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No.145 ほんとうはどんな味?~香りまつたけ味しめじ~ (平成27年10月19日) 
  鍋料理やスープ、煮物など私たちの食卓でおなじみの「しめじ」。
  「しめじ」と聞くと、多くの店頭で販売されている「ぶなしめじ」を想像される方が多いのではないでしょうか?
  「ぶなしめじ」は、クセのない味わいで独特の歯ごたえがあり、様々な調理に使える上、入手が容易のため広く流通しています。かつて「ぶなしめじ」は、「ぶなしめじ」としてではなく「本しめじ」として流通していました。また、日本では古くから食用とされていた「ひらたけ」が「しめじ」として販売されていたこともあります。
  様々なきのこが「しめじ」として流通したのは、「香りまつたけ味しめじ」と言われるように、しめじがきのこの中で味の良いものとされるからです。
  「香りまつたけ味しめじ」の「しめじ」は本来「本しめじ」を指しますが、「本しめじ」は、しめじと聞いてイメージされる長細い形ではなく、かさがふっくらしていて、軸は白く太めで大ぶりの形状のきのこです。山の尾根に近いアカマツと雑木の混じった林などで、辺りの地面を占めるほど広範囲に生えていることから「占地(しめじ)」という名がついたと言われているこの「本しめじ」。人工栽培が難しく入手が困難なため、かつては人工栽培された「ぶなしめじ」や「ひらたけ」が「本しめじ」や「しめじ」として販売されてきたようです。そのため、現在でもこれらのきのこを「香りまつたけ味しめじ」の「しめじ」として認識されている方もみえるかもしれません。
  これから天然の「本しめじ」が採れる秋本番を迎えますので、機会があればまつたけと並び称される「本しめじ」の味を確かめてみたいですね。
画像:しめじ


























No.144 あいちの恵みを生かそう!野菜をもっと食べよう!(平成27年9月29日) 
  愛知県民の1日当たりの野菜摂取量の平均は、男性は243g、女性は240gで、男女とも全国ワースト1だったことはご存知ですか?(厚生労働省平成24年国民健康・栄養調査)
  循環器疾患やがんの予防に効果的に働くとされるカリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンを適量摂取するためには、野菜を1日に350g程度食べることが望ましいと言われています。数値だけをみれば、愛知県民は約100g野菜が足りないことになりますね。
  おそらく野菜が健康に良いとわかっていても、なかなか十分に食べられないという方も多いのではないでしょうか。確かに野菜は低脂肪、低エネルギーでありながら、どうしてもかさが多くなりがちなため、たくさんの量を食べにくいですね。
  しかし、野菜は蒸したり茹でたりと加熱することで、かさが減り、また柔らかくなって手軽にたくさん食べられるようになります。ですから野菜スープや味噌汁にすることで、野菜をたっぷり食べることができるうえに、水に溶け出した水溶性のビタミンなども残さずまるごと摂取することができるようになりおすすめです。
  望ましいと言われる野菜摂取量まであと約100gの量の目安は小皿一つ半、大きめのトマト約半分です。外食などでは単品メニューよりも定食を選ぶ、家庭では野菜の小鉢を1つ追加するなど、ちょっとしたことでもできる方法で続けていくことが大切です。
  愛知県は、都市部が多くありながらも地元で多くの野菜がとれ、新鮮な野菜がまわりにたくさんある恵まれた地域であるとも言えます。このあいちの恵みを生かして、新鮮な野菜をたっぷりといただき、健康に毎日を過ごせたらいいですね。
画像:野菜










画像:めざせ野菜1日350g






No.143 深い味わいと独特のうまみ 日本人の宝物~かつおぶし~(平成27年9月18日) 
  イタリア北部のミラノで現在開催中の国際博覧会(以下「ミラノ万博」という。)は「食」をテーマにしています。先日、平成27年5月1日の開幕から約3か月で「日本館」の来館者が100万人を突破したというニュースが流れました。「日本館」は、各国展示館の中でも人気が高いようですね。
  開幕前には、欧州連合(EU)の厳しい食品衛生基準により「かつおぶし」等の食材の持ち込みに規制があるということで、ミラノ万博での和食の提供に「かつおぶし」が使用できないのではないかと心配されていました。結果的には、和食の食材持ち込みについて一定の条件を満たせば万博会場に限り、欧州連合(EU)から特例措置が認められたため、会場内では世界に日本のかつおぶしと和食のだし文化の魅力を発信する料理が振る舞われています。
  かつおぶしの主な国内生産地は鹿児島県と静岡県で、原魚の「カツオ」は年間漁獲量のうち約5割がかつおぶしづくりに使用されています。
  かつての武家社会では、「勝男武士」という字が当てられて、縁起物として扱われていた「かつおぶし」。
  ユネスコ無形文化遺産に登録されている「和食」の根幹をなす「かつおぶし」から取っただしの深い味わいは旨味も栄養も凝縮された日本人の宝物ですね。
  忙しい毎日の中でも、かつおぶしからだしをじっくりと取って、長く受け継がれるその豊かな香りと深い味わいを感じるだけで、日頃の疲れも少し和らぐような気がしますね。


※写真は、社団法人日本鰹節協会から提供されたものです。
画像:鰹本節




画像:鰹本節 削り節



画像:かまたま







No.142 弱い魚を食べて強くなる?まるごといただく~カタクチイワシ~(平成27年8月31日) 
  「しらす干し」や「煮干し」でおなじみのカタクチイワシ。
  カタクチイワシは「マイワシ」や「ウルメイワシ」と並ぶ代表的なイワシの種類の1つです。カタクチイワシは「マイワシ」に比べて細く、小さく、大きいものでも15㎝ほどの大きさです。
  愛知県のカタクチイワシの漁獲量は全国第2位(平成25年農林水産統計)を誇りますが、鰯(イワシ)は、傷みやすく、新鮮なものしか店頭にならびません。
  加工品は、ゆでて乾燥させ、「イリコ」とも呼ばれる「煮干し」、数匹ずつ竹串に刺して乾燥させた「目刺し」、おせち料理の「田作り」の材料となる「ゴマメ」などがあります。
  また、愛知県では、主にカタクチイワシの稚魚である「シラス」は「シロメ」とも呼ばれ、全国第3位(平成25年農林水産統計)の漁獲量です。シラスの加工品は、干し具合によって呼び名が変わり、生干ししたものは「釜揚げ」、やや硬く干したものは「チリメン」、更に硬く干したものは「カチリ」と呼びますが、地域によって呼び方は様々であるようです。
  カタクチイワシ科の魚を総称して英語で「アンチョビ(anchovy)」と言いますが、一般的にイタリア料理に使われるアンチョビもこのカタクチイワシ類を塩漬けし、オイルに漬け込んだものです。
  古くから庶民に親しまれてきた「鰯(イワシ)」は、水揚げ後すぐに死んでしまうため、「弱し(ヨワシ)」と呼ばれていたのが名前の由来とも言われていますが、リーズナブルな価格で、おいしく、栄養価が高い等コストパフォーマンスは最強。
  頭から食べられるカタクチイワシの栄養をまるごといただいて、強い体をつくりたいですね。

あいちのおさかなコンシェルジュ(カタクチイワシのたたき団子)はこちら
あいちのおさかなコンシェルジュ(カタクチイワシの田作り)はこちら
画像:カタクチイワシ
















画像:カタクチイワシの田作り







No.141 神様から護られている?縁起の良い香味野菜~ミョウガ~(平成27年8月19日) 
  ミョウガの食欲をそそるさわやかな香りとシャキシャキとした食感は、冷や奴やそうめんなどの薬味として欠かせませんね。
その特徴ある香りの元は、αピネンと呼ばれる精油成分です。眠気を覚まし、発汗を促し血液の循環を良くする働きや、食欲を増す効果があるとされていますから、夏バテや風邪の予防にも効果が期待できそうですね。
  ミョウガの原産地は諸説ありますが、日本若しくは東アジアとされています。日本以外ではあまり食用とはされていないようですが、我が国では正倉院文書にもミョウガを食用とする記述があり、古くから食されてきました。
  またミョウガの読みは、神仏の加護が得られる「冥加(みょうが)」に通じることから、ミョウガを図案化した家紋「茗荷紋(みょうがもん)」は縁起の良いものとされ、神社や寺、武家の家紋として用いられてきました。
  ミョウガは、固く実が引き締まっているものを選ぶと鮮度が高くおいしいとされています。縦に繊維が走っているので、その繊維を断ち切るように横に切ると香りが引き立ちます。
一方、繊維に沿って縦に切れば、シャキシャキした食感が楽しめますので、用途に応じて使い分けてくださいね。
  ミョウガの豊かな香りを逃さないようにするには、水にさっとさらすだけにして料理に加えるのがおすすめです。保存する場合は霧吹きなどで湿気を与えてから冷蔵庫で保存すると良いですね。
  ミョウガは夏から秋に旬を迎える香味野菜です。いつものおかずにミョウガを加えて、夏のさわやかな香りと食感を味わってみてはいかがでしょうか。


画像:ミョウガ








画像:抱き茗荷




No.140 体に虹を持つ ファンタスティックな淡水魚~ニジマス~(平成27年7月29日) 
  ニジマスと聞いて皆さんはどんなイメージをお持ちですか?「キャンプに行って、釣ったり、つかみ取りをした魚」、「アユと並んで川魚の代表的な魚」といったイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
  ニジマスは、成長すると体側に虹色の帯があらわれることから「ニジマス」と呼ばれるようになったとされていますが、英名「rainbow  trout(レインボウ トラウト)」を直訳したとも言われています。
  病気に強く味も良いので全国各地で養殖されおり、品種の改良も行われています。もちろん愛知県でもニジマスは養殖されており、その中には愛知県水産試験場で開発され、平成4年に命名された「絹姫サーモン」があります。
  絹姫サーモンは、略称「ニジアマ」と「ニジイワ」の2つのタイプがあります。「ニジアマ」は、母親にニジマスの「ホウライマス」、父親にマス類でもっとも美味と言われる「アマゴ」を持ちます。一方「ニジイワ」は母親に同じく「ホウライマス」、父親に幻の魚と言われる「イワナ」を持ちます。
  どちらも母親譲りの美しい容姿で、脂ののりも良く、水質や餌などが管理された施設で養殖されているため、川魚ですが安心して生で食べることができます。
  ピンクの美しい身をお刺身やカルパッチョにして食べると絶品なので、お店で見かけたら、ぜひ御賞味ください。
いいともあいち応援団いち推しレポート(絹姫サーモン 愛知県淡水養殖漁業組合)はこちら
あいちのおさかなコンシェルジュ(ニジマスの塩焼き)はこちら
あいちのおさかなコンシェルジュ(ニジマスの刺身昆布風味)はこちら
画像:ニジマス



画像:絹姫サーモン





画像:絹姫サーモン料理




№139 「いも・たこ・なんきん」女の人から愛される~かぼちゃ~(平成27年7月21日) 
  江戸時代の女の人の好きなものを語呂がいいように並べた言葉に「いも・たこ・なんきん」があります。「しばい・こんにゃく・いも・かぼちゃ」というのもありますが、いずれも“かぼちゃ”が入っていますね。ほくほくのかぼちゃは今も昔も男女問わず、愛される野菜です。
 アメリカ大陸がふるさとであるかぼちゃは、16世紀ごろにポルトガル船により日本にもたらされました。このときのかぼちゃがカンボジア産であったため、なまって日本で「カボチャ」と呼ぶようになったと言われています。
 現在、日本で主に栽培されているかぼちゃは「日本かぼちゃ」、「西洋かぼちゃ」、「ペポかぼちゃ」の3種類です。最も早くに日本に伝来した「日本かぼちゃ」は粘質でねっとりとした食感で、しょうゆ等に馴染みやすい等の特徴があります。あいちの伝統野菜に選定されている「愛知縮緬(あいちちりめん)かぼちゃ」は日本かぼちゃの品種の1つです。
 現在最もよく食べられているのは「西洋かぼちゃ」で、粉質でほくほくとした食感や強い甘みが好まれ、全国で栽培されています。「ペポかぼちゃ」にはイタリア料理に欠かせないズッキーニやそうめんかぼちゃ等のユニークなかぼちゃがあります。
 貯蔵がよくきき、丸ごとなら風通しのよい冷暗所で1~2ヶ月はもつと言われるかぼちゃ。冬至にかぼちゃを食べる習慣は、保存しておいたかぼちゃを緑黄色野菜等の少ない冬に貴重な栄養源としていただく先人の知恵でもあります。
 夏からがかぼちゃの旬となりますので、冬まで待たなくても、これから太陽の恵みいっぱいのかぼちゃをたっぷりと味わえそうですね。

愛知縮緬かぼちゃ(あいちの園芸農産)はこちら
画像:かぼちゃ












画像:愛知縮緬かぼちゃ







No.138 愛知の海からいただく独特の歯ごたえ ~トリガイ~(平成27年6月29日) 
  お寿司のタネに欠かせないトリガイは、人気の寿司ダネとしておなじみですね。
  トリガイは、黒紫色の足の部分を食べる貝です。
  「鳥貝」(トリガイ)という名前の由来は、諸説ありますが、「貝殻から伸びる黒紫色の足が、鳥のくちばしに見えるから」とする説が有力です。
  足の部分は別名「オハグロ」とも言われ、黒い方が高級とされています。
  しかし、この黒い色素は取れやすいため、すし職人等がトリガイをさばくときには、普通のまな板ではなく摩擦が少ないガラス等の上でさばき、手袋などをはめ、少しでも色素が取れないように工夫しているそうです。
  トリガイは生のままで出回ることが少ないため、丸くふくれた殻付きのトリガイを見たことがない方も多いかもしれませんね。トリガイは、消化管に泥を含んでいることが多く、産地で足を開いて湯通しされたものがパックに並べられ、出荷されています。
  愛知県は、全国でも有数のトリガイの産地として知られていますが、漁獲量は年によって変動が非常に大きいようです。
  湯通ししたものは冷凍しても味が落ちないので、冷凍ものを利用してみてもよいですね。
  トリガイは、お刺身やお寿司以外に酢の物やバター焼きにしても美味しくいただけますので、独特の歯ごたえと旨みや甘みが絶品のトリガイを、ぜひ味わってみてください。

あいちのおさかなコンシェルジュ(トリガイとワケギの酢味噌和え)はこちら
画像:トリガイ1



画像:トリガイ2

画像:トリガイ3

画像:トリガイとワケギの酢味噌和え
№137 清らかな水で育つ 日本原産の香辛料~わさび~(平成27年6月19日)
  “わさび”と言われて皆さんが想像されるのは、渓流やわき水などを利用して栽培されている、本わさびと言われているものはないでしょうか。
  本わさびは日本原産の植物で、奈良時代に薬草として用いられたという記録があるなど、古くから利用されてきました。
  一方西洋わさびと言われているものは、ヨーロッパが原産地といわれているホースラディッシュのことで、ローストビーフのつけあわせなどとして利用されて、本わさびとは別のものです。本わさびと同様の辛みがあり、加工がしやすく安価なため、チューブわさびや粉わさびなどの原料に使われています。
  本わさびをすりおろすと、つーんとくる辛みと独特の風味が出てきます。この成分はアリルイソチオシアネートという成分で、魚の生臭みを消すとともに、強い殺菌力を持っていると言われています。傷みやすいお刺身やお寿司の薬味として利用されてきたのは理にかなっていますね。
  本わさびを選ぶ際には、みずみずしい緑色で太さが均一なものを選ぶとよいでしょう。辛味成分は根の下の方より葉に近いほうに多いと言われているので、上端からおろします。本わさびの独特の辛みと風味はわさびの細胞が破壊され空気に触れることで生まれますので、目が細かいおろし金などで、空気を含ませるようにゆっくりおろしてみましょう。
  また、おろし器の上に砂糖を少し載せて、すりおろすと、あくが抜けて辛味と香りが一層引き立ちますよ。
  本わさびが手に入りましたら、ゆっくりとわさびをすりおろし、ごちそうをいただくのも楽しみですね。
画像:わさび




















№136 白い花から生まれる柔らかい若さや 愛知の伝統野菜 ~渥美白花絹莢えんどう~(平成27年5月29日)
    さやとさやの擦り合う音が衣擦れ(きぬずれ)の音に似ていることから命名されたと言われるさやえんどうの別名、「絹さや」。
  食育コラムNo.32 でもご紹介したとおり、えんどうを若いうちに収穫し、さやごと食べるものを「さやえんどう」といいます。
  愛知の伝統野菜として選定されている「渥美白花絹莢(あつみしろばなきぬさや)えんどう」は、さやの長さが5㎝ほどの小型の絹さやの品種の1つで、明治末期から渥美郡(現田原市)一円で栽培されていました。その名のとおり、白い花を咲かせ、さやはやや淡い色で、柔らかな香りが特徴です。
  かつては渥美半島の温暖な気候を活かして、真冬でも稲わら等で作った風よけを使って栽培され、春早く東京の市場等にも出荷されていました。
  ところが、ハウス栽培できる品種が育成されたため、「渥美白花絹莢えんどう」は、残念ながら、現在は手に入れにくくなっています。
  ところで、ひらがなやカタカナで書くことが多い“えんどう”ですが、どんな漢字を書くのかご存知ですか?
  答えは、「豌豆」。「豌」の文字のつくりの部分「宛」は曲がった輪のことを表しているそうです。確かに、美人の眉のように美しく曲がった柔らかいえんどうのさやは、みずみずしい緑が鮮やかで、私達の食卓に彩りを添えてくれます。
  「絹さや」がたくさん出回っている今、さわやかな季節にぴったりの美しい彩りやシャキッとした新鮮なおいしさをぜひ楽しみたいですね。

あいちの園芸農産(渥美白花絹莢えんどう)はこちら
画像:渥美白花絹莢えんどう


























№135 海の貴婦人!見て良し、食べて良しの美しい魚~サヨリ~(平成27年5月19日)
  サヨリは、漢字では「細魚」「針魚」と書くように、銀色のスマートな流線型の体をしており、また細く伸びた下あごの先端は赤く紅をさしたようで、海の貴婦人とも呼ばれています。
  そのため、サヨリのような人といわれるとほめ言葉のように聞こえますが、実はサヨリはお腹を開くと真っ黒。サヨリのような人というのは、容姿端麗でも腹黒い人という意味なんですよ。
  でも、サヨリのお腹(腹膜)が黒いのには理由があります。サヨリの身は、背中側から見ると体が半透明なのに、水面近くを泳いでいるので、日中の紫外線から内臓を守る必要があるためと考えられています。海の貴婦人は日焼け対策もばっちりですね。
  また、見た目が美しいだけでなく、食べても淡白で上品な味で、お寿司やてんぷらの高級食材として知られています。サヨリが淡白なのは、ほとんど脂肪を含んでいないから。また、魚としては珍しくビタミンCを多く含んでいます。
  新鮮なサヨリは、長いアゴの赤色が鮮やかで、目が澄んでいて、背ビレや尾ビレが乾いてなく、腹膜が黒いので、お店で見かけたら見比べて選んでください。
  春を告げる魚と言われるサヨリ。美しいサヨリを食べて、春の名残を感じてみてはいかがでしょうか。

あいちのおさかなコンシェルジュ(サヨリの刺身)はこちら
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画像:サヨリ




画像:サヨリの刺身

画像:サヨリの塩焼き
No.134 カマキリのようなエビ?繊細で上品な秘密の味 ~シャコ~(平成27年4月30日)
    みなさんは、お寿司のネタとして知られているシャコはお好きですか?
  シャコの旬は産卵前の春から夏に向かうちょうど今の時期です。身が詰まっておいしくなり、卵を持ったものはうま味が増すために、特に珍重されています。
  カマキリのようなエビに見えたのでしょうか、シャコには「mantis(=カマキリ)shrimp(=エビ)」という英名がついています。エビと見た目は似ているシャコですが、エビとは全くの別もので、「シャコ科」に属しています。
  愛知県でも、伊勢湾、三河湾の小型底びき網で多く水揚げされます。意外に思われるかもしれませんが、愛知県のシャコの漁獲量は、全国有数で過去に全国1位だったこともあるほどです。また、県内最大の産地市場である「豊浜魚市場」に水揚げされる小型底びき網漁業の漁獲物の中で1番の取扱額となっており、愛知県を代表する水産物の一つです。
  シャコは低カロリーでありながら、良質の「たんぱく質」を多く含んでいます。味覚を正常に保ちホルモン合成の材料として働く「亜鉛」や、エネルギー代謝を助ける「ビタミンB1」、肌の調子を整え血管を丈夫にする「コラーゲン」の他にも肝機能を高めるうま味成分「ベタイン」や「タウリン」も豊富です。
  寿司ネタだけでなく、天ぷら、酢の物、焼シャコ、みそ汁の具としても美味しくいただけるシャコ。
  実は、シャコの爪(捕脚)の中に甘い身が隠れているんですよ。
  旬の今、シャコの秘密のおいしさをプチッと押し出して味わってみませんか?
あいちのおさかなコンシェルジュ(シャコのさっと煮)はこちら
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画像:シャコ














画像:シャコ






No.133 大玉で甘い、まぼろしのキャベツ?「あいちの伝統野菜」~愛知大晩生キャベツ~ (平成27年4月20日)
    葉がみずみずしく柔らかい春キャベツがおいしい季節ですね。
  キャベツはおいしいだけでなく、新しい環境で疲れた私たちのからだにとって、強い味方です。
  キャベツはギリシャ、ローマ時代から消化促進作用が注目されており、キャベツから発見されたキャベジン(ビタミンU)は胃の粘膜を保護・再生して、胃炎等の予防に効果があるとされています。
  日本には江戸時代に渡来し、明治時代から本格的な栽培が始まりました。戦後に食の洋風化等により生産量が急増しました。
  愛知県のキャベツ生産の歴史は、全国でも最も古く、明治中期に名古屋市近郊で始まりました。その後、東三河地域を中心に生産が広まり、現在は田原市を初めとして全国有数の大産地となっています。
  「あいちの伝統野菜」に選定されている、愛知大晩生 (あいちだいばんせい)キャベツは、昭和20年代後半から名古屋市内で栽培が始まり、形はやや扁平ですが、重さが2~3kgほどにもなる大きなキャベツです。芯が大きくならず、葉脈が太くて多く、葉が波打っているのが特徴です。愛知大晩生キャベツの旬は4月で、かつてはこの時期にたくさん作られていましたが、現在は収穫量が少なく、ほとんど一般には流通していないと言われていますので、見たことがない方も多いかもしれませんね。
  葉肉が厚く甘みがあるため、焼きそば、お好み焼き、ロールキャベツにするとおいしくいただける愛知大晩生キャベツ。
  名古屋生まれの貴重なキャベツをみつけたら、一度ぜひ味わってみたいですね。
画像:愛知大晩生キャベツ























No.132 畑の春!可憐な花の黄色のじゅうたん ~菜の花~(平成27年3月27日)
  春になるとあちこちで菜の花の黄色のじゅうたんを見かけませんか。菜の花は、春を感じさせてくれる貴重な食材ですね。
 菜の花は、アブラナ、ナタネナ、ハナナの名称を略して菜と呼び、その花を菜の花と呼んでいます。菜種油をとったり、食用にしたり、観賞用としても古くから親しまれています。
 食用の菜の花は、菜花(ナバナ)とも呼ばれ、花が咲く寸前のつぼみを食べることになります。そのため、花を咲かせるための養分がぎっしり詰まっているといわれています。
 具体的には、良質のタンパク質やビタミン、ミネラル類を含み、栄養価が高く、注目を浴びています。特に、生の状態100g当たりの比較では、カルシウムはほうれんそうの3倍も含まれています。
 菜の花は、からし和え、ごま和え、菜の花漬けの他、ほうれんそうやこまつなと同じ感覚で、炒め物や肉料理の付け合わせまで、幅広く料理の食材として利用できます。
 選ぶときは、つぼみが締まっていて茎の切り口がみずみずしく緑色の鮮やかなものがお勧めです。また、長時間水にさらしておくと花が咲いてしまうので気を付けて。
 県内各地で菜の花が栽培されていますが、主につぼみを食する菜の花は、南知多町や常滑市、津島市で生産されています。
  春のお出かけの際に直売所などで新鮮な菜の花を見つけたら、花の栄養のぎっしりつまった畑の春をぜひ味わってみてください。
画像:菜の花












画像:菜の花のたまご炒め




No.131 お散歩しながらみつけよう!食べて春を感じよう!~つくし~(平成27年3月20日)
  あたたかくなり、散歩の途中でつくしが生えているのに気付くとうれしいものですね。
  つくしは「筆の形」に似ているせいか、漢字では「土筆」と書き、春の季語になっています。
  明治時代の俳人、歌人である正岡子規はつくしが好きだったらしく、「つくし」を季語にした俳句を多く残しています。
  また、病床の子規は、お見舞いにもらった紅梅の鉢の中に植えられたつくしを眺めて
「くれなゐの梅散るなへに故郷(ふるさと)に つくしつみにし春し思ほゆ」
という歌を詠んだといわれています。つくしはしみじみと故郷の春を思いおこさせてくれますね。
  さて、摘んだつくしは、佃煮や卵とじにしたりして食べられていますね。
  つくしは「スギナ」の根から生える胞子茎(胞子が入っている袋をつけている茎)です。穂先にたくさんある胞子が飛散してしまうと枯れてしまいますので、摘むときは、穂が開かないうちに摘み取ることが大切です。太くて短いものがおすすめですよ。
  つくしの節々についているハカマは、固いので取り除き、重曹を入れたお湯でさっとゆでるだけで下ごしらえは完了。あとは佃煮や卵とじ、おひたし、天ぷらなどお好みでどうぞ。
  意外なことに緑黄色野菜に分類されるほど、β-カロチンや食物繊維が豊富なつくし。
  つくしを摘むのは楽しいけれど食べるのは・・・と子どものころに思った方も“春の大人の味”を今こそ楽しんでみてはいかがでしょうか。
画像:つくし














No.130 左ヒラメに右カレイ。目はどっちに付いている? 〜ヒラメ〜(平成27年3月13日)
    砂地の海底で暮らす「平たい体の魚」といえば、ヒラメとカレイですね。でもこの2つ、似ているようで大きく異なる点があります。それが目の付き方です。
 「左ヒラメに右カレイ」。みなさんも一度は聞いたことがあるかもしれませんね。目を上に向けて置いたときに、左に目がきたらヒラメ。右に目が来たらカレイです(ただし、例外に左に目がくるカレイもいます)。
 驚くことに、ヒラメもカレイも、生まれて間もない頃は普通の魚とおなじように体の両側に目が付いています。しかし、体長13mmを超える頃になると海底で生活するようになるため、体が横に傾き、目が左右に移動します。不思議ですね。
 さて、「寒ヒラメ」という言葉があるように、ヒラメの旬は冬といわれていますが、県内では例年3月から4月頃に多く出回ります。西尾市、蒲郡市、南知多町で多く水揚げされていますよ。
 白身魚の高級魚ともいわれるヒラメの淡泊で癖のない味わいは、万人に受け入れられる美味しさ。海底を波打つように泳ぐため、ヒレを動かす筋肉「エンガワ」が発達し、ほんのり甘く脂がのったコリコリした歯ごたえが楽しめます。新鮮なものは、お刺身でぜひ味わってください。
 もしも、ムニエルなど加熱して食す場合は、火の通りがよいので弱火で調理することをおすすめします。ふっくらジューシーに仕上がりますよ。
 鮮魚売り場でヒラメを見つけたら、目はどちらについているか観察してみてはいかがでしょうか?
あいちのおさかなコンシェルジュ(ヒラメの薄造り)はこちら
あいちのおさかなコンシェルジュ(ヒラメのムニエル)はこちら
画像:ヒラメ














画像:ヒラメのムニエル






No.129 美しい赤の彩り 栄養もぎゅっとつめて〜ミニトマト〜
(平成27年3月6日)
    料理やお弁当などの彩りとして使いやすく、一口サイズで食べやすいミニトマト。ミニトマトは、直径が3cm程度の小さなトマトの総称で「プチトマト」とも呼ばれていますね。
  ミニトマトの原産地は南米ペルーのアンデス高原地帯といわれています。生まれた土地の気候のように強い日差しと乾燥した気候を好むミニトマトは、高温多湿の日本の夏はあまり好みではないようです。
  しかし、現在はハウス栽培によりミニトマトに適した生育環境を整えて栽培することで、品質の良いミニトマトが1年中出荷されています。愛知県は全国2位のミニトマトの産地(平成25年産野菜生産出荷統計)で、特に田原市や豊橋市、豊川市、弥富市で盛んに栽培されています。春から初夏にかけて多く出回りますよ。
  ところで、ミニトマトは大玉のトマトに比べて味が濃いと思いませんか?
  トマトには、もともとβカロチンやビタミンC等のビタミン類の他にもミネラル、うまみ成分であるグルタミン酸が多く含まれていますが、ミニトマトはこれらの成分の濃度が大玉のトマトに比べ高いとされています。ミニトマトでトマトソースを作ると濃厚で美味しいソースになりますよ。
  愛知でたくさんとれる、うまみや栄養のぎゅっとつまったミニトマトを上手に料理に取り入れて、目にも体にも舌にもおいしい一品を食卓に提供できたらいいですね。
愛・地産アラカルト トマト(ミニトマト)はこちら
「生産者が知事へ思いを伝えます 」はこちら
穂っとネット東三河(トマト小籠包のレシピ)はこちら
画像:ミニトマト
























No.128 まだ間に合う!湖の上でワカサギ釣り〜ワカサギ〜(平成27年2月27日)
  極寒の湖上で氷に穴を開けて釣り糸をたれるワカサギ釣りは冬の風物詩となっていますね。
 ワカサギを漢字で書くと「公魚」。これは江戸時代に将軍家に献上していたことから「公儀御用魚」=「公魚」となったといわれています。
 ワカサギというと湖の魚というイメージが強いと思いますが、もともとはサケやアユと同じように海で成長し、また産卵のために川(淡水)に戻ってくる魚なんです。しかし、環境への適応力が高いことから、各地の川や湖、ダム湖に放流され、現在は川や湖での漁業における重要な魚となっています。
 ワカサギは脂肪含有量が3%以下と少ないため、魚の中では非常に淡白な味です。骨は柔らかく、頭から食べることができるので、カルシウムとその吸収を高めるビタミンDを丸ごと吸収できて、カルシウムを摂るには理想的といわれています。
 ワカサギは体が小さいので鮮度落ちも早く、お腹の薄皮が破れやすいので、おなかが破れていなくてぴんとしたものが新鮮です。しかしなんといっても、寒さに耐えて釣り上げたワカサギを、その場でてんぷら等で食べるのが、一番おいしく、贅沢な食べ方といえるかもしれません。
  県内でも3月頃までは犬山市の入鹿池等でボートからワカサギを釣ることが出来ますので、釣りたてのワカサギをおいしく食べてみてはいかがでしょうか。

※上の画像は「長野県」から、中・下の画像は「網走市」から提供されています。
画像:わかさぎ釣り



画像:わかさぎ






画像:わかさぎのてんぷら




No.127 ずっとおいしい湯豆腐を食べたい。〜大豆〜(平成27年2月20日)
  暦の上ではもう春ですが、まだまだ寒い日は続いています。
  そんな寒い日には、白い湯気の立つ湯豆腐をふうふうしながら食べると、身も心も温まりますね。
 豆腐の原料はご存知のとおり、大豆です。愛知県は全国的にも大豆の主要な産地の1つで、西尾市や岡崎市、安城市、豊田市などの西三河地域、弥富市などで主に生産されています。愛知県でも多く栽培されている「フクユタカ」という品種は、タンパク質を多く含み、豆腐や油揚げの原料に適しているといわれています。
 では、大豆の食料自給率はどのくらいかご存知ですか?
 大豆の平成25年の食料自給率(農林水産省)は、「7%」。
  日本は大豆でつくられた食べ物の多くを海外からの輸入に頼っているのがわかりますね。
  最近は食の安全を求める声も大きく、また、地産地消の高まりから国産大豆の人気が高まっていますが、国産大豆の供給はなかなか需要に追いつくことができないでいます。
 豆腐をはじめとして、納豆や油揚げ、湯葉、きなこ、みそ、しょうゆなど古くから日本人の食生活に欠かせないものとなっている大豆の恵み。
 その恵みをいただくときには、地元で穫れた大豆のありがたさを実感するとともに、おいしい大豆をこれからもずっと食べるにはどうしたらいいのか、考えてみることも必要かもしれません。
愛・地産アラカルト(大豆)はこちら
食糧自給率の部屋(農林水産省)はこちら

 
画像:湯豆腐






















No.126 漁獲量日本一!あいちの海から“春の便り”〜アサリ〜(平成27年2月13日)
  誰もが知っている旨味がたっぷりのアサリ。
 アサリは、「貝塚」からも出土されているとおり、古くから食されている私たちになじみの深い食材です。
  江戸時代には、アサリを使った「深川めし」が名物料理として庶民に大人気でした。現在でも、佃煮(時雨煮)、お味噌汁、酒蒸しといった和食はもちろん、ボンゴレスパゲッティやクラムチャウダーなど洋食でも大活躍ですね。
 さて、みなさんはアサリの漁獲量が全国一の県はどこなのか知っていますか?
  なんと愛知県は、10年連続第1位なんです!それも全国の69%(平成25年)も占めているんですよ。
 愛知県産のアサリは、餌となるプランクトンが豊富な伊勢湾や三河湾で育つため、身がふくよかで、甘みがあるのが特徴です。
  一年中店頭に並んでいますが、旬の春には、アサリのうま味成分「コハク酸」の量も多くなり特におすすめです。この「コハク酸」は砂出し後、水から上げて数時間おいておくと量が増し、更に美味しくなるそうですよ。お試しあれ。
 アサリを買って食べるだけでは物足りない方は、春の季語にもなっている潮干狩りに行ってみませんか?県内では、2月下旬から潮干狩りができるところもあります。どれだけ取れるのかはお楽しみです。
 みなさんも愛知県産のアサリを食べて、一足早い春の訪れを感じてみましょう!
 ◇おさかなコンシェルジュ(アサリのトマトリゾット)はこちら

画像:あさり















画像:あさりのとまとリゾット



No.125 はるか遠く ペルシャから旅した「ほうれんそう」(平成27年2月6日)
  食べると元気がもりもり出てきそうな、ほうれんそう。
 実は、ほうれんそうは西アジアのペルシャ地方(現在のイラン)で栽培されていたものが、東西に広まったとされています。
  中国に伝わったものが東洋種と言われているもので、日本には江戸時代に伝来しました。ほうれんそうの「ほうれん(菠薐)」とは中国語で“ペルシャ”を意味します。東洋種は、葉が細く深い切れ込みがあり、あくが少ないことからおひたしに向くとされています。
  ヨーロッパに伝わったものが西洋種と言われているもので、葉は丸みを帯び、あくが強く、ソテーなどの炒め物に向くとされています。
  ほうれんそうはビタミン、ミネラル類が豊富で、特にβカロチンはほうれんそうを100gも食べれば1日の必要量をカバーできるとされています。鉄分も牛レバーに匹敵するといわれるほど豊富です。
 ほうれんそうには、あくの主成分シュウ酸も含まれていますが、水に溶け出すことから、ゆでて水にさらしてから使うといいですね。また最近は、品種改良によってシュウ酸を少なくした生食用のサラダほうれんそうが販売されていますよ。
 ほうれんそうはヨーロッパでは、胃腸を整え、便通をよくしてくれることから、「胃腸のほうき」と呼ばれて多く食べられてきました。
  この時期が旬のほうれんそうは甘みも増し、愛知県産が多く出荷されますので、地元でとれた新鮮な“胃腸のほうき”を食卓に並べてみてはいかがでしょうか。
画像:しょうが






















No.124 体ポカポカ 熱帯アジアの“シカの角”?〜しょうが〜(平成27年1月30日)
  1月も終わりを迎えますが、まだまだ寒い日が続いていますね。そんな日に思い出すのは、「しょうが」です。
 しょうがは熱帯アジアが原産地といわれ、日本へは中国から伝わりました。英語の「ginger(ジンジャー)」は、サンスクリット語(インドの古語)の「角の形をしたもの」という言葉からきているといわれています。しょうがの根のごつごつした部分がシカの枝角にみえたのでしょうか?
 しょうがの特徴ある辛味は、ジンゲロールやジンゲロンといった成分によるものです。これらの成分は、強い殺菌作用があり、お寿司に付き物の「ガリ」はこの殺菌効果を有効に利用しているといわれています。
 なお、ジンゲロールは加熱によりショウガオールという成分に変化します。このショウガオールには、血行を促進し、体を温める効果があり、風邪や冷え予防に効果があるそうです。
 また、しょうがには、200以上の香り成分が含まれていて、これらの成分には食欲増進や疲労回復の作用があるといわれています。
 食卓では、肉や魚のにおい消しに使われたり、料理の味をぐんと引き立てたり、縁の下の力持ちのような働きをしてくれますね。
 しょうがの旬は寒い季節に入る前とされていますが、しょうがのありがたさを最も実感するのは、今の季節かもしれません。
 寒い冬を乗り切るために、世界中でスパイスや薬として使われているしょうがの力を利用してみませんか。
 
画像:しょうが
























No.123 白派?緑派?東西のコントラスト〜ねぎ〜(平成27年1月23日)
  うどんやそばの薬味や鍋料理の具など私達の食事に毎日のように登場するねぎ。ねぎがないと物足りないと思える料理も多いですね。
 ねぎは中国から朝鮮半島を経て日本へは伝わったとされており、奈良時代頃に編纂されたとされる「日本書記」には、ねぎについて日本最古の記述がみられます。
 ねぎには白い部分と緑色の部分がありますが、関東では主に白い部分を食べる「根深ねぎ」、関西では主に緑色の葉の部分を食べる「葉ねぎ」の栽培がそれぞれ盛んで、関東は「白」と関西は「緑」と好みもわかれているといわれています。
 「根深ねぎ」でも有名な群馬県下仁田町の特産「下仁田ねぎ」は太く、煮ると柔らかくなります。「葉ねぎ」の中で有名な京都発祥の「九条ねぎ」は、葉肉が薄く柔らかでねぎ本来の甘みもありますね。
 「根深ねぎ」と「葉ねぎ」の中間的な性質を持ち、白い部分と緑色の部分を両方とも食べられるのは、あいちの伝統野菜に選定もされている「越津(こしづ)ねぎ」です。愛知県津島市越津が発祥の地で、江戸時代から栽培されています。現在は、愛知県ではあま市、愛西市、一宮市、江南市等で多く栽培されています。
 地域によって好みはいろいろですが、白い部分にも緑色の部分にもねぎには疲労回復し、体を温めて血行を促進する成分、殺菌成分、ビタミンCなどかぜをひいてしまったときに味方になる栄養素がたくさん含まれています。
 もし寒さでかぜをひいてしまったら、白い部分も緑の部分もたくさん召し上がって体を温め、早く元気になれたらいいですね。
 ◇あいちの園芸農産「越津ねぎ」はこちら
画像:ねぎ
























No.122 海の中で何を話しているのかな?鳴く魚〜ホウボウ〜(平成27年1月16日)
  みなさん、「ホウボウ」という魚をご存知ですか?
  ホウボウはとてもユニークな魚で、その特徴は大きく3つあります。
 一つ目は、鳴くこと。魚が鳴く?と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。ホウボウは、浮き袋を収縮させて、まるでトノサマガエルのように「ボゥ、ボゥ」と鳴きます。この鳴き声が名前の由来になったとも言われています。
 二つ目は、餌の探し方。胸びれの根元が3本の足のように変化しており、これを使って海底に潜む餌を探し当てます。その様子はまるで海底を歩き回っているようにもみえます。
 三つ目は、大きな胸びれ。普段、体にそってたたまれている胸びれは緑色で、コバルトブルーの縁取りと斑点があり、泳ぎ出すときや餌を探すときは、鳥のようにに大きく広げます。体の朱色と胸びれの緑色がひときわ美しく映えます。
 このホウボウ、外見と違って身は白く、味は淡泊。刺身にすると癖のない弾力のある歯ごたえが楽しめます。また、火を通すと骨から身が外れやすくなるので、煮魚にしても良いですね。美味しい出汁がとれるため、フランスでは、ブイヤベースに欠かせない魚となっています。
 愛知県では、渥美外海(渥美半島の太平洋側の海域)で漁獲され、冬から春にかけて旬を迎えます。
 耳をすましてみたら、海からホウボウの鳴き声が聞こえてくるかもしれませんね。
あいちのおさかなコンシェルジュ(ホウボウの煮付け)はこちら
あいちのおさかなコンシェルジュ(ホウボウの吸い物)はこちら
画像:ホウボウ












画像:ホウボウ







No.121 古そうにみえて新しい味!〜白菜〜(平成27年1月9日)
  寒い日には白菜のたっぷり入った鍋料理はほっこりうれしいですね。
 昔から日本で食されてきた野菜と思われがちですが、実は、広く普及したのは明治時代以降です。日清・日露戦争に従軍した兵士が、中国で食べた白菜の味が良かったことから、種を日本に持ち帰ってきたことがきっかけとされています。
  当時は日本で栽培しても上手く栽培できなかったようですが、名古屋市の野崎徳四郎氏が品種改良を重ね栽培に成功しました。「野崎白菜2号」は野崎氏が品種改良し、「あいちの伝統野菜」に選定されたものです。
 現在、愛知県では東三河地域、特に豊橋市を中心に栽培されており、産出額(平成24年産)は全国第4位です。
  冬から春にかけてが旬で、葉が厚く育ち、甘味が増して美味しくなります。白菜を選ぶ際には重量感があり、葉が堅く巻いているもの、根の切り口が新鮮で乾燥していないものが良いですね。カットされているものは断面が盛り上がっていないものが新鮮ですよ。
 白菜は水分が多いため蒸し煮にすると白菜本来の“うまみ”が凝縮します。また、味が淡白ですので、さまざまな食材からでたダシと合わせることができ、魚介類や肉等といっしょに食べると一層おいしくなりますね。
  これから続く寒い日には、温かいスープなどにして、白菜の“うまみ”をじっくりと味わい、温まりたいものです。
画像:お雑煮


















No.120 丸もち?角もち?あなたのお雑煮は?(平成26年12月26日)
  今年も残りあとわずか、もうすぐお正月ですね。
  お正月の定番料理といえば、お雑煮ですね。
 このお雑煮でよく話題になるのは、「おもちは丸いか四角いか」ではないでしょうか。
 大まかには、「関東は角もち、関西は丸もち」といわれています。これは、江戸時代には、江戸に人口が集中していたため、一つ一つ手で丸めて作るより効率よく作れる角もちが使われるようになったのに対し、関西では、円満の意味もあることから縁起を担いで丸もちを使っているといわれています。
 ほかにも「おすましか味噌仕立てか」など、お雑煮は地域によって様々な特徴がありますよね。
 さて、名古屋のお雑煮はというと、おもちは四角、カツオだしのしょうゆ味で、具は餅菜だけのシンプルさです。餅菜は「名(菜)を持ち(餅)上げる」といわれ、尾張地方で採れる小松菜の仲間ですが、生産量が少なく、本物の餅菜は手に入りにくくなっています。食べる直前にかつお節をトッピングすると、かつお節の香りが一層食欲をそそります。
 全国には、くるみダレの岩手のお雑煮や、小豆汁の島根のお雑煮、あんの入ったおもちで作る香川のお雑煮などもあります。
  いつものお雑煮に飽きたら、各地のお雑煮を作ってみても面白いかもしれませんね。
  ◇農林水産省HP「お雑煮」はこちら
  ◇農林水産省HP全国お雑煮ガイドはこちら
画像:お雑煮
















No.119 日本の香り"yuzu"でリラックス〜ゆず〜(平成26年12月19日)
  ゆずの清々しい香りは和食には欠かせないものですね。
  みなさんおなじみの黄色いゆずは、今の季節が旬です。
 ゆずの原産地は中国周辺とされていますが、平安時代には薬用として用いられるなど、千年以上にわたって私達の生活に溶け込んでいます。
  寒さや病害虫に強いため、日本のいたるところで栽培されています。中でも高知県、徳島県の出荷が多く、近年、高知大学等ではゆずを混ぜた餌で育てた養殖ブリを開発しています。これによりブリの赤身部分の変色を防ぎ、身にゆずの香りの成分が移り、おいしくなるようです。
 日本や韓国だけでなく、近年はゆずを使ったメニュー、お菓子、ドレッシング、フレーバーティーなどがフランスを中心に販売され、ヨーロッパでのゆず利用が普及し始めています。
 日本には古くから冬至(今年は12月22日)に生のゆずを湯船に入れたゆず湯に入る習慣がありますね。この日にゆず湯に入るとかぜをひかないともいわれています。ゆずの果汁や果皮には、多くのビタミンCや、精神をリラックスさせる香り成分が含まれていますので、ゆっくりと疲れを癒やせそうですね。
 日に日に夜が長くなり、寒い日が続きます。新しい年に向けて忙しくなりますが、ゆずの香りに包まれたお風呂に入り、寒さで固まったからだをリラックスさせてあげたいですね。
画像:ゆず










画像:ゆずの摘み取り






No.118 世界記録に認定!“世界一”長〜い〜守口大根〜(平成26年12月12日)
  みなさん、世界で1番長い大根は何か知っていますか?
  正解は、「守口大根」です。
 どのくらい長いかというと・・・なんと、191.7センチメートル!世界一長い大根の世界記録認定を目指すイベントが平成25年に扶桑町で開かれ、守口大根が“世界最長”と認定されました。
  愛知の伝統野菜、飛騨・美濃伝統野菜にも選定されている守口大根は、かつては岐阜県で多く生産されていましたが、戦後になって扶桑町で栽培が盛んになり、現在では、全国の6割以上が扶桑町で生産されています。
 さて、守口大根を使った加工品として有名なのは、「守口漬」ですね。黄金色で歯ごたえのよいお漬け物は、名古屋土産の定番として親しまれています。塩漬けにした後、酒粕やみりん粕に何度も漬け替え、熟成させた守口大根は、漬け込む回数が多いほど味がまろやかとなり、美味しくなるそうです。
 また、守口漬の黄金色は、「メラノイジン」と呼ばれる成分で、ストレスに対する抵抗力を高め、ビタミン、ミネラルを吸収しやすくするといわれています。同じく名古屋名物の「ひつまぶし」の箸休めに出される守口漬は、ウナギに豊富に含まれているビタミンやミネラルを吸収するのに役立っているのではないでしょうか。
 愛知県産の農林水産物を食べることは、県内の生産者を応援し、次の世代に食文化を伝えていくことにつながります。
  さぁ、みなさんも世界一長い大根を食べて、地元の食文化を長〜く受け継いでいきましょう!
 画像:守口大根








画像:守口漬







No.117 将軍様が命名した青菜〜小松菜〜(平成26年12月5日)
  小松菜は、だしのきいた煮物やお雑煮にぴったりの野菜ですね。
  小松菜は江戸っ子にも冬の重要な野菜として親しまれ、江戸庶民のお雑煮には欠かせないものだったようです。
  名前の由来には諸説ありますが、八代将軍徳川吉宗が小松川村(現在の東京都江戸川区付近)を鷹狩りで訪れたとき、土地の者が青菜を汁物にして献上したところ、たいそう喜ばれ、「小松菜」と命名したといわれています。  現在でも東京は小松菜の全国の有数の産地です。愛知県ではあま市、清須市、名古屋市、安城市等さまざまな地域で栽培され、小松菜を利用したスイーツなども販売されています。
 小松菜はアクが少なく、炒めたり、茹でたり、また蒸したり、汁物に入れてもおいしくいただけます。また、カロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄、食物繊維、カリウムなどの栄養素も豊富に含まれています。ビタミンDを含む魚介類と一緒に摂ると、カルシウムの吸収が良くなるといわれていますので、魚料理の付け合せにもいいですね。
 小松菜は1年中栽培されていますが、「冬菜」や「雪菜」とも呼ばれて、その名のとおり12月〜3月が旬とされています。寒さにさらされると甘みが増しておいしくなりますので、これからの季節、栄養がいっぱい含まれる小松菜をたくさんいただいて、寒さに強い小松菜のように元気に過ごしたいですね。
 画像:小松菜


















No.116 水上へジャンプ!縁起の良い出世魚〜ボラ〜(平成26年11月28日)
  水上にジャンプする ボラを目にしたことはありますか?よく飛び跳ねるボラは庶民的な魚としてみなさんに馴染みのある魚ですね。
 ボラは「ハク」→「オボコ」→「スバシリ」→「イナ」→「ボラ」→「トド」と、成長にしたがって名前が変わる出世魚です。江戸時代までは、武士や学者などは成人や出世などによって名前を変える習慣があり、ボラは、その習慣に似ているため、縁起のいい魚としてお祝いの席で好まれてきました。
 昔から身近な魚であったこともあり、ボラにまつわる今に伝わる言葉も多いのですよ。例えば、「いなせ」という言葉は、“粋でさっぱりしている姿や気風”を表しますが、これはボラの前身「イナ」からきています。また、“いきつくところ”、“結局”という意味の「とどのつまり」という言葉は、ボラが最後には「トド」になることに由来しているといわれています。
 ボラは愛知県では、常滑市、南知多町、美浜町、西尾市、蒲郡市、田原市などの沿岸域で獲れますが、木曽川下流地域でもよく獲れ、「ボラ雑炊」やイナの内臓を取り出した腹の中に甘味噌を詰め込み焼き上げた「イナまんじゅう」が古くから尾張地域に伝わる郷土料理となっています。
 ボラの身は臭いがあることで、おいしくないというイメージのある方もいるかもしれませんが、水質のよい場所で育った冬のボラはクセがなく、油がのって美味だといわれています。
  この冬、高タンパクの出世魚「寒ボラ」の味をぜひ確かめてみてください。
ボラ雑炊の作り方はこちら
イナまんじゅうの作り方はこちら
   
 画像:イナまんじゅう













 画像:ボラ





No.115 太陽の恵みを全葉に受けて〜レタス〜(平成26年11月21日)
   シャキシャキのレタスは、サラダに欠かすことのできない代表的な野菜のひとつですね。
 レタスは、地中海沿岸から西アジアが原産地とされており、古くは紀元前6世紀に、ペルシャの王様の食卓に供されていたと伝えられています。
 日本では「ちしゃ」とも呼ばれ、漢字では「乳草」と書きます。字の表すとおり、レタスの葉や茎を切ったときには白い汁がでてきますよね。同様に、英語名の「lettuce(レタス)」は、ラテン語の「lactuca(ラクチュカ)」が語源で、「lac」は ラテン語で“ミルク”を意味しています。レタスは日本でも西洋でも「乳」をイメージしているのですね!
 レタスには、葉を巻く「玉レタス」のほかに葉を巻かない「リーフレタス」等があります。代表的なリーフレタスの「サニーレタス」は昭和47年に豊橋市の農家が名前をつけ、出荷したのが始まりといわれています。
 レタスには非常に水分が多く含まれていますが、カリウム、ベータカロチン、ビタミン、食物繊維等の栄養素もバランスよく含まれています。
  おなじみのサラダやつけあわせだけでなく、油でサッといためてもおいしくいただけますので、みずみずしい太陽の恵みをたくさん召し上がってください。
 画像:レタス

















No.114 来て!見て!食べて!今年も開催!
〜あいちの農林水産フェア〜(平成26年11月12日)
   食生活が豊かになった現在、遠くまで出かけなくても、全国の美味しい物を食べられるようになりましたね。
 でも、みなさんは、愛知県産の農林水産物を使った美味しい物やご当地グルメをどれだけ食べたことがありますか?知っているけど、食べたことはない、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
 そんな方に、ぜひお越しいただきたいのが丸栄(名古屋市栄)8階大催事場において開催する「あいちの農林水産フェア」です。今年は、11月13日(木)から11月18日(火)までの6日間、開催します!
 このフェアでは、今が旬のれんこんやぎんなんなどの農林水産物を始め、抹茶、一色産うなぎ弁当、うずら卵加工品、スイーツなど、県産農林水産物にこだわった加工食品が数多く出品されます。
 また、イートインコーナーでは、海の幸をふんだんに使った「離島3島(佐久島、日間賀島・篠島)の丼」や、昨年の全国ご当地うどんサミットで優勝した「ガマゴリうどん」、名古屋コーチン親子丼などをご用意しています。
 その他にもフェア期間中は、蜜ろうキャンドル作りや餅つきなどご家族で楽しめる企画を日替わりで行う他、大学生が開発した地域食材を使ったおやつの試食・販売も行います。
 まるっと愛知大集合!みなさんのお越しを、お待ちしております!
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 画像:あいちの農林水産フェア



画像:ガマゴリうどん

画像:日間賀島メジロたこのせ飯
画像:篠島しらす海鮮丼
No.113 疲れたからだにしみわたる〜だいこん〜(平成26年11月7日)
   みなさんおなじみのだいこん。これからの季節、寒い日に食べると、ほっとするやさしい味ですね。
  だいこんの原産は地中海地方と言われていますが、日本には弥生時代には伝来し多くの種類が栽培されています。
  だいこんは煮物のほか、漬け物や切り干しだいこんなどとして、日本の食卓に欠かせない野菜として利用されています。
 芸の未熟な役者を「大根役者」と呼んだりしますが、これは、だいこんの消化が良く、どんな調理法で食べても食あたりしないことから「当たらない役者」とかけたものと言われています。
 このように昔から消化が良いと言われてきただいこんには、ジアスターゼやアミラーゼなどの消化酵素が豊富に含まれています。これらの消化酵素は加熱に弱いため、「だいこんおろし」として食すると、胃腸の働きを助け消化を促進し、胸焼けや胃もたれに効果があると言われています。この「だいこんおろし」の辛みの成分はだいこんをすりおろしたときに組織が壊されることにより作り出されるもので、ガンの予防や血栓防止に効果があるとされています。
  また、捨ててしまうこともあるだいこんの葉は、強い抗酸化力を持つβ−カロテンやビタミンC、カルシウムを多く含むため、炒め物にすると栄養分の吸収も良くなり、ごはんにぴったりの1品になりますよ。
  だいこんの旬となるこれからの季節、甘みが増しておいしくなりますので、少しお疲れの日には、だいこんといっしょに「からだ」や「こころ」を休めたいですね。
 画像:だいこん



















No.112 地元蒲郡で開催!〜全国ご当地うどんサミット〜(平成26年10月31日)
 過去3回にわたって、滋賀県東近江市で開催されてきた「全国ご当地うどんサミット」。この第4回大会が、昨年初登場にして1位に輝いた「ガマゴリうどん」の生誕地、蒲郡市のラグーナ蒲郡で11月9日(日)に開催されます。
 この大会は、豊かな和食文化の象徴であり、地域の魅力が詰まった「ご当地うどん」を一堂に結集し、全国の豊かな食文化を楽しんでいただき、一般投票によりグランプリを決定するものです。
 出展には、国産小麦を使った商品であることが条件の一つとなっており、開催地蒲郡市の「ガマゴリうどん」には、愛知県が開発した新品種「きぬあかり」が使われています。この「きぬあかり」、うどんやきしめんなどの麺用として、コシを生み出すタンパク質の質にこだわり開発され、収量性が高く、つるつる、もちもちのおいしい麺ができることから、作付面積が県内で急速に拡大しています。
 この「ガマゴリうどん」を始め、県内からは7種類、全国から合計25種類のご当地うどんが出展、グランプリを目指します。(ガマゴリうどんは地元開催のため、今回は審査の対象外となっています。)
 当日は、ご当地うどんがハーフサイズで1杯300〜400円で販売されますので、たくさんの味が楽しめそうですね。
 秋も深まり寒くなってきたこの季節、体も心も温かくなるご当地うどんサミットに家族や友だちと出掛けて「うどん」という食文化を楽しんでみてはいかがでしょうか。
全国ご当地うどんサミット ホームページはこちら
ガマゴリうどんについてはこちら
 画像:全国ご当地うどんサミット


 画像:きぬあかり




No.111 まるくてもっちり!八名村からきた愛知の伝統野菜〜八名丸さといも〜(平成26年10月24日)
   皆さんは愛知の伝統野菜の一つである「八名丸(やなまる)さといも」をご存知ですか?
 八名丸さといもは、新城市一鍬田地区(旧八名郡八名村)が発祥といわれ、特徴的な丸い形から、昭和20年ごろに「八名丸さといも」と名付けられ、栽培が広がりました。新城市では、特産品としてブランド化を進めていて、平成14年には愛知の伝統野菜に選定されています。
 一般的なさといもに比べると、丸い形以外にも、きめが細かく、粘りがあり、滑らかな舌触りという特徴があります。
 八名丸さといものおいしさを味わうには、皮ごとゆでて味噌やしょうが醤油をつけて食べる「キヌカツギ」という食べ方がお勧めですが、もちろん、一般的なさといもと同様に、煮物やおでん、味噌汁の具にしてもおいしいですよ。また、新城市の農産物直売所などでは、親芋を使った「八名丸コロッケ」が人気惣菜の一つとなっていて、1年中販売されています。
 渇水となった昨年に比べて、今年は、お盆以降のまとまった雨のおかげで大変良い出来だそうですので、今までに八名丸さといもを食べたことのない方もぜひ味わってみてください。
 これから秋も深まり寒い日も増えてきますが、もっちりおいしい八名丸さといもを使って、心も体も温まる家族団らんのひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
 画像:八名丸さといも








 画像:掘りおこした八名丸さといも


 
No.110 キスじゃないよ。ニギスだよ!(平成26年10月17日)
    みなさんは、ニギスという魚を知っていますか?
 ニギスは、天ぷらなどでおなじみの「キス(シロギス)」に似ていることから「似ギス = ニギス」と呼ばれるようになったとも言われる魚です。でも、ニギスの方は目が大きく実際はそれほど似ていないような・・・?
 すんでいる場所も、キスは比較的水深の浅い場所にすんでいますが、ニギスは水深200m程度の深い場所にすんでおり、愛知県では渥美外海(渥美半島の太平洋側の海域)で漁獲されます。
 また、キスは脂肪分が少なく、あっさりとした上品な味わいなのに対し、ニギスは脂ののりがよく、焼くと脂がしたたり落ちるほど。鮮度を保つのが難しいため、干物などに加工されることが多いですが、もしも新鮮なニギスが手に入ったら、バター焼き、フライ、煮物にしても、脂がのったふわふわな身を楽しめますよ。
 なお、ニギスの漁獲量の多い蒲郡市では、イベント等で「ニギスの団子汁」が振る舞われることもあり、郷土料理として親しまれています。
 汁物は体が暖まりますし、ニギス団子は、ニギスを骨ごとすり身にするのでカルシウムをしっかり摂ることができますね。すり鉢やフードプロセッサーがあれば、ご家庭でも簡単にできますので、愛知県産のニギスを見つけたら、ぜひ挑戦してみてください。
 ◇あいちのおさかなコンシェルジュ(ニギスの団子汁)
 画像:ニギス








 画像:ニギスの団子汁


 
No.109 かつては庶民の味覚だった!〜マツタケ〜(平成26年10月10日)
    秋の味覚の王様といえば、マツタケですね!
「香りマツタケ、味しめじ」といわれ、マツタケと言えば、独特のよい香りが有名ですが、その香りの成分はマツタケオールと桂皮酸メチルという成分です。豊かな香りを楽しむために、お吸い物、ホイル焼き、マツタケご飯、炭火焼きなどシンプルで薄味の料理がマツタケ料理の定番ですね。
 マツタケは主にアカマツ林に生えるため、マツタケと呼ばれていますが、実は、栽培法が確立されておらず、すべてが天然ものなのです。
  かつて薪や落ち葉を燃料として採取していた日本の里山は、マツタケが生えるのに適した環境でした。そのため多くのマツタケが収穫され、秋の味覚として庶民に親しまれていましたが、燃料が電気や石油に置き換わり、里山の薪や落ち葉を採取しなくなったことにより、里山の環境が変わりマツタケが生えなくなり、収穫量が激減しました。
  また、松枯れによるマツ林の減少も追い打ちをかけ、国産のマツタケと言えばもはや庶民にはなかなか手の届かない高級品となってしまいました。現在はカナダや中国、韓国から輸入されたものが多くなっています。
  かつての日本の農村での生活と密接した食べ物だったマツタケ。現在では頻繁に食卓に登場するものではなくなってしまいましたが、今年の秋は「秋の香り」をたくさん吸い込みながら、かつての”庶民の味”マツタケをいただけたらしあわせですね。
 画像:マツタケ


















   
No.108 食育活動をしている仲間との出会い〜あいち食育いきいきミーティング〜(平成26年10月3日)
  秋らしいさわやかな日も多くなってきましたね。
  秋は食べ物がおいしく感じられる「食欲の秋」でもありますが、「学びの秋」でもありますね。
 きたる10月23日(木)と11月8日(土)に愛知県では「あいち食育いきいきミーティング」を開催します!
 このミーティングでは、「あいち食育いきいきプラン2015」のコンセプト“啓発から実践へ”に沿った取組を広く紹介しますので、みなさんいっしょに「あいちの食育」について考えましょう。
 10月23日(木)の岡崎会場では、野菜ソムリエの中山麻実さんをお招きして、「野菜の魅力・おいしい食べ方を伝える〜野菜ソムリエとあいちの伝統野菜〜」と題して講演いただきます。愛知県には秋冬野菜の全国に誇る産地が数多くあり、これから出荷量も増えてきます。もっとたくさん・おいしく野菜が食べられるといいですよね。そして「あいちの伝統野菜」については知りたい方、チャンスです!
 また、田原市の「にんじんの会」の代表者の方からは、自ら生産した新鮮な野菜を学校給食へ届けたり、子ども達に食べ物のことを教えている取組もお話いただきます。
 一方、11月8日(土)の名古屋会場は大学で開催し、県内の大学に通う学生のみなさんからは、お弁当を利用した食育や大学での先輩から後輩へ食育、規格外野菜からスイーツの開発・販売を通した食育など色々な活動のお話をしてもらうことにしています。
さまざまな世代の方が若い世代からよい刺激を受け、食育活動が広がっていけばいいですね。
 このミーティングは、食育に関心のある方ならどなたでも参加できますので、ぜひ参加して、食育の輪を広げてみませんか。
 両会場で意見交換の時間もありますので、食育についてより深く知ったり、いろいろな立場の方と意見を交換しましょう!
◇あいち食育いきいきミーティングのご案内はこちら
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No.107 全国どこにでもあると思ってた!? 〜鬼まんじゅう〜 (平成26年9月26日)
   スイートポテトや大学芋などほくほくしておいしいサツマイモを使ったお菓子はたくさんありますが、忘れてはならないのが、「鬼まんじゅう(略して「鬼まん(おにまん)」)」ですね!
 名古屋近郊の方は、全国どこででもこの鬼まんじゅうが食べられていると思われる方もいらっしゃるかもしれません。鬼まんじゅうは主に愛知県など東海地方を中心として昔から親しまれているお菓子です。
 鬼まんじゅうを知らない方は、中にあんこの入ったお菓子を想像するかもしれませんが、鬼まんじゅうは一般的なまんじゅうとは異なり、小麦粉と砂糖を混ぜた生地に角切りのサツマイモを混ぜて蒸した素朴なお菓子です。
 東海地方では秋になると、和菓子屋さんはもちろんスーパーマーケットでも販売されるほどポピュラーで、蒸しパンのようなものや、ういろうのようなものまで様々です。
 名前の正式な由来はよく分かっていないようですが、角切りのサツマイモがゴツゴツとして、鬼の角や金棒を連想させるからとも言われています。
 鬼まんじゅうの作り方は簡単で、手間がかからないことから家庭で作られることも多いですね。お店で買ったもちもちの鬼まんじゅうもおいしいですが、サツマイモが美味しい秋にご家庭で作ったできたての鬼まんじゅうと味比べをするのも面白いかもしれませんね。
 食育ネットあいちの郷土料理と食文化のページに鬼まんじゅうの作り方を掲載していますので、地元で愛される素朴な「鬼まんじゅう」をぜひ作ってみて下さい。
 ◇鬼まんじゅうの作り方はこちら
画像:鬼まんじゅう






















No.106 解禁!柔らかで、ほんのり甘い〜ヤリイカ〜 (平成26年9月19日)
   夏の暑さも和らぎ、秋の訪れももう間近ですね。秋は、お米や果物が実り、各地で収穫を祝うお祭りも行われる季節です。
  そんな秋、海では美味しい「ヤリイカ」が水揚げされますよ。
 愛知県では、渥美外海(渥美半島の太平洋側の海域)で漁獲されます。体全体が細長く、槍(やり)に似ていることからその名前が付けられました。身が柔らかで、ほんのり甘く、刺身の他、焼く、煮る、ゆでるなどいろいろな調理方法で楽しむことができます。
 美味しいヤリイカの見分け方を紹介しましょう。まず、目は黒々として艶があり、イカの胴の先にある三角形をしたエンペラと呼ばれる部分は透明感があるものを選びましょう。イカの身は新鮮なほど透明で、時間と共に茶色く濁り、真っ白くなっていくので、新鮮なヤリイカを選ぶ際には、色もチェックポイントです。
 ところで、イカの寿命はどのくらいかご存じですか?
寿命は1年。このため、愛知県の漁師さんたちは、小さなうちは獲らないようにし、食べ頃のサイズになる秋に、漁を始める日や1日の獲る量を決め、毎年、ヤリイカが獲れるよう取り組んでいます。
 愛知県産のヤリイカを見つけたら、その新鮮な美味しさを、ぜひ、味わってみてください!
あいちのおさかなコンシェルジュ(ヤリイカの料理が掲載)
漁況速報 〜おさかな旬報〜(旬のお魚の情報が掲載)
画像:ヤリイカの刺身











画像:水揚げされたヤリイカ







No.105あいちが”ふるさと”のきのこ〜エリンギ〜(平成26年9月12日)
  家庭料理ですっかりおなじみとなったエリンギ。
  実は、エリンギの日本の“ふるさと”は愛知県です。
 エリンギは、地中海の沿岸から中央アジアにかけて分布し、ヨーロッパでは古くから食用とされてきました。もともと日本には自生していないきのこですが、平成5年に愛知県が海外から種菌を導入し、国内ではじめて人工栽培技術を確立しました。味がよいことから人気が高まり、今ではぶなしめじやまいたけなどと並んできのこの定番となっています。愛知県では美浜町、幸田町、豊橋市で栽培されていますよ。
 エリンギには食物繊維が豊富に含まれるため、腸内環境を整えコレステロールや老廃物が排出され、便秘予防や肥満の防止に効果があるといわれています。また塩分の排出を促し、高血圧の予防に効果があるカリウムが豊富に含まれています。
 みなさんがご存知のとおり、エリンギは、弾力があってコリコリとした食感が特徴です。食感は鮮度とともに落ちていくため、色が白く柄の部分に張りがあり、持った時にしっかりと固い弾力を感じる新鮮なものを選ぶといいですね。
 エリンギは油との相性が良く加熱しても縮まないため、醤油やニンニクを効かせたバターやオリーブオイルでソテーしたり、野菜や肉と炒め物にするとおいしくいただけます。
 愛知から全国に広まったこのエリンギは、クセのない風味でさまざまな食材にあうといわれていますので、エリンギを使った新たなおいしい食べ方を試してみるのも楽しいかもしれませんね。
画像:エリンギ



















No.104菊の花びらを杯にうかべて〜重陽の節句〜(平成26年9月5日)
   9月9日は何の日かご存知ですか?
   五節句の1つである「重陽(ちょうよう)の節句」です。
   「重陽」とは重九(ちょうきゅう)ともよばれ、縁起のよい陽数とされる「九」が重なる最大数のおめでたい日とされています。
   「菊の節句」、「栗の節句」などとも呼ばれていますね。
   中国の風習が日本にも伝わり、平安時代に宮廷行事として取り入れられました。宴が催され、厄をはらい、寿命を延ばすと信じられていた菊の花を浸したお酒が飲まれていました。
   ちなみに菊には太陽の出ている時間が短くなると花が咲く性質があり、この性質を利用した電照栽培という技術が愛知県から広まりました。この技術もあって田原市や豊川市などの東三河地域では菊の栽培が非常に盛んで、愛知県は菊の生産量全国一を誇っています。
 明治時代になると9月9日は「おくにち(お九日)」などとよばれて氏神様の秋祭りとして収穫祭などが行われました。ちなみに九州では「おくんち」「くんち」といわれ、長崎の秋の大きなお祭りである「長崎くんち」もその名残とする説が有力です。「長崎くんち」は今でも新暦で10月(旧暦では9月)に開催されていますね。
 現在は「桃の節句」や「端午の節句」に比べて、お祝いすることが少なくなってしまった「菊の節句」。今でも各地で菊酒がふるまわれたり、栗ごはんを食べたり、私達の生活に息づいています。ほくほくの栗ごはんや菊酒など秋の恵みをいただきながら、夏から秋に変わる季節をゆっくりと過ごしたいですね。
画像:菊









画像:電照菊





No.103 あいちの食育の“いま”を知ろう!
〜あいち食育いきいきプラン2015中間評価より〜(平成26年8月29日)
 あいちの食育はどのように進められているのでしょう?
  愛知県では、県民一人ひとりが食の大切さを理解し、食育に取り組んでいただくための指針として平成27年度を目標とする「あいち食育いきいきプラン2015」を作成し、このプランに沿ってこれまで食育を推進してきました。
 このたび、プランの進捗状況を確認し、食育に関わる様々な関係者が取り組むべき課題などを整理しました。 今、あいちの食育はどんな状況にあるのかな?ということが数値でわかるようになっています。
 例えば、「むだや廃棄の少ない食事づくりを積極的に行っている人の割合」は、目標の50%以上に比べて、中間評価では基準年平成22年の43.0%から45.0%へと2ポイント改善しましたが、これからも、より一層の取組を進めていただく必要があります。ちなみに皆さんがご覧のこの「食育ネットあいち」でも、環境に優しい食生活のための、今日から使える食品ロス削減術を紹介しています。
家庭でできる食品ロス削減術
 これからも関係者が様々な活動をとおして、食育を推進していきますので、皆さんも、栄養バランスに気を配りながら食事とるなど、各自でできることから食育の実践に取り組んでくださいね。
 中間評価の詳細は「食育ネットあいち」からご覧いただけます。  あいちの食育の今がわかります。
中間評価
 
画像:中間評価














No.102 お酒の好きな方必見!シジミのチカラ(平成26年8月22日)
 お酒をたしなむ方は、二日酔いに「シジミ汁」が良いと聞いたことがあるかもしれません。
実は愛知県ではシジミがたくさん獲れるんです。
 日本で食用にされるシジミには、「マシジミ」、「セタシジミ」、「ヤマトシジミ」の3種類あり、マシジミは川などの淡水域に、セタシジミは琵琶湖に、ヤマトシジミは淡水と海水が入り交じる河口等の汽水域に生息しています。流通量が圧倒的に多く、皆さんが普段見かけるシジミはヤマトシジミで、愛知県では、木曽川、矢作川、豊川等の下流等で獲れ、平成25年の漁獲量は965トンで、全国の約10%を占めています。(平成25年漁業・養殖業生産統計)。
 シジミが二日酔いに良いといわれるのは、シジミに、肝機能の低下を回復させ、肝細胞の再生を助けてくれるタウリンやオルニチンが多く含まれているからです。ビタミンB群やミネラル等も豊富で、江戸時代の書物にもシジミの薬効の高さが注目されており、庶民の強い味方でした。このシジミの栄養を効果的に摂取するためには、シジミのエキスをしっかりとることができる汁物がお薦めですね。
 シジミ汁を作るポイントは、「シジミを水から入れて、火にかける」こと。沸騰したお湯ではなく水からシジミを入れることによって、シジミのうま味成分もしっかり味わうことができます。ただし、冷凍したシジミの場合は、沸騰したお湯から入れた方が身離れがよくなります。なお、シジミを砂出しするときに水1リットルあたり10gの食塩を入れたり、砂出し後に冷凍するとシジミのうま味成分が増えることが知られています。
 冷たく冷えたお酒が美味しい季節です。楽しくお酒を飲んだ後は、地元で獲れるシジミの力を借りてみてはいかがでしょうか。
画像:シジミ





















No.101 ピーマンを嫌わないで (平成26年8月15日)
 代表的な夏野菜の1つである、ピーマン。
みなさんはピーマンはお好きですか?子どもの頃、苦くて青臭いにおいが苦手だった方もいるのではないでしょうか。
  ピーマンはとうがらしの一つの品種で、改良されて辛み成分のカプサイシンを含まないピーマンが生まれました。
  ピーマンの別名は「アマトウガラシ」で、英語ではその名のとおり「sweet pepper」(スイートペッパー)と表記されます。実はピーマンという名前はフランス語の「piment」(ピマン)が変化したものではないかと考えられていますが、現在のフランス語の「piment」では、辛みのあるトウガラシのことをいいます。
 ピーマンは明治時代になってから日本に伝わりましたが、一般家庭に普及したのは第二次世界大戦後です。現在、ピーマンはハウス栽培で一年中出荷されていますが、露地ものは6月〜9月頃に、お値打ちにたくさん出回り、美味しい旬の時期となります。
 ピーマンのみずみずしいグリーンの果肉には栄養素がたっぷり詰まっており、特にビタミンCやカロテンが多く含まれ、加熱しても効率よくビタミンCをとることができるといわれています。
あの独特の苦みは、ポリフェノールの一種「クエルシトリン」に青臭さの成分が加わって感じるといわれており、高血圧抑制、抗うつ作用等あるされています。カレー味や味噌味の炒め物にして、においを薄める方法もありますが、それでも苦い味が苦手という方は「こどもピーマン」という苦みが少ない品種や完熟させた赤ピーマンにチャレンジするとよいかもしれませんね。
  野菜の不足しがちな夏場は、“苦くておいしい”ピーマンをたくさん食べて暑い夏を乗り切りましょう!
 
画像:ピーマン





















No.100 ご先祖様に感謝をこめて〜精進料理〜(平成26年8月8日)
 お盆休み、盆踊り・・・「お盆」は私達の生活の中にしっかりと根付いていますね。
 お盆には、仏前に「精進料理」を供えたり、食べたりする習慣があります。「精進」とは修行するという意味で、「精進料理」は仏教の修行をする人が食べる料理のことですが、殺生をしないことで心身を清めるという意味もあるようです。
 「精進料理」は、鎌倉時代以降に本格的に発達したといわれ、五味・五色・五法という考え方があります。五味とは「甘い・酸っぱい・辛い・苦い・塩辛い」の5つの味覚、五色は「白・黄・赤・青(緑)・黒」の5種類の彩り、五法とは「生・煮る・焼く・揚げる・蒸す」という調理法です。
 この「精進料理」の食材や調理方法は地域や家庭により様々ですが、肉や魚を使わず、野菜や大豆、海藻など植物性の食材を使った料理で、だしもかつお節や煮干を使わず、昆布やしいたけを使って作られます。また、ニンニクやタマネギなど、においや刺激の強い野菜類も食べないとされています。
 野菜や豆類を使う「精進料理」は、アク抜きや水煮などの手間と時間のかかる下処理を必要とすることが多く、さまざまな調理技術が発達し、日本の料理分野全体の水準向上に貢献したともいわれています。ごま豆腐、クルミ和え・・・こうしてみると、夏の疲れた体に優しいヘルシーな料理といえるかもしれませんね。
 8月の半ばを「お盆休み」としている会社も多く、帰省して、家族や親戚が集まる時期でもあるお盆。みんなで精進料理を食べながら、思い出話や近況報告をしてみてはいかがでしょうか。
 
画像:お盆


















No.99 漬物で"カリカリモリモリ"野菜摂取しよう!〜かりもり〜(平成26年8月1日)
 食欲がなくなる暑い日にはさっぱりとした漬物はうれしいですね。
 かりもりは、漬物にしてよく食べられている愛知の伝統野菜です。
 白瓜の一種で、別名「堅瓜(かたうり)」ともいい、清須市や大口町など尾張地方で明治のころから栽培されています。
 琥珀色の奈良漬けの原料とされていますが、外側は緑色で、果肉は白く固く、長時間漬け込んでも肉質が適度な固さに保てることから歯ごたえを楽しむことができます。食べたときの食感がカリカリしてモリモリごはんが食べられそうですね。
 糖分が少なく、成熟しても甘くならないかりもりは、ビタミンやカロテン、カリウム、食物繊維を含んでいますので、高血圧の予防やむくみ解消にも効果があると言われています。
 皮はなめらかで、みずみずしい緑色のつやがあるかりもりを選んで、自宅で漬けてみるのもいいですね。家庭によって浅漬けやしょうゆ漬け、粕漬け、味噌漬けなど色々な味があるようですが、どれも白いごはんにぴったりです。6月から8月が旬のかりもりは、夏に食べたい一品ですね。
  厚生労働省の2010年の調査で男女とも長寿日本一となった長野県は野沢菜など漬物が有名で、「漬物」によって野菜を多く食べているとも言われています。塩分に気をつけながら、漬物で野菜をおいしく食べることも野菜を多くとる1つの方法かもしれません。
 食育ネットあいちではあいちの伝承料理の1つとしてかりもりの粕漬けのレシピもご紹介していますので、この機会に是非ご家族で漬けてみてください。
 ◇食育ネットあいち・郷土料理と食文化 
画像:かりもり













画像:かりもりの粕漬け







No.98 夏に食べたいヌルヌル野菜 〜オクラ〜 (平成26年7月25日)
 暑い毎日が続いていますね。夏に食べたい野菜の一つが、英語で「OKRA」と表記するオクラです。
 オクラの原産地はアフリカで、日本には幕末から明治中期にかけてアメリカから伝わりました。そのため、「アメリカネリ」という和名が付けられています。オクラの花はハイビスカスに似ていることから、初めは観賞用として栽培されていましたが、昭和30年代以降は食用として栽培され、現在では、健康野菜として一般に普及しています。
 オクラは、カロテンやカルシウム、食物繊維を多く含む緑黄色野菜で、軽くゆでて刻むと粘り気が出ます。このオクラ特有の粘り気の成分は、ペクチンやムチンです。ペクチンには、血中のコレステロールを下げる働きや血糖値を下げる働きがあるといわれ、ムチンには、胃の粘膜を保護し、タンパク質の吸収を早めてお腹の調子を整える働きがあるといわれています。夏の弱った胃腸にぴったりな野菜ですね。
 新鮮なオクラの選び方は、表面の産毛がしっかりとついているもの、緑色ものを選びましょう。大きなものは固いので、小ぶりなものがお薦めです。また、食べる時は、板ずりをしてから調理すると、産毛がとれて口当たりが良くなりますよ。
 一般的に見られる五角オクラは、切り口が星のような形をしており、見た目も可愛らしいので小さなお子さんも喜んで食べていただけるのではないでしょうか。
 暑い夏にこそ、オクラをご賞味あれ!
画像:おくらの花


画像:おくら



画像:おくらわぎり
No.97 エビ界のプリンス!愛知県の魚クルマエビ(平成26年7月18日)
 愛知県民はプリプリとした食感と豊かなうま味を持つエビが大好きだとよく言われますが、愛知県の魚は「クルマエビ」だということをご存知ですか?
  イセエビとならんで、エビの代表的な種類であるクルマエビは、北海道南部から沖縄の沿岸に広く分布しています。愛知県では西尾市、蒲郡市、南知多町で多く獲れ、全国でも第2位の漁獲量を誇っています。
  クルマエビは、頭部から腹部にかけてしま模様があり、体を丸めると車輪のようになることからこの名がつきました。ストライプの模様が美しいだけでなく、「姿のイセエビ、味のクルマエビ」という言葉があるくらいクルマエビは味が良いといわれて高値で取引されています。
またアスタキサンチンという色素を持っており、ゆでると見事に赤くなることから、おめでたい赤い色がお祝いやおもてなしにふさわしいとされてきました。長いひげや腰が曲がっているようにも見えることから長寿のシンボルともされていますね。
 現在出回っているクルマエビの約9割が養殖ものですが、愛知県では養殖はされていないため、「愛知県産」は全て天然ものとなります。スーパーマーケットなどではなかなかお目にかかれない「愛知県産」のクルマエビですが、夏から秋にかけて水揚げ量が増えますので、産地では手に入るかもしれません。
 高タンパクで低脂質のうえ、タウリンを含むなど体にもおいしい、エビ界のプリンス、クルマエビ。もし「愛知県産」のクルマエビが手に入ったら、刺身、塩焼き、エビフライ、香草焼き・・どんな料理で味わうか迷ってしまうかもしれませんね。
  ◇ あいちのおさかなコンシェルジュ 
画像:クルマエビ









画像:クルマエビの香草焼き


No.96 みどり色した長いさや〜あいちの伝統野菜「十六ささげ」〜(平成26年7月11日)
 京野菜や加賀野菜・・・全国のさまざまな伝統野菜を旅行先で味わったことがある方も多いのではないでしょうか。
  今回は愛知県の伝統野菜の一つ、「十六ささげ」をご紹介します。
 十六ささげは、さやいんげんとよく似た形状の豆類の野菜です。さやの長さが30〜50cmほどで柔らかいのが特徴で成長すると16寸ぐらいの長さになることや、さやの中に16個前後の豆が入っていることからこの名前が付けられたようです。
 日本では大正時代にはすでに栽培されており、今では愛知県と岐阜県を中心に栽培され、愛知県では「あいちの伝統野菜」、岐阜県では「飛騨・美濃伝統野菜」として認定されています。
 十六ささげは他の豆と同じようにタンパク質や食物繊維、ビタミン類などを豊富に含んでおり、さやいんげんに比べて、カロテンや食物繊維を約2倍含んでいます。
 お店で選ぶときには、緑の色が鮮やかで、あまり太くないものが鮮度がよく、やわらかいのでおすすめです。
 また、十六ささげは乾燥しやすいので、袋や密封容器に入れ冷蔵庫で保存してください。大量にある場合は、さっと塩ゆでしてから適当な長さに切って冷凍しておくと長期保存ができますよ。
 基本的には、さやいんげん等と同じように、ゆでたものを和え物やサラダにしたり、肉料理や魚料理の付け合わせにしたり、さまざまな料理に使えます。もちろん煮物にも使えますが、煮すぎると、せっかくの鮮やかな緑色が茶色くなってしまいますので注意してくださいね。
 今が旬の“みどり色した長い”伝統野菜「十六ささげ」をぜひ一度ご賞味ください!
画像:十六ささげ





















No.95 星祭りには何を食べますか?〜そうめん〜(平成26年7月4日)
 7月7日は、七夕ですね。七夕といえば、彦星と織姫の天の川の伝説が有名ですが、七夕は季節ごとにある基本的な行事である「五節句」の1つです。
 七夕は、奈良時代から平安時代に中国からもたらされた風習や暦と日本固有の行事があわさったものといわれており、身についた「けがれ」をはらう「厄払い」の行事で、ごちそうを作って神様にお供えし、人々が集い、神様と共に食事をする特別な日だといわれています。
 元々は宮中で行われていた行事が武家社会へ伝えられて、庶民の生活にまで普及しました。平安時代には、神様が宿る依代(よりしろ)としての笹竹を宮中で飾り、願いごとを書いた短冊がかけられました。また、梶(かじ)の葉に和歌を書き、字の上達を願ってその葉でそうめんを包み、屋根の上になげたり、なすやキュウリなどの供物をささげ神のおこしになるのを待ち川に流す水辺の行事も行われました。
 宮中の七夕の儀式に供え物の一つとして小麦を練ってひも状にして、油で揚げた中国由来の索餅(さくべい)というお菓子のようなものが供えられており、その索餅がそうめんへと変化し、今でも七夕にそうめんが食べられることが多いようです。
  平安時代の「索餅」は当時かなり高級な食べ物で、貴族でないと口にできるものではありませんでしたが、江戸時代には一般の人々も七夕には「そうめん」を食べ、贈答の品にもしていたようです。
 七夕にそうめんを食べると1年中無病息災で過ごせるという言い伝えもあります。星に願いをこめながら、涼しい夜にそうめんをいただくのも楽しいかもしれませんね。
画像:そうめん

















No.94 愛知県産も!疲れ目に優しいブルーベリーを(平成26年6月27日)
 パソコンや携帯電話、スマートフォンなどの画面を見過ぎて、目が疲れているな、と感じている方にお薦めのフルーツが「ブルーベリー」です。
 ブルーベリーは、疲れ目や視力の回復に効果が期待される「アントシアニン」を多く含む他、ビタミン類や食物繊維が多く含まれています。小さな濃いブルーの実は、甘酸っぱく、ほのかな香りを持ち、皮をむくことなく手軽に食べることができるので人気です。
 北アメリカ原産ですが、病気や害虫に強く栽培しやすいため、日本でも盛んに栽培されています。愛知県では、豊根村、新城市、蒲郡市などで栽培されており、10トンの収穫量(H23年)があります。地植えの他、鉢植えでも栽培できるため、家庭で手軽に栽培できるフルーツです。
 生のブルーベリーを購入する場合は、実が全体的に黒っぽく良く熟しているものを選び、新鮮なうちに召し上がってください。冷蔵庫で保存する場合は、1週間ぐらいを目安にしましょう。食べきれない場合は、冷凍保存するのがお薦めです。水洗いして、良く乾かした後に冷凍するのが上手に冷凍するコツです。
 お店では、冷凍されたブルーベリーも良く見かけますので、ジュース、ジャム、カップケーキなどのお菓子に利用しても良いですね。アントシアニンは熱に強く、加熱・冷凍にも成分はほとんど変化しないため、冷凍された物も上手に利用しましょう。
 みなさんも、パソコンや携帯電話、スマートフォンなどの画面を見るのを少し休んで、美味しく健康によい、ブルーベリーを召し上がってくださいね。
 また、県内では、ブルーベリーの摘み取り体験なども実施していますので、ぜひ参加してみてください!
◇食育ネットあいち・イベント情報 
画像:ブルーベリー1









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No.93 爽やかな日本のハーブ〜みつば〜(平成26年6月20日)
 さわやかな香りのみつば。独特な香りはわたしたちの気持ちを落ち着かせてくれますね。
  みつばはセリ科ミツバ属の多年草です。日本が原産で、各地の山野にも自生しています。名前のとおり、葉柄の先には三枚の葉が付いています。みつばの香りは、神経を静めてストレスや不眠症を解消したり、食欲増進の効果があると言われており、日本のハーブと言えるでしょう。
 愛知県はみつば出荷量全国2位の産地で、特に愛西市、弥富市、名古屋市などで盛んに栽培されています。現在、最も多く流通しているみつばは水耕栽培された「糸みつば」で、根の部分にウレタンを付けたまま、1年中出荷されています。「根みつば」はその名のとおり根が付いたまま収穫、出荷されるものです。「糸みつば」に比べ茎が白くて太く、しっかりとした根が付いており、主に3月から4月にかけての春先に出荷されます。
 みつばは乾燥すると香りが落ちるため、軽く湿らせた新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存し、早めに使い切りましょう。
  みつばはその香りを生かして、吸い物やどんぶり、茶碗蒸しなどに散らして風味付けに使う場合が多いですが、加熱しすぎると、せっかくの香りが落ちてしまいます。吸い物などに入れるときは、火を止めてから入れるようにするとよいでしょう。風味付けで余ったみつばはおひたしや卵とじにするとたくさんのみつばがおいしくいただけます。みつばにはビタミンCやカロチン、カルシウム、鉄分などが含まれており、貧血予防や風邪、肌荒れに効果があると言われていますので、地元で収穫された新鮮なハーブ、みつばを余らせることなくしっかりいただきましょう。
画像:みつば

















No.92 つくって、食べて、伝え合う食育〜食育白書から〜(平成26年6月13日)
 皆さん、食育にも白書があるのをご存知でしたか?
 平成25年度の「食育白書」が5月30日に内閣府から公表されています。内閣府 食育白書
 今年の白書では、「地域に根ざした民間団体の取組 〜つくって、食べて、伝え合う食育〜」が特集されています。農産物を栽培・収穫し、調理してみんなで一緒に食べるだけでなく、地域の食文化などもみんなで学び、次世代へ受け継ぐ事例が掲載されています。
 愛知県にも、名古屋めしに代表されるようにエビフライ、天むす、味噌煮込みうどんなど、独自の食文化や料理がたくさんありますよね。
 また、愛知県は工業だけでなく、キャベツを始め全国1位の算出額を誇る品目がたくさんある農業が盛んな県です。さらに、伊勢湾・三河湾の豊かな漁場に支えられて、あさりやガザミ(ワタリガニ)は漁獲量も全国1位なんです。
 皆さんが今ご覧になっている「食育ネットあいち」には、郷土料理と食文化のページがあり、県内で今も受け継がれている郷土料理の作り方も紹介しています。また、食育イベント情報のページでは、イベントや体験企画などの情報を随時更新していますので、是非、参加してくださいね。子どもさんやお孫さんに伝えたい地域の産物や食文化について新たな発見があるかもしれません。
画像:田植え











No.91 ヒゲと粒のあまい関係 〜 スイートコーン 〜 (平成26年6月6日)
 6月に入り、夏の足音がきこえてきました。
  夏のおやつの定番といえば、香ばしい「焼きとうもろこし」ですね。
 日頃食用に用いられ「とうもろこし」と呼ばれ親しまれているのは、スイート種「スイートコーン」です。
 とうもろこしの原産地はメキシコから南アメリカ北部といわれており、コロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパへ持ち帰ったことから世界中へ広まりました。今でもメキシコではとうもろこしの消費量が多く、とうもろこしの粒をすりつぶし、薄く丸く伸ばし焼いたトルティーヤはメキシコの主食となっています。日本へは、安土・桃山時代にポルトガル人によって長崎に伝わりました。この頃のとうもろこしは粉末に適した「フリント種」であり、製粉後,餅などにして食べていたようです。今のような甘い「スイートコーン」が日本に入ってきたのは明治に入ってからで、北海道などで盛んに栽培されるようになりました。
 愛知県では田原市、豊橋市、豊川市を中心に栽培され、全国でも有数の産地となっています。
 「スイートコーン」の主な成分はでんぷんですが、粒のつけ根にあたる胚芽部分には疲労回復や脂質の酸化をおさえるビタミンB1、B2、Eが豊富に含まれています。また、食物繊維が豊富で、便秘を改善させるといわれています。
 とうもろこしのひげの1本1本は、ひと粒ひと粒の実とつながっているので、選ぶ時はひげが多く、実がぎっしりとつまったものが良いでしょう。またひげは褐色で縮んでいるものが甘くておいしいですよ。
手軽に「スイートコーン」を食べたいときには、皮をむいて水にとおし、塩をふって、ラップでつつみ、数分電子レンジにかけるのがおすすめです。
  産地によって収穫時期は違いますが、愛知県では6月、7月に多く出荷されるので、地元産のおいしい「スイートコーン」を食べられるのはまさに今!ですね。手軽で体にやさしいおやつとして、「スイートコーン」を味わってみてはいかがでしょうか。
愛・地産アラカルト 
画像:スイートコーン











画像:焼きとうもろこし


No.90 釣って良し!食べて良し! 〜 鮎 〜 (平成26年5月30日)
新緑が美しく、水辺が恋しい季節になってきました。
 この時期、川で獲れる魚の代表格といえば「鮎(あゆ)」ですね。
 鮎は、川と海を行き来する魚で、秋に川で生まれた稚魚は海へ下り、春には生まれた川へ戻って、石に付いた苔を食べて成長します。一年でその生涯を終えることから「年魚」、キュウリのような香りがすることから「香魚」とも書きます。
 鮎は、縄張り意識の強い魚で、それを巧みに利用した友釣りは、釣り人に根強い人気があります。愛知県内では、早い所で5月中旬から友釣りが解禁され、多くの太公望で賑わいます。友釣りの経験がない方や、お子さんは梁(やな)で鮎のつかみ取りも楽しいですね。
 また、愛知県は、今がシーズンの鮎養殖も盛んに行われており、生産量は全国第1位を誇ります。近年の養殖技術の発達により、餌にもこだわり養殖された鮎は、天然にも引けを取らない美味しさです。
 さて、鮎を購入するときは腹部に張りがあり、色つやのよいものを選びましょう。手軽に調理できる塩焼きは、ヒレと尾に多めの塩(化粧塩)をすると、ヒレが焦げず姿も美しくなります。また、小さな鮎は骨が柔らかいので、天ぷら、フライなどにしても良いですね。ふっくらとした白身はお子さんも美味しくいただけます。一方、少し苦味のある内臓は、大人の味。内臓を塩漬けにした「うるか」は珍味としても有名です。また、鮎の一夜干しなども手軽に食べられてお薦めです。
 自然の中で友釣りや梁で楽しむのも良し、美味しさを味わうのも良し、今年は家族や友人と川の恵みを楽しみましょう!

愛知県 鮎釣り解禁情報 
あいちのおさかなコンシェルジュ 

画像:あゆ











画像:あゆてんぷら


No.89 江戸の風物詩から世界のEDAMAMEへ〜枝豆〜 (平成26年5月23日)
日に日に日差しが強くなり、ビールのおいしい季節になってきました。ビールといえば枝豆!ですね。
 枝豆は大豆をまだ青い未熟なうちに収穫したものです。その名のとおり枝付きのままゆでて食べたことから「枝豆」と呼ばれています。
 大豆は紀元前2000年頃から栽培され、日本には稲作とともに中国から伝わったとされています。枝豆がいつごろから食べられているかは定かではありませんが、江戸時代の中期の文献には「夏に枝豆売りの姿が町でみられた」と書かれていたことから枝豆を食べる習慣があったようです。
 枝豆には大豆と同様に「畑の肉」 と呼ばれるほど豊富なたんぱく質が含まれ、ビタミンB1、B2、Cなどの豊富なビタミン類も含まれています。たんぱく質の中のアミノ酸メチオニンは、アルコールの分解を促し肝臓への負担を軽くするとされていますので、枝豆とビールとの相性は申し分ない組み合わせだったのですね。
 枝豆は枝から切り離すと 一気に味が落ちるため、枝から切り離したらすぐにゆでるのがおいしく食べるコツです。愛知県では稲沢市、清須市、名古屋市、北名古屋市などで栽培されているので、地元で収穫された新鮮な枝豆を味わうのもいいですね。
 枝豆は現在「EDAMAME」として世界でも注目されています。海外でインターネット検索サイトを使って検索された和食のキーワードは1位の「すし」に次いで2位に「枝豆」であったことから話題になっています。いつの間にか世界にも羽ばたいている枝豆です。
 きたるべき夏の暑さに備えてしっかり摂っておきたい栄養素が豊富に含まれる枝豆。6月から8月の初夏が旬とされています。ビールのおつまみにはもちろん、枝豆ご飯やサラダなどで 旬の味をおいしく楽しみ、夏を元気に過ごしましょう。
愛・地産アラカルト 
画像:枝豆





















No.88 梅のパワーで梅雨を乗り切ろう!(平成26年5月16日)
梅雨の季節がまもなくやってきます。
この梅雨の語源には諸説ありますが、そのひとつに「梅の実の熟すころの雨」というものがあります。
 梅は中国から渡来し、奈良時代以前にはすでに植栽されていたといわれ、「万葉集」では「桜」の42首に対し、約3倍の118首も詠まれています。古くからいかに親しまれていたかがわかりますね。
 この梅、その名前を聞いただけで唾液が出るというほど強い酸味が特徴です。これは、梅に豊富に含まれる有機酸によるものです。青く未熟な実にはリンゴ酸、熟した実にはクエン酸が多く含まれています。
 クエン酸には、エネルギー代謝を活発にし、疲労回復の効果の他にも、微生物の繁殖を抑える効果があり、食中毒予防に有効といわれています。皆さんのお弁当のご飯の上にも梅干が乗っているのではないでしょうか。
 花で目を楽しませてくれ、実でもわれわれの健康増進に一役買ってくれる梅。愛知県一の梅の生産量を誇る新城市を始め、県内各地でこれから旬を迎えます。店頭では、梅の実だけでなく、梅干を始め梅ジャム、梅酒さらには梅うどんなど様々な加工品となって販売されています。
 食卓に梅を上手に取り入れて、疲れの出やすいこれからの時期を乗りきりましょう。

☆梅ジャムの作り方☆(JA愛知中央会おすすめレシピより)
◇材料
生梅(完熟梅) 2kg
砂糖 2kg

① 梅はざっと洗いざるにあげ、ふきんで水気をふき取り、竹串でヘタを取る。
★ 梅が完熟でない時は、一晩水に浸けてアクぬきをする。
② 鍋にたっぷりの湯を沸かし、梅の表面に亀裂ができるまでゆでる。ゆでた梅をざるにあげ、たっぷりの水につけて洗い流し、さらにアクを取る。 ③ ざるまたは裏ごし器で種を取りながらこして、ペースト状にする。
④ 裏ごしした梅を鍋に入れ、火にかけ、砂糖を2〜3回に分けて加える。鍋が焦げやすいので注意しながら、木しゃもじで一方向のみにかき回しながら、アクを取り除く。
⑤ 15〜20分位とろみがでるまで煮つめ、火を止めてから5分ほどおきアクを取る。

JA愛知中央会 おすすめレシピ 

画像:うめぼし















画像:うめジャム












No.87 メジロの干物はどんな味?〜あなご〜(平成26年5月9日)
これから夏にかけては、あなごが旬を迎えます。
「あなご」ときいてどんな料理を思い出しますか?
ふわふわに煮たあなごやあっさりと焼いたあなごは魚料理の定番です。
あなご寿司、あなごとキュウリの酢の物、穴子丼・・・様々な料理がありますが、「あなごの干物」は愛知県の隠れたおいしい特産品です。
 「あなごの干物」は、身の大きなものを乾燥させたもので、軽く炙って食べると皮と身の間から凝縮された脂と旨みがにじみ出て、また食べたい!と思わせます。県下有数の漁獲高を誇る南知多町の豊浜では、どの家庭でも食卓にあなごの干物が並ぶほどとても愛されている干物です。
 おいしいだけではありません。あなごは100gで1日のビタミンAの目標摂取量が摂れ、ビタミンE, カルシウム、EPA, DHA等が豊富で、血栓防止や脳機能の維持改善、動脈硬化予防等が期待されます。
 そんななかなか侮れないあなごですが、昼間は海底の穴の中にもぐり、夜になると餌をもとめて泳ぎ出します。昼間は砂泥に穴を掘って潜んでいることから「穴子」と名がついたとされています。そして地域によっていろいろな呼び方をされているんですよ。体の側面の小孔(海水を取り込む穴)が白点状に一列に美しく並んでいるため関東では「ハカリメ(秤目)」、気が強く、船などに上げるとかみつくように向かってくることから北日本では「ハム(食む)」、目の白眼の部分が大きいため愛知県では「メジロ(眼白)」と呼ばれています。呼び名があなごの新たな一面を教えてくれますね。
 食卓に上るあなごは現在、中国、朝鮮半島からの輸入品も多いですが、南知多町、蒲郡市、西尾市、碧南市、常滑市など愛知県にはあなごがたくさん獲れる地域があります。地元産の新鮮な『メジロ』をたくさん食べて、強い日差しに負けないように新緑の季節を元気に過ごしたいですね。
あいちのおさかなコンシェルジュ 
画像:あなご



画像:あなご2












No.86切らずに使える!あまくて小さなタマネギ 〜ペコロス〜 (平成26年5月2日)
 小さなタマネギ、ペコロスを食べたことはありますか?
サラダや煮物など様々な料理に利用されているタマネギのほとんどは、収穫した後に干して皮を乾燥させると表面が茶色になる皆さんおなじみの「黄タマネギ」です。
今回紹介する「ペコロス」は、小さな「黄タマネギ」です。
  ペコロスという名の由来は諸説ありますが、大正末から昭和の始めごろ日本に伝来した際にヨーロッパで呼ばれていた名前が日本でも使われるようになった説が有力です。
  普通の黄タマネギの植付け間隔よりも10分の1程狭め、生長を抑え、直径3〜4センチの大きさで収穫します。愛知県では、知多半島で盛んに栽培されており、全国シェア80%を誇る特産品となっています。4月から6月に収穫したものを、近年では冷蔵貯蔵にし、一年中供給されています。
 かわいらしい姿のペコロスですが、疲労回復、食欲増進、動脈硬化防止などに効果のある成分がきちんと含まれています。
一般的なタマネギより甘く、糖度は一般のタマネギの「9」に対して、ペコロスは「11」もあると言われています。煮込んでも型崩れせず、また、柔らかいのが特徴で、小さな形を活かして丸ごと調理に利用されます。
 スーパーマーケット等でペコロスを買うときには、色が黄金色で、つやが良く身のしっかりしまっているものを選びましょう。
また、調理する際には、玉の上部と下部を切り取り、水に5分ほど浸けておくと薄皮がはがれやすくなり、きれいにむけますよ。
  小さな玉に甘みのギュッと詰まったペコロスを、ぜひ、母の日や大切な人に愛情もギュッと込めて料理に利用してみてはいかがでしょうか。
JAあいち経済連
画像:ペコロス
























No.85マドモワゼルの指先?疲労回復!アスパラガス(平成26年4月25日)
 お弁当やお総菜でなじみのあるアスパラガスは、いつごろから食べられているのでしょう?
  ヨーロッパでは紀元前から栽培され食されてきましたが、日本には江戸時代に鑑賞用として伝わってきました。食用として本格的に栽培が始まったのは大正時代からです。現在アスパラガスは北海道や長野県で盛んに栽培されています。また、愛知県では豊川市を中心に栽培されています。
 スーパーマーケットの野菜コーナーで見かけるグリーンアスパラガスは光に当てて育てられたものですが、土寄せなどして光があたらないように育てればホワイトアスパラガスとなります。
 ホワイトアスパラガスは、ヨーロッパでは今でも高級品とされており、フランスでは「マドモワゼルの指先」などとも呼ばれ、「春を告げる野菜」としてとても人気があります。
 グリーンアスパラガスの方が栄養価は高いといわれています。このグリーンアスパラガスから発見された「アスパラギン酸」は疲労回復、スタミナ増強に効果があるとされ、栄養ドリンクにも含まれています。グリーンアスパラガスには毛細血管を丈夫にし、動脈硬化の予防に効果があるといわれるルチンや、カロテン、ビタミンC、E、 B群が多く含まれ、古代ギリシャでは薬としても利用されていたようです。
 冷蔵庫で保存するときは、穂先を立てておくと、アスパラガスの栄養の損失が少なく、鮮度が長持ちしますよ。
  アスパラガスは輸入物も合わせ年中店頭に並んでいますが、最もおいしいのは春先から初夏に収穫された新鮮なものといわれています。
 ぜひ地元で収穫された新鮮なアスパラガスを味わってみてください。
JAひまわり アスパラガス部会HP
画像:アスパラガス





















No.84  目覚めに山菜 ! (平成26年4月18日)
 春は芽吹きの季節です。
ふきのとう、ワラビ、ゼンマイ、コゴミ、ツクシ、山ウド、たらの芽、タケノコなどが春一番に顔を出し、食卓やスーパーマーケットで春を感じる方も多いのではないでしょうか。
 山野に自生して食べられるこれらの植物は、「山菜」と呼ばれています。
 春の山菜には独特の苦味があり、子供の頃にはこの苦味や独特の香りが苦手だった方も多いのではないでしょうか。でも、このホロリとした苦味成分には抗酸化作用のあるポリフェノール類が多く含まれており、冬の間に縮こまっていた体に刺激を与えて、活動的にしてくれます。
 冬眠から目覚めた熊は眠っていた体を目覚めさせるため、最初に口にするのは「ふきのとう」ともいわれています。
 山菜を用いたお浸し、天ぷら、炊き込み御飯など各地の飲食店で自慢の料理をいただくのもよいですが、近頃は、「道の駅」などの直売所で地域の特産物の食材として山菜が販売されています。
 桜のシーズンが終わりを迎えるこの季節、これらの食材を使って、自ら調理にチャレンジするのも面白いかもしれませんね。
画像:山菜














No.83 天を仰ぐそらまめ (平成26年4月11日)
新しい年度が始まり、歓迎会などお酒を飲む機会も多い季節になってきました。おつまみの中でとても人気があるのが、そらまめです。
  そらまめはみずみずしい翡翠の色が美しいだけでなく、栄養価も高いといわれています。野菜にはあまり含まれないたんぱく質が多い他、鉄分、カリウム、ビタミンB1、B2、食物繊維、ビタミンCなどを含み、「若返りの野菜」と呼ぶ人もいます。
  美味しいそらまめは、硬さがあり、さやの色が濃く鮮やかでつやがあります。生のそらまめは鮮度の低下が早く、乾燥に弱いので、ビニールなどの袋に入れて、使うまではさやの中から出さないようにしましょう。
  そらまめを茹でるときは、さやから中の豆を取り出して、豆の黒いスジの部分に少し切り込みを入れておくと、後で皮をむきやすくなります。鍋にたっぷりの水と塩、酒を入れ、沸騰しているところにそらまめを入れ、1分半から2分ほど茹でたら、取り出し、ざるにあげます。皮はむいてもいいし、むかないでそのまま食べても食物繊維をたっぷりとることができてよいですね。
  そらまめはさやが空を仰ぐように上に伸びることから「空豆」、さやの内側が繭に似ているから「蚕豆」、形がおたふくの顔に似ていることから「おたふく豆」などいろいろな呼び名があります。
  スーパー等に出回る期間は短く、毎年、そらまめが出回ると、「春を感じる」人も多いのではないでしょうか。短い時期を逃さないように、季節を感じながら、そらまめを楽しんでみてはいかがでしょうか。
画像:そらまめ



No.82 アカシャエビ(平成26年4月4日)
お世話になった方や、これからお世話になる方にご挨拶に行くときに、ちょっとした手土産として人気なのが「エビせんべい」ですね。
 愛知県は、全国第2位のエビの漁獲量を誇り、最も多く獲れるのがエビせんべいの原料となる「アカシャエビ」です。愛知県では、サルエビ、アカエビ、トラエビなど小型のエビ類をまとめて「アカシャエビ」として流通しています。県内では、南知多町、蒲郡市、西尾市、常滑市で多く漁獲されています。
 さて、エビは、高タンパク、低脂肪で、ダイエットには最適な食材です。また、殻には、強い抗酸化作用が期待される、ゆでると赤くなるアスタキサンチンが含まれる他、骨を丈夫にするカルシウム、余分な塩分を体外に排出するカリウムなども含まれています。
 これらの栄養素を無駄なく摂るためには、殻ごと食べられる唐揚げがお薦めですね。カラッと揚げられたエビの香ばしさが絶品です。小さなお子さんや年配の方には、殻をむいたかき揚げなどはいかがでしょうか。名古屋めしの一つである「天むす」もアカシャエビが使われることが多いそうですよ。
 みなさんもぜひ、愛知県産のアカシャエビを使った料理やエビせんべいを味わってみてください。
画像:アカシャエビ



No.81 春の味覚 たけのこ(平成26年3月28日)
 各地で桜の便りが聞かれるようになりました。春を代表する食材に、「たけのこ」があります。たけのこは、春に竹の地下茎から伸びる若い茎の部分のことです。店頭には、九州産のものから出回り始め、関西から関東へ産地が徐々に北上していくことから、「たけのこ前線」という言葉も使われます。漢字で「筍」と書くのは、たけのこは成長が早く、すぐ竹になってしまうことから、10日という意味をもつ「旬」と「竹」という字があてられたといわれています。
 たけのこは、食物繊維やカリウム、うまみ成分のグルタミン酸やアスパラギン酸などを多く含んでおり、カロリーが低く、食べ応えがあるので、減量中の方にもおすすめです。また、切った時に節の部分に白い粉が現れますが、これはアミノ酸の一種のチロシンで、脳を活性化させる作用があるといわれています。
 たけのこの選び方は、①形がずんぐりとしていて重いもの、②穂先は黄色く、開いていないもの(緑色のものは陽にあたり育ちすぎている)、③切り口がみずみずしく変色していないものが良いでしょう。
 たけのこは、堀りたてのものは生でも食べられますが、時間とともにえぐみが増すので、お店で買うものはアク抜きが欠かせません。買ったらすぐに穂先を斜めにカットし、皮付きのまま米ぬか(または米のとぎ汁)、唐辛子を加えた熱湯で、根元に竹串が刺さるまでゆでます。
 柔らかい穂先は汁物や和え物に、固い根元は煮物や炒め物と、部位によって使い分ければ、色々な味や食感を楽しめますね。春の訪れを感じながら、たけのこを味わってみてはいかがでしょう。
画像:たけのこ



画像:若竹煮



No.80 豊橋の郷土料理「菜めし田楽」(平成26年3月20日)
 豊橋市と言えば、「菜めし田楽(なめしでんがく)」が郷土料理として全国的に知られています。
 「菜めし田楽」は、串に刺した豆腐を火であぶり、赤味噌のたれを塗った「田楽」に、刻んだ大根の葉を混ぜた「菜めし」を組み合わせたもので、江戸時代には東海道の宿場町として栄えた吉田(現豊橋市)の名物料理として知られていました。
 そもそも「田楽」の名は、平安時代から田植えの時に豊作祈願の行事「田楽」に由来しています。豆腐を串に刺して立てた形が、白い袴(はかま)をはき、その上に色のついた上着を羽織った田楽法師が笛や鼓を鳴らしながら唄い舞う姿に似ていることから名付けられました。その後、「田楽」は、豆腐だけでなく、こんにゃくやなすなどに串を刺して焼き味噌をつけた料理の総称となりました。ちなみに「おでん」は「田楽」に御(お)をつけた女房言葉でした。
 一方、「菜めし」は、かつて豊橋市でたくあんや切干し用大根の栽培が盛んであり、加工する過程で不要となった大根の葉を刻んでご飯に混ぜたことが始まりとされています。
 大根の葉は、普段食用とする根の部分と比べβカロテンやビタミンCを多量に含み、栄養満点の食材です。ご飯のかさ増やしと揶揄(やゆ)されることもありますが、昔の人の知恵を感じさせます。
 豊橋市内には、「菜めし田楽」のお店がありますので、みなさんも豊橋に行かれた際、ぜひご賞味ください。

 ◇(一社)愛知県観光協会HP「愛知県観光ガイド」
画像:田楽



画像:菜めし



No.79 桜の舞う頃 〜赤飯〜(平成26年3月14日)
 年度がわりの時期を迎えて、これからは卒業式や入学式といった行事が続きます。こういったおめでたい行事に欠かせないのが赤飯です。
 赤飯は、古くは、縄文時代に中国大陸から日本に伝わった赤米で炊いたご飯のことでしたが、現在では、もち米に少量の白米と小豆などを混ぜて、蒸したり炊いたものが一般的になっています。
 日本では、古くから赤い色には災いを避ける力があると考えられており、赤米を炊いて神様にお供えする風習があったそうで、魔除けの意味を込めて祝いの席で食べられるようになりました。平安時代の「枕草子」に書かれているような小豆粥が原形といわれており、鎌倉時代の「厨事類記」には3月3日の上巳の節句などの行事食として記録されています。庶民の多くが食べるようになったのは、稲作技術の発展により、米がたくさんとれるようになった江戸時代の中頃からになります。赤い色のご飯を供える風習は根強く残っていたので、赤米の代わりとして白米を小豆で色づけしたものが現在のような赤飯として広まったと考えられます。
 もうじき桜の舞う頃となります。この春のお祝いの行事の際には、赤飯をつくって、ご家族皆さんで食卓を囲んでみてはいかがでしょうか。
 余談ですが、赤飯によく飾りで入っているナンテンの葉のいわれは、“難を転じる”という語呂合わせだそうですよ。
 
画像:赤飯







No.78 海から春を食卓に〜わかめ(若布)〜(平成26年3月7日)
 私たちの食生活でなじみのある海藻に「わかめ(若布)」があります。
 わかめは、青森県の遺跡から縄文土器と一緒に発見されるほど古くから食べられてきました。
 現在、わかめの9割以上は養殖されたもので、秋にわかめの遊走子(植物では「種」に相当するものです)を付けたロープを海に吊し、冬から早春に伸びてきたものを収穫します。なお、この遊走子が放出される場所が「めかぶ」です。
 「三陸わかめ」の岩手県、宮城県や「鳴門わかめ」の徳島県などが有名ですが、愛知県でも南知多町や西尾市、田原市などで養殖されています。
 わかめには、食物繊維が豊富で腸内環境を整える働きがある他、胃腸や気管支などの粘膜を健康に保つビタミンA(カロテン)や血液を固まりやすくするビタミンK、免疫力を高めるといわれているフコイダンなども含まれています。特に、「めかぶ」は、栄養価が高いので積極的に食卓に取り入れたいですね。
 ところで、塩蔵わかめや乾燥わかめなどは、一年中利用されますが、「生わかめ」は、冬から早春に限られています。褐色の生わかめを熱い湯でサッと湯通しすると、鮮やかな緑色に変化します。色が変わる楽しさや歯ごたえは、生わかめならではの楽しみ方ですね。
 春を告げる生わかめ、地上の植物が芽吹くその前に、海中の春を味わってみましょう!
画像:ワカメ(湯通し前)


画像:ワカメ(湯通し後)




No.77 中晩柑ってな〜に?(平成26年2月28日)
 中晩柑(ちゅうばんかん)とは、12月以降に収穫される温州みかん以外の柑橘類の総称です。きんかんのように小さいものから文旦(ぶんたん)のような大きなものまで種類が豊富で、風味も様々です。
 中晩柑の生産量は28万tと温州みかんの三分の一ほどの生産量です。
 その代表格は「いよかん」ですが、近年は品種改良により、味、香りが良く、しかも皮が剥きやすく食べやすい品種が出回るようになり、なかでも「デコポン」の人気が高まっています。
 みなさんは、「デコポン」の品種名をご存じですか?「不知火(シラヌヒ)」という立派な品種名があり、「デコポン」は日本園芸農業協同組合(日園連)の登録商標※です。
 また、3〜4月くらいに果物店で葉の付いた「デコポン」を見たことはありませんか?これは、樹の上で完熟(樹上完熟)させた「デコポン」で、収穫後に熟成させる一般のものと比べると糖度が高く、その証として葉が付けられています。葉付きデコポンは全国各地から出荷されており、贈答品として珍重されています。
 県内では蒲郡市や美浜町などで、中晩柑が栽培されており、これから春先にかけてはデコポン以外にも「セミノール」「せとか」「はるみ」などが店先に並びます。どれも独特の風味と食感が楽しめますので、この機会にみなさんも果物店で自分好みの県産中晩柑を探してみてはいかがですか。
   
※日園連:日本園芸農業協同組合連合会
 登録商標の使用は、日園連と商標権再使用契約を結んだ県連協及びその傘下の農協に限られる。
 ◇JA蒲郡市HP「JA蒲郡市農産物ガイド」
 ◇あいち知多かんきつ出荷組合HP
 
画像:デコポン







No.76 名前の由来は?〜きしめん〜(平成26年2月21日)
 愛知県の名物料理のうち、今回は、麺類の代表格である「きしめん」を紹介します。「きしめん」は、幅広く薄い麺で、その形から平打ちうどんとも呼ばれます。あっさりとしただし汁に、つるつるした滑らかな食感が人気です。
 江戸初期の書物「東海道名所記」には、三河の芋川という宿場(現在の刈谷市内)がなまった「ひもかわ」という名前の平打ちうどんが名物として登場します。この平打うどんは、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」や井原西鶴の「好色一代男」にも名物として記されています。これが尾張地方では「きしめん」と呼ばれるようになり、今日まで400年にもわたって人々に親しまれてきたのです。
 では、なぜ「きしめん」と呼ばれるようになったのでしょうか。名古屋城を築城するときにキジの肉を入れた平打ちうどんを作ったことから、それがなまったとする説や、紀州公がその製法を伝えたことから「紀州麺」と呼ばれ、それが転じて「きしめん」になったとする説などがありますが、真偽のほどはわかりません。
 現在、愛知県では「きしめん」に適した小麦の新品種「きぬあかり」を開発し、愛知県きしめん普及委員会などと一緒になってブランド化に取り組んでいます。
 まだまだ寒いこの時期、鶏肉やホウレン草、油揚げなどの具に花かつお、旬のネギをたっぷり乗せた「きしめん」を食べて暖まりましょう。栄養バランスも良く、風邪の予防にもなりますよ。

 ◇愛知県きしめん普及委員会HP
 ◇NPO法人食・尾張プロジェクトHP
 ◇愛知県園芸農産課HP「きぬあかり」 
画像:きしめん









No.75 海の鼠?(平成26年2月14日)
 今回、ご紹介するのは漢字で「海鼠」と書く食材です。その語源は、見た目が鼠(ねずみ)の後ろ姿に似ているからなどといわれています。さて、なんという食材でしょう?
 答えは、ナマコ。ナマコは、世界に数千種類生息しているといわれていますが、日本で主に食用とされているのは、「マナマコ」です。
 一般的にスーパーなどでは、カットして、袋に入った状態で売られているため、丸のままのナマコを見かけることはあまりありませんが、体の色により、赤、青、黒の3種類に分けられています。この違いは、主に生息地の違いによるもので、赤ナマコは岩場に、青ナマコ、黒ナマコは砂地に生息しています。地域によって値段に差があり、愛知県や関西では赤ナマコが高値で取引されています。
 ナマコは、そのコリコリとした独特の食感を楽しむため、日本では刺身や酢の物として食べられる他、腸を塩漬けにした「コノワタ」は、日本の三大珍味の一つとして珍重されています。一方、中国などでは、ナマコを乾燥させて干しナマコとして利用することが多く、最近では、中華料理の高級食材として日本から盛んに輸出されています。
 ところで、「冬ナマコ」とよばれるように、ナマコの旬は冬とされています。これは、ナマコが活動的になる冬場に漁が行われるからで、愛知県では12月から3月までが漁期となっています。
 それ以外の時期は、ナマコ漁はお休み。ナマコの子どもを放流するなど、資源を守る活動をし、来期の漁に備えます。
 ナマコは見た目はグロテスク、手で持つとグニョグニョ?していますが、食べてみれば美味しい食材です。
 まだ食べたことのない方、残り少ない、今年の冬に挑戦してみてはいかがでしょう?
画像:赤ナマコ









No.74 花育を始めてみませんか?(平成26年2月7日)
 今回は、趣向を変えて「花育」について紹介します。近年、食育と並んで、暮らしの中に花育を取り入れることが提唱され、各地で取組が進んでいます。
 「花育」とは、花や緑に触れる機会を作り、やさしさや美しさを感じる気持ちを育むことです。子どもの成長期に、花や緑に親しみ、育てる経験を通して心の成長が図られること、また地域活動においては、世代交流などにより地域のつながりを深めることが期待されています。
 愛知県では、フラワーマルシェなどのイベントを通じて花や緑のある暮らしを提案したり、小中学校などに、花や緑に関する専門的な知識や経験を有し、県に登録いただいた方を花育ティーチャーとして紹介し、フラワーアレンジメントなどを制作する花育教室を支援しています。
 実は、バレンタインデーも花との関わりが深いんですよ。世界の多くの国では、男女が愛や感謝の気持ちを伝えあう日として、男性から女性に花を贈る「フラワーバレンタイン」が主流なのをご存知でしたか? 日本でも、そんな習慣を定着させようと、全国の花き団体や花屋さんがフラワーバレンタインキャンペーンを展開しています。公式サイトには、「花贈り指南」のコーナーもありますので、何を買ったら良いのか分からないという方は、ここで大切な人にぴったりのギフトを検討されてはいかがでしょうか?
 愛知県も、花き関係者と連携し、2月8日(土)に名古屋市中区で街頭PR、ステージイベントなどのキャンペーンを行います。当日は、愛知県産の花束のプレゼント(数量限定)も予定されています。ぜひお立ち寄りください。
 この活動がきっかけとなり、大切な人の笑顔のために、年間を通して男性が女性に花を贈る機会が増えるとうれしいですね。

画像:ポスター

画像:バラ1


画像:バラ2
No.73 山の講〜神様への感謝を込めて(平成26年1月31日)
 「山の講」は、「ヤマノコ」と呼ばれ、古代から続く民間信仰として全国的に見られる風習で、山の神様に山仕事中の無事を祈るものです。初冬と初春の年2回行われ、山の神が春、里へ下って田の神となり、秋の収穫が終わってから再び山へ帰ると信じられていたからです。
 「山の講」でお供えする料理の主なものに「五平餅」があります。「五平餅」はうるち米を炊いたご飯をつぶし、串に小判型に握ったものに、クルミなどを混ぜた味噌だれをつけて焼いた料理で、愛知県の山間部や岐阜県、長野県の郷土料理として広く知られています。
 昔、山間部でとても貴重であったお米を使ったご馳走として、山の神様にお供えしたのが、始まりといわれています。また、秋田の郷土料理の「きりたんぽ」も、同じように山の神様にお供えしたご馳走が起源といわれています。
 「五平餅」の他にも季節の行事食には、いろいろなものがあります。これから春先にかけては、節分の福豆や恵方巻き、ひな祭りのちらし寿司などを、ご家族で楽しむとともに、その由来など調べてみてはいかがでしょうか。
画像:五平餅









No.72 弱った胃腸を助けます 〜キャベツ〜(平成26年1月24日)
 年末年始を過ぎたこの時期は、寒いうえに乾燥していて、風邪や胃腸炎などにかかりがちです。そこで今回は、風邪の予防や美容に良いビタミンCや傷んだ胃の粘膜を治す別名「キャベジン」とも呼ばれるビタミンUを豊富に含んだキャベツをご紹介します。
 キャベツの原産地は、地中海沿岸で、紀元前のギリシャやローマで栽培されていました。当時は「ケール」のような形でしたが、改良されて現在のような球形のキャベツになりました。日本へは江戸時代に伝わり、明治時代から本格的に食用として栽培されましたが、広く食べられるようになったのは戦後のこと、洋食文化の広がりと共に一気に普及したようです。
 愛知県のキャベツは、作付面積、産出額とも全国一です。渥美半島の温暖な気候や農業用水が整備された立地条件を活かして豊橋市、田原市など東三河地域を中心に生産され、特に冬から春にかけて全国に出荷されています。
 キャベツの品種は春系と冬系に大別され、春系は柔らかくサラダなど生食用に向き、冬系は煮くずれしにくく、加熱すると甘みが増すことからロールキャベツなど調理用に向いています。
 寒さの厳しい大寒の時期ですが、愛知産キャベツを使った温かい料理を、ご家族で一緒に味わってみてはいかがでしょうか。
 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」
画像:ケール



画像:キャベツ


No.71 香りと食感が魅力です! セルリー(平成26年1月17日)
 「セルリー」は、セロリやセロリーとも表記され、ミツバやパセリと同じセリ科の野菜です。日本には江戸時代にオランダ船で運ばれ、香りがミツバに似ていることから、「オランダミツバ」の和名が付いています。当時は独特の強い香りのため普及しませんでしたが、戦後、食生活の洋風化とともに栽培が盛んになり、広く一般に親しまれるようになりました。
 セルリーの香りは、「アピイン」という精油成分によるもので、臭み消しの効果があるので、欧米では古くから肉料理に重宝されてきました。また、この香りは、気持ちを落ち着かせるリラックス効果もあるといわれています。
 セルリーは、余分な塩分を排泄し、むくみ予防効果のあるカリウムを多く含んでいます。このほか、カロテンなどの栄養が、茎よりも葉のほうに多く含まれているので、葉も捨てずに使いきりたいですね。
 国内のセルリーの生産は、長野県、静岡県の2県で6割以上を占めており、次いで福岡県、愛知県の順となっています(平成23年産)。愛知県では、主に田原市、豊橋市で生産され、出荷の多い時期は11月から翌年3月です。
 選ぶ際は、①葉の緑色が鮮やかで張りのあるもの、②茎が肉厚で筋にメリハリがあり、しっかり丸まっているもの、③切り口が白くみずみずしいものが良いでしょう。鮮度が落ちやすい野菜なので、早めに食べていただきたいです。保存する場合は、葉と茎を切り離し、それぞれ乾燥しないようポリ袋に入れて冷蔵庫で保存してください。
 ポトフやシチューなど冬に出番の増える料理も、セルリーを加えると風味がぐっと増して美味しいですね。また、シャキシャキした食感も魅力ですので、生でサラダにしたりピクルスにするのもおすすめです。今月19日は「おうちでごはんの日」です。ぜひセルリーを食卓に加え、家族みんなで香りと食感を楽しみませんか?
画像:セルリー






画像:おうちでごはんの日



No.70 カロテンいっぱい! 〜ニンジン〜(平成26年1月10日)
 新しい年になりました。気持ちも新たに、今年も皆さんのお役にたつ情報をお伝えしていきます!

 さて、平成26年の干支は、「馬」。馬から連想される野菜として思いつくのは「ニンジン」ではないでしょうか。
 ニンジンの原産地は、アフガニスタンで、ヨーロッパに伝わった太くて短い西洋ニンジンと中国に伝わった細くて長い東洋ニンジンに分けられます。現在、日本で多く市場に出回っているのは、西洋ニンジンです。
 愛知県では、碧南市、西尾市、愛西市を中心に栽培され、収穫量・産出額は全国8位(平成23年)となっています。1年中お求めになれますが、より美味しく頂ける旬は冬です。
 ところで、ニンジンはベータカロテンを豊富に含んでおり、カロテン(carotene)の語源は、ニンジンの英名の「carrot」に由来しています。ベータカロテンは、体内でビタミンAに変化し、胃腸や気管支などの粘膜を正常に保つ役割があります。皮に近い部分にカロテンが多く含まれていますので、皮はなるべく薄くむくとよいですね。カロテンは、油で調理すると吸収率が上がりますので、むいた皮は、きんぴらなどに利用すると食材を無駄なく使えておすすめです。
 なお、ニンジンを選ぶ際には、色が鮮やかで、表面にツヤがありツルツルしているものを選びましょう。葉をとった切り口が大きいものは、芯の部分が固いことがあるので、切り口の小さなものを選ぶとよいですね。
 冬が旬のニンジンを、ぜひご賞味ください!

 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」
 ◇JAあいち中央HP「農産物紹介」
画像:ニンジン








No.69 「年越しそば」に願いを込めて(平成25年12月27日)
 年の瀬も押し迫りました。今年最後のコラムは「年越しそば」です。現代のような細長い麺のそばは、江戸時代中頃には安価で庶民的な食べ物として定着していたそうです。
 「年越しそば」は、大みそかにいろいろな縁起を担いで食べられます。よく言われるように、そば(麺)の形から「長く家族が達者に暮らせるように」という意味のほかにも、①そばの切れやすい性質から、一年の厄災を断ち切る、②そばは風雨に当って倒れされても、翌日陽にあたるとすぐに起き直ることにあやかって、巻き返しを期する、③江戸時代に、金細工師が飛び散った金箔を集めるのに水で練ったそば粉を使ったことから、お金が集まるようになどのいろいろな説があるようです。
 おっと一つ言い忘れましたが、年を越してから食べるのは縁起が悪いと言われていますので、年を越す前までに食べ終わってくださいね。
 来たる年がみなさんにとってよい年となりますように祈念いたしまして、平成25年のコラムを締めさせていただきます。みなさんよいお年を! (次回のコラムは来年1月10日から再開します。)
画像:年越しそば








No.68 冬至には…みんなで温かいかぼちゃ料理(平成25年12月20日)
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)により去る12月4日に、「和食:日本人の伝統的な食文化」が自然の尊重という日本人の精神を体現した食に関する社会的慣習として、世界無形文化遺産に登録されることが決まりました。
 和食は、栄養バランスに優れ、季節ごとの年中行事と密接に関わる特別な料理というものもあります。
 冬至は、一年で最も昼が短く、夜が長い日のことです。この日を境にだんだんと昼間が長くなっていく節目の日ということで、古くから冬至にまつわる信仰や行事があります。
 昔から冬至の日に、かぼちゃを食べると病気にならないという言い伝えがあります。かぼちゃには、風邪などの予防効果のあるベータカロチンやビタミンC、Eなどを多く含むことから、言い伝えを裏づけできるだけの理由があります。夏が旬のかぼちゃは、長期保存が効くことから、野菜の不足する冬に栄養をとるための生活の知恵でもあります。
 「師が走るほど忙しい」師走(しわす)からお正月にかけては、クリスマスなどイベントも多く、また、寒さも厳しくなり、体調を崩しがちです。かぼちゃ料理を食べて季節の節目を感じとり、健康の大切さや自然の恵みに感謝して家族みんなで元気にこの時期を乗りきりませんか。今年の冬至は12月22日ですよ。
画像:かぼちゃ








No.67 食べ物を大切に。今日からできること。(平成25年12月13日)
 皆さん、年末年始は宴会や会食の機会も多いと思いますが、つい会話やお酒に夢中になって、料理を残していませんか? 残した物は、まだ食べられるのに捨てられてしまいます…もったいないですよね!また、家庭でも、「多めに作って結局余ってしまった」「賞味期限を過ぎたから」といって、捨ててしまったことはありませんか?
 日本では、年間約1,700万トンの食品廃棄物が出されています。このうち、食べられるのに捨てられてしまっている食品(食品ロス)は、約500〜800万トンにものぼり、その約半分は一般家庭からのものです。また、家庭での食品ロス量は、一人あたり年間で約15キログラム、ご飯茶わん150杯分(1杯:150グラム)に相当するといわれています。とても多い量ですが、実は、私たちがちょっとした心がけや工夫で減らすことができるんです。
 例えば、宴会では、幹事さんが中心になって、①参加者の性別や年齢などを考えて適量を注文する、②「残さず食べよう!」と呼びかける、③残っている料理は食べられる人に勧める、④席でしっかり食べる時間をつくるなどの配慮をしたいですね。
 また、家庭においては、①買い物前に在庫を確認し、必要な分量だけ買う、②無駄のない食材の切り方を身に付ける、③野菜の茎や皮も捨てずに活用する、④開封した日をラベルなどで表示して、早めに使うようにする、といったことを日頃の習慣にしていきたいですね。
 食品ロスを減らすためにできることは、まだまだ他にもあります。パンフレット「あいちエコ食スタイル 今日から始める20Tips」では、このようなコツや豆知識(=Tips)をご紹介しています。ぜひ、この機会に考えてみませんか?
 私たち一人ひとりが、大切な食べ物を無駄にしないよう、できることから始めましょう!
 ◇消費者庁「食べ物のムダをなくそうプロジェクト」HP
 ◇FOOD ACTION NIPPON 推進本部事務局HP
画像:20Tips








No.66 「じねんじょ」のように長く粘り強くあれ (平成25年12月6日)
 師走に入り、朝晩の冷え込みも増してきました。体調管理が大切なこの時期におすすめしたい食材の一つが、「じねんじょ」です。その細長い姿と栄養満点なことから、「山のうなぎ」とも呼ばれます。
 「じねんじょ」は日本原産の山芋の一種で、古くから食用とされてきました。じねんじょは、良質なでんぷん質に加え、アミラーゼなどの消化酵素、新陳代謝を促進するミネラルやビタミン類が豊富で、疲労回復、滋養強壮効果が高い食べものと言われています。
 一般的な食べ方は、すり下ろして、だし汁で割って、とろろかけご飯としますが、そのままわさび醤油をつけて食べることもお奨めです。より風味を楽しむには、皮をむかずに、ひげ根をコンロなどで焼いて取り除き、そのまますり下ろして食べます。
 「じねんじょ」は漢字では「自然薯」と書きますが、現在は天然ものは少なく、畑で栽培されたものが出回っています。まっすぐ伸びたものが好まれるため、塩ビのパイプに土をいれたものに種イモを植付け、まっすぐになるよう栽培されています。
 愛知県では、岡崎市、犬山市、豊田市などの山間部を中心に愛知県農業総合試験場が育成した品種の「夢とろろ」が栽培されています。「夢とろろ」は、従来の品種より粘りが強く、味と香りが良いことが特徴です。
 「じねんじょ」の旬は秋から冬で、産地の農産物直売所などで入手することができます。旬のパワー食材「じねんじょ」を取り入れて、寒い季節を元気に過ごしたいですね。
画像:じねんじょ


画像:栽培風景


画像:出荷作業
No.65 メヒカリ(目光)ってなぁに? (平成25年11月29日)
 みなさんは、「メヒカリ(目光)」を知っていますか?昆虫?は虫類?それとも怪獣映画の怪獣か?
 正解は、魚です。水深200〜300メートルに生息する深海魚で、目が大きく、青く光って見えるため、「メヒカリ(目光)」という名前になったと言われています。卵を産む場所や、大きくなるまでの生活についてほとんどわかっていない謎の多い魚です。
 昔は、あまり注目されなかった魚でしたが、最近ではその美味しさが見直され、高値で取引されるようになりました。
 メヒカリは、海底を網で引く「底びき網漁法(そこびきあみぎょほう)」により漁獲され、そのほとんどが蒲郡市内の形原や西浦の漁港に水揚げされます。魚を獲りすぎないように7〜8月を禁漁期間としていますが、それ以外は年中漁獲され、特に脂の乗りが良い冬から春が旬と言われています。
 一般的に白身の魚は淡泊なイメージがありますが、このメヒカリは小さいながらも程良く脂肪があり、唐揚げにすると皮は香ばしく身はフワッと柔らかく、とてもおいしく頂けます。干すと旨みが増すので、干物もおすすめですね。最近では、新鮮なものを刺身や寿司にして提供するお店も増えてきました。
 メヒカリは免疫力を高めるビタミンAや、脳や神経組織の発達に必要なDHA(ドコサヘキサエン酸)などを豊富に含むほか、唐揚げや焼きものは骨ごと食べられるので、カルシウムも多く取ることができます。
 なお、蒲郡市漁業振興協議会では、キャラクター「ぴか丸くん」をつくるなど、「蒲郡メヒカリ」のブランド化に取り組んでいます。
 なかなか店頭に並ぶことの少ない魚ですが、もしも見かけることがあったら、ぜひ、ご賞味ください!

 ◇蒲郡市HP(蒲郡メヒカリ)
画像:メヒカリ1



画像:メヒカリ2



画像:ぴか丸くん
No.64 「花キャベツ」って知ってますか。〜カリフラワー〜 (平成25年11月22日)
 カリフラワーは、ブロッコリーと同じく地中海沿岸が原産地とされるキャベツの仲間で、花のつぼみの部分を食べる野菜です。白い部分が花のように見えることから「花野菜」や「花キャベツ」とも呼ばれています。
 両方とも日本に入ってきた明治の頃にはあまり普及しませんでしたが、1970年代頃から食事の洋風化に伴って、カリフラワーはサラダなどで、消費量が伸びました。その後1980年代に緑黄色野菜ブームに乗ってブロッコリーの消費が増えたものの、カリフラワーは減少しています。実はカリフラワーは、日光を浴びると黄色っぽくなるため、葉を内側に折り込んで白いつぼみの部分を覆って栽培します。この手間が大変なことも生産が減ってしまった原因のひとつかもしれません。
 愛知県は、カリフラワーの生産も盛んで作付面積では1位、産出額が2位(平成23年度)であり、主に10月から3月にかけて出荷されています。
 栄養的にはビタミンCが豊富に含まれ、しかも加熱しても壊れにくいので、カリフラワーは、風邪の予防になるビタミンCの供給源として非常に優れた野菜です。選び方は、つぼみがかたく締っていて、変色がないものが良いでしょう。また、葉付きがよく茎が太いほうが柔らかくて甘いようです。
 白い花のブーケのような「カリフラワー」は、淡泊な味わいでスープ、煮込み料理など色々な料理に使えます。最近ではオレンジ色や紫色、渦巻きの形をしたものも出回っていて、食卓をきれいに彩りたいときに活躍してくれます。
 11月も終わりに近づき、寒くなってきました。今晩あたりカリフラワーを入れたクリームシチューなんていかがですか。暖まりますよ。
 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」
画像:カリフラワー







画像:ロマネスコ







No.63 様々な料理で使える緑黄色野菜!ちんげんさい (平成25年11月15日)
 肉厚でシャキシャキっとした歯ざわりが特徴の「ちんげんさい」は、中国野菜の中でも日本の食生活に特に馴染みの深い野菜です。日本では、昭和40年代頃から栽培されるようになりました。白菜やかぶと同じアブラナ科の植物で、露地栽培の収穫期は秋ですが、生育期間が短く、気温の変化に強いことから、ハウス栽培により一年中出回っています。
 愛知県は、ちんげんさいの生産も盛んで、平成23年産の作付面積、産出額ともに全国4位を誇っています。主要な産地は、田原市、安城市、豊橋市などで、加温しないハウスで周年栽培されています。主な品種は、まさに中国野菜らしい「青帝(セイテイ)」、「ニイハオ新1号」などです。
 ちんげんさいは、栄養成分としてカロテンやビタミンCなどのビタミン類やカリウム、カルシウムなどのミネラル類、食物繊維を含みます。特に、脂溶性のカロテンを豊富に含んでおり、油を使った調理法により体への吸収率を高めることができます。
 選ぶ際のポイントは、①葉の緑色が濃く、幅が広く、ツヤのあるもの、②葉が密に付いているもの、③葉の付け根の部分が肉厚で根元までピンとしているものが良いでしょう。鮮度が落ちやすい野菜なので、できるだけ早めに食べていただきたいですが、保存する場合は、ちんげんさい全体を湿らせて新聞紙に包み、これをポリ袋に入れて冷蔵庫で保存します。
 ちんげんさいは、クセがなく淡白な味で、煮崩れしにくいので、炒め物やスープ、煮込み料理、おひたしなど幅広い料理に使える食材です。寒さの増すこれからの時期、栄養たっぷりのちんげんさいをもっと食べましょう!
 ◇ちんげんさいの生産者が知事へ思いを伝えます  ◇JAあいち経済連HP
画像:ちんげんさい












No.62 来て!見て!食べて!あいちの農林水産フェア (平成25年11月8日)
 先週のコラムでご紹介したB-1グランプリin豊川。今回の参加は64団体で、どの団体がゴールドグランプリに輝くのか、楽しみですね。
 さて、各地域のおいしい食べ物を食べた後は、愛知県産の安全・安心な農林水産物や加工品にも舌鼓をうってみませんか?
   11月14日(木)から19日(火)までの6日間、丸栄(名古屋市栄)8階大催事場において、「あいちの農林水産フェア」を開催します。
 このフェアでは、今が旬のれんこんやみかんなどの農産物を始め、フェア限定の「いいとも千なり」、本年度のふるさと食品コンテストで最優秀に選ばれた「豊橋うずら たま5くん」などの加工食品が数多く出展されます。
 また、イートインコーナーでは、 滋味 みかわ牛のあぶり重、豚肉「愛とん」みそ焼き、名古屋コーチン親子丼といった愛知のブランド肉の料理をご用意しています。
 フェア期間中は、餅つき、野菜スイーツ作り体験、クイズラリーなど楽しい企画を日替わりで行う他、17日(日)午前11時から11時半には、OS☆Uの森咲智美さんが、いいともあいち運動イメージソングを歌う応援ライブを開催します!
 ぜひ、愛知県産のおいしいものを食べに、ご家族、ご友人と「あいちの農林水産フェア」にいらしてくださいね。入場は無料です。
 会場等の詳しい情報は、「あいちの農林水産フェア」をご覧ください。

 なお、愛知県では、消費者と生産者が一緒になって本県の農林水産業を支えていこうという地産地消の取組である「いいともあいち運動」を展開しています。
 現在、本県農林水産物を応援する輪を広げていくため、消費者の声を生産者に届ける「いいともあいちサポーター」を募集しています。詳しくは「いいともあいちサポーター募集・登録」をご覧ください。

画像:フェア





画像:いいとも








No.61 ご当地グルメでまちおこし!B−1グランプリin豊川 (平成25年11月1日)
 ご当地グルメでまちおこし!「B−1グランプリin豊川」が、全国から64団体が出展し、11月9(土)〜10(日)に開催されますので紹介します。
 B−1グランプリは、地元の人に愛されている地域の名物料理や郷土料理、庶民的な食べ物を「B級ご当地グルメ」と名付け、料理を通じて地域をPRすることで、活性化を目指す「まちおこしイベント」です。
 今回の開催地豊川市からは、「いなり寿司で豊川市をもりあげ隊」(以下「もりあげ隊」)によるいなり寿司が出展されます。豊川市は、日本三大稲荷の1つ豊川稲荷の門前町として発達し、いなり寿司の発祥の地の1つとも言われています。豊川市では、地域おこしとして、いなり寿司の地域ブランド化に着目し、「もりあげ隊」を立ち上げ、いなり寿司の研究、イベントなどによる販売機会の提供やPRを行っています。豊川市内102店のいなり寿司販売店には、新たに考案されたみそカツやうなぎを載せためずらしいものもあります。
 県内からはもう1団体、高浜市から「高浜とりめし学会」によるとりめしが出展されます。高浜市周辺は昔から採卵養鶏が盛んで、市内で11万羽が飼われています。とりめしは、採卵期間を終えた成鶏を用いたこの地域に伝わる伝統料理で、お祭りや集落の行事などで振る舞われました。この学会はとりめしでまちを盛り上げようと平成22年に発足し、食材として成鶏を用いることだけでなく、鶏の脂を使って具を炒める、炊いたご飯と具を混ぜるなど調理方法も規定しています。
 B−1グランプリにぜひ参加していただき、おいしいさを味わうだけでなく、料理にまつわる地域や事情に思いを馳せながら投票の箸(はし)を投げ入れてください(注)。なお、同じ期間中に豊川市では、「魅力発信!愛知・東三河フェア」も開催されており、県内の市町や観光協会、食品関係の組合や企業など、32の機関・団体等が参加し、特産品やご当地グルメの展示・即売も実施されます。こちらにも併せて足をお運びください。
(注)B‐1グランプリは箸による投票を行っており、2日間の投票された箸の重さを量り、最も重かった団体にゴールドグランプリが授与されます。
 ◇いなり寿司で豊川市をもりあげ隊HP
 ◇高浜とりめし学会HP
 ◇愛知県HP「魅力発信!愛知・東三河フェア」
画像:いなり寿司





画像:高浜とりめし








No.60 奥三河の秋の味覚 へぼ飯 (平成25年10月25日)
 今年5月に、国連食糧農業機関(FAO、本部ローマ)が、世界の食糧危機を克服する解決策のひとつとして「虫を食べること」を提唱し、「昆虫食」の将来性に関する初の報告書をまとめました。
 それによると、昆虫は、「たんぱく質や脂肪、ビタミン、食物繊維などが豊富で、健康的な食用資源」と高く評価されています。いま世界では、主にアジアやアフリカで、カブトムシなどの甲虫、イモムシやアリ、ハチ、バッタなど1900種以上が食用とされ、なんと20億人以上が昆虫を食べているそうです。報告書は同時に課題として、虫を食べる文化のない西洋各国などで「抵抗感」を打ち消す広報や教育が必要としています。実は愛知県にも、昆虫食の習慣があります。
 秋が深まるこの時期、主に三河地域の山間部(奥三河地域)で食べられる郷土料理に「へぼ飯」があります。この「へぼ」は「蜂の子(蜂)」なんですよ。
 クロスズメバチなどの蜂の幼虫(さなぎや成虫も含むこともある)は、長野や岐阜、愛知、山梨、宮崎などの山間部を中心に、古くから食べられています。奥三河地域では、岐阜県の恵那市や中津川市など東濃地域と同様に、「へぼ」を乾煎りし、砂糖、醤油、酒で汁気がなくなるまで煮付けたものをご飯に混ぜ合わせて「へぼ飯」にしたり、甘辛く甘露煮にして、食材が豊かになった今でも貴重な珍味として大切にされています。
 秋の紅葉狩など奥三河地域への行楽にあわせて、「へぼ飯」を探しに行くというのはいかがですか。11月3日(日)には、東栄町で東栄フェスティバルが開催されます。運が良ければフェスティバルの物産展や途中の「道の駅」などで「へぼ飯」や「へぼの甘露煮」を味わえるかもしれませんよ。

 ◇国連食糧農業機関(FAO)HP「森林の産出物は飢餓との闘いに重要−特に昆虫」
 ◇食育ネットあいち −郷土料理
 ◇東栄フェスティバルHP
画像:へぼ飯








No.59 ヘルシー&栄養食材 しいたけ  (平成25年10月18日)
 きのこ類は、香りと歯ざわりに特徴があり、和洋中さまざまな料理で活躍する食材です。中でも、「しいたけ」は日本で食されるきのこの代表格です。日本でしいたけ栽培が始まったのは江戸時代といわれています。かつてはほとんどが乾燥しいたけとして流通していましたが、昭和の中期頃から生しいたけも流通するようになりました。
 しいたけは1年中出回っていますが、出荷が増えるのは春(3〜5月)と秋(9〜11月)です。欧米でも食べられており、英語やフランス語でも、そのままシイタケと呼ばれています。栽培方法には、原木栽培と菌床栽培の2種類があります。原木栽培とは、春と秋に、シイやクヌギなどの木に種菌を植え付けた“ほだ木”と呼ばれる丸太を、森の中に置いて自然の中でゆっくり育てて収穫する方法です。菌床栽培とは、おがくずに米ぬか等を混ぜて固めた培地に種菌を植えて育てる方法です。
   現在は、愛知県でも日持ちが良く安定して生産できる菌床栽培が主流となっていますが、山間部を中心に原木栽培が行われ、手間と時間をかけて風味の良いしいたけ栽培に取り組んでいる生産者の組織もあります。
 しいたけは、低カロリーで食物繊維が豊富なため、ダイエット中の方や女性にうれしい食材です。旨味成分のグアニル酸やグルタミン酸などのアミノ酸のほか、ビタミンB群、ミネラルを多く含んでいます。また、しいたけ特有のエリタデニンという成分は、血中のコレステロールを抑えて高血圧や動脈硬化を予防する働きがあります。
 このほか、エルゴステリンという成分は、紫外線が当たるとビタミンDに変わり、カルシウムの吸収を助けます。干したしいたけは、ビタミンDを生しいたけより多く含んでいます。生しいたけでも、調理の前に1時間位日光に当てるとビタミンDが増しますので、ひと手間かけれると良いですね。
 しいたけを選ぶ際は、(1)かさが肉厚であまり開いておらずコロンとしたもの、(2)かさの裏側が白く、ひだが細かいもの、(3)軸が太いものが良いでしょう。生しいたけを保存する時は、湿気があると傷みやすいので、乾かしてからラップに包み冷蔵庫へ入れましょう。
 寒さに向かうこれからは、煮物やシチューなどの温かい料理に、しいたけの出番も増えそうです。風味豊かで栄養価に優れたしいたけを積極的に食べたいですね。
                          
 ◇JAあいち経済連HP(生しいたけ)
 ◇愛知県原木椎茸生産者の会HP
画像:しいたけ











No.58 錦秋の鯛 (平成25年10月11日)
 今年は、20年に一度の祭事として話題となった伊勢神宮(三重県伊勢市)の式年遷宮。愛知県には、この伊勢神宮の祭事と結びつきの深い魚があることをご存じでしょうか。それは、「鯛(真鯛)」です。
 諸説ありますが、伊勢神宮に天照大御神(アマテラスオオミカミ)をまつった倭姫命(ヤマトヒメノミコト)が篠島に立ち寄った際、この島で獲れる「鯛」をとても気に入り、伊勢神宮に奉納するようになったといわれています。
 現在でも、篠島の北にある中手島(なかてじま)で鯛を塩漬けにした後、天日干しにして、6月、10月、12月の年3回、伊勢神宮に奉納しています。この鯛のことを「おんべ鯛」といいます。
 毎年10月12日に篠島で行われる「おんべ鯛奉納祭」では、唐櫃(からびつ)に詰めたおんべ鯛を、天照大御神の使いを示す「太一御用(たいちごよう)」の旗を掲げた奉納行列により港まで運び、奉納船によって伊勢市の神社港(かみやしろこう)を通り、伊勢神宮に奉納します。
 昭和の初めに取りやめになっていた「おんべ鯛奉納行列」と「奉納船」が復活したのは平成10年。「おんべ鯛奉納祭」は、今では島の伝統を守る大切な行事になっています。愛知県で獲れる鯛が1000年以上も昔から大切にされてきたことが分かりますね。
 愛知県では、春と秋に真鯛が多く獲れます。秋の鯛は、夏場に餌をたくさん食べて丸々と肥え、脂がのっておいしく、紅葉の時期に合わせて「紅葉鯛(もみじだい)」とも呼ばれています。お刺身や飾り塩をした姿焼きもよいですし、少し手を加えて、鯛を米と一緒に炊き込んだ鯛めしや、アラを使ったスープは、良いだしがでて上品な味わいです。この機会にぜひ召し上がってみてください!
※平成25年のおんべ鯛奉納祭は、式年遷宮の関係で、9月12日に行われました。
※写真は、篠島まちづくり会HPより転載

 ◇篠島まちづくり会HP「篠島の祭礼」
 ◇篠島観光協会HP
画像:天日干し


画像:奉納行列


画像:奉納船

No.57 小さい卵に栄養ぎっしり!〜うずら卵〜 (平成25年10月4日)
 うずらはキジ科の鳥です。野生のうずらは、世界各地に分布しており、日本にも生息しています。うずらは、ニワトリやキジのように飛べない鳥と思われていますが、野生のものはれっきとした「渡り鳥」で、夏に北海道から東北地方で繁殖し、関東以西で越冬します。草原や河川敷、農地などの草むらに生息し、草の種子や昆虫などをエサにしています。近年は、乱獲や生息環境の悪化などによって生息数が減少しており、愛知県は「第2次レッドデータブックあいち」で絶滅危惧種に指定しています。
 うずらと人とのかかわりは古く、5千年前の古代エジプトの壁画にうずらを捕獲する光景が描かれており、ギリシャ神話にも登場します。人に飼われるようになったのは、1,500年以上まえの周(中国)の時代と言われています。日本では、室町時代に飼い始めたといわれ、また、その鳴き声が「ゴキッチョー(御吉兆)」と聞こえることから、江戸時代には縁起物として、武士の間で鳴き声を競う「鶉(うずら)合わせ」が流行しました。
 採卵などの産業用として飼育が始まったのは、明治時代の中ごろで、本県では、昭和の始め頃に豊橋市を中心に広まりました。
 愛知県はうずらの全国一の産地で、29戸で約200万羽飼われており、全国の飼養羽数の6割を占めます。
 うずらは発育が早く、ふ化してからおおよそ40日で卵を産み始めます。一羽当たり年間270から290個くらい産卵し、雛からおおよそ一年で次世代のうずらと交代します。
 うずら卵(うずらたまご)には、鶏卵と同様に良質のタンパク質が多く、また、ビタミンB2は鶏卵の約1.5倍(100gあたり)含んでいます。ビタミンB2は、脂肪を燃焼させ、エネルギー代謝や細胞の新陳代謝を促進させ、健康な皮膚や髪、爪をつくるなど、発育や美容に関わるビタミンといわれています。
 美容と健康に良いうずら卵をぜひご賞味ください。

 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」
 ◇豊橋うずら農協HP
 ◇H25ふるさと食品コンテスト最優秀食品「うずらたま5くん」
 ◇豊橋市HP「うずラッキーの部屋」
画像:うずら


画像:うずら卵


画像:うずラッキー

No.56 天高く牛?肥ゆる秋 (平成25年9月27日)
 朝夕がすっかり涼しくなって、虫の声がにぎやかになってきました。
 秋によく使われる言葉に「天高く馬肥ゆる秋」がありますが、広辞苑によると「秋は空が高く澄みわたり、馬もよく草を食べて肥える意から、爽やかな秋の好時節をたたえるときに用いられる」とあります。この時期は、自然の中でおいしいものが食べられるバーベキューなんていいですよね。そして、バーベキューといえば、牛肉!・・ というわけで、今回は、おいしい愛知のブランド牛について取り上げます。
 愛知県内で飼育されている肉用牛は52,600頭と全国17位ですが、1戸あたりの頭数は128.9頭で全国平均の3倍以上、全国第4位(平成24年畜産統計)となっています。特徴は、大規模化が進んでおり、田原市、豊橋市を始めとする東三河地域や半田市などの知多地域で多く飼育されています。
 一般に肉用牛は、「和牛」「乳用種」の他、ホルスタイン種の雌に和牛の雄を交配した「交雑種」の3種に区分されます。それとは別に、品質や地域性など一定の条件で飼育された牛のことをブランド牛と呼び、県内でもそれぞれの牛でブランド化がされています。
 「和牛」は「松阪牛」などのように、元々、肉を生産する目的で飼育されているもので、県内ブランドでは「みかわ牛」や「鳳来牛」がこれにあたります。 「乳用種」は、ホルスタイン種の雄の子牛を肉向けに飼育したもので、「ぴゅあ愛知」や「産直牛」などです。
 また「交雑種」は、お値打ちにおいしい肉を提供できるように肉質の向上を図ったもので、「田原牛」や「あいち知多牛・響(ひびき)」などがあり、交雑種の飼育頭数は全国でもトップクラスです。
 県内にたくさんあるブランドの中でも、平成2年に誕生した「みかわ牛」は愛知県を代表する和牛ブランドです。これは、「みかわ牛生産農場」で1年以上肥育され、肉質等級3等級以上のものとされ、現在、県内全域の62戸の農家により年間約2,800頭が生産されており、まろやかな舌触りと、ジューシーな肉質は味わうほどにその旨味を増します。
 いよいよ「食欲の秋」本番です。爽やかな秋晴れのもと、ご家族や友人と、あいちのブランド牛を使ったバーベキュー大会などはいかかでしょうか。 
画像:牛













No.55 お彼岸と「おはぎ」 (平成25年9月20日)
 9月23日は「秋分の日」です。国民の祝日の「秋分の日」は、祖先を敬い、亡くなった人々をしのぶ日として定められました。そして、「秋分の日」を中日として前後3日間をあわせた7日間が、秋の彼岸です。日本人の多くが、この期間にお墓参りをして、ご先祖を供養しています。
(「秋分の日」は、「春分の日」とともに国立天文台が計算した天文学上の秋分日、春分日に基づいて、年ごとに閣議決定されています。)
 お彼岸というと、仏様に「おはぎ」をお供えし、私たちもお下がりをいただく習慣がありますね。「おはぎ」は、餅米をついて丸め、小豆のあんで包んだものです。昔から、小豆の赤い色は邪気をはらい、災難から身を守ると信じられており、それが先祖供養と結びついたといわれています。「おはぎ」がお彼岸の食べ物となった背景には、昔の人々の作物への信仰心やご先祖への感謝の気持ちがあるのですね。
 ところで、「おはぎ」と同じように、お彼岸の時期には「ぼたもち」もよく見聞きされます。今は、あまり区別されなくなっていますが、本来は、秋に咲く萩に見立てて、秋は「お萩(おはぎ)」、春に咲く牡丹(ぼたん)に見立てて、春は「牡丹餅(ぼたもち)」と呼ばれます。大きさや形も、牡丹は大きく丸い花なので、ぼたもちは大きめで丸い形に作り、萩は小さくて細長い花なので、小ぶりの俵型に作られるようです。また、小豆は秋に収穫されるため、採れたての小豆の柔らかい皮は、粒あんにしても美味しいので、秋の「おはぎ」は粒あんが基本といわれています。
 小豆は、栄養バランスのよい食材で、食物繊維に富み、良質なタンパク質の他、ビタミンB1、B2やカリウム、リン、鉄などを含んでいます。また、サポニンという特有の成分は、利尿作用を促し、むくみ予防が期待できます。
 今年のお彼岸には、家族揃って「おはぎ」をいただきながら、ご先祖のことや季節の変化などを話題にしてみてはいかがでしょうか。
 最後に、9月19日から、食育検定オータムチャレンジが始まりました!日本の食文化や郷土料理などに関する、楽しい問題をたくさん用意していますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
  
画像:おはぎ













No.54 漁獲量全国一!おいしいガザミを召し上がれ! (平成25年9月13日)
 前回のコラムでは、お月見の行事食をご紹介しました。コラムを読んで、月をじっくり鑑賞された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 古くから日本では、月の影の模様がお餅をつくウサギに見えることから、月にはウサギがいるとの伝承があります。ところが、月の模様をどう捉えるかは国によって様々で、ヨーロッパでは、なんと「カニ」に見えるそうですよ。不思議ですね。
 さて、愛知県でよく獲られるカニといえば、「ガザミ」です。ガザミは「ワタリガニ」とも呼ばれ、縄文時代の貝塚から殻が発見されたこともあるほど、古くから食用とされてきました。
 愛知県では、夏頃から漁獲量が増え9月がピークとなり、ギュッと身が詰まってくる晩秋にかけて旬を迎えます。近年、漁獲量が増加しており、なんと3年連続(平成22年〜24年)で日本一で、「あいちの四季の魚・秋」にも選定されています。
  ガザミの料理法は多様で、塩ゆで、蒸しガニ、味噌汁などで食べられます。どんな料理法でも美味しくいただけますが、活きたガザミをその日のうちに調理するのがおすすめです。ただし、活きたまま熱湯に入れると、暴れて脚がバラバラに取れてしまいますので、水のうちから入れるか、輪ゴムなどで脚を固定してから料理してくださいね。冷凍のガザミを買うときは、凍ったままのものを購入し、早めに調理しましょう。
 カニにはいろいろな種類があり、それぞれに特徴がありますが、ガザミの特徴は、なんといっても、上品な甘みのある身と、カニミソや内子(卵巣)の濃厚な旨み。遠くの地域に行かなくても、地元に美味しいカニがあることを、皆さんに知っていただきたいですね。
 お月見のシーズンは、ガザミの旬。ぜひ、愛知県産の美味しいガザミを食べてみて下さい!

 ◇愛知県水産課HP
画像:ガザミ









No.53 お月見の行事食 (平成25年9月6日)
 9月に入り、草むらの虫の音に、秋の訪れを感じるようになりました。これからは、空気が澄んで月のよく見える季節となります。日本では、旧暦の8月15日(現在の9月20日頃)に、月を愛でる「十五夜」の風習があります。また、旧暦の9月13日(現在の10月15日頃)、「十三夜」にも月見をする風習があり、ともに、お月様にお供えをして、農作物の豊穣に感謝する日でもあります。代表的なお供え物は、お団子です。このお団子にはどんな意味があるのでしょう。
 十五夜は、別名「芋名月」ともいわれ、江戸時代以前は十五夜に里芋をお供えしていたそうです。現在でも里芋を供える風習が残っている地方もあります。ちなみに、県内にも里芋の煮物をお団子と一緒にお供えをする地域もあります。里芋が日本に伝わったのは、稲作が始まる以前の縄文時代といわれており、古代人の主食であったとも考えられ、日本人になじみの深い農作物といえます。
 お団子は、一般的には月に見立てた丸いお団子を供える地域が多いのですが、愛知県の尾張地方では、一方がとがった形をした3色(白、茶、ピンク)団子が供えられます。形はまさに里芋にそっくりです。一説には、3色は、白は皮をむいた里芋、茶は皮をむかない里芋を表し、ピンクは子供が好きな色といわれています。
 また、名古屋市や日進市など尾張東部では、子供が近所のお供えをこっそり盗んで食べてしまう「月見泥棒」といわれる風習も残っています。お月様が食べてくれたという意味で、見つかっても大人に叱られることはありません。面白い風習ですよね。
 なお、お供えと一緒に、ススキを飾るのが慣わしとなっています。これは、穀物の代表・稲穂(いなほ)に見立てるとともに、魔除けの意味もあるそうです。
 今年の十五夜は9月19日、「おうちでごはんの日」でもあります。今月は家族・友人そろって食卓を囲むだけではなく、そろってお月見してはどうでしょうか。
 「今年の十五夜は、お月様が見えますように!」 
画像:月見だんご



画像:里芋





画像:おうちでごはんの日



No.52 良薬は口に苦し 〜ニガウリ(苦瓜)〜 (平成25年8月30日)
 長かった夏休みも終わりに近づき、子供たちにとっては、勉強に遊びにラストスパートの時期ですね。今年もとても暑い夏でしたが、9月末頃までは、まだまだ暑い日が続くそうです。そこで、疲労回復のために「ニガウリ」はいかがでしょうか。
 実にイボイボがたくさんあって、苦味のある「ニガウリ」の和名は、ツル性の植物で熱帯の果物のレイシ(ライチ)に形が似ていることから「ツルレイシ(蔓茘枝)」といいます。最近では沖縄県で使われている「ゴーヤ」という呼び名をよく聞くかもしれません。
 「ニガウリ」の原産地は東インドや東南アジアといわれています。いつごろから食べられていたのかは不明ですが、現在、非常によく食べられている野菜です。15〜16世紀に中国へ伝わり、16世紀末ごろに日本へ伝来したそうですが、実の形が面白いことや、葉が多く繁ることから、主に観賞用や日除け用とされていたようです。
 日本で食用として全国的に普及したのは1990年代になってからです。1993年にウリ科の植物につく大害虫のウリミバエを根絶できたため、沖縄県の農産物が県外に出荷できるようになったことや、2001年から放送された沖縄を舞台にしたNHKドラマ「ちゅらさん」の影響で、ゴーヤチャンプルーなどの沖縄料理がブームになったことにより、夏の定番野菜になりました。手軽にプランターで栽培もできることから、今ではエコ対策の緑のカーテンとしても人気があります。
 「ニガウリ」の苦味は、血圧や血糖値を下げる効果や、胃腸の粘膜を保護したり食欲増進作用があるククルビタシン類の一種「モモルデシン」によるもので、夏バテ防止効果も期待できます。
 また、ビタミンCもキュウリやトマトの5倍以上と抜群に多く、抗酸化作用のあるβカロテンも含まれているので、風邪の予防や美容効果なども期待ができます。
 さて、収穫して食べるのは熟していない若い実ですが、収穫しないで置いておくと黄色くなって熟し、下の部分がさけて中の種が飛び出します。この種は甘くて真っ赤なゼリーに覆われていますので、昔の子どもは新鮮なものをおやつ代わりに食べたりしたそうですよ。食べてみたいけど、苦いイメージが先に立って、少し勇気がいりますね。
画像:ニガウリ



















No.51 タコ焼きの主役 〜タコ〜 (平成25年8月23日)
 夏を彩る夏祭りや花火大会。この夏、ご家族そろって出かけた方も多いのではないでしょうか。お祭りの楽しみの一つが屋台の食べ物です。りんごあめ、フランクフルト、焼きそば、鳥の唐揚げ・・・たくさんの料理の中でも定番なのが、「たこ焼き」です。今やたこ焼き器は電気式のものもあり、一般家庭でも手軽に食べられるようになりました。(関西のご家庭では、たこ焼き器は必須アイテムと聞きますが本当でしょうか?)
 そこで今回は、屋台の人気の食べ物「たこ焼き」・・・ではなくて、その主役、「タコ」をご紹介しましょう。
 タコは日本人になじみの深い水産物で、世界中で日本人が一番多くタコを消費しているとも言われています。たこ焼きなどに使用されるタコのほとんどは、西アフリカから輸入されてくるようです。
 愛知県でも、7月から8月にかけて主にマダコが獲れ、平成23年の漁獲量(タコ類)は、673トン(漁業・養殖業生産統計)です。タコで有名な日間賀島では、秋から冬にかけて、たくさんのタコが干物にされ、店先や家の軒先などで、ゆらゆらと潮風に揺られています。また、島の漁師さんは、豊漁を祈願して1月2日の漁船の「乗り初め」のときには、船玉さま(船の守り神)に干しダコを供える習慣もあります。この他にも、島ではユニークなタコのオブジェやタコが描かれたマンホールなど、たくさんのタコと出会えますよ。日間賀島でいろいろなタコを探してみるのもおもしろいですね。
 さて、美味しいタコの選び方を紹介しましょう。ポイントは脚(手?)。ゆでたタコの場合は、きれいな小豆色で、皮がむけていない、弾力とつやのあるものを選びましょう。生の場合は、濃い灰褐色で、皮に弾力とつやがあり、 指で押したときに、色がサッと変わるものが良いです。調理する場合は、塩で良く揉んで、ぬめりをとってから茹でてください。
 タコは、アミノ酸のバランスがよく、良質なタンパク質が多く、血中コレステロール値を下げるといわれているタウリンも豊富に含んでいます。このため、肝機能の強化や、疲労回復などの効果があるそうです。
 まだまだ暑い日が続いています。夏の終わりに、家族や友人と、たこ焼きパーティなんてどうでしょうか?

 ◇日間賀島観光協会HP
画像:タコ



















No.50 みずみずしさと食感が魅力 〜なし〜 (平成25年8月16日)
 「なし」は、夏から秋を代表する果物です。なしには、「西洋なし」もありますが、ここでは、日本人に馴染みの深い「日本なし」について紹介します。日本では、弥生時代の遺跡から多数の種が出土しており、かなり古くから食べられていたようです。本格的に栽培されるようになったのは江戸時代からで、現在のような柔らかく糖度の高いなしは、明治以降の品種改良によって生まれたものです。
 品種は大別すると、果皮が黄褐色をした赤梨系(「幸水」、「豊水」など)と、果皮が黄緑色をした青梨系(「二十世紀」など)に分かれます。国内の生産量は、多い順に、甘みの強い「幸水」、多汁で程よい酸味の「豊水」、甘酸のバランスの良い「二十世紀」、大玉で貯蔵性のある「新高(にいたか)」となっています。
 赤梨系には、果皮にざらざらした斑点がありますが、これは水分を閉じ込めるコルク層が発達しているためです。シャリシャリとした独特の食感は、石細胞(せきさいぼう)と呼ばれる果肉の細胞壁が厚くなったものを多く含むためで、欧米では、サンドペア(砂のような梨)とも呼ばれます。体内では消化されず、食物繊維と似た働きをし、便通を良くする効果があります。
 なしは、水分が約90%を占め、糖分やリンゴ酸とクエン酸のさわやかな酸味もあり、夏バテなどの疲労回復に役立ちます。また、高血圧を予防するカリウムや、利尿作用のあるアスパラギン酸、消化を助ける酵素のプロテアーゼを含みます。
 愛知県では、主に安城市、豊田市、豊橋市などで栽培され、複数の品種を組み合わせて7月下旬から12月頃まで長期間出荷が行われます。豊田市では、晩生で大玉の品種「愛宕(あたご)」の栽培も盛んで、11月から出荷され、お歳暮にも用いられています。愛宕は子どもの頭ほどの大きさにもなり、ジャンボ梨の愛称でも呼ばれ、重さが2kgを超えるものもあります。
 選ぶ際は、①皮にハリがあり、色ムラのないもの、②ずっしりと重く、軸がしっかりしているもの、③ふっくらと丸みのあるものが良いでしょう。なしは基本的に追熟(収穫後に糖度が増す)しないので、食べ頃のものを選ぶと良いですね。赤梨系は適度な赤みのもの、青梨系は黄色みがかったものが食べ頃です。
 夏から秋へ季節の移り変わりとともに、店頭のなしの種類も変わります。ぜひ県産の色々ななしをお楽しみください。そして、来週19日は「おうちでごはんの日」。旬のなしを話題に、家族や友人と楽しく食卓を囲みましょう!
画像:豊水



画像:愛宕





画像:おうちでごはんの日




No.49 種類いろいろ 旬のぶどうを味わおう! (平成25年8月9日)
 ぶどうは、世界的に広く栽培されており、バナナ、かんきつ類についで生産量の多い果物です。生産量の7割がワインなど加工用であり、生食用は3割ほどです。しかし、日本では、生産量の9割近くが生食用です。
 ぶどう栽培の歴史は古く、紀元前3000年頃には、古代エジプトやメソポタミアですでに栽培されていたようです。日本へは、中国経由で伝わったといわれ、鎌倉時代には甲州盆地で栽培されていたとの記録が残っています。明治時代に入り様々な品種が栽培されるようになりました。
 愛知県では、大府市、東浦町、みよし市、岡崎市を中心に栽培されており、栽培面積は全国で7番目に多い482haです。品種は「巨峰」を中心に「デラウェア」、「ピオーネ」などが栽培されています。最近は薄緑色の「シャインマスカット」の栽培も多くなってきました。この品種は皮ごと食べられることや種なしも出回っていることから、消費者に好評で、病気にも強く栽培しやすいことから生産者も「巨峰」や「ピオーネ」に次ぐ主力品種と期待されています。
 ブドウ糖は人体に欠かせないエネルギー源で、ぶどうから最初に発見されたため、この名前が付けられました。また、紫色のぶどうの皮には、ポリフェノールの一種のアントシアニンがたくさん含まれており、眼精疲労の防止、悪玉コレステロールの発生防止などの働きがあるといわれています。少し渋みがありますが、皮ごと食べると良いですね。
 ぶどうの選び方は、①軸が緑色をしているもの(収穫してから日にちが経つと茶色く変色します。)②果実表面に白い粉がまんべんなく付着しているもの(農薬と間違えられやすいですが、ぶどう自身が水分を蒸発するのを防ぐために分泌したものです。)③皮に張りがあり、ふっくらしているものです。日持ちはしないので、なるべく早く食べるようにしましょう。
 県内では、直売所や観光ぶどう園が盛んで、新鮮でいろいろな品種のぶどうを楽しむことができます。主力品種「巨峰」の販売時期は、概ね8月上旬〜9月中旬で、これからが「旬」です。ぜひ、お試しください。

 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」  ◇JAあいち経済連HP  
画像:巨峰





画像:シャインマスカット












No.48 ぎゅっ!と甘さが凝縮 旬のハウスみかん (平成25年8月2日)
 「ハウスみかん」は今が旬なのを御存じでしょうか。でも「みかん」って、冬にこたつで食べるものというイメージがありますよね。「ハウスみかん」って、冬に食べる「みかん」と違うのでしょうか。
 「ハウスみかん」は、一般に「みかん」といわれている「温州(うんしゅう)みかん」と同じなんですよ。
 秋から冬に収穫される「みかん」は露地で栽培されますが、「ハウスみかん」はハウスの中で、冬に暖房しながら育てることで、春が来たと錯覚させ、開花を促し、春から秋にかけて収穫できるようにしています。
 「ハウスみかん」は、主に6月から9月に店頭に出まわり、夏の高級果実としてアールスメロンやマンゴーと並んで量販店や果物専門店の人気商品として定着しています。
 愛知県では、全国に先駆けて昭和48年に栽培が始まり、平成24年の生産量は3,940トンと、佐賀県に続いて全国第2位となっており、また、蒲郡市の「蒲郡温室みかん」や美浜町の「みはまっこ」などは、全国に名の通った高級ブランドになっています。
 「ハウスみかん」は、天候の影響を受けにくいことから、露地で栽培されたみかんに比べて、果皮が薄く、果肉も軟らかく、その上、糖度が高く、酸味と甘味のバランスも絶妙です。この糖度を上げるため、果実が一定の大きさになったところで、みかんの木が枯れる寸前まで水をやらないなど栽培方法に工夫がされています。
 さて、みかんにはビタミンCが豊富に含まれています。このビタミンCは、抗酸化作用で発ガン性物質を抑えるほか、風邪やインフルエンザに対する免疫力を高め、また美肌効果があるといわれています。酸味成分のクエン酸も多く、胃液の分泌をよくして食欲を増進させ、エネルギー代謝を高めるので、夏バテ防止、疲労回復にも役立ちます。
 暑い夏、値段は少しお高いですが、ビタミン豊富で甘くてさわやかな「ハウスみかん」でリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

 ◇「ハウスみかん」の生産者が知事へ思いを伝えます  ◇JAあいち経済連HP  
画像:ハウスみかん












No.47 とうがんでクウリビズ(クールビズ)! (平成25年7月26日)
 今回は、きゅうりやすいかと同じウリ科の夏野菜「とうがん(冬瓜)」をご紹介します。
 「え?とうがんって夏野菜だったの?」と思った方はいませんか。そう、とうがんは、れっきとした夏が旬の野菜です。夏に収穫されますが、丸のまま冷暗所で保存すれば冬まで持つことから、冬瓜という名が付けられたそうです。96%が水分で、カリウムを比較的多く含みますので、利尿作用を促し、むくみ改善効果があるといわれています。また、多くはないですがビタミンCも含まれています。
 主な品種は、沖縄から栽培が広がった「琉球種」、丸形の「大丸(おおまる)とうがん」、円筒形の「長とうがん」のほか、小型の「小冬瓜(ことうがん)」や「姫とうがん」などがあります。また、各地域には在来種もあります。
 愛知県には、古くから「早生とうがん」という在来種があり、「愛知の伝統野菜」にも選定されています。果肉が厚く貯蔵性にも優れていますが、実が熟すと表皮に白い粉(ブルームというロウ成分で乾燥や病気を防ぐ)をふくため、農薬のように見えて消費者に敬遠されることから、市場流通は少なくなってしまいました。しかし、栽培が簡単なため、家庭菜園や直売を中心に利用されています。
 現在、愛知県は、表皮がつやのある緑色をした「琉球種」を全国に出荷しており、沖縄県と並ぶとうがん生産県で、平成22年産の出荷量は全国1位(約27%)を誇っています。お店でとうがんを見かけたら、チェックしてみてください。
 選ぶ際は、表皮の緑色が濃く、星形の模様が出ているもの、持ったときに重量感があるものがおすすめです。カットしたものは、切り口が白くみずみずしく種がよく詰まっているものが良いでしょう。保存は、丸のままなら冷暗所で長期間保存できますが、カットしたものはラップで包み冷蔵庫の野菜室に入れ、なるべく早く消費しましょう。
 とうがんは、果肉がやわらかく淡泊な味で、和・洋・中どんな料理にも合う万能食材。温かい料理も良いですが、冷製スープやサラダなどで、さっぱりとヘルシーにいただくのもおすすめです。果肉のみずみずしい透明感は、夏の食卓に涼を呼んでくれます。

 ◇JAあいち経済連HP  ◇愛知県園芸農産課HP(あいちの伝統野菜)   
画像:とうがん






画像:早生とうがん












No.46 夏のスタミナ食材 〜鰻(ウナギ)〜 (平成25年7月19日)
 毎日、暑い日が続いていますね。あまり暑いと、食欲がなくなって、夏バテしてしまいますね。
 今回ご紹介する「鰻(ウナギ)」は、栄養価が高く、免疫力を高めるビタミンAや、疲労回復に効くB1、細胞の老化を防ぎ血行をよくするE、脳や神経組織の発達に必要なDHA(ドコサヘキサエン酸)、血栓を予防するEPA(エイコサペンタエン酸)などが豊富に含まれており、夏のスタミナ食材の代表格です。
 そして、愛知県は養殖鰻の生産地として有名ですね。平成23年の生産量は5,802トンで、全国第2位。県内では、西尾市(旧一色町)、豊橋市、高浜市、弥富市などで養殖されています。
 ところで、最近、「鰻の値段が上がっている」というニュースを聞いた方も多いと思います。なぜ鰻の値段が上がっているのでしょう?その答えは、鰻の子どもである「シラスウナギ」が捕れなくなっているから。シラスウナギが少なくなった原因として、川岸や海岸がコンクリートで固められ、鰻のエサとなる川エビや小魚が少なくなったことや、シラスウナギ、親鰻の捕りすぎ等と言われています。
 そこで、愛知県は、養殖業者や漁業者の方々と協力し、昨年、全国に先駆けて、シラスウナギを捕る期間を短くしたり、親鰻の放流、産卵のために川から海に向かう親鰻(下りウナギ)を捕らないようにするなど、鰻の資源を守る取組を始めました。  こうした努力が実を結び、シラスウナギがたくさん捕れ、いつまでも、土用の丑の日には美味しいウナギが食べられることを願っています。
 今年の夏の「土用の丑」は、7月22日(月)、二の丑は8月3日(土)です。一色うなぎ漁業協同組合は、「一色産うなぎ」を、豊橋養鰻漁業協同組合は、「豊橋うなぎ」をそれぞれ地域ブランドとし、PRに取り組んでいます。皆さんも、お店で食べる時やスーパーなどでお買い求めになる時には、参考にしてくださいね。
 今年の夏も鰻を食べて、夏を乗り切りましょう!

 ◇一色うなぎ漁業協同組合  ◇豊橋養鰻漁業協同組合    
画像:ウナギ












No.45 これからが旬 愛知の桃! (平成25年7月12日)
 桃は、中国では昔から邪気をはらい不老長寿を与える植物として親しまれ、祝い事の際には桃の実をかたどった饅頭(まんじゅう)を食べる習慣があります。日本でも同様に、邪気をはらう力があるとされ、桃の節句では桃の花を飾って女児の健やかな成長を祈ります。・・・・と春らしく書き始めてしまいましたが、夏の盛りに向かうこれからが、桃の最もおいしい時期になります。
 桃といえば、すいかと並び夏の果物の代表格です。「もも」と名がつく果物には、コケモモなど、別の種類の植物にもかかわらず「・・・モモ」と名がついているものが多くあります。スモモは、「すもももももももものうち(李も桃も桃のうち)」という早口言葉もありますが、桃というより梅に近い果樹です。
 桃の果実は食物繊維の一種のペクチンを多く含み、整腸作用があり美肌に良いと言われています。また、老化防止効果をもつカテキンも含まれています。こうした栄養素は皮にも含まれていますので、果実表面を布やスポンジなどで擦り、うぶ毛を落としてから、皮ごと食べてみてください。
 県内では小牧市、豊田市などを中心に「白桃」、「白鳳」などの品種が栽培されており、収穫量は全国8位となっています。7月中旬からは「白鳳」、続いて「愛知白桃」が出荷され、県内の道の駅や産直施設などで販売されます。ぜひ、この時期に愛知産の桃をご賞味ください。また、豊田加茂地域では、8月下旬から黄色くマンゴーのように濃厚な味と香りが特徴の「ゴールデンピーチ」が出荷されます。
 桃は傷みやすく、食べ頃を見分けることが難しいと言われますが、一般的には芳香が強くなってきた頃が食べごろです。おいしく食べるには、他の果物と同様に常温で保存し、食べる前に冷蔵庫で2〜3時間くらい冷やしてから食べるようにしましょう。
<おまけ>  桃の種は、果実の中の固い部分(核)そのものではなく、この核を金づちなどで割ると中にアーモンドに似た種子が入っています。桃を食べたとき確かめてみてくださいね。
 
画像:桃












No.44 舌に甘い瓜?って何だろう? (平成25年7月5日)
 暑くなってきました。もう夏本番です。先週のコラムでは「西瓜」(すいか)を紹介しましたが、瓜つながりで問題です。漢字で書くと「甜瓜」ってなんでしょう。舌に甘い瓜?
 答えは・・・「メロン」なんです。水分たっぷりで甘くておいしい瓜ってことですね。
 メロンの原産地は、北アフリカや西アジアだそうで、古代エジプトやギリシャで栽培されていたようで、日本では、弥生時代の遺跡からも仲間である「マクワウリ」の種子が発掘されています。明治時代以降、日本へヨーロッパ系の品種が伝えられると、在来品種より芳香や甘みが強いことが注目されて、ヨーロッパ系の品種をメロン、それ以外の東アジア系の品種を瓜(ウリ)と呼ぶのが慣例となっているようです。
 愛知県でのメロン栽培の歴史は古く、明治時代に、豊橋市で温室メロンの試作が始まっていました。その後、ビニールハウスや温室の普及とともに栽培が拡大し、現在では、東三河地域を中心に大産地が形成され、平成23年産の作付面積は全国6位、産出額は全国7位となっています。出荷のピークは6月から8月です。また、愛知のメロンといえば、田原市の渥美農業高校が開発した四角いメロン「カクメロ」も知られています。
 メロンの選び方ですが、マスクメロンのようにネットがある場合はネットにムラがなく美しいものが、ネットがないメロンの場合は、果皮の色が鮮明でツヤのあるものが良いでしょう。食べ頃は一般に果実の下部(尻部)が柔らかくなり、ほのかに香りがたつ頃です。それまでは常温で保存し、食べる2〜3時間前に冷蔵庫で冷やすとおいしくいただけます。ただし、冷やしすぎると味が落ちるので注意してください。
 さて、最初にクイズを出題しましたが、クイズといえば、今年も始まりました。みんなで挑戦!パソコン・スマホで受検する食育検定!愛知県では「あいち食育いきいき検定2013」を実施中です。検定料は無料。サマーチャレンジは9/9までです。食に関するいろいろな知識が身に付きますから、ぜひ挑戦してみてくださいね。

 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」  ◇あいち食育いきいき検定2013    
画像:メロン





画像:カクメロ







No.43 暑い日は、甘くておいしいすいかを! (平成25年6月28日)
 甘くてジューシーで、シャリシャリした食感が子どもたちに人気のすいか。一般には、果物として扱われることが多いですが、正しくは、メロンやいちごなどと同様に野菜(果実的野菜)に分類されます。原産地はアフリカのカラハリ砂漠というのが定説です。英語で「ウォーターメロン」と呼ばれるその名のとおり、水分が約90%を占め、砂漠地帯では水代わりとして重宝されてきました。漢字で「西瓜」と書くのは、西域からきた瓜ということで、日本でも中国でも同じです。
 果汁に含まれる糖分(主に果糖やブドウ糖)は、エネルギーに変わりやすいので、暑さで疲れた体を癒やすのにピッタリの食べ物です。赤い色はトマトと同じリコピンによるもので、抗酸化作用があるといわれます。また、カリウムに加えて、シトルリンという(すいかから発見された)成分が含まれていて、老廃物を体外に排出する利尿効果が期待できます。
 愛知県はすいかの生産も盛んで、平成23年産の作付面積は全国6位、産出額は全国9位となっています。主な産地は田原市、豊橋市、豊田市などで、出荷の多い時期は5月から7月ごろ。今の時期、お店でもよく見かけますね。
 主流の品種は、愛知県でも栽培されている「祭ばやし777」や「縞王」などの大玉すいかで、皆さんにもお馴染みの丸い形、緑色に縞模様、赤い果肉に黒い種が入った姿形のものです。現在、市場に出回っているすいかは、中玉、小玉、ラグビーボールのような形や、黒色や黄色の皮のもの、黄色や白色の果肉のものなど、実に多種多様です。
 ところで、日本ではすいかの種は食べませんが、世界的には種を食べる国が多いのだそうです。中国では、種をいっておやつにします。
 選び方は、縞模様がはっきりしていて、緑の部分が深緑の部分よりもハリがあり(デコボコが感じられる)、ヘタの部分がへこんでいるものがよく育ったすいかです。カットしたものは、断面がなめらかで空洞がなく、果肉と皮の境がはっきりしているものを。保存は、丸のままの場合は風通しのよい場所で、カットしたものはラップをかけて冷蔵庫に入れましょう。すいかは、追熟がなく、糖度は収穫直後が一番高く、徐々に下がっていきますので早めに味わってくださいね。

 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」    
画像:すいか















No.42 シラスってなんの魚? (平成25年6月21日)
 日本の食生活でおなじみの「釜揚げしらす」、「しらす干し」。
 みなさんは、「シラス」が何の魚かご存じですか?スーパーに行くと、同じように小さくて、形も似ている「コウナゴ」(こちらで紹介)も売られています。みなさんの中には、「シラス」と「コウナゴ」って違う魚なの? それとも同じ種類の魚だけど、呼び方が違うのかな?と思われている方もいるかもしれませんね。
 実は、「シラス」は、イワシ類の子どもの総称です。イワシ類には、皆さんにもなじみの深いマイワシの他、カタクチイワシ、ウルメイワシなどがあります。
 一方、「コウナゴ」はイカナゴの子どもで、イワシ類の子どもではありません。ちょっと似ているけど、全然別の魚なんですね。
 また、「釜揚げしらす」、「しらす干し」、「ちりめんじゃこ」は何が違うの?こちらも魚の種類が違うの?と思われている方もいるかもしれません。
 実は、「釜揚げしらす」、「しらす干し」、「ちりめんじゃこ」は、いずれも「シラス」を原料としています。違うのは、その加工方法。一般的に、漁獲されたシラスをさっとゆでたものが、「釜揚げしらす」、それを天日や機械で干したものが「しらす干し」、「しらす干し」をさらに乾燥させたものが「ちりめんじゃこ」とよばれます。
 なお、「ちりめんじゃこ」の「じゃこ」とは、いろいろな種類の小魚の総称で、これらの魚を広げて干している様子が「縮緬(ちりめん)」に似ていることから、「ちりめんじゃこ」になったとも言われています。
 さて、この時期、愛知県では、シラスがよく獲れるようになります。主に獲れるのはカタクチイワシの子どもです。一つの網を2隻(せき)の船でひく方法で漁獲されます。平成23年度の漁獲量は、6,492トンで、全国第3位(漁業・養殖業生産統計)。たくさん漁獲されていて、ビックリした方も多いのではないでしょうか。
 シンプルにご飯にのせて食べても美味しいですし、大根の葉と炒めても美味しくいただけます。みなさん、ぜひ、愛知県産のシラスを食べて下さいね!

 ◇「あいちの水産物ハンドブック100 2010」:3 魚類−2(シラスをつかったレシピが紹介されています)     
画像:シラス















No.41 みんなで楽しくおうちでごはん! (平成25年6月14日)
 みなさん「共食」って何か知っていますか?まさか「トモグイ」と読んだ人いませんよね。「キョウショク」と読んでください。
 「共食」とは、家族や友人と食事を共にするということで、子どもの食育には重要なテーマです。国は食育基本計画に食育の原点として「家庭における共食を通じた子どもへの食育」を重点課題として位置付けています。愛知県も、「あいち食育いきいきプラン2015」の中で、1日一食、家族や友人と一緒に楽しく30分以上かけて食事をする人の割合を、平成21年の60%を平成27年には80%に引き上げる目標の達成に向け、「毎月19日はおうちでごはんの日」の啓発活動を行っています。
 食卓を囲み、楽しそうに食事をする光景は、「サザエさん」を始め、時代背景が昭和40年代以前となっているマンガやドラマでよく出くるくらい、どこにでもある日常・平凡なものでした。
 しかし、現代社会では家族一人一人のライフスタイルが多様化し、家族が揃って食卓を囲む機会が減っており、1人で食事をすることが少なくありません。
 平成24年度版「食育白書」によると、特に父親と子どもが一緒に食事をする機会が減っており、5歳児では朝食を「父親と毎日食べる」割合は32.2%と母親の72.6%と比べると大きく下回っています。また、この中で「一人で食べる」子どもは、疲れやすくイライラすることが多い調査結果もあります。
 家族と食事をとることが、良いことだとは思ってはいるけど、「そんなこと言ったって仕事があるからしかたがない」と思ったお父さんはいませんか。ちょっとしたスケジュールの調整で、家族と一緒に食事する時間をつくることができます。さらに、家族と何を話したらよいか分からないお父さん、毎週、このコラムをぜひ読んで、食卓の話題の1つとして活用ください。
 来週の水曜日は19日、せめて月に1日ぐらいは、家族や友人とゆっくり食事をする日をつくりましょう。予定表や手帳に赤字で大きく「おうちでごはんの日」と記入してください。
 
画像:おうちでごはんの日















No.40 たまねぎってきらい? (平成25年6月7日)
 カレーライスやハンバーグ、ミートソーススパゲッティ、牛丼、と子供たちが好きな料理には必ず入っているこの野菜な〜ンだ。答えは・・・「た・ま・ね・ぎ」です。子供たちに「たまねぎは好き?」って聞くと「大嫌い〜」とか言われそうですが、これらの料理には欠かせないものなんですよ。
 原産地は中央アジアで、古代エジプトではピラミッド建設に携わった労働者のスタミナ源としてニンニクとともに食べられていたとか。
 日本には江戸時代に長崎へ観賞用として伝わり、食用としては明治時代に本格的にアメリカから北海道へ伝わりました。北海道では冬の寒さを避けるため、春まき栽培されましたが、他の県では秋まきでも栽培され全国で大量に生産されるようになりました。
 愛知県は、収穫量 33,600t(全国4位)の産地となっていて(出典:農林水産省平成22年産野菜生産出荷統計)、出荷の最盛期は4月から7月です。愛知県産の特徴は、他の産地は貯蔵して一年を通して出荷しますが、収穫したあと天日で干して、すぐ出荷する新たまねぎということです。辛味が少ない品種なので、生でも食べやすそうです。
 さて、たまねぎを切ると涙が出て止まらなくなります。これはアリシン(硫化アリル)という成分が含まれているからです。たまねぎを切った時、この成分が気化して目の粘膜を刺激するために涙が出ます。これを避けるには、たまねぎの細胞をあまりつぶさないように、よく切れる包丁を使ったり、水にさらしてから調理することです。また、温度が低ければ、この成分が気化しにくくなるので、調理前によく冷やしておくのも一つの方法です。
 そんなアリシンですが、疲労、食欲不振、不眠、夏バテなどに効果のあるビタミンB1の吸収を助けたり、新陳代謝をよくする効果があります。ビタミンB1を多く含む食材といえば、豚肉、カツオなどがあり、これらと一緒に食べると良いわけです。これから暑くなってきます。暑さに負けず夏バテしないように美味しくたまねぎをたべましょう。

 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」
画像:たまねぎ















No.39 私たちの食と「麦」 (平成25年5月31日)
 今年は例年より早い梅雨入りでしたが、日本では、一般的に、梅雨入り前のちょうど今ごろの季節のことを、手紙などで“麦秋”という季語で表現します。“麦秋”は、麦の穂が実り、収穫期を迎えたこの時期、まさに麦にとっての実りの秋をあらわします。
 麦は、パンやうどん、麦茶など、私たちの食生活にとって身近な食材です。しかし、実際にはあまりよく知られていないのではないでしょうか?
 麦は、イネ科の穀物の総称で、その種類は大別すると「小麦」、「大麦」、「エン麦」、「ライ麦」の4種類があります。英語には、日本語の麦にあたる言葉はなく、種類ごとにwheat(小麦)、barley(大麦)などと使い分けされています。
 古くから、“麦飯”を中心に日本人が食べたりした麦は、粒の真ん中に縦の溝があるのが特徴です。今や麦は、味噌やしょう油、ビール(大麦)、お菓子や麺(小麦)などほとんどを加工食品として食べることが多いため、その形を見る機会は少なくなっています。
 麦は、食物繊維が豊富で、ビタミンやカルシウムなどの必要な栄養素も多く含まれています。不足しがちな栄養素を補い、体の調子を整えてくれる効果が期待できるので、体調や肌荒れが気になる方は、麦ごはんを毎日の食事に取り入れても良いですね。
 愛知県の麦は、安城市や西尾市などを中心に生産されています。麦はもともとは畑の作物ですが、かつては米の裏作物として水田でも栽培されていました。現在は、米に代えて転作作物として水田で栽培されています。収穫時期は短く、5月下旬から6月中旬です。その大半は、うどんなどの麺向けの小麦で、一部地域では麦茶用の六条大麦が栽培されています。
 愛知県が開発し平成23年3月に品種登録された「きぬあかり」は、これまでの主品種よりも早生・多収で、色が明るく、なめらかでコシのある麺ができます。24年度に本格的な栽培が始まっており、今後拡大される予定です。

 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」  ◇愛知県農業総合試験場「農業の新技術」
画像:小麦















No.38 ミツバチの贈り物 ハチミツ (平成25年5月24日)
 デイズニーのキャラクターに登場する「くまのプーさん」。プーさんの大好物が、今回ご紹介する「ハチミツ」です。
 みなさんは、ハチミツが単にミツバチが花の蜜を集めたものだと思っていませんか?
 実は、「花の蜜 = ハチミツ」ではありません。ハチミツは、花から集めた蜜を巣の中で、濃縮、熟成したものです。
 ハチミツがどのように作られるのか簡単に説明しましょう。まず、働きバチは集めた花の蜜を、胃の近くにある蜜胃(みつい)と呼ばれる器官に蓄え、巣にいる働きバチに口移しで渡します。その後、蜜は、貯蔵するための小部屋へと運ばれます。小部屋の温度は約35℃。働きバチが羽ばたいて風を送り、さらに口でかき混ぜて水分を蒸発させます。働きバチの唾液に含まれる酵素の働きで、蜜の成分であるショ糖から、果糖とブドウ糖に変化していきます。こうして完成したハチミツは、働きバチが体内で作った油脂状の物質(蜜ろう)でフタをして貯蔵され、主に働きバチの保存食となります。
 一匹のミツバチが一生かかって作ることのできるハチミツの量は、ティースプーン1杯ともいわれています。とても少ないですね。私たちの手元に届いているハチミツは、多くのミツバチが頑張って集めたものなので、残さずいただきたいですね。
 また、ハチミツはどれも同じ、と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、想像以上にたくさんの種類があります。お店でよく見かけるのは、「レンゲ」や「アカシヤ」などですが、「トチ」、「ミカン」、「コーヒー」、「リンゴ」、「クリ」・・・など、花の数だけハチミツがあるといっても過言ではありません。また、同じ花でも育った場所の気候や風土が違えば、ハチミツの味が異なるのも、ハチミツの奥深い点です。
 料理や、その日の気分に合わせてハチミツを選べるようになったら、ハチミツのプロフェッショナルになれるかもしれませんね(イタリアでは、政府公認のハチミツの感覚分析を行うエキスパートが存在するそうです)。

 ◇(社)日本養蜂はちみつ協会
画像:ミツバチ















No.37 天狗みたいな形もあります〜なす (平成25年5月17日)
 なすには、いろいろな種類があります。へびのように50センチもある細くて長いものから、ひと口サイズほどの小なす、また、店頭でよく見かける丸形や卵形などのさまざまな形があり、色も、紫、白、黄、緑、まだら模様などバラエティに富んでいます。
 なすは、インド東部が原産で、紀元前から栽培されていたそうです。日本にはいつ渡来したのかはわかりませんが、奈良時代の記録として、東大寺の正倉院文書(しょうそういんもんじょ)に「茄子(なす)」の記載がみられます。その後、全国各地で改良が進み、江戸時代には多くの品種が栽培されていました。最近は在来品種が減ってしまいましたが、愛知県には伝統野菜として、海部郡の「愛知本長なす」や天狗の鼻にみえる突起のある奥三河の「天狗なす」があります。
 現在、愛知県は収穫量 14,300t(全国7位)の産地となっていて(出典:農林水産省平成22年産野菜生産出荷統計)、出荷の最盛期は3月から6月です。
 その独特の紫は、「なす紺」色ともいわれていますが、これはナスニンという色素が日光によって発色したものです。ナスニンには、抗酸化作用があり、発がんや老化を抑制するアンチエイジング効果があるそうです。また、なすはカリウムを多く含み、コレステロールの吸収を抑える作用があるともいわれています。
 食材としてのなすは、淡白な味のため他の食材と合わせやすく、煮る、油で揚げる、焼く、蒸す、漬物、とバラエティに富んだ料理に使えます。皮ごと調理することで、栄養を効果的に摂取して若返っちゃいましょう。

 ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」  ◇愛知県園芸農産課HP「あいちの園芸農産」(伝統野菜)
画像:なす




画像:天狗なす




No.36 お茶を味わい、心も体も健康に! (平成25年5月10日)
 八十八夜は、立春から数えて88日目をいい、毎年5月1〜3日頃にあたります。「八十八夜の別れ霜」とは、霜の心配がなくなる時期をあらわし、歌には「♪夏も近づ〜く八十八夜〜(中略)〜あれに見えるは茶摘みじゃないか」とあり、「お茶」を連想される方も多いと思います。また、この日に摘んだお茶を飲むと長生きするとも言われ、今年も全国のお茶の産地では、茶摘みや新茶を味わうなどいろいろなイベントが催されました。
 愛知県のお茶生産は、煎茶(せんちゃ)に比べ抹茶の原料となるてん茶の割合が高いことが特徴です。てん茶の生産量は477トンと京都府に次いで全国2位(平成23年)を誇っています(全国茶生産団体連合会調べ)。
 お茶を飲むとホッとするのは、お茶に含まれる旨み成分(アミノ酸)の1つのテアニンによるリラックス効果だと言われています。テアニンは、玉露、てん茶など高級なお茶ほど多く含まれます。これ以外にも、動脈硬化や虫歯の予防効果があるといわれる成分も含んでいます。
 テアニンは、お茶の葉に日光が当たると酸化し、苦み成分のタンニンになってしまいます。そのため、玉露やてん茶は、旨みを守るためにお茶の樹を寒冷紗(日よけ)で覆って日光が当たらないようにします。おいしいお茶の背景には、こうしたお茶農家の手間と工夫があります。
 お茶の入れ方は、お茶の種類によって異なります。玉露などうまみ成分をたくさん含んだ高級なお茶ほど低温(50〜60℃)で時間(約2分)をかけて抽出します。
 お茶は入れて飲むだけでなく、茶葉を粉砕して料理に加えたり、抹茶として茶葉をそのまま食べるほうが、カリウム、カロテンなど体に必要な栄養素を無駄なく取ることができます。茶葉をミキサーなどで粉砕し、ふりかけにしたり、抹茶は、クッキーやケーキを作るときに利用し、栄養たっぷりのおいしい料理やデザートを楽しんでください。
 
 ◇愛知県園芸農産課HP「あいちの園芸農産の概要」(お茶の種類と入れ方)  ◇愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」
画像:茶摘み





画像:寒冷紗








No.35 端午の節句の行事食 (平成25年5月2日)
 5月5日は「端午の節句」。厄除けの行事として中国から伝来したもので、古くは菖蒲を軒先に吊したり菖蒲酒を飲んだりしました。江戸時代に入ると、菖蒲が尚武(武道を重んじること)に通じることから、よろいかぶとや武者人形を飾り、男の子の健やかな成長を祝う行事へと変化しました。
 端午の節句の食べ物というと、皆さんは何を思い浮かべますか?
 童謡「背くらべ」で、「柱の傷は…(中略)…ちまきたべたべ〜♪」と歌われる”ちまき”は、端午の節句を代表する和菓子ですが、その起源も古代中国にさかのぼるようです。
 〜楚(そ)の国の高名な詩人・屈原(くつげん)は、陰謀によって失脚し、失意の末に川へ投身してしまいます。5月5日のことでした。人々は悲しみ、弔いとして、川に住む龍が嫌う笹の葉でもち米を包み、川へ捧げるようになりました。〜
 この故事が、中国で端午の節句にちまきを食べる厄除けの風習となり、日本へ伝わったのです。ちまきは、米粉で作った餅を笹の葉で三角に包んだものが一般的ですが、地方によって、巻き方や使う葉(菖蒲や竹の皮など)に違いがあります。
 また、“かしわ餅”も節句菓子としてお馴染みですね。こちらは日本特有のもので、江戸時代の武家社会の中で定着していったようです。カシワの葉は、秋に枯れても、翌年の春に新芽が出るまでは落葉しないことから、代が途切れない=子孫繁栄につながる縁起物とされています。ちなみに、葉の裏を外側にするのがあん入り、表を外側にするのが味噌入りというのが本来の決まりだそうです。
 愛知県の尾張地方の一部では、端午の節句に男の子のお祝いに黄飯(おうはん)を作ります。くちなしの実でつける黄色には、邪気払いの意味があり、まめに(元気で健康に)育つようにとの願いを込めて黒豆が入れられています。
 5月5日は「子どもの日」でもあります。家族みんなで食卓を囲み、子どもの健やかな成長を祝い、楽しむ日としたいですね。
 
 ◇全国学校栄養士協議会HP(黄飯のページ)
画像:かしわ餅








No.34 おめでタイにあやかりタイ (平成25年4月26日)
 福をもたらすとして信仰される七福神。その中で商売繁盛の神様で知られるのが「恵比寿さま」です。 この恵比寿様が右脇に抱えている魚、それが今回ご紹介する「鯛(タイ)」です。
 鯛は、 「めでたい」と「鯛(タイ)」の語呂合わせだけでなく、姿形の美しさ、味の良さから、お祝いの席に用いられる高級魚です。最も知られるのは、ピンク色の体に、コバルトブルーの斑点をもつ「真鯛(マダイ)」ですが、このほかにも真鯛によく似た「血鯛(チダイ)」、「連子鯛(レンコダイ)」ともよばれる「黄鯛(キダイ)」があります。また、黒から銀色の体をもつ「平鯛(ヘダイ)」、釣り人に「チヌ」の名前で親しまれている「黒鯛(クロダイ)」などもあります。これらは全て、れっきとしたタイ科の魚です。
 しかし、みなさんがご存じの鯛、例えば縞模様が特徴の「石鯛(イシダイ)」や京料理に欠かせない「赤甘鯛(アカアマダイ)」、深海魚の「金目鯛(キンメダイ)」などは、タイ科の魚ではありません。「石鯛」は、イシダイ科の魚、「赤甘鯛」はアマダイ科の魚、「金目鯛」は、キンメダイ科の魚です。このようにタイ科の魚ではないのに、名前に「鯛」がついた魚は「あやかり鯛」とも呼ばれ、その種類は本家のタイ科の魚よりも多いのだそうですよ。
 さて、愛知県で鯛といえば、「真鯛」、「黒鯛」でしょう。「No.28 春を告げる魚 コウナゴ (H25.3.15)」でご紹介した「イカナゴ」同様、漁港に春を告げる魚の一つです。 平成23年度の漁獲量は「真鯛」が260トン(全国第20位)。「黒鯛・平鯛」は306トン(全国第4位)が漁獲されています(海面漁業生産統計調査)。冒頭で紹介した恵比寿さまは、竿で鯛を釣りますが、愛知県では主に、網を海底に下ろして船でひく「小型機船底びき網(こがたきせんそこびきあみ)」で漁獲されています。
 今が旬の愛知県産の鯛。 「鯛も一人はうまからず」の諺(ことわざ)もあるように、食事はみんなで楽しく食べるとより美味しくなります。ご家族、ご友人と一緒にお刺身や鯛飯などにして食べてみてくださいね!

 ◇おさかな旬報:愛知の魚を知る  ◇愛知県水産課HP:愛知のさかなを買う  ◇愛知県水産課HP:愛知の魚を料理する  ◇愛知県水産課HP:小型機船底引き網漁業
画像:真鯛




画像:黒鯛





No.33 4月19日は「良いきゅうりの日」 (平成25年4月19日)
 「きゅうり」といえば、1年中食べられる野菜の一つです。愛知県では冬から春にかけて出荷される冬春きゅうりの栽培が盛んで、4月が出荷の最盛期です。西尾市や安城市など西三河地域のきゅうり生産者組織(西三河冬春きゅうり部会)が、4月19日を41(良い)9(きゅうり)にかけて「良いきゅうりの日」と定めてPR活動を行っています。
 きゅうりは、日本には6世紀に中国から渡来したと言われていますが、一般的に食べられるようになったのは江戸末期〜明治初期の頃と、意外と最近になってからです。
 中国では炒め物、欧米ではピクルス(酢漬け)にして食べますが、日本では未熟なうちに収穫し、生のままや浅漬けにして食べます。
 そのまま塩や味噌をつけて食べてもおいしいですが、ビールに等量の砂糖と塩少々を加えた液に一晩つけた浅漬けは、簡単に作ることができ、お酒のつまみとしても最高です。
 きゅうりは、側面にあるトゲトゲのいぼが特徴ですね。品種はそのいぼの色によって、白いぼ種と黒いぼ種に分けられますが、現在栽培されている品種のほとんどは、果実全体が鮮やかな緑で、見た目が良い白いぼ種が占めています。
 新鮮なきゅうりの選び方は、緑が濃くつややかなもので、いぼを触ると痛いぐらいものを選ぶと良いでしょう(鮮度が下がると、いぼの先のトゲがとれやすくなります)。
 生ものですので、できるだけ早く食べていただくことが大切ですが、保存する場合は、乾燥防止とあまり冷やしすぎないことがポイントです。このためには、新聞で包んだり、ポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室などでヘタを上にして立てて保存してください。
 4月19日は「良いきゅうりの日」。そして、毎月19日は「おうちでごはんの日」です。家族や仲間と一緒に、今が旬の愛知産「冬春きゅうり」を、サラダや炒め物、漬物、スープなどお好みの食べ方で味わってみてください!

愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」
画像:きゅうり






画像:おうちでごはんの日


No.32 ツタンカーメンも食べていた?さやえんどう (平成25年4月12日)
 1922年にイギリスの考古学者ハワード・カーターにより「王家の谷」で発掘された古代エジプトのツタンカーメン王の墓。世紀の大発見として大きな話題になったようですが、その発掘の際、黄金のマスクなどの豪華な副葬品と一緒にえんどう豆が発見されています。
 えんどうは、古くは、さやの中の“豆”だけが食べられていましたが、17世紀頃から、えんどうを若いうちに収穫し、柔らかいさやのまま食べるようになりました。そう、これが即ち「さやえんどう」です。緑黄色野菜に分類されます。別名「絹さや」とも呼ばれますが、これは、さやとさやの擦り合う音が衣(きぬ)ずれの音に似ていることから命名されたそうです。
 日本にえんどうが伝わったのは平安時代で、江戸時代には、同じ品種のものを収穫する時期をずらして、さやごと食べるさやえんどう、中の豆を食べるグリーンピース、完熟させてから食べる完熟豆として食していたようです。その後、欧米からそれぞれの用途にあった品種が渡来し、各地で栽培される人気の野菜となりました。最近見かけるスナップえんどうも、さやえんどうの仲間です。
 愛知県は、さやえんどうの生産も盛んで、収穫量・産出額とも全国3位となっています。主な産地は豊橋市、田原市など東三河が中心で、出荷の最盛期は2〜4月です。
 また、さやえんどうは、生育の途中で収穫され、さやごと食べるため、栄養が非常に豊富で、ビタミンCはトマトの3倍以上、カロチンはピーマンの2倍以上のほか、脳の老化防止に効果があると言われるグルタミン酸も含まれています。
 鮮やかな緑色がいかにも春らしく、シャキッとした食感で和、洋、中のどんな料理にも相性抜群のさやえんどう。3千年以上も前に、ツタンカーメンも食べていたかも・・・と想いを馳せて、食べてみてくださいね。

愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」
画像:さやえんどう












No.31 春の香りと食感を楽しむ ふき (平成25年4月5日)
 さわやかな緑色と独特の風味が特徴のふきは、春を代表する食材として古くから親しまれてきました。一般に食される細長い部分は、茎のように見えますが、実は「葉柄(ようへい)」と呼ばれる葉の一部なんです。円形に広がる葉と地中に伸びている茎を結ぶ水分や栄養素の通路の役割をしています。ちなみに「ふきのとう」は、早春に地中の茎から直接出てきた花のつぼみです。
 愛知県はふき栽培も盛んで、平成22年産の出荷量・産出額はともに全国1位を誇ります。主産地は東海市、知多市、南知多町などで、出荷の多い時期は10月から翌年5月ごろ。長期間出荷できるよう、産地では、種株を掘り上げ、いったん冷蔵し、8〜9月に植え付けることで、ふきに春が来たと思わせて生長させる独自の栽培技術を用いています。
 主要品種は「愛知早生(わせ)」で、香りが高く柔らかで食べやすいのが特徴。あいちの伝統野菜にも選ばれています。この愛知早生ふきは、江戸末期に今の東海市で栽培されていたものが、早生性と高品質を併せ持つことから全国に広まり、現在では、全国で栽培されるふきの7割を占めています。
 選ぶときのコツは、(1)切り口側を持って横にしたとき、しならないもの、(2)葉の色が濃く、黄ばみや黒ずみのないもの、(3)太さが均一のものを。湿らせた新聞紙に包んで冷暗所で保存できますが、時間とともにアクが強くなるので、早めに下ごしらえをしたいですね。ポイントは、最初に塩をふって板ずりすること!アクが出やすくなり色よく仕上がります。その後、塩ゆでし、冷水にとってから皮をむきます。そのまま保存する場合は、水をはった密閉容器に入れて冷蔵庫へ。
 ふきは、栄養価は高くないですが、食物繊維やミネラルが含まれています。春の香りとシャキシャキした食感を、煮物のほかに、サラダや炒め物、天ぷらなど様々な食べ方で楽しんでみてください!

愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」JAあいち経済連HP「あいちそだち」(ふきのレシピ)
画像:ふき












No.30 コレステロールの心配無用! たまご(鶏卵) (平成25年3月29日)
 安価で栄養バランスが良く食卓に欠かせないたまご(鶏卵)。愛知県は、江戸・明治の時代から養鶏が盛んで、「養鶏王国」と呼ばれていました。今でも採卵鶏の飼養戸数は全国1位、飼養羽数は全国4位、鶏卵生産量は全国6位(いずれも平成24年)と、日本の養鶏をリードしています。
 たまごの栄養の良さは有名で、人間には合成できない8種のアミノ酸をバランス良く含むうえに、ビタミン(C以外)、ミネラルも豊富に含んでいます。
 一方、皆さんが心配しているコレステロールですが、毎日1〜2個を取り続けても大丈夫。むしろ悪玉コレステロールを低下させ、善玉コレステロールを増やす成分を含んでいるとのことです。
 そんなたまごを家庭で取り扱う時のポイントは5つ! ①買う時は、殻がきれいでひび割れてないもの。 ②持ち帰ったらパックごと冷蔵庫に。 ③殻を割ると細菌が繁殖しやすくなるので食べる分だけ割ること。 ④生たまごは賞味期限内に。賞味期限を過ぎたら加熱しましょう。 ⑤できあがった料理はすぐ食べ、残ったら冷蔵庫に入れて早めに食べ切りましょう。
 ちなみに、豆知識として、「新鮮なたまごを『ゆで卵』にすると殻がむきにくい。冷蔵庫で1週間程たつとむきやすくなる。」、「卵黄の色の濃さはエサの色素によるもの。栄養価とは直接関係なし。」、「赤玉か白玉かは鶏の種類によるもの。赤ければ地鶏という訳でもなく、栄養価が高いとは限らない。」 といった情報を覚えておくと、食卓で話題にできますよ。

日本養鶏協会HP「たまごの知識」JAあいち経済連HP「愛知の鶏」
画像:あいタマ君









No.29 カラダよろこぶ♪ トマト (平成25年3月22日)
 色鮮やかに、いろいろな形で料理に用いられるトマト。今や、色も大きさも実にさまざまな種類が売り場に並ぶ、人気野菜の筆頭です。
 トマトは、ビタミンやミネラルをバランスよく含むうえに、非常に高い抗酸化作用を持つ赤い色素成分「リコピン」が豊富で、動脈硬化やガンの予防効果が期待されています。このリコピンは、脂溶性で熱にも強いので、油を使った料理にすると吸収されやすくなります。最近では、トマトから脂質代謝異常の改善に有効な成分が発見され、メタボリック症候群の抑制効果が期待できるとの研究発表もあり、トマトは健康に良い野菜としてますます注目されています。
 愛知県はトマトの生産も盛んで、平成23年産の出荷量、産出額は、ともに全国第3位となっています。主要な産地は田原市、豊橋市、豊川市などで、出荷の多い時期は12月から6月ごろです。
 品種ですが、主流は丸玉系の「桃太郎」で、甘みが強く適度な酸味もあり、種の周りのゼリー状の部分は多め。果肉がしっかりしていて崩れにくいのが特徴です。「ファーストトマト」も、根強い人気があり、愛知県の伝統野菜にも選ばれています。先端がとがった形をしており、甘酸のバランスがよく、ゼリー部分が少なめで崩れにくいのが特徴です。
 ミニトマトや中間サイズのミディトマトも様々な品種が生産されており、大玉トマトよりも糖度が高く、かわいらしいので子どもたちにも人気です。
 選び方と保存法です。選ぶ時は、全体に色ムラがなく、表面にハリとツヤがあり、ずっしりと重みがある、へたがきれいな緑色でピンとしているものを。そして、完熟したものは、ビニール袋に入れ冷蔵庫へ。未熟なものは、2〜3日常温で保存すると甘みが増します。カットしたものは、乾燥しないようにラップに包んで冷蔵庫へ。
 トマトはご家庭でもプランターなどで栽培することができる野菜です。注意点としては、果実に雨があたると劣化してしまうので、雨よけができるといいですね。また、水を控えぎみにすると糖度が増しますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」JAあいちHP「あいちのやさい」
画像:トマト
No.28 春を告げる魚 コウナゴ (平成25年3月15日)
 暖かい日が続き、日差しが柔らかくなると、ようやく春の訪れを感じますね。
春を告げる魚といえば、「ニシン(鯡)」が思い浮かぶところですが、愛知県で春を告げる魚といえば・・・やはり「イカナゴ(別名:コウナゴ)」です。愛知県では、主に体長3〜5cm で漁獲され、釜揚げや煮干し等に加工されています。
さて、このイカナゴは、一つの網を2隻(せき)の網でひく、「船びき網(ふなびきあみ)漁業」で漁獲されます。愛知県では、2月28日に漁が解禁され、解禁初日の水揚げは327トン、1億3千8百万円と好調なスタートとなりました。300隻を超える船が伊勢湾・三河湾に繰り出す様子、水揚げに沸く漁港の様子は、愛知県の春の風物詩にもなっています。
このイカナゴ漁は、伊勢湾・三河湾を漁場とする愛知県と三重県の漁業者、水産試験場などが協力して厳しい資源管理を行っています。調査や話し合いで最適な解禁日を決定するだけでなく、翌年の親魚を確保し、今後も安定した漁を行うために一定数の魚を残したところで漁期を終了します。このように、漁期を調査、話し合いに基づき行っている伊勢湾・三河湾のイカナゴ漁は、全国の「資源管理型漁業」のお手本になっています。
また、2010年には、愛知県のいかなご船びき網漁業が、水産資源や海の環境に配慮した漁業を認定する「マリン・エコラベル・ジャパン」の認証を受けています。このラベルがつけてある水産物を消費者の皆さんに選んでいたいただくことで、資源管理に取り組む漁業者を応援することができます。スーパーなどで、この「マリンエコラベル」のついたイカナゴを見つけたら、ぜひ、それを獲っている漁師さんの顔を思い浮かべてみてくださいね。
みんなで豊かな愛知県の漁場を守り、地元の水産物を消費しましょう! 

愛知県水産課HP:イカナゴ漁解禁の様子
愛知県水産試験場HP:イカナゴ資源管理の流れ
マリン・エコラベル・ジャパン:マリンエコラベルの概要
画像:水揚げ


画像:イカナゴ


画像:マリンエコラベル
No.27 災害に備えて・非常食 (平成25年3月8日)
 東日本大震災3.11からもうすぐ2年ですね。被災地では、復興も思うように進まず、大変な思いをされています。
平成23年国民健康・栄養調査の結果によると、災害に備え飲料や食料を備蓄している世帯は47.7%。地域ブロック別にみると、愛知県を含む東海ブロックが、最も高く65.9%となっています。やはり、東海地震の可能性が指摘されている影響でしょうか。or 県民性?
用意している非常用食料の種類は、飲料(水、お茶等)が最も高く86.2%、次いで主食(レトルトご飯、加工米、乾パン等)が66.3%となっています。
従来、非常食と言えば、「乾パン」のイメージが強かったですが、1995年阪神・淡路大震災等の避難所では、乾パンより「アルファ米」(通称)の人気が高く、種類の豊富さや味の良さから乾パンから切り替えて備蓄している自治体や企業が増えています。東日本大震災でも、帰宅困難者に多くの企業が備蓄分を出したそうです。
アルファ米とは、一度炊いた米を乾燥させた食品で、熱湯を注げば15〜20分で食べられます。もともと第二次大戦時に日本軍の軍用食料として開発されたそうです。
愛知県においても、各家庭で3日以上の飲料や食料を備蓄するよう呼びかけており、アルファ米飯(わかめご飯、五目ごはん等)など4品目を備蓄しています。
さて、被災地での支援物資は、おにぎりやパンなどの炭水化物が主となり、野菜や肉、魚などの生鮮食品が届かないため、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しがちです。野菜や果物のジュース、栄養強化食品などが届いたら積極的にとる必要があります。
愛知県栄養士会からは、いざという時に役立つ災害時のレシピ集も発行されています。愛知県で高い産出額を誇る、たまねぎ(全国4位)、きゅうり(全国8位)、ブロッコリ−(全国3位)、トマト(全国3位)、キャベツ(全国1位)なども食材として使用されています。災害時には、地場産物に助けられるかもしれませんね。
また、避難所では汁物など温かい食べ物を用意することも大切ですよね。昨年、温かいスープを密閉した状態で保温し、持ち運べる「スープジャー」が人気で、NHKあさイチでも取り上げられました。スープジャーで作るかゆや雑炊のレシピ本も出ているそうです。
さあ、皆さん。今日帰ったら、我が家の非常食がちゃんと備えられているか確認しましょう。

(独)国立健康・栄養研究所HP
愛知県防災局HP
愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」
画像:非常食
No.26 ひな祭りの行事食 (平成25年3月1日)
 3月3日はひな祭り。ひな人形を飾って、女の子の健やかな成長と幸せを願う日本ならではの行事です。
ひな祭りには、あられなどのお菓子を始め、菱餅や白酒をお供えしたり、お寿司やハマグリの吸い物を食べる風習がありますが、それぞれどんな意味があるかご存じですか?
「菱餅」は、下から緑、白、赤の順に3色の菱形の餅を重ねたもので、各色には意味があります。(緑…厄除けのよもぎを使い健やかな成長を願う。白…血圧を下げるひしの実を使い子孫繁栄・長寿を願う。赤…解毒効果のあるくちなしの実を使い魔除けを願う。)また、雪が溶けて新芽が芽吹き、花が咲く様子を模したともいいます。「ひなあられ」も同じく3色が定番ですが、4色(桃緑黄白)で四季を表すものもあります。
お酒は、元々は長寿を表す桃の花を浸した桃花酒を飲む風習があり、江戸時代以降は「白酒」が好まれ、定着していきました。子どもには、ご飯に米麹を混ぜてねかせた甘酒(ノンアルコール)をどうぞ。
「ちらし寿司」は、直接ひな祭りのいわれはないようですが、れんこん(見通しがきく)やえび(長寿)など縁起の良い具材とともに、卵やにんじん、みつばなどの彩りが祝いの食卓にふさわしいとして人気です。これらの食材は、いずれも愛知県で生産されていますので、県産で揃えてみるのもいいですね。また「ハマグリ」の吸い物は、縁起物として結婚式でも出されますが、対の貝殻以外の貝殻とはぴったり合わないことから、良縁、将来の幸せへの願いが込められています。
最後に地方色の紹介です。愛知県には、ひな祭りに女の子の幸せを願う行事食として、米粉を練って型抜きした生地に赤や黄、緑の着色をして蒸しあげた「おこしもん」や、西三河地方では、あん入りの白い饅頭の上に赤黄緑に着色したもち米をのせた「いが饅頭」、三河山間部では米粉を練って蒸した「からすみ」があります。
皆さんは、ひな祭りにどんな行事食を用意されますか?子どもも大人も、「今日はうれしいひな祭り〜♪」となりますように。
画像:ひな祭り


画像:おこしもん

画像:いが饅頭


No.25 海の恵み 海苔 (平成25年2月22日)
 おにぎりに欠かすことのできない「のり」。みなさんは、漢字でどう書くか知っていますか?正解は、「海苔」。岩に生える苔(こけ)に見立てて、海の苔(こけ)と書きます。このコラムでは、「海苔」と書いていきますので、みなさんも、ぜひ覚えてくださいね。
さて、この海苔、愛知県では、江戸時代の終わり(ちょうど幕末頃)から養殖が始まりました。1928年頃には、全国に先駆け、品質維持のための製品検査規定が設けられ、愛知県産の海苔は統一して「愛知海苔」と呼ばれるようになりました。
現在では、埋立により漁場が失われ、昔ほどの生産量はありませんが(平成22年板のり生産量:457,285千枚、全国第6位 海面漁業生産統計調査)、伊勢湾、三河湾の豊かな栄養と、長い歴史の中で培われた技術で、現在でも高い品質を誇っています。
ご飯ととても相性の良い海苔ですが、今回は、最近流行(?)の「海苔トースト」をご紹介しましょう。焼いたパンにバター、醤油、海苔を合わせたシンプルなものですが、簡単に作れるので、時間のない朝食にもぴったり。
また、海苔は栄養も豊富。貧血防止に役立つビタミンB12、骨や血管の健康に不可欠なビタミンKが豊富に含まれており、海苔1枚で1日に必要な量をとることができますよ。ぜひ、お試しください!

◇簡単!海苔トースト◇

〈用意するもの〉
食パン:1枚  板海苔:1/2枚
醤油:少々   バター(マーガリンでも):お好みで
〈作り方〉
① 食パンを焼く
② 焼けた食パンにバターを塗る
③ ②に醤油をふり、食べやすくちぎった板海苔をのせる 
※とけるチーズをトッピングしてもおいしいです。

「あいちの水産物ハンドブック100 2010」:10 海藻(海苔の佃煮を使った海苔トーストもあります)愛知県水産課HP:海苔養殖の説明
画像:海苔トースト





No.24 ビタミンCの宝庫! いちご (平成25年2月15日)
 おいしくて子どもからお年寄りまで人気のいちごは、ビタミンCが豊富で、風邪の予防や美肌効果が期待できます。なんと5〜6粒で一日のビタミンC必要量を満たすことができるため、風邪が流行るこの時期にはピッタリの果物です。
愛知県はいちごの生産も盛んで、平成23年産の産出額は全国7位、作付面積は全国5位となっています。主要な産地は愛西市、豊川市、豊橋市などで、出荷の多い時期は12月から5月ごろ。今の時期、お店でもよく見かけますね。
品種は色々あって、かつては「東の女峰(にょほう)、西のとよのか」と呼ばれていましたが、今は「とちおとめ」や「章姫(あきひめ)」などが人気です。また、愛知県が平成17年度に育成した新品種「ゆめのか」も、ジューシーで甘さと酸味のバランスが良く、徐々に作付が拡大しています。
ところで、皆さんが食べているいちごの赤い部分は、実は果実ではなく、果実を保護する「花托(かたく)」という部位です。では果実は? そう、種のようなつぶつぶが果実なんです。
また、これは意外と知られていませんが、いちごは先端に行くほど糖度が高いため、食べるときには、ヘタを取って、ヘタの方から食べると最後まで甘みを感じられますよ。
最後に選び方と保存法です。選ぶ時は、表面の粒々がはっきりしていて、赤色が均一でツヤがあり、ヘタが新鮮で緑の濃いものを。そして、水気を嫌うため、洗ったりヘタを取ったりせず、ラップをかけて冷蔵庫に入れましょう。日持ちしないので早めに味わってくださいね。

愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」JAあいち経済連HP 「あいちのくだもの」
画像:いちご





No.23 バレンタインデーに花を (平成25年2月8日)
 バレンタインデー(2月14日)が近づいてきましたね。バレンタインデーといえば、通常、日本では女性が男性に親愛の情を込めてチョコレートを贈る習慣ですが、現在では意味合いもかなり変わってきました。
今回のコラムでは、趣向を変えて「花育」の観点からお話をします。花育とは、花や緑に触れるとともに、関心を持ち、花や緑に親しむ術と豊かな心を培う教育活動です。
愛知県は、昭和37年以降、花き産出額日本一(H22全国シェア:15.2%)の生産県で、種類別でみても、きく(H22全国シェア:29.6%)やバラ(H22全国シェア:13.2%)などは全国1位です。
2011年から、バレンタインデーに男性が女性に花を贈る「フラワーバレンタイン」という運動が始まり、愛知県においても推進しています。
元サッカー日本代表の三浦知良選手が「初代Mr.フラワーバレンタイン」に就任し、話題にもなりました。
欧米諸国では、男女が互いに愛や感謝を伝えあう日として、メッセージカードを贈り合う習慣があり、男性がそのカードに添える最も重要なアイテムとして、花が贈られています。中国、台湾などアジア諸国でもバレンタインデーは男性から女性に花を贈る日として定着しています。
カードに添えて贈る花は、愛の花とされるバラ(主に赤いバラ)が主流らしいですが、人と違った花を贈るのもいいですよね。2月は花屋さんに並ぶ花の種類が多い月らしいので、ガーベラ、カーネーション、かすみ草などを加えるのはどうでしょうか。
贈る赤いバラの本数には意味があるそうで、1本なら「あなただけ」、3本なら「愛してます」、11本なら「最愛」、99本なら「永遠に」など・・・。確認して贈った方がいいですね。
2月8日(金)から11日(月)まで、吹上ホールで開催される「フラワーマルシェ」でも、フラワーバレンタインのPRコーナーが設置されています。
女性から男性に心のこもったチョコレートを贈る気持ちと同じように、男性から女性へちょっと勇気を出して花を贈ってみませんか。

愛知県園芸農産課HP「愛・地産アラカルト」愛知県花き温室園芸組合連合会HP
画像:フラワーバレンタイン




画像:赤いバラ





No.22 節分の行事食〜福豆と恵方巻き〜 (平成25年2月1日)
 2月3日は節分の日。全国各地の寺社や家庭で“豆まき”が行われますが、皆さんのご家庭では豆まきをされますか?
節分とは、立春や立夏など季節の始まりの日の前日を指します。旧暦では、立春の頃を1年の始まりとして最重視していたので、しだいに節分といえば、立春の前日を表すようになりました。この“豆まき”の風習、平安時代に宮中で行われた追儺(ついな)という魔除けの儀式が、庶民に伝わったものといわれています。
では、なぜ“豆”なのでしょう? それは、日本では昔から穀物や果実に邪気を祓う力があると考えられており、豆は「魔滅」に通じるとして鬼(魔)にぶつけて追い払い、一年の無病息災を願うというものです。炒った豆を使うのも、豆(魔目)を炒ることで鬼を退治する意味があるようです。大豆が一般的ですが、北海道や東北など落花生をまく地方もあります。 まき終わった後、まいた豆を無病息災を願って年の数(または年の数+1)だけ食べるという風習も親しまれています。まさに豆のパワーを体にも取り込む!ということですね。豆まきの時、大声で「鬼は外、福は内!」と唱えますが、「鬼は外」と唱えない寺社、地域もあります。
節分には、「焼嗅(やいかがし)」といって柊(ひいらぎ)の枝に焼いたイワシの頭をさして戸口に吊す風習もあり、柊の尖った葉とイワシの臭いで鬼が退散すると信じられています。この風習にちなんでイワシ料理を食べる家庭も多いようです。
また、節分の行事食として「恵方巻き」も有名ですね。具は七福神にちなんで、かんぴょう、きゅうり(愛知も多く生産してます)、伊達巻、ウナギなど7種類の福を巻き込んで、福を切らずに丸ごと1本を、その年の縁起の良い方角、恵方を向いて無言で食べれば、福が来るといわれています。2013年の恵方は南南東です。 皆さんも、節分の日は、一年の無病息災を願いながら行事食を楽しんでみてはいかがでしょう。「畑の肉」といわれる栄養価の高い大豆と、かんぴょうの食物繊維やウナギのビタミンなど栄養たっぷりの恵方巻きをぜひ!
農林水産省 大豆のまめ知識JAあいち経済連 きゅうりのページ ◇(株)ミツカン 恵方巻きのページ(あいち食育サポート企業団) ◇カネハツ食品(株) 恵方巻きのページ(あいち食育サポート企業団) 
画像:福豆





画像:恵方巻き





No.21 冬の高級魚トラフグ (平成25年1月25日)
 冬の高級魚である「トラフグ」。 トラフグと聞いて思い浮かぶのが山口県の下関ですが、実は愛知県も全国有数の産地です。(平成23年の漁獲量:福岡県が64.0トン、山口県が54.3トン、愛知県が52.8トン(独)水産総合研究センター調べ) この漁獲を支えているのが、トラフグの稚魚放流と漁獲制限です。愛知県では、トラフグの資源が減らないように、毎年約12万尾のトラフグの稚魚(35〜45mm)を放流しています(このうち漁獲につながるのは10〜20%程。魚の世界では高い割合!)。また、漁獲時期や漁獲サイズを限定するなど、皆さんにおいしいトラフグを提供するために、いろいろな努力をしています。 ところで、フグの食用には、ある「愛知県出身者」と「山口県出身者」が関係していることをご存じですか? フグには「テトロドトキシン」という猛毒が含まれている部分があり、古くからフグの食中毒で命を落とす人が多くいました。そこで、「河豚(フグ)食用禁止の令」を発布したとされるのが、豊臣秀吉(愛知県出身)です。秀吉が朝鮮半島へ出兵する際、渡航に集まった将兵のなかに、フグの食中毒死が相次いだことから、フグの中毒死を防ぐために発布されたと言われています。なお、この禁止令は、江戸時代以降も続きました。ある藩では当主がフグ中毒で死亡した場合には、お家断絶の厳しい処分があったとか。 一方、フグの食用解禁のきっかけとなったのが伊藤博文(山口県出身)。明治時代、博文が下関で出されたフグの味に感心し、山口県に限って食用を認めたとされています(諸説あり)。 現在のように、フグの取扱に関する免許制度が始まり、全国でフグの食用が解禁されるようになったのは、第二次世界大戦以降です。江戸時代、「五十にて 河豚(フグ)の味を 知る夜かな」と詠んだのは俳人、小林一茶(長野県出身)ですが、現在の私たちは、様々な人のおかげで、50歳になる前においしいフグを食べられますね。 愛知県南知多町では、観光業界と連携して、フグのPRを行っており、おいしいフグを食べることができます。ぜひ、どうぞ。 ちなみに・・・福岡県でフグに縁のある方といえば、マンガ「サザエさん」の主人公「フグ田サザエ」(福岡県出身)です! ◇愛知県水産課HP愛知県南知多町観光協会HP  画像:トラフグ





画像:てっさ










No.20 栄養バランス抜群の人気野菜・ブロッコリー (平成25年1月18日)
 ビタミンCやビタミンA・E、鉄分、カルシウムなど多くの栄養素をバランスよく含むブロッコリーは、いまや食卓の人気者。年中出まわっていますが、本来の旬は冬。そしてこの時期、皆さんが食べているブロッコリーの大半が愛知県産ということは知っていましたか? 愛知県のブロッコリー出荷量は北海道に次いで全国第2位(平成22年)。その8割以上が田原市、豊橋市で生産されています。さらに、北海道産は主に夏から秋に出回るのに対し、愛知県産は秋から春にかけて多く出回り、中でも12月と1月の名古屋中央卸売市場における愛知県産ブロッコリーのシェアは60%以上に上っているのです(昨季の実績)。 そんなブロッコリーがキャベツの親せきで、兄弟分のカリフラワーと同様に「つぼみ」の部分を食べていることは、「あいち食育いきいき検定」を受検した皆さんはご存知ですよね。これから花になる「つぼみ」が集まっているから、栄養価が高いのも納得。特にビタミンCはレモンの2倍で、100g食べれば一日の所要量を満たすほどです。茎の部分も栄養価が高いので、捨てずに工夫して食べましょう。 選び方は、つぼみが固く締まっており、真ん中の部分がこんもりと盛り上がり、茎の切り口がみずみずしいものが新鮮です。黄色いものは花が咲きかかっており、甘みや栄養価が落ちているので注意してください。一方、紫がかったものは寒さに当たって甘みが増しています。 あまり日持ちがしない野菜なので、常温保存せず、ポリ袋に入れて冷蔵庫に保存しましょう。茹でてから小分けして冷凍保存してもよいでしょう。 毎月19日は、「おうちでごはんの日」。旬のブロッコリーを話題に、家族や仲間と食事を楽しみましょう! 画像:ブロッコリー






画像:おうちでごはんの日
No.19 徳川家康と八丁味噌 (平成25年1月11日)
 「鳴かぬなら鳴くまで待とうほととぎす」の俳句でも有名な徳川家康。家康の天下統一の原動力として、じっと耐えて機を待つ忍耐力(このことで信長や秀吉とよく比較されますが。)と、徹底した健康管理があげられます。
家康は常に健康を第一に考え、食事も麦めしと豆味噌(八丁味噌)を中心に質素なものだったとされ、75歳の長寿を全うした要因にあげられます。家康は江戸に移ってからも、八丁味噌を取り寄せ食べたとされています。

さて、味噌は、蒸した大豆に麹と塩を加えて発酵させたもので、麹の原料の違いで米味噌・麦味噌・豆味噌に分かれます。
八丁味噌は、豆味噌の一種で、米麹は使わず、大豆と塩だけで作られ、この地方を代表する味噌です。大豆は、「畑の肉」と呼ばれますが、味噌はいろいろな効能があるといわれ、「味噌汁を飲む頻度が高い人ほど、胃がんによる死亡率が低い」という研究発表もあります。
また、八丁味噌は熟成期間が2〜3年と長く、一度に6トンもの味噌を仕込む木桶を100年以上使い続けているところもあります。風味が良く、長期保存もできるので、家康は陣中食(戦国時代に戦いの際食された野戦食)としても用いたとされ、またタロとジロが活躍した昭和30年代には南極観測隊の携行食品にも採用されました。
家康生誕の地である岡崎城から西へ八丁(約870メートル)離れた旧八丁村(現在の岡崎市八帖町)で作られていたことが名前の由来になっています。
山岡荘八著「徳川家康」第5巻。武田信玄との三方ヶ原の戦いで敗走し、馬上でせつな糞(ぐそ)をもらしたと指摘された家康が、「たわけめ!腰の焼味噌じゃ」と大久保忠世の頬を平手で張った、という記述からも家康と味噌が身近なものであったことがうかがえます。

この豆味噌(八丁味噌)を用い、土鍋にこしの強い手打ちうどんをぐつぐつ煮込む「味噌煮込みうどん」は、2007年に農林水産省が選定した郷土料理100選に、愛知県から「ひつまぶし」とともに選ばれました。 寒い冬にぜひ。
画像:味噌蔵




画像:味噌煮込みうどん
No.18 鏡餅 (平成25年1月4日)
 あけましておめでとうございます。
みなさんは、どんなお正月をすごされたでしょうか?おいしい料理を囲んで親しい方と楽しく過ごしたり、今年の無事をお祈りしたりと充実したお正月を過ごされた方、また、寝正月だったな・・・という方もいるかもしれませんね。

さて、皆さんのご自宅には「鏡餅」がありますか?鏡餅は、お正月にお迎えする神様へのお供え物です。鏡餅のお餅は神様が宿る神事に欠かせない鏡(銅鏡)を模して丸く、自分の姿を写して鑑みる(かんがみる)ことから鑑餅が鏡餅になったと言われています。
また、鏡餅は2段で太陽(陽)と月(陰)を象徴し、重ねた姿は「一年をめでたく重ねる」などの意味があるそうです。
この鏡餅、ただ飾っておくだけではいけません。鏡餅には神様が宿っているので、お正月を締めくくるためにも、鏡開きをして、神様をお送りしましょう。また、神様からいただいた鏡餅は、霊力が宿っているといわれていますので、お雑煮やお汁粉などにしていただきましょう。現在では、1月11日に鏡開きをすることが多いようです。
なお、平安時代には、お正月の宮中行事として、新年の健康と良運、長寿を願う意味で、歯固めの祝いと鏡餅の祝いがセットになっていたそうです。固い鏡餅を食べて、噛むことの大切さを戒めていたのですね。
現在では、固くなった鏡餅は電子レンジを使って、少し柔らかくすると扱いやすくなります。また、固くならないように鏡餅を模したプラスチックの容器に餅が入った商品も販売されていますね。
日本の伝統を受け継ぎつつ、時代に合わせて変化している鏡餅。このコラムも餅のように長〜く、時代の変化に合わせて、いろいろな情報をお伝えできればと思います。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

日本鏡餅組合 … 鏡餅の歴史など
画像:鏡餅
画像:メッセージ
No.17 日本の伝統食・おせち (平成24年12月28日)
 まもなく新しい年を迎えます。お正月の料理といえば「おせち」ですね。あらためてその由来や意味をたどってみると、日本の良き伝統が見えてきます。

「おせち」とは、平安時代に宮中で行われていた「御節供(おせちく)」の行事に由来する言葉です。年に数回、節日(せちにち:暦上の季節の変わり目の日)に神様にお供えをして祝宴を開くのですが、次第に年神様に感謝する正月が最も重要とされるようになり、庶民の間で「おせち」は正月の料理を表すようになりました。現代のような形式のおせちは江戸時代の武家作法が中心になっているといわれています。
盛り付け方には、銘々のお膳に盛り付ける「正月膳」のほか、大鉢や大皿盛など地方によって特色がありますが、現在は“めでたいことを重ねる”意味で重箱に詰めるスタイルが多くなりました。重箱の基本は四段重ねで、上から一の重、二の重、三の重、与の重と呼びます。四の重といわないのは、四が「死」を連想させ縁起が悪いためです。
おせち料理には、新年を迎えるにあたっての人々のさまざまな願いが込められています。代表的なものとして次の3つ(祝い肴三種)があり、これらを揃えるとおせちの基本が整うといわれています。
○黒豆  一年をまめ(まじめ)に働き、まめ(健康的)に暮らせるようにとの願いを込めたもの。
○数の子 ニシンの卵は数が多く、二親から多くの子が出るのはめでたいとして子孫繁栄の願いを込めたもの。
○田作り カタクチイワシの小魚を干したもの(ごまめ)を使い、かつて小魚を田畑の肥料にしたことから五穀豊穣の願いを込めたもの。
他には、○昆布巻き(こぶが「よろこぶ」と同じ音で縁起がよいとされる)、○きんとん(金団と書き、財宝を意味する。生活のゆたかさを願うもの)、○伊達巻き(江戸っ子の気だてを表す伊達と昔の読み物などの巻物を表し、文化の発展を願うもの)などがあります。また、祝いの膳には、おせちのほかにお雑煮やお屠蘇(とそ)も挙げられます。

皆さんのご家庭ではお正月にどんな料理が並びますか? おせちの形式やしきたりをすべて行うことは難しいものです。ご家庭ごとに、できる範囲で祝いの膳を用意されることが、日本の良き伝統の継承につながると思います。どうぞ良い年をお迎えください。

農林水産省 おせち料理のページ
農林水産省 広報2012年aff(あふ)12月号特集
◇カネハツ食品(株) おせちのヒント (あいち食育サポート企業団)
◇(株)ミツカン おせちのページ(あいち食育サポート企業団)
画像:おせち  app.fudemame.net






画像:重箱  app.fudemame.net
No.16 かしわの王様・名古屋コーチン (平成24年12月21日)
 いよいよ年末が近づいてきましたが、皆さんは大みそかにどんな料理を食べていますか。
尾張地方では古くから、かしわ(鶏肉)のすき焼きを「ひきずり(鍋)」と呼び、大みそかにはひきずりを食べて、年の終わりまで引きずってきた要らないものを年内に片づけてから新年を迎えるという習慣がありました。
(ひきずりの語源は、「すき焼き鍋で肉をひきずるようにして食べるから」や「肉を溶き卵にひきずり入れるようにして食べるから」など諸説あり。)
そのひきずりの主役である「かしわ」と言えば、やはり名古屋コーチン! 明治15年頃に現在の小牧市で誕生し、明治38年には国産初の実用鶏品種として公認されました。肉質は弾力に富み、よくしまって歯ごたえがあり、コクのある旨みがあります。また、卵は美しい桜色をした卵殻が特徴で、白い斑点が付いているものもみられ、味は濃厚でコクのある味が楽しめます。なお、名古屋コーチンは通称で、公式名称は「名古屋種」です。
この名古屋コーチン、愛知県の試験場が100年以上にわたって改良を続けており、農家が飼っている鶏の元となる「種鶏」も、愛知県が一元的に供給しています。また、生産・流通に携わる関係者が協会を組織し、一丸となって消費者の信頼確保と普及促進に取り組んでいます。自主的にDNA検査もしているんですよ。
皆さん、今年の大みそかはちょっと奮発して、愛知県発の名古屋コーチンでひきずりを楽しんでみませんか?
名古屋コーチン協会のサイト … 特徴や歴史、店舗など
愛知県畜産総合センター種鶏場のサイト … 特徴や基準など
愛知グルメ図鑑 … ひきずり(鍋)の紹介とレシピ

  前号「みかんdeアート」のクイズの答えは、「辰」と「かまきり」です。
画像:名古屋コーチンつがい
画像:名古屋コーチン肉
画像:名古屋コーチン卵
No.15 みかん de アート (平成24年12月14日)
 みかんといえば、江戸時代では紀州みかんのことでしたが、今では一般的に「温州(うんしゅう)みかん」のことをいいます。原産は日本の鹿児島県ですが、中国の名産地である浙江省温州にちなんで名前を付けたとされます。
温州みかんの英名は、「Satsuma」。当初、薩摩(鹿児島県)から苗木がアメリカに送られたため、この名前が付けられました。そして、何と、アラバマ州にはSatsumaという名前の町もあるんですよ。
また、アメリカやカナダでは、手で簡単にむけるみかんは、テレビを見ながら簡単に食べられるので、「テレビオレンジ」という愛称で親しまれています。
愛知県には、初夏から秋に販売されるハウス栽培のみかん(「蒲郡温室みかん」、「みはまっこ」等)、露地で11月から販売されている宮川早生や、1月から販売される青島温州があります。また、糖度を上げるために、木の下に白いシートを敷いて栽培するマルチ栽培みかんもあります。(愛・地産アラカルトHP参照
みかんは、ビタミンCとカロチンを多く含み、みかん2個で「果物」の1日の必要量をとることができます。(食事バランスガイド参照)
みかんを食べすぎると手が黄色くなってびっくりしますよね。でもご安心ください。これは、柑皮症(かんぴしょう)といって、みかんなどの柑橘類に含まれるカロチンという色素が手に沈着し着色されたものです。食べるのをやめると自然に色が取れ、カロチンは体内でビタミンAに変わります。カロチンは、脂に溶けやすい性質があるので、高脂血症の人は柑皮症になりやすいそうですよ。
ところで、皆さんは、みかんはどこからむきますか?白い筋がとれやすいからへたの方からむく人、柔らかくむき易いからへたの反対の方からむく人などいると思いますが、ここで新しいむき方をご紹介します。
みかんの皮をどこも捨てないで創るひとつのアート作品です。(「あたらしいみかんのむきかた(小学館)」へ) さて、問題です。右の作品は、それぞれ何を表しているでしょう?
<答えは来週>
画像:みかん




画像:アート1
画像:アート2
No.14 先を見通す縁起物!れんこん (平成24年12月7日)
 師走に入り、寒さも一段と増してきました。何かと慌ただしいこの時期を元気に乗り切るために、ぜひ取り入れたい食材の一つが「れんこん」です。
れんこんは、中国では不老長寿の食品(漢方薬)として珍重されており、ビタミンCや食物繊維、カリウムや亜鉛などのミネラルを多く含む健康野菜です。特にビタミンCは、100gあたりではキャベツやみかんよりも多く、豊富なデンプン質に守られて加熱にも強いのが特徴です。また、切った時に糸をひく粘り成分のムチンは、粘膜を保護する働きがあり、ビタミンCとともに風邪予防の効果があります。
さて、れんこんは「蓮根」という漢字のとおり、水草のハスの地下茎です。通気孔が葉、花などすべての部分に発達し、葉から取り入れた酸素を根に送って成長促進につなげています。れんこんは、この穴が10個ほど空いていますが、向こう側が見えることから「先の見通しがきく」縁起物として、おせち料理やちらしずしなどお祝い事の料理に使われています。穴の大きさが揃っていて、かたさがあり、ずんぐりとして重いものが良品とされています。
この縁起物のれんこん、愛知は茨城、徳島と並ぶ三大生産地となっています(作付面積・出荷量・産出額いずれも3位)。主な産地は愛西市で、愛知産は鮮度を保つため「土付き」のまま出荷するのが特徴で、安全・安心な食材として人気があります。
地元では、れんこん蒲焼きやれんこんチップスが家庭料理として定着しており、JAあいち海部HPでは、これらを含む様々なれんこん料理を紹介しています。また、道の駅「立田ふれあいの里」では、れんこんうどん、れんこんソフトクリームなどのれんこん加工品を各種販売していますので、ぜひ立ち寄ってみてください。
画像:れんこん



画像:ハス
No.13 栗よりうまい?!十三里 (平成24年11月30日)
 「栗よりうまい十三里」と呼ばれる野菜はなんでしょう?正解は、サツマイモ。
江戸時代に、栗「九里」より「四里」うまい(9(里)+4(里)=13(里))と言うしゃれが江戸っ子にウケて評判を呼んだとか、サツマイモの産地である埼玉県川越と江戸の距離が十三里だった・・・などの説から「さつまいも=十三里」となったと言われています。
このサツマイモ、旬は秋ですが、収穫してすぐに食べるよりも、2〜3ヶ月保存した方が甘みが増すと言われています。でも、保存のために冷蔵庫に入れるのはちょっと待ってね!メキシコを中心とする熱帯アメリカが原産であるサツマイモは低温に弱いため、冷蔵庫にいれるとかえって傷みが早くなってしまいます。サツマイモの保存に最適なのは、14℃前後。これからの寒い季節には、一つ一つ新聞や古着などに包み、段ボール箱などに入れ、室内で保存しましょう。サツマイモも冬支度が必要なんですね。
そして、保存しておいたサツマイモは、蒸したり、オーブンでじっくり焼いて食べるのがオススメです。なぜなら、サツマイモに含まれるアミラーゼという酵素が、サツマイモのデンプンを甘い「麦芽糖」に変えてくれるからです。
このアミラーゼが活発に働く、65℃から75℃の温度帯をいかに長く保つかが、おいしいサツマイモを食べるポイントです。これからの季節に恋しい「石焼きイモ」も、焼いた小石の中にイモを入れることにより、この温度帯を長く保つ工夫がなされているんですよ。
家の中に漂う暖かな空気と、サツマイモの香り。身も心も温かくなりますね。
画像:やきいも
No.12 冬は牛乳鍋をお試しあれ! (平成24年11月22日)
 皆さん、牛乳がカラダにいいことはご存知ですよね。まず何よりもカルシウム! 1本(200ml)で227mgもカルシウムがあり、その吸収率も高いのです。牛乳を多く飲む高校生ほど骨量が多いとのデータもあります。
また、必須アミノ酸(体内で合成できず、食べ物からとる必要がある8種類のアミノ酸)のバランスもよく、成長と美容のビタミン(B2とA)もたっぷり。その他、免疫力を高める、便秘を解消する、血流をスムーズにする、不眠を和らげる…など、体を元気にする機能がいっぱいです。さらに、皆さんが心配するコレステロールは、実は他の動物性食品と比べて少なく、牛乳を飲んでいる人の方が体脂肪率が低いという調査報告もあるのです。(「J-milk」のサイトより)
一方、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人もいます。それは牛乳に含まれる「乳糖」を分解する酵素の働きが弱くなったため。そんな人は、温めた牛乳をゆっくり飲むか、乳糖の少ないヨーグルトやチーズを食べるとよいと言われています。
こんなステキな牛乳も、冬は寒さのせいで飲む機会が少なくなりますよね。そんな時は、「牛乳鍋」が一番! 温かくて栄養バランスがいい上に、鍋を囲んで家族や仲間との団らんの効果も大。もちろん、一人でいただいてもおいしいですよ☆
牛乳鍋のレシピはこちら(「楽酪隊」サイトより)です。
寒〜い冬に、ポッカポカの牛乳鍋、どうぞお試しください。
画像:乳牛と牛乳


画像:牛乳鍋
No.11 「あいちの農林水産フェア」体験記 (平成24年11月16日)
 11月15日(木)から丸栄(名古屋市栄)8階大催事場で始まった「あいちの農林水産フェア」に行ってきました。お昼頃行ったのですが、予想を超える盛況ぶりにびっくり!
○お昼ということもあり、特にイートインコーナーは大盛況でした。名古屋で初お目見えとなる離島3丼<大アサリ丼(佐久島)、タコ飯(日間賀島)、しらす丼(篠島)>の列に並び、タコ飯を食べてきました。量も十分でおいしかったです。瀬戸焼そばは来年豊川市で開催されるB−1グランプリに出場の方向で動いているそうで、活気にあふれていました。また、奥三河バーガーの肉は愛知産のイノシシだそうでびっくりしました。などなど
○会場では、高糖度のトマトや旬のぎんなん、れんこんなどの農産物、フェア限定の「いいとも千なり(いちじく・みかん)」、本年度「ふるさと食品コンテスト」最優秀食品のごはんじゅれなど、55店が出展されています。れんこんは特にお買い得かも・・・。
○日替わりイベントとして、漬物創作料理の試食をしてきました。守口漬ちくわピザは独創的でおいしかったです。16日(金)は愛知県が誇る系統豚「愛とん」の試食、17日(土)は大村知事による牛乳の配布、きのこの試食と松ぼっくり工作、18日(日)は県内産もち米での餅つき、19日(月)は抹茶シェイクの試飲、20日(火)はジビエ加工品の試食などなど盛りだくさん過ぎて書き切れません(笑)
○その他、お買上プレゼント(1,000円以上)やクイズラリーも実施されていますよ。毎日先着順に景品がプレゼントされるのでお早目にどうぞ。
イベント情報等は、「あいちの農林水産フェア」HPでご確認のうえ、ご来場ください。
毎月19日は、「おうちでごはんの日」です。フェアに行って、地産地消を食卓の話題にいかがでしょうか。
画像:フェアの様子1
画像:フェアの様子2
画像:フェアの様子3 画像:おうちでごはんの日
No.10 来て!見て!食べて!「あいちの農林水産フェア」 (平成24年11月9日)
 デパートなどで開催される物産展。わざわざ北海道や九州などに行かなくても、その土地のおいしいもを買ったり、ご当地グルメを食べることができるのでとても盛況ですね。
では、みなさん、愛知県産のおいしいもの、ご当地グルメ、どれだけ食べたことがありますか?知っているけど、食べたことはない、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
そんな方に耳寄りな情報です!11月15日(木)から20日(火)までの期間、「あいちの農林水産フェア」が開催されます。メイン会場の丸栄(名古屋市栄) 8階大催事場では、味にこだわった高糖度トマトや旬のレンコンなどの農産物、本年度の「ふるさと食品コンテスト」で最優秀に選ばれた加工食品など、愛知県が誇る産品がたくさん出展されます。フェア限定のイチジク餡(あん)とミカン餡(あん)の「いいとも千なり」も販売されますよ!
また、イートインコーナーでは、名古屋で初お目見えの離島3丼(大アサリ丼(佐久島)、タコ飯(日間賀島)、しらす丼(篠島))、瀬戸焼そばなどを食べることができます。
このほかにも、日替わりの体験イベントやカーネーションの無料配布、愛知県が誇る系統豚の「愛とん」の試食など楽しい企画が盛りだくさん!
また、今回初となるサテライト会場(金山駅コンコース、明日なる!広場)でも、県産品が勢揃いする他、お買い上げの方を対象に、農産物の詰め放題(先着順)も予定しています。
ぜひ、愛知県のおいしいものを食べに、ご家族、ご友人と「あいちの農林水産フェア」にいらしてくださいね。
会場等の詳しい情報は、「あいちの農林水産フェア」をご覧ください。
☆次週は、「あいちの農林水産フェア」の体験レポートをお送りします。お楽しみに!
☆愛知県では、県産農林水産物の消費・利用拡大を目指して"愛知県版地産地消"の取組である「いいともあいち運動」を展開しています。
画像:フェア



画像:いいともあいち
No.9 秋のパワー食材・ぎんなん (平成24年11月2日)
 紅や黄に染まりつつある街路樹に、秋の深まりを実感するこの頃。
街路樹というとイチョウを思い浮かべる方も多いと思いますが、街路樹のイチョウに実(ぎんなん)がなっていることは滅多にありませんね。なぜなら、イチョウの木には雄と雌があって、雄には実がならないからです。ぎんなんは、雌の木にさくらんぼのような状態でなりますが、食べられるのは果肉ではなく種の部分です。独特の香りとほろ苦い風味が特徴の秋の味覚として、茶碗蒸しやおこわ、串焼き、油炒めなど色々な食べ方が楽しめます。
ぎんなんは、他の木の実類に比べ即効性の高いエネルギー源である糖質と抗酸化作用や免疫増強の働きをもつβカロテンが多いのが特徴です。また、代謝とエネルギー再生に重要な役割をするパントテン酸、皮膚や粘膜の健康維持に加え抗酸化作用もあるビタミンC、細胞を正常に保ち血圧を調整する働きのあるカリウムも多く含んでいます。ただ、そんなパワー食材なだけに食べ過ぎると中毒症状を起こすことがあるので、特に体の解毒能力が未発達の子どもさんは注意してください。大人も1日に5〜10粒が適量といわれています。殻に少し割れ目を入れ、塩少々と一緒に封筒や密閉容器等に入れ電子レンジで1〜2分加熱すれば、炒りぎんなんが簡単にできますよ。
さて、このぎんなん、愛知の特産品の一つで全国2位の収穫量を誇ります(平成21年産)。主に稲沢市(祖父江地区)一帯で栽培され、大粒でもっちりした食感は東京の一流料亭などでも高い評価を得ています。主な品種は、久寿(きゅうじゅ)※久治(きゅうじ)ともいう、藤九郎(とうくろう)、金兵衛(きんべえ)、栄神(えいしん)です。平成21年4月には、「祖父江ぎんなん」が地域ブランドとして登録され、地元の農協や商工会、生産者組合、行政からなる「祖父江ぎんなんブランド推進協議会」が、産地戦略や加工品の開発や積極的なPRに努めています。ぎんなんの保存方法やレシピの紹介などは協議会HPをご覧ください。
なお、「祖父江ぎんなん」は、今月15日から丸栄で開催される「あいちの農林水産フェア」に出品します。ぜひ皆様お出かけください。
画像:ぎんなん



画像:ぎんなん
No.8 疲れに豚肉、そして「三元豚」とは? (平成24年10月26日)
近頃急に寒くなり、体調管理が大変! しっかり体力をつけ、疲労をためないように注意したいですね。
そんな時におススメな食材の一つが「豚肉」。必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質なタンパク源である上に、疲労回復に効果のある「ビタミンB1」が、他の食肉に比べて群を抜いて多く含まれています(詳しくはこちら。)。「トンカツ食べて、疲れに勝つ」てなところでしょうか(苦笑)。
ところで、最近「○○三元豚(さんげんとん)」と書かれた豚肉を時々見かけるようになりましたが、三元豚ってどんな豚かご存知ですか?
三元豚とは、3種類の品種を掛け合わせた雑種の豚のことで、それぞれの親豚の特性を生かしつつ、雑種の持つ、両親よりも丈夫で発育が良いという性質を利用して、バランスのとれた豚を生産する技術です。
通常、母親がランドレース種と大ヨークシャー種の雑種(両品種とも子豚を多く産み、子育てが上手で、さらに雑種のため能力が高い)、父親がデュロック種(発育が早く、肉質が良い)である場合が一般的です。
現在の豚肉の主流は、実は三元豚。決して特別な豚じゃない。要はその「三元」の中身ってことですね。
そこで、愛知県の話ですが、愛知県は、全国の自治体で唯一、上の3品種すべての系統豚(遺伝的な能力を揃えた豚の集団)を独自に開発し、養豚農家に供給している県なんです。(「愛知県の系統豚」より)
平成20年度には、この系統豚のシンボルマークと愛称である「愛とん」を公募により決定し、現在、各種イベントや豚肉パックへの利用などによる普及PRをしています。
右のマークを見かけたら、ぜひ味わってみてください。
画像:ランドレース種
画像:大ヨークシャー種
画:デュロック種
画像:愛とんシンボルマーク
No.7 清盛も食べた?!スズキ (平成24年10月19日)
 今年のNHK大河ドラマ「平清盛」に登場する平盛国(もりくに)。清盛の右腕として活躍する実在の人物ですが、ドラマでは漁師の息子として生を受け、幼少名は「鱸丸(すずきまる)」という設定になっています。でもなぜ「鱸(スズキ)」?どうやら、平家の繁栄と滅亡を描いた平家物語 巻第一「鱸(スズキ)」にそのヒントがありそうです。

・・・清盛が安芸守(あきのかみ)だった頃、熊野参詣をするために、伊勢の海を船で渡っている途中、船に鱸(スズキ)が飛びこんできました。清盛は、これは縁起が良いと、さっそく料理し、子どもや家来に食べさせました。その後、平家は繁栄の道を歩み、清盛は太政大臣にまで上りつめていきます・・・

このシーンはドラマでは描かれていませんが、「鱸(スズキ)」が平家にとって縁起がよく、大切な魚だったことがうかがえます。そこで、盛国の幼少名に「鱸(スズキ)」を用いたのでは?と思うのですが、いかがでしょう?
さて、この「スズキ」、平家の繁栄を物語るように、出世魚の代表として知られています。出世魚は、成長にしたがって呼び名が変わる魚のこと。20〜40センチを「セイゴ」、40〜60センチを「フッコ」、60センチ以上を「スズキ」と呼びます。地方名も多くあり、愛知県では「フッコ」を「マダカ」と呼んでいます。また、釣り好きの人には「シーバス」もなじみが深名前でしょう。
一般的には夏の魚のイメージが強い「スズキ」も、愛知県では、秋から冬にかけて多く漁獲されます。そのため、愛知県では「ガザミ(ワタリガニ)」とともに「スズキ」を「秋」の魚として選定し、PRしています(「あいちの四季の魚」)。
毎月19日は、「おうちでごはんの日」。家族や仲間と一緒に「スズキ」を食べると、あなたも清盛のように大出世するかも?!
画像:スズキ




画像:おうちでごはんの日
No.6 秋の果物・柿 (平成24年10月12日)
 秋を代表する果物で、秋(晩秋)の季語でもある柿。奈良時代に中国から伝わったとされ、「古事記」や「万葉集」などにも記され、ヨーロッパでも「kaki」として親しまれています。古くは柿といえば、渋柿ばかりだったそうです.
「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、柿はビタミンCやカロテンなど豊富に含んだ栄養価が高い果物です。品種は1000を超えるとされ、「富有(ふゆう)柿」が日本一の栽培面積です。
愛知県の柿の栽培面積・産出額は、ともに全国6位。その主となる品種は、「次郎(じろう)柿」です。次郎柿は豊橋市の特産品で、愛知県の栽培面積は日本一(約35%)です(豊橋市が全国の約24%)。江戸時代後期、静岡県遠州森町で、松本次郎吉が川に流れ着いた柿の幼木を拾って植えたのが始まりとされます。もうそろそろ出荷が始まります。
愛知県原産の早生種である「筆柿」は、果実の形が筆の穂先に似ているため、この名前で呼ばれ、その独特な形から「珍宝柿(チンポウ柿)」の名称でも親しまれています。筆柿は幸田町の特産品で、愛知県の栽培面積も日本一(約80%)です(幸田町が全国の約67%)。熟期が早く、他の柿に先駆けて9月から出荷され,今店頭に並んでいますので、ぜひ皆さんも味見してください。
また、筆柿は、不完全甘柿で、同じ樹に甘柿と渋柿ができ、食べてみないとどちらかがわからない???
昔は生産者のカンにより判別していましたが、現在は選果場で甘渋判定機を用いて判別し、渋柿はアルコール等により渋抜きして出荷していますので、安心して食べられます。切って黒いゴマが入っていれば、甘く、おいしく食べられますよ。
幸田町HP参照)
画像:次郎柿


画像:筆柿
No.5 和食の脇役に注目!大葉と食用ぎく (平成24年10月5日)
  「大葉(しそ)」、「食用ぎく」といえば、大根とともに刺身に添えられる定番の“つま”です。その一番の目的は、大葉やきくの花弁が持つ解毒作用や防腐効果、香りを加えて魚の臭みを抑えることにあります。
大葉ときくは、いずれも中国から伝来し、初期は薬として用いられ、一般に食されるようになったのは、大葉は室町時代、きくは江戸時代からといわれています。共通する成分としては、抗酸化作用のあるビタミンB1、B2、カロテンのほか、消炎・抗アレルギー成分のポリフェノールがあります。
和え物や酢の物、サラダなど、単独では使われにくい食材ですが、日本の生食文化にマッチし、和食の彩りや繊細さを演出するその存在は、まさに、主役を引き立てる名脇役(つまもの)といえますね。
そして、日本の食卓にこの重要な脇役を届けているのが愛知県。豊橋市、豊川市などで栽培され、生産量は全国トップシェアを誇ります。 皆さんも、これからは2つの脇役を応援する気持ちで、ぜひ味と香りを楽しんでみてください。
画像:大葉


画像:食用ぎく
No.4 新米シーズン到来! (平成24年9月28日)
 残暑もようやく和らぎ、店頭で新米をよく見かける季節になってきました。ところで、いつまで「新米」って言うか、ご存じですか?
JAS法で「新米」と表示して良いのは、収穫された年の大晦日までに精白され、包装された精米に限られています。人間だって、1月を過ぎたら「新米です。」なんて言えませんよね(笑)。
一方、「古米」については明確な定義がなく、一般的には収穫されて1年以上たった米を指します。 
なお、県内で最も多く栽培されている米の品種は「あいちのかおり」。粒が大きく、食味がよく、病気に強いため農薬を減らして栽培できることから、県内の約4割で栽培されており、学校給食にも供給されています(「愛・地産アラカルト」より)。愛知の子どもたちは、愛知のお米で育っているんです。
「あいちのかおり」はそろそろ出荷されます。新米が楽しみですね。
画像:おこめ
No.3 秋のスイーツ・マロングラッセ (平成24年9月21日)
 実りの秋、食欲の秋で代表される「栗」。日本で栽培されている「ニホングリ」は、渋皮離れが悪いが、果実が大きいのが特色です。「マロングラッセ」にすることで知られる「ヨーロッパグリ」や「チュウゴクグリ」などの種類があります。
一般的に日本では栗のことを「マロン」といいますが、英語では「chestnut」です。もともとフランスにおいて、トチノキ(マロニエ)の実「marron」で、マロングラッセを作っていましたが、栗でも作り始めたことから、「マロン」と呼ぶようになりました。
マロングラッセは、むいた栗を砂糖漬けにしたお菓子です。このマロングラッセの歴史は古く、マケドニアの英雄アレキサンダー大王が、最愛の妻ロクサネー妃に贈るためにインドの砂糖を使って作らせたとされていて、ヨーロッパでは愛する人に永遠の愛を誓う贈り物とされています。皆さんも最愛の人に贈ってみては・・・。
ところで、香嵐渓グリーンファーム三ツ足栗園では10月21日まで栗拾いができるそうです。家族で行かれてはいかがでしょうか。
画像:栗


画像:マロングラッセ
No.2 秋の味覚・サンマ (平成24年9月14日)
 秋の味覚の代表でもあるサンマ。みなさんは、漢字でどう書くか知っていますか?秋の魚だから、「鰍」かな?正解は、「秋刀魚」と書きます。刀のような形と色をしていることから名付けられたと言われています。
新鮮なサンマを選ぶコツも形と色。身がふっくらと張りがあり、頭が小さく見えるものは、脂ののっている証拠。くちばしが黄色やオレンジ色で、エラが鮮やかな紅色をしているもの、ピンと皮がはり、体がキラキラしているものが新鮮なサンマです。
また、一般的な魚には、胃がありますが、サンマには胃がありません。腸が短く、排泄物が体内にたまらないので、内臓が傷みにくく、内臓を取り除かなくても調理することができます。いろいろな食べ方がありますが、落語の「目黒のサンマ」のように、塩焼きなど、シンプルに調理するのがおいしい魚です。
ちなみに、「鰍」はカジカと読みます。見かけはゴツゴツした強面の魚ですが、こちらもおいしい魚です。
毎月19日は「おうちでごはんの日」。家族や友人と食卓を囲み、楽しく食事をしましょう!
画像:サンマ


画像:おうちでごはんの日
No.1 いちじく王国・愛知 (平成24年9月7日)
 いちじくは、まさに今が旬の果物。古くからアラビア南部から西アジアで栽培され、日本には江戸時代に伝わりました。
  私たちが食べている花托(かたく)と呼ばれる部分に、たくさんの赤いつぶつぶ状のものがありますが、実はこれ、花なんです。外から見えるところに花が無いことから、漢字では「無花果」と書きます。
いちじくは、カリウムやカルシウム、食物繊維を豊富に含んでいます。また、果実や葉を切ると出る乳液は、たんぱく質分解酵素フィシンを含んでおり、たんぱく質の消化を良くする効果もあります。生で食べるほかに、ジャムにしたり、ソースにしたり、また乾燥いちじくはケーキやパンに練りこんだりと用途はさまざまです。
愛知県では、安城市や碧南市など各地で栽培され、現在は栽培面積、収穫量、産出額で全国一を誇るいちじく王国となっています。
画像:いちじく

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