護者が理解することや、先生方に話をして子どもについて理解してもらうのに時間がかかる。
副会長 発達障害の子どものことや障害に対する理解が、周囲の子どもやすべての保護者に必要なので、学校の先生を含めてすべての方が理解できるように努めていきたい。
会長 連携を進めるに当たり、プライバシーの保護を守りながら、医療・福祉・教育との連携を図るには、どのようないい方法があるのか。
委員 同じ自治団体に所属している幼稚園・保育所と学校間では、社会理念として子どものために情報を共有し、子どもの発達のために子どもを育てるために、活用していくということでいいのではないか。そのためには、お互いに同意を得る努力が必要である。健康診断についての情報を市町村、小中学校、教育委員会、保健センターで一緒に協議会を開き事例検討した場合、守秘義務を徹底し、個人情報の扱いを地域で進めていくことを教育委員会が主導していくこともできるのではないか。
会長 個人情報と守秘義務とを抱き合わせて考えていかないと解決できない。
委員 事例検討など協議の場では個人名は必要なくアルファベットで十分である。連携を図るために必要な情報は、親からの同意を得て、情報の守秘義務を果たしながら、必要最低限の情報で協議すればよいのではないか。したがって、協議する内容で情報提供する内容は変わるだろう。
会長 個人情報については、個人で持っているもの、共有しているものがあるので、今後も検討する必要がある。体制整備については学校間格差が生じている。小さい市町村は実際に動ける人や各関係機関をもとにしたシステムを作るとよいという意見があるが、これについてはどうか。
委員 小さい規模の市町村で連携が難しいところは、複数の市町村で協力して連携をとっていくことも大事である。一つの市内で連携を図ることも大事だと思うが、必要な機関がない場合は隣接する市町村と協力することが必要であろう。
会長 小さな市町村が集まって実情に応じて作れるとよい。
事務局 地域の行政規模、リソースに応じて作っていただきたい。もし、このような連携ができれば情報提供してもらい、広めていきたい。
(2) その他
会長 その他について事務局、何かありますか。
事務局 特になし。次回は、来年2月を予定している。
9 閉会あいさつ 学習教育部長
本日、横田会長には議事運営でお世話になり、大変ありがとうございました。また、委員の皆様方には、御多用の中、出席いただき、本県の特別支援教育体制推進について貴重な意見をいただきありがとうございました。意見については、今後、事務局で検討し、少しでもよい方向に進むように努力したいと思う。
本県の特別支援教育体制推進事業も3年目を迎えた。皆様のお力添えのおかげで県全体としての支援体制も少しずつではあるが、整備されてきた。今後は、特別支援教育のさらなる充実に向けて、それぞれの関係機関、各部署が、今まで培ってきたノウハウを有効に活用することが大切である。そのためには、お互いに連携を取り合い、必要な支援が提供できるようなシステムを各地域に作り上げていくことが期待される。
特別支援教育が本格的にスタートし、様々な課題が多くあるかとは思う。その課題一つ一つについて十分検討し、解決を図ることが必要である。どうか今後とも、乳幼児期から就労まで、障害のある子どもたちを生涯にわたって支援する体制の整備に向けて、皆様方の御協力をよろしくお願いしたい。
10 閉会